以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)乃至図4(イ)(ロ)(ハ)は本発明の吊り天秤装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、左右水平方向に所要の長さ寸法延びる吊り天秤本体1の長手方向中間部の上側に、揚重機器による吊り上げ個所として、たとえば、図示しないクレーンのクレーンフック6に掛けるためのクレーンフック用ピース2を設ける。且つ上記吊り天秤本体1の長手方向一端部の下側に、吊荷7を吊り下げるための吊荷用ピース3を設けると共に、長手方向他端部に、所要の液体、たとえば、水5を貯留できるようにしてあるカウンタータンク4を取り付けて吊り天秤装置Iを構成する。これにより、上記クレーンフック用ピース2をクレーンフック6に掛けた状態にて、上記吊荷用ピース3に、吊荷7を吊りワイヤ8を介して連結すると共に、上記カウンタータンク4に、上記吊荷7の重量に釣り合わせて上記吊り天秤装置Iを長手方向に水平に保持できるようにするための所要重量の水5を貯留させた後、上記図示しないクレーンによるクレーンフック6の巻上げによって、上記吊荷7を、上記吊り天秤装置Iを介して、該吊荷7の重心位置を上記クレーンフック6の真下位置より偏心させた状態で吊り上げることができるようにしてある。
詳述すると、上記吊り天秤本体1は、左右方向に延びる前後1対のビーム材9の長手方向の所要の複数個所同士を、前後方向に延びる連結材10を介して連結したフレーム構造としてある。
又、上記クレーンフック用ピース2は、上記吊り天秤本体1における長手方向中央部よりも所要寸法一端部側へ寄った位置に設けるようにしてある。すなわち、上記クレーンフック用ピース2から吊り天秤装置Iの一端部に設けてある吊荷用ピース3までの距離に比して、クレーンフック用ピース2から吊り天秤装置Iの他端部に設けてあるカウンタータンク4までの距離の方が長くなるようにしてある。これにより、上記吊荷用ピース3にワイヤ8を介して吊荷7を連結した状態で、クレーンフック用ピース2に掛けたクレーンフック6を図示しないクレーンにより巻上げて、上記吊り天秤装置Iを介して吊荷7を吊り上げるときに、該吊荷7の重量と釣り合わせるために上記カウンタータンク4内へ貯留すべき水5の重量を、上記吊荷7の重量よりも軽くすることができるようにして、水5の使用量の削減化を図ると共に、上記カウンタータンク4の小型化を図ることができるようにしてある。
上記吊り天秤本体1における上記クレーンフック用ピース2よりも長手方向一端寄りの上側には、スラブ等のウェイト11が取り付けてある。これにより、吊荷用ピース3に何も吊っていない上記吊り天秤装置Iが空荷の状態のときには、該ウェイト11と空のカウンタータンク4の重量が釣り合うようにして、該空荷の吊り天秤装置Iを長手方向に水平な姿勢とすることができるようにしてある。
更に、上記吊り天秤本体1の他端部の下側には、上下方向に延びるタンク収納フレーム12の上端部を取り付けて、該タンク収納フレーム12の内側に、上記カウンタータンク4を収納して固定するようにしてある。
上記カウンタータンク4は、上下方向に延びる筒型、たとえば、円筒形状としてあり、下端部周壁の所要個所に、給水弁14付きの給水ノズル13を設けて、図示しない水の供給源より水5を導くための給水ラインを取り外し可能に接続してある。
更に、図2に示す如く、カウンタータンク4の下端部周壁の所要個所に、上記給水ノズル13よりも細い径の給水弁16付きの調整用給水ノズル15を設けて、図示しない水の供給源より水5を導くための別の給水ラインを取り外し可能に接続した構成としてもよい。このようにすれば、上記給水ノズル13と調整用給水ノズル15のうち、相対的に太径としてある上記給水ノズル13の給水弁14を先ず操作して、上記カウンタータンク4に貯留される水5の量が所望する貯留量の全量よりもやや少ない量に達するまで該給水ノズル13からの急速な水5の供給を行い、その後、上記給水ノズル13の給水弁14を閉じてから、上記調整用給水ノズル15の給水弁16の操作によって、より細径としてある該調整用給水ノズル15よりカウンタータンク4内への給水を徐々に行うことで、該カウンタータンク4に貯留される水5の量を所望する貯留量に正確に一致させることが容易にできるようになる。
又、図1(ロ)及び図2に示す如く、上記カウンタータンク4の下端部周壁の所要個所には、排水弁18付きの排水ノズル17を設けて、図示しない排水ラインが接続してある。なお、図2では、排水に要する時間の短縮化を図ることができるようにするために、カウンタータンク4の下端部周壁の2個所に上記排水ノズル17を設けた構成が示してある。
更に、上記カウンタータンク4の外周部の所要位置には、該カウンタータンク4に沿って上下方向に延び、下端側を上記カウンタータンク4の下端部に連通接続し、且つ上端が開放された透明管(透明ホース)による直視式のレベル計19が設けてある。これにより、たとえば、上記レベル計19の管内の水面の位置から、上記カウンタータンク4内に貯留されている水5の量を検出できるようにしてある。よって、該レベル計19に、目盛りとして、たとえば、上記カウンタータンク4内の水5の量を重量に換算した目盛を付しておくようにすれば、カウンタータンク4内に所望する重量の水5を容易に供給できるようになる。
上記カウンタータンク4の内側には、たとえば、合板製として該カウンタータンク4に貯留する水5の表面に浮かせて該水5の表面を覆うための落とし蓋形式のフロート蓋20が収納してある。
更に、上記フロート蓋20の上面側中央部には、上記カウンタータンク4の蓋4aの中心部に設けた貫通孔とその上側に取り付けた上下方向の短い筒状部材21の内側を挿通して上下方向に延びるロッド状あるいはパイプ状のフロート蓋ガイド22の下端部が、一体に取り付けてある。これにより、上記カウンタータンク4内に水5を供給すると、水面レベルに追従して上記フロート蓋20がカウンタータンク4内を上昇するようにすると共に、上記カウンタータンク4の蓋20に設けてある筒状部材21の内側にて上記フロート蓋ガイド22が上方へ移動するようにしてあり、その後、上記カウンタータンク4内の水5の量が吊荷7と釣り合わせるための所望重量となるように調整された時点で、上記カウンタータンク4の蓋4aにおけるフロート蓋ガイド22貫通部分に設けた所要のガイド固定装置、たとえば、上記筒状部材21の周壁面の所要個所(図では周方向等間隔の3個所)に穿設した図示しないねじ孔に外側から螺着させたガイド固定用ボルト23をねじ込むことで、該ガイド固定用ボルト23により上記筒状部材21に、その内側のフロート蓋ガイド22を固定して、該フロート蓋ガイド22を介してカウンタータンク4内におけるフロート蓋20の上下方向の位置を固定できるようにしてある。よって、カウンタータンク4内に所要量の水5を貯留した状態で上記のようにフロート蓋20の上下方向位置を固定することで、上記吊り天秤装置Iを図示しないクレーンのクレーンフック6に吊って移動させる際に、上記カウンタータンク4内の水面における波の発生を抑えて、カウンタータンク4内の水5の液体振動により吊り天秤装置Iに大きな揺れが発生する虞を未然に防止することができるようにしてある。
24はカウンタータンク4の内底部に所要寸法上方へ突出させて設けたフロート蓋下限ストッパであり、該フロート蓋下限ストッパ24の上側に上記フロート蓋20が接触する時点でカウンタータンク4内における該フロート蓋20の下降が制限されるようにすることで、上記フロート蓋20がカウンタータンク4の下端部周壁に設けてある給水ノズル13や調整用給水ノズル15のタンク内への突出部分と干渉しないようにしてある。なお、上記フロート蓋20の外周端部には、上記カウンタータンク4の内周面に摺動可能な図示しないシール兼緩衝材を設けて、フロート蓋20とカウンタータンク4の内周面との隙間をシールすると共に、該フロート蓋20とカウンタータンク4の周壁との衝突を緩衝することができるようにしてあるものとする。25はカウンタータンク4の蓋4aに設けた気抜孔、26は上記カウンタータンク4の蓋4aに設けた点検口である。
以上の構成としてある吊り天秤装置Iを使用する場合は、先ず、図3(イ)に示す如く、吊り天秤装置Iのクレーンフック用ピース2を、図示しないクレーンのクレーンフック6に掛ける。この際、上記カウンタータンク4は空にしておくことで、該吊り天秤装置Iが空荷の状態で長手方向に水平に保持されるようにしておく。
次に、上記図示しないクレーンにより上記吊り天秤装置Iを移動させて、図3(ロ)に示す如く、吊荷7の上方に吊荷用ピース3が位置するように配置した後、上記吊荷用ピース3に、上記吊荷7をワイヤ8を介して連結する。更に、上記カウンタータンク4の蓋部4aに設けた筒状部材21に取り付けてあるガイド固定用ボルト23を緩めた状態で、上記給水ノズル13の給水弁14と、調整用給水ノズル15の給水弁16(図2参照)をそれぞれ適宜操作して、図示しない給水ラインを経て供給される水5を、上記カウンタータンク4内へ、上記吊荷7の重量と釣り合いが取れる重量に達するまで供給する。この際、搬送対象となる吊荷7の重量が分かっている場合は、該吊荷7の重量、及び、上記吊り天秤装置Iにおけるクレーンフック用ピース2から吊荷用ピース3までの距離と、クレーンフック用ピース2からカウンタータンク4までの距離の比を基に、予め、吊荷7の重量と釣り合わせるために上記カウンタータンク4内へ貯留させるべき水5の必要重量を算出しておき、この算出値と、上記レベル計19によって検出されるカウンタータンク4内の水5の重量が一致する時点で、カウンタータンク4内への水5の供給を停止させるようにすればよい。
次いで、上記カウンタータンク4の蓋部4aの筒状部材21に取り付けてあるガイド固定用ボルト23を締めて、フロート蓋ガイド22を位置固定することで、カウンタータンク4内におけるフロート蓋20の上下方向位置を固定する。
その後、上記図示しないクレーンによりクレーンフック6の巻上げを行って、上記吊り天秤装置Iを介して吊荷7を吊り上げた後、該吊荷7を、目的場所、たとえば、図3(ハ)に示す如く、上方に障害物27が存在する所定位置の真上まで移動させる。
上記吊荷7が上記所定位置の真上に達したら、図4(イ)に示す如く、上記図示しないクレーンによりクレーンフック6を巻下げて吊荷7を上記所定位置に接地させる。
上記のようにして吊荷7を接地させた後は、図4(ロ)に示す如く、カウンタータンク4の蓋部4aに設けた筒状部材21に取り付けてあるガイド固定用ボルト23を緩めてから、排水ノズル17の排水弁18を操作してカウンタータンク4内の水5が空になるまで図示しない排水ラインへ排出する。このとき排水される水5は、外部の図示しないタンクに溜めておいて、上記吊り天秤装置Iにより別の吊荷を吊り上げる際に、上記カウンタータンク4へ再び供給することができるようにしてもよい。
しかる後、図4(ハ)に示す如く、上記吊荷7を吊荷用ピース3より取り外して、上記吊り天秤装置Iを空荷の初期状態に戻した後、該空荷となった吊り天秤装置Iを、上記図示しないクレーンの操作により次の吊荷の位置まで移動させるようにする。
なお、上方に障害物が存在する個所からの吊荷の搬出も、上記と同様の手順によって行うことができる。
このように、本発明の吊り天秤装置Iによれば、上方に障害物27がある目的場所に対しても吊荷7の搬入、搬出を行うことができる。
しかも、重量物の吊荷7を搬送する場合であっても、カウンタータンク4内に水5を供給するという簡単な操作によって、カウンタータンク4内に貯留される水5の重量を、該吊荷7の重量と釣り合わせることができる。このために、特許文献1に示されたような従来の天秤方式の吊り治具aを用いて重量物の吊荷7を搬送しようとする場合に必要とされるような大重量のカウンターウェイトを不要にできる。よって、大重量のカウンターウェイトを製造したり、搬送するためのコストや労力を不要にすることができる。
更に、上記吊り天秤装置Iに吊荷7を新たに吊る場合は、上記カウンタータンク4内へ水5を上記吊荷7の重量と釣り合う重量になるまで注入することによって該吊り天秤装置Iを長手方向に水平な姿勢とさせることができる。一方、吊荷7を目的個所まで搬送して、該吊荷7を降ろした後は、上記カウンタータンク4内の水5を排出することで、空荷の吊り天秤装置Iを水平姿勢に回復させることができる。上記カウンタータンク4への水5の注入と排出は、給水ノズル13及び調整用給水ノズル15に接続してある図示しない給水ラインや、排水ノズル17に接続してある図示しない排水ラインを通じた水5の給排水によって容易に行うことができる。よって、吊荷7を搬送するたびに重量物となるカウンターウェイトを取り扱う必要をなくすことができて、空荷の状態と吊荷7を吊った状態いずれの場合にも、吊り天秤装置Iを水平な姿勢に容易に保持させることができる。
又、上記吊り天秤装置Iは、カウンタータンク4を空にした状態で使用する現場へ搬送すればよいため、現場への搬送性の高いものとすることができる。又、上記カウンタータンク4内に貯留する液体としては、各種工場設備等、上記吊り天秤装置Iを使用する現場で容易に調達可能な水5を用いるようにしてあるため、該水5の搬送の手間及び労力を省くことができる。
更に、上記カウンタータンク4内における水5の貯留量を適宜調整することで、吊り天秤装置Iを長手方向に多少傾けた状態でバランスさせることが可能になる。そのために、上記カウンタータンク4内の水5の貯留量の調整によって、クレーンの操作を要することなく吊荷7の高さ位置を多少調整することが可能になる。したがって、吊荷7の搬送経路の上側や下側に障害物が在る場合に、上記のようにカウンタータンク4内の水5の貯留量の調整を介して吊荷7の高さ位置を調整することで、障害物を迂回させたり、吊荷7の上下方向の位置調整を行うことも可能になる。
次に、図5(イ)(ロ)及び図7(イ)(ロ)(ハ)は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)乃至図4(イ)(ロ)(ハ)に示したと同様の吊り天秤装置Iにおいて、吊荷7を吊ったり、降ろしたりするごとに、その都度、吊り天秤装置Iが長手方向に水平となるように、カウンタータンク4内へ外部から水5を供給したり、カウンタータンク4内の水5を外部へ排出するようにしてある構成に代えて、空荷の状態及び吊荷7を吊った状態のいずれの場合でも、外部との水5の給排水を行うことなく、長手方向の水平姿勢を自動的に保つことができる構成の吊り天秤装置IIとしたものである。
具体的には、上記吊り天秤装置IIは、図5(イ)(ロ)に示す如く、図1(イ)(ロ)及び図2に示したものと同様に、左右方向に延びる吊り天秤本体1の長手方向中間部の上側にクレーンフック用ピース2を設け、且つ長手方向一端部の下側に吊荷用ピース3を設けると共に、長手方向他端部の下側に取り付けたタンク収納フレーム12の内側にカウンタータンク4を設けてなる構成において、上記吊り天秤本体1の一端部に、上記カウンタータンク4との間で水5を出し入れするためのリザーブタンク28を設ける。具体的には、たとえば、上記吊り天秤本体1の一端部における吊荷用ピース3の上方位置となるフレーム構造内部に、上記リザーブタンク28を内蔵させるように設ける。
上記リザーブタンク28の底部には、水出口28aを設けて、該水出口28aに、上記カウンタータンク4の下端部周壁に設けたカウンタータンク給水ノズル29を、電動式の給水側自動遮断弁31を備えたカウンタータンク給液管としてのカウンタータンク給水管30を介して接続する。これにより、上記給水側自動遮断弁31を開操作すると、上記吊り天秤本体1の一端部に内蔵させてある該リザーブタンク28の方が、吊り天秤本体1の他端部の下側に配設してあるカウンタータンク4よりも高所位置に設けてあるため、両タンク28と4の高低差に基づいて、上記リザーブタンク28内の水5を、カウンタータンク給水管30を経て上記カウンタータンク4へ移動(供給)させることができるようにしてある。
又、上記リザーブタンク28の頂部には、水入口28bを設けて、上記カウンタータンク4の底部に設けたカウンタータンク排水ノズル32に、上記リザーブタンク28の水入口28bを、上流側より排出ポンプとしての排水ポンプ34と排水側逆止弁35を順に備えたカウンタータンク排液管としてのカウンタータンク排水管33を介して接続する。これにより、上記排水ポンプ34を運転することで、上記カウンタータンク4内の水5を、上記カウンタータンク排水管33を経てリザーブタンク28へ移動させる(戻す)ことができるようにしてある。
更に、吊り天秤装置IIの所要個所に、該吊り天秤装置IIの長手方向に沿う傾斜を検出するための傾斜計測機器、たとえば、一軸傾斜センサー等の傾斜センサー36を設けると共に、上記傾斜センサー36による吊り天秤装置IIの長手方向の傾斜の検出結果に応じて、上記カウンタータンク給水管30上の給水側自動遮断弁31と、カウンタータンク排水管33上の排水ポンプ34へ指令を与える制御盤37を設ける。更に又、上記吊り天秤装置IIの所要個所に、上記制御盤37及び給水側自動遮断弁31と排水ポンプ34への制御用及び動力用の電力を供給するためのバッテリー38を設けた構成とする。図5(イ)(ロ)では、一例として、上記傾斜センサー36と制御盤37とバッテリー38を、いずれもタンク収納フレーム12の外側面部に取り付けた構成が示してある。
ここで、上記制御盤37について詳述すると、該制御盤37は、上記傾斜センサー36により、吊り天秤装置IIの長手方向の傾斜が検出されない場合は、上記カウンタータンク給水管30上の給水側自動遮断弁31を閉状態とし、且つカウンタータンク排水管33上の排水ポンプ34を停止状態とさせるようにしてある。
又、上記傾斜センサー36により、吊り天秤装置IIにおける吊荷用ピース3が設けてある長手方向一端部側が、カウンタータンク4が設けてある長手方向他端部側よりも低くなる傾斜が検出されると、上記制御盤37は、該傾斜が検出されている間、上記カウンタータンク給水管30上の給水側自動遮断弁31に開操作の指令を与えて、吊り天秤装置IIの長手方向一端部に設けてある上記リザーブタンク28内の水5を、カウンタータンク給水管30を経て、吊り天秤装置IIの長手方向他端側に設けてあるカウンタータンク4へ移動させるようにしてある。これにより、上記吊り天秤装置IIでは、上記クレーンフック用ピース2を挟んで長手方向一端部側の重量を減少させると同時に、長手方向他端部側の重量を増加させることで、該吊り天秤装置IIの長手方向に生じた上記傾斜を自動的に解消させることができるようにしてある。
一方、上記傾斜センサー36により、吊り天秤装置IIの吊荷用ピース3が設けてある長手方向一端部側が、カウンタータンク4が設けてある長手方向他端部側よりも高くなる傾斜が検出されると、上記制御盤37は、該傾斜が検出されている間、上記カウンタータンク排水管33上の排水ポンプ34に運転指令を与えて、吊り天秤装置IIの長手方向他端側のカウンタータンク4内の水5を、上記排水ポンプ34の運転によりカウンタータンク排水管33を経て、吊り天秤装置IIの長手方向一端部に設けてある上記リザーブタンク28へ移動させるようにしてある。これにより、上記吊り天秤装置IIでは、上記クレーンフック用ピース2を挟んで長手方向他端部側の重量を減少させると同時に、長手方向一端部側の重量を増加させることで、該吊り天秤装置IIの長手方向に生じた上記傾斜を自動的に解消させることができるようにしてある。
更に、上記制御盤37は、上記傾斜センサー36の検出結果に応じた上記給水側自動遮断弁31と排水ポンプ34の自動制御を行う運転の入り、切り操作を、該制御盤37の直接操作、更には、無線等による遠隔操作により行うことができるようにしてある。これにより、図示しないクレーンにより上記吊り天秤装置IIを搬送させる間は、上記制御盤37による自動制御運転を切ることで、該吊り天秤装置IIの搬送の途中で、該吊り天秤装置IIに長手方向に傾斜するような揺れが生じても、不必要な制御動作が生じる虞を未然に防止できるようにしてあり、上記した如きリザーブタンク28とカウンタータンク4との間での水5の移動が生じないようにして、上記吊り天秤装置IIの長手方向の一端部側と他端部側の重量バランスが変化しないようにしてある。
更に又、上記カウンタータンク4の蓋4aの中央部に設けてカウンタータンク4内のフロート蓋20に取り付けたフロート蓋ガイド22を挿通させるようにしてある筒状部材21には、上記制御盤37の自動制御運転が入り操作されているときには上記フロート蓋ガイド22の上下方向の変位を許容する一方、上記制御盤37の自動制御運転が切り操作されている間は、上記フロート蓋ガイド22を上下方向の変位を自動で固定できるようにしてあるガイド固定装置39を取り付ける。このようにすれば、上記操作盤37の自動制御運転を入り操作した状態で上記吊り天秤装置IIの長手方向に生じる傾斜を解消させるべくリザーブタンク28とカウンタータンク4との間で水5の移動を行う間は、上記フロート蓋20を、カウンタータンク4内の水面レベルの変化に追従して上下方向に移動させることができる。一方、上記制御盤37の自動制御運転を切り操作した状態で、図示しないクレーンにより上記吊り天秤装置IIを移動させる際には、上記ガイド固定装置39によるフロート蓋ガイド22の固定を介して、上記フロート蓋20のカウンタータンク4内における上下方向位置を固定できることから、上記吊り天秤装置IIの移動時に上記カウンタータンク4内の水面における波の発生を抑えて、液体振動により吊り天秤装置IIに大きな揺れが発生する虞を未然に防止することができるようにしてある。
上記カウンタータンク給水管30の途中位置、たとえば、給水側自動遮断弁31の下流側近傍位置には、給水側発電機40を設けて、上記給水側自動遮断弁31の開操作時に、上記リザーブタンク28よりカウンタータンク4へ上記カウンタータンク給水管30を通して移動する水5の水流を利用して該給水側発電機40で発電を行い、該発電された電力により上記バッテリー38を充電できるようにすることが望ましい。このようにすれば、上記バッテリー38の外部電力による充電サイクルを長くすることが可能になる。
更に、上記吊り天秤装置IIは、クレーンフック用ピース2が設けてある長手方向中間部のユニットIIaと、吊荷用ピース3及びリザーブタンク28が設けてある長手方向一端部のユニットIIbと、カウンタータンク4が設けてある長手方向他端部のユニットIIcに分割可能な分割構造としてある。
具体的には、フレーム構造としてある上記吊り天秤本体1における左右方向に延びる前後1対のビーム材9を、クレーンフック用ピース2の取付位置と対応する長手方向中間部と、吊荷用ピース3及びリザーブタンク28の取付位置と対応する長手方向一端部との間の所要個所で切断すると共に、上記クレーンフック用ピース2の取付位置と対応する長手方向中間部と、カウンタータンク4を収納してなるタンク収納フレーム12の取付位置と対応する長手方向他端部との間の所要位置で切断して、上記吊り天秤装置IIを、吊り天秤本体1の長手方向一端側から順に一端部ユニットIIbと中間部ユニットIIaと他端部ユニットIIcに3分割する。
上記各ユニットIIa,IIb,IIcを形成すべく切断された上記ビーム材9の各切断端部と対応する該各ユニットIIa,IIb,IIc同士の突合せ端部には、それぞれフランジ41を一体に設けて、たとえば、図5(イ)(ロ)における中間部ユニットIIaと一端部ユニットIIbとの間に示すように、各ユニットIIa,IIb,IIc間で対向するフランジ41同士をボルト42を介して直接連結すると共に、該連結部を左右方向に跨ぐ添接板43を上下両側よりボルト42止めすることで、上記各ユニットIIa,IIb,IIc同士(図では中間部ユニットIIaと一端部ユニットIIb)を取り外し可能に接合できるようにしてある。
更に、上記一端部と中間部と他端部の各ユニットIIa,IIb,IIcは、たとえば、図5(イ)(ロ)における中間部ユニットIIaと他端部ユニットIIcとの間に示すように、左右方向に所要寸法延び且つ長手方向両端部に上記と同様のフランジ41を設けてなる延長部材としての延長用ビーム材9aを介在させるように配置した状態で、該延長用ビーム材9aの両端部のフランジ41を、その両側に配置されるユニットIIa,IIb,IIc(図では中間部ユニットIIaと他端部ユニットIIc)のフランジ41に、上記と同様にボルト42と添接板43を用いて連結することができるようにしてある。よって、上記各ユニットIIa,IIb,IIc間に延長用ビーム材9aを介在させて連結することで、上記中間部ユニットIIaに設けてあるクレーンフック用ピース2と、一端部ユニットIIbに設けてある吊荷用ピース3及びリザーブタンク28との距離、及び、上記クレーンフック用ピース2と、他端部ユニットIIcに設けてあるカウンタータンク4との距離を、それぞれ延長できるようにしてある。しかも、介在させる延長用ビーム材9aの長さ寸法や連結個数を変更することで、上記中間部ユニットIIaに設けてあるクレーンフック用ピース2と、一端部ユニットIIbに設けてある吊荷用ピース3及びリザーブタンク28との距離の延長量、及び、上記クレーンフック用ピース2と、他端部ユニットIIcに設けてあるカウンタータンク4との距離の延長量を、自在に変更できるようにしてある。
以上のような分割構造としてあることにより、上記吊り天秤装置IIは、使用する現場へ各ユニットIIa,IIb,IIcに分解した状態で搬入することで、搬送性を更に向上させることができるようにしてある。又、該吊り天秤装置IIを組立てるときに各ユニットIIa,IIb,IIc間に延長用ビーム材9aを介在させるか否か、又、介在させる場合には、介在させる延長用ビーム材9aの長さ寸法や連結個数を適宜調整することで、吊り荷重及び現場の取り合いに最適な吊り天秤装置IIの長さを自在に選択することができるようにしてある。更には、上記中間部ユニットIIaと一端部ユニットIIbとの間に比して、中間部ユニットIIaと他端部ユニットIIcとの間に長さ寸法が長い延長用ビーム材9aを介在させて連結したり、より多い個数の延長用ビーム材9aを介在させて連結する等して、上記クレーンフック用ピース2から吊荷用ピース3までの距離に比して、クレーンフック用ピース2からカウンタータンク4までの距離を長く設定することにより、リザーブタンク28に収納可能な限定された容量の水5によっても、上記吊荷用ピース3に吊る大重量の吊荷と釣り合いを取らせることが可能になるようにしてある。
又、上記中間部ユニットIIaと一端部ユニットIIbとの間に長さ寸法が長い延長用ビーム材9aを介在させて連結したり、複数の延長用ビーム材9aを介在させて連結する等して、上記クレーンフック用ピース2から吊荷用ピース3までの距離を長く設定するようにすれば、吊荷7を、上方に障害物27ある個所の奥まで送り込むことが可能になることから、上記吊り天秤装置IIの使用範囲を広げることが可能になる。
なお、上記のように吊り天秤本体1のビーム材9を分割構造とすることに対応して、上記カウンタータンク給水管30及びカウンタータンク排水管33も、上記吊り天秤装置IIの各ユニットIIa,IIb,IIcごとの分割位置に対応する位置でそれぞれ分割した分割構造とすると共に、該各分割された管端部同士を取り外し可能にフランジ接合できる構成としてある。更には、図5における上記吊り天秤装置IIの中間部ユニットIIaと他端部ユニットIIcとの間に示すように、該吊り天秤装置IIの各ユニットIIa,IIb,IIc同士を延長用ビーム材9aを介在させて連結する部分では、カウンタータンク給水管30及びカウンタータンク排水管33の分割された管端部同士の間に、上記延長用ビーム材9aに対応する長さ寸法の延長管30a,33aをそれぞれ介在させて連結することで、該カウンタータンク給水管30及びカウンタータンク排水管33の長さ寸法をそれぞれ延長できるようにしてある。
44は上記リザーブタンク28の頂部に設けた補給水ノズルであり、上記吊り天秤装置IIを現場へ搬入して使用を開始するときや、リザーブタンク28及びカウンタータンク4に貯留されている水5の総量が何等かの原因により減少した場合は、上記補給水ノズル44に図示しない水5の供給源より水を導くラインを接続して、該補給水ノズル44よりリザーブタンク28へ所要量の水5を供給できるようにしてある。45は上記リザーブタンク28の頂部に設けた気抜孔、46はリザーブタンクの頂部に設けた点検口、47はカウンタータンク4の底部に設けた水抜ノズルである。その他の構成は図1(イ)(ロ)及び図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
以上の構成としてある本実施の形態の吊り天秤装置IIを使用する場合は、先ず、図5(イ)(ロ)に示す如く、上記吊り天秤装置IIの各ユニットIIa,IIb,IIcを組み立てた状態で、図6(イ)に示す如く、クレーンフック用ピース2を、図示しないクレーンのクレーンフック6に掛けて、該吊り天秤装置IIを空荷の状態で水平に保持させる。この際、吊り天秤装置IIの他端部に設けてあるカウンタータンク4の重量との釣り合いを取るために、多くの水5がリザーブタンク28に貯留された状態となる。
次に、該吊り天秤装置IIを、図6(ロ)に示す如く、吊荷7の上方に吊荷用ピース3が位置するように配置した後、該吊荷用ピース3に、上記吊荷7をワイヤ8を介して連結する。
次いで、図6(ハ)に示す如く、上記図示しないクレーンによりクレーンフック6の巻上げを行って、上記吊り天秤装置IIを徐々に上昇させると、上記6(イ)のように空荷状態で水平姿勢となるよう長手方向一端部側と他端部側の釣り合いが取られていた吊り天秤装置IIの長手方向一端部の吊荷用ピース3に、上記吊荷7の荷重が作用するようになることから、該吊り天秤装置IIは、長手方向における一端側が他端側よりも低くなるように傾斜させられる。このように吊り天秤装置IIが傾斜して、該傾斜が傾斜センサー36により検出されると、上記制御盤37より給水側自動遮断弁31に開操作指令が発せられて(図5(イ)(ロ)参照)、上記リザーブタンク28内の水5が自動的にカウンタータンク4へ供給されるようになる。このため、上記吊り天秤装置IIでは、長手方向一端部に作用している上記吊荷7の荷重に釣り合うようにカウンタータンク4内の水5の重量が増加させられるようになる。
その後、上記クレーンによるクレーンフック6の巻上げを継続して行うと、図6(ニ)に示す如く、上記吊荷用ピース3にワイヤ8を介して連結してある吊荷7が地切りされた状態で、且つ該吊荷7の重量と上記カウンタータンク4内の水5の重量が釣り合って上記吊り天秤装置IIが長手方向に水平な姿勢に復帰した時点で、上記傾斜センサー36により該吊り天秤装置IIの傾斜が検出されなくなることから、上記制御盤37から給水側自動遮断弁31への開操作指令の発信が停止されて、上記リザーブタンク28からカウンタータンク4への水5の供給が自動的に停止される。
上記のようにして吊荷7が地切りされた後は、上記制御盤37の直接操作あるいは遠隔操作により該制御盤37の自動制御運転を切ってから、上記図示しないクレーンにより上記吊り天秤装置IIと共に吊荷7を移動させて、図7(イ)に示すように、上記吊荷7を、目的場所となる上方に障害物27が存在する所定位置の真上まで移動させる。
次に、上記制御盤37の直接操作あるいは遠隔操作により該制御盤37の自動制御運転を入れた状態としてから、上記図示しないクレーンによるクレーンフック6の巻下げを徐々に行って、上記吊り天秤装置IIを下降させて上記吊荷7を上記所定位置に接地させる。
この状態で、上記クレーンによるクレーンフック6の巻下げを継続して行って、上記吊り天秤装置IIを徐々に下降させると、上記図7(イ)のように吊荷7を吊った状態で水平姿勢となるよう長手方向一端部側と他端部側の釣り合いが取られていた吊り天秤装置IIの長手方向一端部の吊荷用ピース3にかかっていた上記吊荷7の荷重が作用しなくなることから、図7(ロ)に示す如く、該吊り天秤装置IIが、長手方向一端側が他端側よりも高くなるように傾斜させられるようになる。このように吊り天秤装置IIが傾斜して、該傾斜が傾斜センサー36により検出されると、上記制御盤37より排水ポンプ34に運転指令が発せられて(図5(イ)(ロ)参照)、上記カウンタータンク4内の水5が自動的にリザーブタンク28へ送られるようになる。
その後、図7(ハ)に示すように、上記吊り天秤装置IIの一端部の吊荷用ピース3と上記吊荷7を連結しているワイヤ8のテンションが抜けて、上記吊荷用ピース3に上記吊荷7の荷重が全く作用しなくなった状態の下で、上記吊り天秤装置IIが単独で長手方向一端側と他端側の重量が釣り合って該吊り天秤装置IIが長手方向に水平な姿勢まで復帰した時点で、上記傾斜センサー36により該吊り天秤装置IIの傾斜が検出されなくなることから、上記制御盤37から排水ポンプ34への運転指令の発信が停止されて、上記カウンタータンク4からリザーブタンク28への水5の移動が自動的に停止される。
よって、その後は、上記吊荷用ピース3に吊荷7を連結していたワイヤ8を取り外してから、空荷となった上記吊り天秤装置IIを、上記図示しないクレーンによって吊り上げて、次の吊荷の位置まで移動させるようにする。
なお、上方に障害物が存在する個所からの吊荷の搬出も同様の手順によって行うことができる。
このように、本実施の形態の吊り天秤装置IIによれば、上記実施の形態と同様に、上方に障害物27がある個所に対しても吊荷7の搬入、搬出を行うことができ、しかも、上記吊荷7が重量物の場合であっても、大重量のカウンターウェイトを不要にできて、大重量のカウンターウェイトを製造したり、搬送するためのコストや労力を不要にすることができる。
又、上記吊り天秤装置IIは、リザーブタンク28及びカウンタータンク4をいずれも空にした状態で使用する現場へ搬送した後、各種工場設備等、上記吊り天秤装置IIを使用する現場で所要量の水5を調達して上記リザーブタンク28とカウンタータンク4へ注入するようにすればよく、更には、長手方向一端部側と中間部と他端部側の3つのユニットIIa,IIb,IIcに分割可能な分割構造としてあるため、現場への搬送性の更なる向上化を図ることができる。
しかも、上記吊り天秤装置IIは、空荷の状態、及び、様々な重量の吊荷を吊った状態でも、外部より水5を給排水することなく自動的に水平姿勢を保持するようにしてあることから、吊荷の搬送作業時の給水、排水作業を不要にできて、吊荷の搬送作業に要する手間及び労力を大幅に削減することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、カウンタータンク4は、角筒型やその他の円筒形状以外の形状のものとしてもよい。
吊荷の重量と釣り合わせるためにカウンタータンク4内へ貯留する所要の液体としては、該液体の比重が大きい程、吊荷7と釣り合わせるための所要重量の液体を貯留するためにカウンタータンク4に必要とされる容積を小さくするのに有効である。又、現場での調達の容易性や、通常環境での取り扱い、処分の容易性、安定性等を考慮すると水5を使用することが望ましいが、吊り天秤装置I,IIを使用するときの周辺環境に応じて水5以外の液体を使用するようにしてもよい。
吊り天秤本体1は、長手方向中間部を、クレーンやその他の各種揚重機器によって吊り上げることができるようにしてあれば、クレーンフック用ピース2以外の締結具を備えた構成としてよく、更には、上記各種揚重機器側の吊具や索状物を吊り天秤本体1の長手方向中間部の所要個所に直接引っ掛けることができれば、締結具を省略した構成としてもよい。又、吊り天秤本体1は、長手方向の一端部に吊荷7を吊り下げることができるようにしてあれば、吊荷用ピース3以外のいかなる形式の吊荷7用の吊具を備えた形式としてもよく、更には、吊り天秤本体1の一端部所要個所に吊荷7を吊り下げるため索状物等を直接引っ掛けることができるようにする等して、吊具を省略した構成としてもよい。
更に、上記吊り天秤本体1は、長手方向中央部を揚重機器によって吊り上げることができ、長手方向一端部に吊荷7を吊り下げることができ、且つ長手方向他端部にカウンタータンク4を取り付けることが可能な構成としてあれば、たとえば、吊り天秤本体1を構成しているビーム材9や連結材10の数や配置を変更したり、フレーム構造以外の構造を採用したり、揚重機器による吊り上げ位置や吊荷7の吊り下げ位置を長手方向に多少変更したり、カウンタータンク4の取付構造を変更する等、図示した構成以外の構成のものとしてもよい。
ガイド固定装置は、フロート蓋20に取り付けたフロート蓋ガイド22の上下方向への変位を拘束して、カウンタータンク4内でのフロート蓋20の上下移動を固定できるようにしてあれば、いかなる機構を採用してもよい。
吊荷7は重量物に限定されるものではない。
図5(イ)(ロ)乃至図7(イ)(ロ)(ハ)の実施の形態では、リザーブタンク28を、図示した形状以外の形状としてもよい。又、エネルギーの有効利用という観点からすると、カウンタータンク給水管30に給水側発電機40を設けることが望ましいが、給水側発電機40を省略した構成としてもよい。更に、必要となる動力を低減させるという観点からすると、リザーブタンク28をカウンタータンク4よりも高所に設けて、リザーブタンク28からカウンタータンク4への水5の移動を両タンク28と4の高低差によって行わせるようにすることが望ましいが、カウンタータンク給水管30に給水側自動遮断弁31に代えて給水ポンプを設けて、リザーブタンク28からカウンタータンク4への水5の移動を強制的に行わせるようにしてもよい。このようにすれば、上記リザーブタンク28とカウンタータンク4の配置や、カウンタータンク給水管30の配管経路の自由度を高めることが可能になる。
吊り天秤装置IIの長手方向に沿う傾斜を検出するための傾斜計測機器として、一軸傾斜センサー等の傾斜センサー36を例示したが、上記吊り天秤装置IIの長手方向の傾斜を検出することができれば、いかなる形式の傾斜計測機器を採用してもよい。
図1(イ)(ロ)乃至図4(イ)(ロ)(ハ)の実施の形態における吊り天秤装置Iを、図5(イ)(ロ)乃至図7(イ)(ロ)(ハ)の実施の形態の吊り天秤装置IIと同様の分割構造としてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。