JP4701219B2 - 汚濁物質除去装置 - Google Patents
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Description
本発明は、水槽の水や飲食店の排水などから、水質汚濁の原因物質であるたんぱく質や油等の汚濁物質を効率的に回収するための汚濁物質除去装置に関するものである。
飲食店の排水などにおいて、水質汚濁の原因物質であるタンパク質や油等の汚濁物質を回収する手段として、気泡を利用した様々な汚濁物質除去装置が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2002−331285号公報)には、有機物入り水から有機廃棄材料を除去するための気泡分別式タンパク質スキマーが開示されている。この気泡分別式タンパク質スキマーは、有機廃棄材料を含むタンパク質入り気泡を収集するための気泡収集カップと流体的に連通する最上のど部を有する直立する反応室を具備しており、反応室はのど部から下方に遠い入口ポートと出口ポートとをそれぞれ有する上方に収斂する入口コンパートメントと下方に発散する出口コンパートメントと、そしてのど部の方へ上方に流れる中へ入る空気/タンパク質入り水混合物を、タンパク質を帯びる空気バブルの上方への反対流れを有する出口ポートへ下方に流れる外へ出る水の流れに、逆転させるための流れ逆転領域とに反応室を仕切るためにのど部の下で終了する最上部分を有する垂直に向けられたパーテションを備えており、空気バブルの上方への反対流れはのど部でタンパク質入り気泡を作るために流れ逆転領域で起こる気泡分別と組み合わされ、それにより外へ出る水の流れには中へ入る空気/タンパク質入り水混合物より少ないタンパク質が入って分別される。
また、特許文献2には、気泡発生装置から生成された気泡が液中を流れる速度を加速させて気泡の果たす作用の高効率化を図るため、液中に配設された気泡発生装置によって生じた気泡が、当該液中を浮上するのを加速させる装置であって、気泡発生装置の気泡放出部から放出された気泡の流れる経路を規制する筒体を備え、この筒体は、内壁に、上記気泡放出部からの気泡放出流を誘導する誘導板が突出形成され、この誘導板は、気泡放出流が衝突する位置に設けられ、気泡放出流が衝突したときに、その流れの方向を、気泡放出流の流れ力が気泡の浮上力に付加される方向に変換し、気泡が筒体内で加速されて移動する気泡の流れ加速装置が開示されている。
また、特許文献3には、飼育槽中の飼育水中に含まれる微細な懸濁物や水中に溶存している有機物を分離するための泡沫分離装置であって、飼育水槽からの被処理水である原水を下方側から流入管を介して流入する内筒と、該内筒内に微細な泡を発生させる空気を空気供給管を介して導入する散気管と、発生する微細な泡を開口から排出すると共に泡を分離した処理水を内筒の側壁に沿って下方側へ導く外筒とからなると共に、該外筒の開口部周囲の内側に堰を設け、開口周囲に泡排出通路を形成してなり、堰により気液分離し、堰を越えた泡を含んだ汚泡水を泡排出管を介して外部へ排出するようにした泡沫分離装置が開示されている。
特開2002−331285号公報
特開2003−340202号公報
特開2001−170617号公報
前記特許文献に記載されている装置は、流路の構造が複雑で大がかりなものになっている。また、回収効率が低いという問題がある。
そこで、本発明は、汚濁物質凝集筒中心に気柱形成防止材を設けて凝集効率を上げ、さらに凝集筒上部に汚濁物質除去羽根を設けて回収効率を上げることができる汚濁物質除去装置を提供するものである。
本発明は、汚濁物質を含んだ原水から気泡により汚濁物質を除去する汚濁物質除去装置において、筒状の外筒内の下部に形成された旋回流発生筒の上部に、この旋回流発生筒に連通する旋回流発生筒より小径の汚濁物質凝集筒と、この汚濁物質凝集筒と前記外筒の中間に設けられた中間筒と、前記外筒とが同心円状に三重に配置されて連続する流路が形成され、前記汚濁物質凝集筒内にはこの汚濁物質凝集筒の中心軸に一致して上下方向に汚濁物質凝集筒内を上昇する旋回流の中心に気柱が形成されるのを防止する棒状の気柱形成防止材が配置され、汚濁物質凝集筒の上部には汚濁物質凝集筒の中心軸方向に向かって等間隔で配置された複数枚の羽根からなる、汚濁物質を除去する汚濁物質除去羽根が設けられ、汚濁物質除去羽根の上部に汚濁物質除去羽根から上昇する泡を分離する泡分離筒が連設されていることを特徴とする。
本発明の汚濁物質除去装置は、汚濁物質凝集筒内に気柱形成防止材を設けることで、旋回流の中心にできる気柱の形成を妨げることができ、気泡が持つ凝集効果を損なうことなく、汚濁物質を効率的に凝集することができる。
本発明の汚濁物質除去装置は、汚濁物質凝集筒上方に汚濁物質除去羽根を設けることで、気泡によって凝集された汚濁物質を泡に吸着させた状態で効率的に回収することができる。
本発明の汚濁物質除去装置は、汚濁物質を泡に吸着させて回収するため、含水率を極めて低く抑えられる。
本発明の汚濁物質除去装置は、海水のみならず淡水中のタンパク質も回収できる。
本発明の汚濁物質除去装置は、飲食店の排水や工作機械のクーラント液から油を回収することができる。
本発明の汚濁物質除去装置の実施例について図面により説明する。
図1は本発明の汚濁物質除去装置の概略断面図、図2は同平面図である。図3は気泡混入装置の一例を示し、(a)は流入側の上面図、(b)は断面図、(c)は流出側の下面図である。
図1、図2において、本発明の汚濁物質除去装置1には、養魚水槽18(図4)などから排水されるタンパク質や汚物などの汚濁物質を含んだ原水が原水管2から送液手段であるポンプ3によって導入管4を経て導入される。原水には導入管4に配置された気泡混入装置5によって気泡が混入される。
図3に示すように気泡混入装置5としては、ポンプで加圧された原水と気体との導入部51と、この導入部51から原水と気体が導入され、導入された気体がマイクロバブルとして吐出水流中に分散される円筒状の気泡発生空間52を有する。導入部51の気泡発生空間側の端面に、原水を気泡発生空間52に導入する複数本の原水導入孔53を開口し、さらに、導入部51の側面の開口から挿入された気体導入管54によって形成されるとともに複数本の原水導入孔53に囲まれて形成された気体を気泡発生空間52に導入する気体導入孔55とを開口し、気体導入孔55と連通する気体導入管54に気体導入量を調整する調整弁56を設けたノズル等が使用できる。
図1、図2に戻って、汚濁物質除去装置1は、筒状の外筒6内の下部に旋回流発生筒7が形成されている。導入管4は、旋回流発生筒7の接線方向に接続され、原水が旋回流発生筒7内に接線方向に導入される。
旋回流発生筒7の上部には、旋回流発生筒7に連通する旋回流発生筒7より小径の汚濁物質凝集筒8、この汚濁物質凝集筒8と外筒6の中間に設けられた中間筒9、外筒6が同心円状に三重に配置されて連続した流路10,11が形成されている。
旋回流発生筒7に導入された気泡を含む原水は旋回流となって汚濁物質凝集筒8内を上昇し、汚濁物質が除去された液体は汚濁物質凝集筒8の上部で下向きの流れとなり汚濁物質凝集筒8と中間筒9の間の流路10を下降し、次いで中間筒9と外筒6の間の流路11を上昇して装置外に排水される。
汚濁物質凝集筒8内には中心軸に一致して上下方向に棒状の気柱形成防止材12が配置される。気柱形成防止材12は、汚濁物質凝集筒8内を上昇する旋回流の中心に気柱が形成されるのを防止するものである。汚濁物質凝集筒8へ送り込まれた、気泡を含む原水は旋回速度を増しながら上昇し、原水中の汚濁物質は気柱形成防止材12の表面に凝集された気泡に吸着する。仮に、気柱形成防止材12を設けないと、旋回流により汚濁物質凝集筒8の中心に気柱が形成され、気泡の持つ表面張力が消滅するため、汚濁物質の吸着が阻害されることになる。
汚濁物質凝集筒8の上部には、汚濁物質凝集筒8の中心軸方向に向かって等間隔で配置された複数枚の羽根からなる、汚濁物質を除去する汚濁物質除去羽根13が設けられている。汚濁物質除去羽根13の上部には、泡分離筒14が連設されている。汚濁物質を吸着した気泡は上方への流れと共に、旋回流を伴った状態で汚濁物質除去羽根13に衝突し、汚濁物質を吸着したまま大きな泡となって汚濁物質除去羽根13の間を抜けて泡分離筒14へと導かれる。なお、汚濁物質除去羽根13上部は、縮径している方が望ましい。なぜなら、汚濁物質を含んだ泡は、泡分離筒14の断面積が小さいほど泡の密度が高くなり、回収効率が上がるので、泡分離筒14の断面積を小さくするには自ずと汚濁物質除去羽根13の上部が縮径した形状となる。
汚濁物質が分離された液は、汚濁物質除去羽根13に衝突して下向きの流れとなり、汚濁物質除去羽根13の間を通り、汚濁物質凝集筒8と中間筒9の間の流路10を下降した後、中間筒9と外筒6の間の通路11を上昇し処理水出口15へと導かれる。
泡分離筒14へと導かれた汚濁物質を含んだ泡は、泡分離筒14の内面を泡立ちながら上昇していく。泡分離筒14の内面の泡は、泡分離筒14の上部を越流して汚濁物質回収部16へ流れ込む。
処理水出口15には回収量調整板16を設ける。回収量調整板16は、処理水出口15の開口面積を調整することで原水や汚濁物質に応じて汚濁物質除去羽根13の部分の水位を任意に調整し、汚濁物質の回収量を調整することができる。
図4は本発明の汚濁物質除去装置を養魚水槽に組み込んだ循環システムを示す図である。
図4において、本発明の汚濁物質除去装置1には、養魚水槽18から排水される汚濁物質を含んだ原水が原水管2からポンプ3によって排水され、原水には導入管4に配置された気泡混入装置5によって気泡が混入され、導入管4を経て本発明の汚濁物質除去装置1に導入される。汚濁物質除去装置1には、旋回流発生筒7の接線方向に接続された導入管4から原水が旋回流発生筒7内に接線方向に導入される。
導入された気泡を含む原水は旋回流となって旋回流発生筒7から汚濁物質凝集筒8内を上昇する。この時、原水中の気泡は汚濁物質凝集筒8内に配置された気柱形成防止材12の周囲を回っているので、旋回流の中心に気柱が形成されるのを防止することができる。旋回流となって上昇する気泡を含む原水は旋回速度を増すとともに、原水からは汚濁物質が気柱形成防止材12の周囲を回る気泡に吸着されていく。
汚濁物質を吸着した気泡は、旋回流を伴った状態で汚濁物質除去羽根13に衝突し、汚濁物質を吸着した大きな泡となって汚濁物質除去羽根13の間を抜けて泡分離筒14へ導かれる。
汚濁物質が分離された液は、汚濁物質除去羽根13に衝突して下向きの流れとなり、汚濁物質凝集筒8と中間筒9の間の流路10を下降した後、中間筒9と外筒6の間の通路11を上昇し処理水出口15へと導かれる。
泡分離筒14へと導かれた汚濁物質を含んだ泡は、泡分離筒14の内面を泡立ちながら上昇し、泡分離筒14の上部を越流して汚濁物質回収部16へ流れ込む。
1:汚濁物質除去装置 2:原水管
3:ポンプ 4:導入管
5:気泡混入装置 6:外筒
7:旋回流発生筒 8:汚濁物質凝集筒
9:中間筒 10:流路
11:流路 12:気柱形成防止材
13:汚濁物質除去羽根 14:泡分離筒
15:処理水出口 16:泡回収部
17:回収量調整板 18:養魚水槽
51:導入部 52:気泡発生空間
53:原水導入孔 54:気体導入管
55:気体導入孔 56:調整弁
3:ポンプ 4:導入管
5:気泡混入装置 6:外筒
7:旋回流発生筒 8:汚濁物質凝集筒
9:中間筒 10:流路
11:流路 12:気柱形成防止材
13:汚濁物質除去羽根 14:泡分離筒
15:処理水出口 16:泡回収部
17:回収量調整板 18:養魚水槽
51:導入部 52:気泡発生空間
53:原水導入孔 54:気体導入管
55:気体導入孔 56:調整弁
Claims (2)
- 汚濁物質を含んだ原水から気泡により汚濁物質を除去する汚濁物質除去装置において、
筒状の外筒内の下部に形成された旋回流発生筒の上部に、この旋回流発生筒に連通する旋回流発生筒より小径の汚濁物質凝集筒と、この汚濁物質凝集筒と前記外筒の中間に設けられた中間筒と、前記外筒とが同心円状に三重に配置されて連続する流路が形成され、
前記汚濁物質凝集筒内にはこの汚濁物質凝集筒の中心軸に一致して上下方向に汚濁物質凝集筒内を上昇する旋回流の中心に気柱が形成されるのを防止する棒状の気柱形成防止材が配置され、
汚濁物質凝集筒の上部には汚濁物質凝集筒の中心軸方向に向かって等間隔で配置された複数枚の羽根からなる、汚濁物質を除去する汚濁物質除去羽根が設けられ、
汚濁物質除去羽根の上部に汚濁物質除去羽根から上昇する泡を分離する泡分離筒が連設されていることを特徴とする汚濁物質除去装置。 - 前記流路の出口にこの出口の開口面積を調整する調整板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の汚濁物質除去装置。
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