JP4699969B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents

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本発明は、カーテンエアバッグなどを含む車両の乗員保護装置に関し、とりわけ適正な横転判定条件を満足したときに、車両が横転する可能性があると判定して、カーテンエアバッグなどを起動させる横転判定装置を備えた車両の乗員保護装置に関する。
近年、乗用自動車などの車両の安全性に対する要請はますます高まり、前方衝突時に乗員がフロントガラスなどに激突することを回避するためのエアバッグはもとより、車両が横転(ロールオーバ)した時に、乗員が車両の側壁またはサイドウィンドウに衝突したり、車外に飛び出すことを未然に防止するカーテンエアバッグが車両に標準装備されることが一般的になりつつある。このとき、カーテンエアバッグは、上記目的を達成するような適正な横転判定条件が合致する場合にのみ作動することが必要であり、こうした横転判定条件について、いくつかの提案がなされてきた。
特許文献1によれば、車両の回転エネルギと位置エネルギの和が、車両が横転することなく維持される最大の位置エネルギ(横転限界エネルギ)を超えたときに、車両が横転する可能性があると判定する。すなわち、特許文献1で教示された車両の横転判定方法によれば、車両の重心を通り車両の長手方向(前後方向)に延びる軸を回転中心としたときの車体の傾斜角であるロール角θと、この回転中心の周りに車両が回転するロール角速度ωとの間に、図6の第1象限にある横転領域を示す次式が成り立つとき、車両はロールオーバする可能性があると判定される。
ω>−p×θ+q (p,qは正の定数)
特開2001−71844号公報
しかしながら、上式において、ロール角速度ωおよびロール角θは、方向を有する値であり、それぞれの方向(極性、符号)が一致した場合にのみ、車両は横転する可能性があると判定すべきであって、実際には上式のみならず、同様に図6の第3象限にある横転領域を示す次の関係式を満足するときも車両は横転する可能性があると判定すべきである。
ω<−p×θ−q (p,qは正の定数)
すなわち、特許文献1の車両の横転判定方法によれば、回転方向ごとの2通りの判定条件(2つの不等式による判定条件)を判定する必要があり、すなわち横転方向に応じて(横転方向を考慮して)横転判定を行う必要があり、判定処理が複雑となる。
また、車両が緩やかな回転により(ωが小さいままの状態で)横転に至る場合においては、上記の2つの不等式で横転判定してカーテンエアバッグを展開するように起動したとき、乗員の頭部がすでに車両の側壁またはサイドウィンドウに接近していた場合や、サイドウィンドウから外方へ突出している場合には、乗員の頭部が車外に押し出されるようにカーテンエアバッグが展開(干渉)することがあり得る。
さらに、カーテンエアバッグは、一般に不可逆的な化学反応を用いて展開し、一旦展開したものは新しいものと交換する必要があり、経済的観点から、不必要な展開を回避することが極めて望ましい。このとき、例えば静止した状態にある車両に、別の車両が側方から側面衝突した場合、側面衝突された車両の両側のカーテンエアバッグが展開するのではなく、側面衝突された側のカーテンエアバッグだけが展開し、反対側のカーテンエアバッグは展開しないことが経済的観点から好ましい。ところが、通常、ロール角速度ωは横方向の加速度Gyに基づいて計算され、側面衝突に伴う瞬間的に極めて大きい横方向加速度Gyが加わると、瞬間的に非常に大きいロール角速度ωを検出する場合がある。このとき、2つの上記不等式を用いて横転の可能性があると判定されると、展開する必要のないカーテンバッグを含めた両側のカーテンエアバッグが展開してしまい、経済的に無駄が生じる。そこで、側面衝突された場合においては、乗員保護装置は(両側のカーテンエアバッグを展開させないように)横転判定条件を満足しないと判定するとともに、別途用意された側面衝突判定装置を用いて、側面衝突された側のカーテンエアバッグだけが展開し、反対側のカーテンエアバッグは展開しないように制御することが好ましい。
本発明に係る車両の乗員保護装置は、車両のロール角θ、ロール角速度ωおよび横方向加速度Gyが次式を満足するときに、車両が横転する可能性があると判定することを特徴とする。
(ω×θ)+k(ω×Gy)>C または
ω×(θ+k×Gy)>C
(kは正の係数、Cは正の定数)
本発明の車両の乗員保護装置によれば、横転方向を識別する必要性を排除し、ただ1つの横転判定条件式を用いて横転する可能性を判定することができる。また、緩やかな回転により横転する場合、あるいは側方から側面衝突された場合には、カーテンエアバッグなどを敢えて作動させないようにすることができる。
以下、添付図面を参照して本発明に係る車両の乗員保護装置の実施の形態を説明する。実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「上下方向」、「横方向」、「時計回り方向」および「反時計回り方向」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。
図1(a)および(b)は、車両Vの進行方向に垂直な面で切断した車両Vの概略的な断面図であり、(a)は車両Vが実質的に平坦で路面を走行している状態、(b)は所定の傾斜角で傾斜した路面を走行している状態に対応するものである。図1(a)において、車両Vの重心Gは、路面から所定の高さ(重心高)Hvで、左右の車輪間(トレッド長)Tの中央に配置されている。走行中、車両Vは横方向および上下方向の加速度をGy,Gzを受ける。また、例えば図1(b)に示すような傾斜した路面を走行する場合など、さまざまな要因により、重心Gを通り進行方向(前後方向)に延びる軸を回転中心としたロール角速度ωが生じるとともに、車両Vの上下方向UDと鉛直方向pとの間に車両Vの傾斜角であるロール角θが発生する。とりわけ本明細書においては、図1(a)および(b)の矢印で示すように、右向きの横方向加速度Gyおよび上向きの上下方向加速度Gzを正の方向とし、同様に、時計回り方向のロール角速度ωおよびロール角θを正の方向と定義する。
実施の形態1.
図2は、本発明の実施の形態1による車両Vの乗員保護装置1を示すブロック図である。乗員保護装置1は、図2に示すように、概略、回転中心(重心G)の周りのロール角速度ωを検出するロール角速度センサ10と、車両Vの横方向の加速度Gyを検出する横方向加速度センサ20と、ロール角速度ωを時間積分して車両Vのロール角θを計算するロール角演算部40とを備える。また乗員保護装置1は、ロール角θ、ロール角速度ω、および横方向加速度Gyに基づいた横転判定条件(以下詳述する)を満足するか否か、すなわち車両Vが横転する可能性があるか否かを判定する横転発生度判定部50と、車両が横転する可能性があると判定された場合には横転発生度判定部50からの入力信号を受けて、カーテンエアバッグを起動し、展開させる保護装置起動部60とを備える。
なお、同様に図2に示すように、ロール角速度センサ10および横方向加速度センサ20の出力信号に含まれ得る高周波ノイズやオフセット誤差等を除去するためのフィルタ12,22を適宜設けることが好ましい。
a)ω−θ横転判定マップ
一般に、車両は、図1において時計回り方向(正の値)のロール角θを有するときに、反時計回り(負の値)のロール角速度ωを有している場合は横転せず、同じ方向のロール角θおよびロール角速度ωを有するときに、横転する可能性が生じる。このとき、ロール角θが大きくてもロール角速度ωが十分に小さい場合、あるいはロール角速度ωが大きくてもロール角θが十分に小さい場合、車両横転の可能性は少ない。そして、ロール角θおよびロール角速度ωをパラメータとして変化させて、実際の車両Vが横転するか否かを実験にて確認したところ、図3に示すω−θ横転判定マップの斜線領域において、車両が横転することが確認された。そして図3のω−θ横転判定マップの斜線領域は次の不等式で近似されることが判明した。
ω×θ>c(cは正の定数) (1)
上述のように、ロール角θおよびロール角速度ωが同極性を有するときに、横転する可能性が生じ、換言すると、横転する可能性が生じるのは(ω×θ)の値が少なくとも正の値のときである。
b)ω−Gy横転判定マップ
同様に、車両は、図1において時計回り方向(正の値)のロール角速度ωを有するときに、反時計回り(負の値)の横方向加速度Gyを有している場合はロールオーバすることはなく、同極性のロール角速度ωおよび横方向加速度Gyを有するときに、横転する可能性が生じる。このとき、横方向加速度Gyが大きくてもロール角速度ωが十分に小さい場合、あるいはロール角速度ωが大きくても横方向加速度Gyが十分に小さい場合、車両横転の可能性は少ない。そして、ロール角速度ωおよび横方向加速度Gyをパラメータとして変動させたとき、図4に示すω−Gy横転判定マップの斜線領域において、車両が横転することが実験にて確かめられた。そして図4のω−Gy横転判定マップの斜線領域は次の不等式で近似されることが確認された。
ω×Gy>c (cは正の定数) (2)
なお、ω−θ横転判定と同様、横転する可能性が生じるのは(ω×Gy)の値が少なくとも正の値のときである。
さらに本発明によれば、横転発生度PR(Possibility of Roll-Over)を次式で定義する。
PR=(ω×θ)+k×(ω×Gy) (kは正の係数) (3)
ここで本発明の横転発生度判定部50は、横転発生度PRが所定の閾値Cthを超えたときに車両が横転する可能性があると判定する。すなわち、次式を満足するとき、横転発生度判定部50は、車両が横転する可能性があると判定する。
(ω×θ)+k(ω×Gy)>Cth (4)
この不等式(4)が表す領域は、(ω×θ)−(ω×Gy)による横転判定マップ(図5)における斜線で図示された領域に対応し、(ω×θ)および(ω×Gy)の値が正であるときにのみ車両横転の可能性が生じるのであるから、第1象限のみにおいて横転判定の可能性を判定すればよい。すなわち、本発明の横転発生度判定部50は、横転判定条件式(4)を用いると、ロール角θ、ロール角速度ω、および横方向の加速度Gyの向きまたは極性を考慮することなく、横転判定の可能性を判定することができる。
なお、横転発生度PRを与える上式(3)および横転判定条件式(4)における正の定数は、車両の特性に合わせた設計上の設定値であって、(ω×θ)および(ω×Gy)の相関係数として設定され、Cthとともに横転判定領域を規定することができる定数である。
また、車両Vが緩やかな回転により横転する場合、すなわちロール角速度ωが小さい状態のままロールオーバに至る場合、横転判定条件式(4)の(ω×θ)および(ω×Gy)は、小さい状態に維持され、好適にも車両が横転する可能性があるとは判定されない。したがって、本発明の横転発生度判定部50は、緩やかな回転により横転する場合、カーテンエアバッグの起動を抑制し、乗員の頭部や首部が車外に押し出されるようにカーテンエアバッグが展開(干渉)することを回避することができる。
図2において上記した本発明の横転発生度判定部50についてさらに詳細に以下説明する。
この横転発生度判定部50は、この横転判定条件式(4)を判定するために、図6のブロック図に示すように、積(ω×θ)を算出する第1の演算部51、積(ω×Gy)を求める第2の演算部52、積(ω×Gy)を定数k倍する乗算器53、積(ω×θ)と積k(ω×Gy)の和を求める加算器54、および和{(ω×θ)+k(ω×Gy)}と所定の閾値Cthを比較して、上記横転判定条件を満足するときオン信号(Highレベル信号)を出力する比較器55を有する。
択一的には、本発明の横転発生度判定部50は、横転判定条件式(4)の代わりに、次の横転判定条件を満足するとき、車両横転の可能性があると判定してもよい。
ω×(θ+kGy)>Cth (5)
この横転判定条件式(5)は、明らかに先の横転判定条件式(4)を変形したものであって、ω−(θ+kGy)による横転判定マップ(図7)の斜線領域に図示されている。したがって、本発明の横転発生度判定部50は、同様に、図7の横転判定マップの斜線領域(第3象限は省略)において横転判定の可能性を判定すればよく、すなわちロール角θ、ロール角速度ω、および横方向の加速度Gyの向きまたは極性を考慮することなく、横転判定条件式(5)により横転判定の可能性を判定することができる。
この横転判定条件式(5)を判定するために、本発明の横転発生度判定部50は、図8のブロック図に示すように、Gyを定数k倍する乗算器56、θとkGyの和を求める加算器57、ωと和(θ+kGy)の積を求める演算部58、積{ω×(θ+kGy)}と所定の閾値Cthを比較して、上記横転判定条件を満足するときオン信号(Highレベル信号)を出力する比較器59を有する。
横転判定条件式(4)を用いて横転判定の可能性を判定する横転発生度判定部50が2つの演算部51,52を用いるのに対して、横転判定条件式(5)によれば、横転発生度判定部50は、1つの演算部58を用いて横転判定の可能性を判定するので、横転発生度判定部50はより簡略化した構成を用いることができ、好適にも、より小型に安価に作製することができる。
実施の形態2.
図9および図10を参照しながら、本発明に係る車両Vの乗員保護装置の実施の形態2について以下に説明する。実施の形態1では上下方向の加速度Gzが車両横転に与える影響について考慮されなかったが、実施の形態2においては、上下方向の加速度Gzに依存して片方の車輪が浮き上がる現象(Tip-Up現象)が生じた場合、よりロールオーバしやすいことを横転判定条件に追加することにより、さらに高い精度で車両横転の判定を行う。
実施の形態2に係る車両Vの乗員保護装置2は、概略、セーフィング判定部を有する点を除いて、実施の形態1の車両Vの乗員保護装置1と同様の構成部品を用いて構成されているので、重複する構成部品に関する詳細な説明を省略する。また、実施の形態1と同様の構成部品については、同様の符号を用いて説明する。
上述のとおり、実施の形態2に係る車両Vの乗員保護装置2は、図9に示すように、実施の形態1に係る車両Vの乗員保護装置1の構成部品に加えて、車両Vの上下方向の加速度Gzを検出する上下方向加速度センサ30、セーフィング判定部70、および横転発生度判定部50とセーフィング判定部70の両方の出力信号がオン信号(Highレベル信号)であるときにのみオン信号(Highレベル信号)を出力するアンド論理回路部80とを備える。
なお、図9に示すように、上下方向加速度センサ30の出力信号に含まれ得る高周波ノイズやオフセット誤差等を除去するためのフィルタ32を適宜設けることが好ましい。
一般に、横方向の加速度Gyの絶対値が上下方向の加速度Gzのc倍(cは正の定数)より大きいとき、車両Vは横転しやすいことが確認されている。そこで、実施の形態2による車両Vの乗員保護装置2は、上記横転判定条件式(4)または(5)を満足するか否かを判定することに加えて、判定精度をさらに改善するために、セーフィング判定部70において、横方向加速度Gyおよび上下方向加速度Gzが次の条件式を満足するか否かを判定する。
|Gy|>c×Gz (6)
具体的には、セーフィング判定部70は、図10に示すように、上下方向の加速度Gzを定数c倍する乗算器71と、積(c×Gz)と横方向加速度Gyの絶対値を比較して、横方向加速度Gyが積(c×Gz)より大きいと判定したときにオン信号(Highレベル信号)を出力する比較器とを有する。
なお、定数cは、図1に示す車両Vの諸元値の重心高Hvおよびトレッド長Tを用い、車両安定性を示す指標であるSSF値(Static Stability Factor,2Hv/T)として定義してもよく、次の条件式が満足するとき、車両の片輪が浮き上がるTip-Up現象と捉えることができる。
|Gy|/Gz>2Hv/T (7)
上述のように、実施の形態2の車両Vの乗員保護装置2において、アンド論理回路部80は、横転発生度判定部50およびセーフィング判定部70の出力信号がともにオン信号(Highレベル信号)であるときにのみ、車両横転の可能性があると判定し、起動信号を保護装置起動部60に送信し、カーテンエアバッグを展開する。すなわち、実施の形態1の横転判定条件に加えて、横方向加速度Gyおよび上下方向加速度Gzに依存して、Tip-Up現象が生じる場合に、車両Vが横転する可能性があると判定されるので、より高い精度で車両Vのターンオーバ判定を行うことができる。
実施の形態3.
図11および図12を参照しながら、本発明に係る車両Vの乗員保護装置の実施の形態3について以下に説明する。通常の路面走行時に生じる車両の横方向加速度Gyは小さい。一方、車両がロールオーバに至る際や衝突時には大きな横方向加速度が発生し、特に側面衝突では非常に大きな横方向加速度Gyが発生する。側面衝突時には衝突された側(衝突側)のカーテンエアバッグ等の保護装置のみを起動させ、衝突されなかった側(非衝突側)の保護装置は動作させないことが経済的観点から望ましい。実施の形態3に係る車両Vの乗員保護装置3によれば、大きな横方向加速度Gyが発生する側面衝突時に横転判定条件式(4)の第2項であるk(ω×Gy)の値が大きくなり、ロールオーバが発生するとの判定を回避することができる。
実施の形態3に係る車両Vの乗員保護装置3は、概略、上記横転判定条件式に含まれる係数kが横方向加速度Gyの値に依存して可変的である点を除いて、実施の形態1および2の車両Vの乗員保護装置1および2と同様の構成部品を用いて構成されているので、重複する構成部品に関する詳細な説明を省略する。また、実施の形態1および2と同様の構成部品については、同様の符号を用いて説明する。
上述のように、実施の形態3に係る車両Vの乗員保護装置3は、横転判定条件式(4)または(5)に含まれる係数kが横方向加速度Gyの値に依存して選択されるように設計される。すなわち実施の形態3の横転判定条件式の係数kは、横方向加速度Gyの関数として表すことができる。
すなわち、通常の走行状態で生じる車両Vの横方向加速度Gyは、急なカーブ走行時でもせいぜい1G(Gは重力加速度)程度であり、ロールオーバが生じるときの横方向加速度Gyに比して比較的に小さい。換言すると、横方向加速度が小さい場合(フィルタの特性に依存するが、例えば1G未満)、車両が横転する可能性は低いので、横転判定条件式(4)または(5)が成立しないように(車両横転の可能性が小さいと判定されるように)、係数kの値が小さな値となるように選択すればよい(例えばk=k)。
一方、車両Vが走行路を逸脱して横転に至る場合(具体的には、コークスクリュ、ソイルトリップ、エンバンクメントなどのロールオーバの形態の場合)に車両に加わる横方向加速度Gyは約1〜3G程度であるが、実施の形態3によれば、このときの係数kを、横方向加速度が小さいとき(フィルタの特性に依存するが、例えば1G未満)の係数kより大きな値を選択するように設定されている(例えばk=k>k)。こうして、実施の形態3の乗員保護装置3は、横転が生じにくい横方向加速度Gyを有するときには(例えば|Gy|<1Gのとき)、車両横転の可能性がないと判断し、通常走行を逸脱し横転等に至る可能性が高いと判断される横方向加速度Gyを感知した場合(例えば|Gy|>1Gのとき)、車両横転の可能性があると判定する傾向が高くなるように係数kを変化させる。すなわち、実施の形態3の乗員保護装置3によれば、係数kを感知した横方向加速度Gyの値に応じて選択することにより、車両横転の可能性の判定精度をさらに改善することができる。
ただし、例えば別の車両が側方から側面衝突した場合には、車両がロールオーバする際に生じる横方向加速度Gyより実質的に大きい(例えば|Gy|>3G)横方向加速度Gyが生じる。このとき上述のように、側面衝突された車両の両側のカーテンエアバッグを展開させるのではなく、側面衝突された側のカーテンエアバッグだけを展開させ、非衝突側のカーテンエアバッグは展開させないことが経済的観点から好ましい。すなわち、側面衝突された場合には、乗員保護装置3は横転判定条件を満足しないものと判定し、別途用意された側面衝突判定装置(図示せず)を用いて、側面衝突された側のカーテンエアバッグだけが展開し、非衝突側のカーテンエアバッグは展開しないように制御することが好ましい。これは、乗員保護装置3において、実質的に大きい横方向加速度Gy(例えば|Gy|>3G)を感知したとき、係数kを車両がロールオーバする際に生じる横方向加速度Gyで選択する係数kより実質的に小さくなるように設定する(例えばk=k,k<k)ことにより実現される。
以上のように、横転判定条件に含まれる係数kは、次のような感知される横方向加速度Gyにより選択され、以下に示すような一般的な関数として表現することができる(図11参照)。
k=k(通常走行状態のとき、|Gy|<Gyのとき)
k=k>k(横転の可能性が高いとき、Gy≦|Gy|≦Gyのとき)
k=k<k(側面衝突された可能性が高いとき、Gy<|Gy|のとき)
なお、上記の実施の形態では、|Gy|=Gyおよび|Gy|=Gyのとき、係数kは離散的な値を有するものとしたが、択一的には、下記の関係式および図12に示すように、横方向加速度|Gy|に依存して連続的に変化するように設定してもよい。
k=k(通常走行状態のとき、|Gy|<Gy11のとき)
k=p×|Gy|+q(Gy11≦|Gy|≦Gy12のとき)
k=k>k(横転の可能性が高いとき、Gy12≦|Gy|≦Gy21のとき)
k=−r×|Gy|+s(Gy21≦|Gy|≦Gy22のとき)
k=k<k(側面衝突された可能性が高いとき、Gy22<|Gy|のとき)
(p,r,sは正の定数、qは定数)
また、横方向加速度GyがGy11以上Gy12以下のとき、およびGy21以上Gy22以下のとき、係数kは、横方向加速度|Gy|の1次関数として記述されるものとしたが、これに限定されるものではなく、2次関数または指数関数などの任意の関数として表現することができる。
こうして、実施の形態3によれば、横転が生じにくい横方向加速度Gyを有するときには車両横転の可能性がないと判断し、ロールオーバが発生しやすい横方向加速度Gyを有するときには、車両横転の可能性があると判定しやすくなるように係数kの値を設定することができ、より安全性の高い車両Vの乗員保護装置3を提供することができる。
また、側面衝突された場合には、車両横転の可能性があると判定する傾向を小さくし、カーテンエアバッグを展開させる必要のない状況において、保護装置起動部60を起動することを抑制するように係数kの値を設定することができるので、より経済的な車両Vの乗員保護装置3を実現することができる。
なお、本発明に係る乗員保護装置1〜3は、任意の車両に装備することができる。
車両の進行方向に垂直な面で切断した車両の概略的な断面図である。 本発明の実施の形態1による車両の乗員保護装置の構成を示すブロック図である。 車両横転の可能性を判定する領域を含むω−θ横転判定マップである。 車両横転の可能性を判定する領域を含むω−Gy横転判定マップである。 車両横転の可能性を判定する領域を含む(ω×θ)−(ω×Gy)による横転判定マップである。 実施の形態1に係る横転発生度判定部の構成を示すブロック図である。 車両横転の可能性を判定する領域を含むω−(θ+kGy)による横転判定マップである。 実施の形態1に係る横転発生度判定部の択一的な構成を示すブロック図である。 実施の形態2による車両の乗員保護装置の構成を示すブロック図である。 図9に示すセーフィング判定部の構成を示すブロック図である。 横転判定条件に含まれる係数kの横方向加速度Gyに対する依存性を示すグラフである。 横転判定条件に含まれる係数kの横方向加速度Gyに対する別の依存性を示すグラフである。
符号の説明
1〜3:乗員保護装置、10:ロール角速度センサ、12:フィルタ、20:横方向加速度センサ、22:フィルタ、30:上下方向加速度センサ、32:フィルタ、40:ロール角演算部、50:横転発生度判定部、51:第1の演算部、52:第2の演算部、53:乗算器、54:加算器、55:比較器、56:乗算器、57:加算器、58:演算部、59:比較器、60:保護装置起動部、70:セーフィング判定部、80:アンド論理回路部、V:車両、ω:ロール角速度、θ:ロール角、Gy:横方向加速度、Gz:上下方向加速度、G:重心、Hv:重心高、T:トレッド長。

Claims (5)

  1. 車両のロール角θ、ロール角速度ωおよび横方向加速度Gyが次式を満足するときに、車両が横転する可能性があると判定することを特徴とする車両の乗員保護装置。
    (ω×θ)+k(ω×Gy)>C または
    ω×(θ+k×Gy)>C
    (kは正の係数、Cは正の定数)
  2. 車両の横方向加速度Gyおよび上下方向加速度Gzが次式を満足するときに、車両が横転する可能性があると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。
    |Gy|/Gz>2Hv/T
    (Hvは車両の重心高、Tは車両のトレッド長)
  3. 前記係数kが横方向加速度Gyの関数で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の乗員保護装置。
  4. 前記係数kが次の関数で表されることを特徴とする請求項3に記載の車両の乗員保護装置。
    k=k(|Gy|<Gyのとき)
    k=k>k(Gy≦|Gy|≦Gyのとき)
    k=k<k(Gy<|Gy|のとき)
  5. 前記係数kが次の関数で表されることを特徴とする請求項3に記載の車両の乗員保護装置。
    k=k(|Gy|<Gy11のとき)
    k=p×|Gy|+q(Gy11≦|Gy|≦Gy12のとき)
    k=k>k(Gy12≦|Gy|≦Gy21のとき)
    k=−r×|Gy|+s(Gy21≦|Gy|≦Gy22のとき)
    k=k<k(Gy22<|Gy|のとき)
    (p,r,sは正の定数、qは定数)
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