JP4701528B2 - 反射防止フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に透明高屈折率酸化物層と透明低屈折率酸化物層を交互に積層してなる反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止(Anti−Reflection、以下略してARという。)フィルムは、CRTやLCD(液晶表示素子)の画面表面に形成されて、外光の映り込みを防止して画面を見やすくしたり、コントラストを上げて画質を向上させたりするために用いられている。さらにARフィルムは、導電層を存在させることにより、帯電防止や電磁遮蔽効果を持たせてホコリの付着防止や環境保全に寄与させることもなされている。
【0003】
CRT用途としては、特開平11−218603号公報、特開平9−80205号公報及びH.Ishikawa et al./thin Solid Films 351 (1999) 212−215の文献等に示されているように、PET(ポリエチレンテレフタレート)ベースの上にハードコート層を形成し、さらにその上にSiOx /ITO/SiO2 /ITO/SiO2 やSiOx /TiN/SiO2 等の積層構造のAR層が形成されたものが知られている。
【0004】
一方、LCD表面に形成するARフィルムとしては、ベース/SiOx /TiO2 /SiO2 /TiO2 /SiO2 やベース/SiOx /TiO2 /SiO2 /TiO2 /Al23 /SiO2 等のTiO2 を用いた透明度の大きな構成が知られている。
【0005】
ARフィルムを構成する各層はスパッタリングによって成膜されるが、その成膜スピードを考えると、高屈折率酸化物層としてはTiO2 スパッタ層を用いた構成よりも、SiOx /ITO/SiO2 /ITO/SiO2 のようなITOスパッタ層を用いた構成の方が生産性に優れている。図2に示すようなフィルム用の連続スパッタ機を用いて成膜する場合、スパッタ室101においてメインローラ103に沿って走行するフィルム105の走行方向の成膜可能長さ、すなわちカソード107を付けられる長さは限られており、同一のフィルム走行長さで比較すると、ITOとTiO2 の成膜速度の比は約3対1程度となる。また、同一のスパッタ電力密度で比較しても、TiO2 はITOの1/3から1/6の成膜速度となる。これは、ITOの透明性と導電性を両立させる観点からの成膜速度であって、透明性を無視すれば速度の差はさらに大きくなる。TiO2 の成膜速度が遅いのは、TiがITOの成分元素であるInやSnに比べてスパッタ率が小さいことに大きく依存している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、ITO膜はTiO2 膜よりも生産性に優れているが、ITO膜を用いたARフィルム、例えばベース/SiOx 4nm/ITO 18nm/SiO2 32nm/ITO 60nm/SiO2 95nmで構成されるようなARフィルムは、透明であるけれど黄色みがかかっているという欠点を有している。CRT用途においては、AR層が黄色みがかかっていても、R/G/Bのカソード電流を黄色みを打消す方向へ調整することにより、AR層の黄色みの影響を受けないようにすることがある程度可能であるが、LCDの場合にはARフィルムに対応させるためにだけ色調整をすることは容易ではない。カラーフィルター他を含めての調整が必要になるからである。このような事情から、成膜速度が遅くてもTiO2 が透明高屈折率材料として用いられているが、このためARフィルムを高価なものとしていた。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に対処してなされたもので、ITOのように高速スパッタリングが可能で低価格な金属酸化物膜を用いて、色が中性に近い透明タイプのARフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、基体上に透明高屈折率酸化物層と透明低屈折率酸化物層を交互に積層してなる反射防止フィルムであって、透明高屈折率酸化物層がIn23 及びSnO2 から選ばれた少なくとも一種の金属酸化物を主成分として含有し、Si、Mg、Al、Zn、Ti及びNbから選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物成分を、SiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 に換算して5モル%以上40モル%以下含有する酸化物膜を有することを特徴とする。
【0009】
本発明においては、導電性を有することで多くの用途に使用されているIn23 またはITO等のスパッタ膜に分光透過率調整用の酸化物を添加することにより、高速スパッタリングが可能で低価格な金属酸化物膜を高屈折率酸化物層に用いて400〜650nmの波長範囲における分光透過率のばらつきを10%以内に抑えることが可能となり、生産性に優れかつ無色に近い透明タイプのARフィルムを得ることができる。
【0010】
分光透過率調整用の添加成分としては、In23 やSnO2 と混合融解したときにガラス化しやすく、ガラス組織ネットワークを構成しやすいガラス網目形成酸化物であって、純粋組成のときに低波長側の光線透過率の高いものが選択される。このような条件を満たすものとしては、Si、Mg、Al、Zn、Ti及びNbの元素の酸化物、代表的にはSiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 等で表される酸化物が挙げられる。
【0011】
In23 またはITOの基本材料に対して添加する酸化物の量は、SiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 に換算して合計で5モル%以上,40モル%以下であることが好ましい。5モル%以下では低波長域での透過率改善効果が少なく、40モル%以上ではIn23 及びSnO2 の比率が下がり過ぎてしまい、スパッタ成膜速度の高速性が得られなくなってしまう。さらに好ましくは、10モル%以上,30モル%以下がスパッタ成膜速度と低波長域での透過率特性の両立において最も効果的である。
【0012】
また、透明高屈折率酸化物層は必ずしも同一組成の材料で形成する必要はない。一つの所定膜厚の透明高屈折率酸化物層を例えば厚さ半分づつ、添加する酸化物成分の元素または濃度を変えた組成の異なる材料を用いて形成してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかるARフィルムの積層構成を示す断面図、図2は、ARフィルムの各酸化物層を成膜するための連続スパッタ機を模式的に示す図である。
【0014】
図1において、ARフィルムは、PET等のベース1、アクリル系等のハードコート層3、SiOx 層5、透明高屈折率酸化物層7、透明低屈折率酸化物層9、透明高屈折率酸化物層11、透明低屈折率酸化物層13、及び防汚層15によって構成されている。本実施の形態では、透明高屈折率酸化物層7、11に、In23 またはITOを主成分とし、Si、Mg、Al、Zn、Ti及びNbのうちのいずれか1種以上の元素の酸化物を添加成分として、SiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 に換算して5〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%の範囲で含有するスパッタ膜が用いられる。また、透明低屈折率酸化物層9、13としては、例えばSiO2 が用いられる。さらにARフィルムの表面には、汚染を防止する防汚層15が適宜コーティングされる。
【0015】
上記構成のARフィルムは、ハードコート層3が形成されたベース1上に、例えば図2に示すような連続スパッタ機を用いて、スパッタリング法によりSiOx 層5、透明高屈折率酸化物層7、透明低屈折率酸化物層9、透明高屈折率酸化物層11、透明低屈折率酸化物層13を順次成膜することにより製作される。
【0016】
図2において、連続スパッタ機は、ハードコート層があらかじめ形成されたロール状のフィルム105を繰り出す巻出し室109と、フィルム105上にスパッタリングを行うスパッタ室101と、フィルム105を巻き取る巻取り室110が連続して設けられている。スパッタ室101には、フィルム105を巻き付けて矢印方向に走行させるメインローラ103が設置され、メインローラ103の周囲に一定の距離をおいて、ターゲットを載置したカソード107が複数設置されている。この構成において、各カソード107表面に酸素ガス雰囲気を形成し、カソード107に電圧を印加することにより、各カソード107に載置したターゲットに応じたスパッタ膜がフィルム105上に順次成膜される。
【0017】
本実施の形態の透明高屈折率酸化物層7、11において、添加成分として用いられるSiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 は、それ自体低波長側の光線透過率が高く、かつIn23 やSnO2 と混合融解したときにガラス化しやすく、ガラス組織ネットワークを形成しやすい酸化物(例えば、SiO2 はSi同士の結合を介してのガラス網目形成酸化物の代表である。)で、これをIn23、SnO2またはITOに添加することにより、In23、SnO2またはITOのみからなるものよりも低波長側の透過率を高めることができる。
【0018】
例えば、図1に示す本実施の形態と同じ膜構成で透明高屈折率酸化物層としてITO(ここではIn23 とSnO2 が質量比で9:1、モル比で約83:17の組成)のスパッタ膜を用いた従来のARフィルム
ベース/
SiOx 層 4nm/
ITO層 21nm/
SiO2 層 32nm/
ITO層 60nm/
SiO2 層 95nm
を考えると、この従来のARフィルム中の60nm膜厚のITO層を、73モル%In23 −27モル%ZnOの組成のスパッタ膜とすることにより、400nmの波長における透過率が12%向上することが認められる。これは、ITO膜とIn23 −ZnO系膜との波長に対する光吸収特性の違いによるものであり、60nm膜厚においてはIn23 −ZnO系膜の方が400nm近くの短波長域まで透過率が相対的に大きくなっているためと考えられる。
【0019】
図3及び図4は、ハードコート層を形成したPETベース上に設けた60nm膜厚の各種組成のスパッタ膜について、光学波長変化に伴う透過率変化を示すもので、図中曲線aはTiO2 、曲線bはITO(83モル%In23 −17モル%SnO2 )、曲線cは73モル%In23 −27モル%ZnO、曲線dは78モル%In23 −12モル%SnO2 −5モル%ZnO−5モル%SiO2 、曲線eは70モル%In23 −10モル%SnO2 −20モル%Nb25 、曲線fは78モル%In23 −12モル%SnO2 −10モル%MgO、曲線gは80モル%In23 −12モル%SnO2 −8モル%Al23 、曲線hは75モル%In23 −12モル%SnO2 −7モル%MgO−6モル%TiO2 の分光透過率を示す。
【0020】
図3及び図4において、曲線aのTiO2 の成膜ではTiをターゲットとして用い、曲線b〜gのIn23 系の成膜ではそれぞれの酸化物組成をターゲットとして用いている。Tiターゲットを使用した時とIn23 系ターゲットを使用した時では、最適な光学特性を得るためのスパッタ条件は異なる。それぞれのスパッタ条件は次の通りである。
In23 系ターゲット使用時のスパッタ条件
雰囲気ガス:Ar−10体積%O2 ガス
電力密度:3.6W/cm2
基板:ハードコート付PETベース
Tiターゲット使用時のスパッタ条件
雰囲気ガス:Ar−50体積%O2 ガス
電力密度:6W/cm2
基板:ハードコート付PETベース
【0021】
図3及び図4から明らかなように、In23 やITOにZnO、SiO2 、MgO、Al23 、TiO2 、Nb25 等を添加することにより、ITO膜より400nmの低波長側における透過率が向上している。なお、TiをターゲットとしたTiO2 膜より透過率が大きくなる成膜条件は見出せていないが、相対的に透過率を大きく取りながらTiO2 膜の成膜速度より速いITO膜と同程度の成膜速度を維持することが可能である。そのためには、In23 やITOの基本材料に対してSiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 等に換算した酸化物の含有量を合計で5モル%以上,40モル%以下とすることが望ましい。5モル%以下では低波長域での透過率改善効果が少なく、40モル%以上ではIn23 及びSnO2 の比率が小さくなり過ぎてスパッタ成膜速度が大きいという利点が得られなくなってしまう。さらに、スパッタ成膜速度と低波長域での透過率特性の両立の観点から、10モル%以上,30モル%以下がより好ましい。
【0022】
また、透明高屈折率酸化物層7、11のスパッタ成膜時のターゲットには、酸化物ターゲットを用いても、金属ターゲットを用いてもよい。酸化物ターゲットとしては、目的のスパッタ膜の組成に応じてそれぞれの酸化物材料を混合し、型プレスし、酸素濃度を調整した雰囲気で焼結したものを用いることができる。金属ターゲットとしては、目的のスパッタ膜の組成に対応した金属組成の合金が用いられる。金属ターゲットの場合には、スパッタ時に50%酸素−50%Ar流量比のガスを用いるのが好ましく、酸化物ターゲットの場合には、酸素量を30%以下、特に10%程度とすることが好ましい。
【0023】
また、透明高屈折率酸化物層7、11に、ごく微量のSb23 、B23 、Y23 、CeO2 、ZrO2 、ThO2 、Ta25 、Bi23 、La23 、Nd23 等の透明酸化物を添加してもよい。これらの添加はスパッタ成膜速度、低波長側透過率に大きな影響を与えるものではなく、本発明の要旨を逸脱するものではない。
【0024】
なお、本実施の形態では、透明高屈折率酸化物層7、11の両方に、In23 またはITOにSiO2 、MgO、Al23 、ZnO、TiO2 及びNb25 等の酸化物成分を添加した酸化物膜を用いたが、この酸化物膜をいずれか一方にのみ用いてもよい。その場合、より膜厚の厚い透明高屈折率酸化物層11に適用する方が効果的である。
【0025】
また、本実施の形態では、ハードコート層3を形成したPET等のベース1上に酸化物層を積層する構成としたが、この他にも、より透過率を高める目的や偏光を扱う観点から、TAC(トリアセチルセルロース)ベース上に形成する構成やハードコート層を設けたTACベース上に形成する構成を取ることもできる。さらには、ポリカーボネート等のフィルム上や、ガラスやアクリル板の上に形成してもよいことはいうまでもない。また、本実施の形態のARフィルムは、ベースの裏に粘着剤を塗布して反射防止を施したい面に貼り付けて使用することができる形態であるが、本発明は、これ以外にも、透明アクリル板の裏表に酸化物層を形成して使用するなど種々の形態に適用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例についてさらに詳細に説明する。
実施例1
本発明の実施例として下記構成のARフィルムを作成した。
PETベース 188μm/
ハードコート層 6μm/
SiOx 層 4nm/
75モル%In23 −25モル%ZnO組成の層 15nm/
SiO2 層 32nm/
78モル%In23 −12モル%SnO2 −10モル%SiO2 組成の層 75nm/
SiO2 層 97nm/
防汚層 5nm
【0027】
また、この実施例に対応する従来例として下記構成のARフィルムを作成した。
PETベース 188μm/
ハードコート層 6μm/
SiOx 層 4nm/
ITO(83モル%In23 −17モル%SnO2 組成)層 21nm/
SiO2 層 32nm/
ITO層 60nm/
SiO2 層 95nm/
防汚層 5nm
【0028】
本実施例と従来例のそれぞれのARフィルムの分光透過率を図5に、分光反射率を図6に示す。なお、図5及び図6は、分光透過率及び分光反射率を微小なゆらぎを平均化した曲線にて簡便に示している。図5から明らかなように、本実施例のARフィルムは、従来例のものと比較して、400nmの光学波長において約15%の透過率の改善が見られ、400〜650nmの波長範囲における分光透過率のばらつき幅は9%程度に縮小した。一方、図6から明らかなように、本実施例の400〜650nmの波長範囲における分光反射率は、従来例とほとんど変わらない値を得ることができた。
【0029】
実施例2
本発明の他の実施例として次のような構成のARフィルムを作成した。
PETベース 75μm/
ハードコート層 6μm/
SiOx 層 5nm/
78モル%In23 −12モル%SnO2 −10モル%MgO組成の層 18nm/
SiO2 層 20nm/
75モル%In23 −12モル%SnO2 −7モル%MgO−6モル%TiO2 組成の層 100nm/
SiO2 層 85nm/
防汚層 5nm
【0030】
また、この実施例に対応する従来例として下記構成のARフィルムを作成した。
PETベース 75μm/
ハードコート層 6μm/
SiOx 層 5nm/
ITO層 15nm/
SiO2 層 20nm/
ITO層 98nm/
SiO2 層 85nm/
防汚層 5nm
【0031】
本実施例においては、従来例に比べて500〜600nmにおける反射率は同等の特性が得られ、かつ400nmの低波長側における光線透過率は10%の改善が見られた。
【0032】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例1、2における透明高屈折率酸化物層は、ITO層よりも400nm近傍の低波長側での透明度が高く、かつITO層と同程度の成膜速度が得られるため、ITO層を用いたARフィルムよりも高透明で無色に近いARフィルムを、TiO2 層を用いたARフィルムより低コストで製造することができる。
【0033】
また、ARフィルムの用途により、導電性を必要とするケース、必要としないケース、わずかの導電性を必要とするケースなどいろいろあるが、TiO2 では導電性を持たせることが困難であるのに対して、本発明にかかる透明高屈折率酸化物材料を用いることで、自由な設計が可能となる。例えば、実施例1に示したように、薄い高屈折率層に75モル%In23 −25モル%ZnOのような導電率の高い材料を用い、厚い高屈折率層には透明度のより優れた材料を用いるなど、用途に応じた最適な透明高屈折率酸化物材料を選択することができる。
【0034】
なお、上記実施例では一つの透明高屈折率酸化物層に同一材料を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば一つの透明高屈折率酸化物層のうちほぼ上半分の厚さを78モル%In23 −12モル%SnO2 −10モル%MgOによる酸化物膜とし、下半分の厚さを75モル%In23 −12モル%SnO2 −7モル%MgO−6モル%TiO2 による酸化物膜とすることも可能である。ターゲットを2セット並べてスパッタさせる場合に、前者と後者を別のタイプの組成とすることにより、種々の組み合わせが可能となるのはいうまでもない。
【0035】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、In23 またはITOの基本材料に分光透過率調整用の酸化物を添加した材料を用いて透明高屈折率酸化物層を形成することにより、ITOを用いたものよりも400nm近傍の低波長域での光線透過率を高めることができ、かつTiO2 膜よりも速いITO膜と同等の成膜速度で成膜することができるため、ITO膜を用いたものよりも透明度の高い無色のARフィルムを、TiO2 膜を用いたものよりも低コストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる反射防止フィルムの積層構成を示す断面図である。
【図2】反射防止フィルム製造用の連続スパッタ機の一例を模式的に示す図である。
【図3】各スパッタ膜の分光透過率を示す図である。
【図4】各スパッタ膜の分光透過率を示す図である。
【図5】実施例1の反射防止フィルムの分光透過率を従来例と比較して示す図である。
【図6】実施例1と反射防止フィルムの分光反射率を従来例と比較して示す図である。
【符号の説明】
1……ベース、3……ハードコート層、5……SiOx 層、7、11……透明高屈折率酸化物層、9、13……透明低屈折率酸化物層、15……防汚層、101……スパッタ室、103……メインローラ、105……フィルム、107……カソード

Claims (6)

  1. 基体上に透明高屈折率酸化物層と透明低屈折率酸化物層を交互に積層してなる反射防止フィルムであって、
    少なくとも一つの透明高屈折率酸化物層が、In23及びSnO2から選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を主成分として含有し、Si、Mg、Al、Zn、Ti及びNbから選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物成分を、SiO2、MgO、Al23、ZnO、TiO2及びNb25に換算して5モル%以上,40モル%以下含有する酸化物膜を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記酸化物膜が、前記酸化物成分を、SiO2、MgO、Al23、ZnO、TiO2及びNb25に換算して10モル%以上,30モル%以下含有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 少なくとも一つの透明高屈折率酸化物層が組成の異なる複数の酸化物膜からなることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  4. 透明高屈折率酸化物層を構成する複数の酸化物膜が、互いに前記酸化物成分の元素または濃度が異なる組成を有することを特徴とする請求項3記載の反射防止フィルム。
  5. 前記透明高屈折率酸化物層及び透明低屈折率酸化物層がスパッタリング法により形成されてなることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
  6. 400〜650nmの波長範囲における分光透過率の最大差が10%以下であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
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