JP4700466B2 - 連続鋳造装置および流速測定方法 - Google Patents

連続鋳造装置および流速測定方法 Download PDF

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Description

本発明は,連続鋳造装置,流速測定方法にかかり,例えば,鋼の連続鋳造の鋳型において,溶鋼の流速を検出する流速測定部を備えた連続鋳造装置,流速測定方法に関する。
一般に,鋼の連続鋳造は,注入ノズルを介して水冷の鋳型内に溶鋼を注入し,モールドパウダーと称される潤滑剤と鋳型の振動により溶鋼を潤滑しながら連続的に凝固・引き抜いて実施される。
例えば,鋳型が1対の水冷長辺と1対の水冷短辺で構成される場合,注入ノズルによって注入された溶鋼は,水冷短辺側の面(以下,短辺面と言う。)に衝突し,溶鋼プール内でメニスカス(湯面)に向かう流れと,溶鋼プール下方に向かう流れの2つに分岐される。この2つの吐出口からの上下の流れは,水冷長辺側の面(以下,長辺面と言う。)から見ると4つの大きな渦を形成している。
鋼の連続鋳造において,上記溶鋼の流れは,溶鋼中に含まれる非金属介在物の流れを支配しており,この溶鋼の流れ自体,重要な制御対象である。上記溶鋼の流れが,凝固シェルに捕捉される位置によって,鋳片表面のキズの原因となったり,あるいは鋳片の内部に不純物が運ばれて欠陥を生じたりする。
特に,上記の流れの内,長辺面側から見た左右非対称の流れは偏流と呼ばれ,鋳片の内部への介在物の侵入量や大きさを増したり,あるいはメニスカス部の流速が片側で大きくなることにより,メニスカスに潤滑剤として存在するパウダーを巻き込み,鋳片内部に輸送する等の問題を生む原因となる。従って,従来より偏流の検出と制御が必要とされている。
従来から,メニスカスの短辺面側の上昇流がメニスカスに到達した際に生ずるメニスカスの盛り上がりを左右で測定し,運動エネルギーを位置エネルギーと等しいとして偏流を算出する方法や,歪みゲージを漬けた耐火物棒で構成される流速測定部を直接溶鋼に浸漬する方法,さらには,鋳型の銅板に埋設した熱電対の温度差から流動のアンバランスを逆算する方法等が検出手段として知られている。
また,交流磁場を利用して溶鋼の流速を検出する技術も開発されている(例えば,特許文献1)。
特開2002―336945号公報
上記の従来技術におけるメニスカスの盛り上がりを測定する方法や流速を直接測定する方法は,メニスカスの流動の左右アンバランスを知ることは可能としても,鋳片の内部欠陥にかかわる下降流を直接知り得る手段とはならない。
また,熱電対による方法は,メニスカスのみではなく比較的下方の情報を得ることができるが,溶鋼がメニスカスより下降するにつれて凝固シェルが鋳型と乖離し,その接触状態が常時変化するので,溶鋼の流れを正確に把握し難いという問題があった。さらに,より根本的な問題として,メニスカスから下降するに従って凝固シェルが次第に厚くなり,溶鋼との接触が要求される方法では流速を測定できないという問題があった。
本発明は,従来の溶鋼の流速検出が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,凝固シェルの厚みによる,溶鋼の流速検出精度が悪化するという弊害を回避し,溶鋼の流速測定精度を高めることが可能な,新規かつ改良された連続鋳造装置,流速測定方法を提供することである。
上記課題を解決するために,本発明によれば,1対の水冷長辺と,上記1対の水冷長辺に狭持され上記1対の水冷長辺と平行に移動して鋳造幅を調整可能な1対の水冷短辺と,上記1対の水冷長辺と1対の水冷短辺とによって形成される鋳造空間内に溶鋼を注入する注入ノズルと,からなる鋳型を備えた連続鋳造装置であって,交流磁場を生成する1次コイルと,中心軸が上記1次コイルと直交し,上記1次コイルによる磁場と上記溶鋼の流動とによって生じる磁場を測定する2次コイルと,からなり,上記水冷短辺のメニスカスから150mm以上の位置の外側面に固定される溶鋼の流速測定部を備え,
Cu/δCu+dFe/δFe≦1
(ここで,δCu:銅板の表皮深さ[m],
δFe:鋼の表皮深さ[m])
および,
f≦1/{πμ((√σ Cu )d Cu +(√σ Fe )d Fe
(ここで,d Cu :鋳型銅板厚み[m],
Fe =k√(H/v ):凝固シェル厚み[m]
σ Cu :鋳型銅板の電気伝導度[S/m],
σ Fe :鋼の電気伝導度[S/m],
H:メニスカス(湯面)から流速測定部の高さ中心までの鉛直距離[m],
:鋳造速度[m/min],
k:凝固定数[m/min 1/2 ],
μ:透磁率[H/m]である。)
によって求められる上記1次コイルに流す交流電流の周波数f[Hz]を、
σ Cu =10 ,σ Fe =0.7×10 ,d Cu =0.03,d Fe =0.01の値を用いて、23.8[Hz]以下とすることで、上記水冷短辺および凝固シェルの内側にある溶鋼プール内の流速を測定することを特徴とする,連続鋳造装置が提供される。
かかる構成により,上記一対の水冷短辺の内側に流れる溶鋼の流速(流動速度)を高精度かつ細かい分解能で検出することが可能となる。
またかかる構成により,流速検出に適した交流電流の周波数fを導出することが可能となる。
上記流速測定部は,上記1対の水冷短辺の外側面にそれぞれ固定されるとしても良い。かかる構成により,長辺面から見た左右の流動を総合的に観測することができ,左右の偏流,アンバランス等を検出し,より正確な溶鋼の流動制御を実施できる。
また,上記課題を解決するために,本発明によれば,上記連続鋳造装置を用いて,鋳型内を流動する溶鋼の流速を測定する流速測定方法であって,上記鋳型の外側面において,交流磁場を生成し,上記交流磁場と上記溶鋼の流動とによって生じる磁場を測定することを特徴とする,流速測定方法が提供される。
また,上記連続鋳造装置に設けられる流速測定部を単独の装置として提供することもできる。
以上説明したように本発明によれば,凝固シェルの厚みによって,測定対象としての溶鋼まで離隔し,その溶鋼の流速を正確に測定できない,という弊害を回避でき,溶鋼の流速測定精度を高め,偏流等の鋳片内部状態を正確に把握し,鋳片に欠陥が生じる可能性があるかどうかを予測でき,また,流動制御によって鋳片の品質の改善が可能となる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態:連続鋳造装置における流速測定部の上下配置)
図6は,従来の連続鋳造装置100における溶鋼の流れを説明するための模式図である。鋼の連続鋳造において,連続鋳造装置100内の溶鋼プール108に浸漬された状態で使用される注入ノズル110は,例えば,連続鋳造装置100の鋳型102が1対の水冷長辺と,該1対の水冷長辺に狭持され,該1対の水冷長辺と平行に移動して鋳造幅を調整可能な1対の水冷短辺とで構成される場合,1つの流入口112と2つの吐出口114とから形成される。かかる流入口112は注入ノズル110上方に円筒形に形成され,吐出口114は鋳型長辺に平行し,傾斜を有して開口される。
上記注入ノズル110に注入された溶鋼120は,短辺面に衝突し,溶鋼プール108内でメニスカス(湯面)に向かう流れと,下降する流れの2つに分岐する。2つの吐出口からの上下の流れによって,溶鋼プール108内に4つの大きな渦122が形成される。また,溶鋼120は,溶鋼プール108を下降するにつれ,表面が冷却されて凝固シェル124となる。
鋼の連続鋳造において,上記溶鋼120の流れは,溶鋼中に含まれる非金属介在物の流れを支配しており,この溶鋼の流れ自体,重要な制御対象である。上記溶鋼120の流れが,凝固シェル124に捕捉される位置によって,表面のキズの原因となったり,あるいは鋳片の内部に運ばれて欠陥を生じたりする。特に,上記の流れの内,長辺面側から見た左右非対称の流れは偏流と呼ばれ,その偏流の検出と制御が必要である。従来,このように溶鋼の流速の検出を行う流速測定部130は,図6で示す連続鋳造装置100下方に,鋳型102と別体に設置されていた。
この様に,上記流速測定部130を連続鋳造装置100の短辺面外側に配することにより,左右の偏流を測定することは可能である。しかし,連続鋳造装置100の下方に取り付けていた従来の流速測定部130は,溶鋼120との間に所定厚みを有する凝固シェルが存在しているため,溶鋼120の正確な流速の検出に適していなかった。
図7は,上記流速測定部130の位置による流速の検出の問題を説明するための模式図である。かかる模式図は,図6に示した連続鋳造装置100の下方を抜き出している。図7を参照すると,連続鋳造装置100の溶鋼プール108内において,溶鋼120は,流速vで連続鋳造装置100底面に向かって移動し,その移動の過程で周囲温度の降下に基づいて流速の遅い凝固シェル124となる。特に,図7に示したような連続鋳造装置100下方(底面側),即ちメニスカスから離れた位置では,溶鋼120と比較して凝固シェル124の厚みが次第に増してくる。
本来,流速測定部130で検出すべき流速は,溶鋼プール108の内側を流れる溶鋼120の流速vである。その流速vを測定するために流速測定部130から出力される磁場(磁束)Bは,連続鋳造装置100の側壁を貫通して溶鋼プール108内に浸透する。しかし,溶鋼プール108内においては,溶鋼120の下降と,凝固シェル124の下降といった主に2種類の移動が存在する。流速測定部130は,溶鋼120の流速vと凝固シェル124の流速,即ち鋳造速度vとを合成した流速を検出するが,両速度v,vを分解することはできない。従って,溶鋼120の正確な流速vは測定できないこととなる。
上記溶鋼120の流速を測定する上で弊害になるのは,流速測定部130と溶鋼120との間に介在する凝固シェル124,特にその凝固シェル124の厚みである。従って,上記課題を解決するため,流速測定部の位置を連続鋳造装置100上方,即ち,凝固シェル124がまだ厚くなっていないメニスカス側に移動させる。具体的には,鋳型102内に設置される。
図1は,本実施形態の連続鋳造装置300における溶鋼の流れを説明するための模式図である。かかる連続鋳造装置300は,図6に示したのと同様,注入ノズル110から吐出された溶鋼120が4つの大きな渦122を形成する。溶鋼120は,溶鋼プール108下方に移動するにつれ,表面から凝固シェル124に変化する。
図1においては,流速測定部310が連続鋳造装置100の鋳型102の側壁に埋設されている。図1に示す流速測定部310の位置は,メニスカスからの距離も短いため,凝固シェル124の幅はまだ厚くなっておらず,流速測定部310に測定される溶鋼120の流速vを正確に検出することが可能となる。
ところで,連鋳工程と圧延工程とが直結する直接プロセスにおいては,連鋳機からの出片順が圧延機での圧延順となる必要がある。従って,鋳造中においても鋳片幅を変更する必要が生じる。このような理由から,溶鋼段階においても鋳片の幅を調整しつつ,鋳片を送出する構成がとられる。
図8は,鋳片幅が変更される連続鋳造装置100と従来の流速測定部130との関係を説明するための模式図である。かかる連続鋳造装置100から送出される鋳片は,鋳型に連結されたシリンダ412によって,幅の狭い鋳片を製造する際に内側に絞られ,幅の広い鋳片を製造する際に拡幅される。
従来の流速測定部130は,連続鋳造装置100の幅変更壁410辺りに設置されていた。しかし,鋳片の幅の変動に伴って幅変更壁410も変動するので,流速測定部130の設置箇所として適切ではなかった。従って,従来の流速測定部130は,上部鋳型102の側壁に掛止される。かかる構成では,幅変更壁410による幅変更に伴って,流速測定部130と溶鋼120との距離aが変化してしまう。従って,流速vを測定する上で,検出値の補正を要するため,測定精度の点でさらに問題があった。
図1において,本実施形態による流速測定部310は固定された鋳型102短辺内に埋設されるため,鋳片の幅変更に伴う連続鋳造装置300の幅変更壁の幅変動があったとしても,溶鋼120との距離は変動せず,流速vの測定に影響が出ない。従って,上述したような距離の変動による補正や相対的な傾きの補正等を行う必要がない。
(第2の実施形態:連続鋳造装置における流速測定部の平面上の配置)
上述した流速測定部310は,磁場(磁束)Bを発生し,溶鋼120の連続鋳造装置300下方に向かう流動に応じて誘導的に生成される磁場B’を検出し,流速を求めている。
図2は,溶鋼120の流速の検出の原理を示す説明図である。ここでは,連続鋳造装置300の鋳型102に対して,流速測定部310としての1次コイル500と2次コイル510とが配置される。また,連続鋳造装置300の鋳型102内では溶鋼120が流速vで流れている。
1次コイル500に交流電流Iを流すと磁場Bが発生し,この磁場Bは,鋳型102の側壁を貫通する。その磁場Bが,溶鋼120の流動(流速v)と干渉し合って誘導電流Iが図示の方向に発生する。誘導電流Iはさらに磁場B’を生成する。
2次コイル510には,1次コイル500が直接作る磁場Bによる誘導電流と,上記溶鋼120中の干渉により発生する誘導電流Iが作る誘導磁場B’による誘導電流とが合わさった電流が流れる。ここでは,1次コイル500と2次コイル510との位置関係が分かっているため,1次コイル500による2次コイルの誘導電流は導出できるので,差分を計算することによって誘導磁場B’による誘導電流を抽出することができる。かかる電流値を,予め検量した値を用いて流速vに換算することができる。
上記1次コイル500に流す交流電流の周波数は,上記1次コイル500と測定すべき溶鋼120との距離によって定まる。かかる距離が長いと,1次コイル500に流す交流電流の周波数に制限がかかる。
交流電流の周波数が小さくなると流速測定部310からの出力ゲインが下がり,それに伴って,2次コイルでの検出信号も小さくなり,検出した信号が所望の信号であるかノイズであるかが判断できなくなる。ここで,所定の出力ゲインを維持するために,流速測定部310の1次コイル500および2次コイル510の捲数を増やすこともできるが,これは,流速測定部310の巨大化を招き,占有体積やコストが問題となる。
しかし,上述した流速測定部310を連続鋳造装置100上方の鋳型102内に設置する構成により凝固シェル124の厚みが薄くなり,その分,1次コイル500と溶鋼120との距離が短くなる。従って,1次コイル500が生成する磁場Bが同じであっても,誘導磁場B’は大きくなり,測定精度が向上する。また,かかる設置位置では,連続鋳造装置100の下方と比較して,鋳型内の溶鋼の流速自体が大きいため必然的に検出量も大きくなり,測定精度がさらに向上する。
上記1次コイル500と測定すべき溶鋼120との距離を検討する上で考慮すべきは,流速測定部310と溶鋼120との間に存在する,鋳型102の側壁の厚みと凝固シェル124の厚みが挙げられる。従って,凝固シェル124の厚みのみではなく,鋳型102の側壁の厚みも検討した。
例えば,鋳型銅板の厚みをdCu[m],凝固シェル124の厚みをdFe=k√(H/v)[m]とし(ただし,Hは,メニスカス(湯面)から流速測定部の高さ中心までの鉛直距離(高さ方向の距離)[m],vは鋳造速度[m/min],kは,凝固定数[m/min1/2]である。),流速測定部310の1次コイル500が銅板表面に発生する磁場をBとした場合,凝固シェルの内側,即ち溶鋼120と凝固シェルの界面に発生する磁場は,「第129・130回西山記念技術講座 電磁気力を利用したマテリアル・プロセシング 社団法人 日本鉄鋼協会編 平成元年4月28日発行 p42−45」によって以下の数式1で表される。
B=B×exp(−dCu/δCu)×exp(−dFe/δFe)=B×exp(−dCu/δCu−dFe/δFe) …(数式1)
ここで,
δCu=1/√(μσCuπf) …(数式2),
δFe=1/√(μσFeπf) …(数式3)
であり,σCuは銅板の電気伝導度[S/m]を,σFeは鋼の電気伝導度[S/m]を示している。
流速測定部310の1次コイル500が,凝固シェル124と溶鋼120の界面に発生する磁場Bの強さが十分であることは,表皮効果の考え方から,上式の指数関数的減衰の指標1/e(eは自然指数で2.71828…)以上になることで定義される。
図3は,表面からの距離qと磁場Bとの関係を示した説明図である。かかる図3を参照すると,表面からの距離qが深くなるほど浸透する磁場Bは低くなる。表皮深さがδであり,流速測定部310による流速の測定にB/e以上の磁場Bが必要な場合,交流磁場Bの周波数が制限される。
即ち,数式1を参照するとdCu/δCu+dFe/δFe≦1が条件となり,数式1に数式2,3を代入すると,
√(μπf)×((√σCu)dCu+(√σFe)dFe)≦1 …(数式4)
となり,
f≦1/{πμ((√σCu)dCu+(√σFe)dFe} …(数式5)
が導き出される。
このように,コイルに与えることが可能な周波数の制限は,上記銅板の厚みや凝固シェル124の厚み(メニスカスからの距離)の変更に応じて変化する。即ち,第1の実施形態で説明したように,流速測定部310を連続鋳造装置300の上方に配置することで,凝固シェル124が比較的薄い領域で測定できる。鋳型102の壁厚は一般に,鋳型耐久性,鋳型剛性等や,所定時間使用後に行う改削量により決まり,通常は15〜50mm程度で一定となる。交流磁場Bの周波数は,数式5により決定される。
本実施形態においては,周波数fは約30Hz以下が例示できる。また,例えば,通常の操業における典型的な物性値(π=3.14,μ=4π×10―7,σCu=10,σFe=0.7×10,dCu=0.03,dFe=0.01)を用いて,上記数式5の計算を行うと23.8Hzとなる。銅板で損失する磁場を少なくするためには,周波数は低いほど良いので,交流磁場Bの周波数は,10Hz以下であることが望ましい。
図4は,第2の実施形態における流速測定部310の水平面における位置を説明するための模式図である。ここで,鋳型102は,銅板710,720と,バックプレートとしてのステンレス板712,722とからなり,銅板710とステンレス板712で水冷長辺を,銅板720とステンレス板722で水冷短辺を形成する。かかる銅板710,720に囲まれた溶鋼プール108では,溶鋼120の回りを凝固した凝固シェル124が覆っている。また,流速測定部310は,上述したように,1次コイル500と2次コイル510とから構成される。
鋳型102内において流速vで流れる溶鋼120は,流速測定部310の1次コイル500によって生成される磁場Bの干渉を受け,誘導電流Iを図示の方向に発生する。このとき,流速測定部310は,ステンレス722に埋設され,銅板720に触接して設置されるため,流速測定部310と溶鋼120との距離は非常に短くなる。また,銅板720に切削孔を形成し,上記流速測定部310をこの切削孔に埋設してさらに上記距離を短縮することもできる。
このように1次コイル500と測定すべき溶鋼120との距離が短くなると,1次コイル500に流す交流電流の周波数を低く設定しても十分な設定精度で流速を測定できる。また,交流電流の周波数を上げると,それに伴って出力(ゲイン)も増加し,2次コイル510が受信できる溶鋼120の流動による誘導電流も大きくなることから,S/N比が良好となり,流速の測定精度がより一層向上する。
図5は,上記流速測定部310の鋳型102における配置をさらに詳細に説明するための横断面図である。ここでは,鋳型102のステンレス板722に1次コイル500が埋設され,さらに,1次コイル500内に,もしくは,隣接して,2次コイル510が設置されている。かかる2次コイル510は,1次コイル500とコイル中心軸が互いに直交している。
図1および図4に示すような連続鋳造装置300の鋳型102を,幅1500mm,高さ800mm,キャビティー(鋳造空間)厚み250mmとし,流速測定部310を,メニスカスから150mm及び600mmの水冷短辺の外側面に配置した。連続鋳造装置300における注入ノズル110の角度を下向き25度に設定し,鋳造速度が1,1.3,1.5m/分である場合における,流速の実際測定値である信号値指数を測定した。ここでは,信号値指数が大きいほど,受信する信号レベルが高い(ゲインが高い)ことを示す。また,1次コイルに流した交流電流の周波数は,本実施例における物性値や鋳型銅板厚み等(π=3.14,μ=4π×10―7,σCu=10,σFe=0.7×10,dCu=0.03,dFe=0.01)より,数式5を用いて導き出した交流電流の周波数23.8Hz以下から5Hzを選択している。
また,従来の流速検出とも比較するため,連続鋳造装置300の下方に当たる,メニスカスから1.2mの位置に流速測定部を配置し,その1次コイルに周波数50Hzの交流電流を付与した。上記の測定結果を表1に示す。
Figure 0004700466
表1を参照すると,従来の流速測定部のデータ(信号値指数)は,ほぼノイズレベルであり,下降による流速が高い,例えば,鋳造速度1.5m/分の場合以外では測定が困難であることが理解される。それに対して,本実施形態の流速測定部では,出力(ゲイン)自体を大きくすることが可能であり,鋳造速度が低い1m/分の場合においても,信号値指数はノイズ信号レベルより遙かに高い信号レベルを示し,十分な精度かつ細かい分解能で測定できることが理解できる。
また,鋳造速度が同じ1.5m/分においてノズルの片側への詰まりが発生した鋳造における,左右短辺の流速(信号値指数),即ち偏流度合いを測定し,表2に示した。かかる表2の比較から分かるように,従来の連続鋳造装置では偏流度合いがノイズ信号レベルとほぼ同等であるため把握困難であるが,本実施形態の連続鋳造装置では明確に検出することができる。
Figure 0004700466
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記の実施形態においては水冷短辺側にのみ流速測定部を設置する構成を述べているがかかる場合に限られず,水冷長辺側にも設置することが可能である。
また,流速測定部として,例えば,図4,5の構成を述べているが,かかる場合に限られず,溶鋼の流動による磁場(磁束)を測定する構成を有す様々な方法をとることができる。
本発明は,連続鋳造装置,流速測定方法にかかり,例えば,鋼の連続鋳造の鋳型において,溶鋼の流速を検出する流速測定部を備えた連続鋳造装置,流速測定方法に適用可能である。
連続鋳造装置における溶鋼の流れを説明するための模式図である。 溶鋼の流速の検出の原理を示す説明図である。 表皮深さと磁場との関係を示した説明図である。 第2の実施形態における流速測定部の水平面における位置を説明するための模式図である。 流速測定部の鋳型における配置をさらに詳細に説明するための横断面図である。 従来の連続鋳造装置における溶鋼の流れを説明するための模式図である。 流速測定部の位置による流速の検出の問題を説明するための模式図である。 鋳片幅が変更される連続鋳造装置と従来の流速測定部との関係を説明するための模式図である。
符号の説明
100,300 連続鋳造装置
102 鋳型
108 溶鋼プール
110 注入ノズル
120 溶鋼
124 凝固シェル
130,310 流速測定部
500 1次コイル
510 2次コイル

Claims (3)

  1. 1対の水冷長辺と,前記1対の水冷長辺に狭持され前記1対の水冷長辺と平行に移動して鋳造幅を調整可能な1対の水冷短辺と,前記1対の水冷長辺と前記1対の水冷短辺とによって形成される鋳造空間内に溶鋼を注入する注入ノズルと,からなる鋳型を備えた連続鋳造装置であって,
    交流磁場を生成する1次コイルと,中心軸が前記1次コイルと直交し,前記1次コイルによる磁場と前記溶鋼の流動とによって生じる磁場を測定する2次コイルと,からなり,前記水冷短辺のメニスカスから150mm以上の位置の外側面に固定される溶鋼の流速測定部を備え,
    Cu/δCu+dFe/δFe≦1
    (ここで,δCu:銅板の表皮深さ[m],
    δFe:鋼の表皮深さ[m])
    および,
    f≦1/{πμ((√σ Cu )d Cu +(√σ Fe )d Fe
    (ここで,d Cu :鋳型銅板厚み[m],
    Fe =k√(H/v ):凝固シェル厚み[m]
    σ Cu :鋳型銅板の電気伝導度[S/m],
    σ Fe :鋼の電気伝導度[S/m],
    H:メニスカス(湯面)から流速測定部の高さ中心までの鉛直距離[m],
    :鋳造速度[m/min],
    k:凝固定数[m/min 1/2 ],
    μ:透磁率[H/m]である。)
    によって求められる前記1次コイルに流す交流電流の周波数f[Hz]を、
    σ Cu =10 ,σ Fe =0.7×10 ,d Cu =0.03,d Fe =0.01の値を用いて、
    23.8[Hz]以下とすることで、前記水冷短辺および凝固シェルの内側にある溶鋼プール内の流速を測定することを特徴とする,連続鋳造装置。
  2. 前記流速測定部は,前記1対の水冷短辺の外側面にそれぞれ固定されることを特徴とする,請求項1に記載の連続鋳造装置。
  3. 請求項1または2に記載の連続鋳造装置を用いて,鋳型内を流動する溶鋼の流速を測定する流速測定方法であって,
    前記鋳型の外側面において,交流磁場を生成し,前記交流磁場と前記溶鋼の流動とによって生じる磁場を測定することを特徴とする,流速測定方法。
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