JP3985694B2 - 車両横転検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両横転検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の転覆を判定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている判定方法によれば、例えば、車両の傾斜角と傾斜角速度を検出し、この傾斜角と傾斜角速度との関係に基づいて車両の転覆を判定する。そして、この転覆の判定結果に基づいて、乗員保護装置を作動させる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−164985号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、車両の左右一方の車輪が障害物に乗り上げることで車両が横転する、いわゆる「フリップオーバ」では、車両は高速で横転することから、横転初期の段階で早期に乗員保護装置を作動させる必要がある。しかしながら、この横転初期の段階では、傾斜角は小さいため、従来の車両の傾斜角と傾斜角速度とに基づいた判定方法では横転に至らないと判定し、その結果、乗員保護装置を早期に起動できない。
【0005】
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたもので、早期に車両横転を判定することができる車両横転検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の車両横転検出装置は、車両のロール角速度を検出するロール角速度検出手段と、ロール角速度検出手段の検出するロール角速度の値を記憶する記憶手段と、記憶手段の記憶する車両に発生した過去のロール角速度の値を用いてロール角速度の導関数を求め、この導関数の所定時間後におけるテイラー展開から所定時間後のロール角速度の予測値を算出するロール角速度予測値算出手段と、ロール角速度の予測値に基づいて、ロール角速度の高い横転形態での車両の横転可能性の有無を判定する車両横転判定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように、本発明の車両横転検出装置は、過去に発生したロール角速度の値を用いてロール角速度の導関数を求め、導関数の所定時間後におけるテイラー展開から将来発生するであろうロール角速度の予測値を算出する。そして、このロール角速度予測値を用いて車両の横転を判定する。すなわち、車両が高速で横転する場合、ロール角速度の時間変化量が大きくなることから、将来車両に発生するロール角速度の値は大きな値を示すことになる。従って、高い精度で算出されたロール角速度の予測値を用いて横転可能性の有無を判定することにより、高いロール角速度での車両横転を早期に判定することが可能となる。
【0008】
なお、本発明の車両横転検出装置は、シートベルトの弛みをとるプリテンショナや、乗員頭部と車室内側部との間に膨張展開する頭部保護エアバッグ等の乗員保護装置の駆動を判定する際に用いられるため、これらの乗員保護装置を早期に作動させることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の車両横転検出装置では、車両のロール角を検出するロール角検出手段、もしくは、ロール角速度を積分することにより車両のロール角を算出するロール角演算手段を備え、車両横転判定手段は、ロール角の示す値とロール角速度の予測値との関係に基づいて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする。
【0011】
これにより、現在のロール角からの将来の車両のロール状態を予測することができる。その結果、ロール角速度の予測値のみを用いた横転可能性の有無の判定に比べて正確な判定を行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の車両横転検出装置によれば、ロール角速度の予測値を用いて、所定時間後のロール角の予測値を算出するロール角予測値算出手段を備え、車両横転判定手段は、ロール角の予測値とロール角速度の予測値との関係に基づいて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする。これにより、車両の将来のロール状態をより正確に予測することができる。その結果、車両の横転可能性の有無の判定をより正確に行うことが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の車両横転検出装置では、車両横転判定手段は、ロール角の示す値とロール角速度の示す値との関係を含めて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする。これにより、現在の車両のロール状態と将来の車両のロール状態とに基づく車両の横転可能性の有無を判定することができる。
【0014】
請求項5に記載の車両横転検出装置によれば、車両横転判定手段は、ロール角とロール角速度とからなる2次元マップを有し、この2次元マップ上には、車両が横転する可能性のある領域と横転する可能性のない領域との境界線が設定され、マップ上に各値をあてはめて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする。
【0015】
このように、車両が横転に至るか否かの境界線をマップ上に設定し、このマップ上のロール角の値、ロール角速度の値、ロール角の予測値、及びロール角速度の予測値の各値が位置する領域から、車両の横転可能性の有無を判定することができる。
【0016】
請求項6に記載の車両横転検出装置では、車両の幅方向に発生する横加速度を検出する横加速度検出手段と、車両の高さ方向に発生する上下加速度を検出する上下加速度検出手段と、記憶手段の記憶するロール角速度の値を用いて、ロール角速度の差分値を算出するロール角速度差分値算出手段と、横加速度、前記上下加速度、ロール角速度差分値、及びロール角速度のうち、少なくとも1つの値に基づいて車両の横転形態を判定する横転形態判定手段と、横転判定手段によって判定される横転形態に応じて、2次元マップ上の境界線の設定を変更する境界線変更手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
例えば、土手等から落下することで車両が横転する、いわゆる「フォールオーバ」の形態では、発生する車両の幅方向の横加速度は小さく、車両の高さ方向の上下加速度も小さい。また、このフォールオーバにおいては、ロール角速度は急激な変化をしないためロール角速度の差分値は小さい値を示す。また、ロール角速度も小さいことからロール角速度の最大値も小さい値を示す。
【0018】
また、例えば、車両の左右一方の車輪が障害物等に乗り上げることで車両が横転する、いわゆる「フリップオーバ」の形態では、発生する車両の幅方向の横加速度は小さいものの、横加速度と比較して車両の高さ方向の上下加速度は大きく発生する。また、このフリップオーバにおいては、ロール角速度は急激に変化するためロール角速度の差分値は大きい値を示す。また、ロール角速度も大きいことからロール角速度の最大値も小さい値を示す。
【0019】
また、例えば、車両が横滑りして左右一方の車輪が路上の縁石等に衝突したとき、この縁石を支点として横転する、いわゆる「トリップオーバ」の形態では、縁石に衝突した際に横加速度が大きく発生し、横加速度と比較して上下加速度は小さい。また、このトリップオーバにおいては、ロール角速度は「フリップオーバ」と比較してさらに急激に変化するため、ロール角速度の差分値は非常に大きい値を示す。また、ロール角速度も大きく発生することからロール角速度の最大値も非常に大きい値を示す。
【0020】
このように、横加速度、上下加速度、ロール角速度差分値、ロール角速度等の値を用いることで、車両の横転形態を判定することができる。これにより、横転形態に応じてマップ上の境界線の設定を変更することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の車両横転検出装置では、車両の幅方向に発生する横加速度を検出する横加速度検出手段と、横加速度検出手段の検出する横加速度の高低に応じて、2次元マップ上の境界線の設定を変更する境界線変更手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
例えば、上述した縁石等に衝突してトリップオーバに至るケース(以下、縁石トリップオーバと呼ぶ)では、衝突した瞬間に横転に至るモーメントが発生することから、横加速度、ロール角速度、ロール角速度の差分値が非常に大きい値をとる。これに対して、車両が横滑りして左右一方の車輪が路上から外れて砂地等に踏み入れたとき、この砂地に踏み入れた車輪を支点として横転する(以下、砂地トリップオーバと呼ぶ)場合は、比較的長い時間をかけて横転に至るモーメントが発生する。従って、砂地トリップオーバでは、縁石トリップオーバと比較して、より低い横加速度、ロール角速度、ロール角速度の差分値をとり、このような低い値でも横転に至る場合がある。
【0023】
このように、同じ横転形態であっても発生する横加速度の大きさが異なることがある。そこで、横加速度の値からマップ上の境界線の設定を変更することで、車両に発生する横加速度に応じた境界線に変更することができる。なお、横加速度に限らず、横速度であっても同じ作用効果が期待できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における車両横転検出装置に関して、図面に基づいて説明する。なお、本発明の車両横転検出装置は、車両に搭載される乗員保護装置の起動装置を構成するものである。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における乗員保護装置の起動装置を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の乗員保護装置の起動装置は、コントロールユニット30、及び角速度センサ40とによって構成される。また、コントロールユニット30は、乗員保護装置10と接続される。
【0026】
乗員保護装置10は、例えば、シートベルトの弛みをとるプリテンショナや、乗員頭部と車室内側部との間に膨張展開する頭部保護エアバッグ等(ともに図示せず)である。この乗員保護装置10は、コントロールユニット30から駆動指令を受けて作動する。
【0027】
角速度センサ40は、車両の前後軸周りの角速度(ロール角速度、RR)を検出するセンサであり、例えば、回転に応じて所定の質量に生じる力を検出する加速度センサや、振動ジャイロ、ガスレートジャイロ等が用いられる。この角速度センサ40は、検出した信号をコントロールユニット30へ出力する。
【0028】
コントロールユニット30は、積分値演算部31、予測値演算部32、横転判定部33、予測横転判定部34、駆動判定部35、及び記憶部36によって構成される。
【0029】
記憶部36は、角加速度センサ40からの出力信号であるロール角速度(RR)を一定時間毎に入力して記憶し、記憶するデータ数が所定数を超えると、最も古いデータを削除したうえで、新たなデータを記憶する。
【0030】
積分値演算部31は、角速度センサ40からのロール角速度(RR)を積分処理して、車両の前後軸周りの角度(ロール角度、RA)を算出する。このロール角度(RA)は、例えば、次式によって求められる。
【0031】
【数1】
RA=∫RR・dt(t[t-1]〜t[t])
予測値演算部32は、記憶部36に記憶される過去に発生したロール角速度の値を用いて、ロール角速度の導関数(Frr[t])を求める。そして、この導関数(Frr[t])を用いて、現在の時間から所定時間(T)後におけるロール角速度の予測値(RRY)をテイラー展開により求める。但し、車両が高速で横転する場合、ロール角速度の導関数(Frr[t])は2次以上の微分が可能となるため、なるべく高次まで求めるようにする。これにより、精度の高いロール角速度の予測値(RRY)を算出することができる。なお、所定時間(T)は任意な変数である。
【0032】
横転判定部33は、ロール角度(RA)とロール角速度(RR)とを用いて、車両の横転の可能性の有無を判定する。この横転判定部33は、図7に示すように、記憶部36に記憶されるロール角度とロール角速度との関係を示すマップを用いて、車両のロール状態がこのマップ上のどの位置にあるかを判定する。そして、非横転領域に位置する場合には横転の可能性が無いと判定し、横転領域に位置する場合には横転の可能性が有ると判定する。なお、非横転領域と横転領域との境界線aは、車両によって異なるものであり、予め実験等によって求められるものである。
【0033】
予測横転判定部34は、ロール角度(RA)とロール角速度の予測値(RRY)とを用いて、車両の所定時間(T)後の横転の可能性の有無を判定する。この予測横転判定部34は、図7に示すロール角度とロール角速度との関係のマップを用いて、車両の所定時間(T)後のロール状態が、このマップ上のどの位置にあるかを判定する。そして、非横転領域に位置する場合には、車両は所定時間(T)後に横転の可能性が無いと判定し、横転領域に位置する場合には、車両は所定時間(T)後に横転の可能性が有ると判定する。
【0034】
駆動判定部35は、横転判定部33及び予測横転判定部34からの判定結果に基づいて、乗員保護装置10を駆動するか否かの判定を行う。
【0035】
次に、本実施形態の特徴部分に係わる、予測横転判定及び横転判定処理について、図2及び図3示すフローチャートを用いて説明する。先ず、予測横転判定では、図2に示すステップS100において、ロール角速度(RR)を読み込む。ステップS110では、ロール角速度の予測値(RRY)を算出する。ステップS120では、ロール角速度(RR)を積分処理して、ロール角度(RA)を算出する。
【0036】
ステップS130では、図7に示したマップを用いて、ステップS110において算出したロール角速度予測値(RRY)と、ステップS120において算出したロール角度(RA)の値の示すマップ上の位置から横転の可能性の有無を判定する。
【0037】
一方、横転判定では、図3に示すステップS140において、ロール角速度(RR)を読み込む。ステップS150では、ロール角速度(RR)を積分処理して、ロール角度(RA)を算出する。
【0038】
ステップS160では、図7に示したマップを用いて、ステップS140において読み込んだロール角速度(RR)の値と、ステップS150において算出したロール角度(RA)の値の示すマップ上の位置から横転の可能性の有無を判定する。そして、この予測横転判定結果と横転判定結果に基づいて、駆動判定部35が乗員保護装置10を駆動するか否かを判定する。
【0039】
このように、本実施形態における乗員保護装置の起動装置は、過去に発生したロール角速度の値を用いて、将来発生するであろうロール角速度の予測値を算出する。そして、このロール角速度予測値を用いて車両の横転可能性の有無を判定している。
【0040】
すなわち、車両が高速で横転する場合、ロール角速度の時間変化量が大きくなることから、将来車両に発生するロール角速度の値は大きな値を示すことになる。従って、ロール角速度の予測値を用いて横転可能性の有無を判定することにより、高いロール角速度での車両横転を早期に判定することが可能となる。
【0041】
(変形例1)
本実施形態における予測横転判定部34は、ロール角度(RA)とロール角速度の予測値(RRY)とを用いて、車両の所定時間(T)後の横転の可能性の有無を判定しているが、単にロール角速度の予測値(RRY)を用いて横転の可能性の有無を判定してもよい。これにより、高いロール角速度での車両横転を早期に判定することが可能となる。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分についての詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0043】
第1の実施形態における予測横転判定部34では、ロール角度(RA)とロール角速度の予測値(RRY)とを用いて車両の所定時間(T)後の横転の可能性の有無を判定しているが、本実施形態における予測横転判定部34では、ロール角度の予測値(RAY)を算出し、このロール角度の予測値(RAY)とロール角速度予測値(RRY)とを用いて車両の所定時間(T)後の横転の可能性の有無を判定する点で異なる。
【0044】
本実施形態における予測値演算部32は、ロール角速度の予測値(RRY)を算出するとともに、図4に示すように、積分値演算部31から算出されるロール角度(RA)とロール角速度の予測値(RRY)とを用いて、所定時間(T)後のロール角の予測値(RAY)を算出する。例えば、ロール角の予測値(RAY)は、次式によって求められる。
【0045】
【数2】
RAY=RA[t]+∫RRY・dt(t[t]〜t[t+T])
また、予測横転判定部34は、ロール角度の予測値(RAY)とロール角速度の予測値(RRY)とを用いて、車両の所定時間(T)後の横転の可能性の有無を判定する。この予測横転判定部34は、図7に示すロール角度とロール角速度との関係のマップを用いて、車両の所定時間(T)後のロール状態が、このマップ上のどの位置にあるかを判定する。そして、非横転領域に位置する場合には、車両は所定時間(T)後に横転の可能性が無いと判定し、横転領域に位置する場合には、車両は所定時間(T)後に横転の可能性が有ると判定する。
【0046】
次に、本実施形態における、予測横転判定及び横転判定処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、横転判定処理は、第1の実施形態で説明した処理と同一であるので説明を省略し、予測横転判定処理のみ説明する。
【0047】
ステップS100では、ロール角速度(RR)を読み込む。ステップS110では、ロール角速度の予測値(RRY)を算出する。ステップS120では、ロール角速度(RR)を積分処理して、ロール角度(RA)を算出する。ステップS125では、ロール角の予測値(RAY)を算出する。
【0048】
ステップS130aでは、図7に示したマップを用いて、ステップS110において算出したロール角速度予測値(RRY)と、ステップS125において算出したロール角度予測値(RAY)の値の示すマップ上の位置から横転の可能性の有無を判定する。そして、この予測横転判定結果と横転判定結果に基づいて、駆動判定部35が乗員保護装置10を駆動するか否かを判定する。
【0049】
このように、本実施形態における乗員保護装置の起動装置は、ロール角の予測値(RAY)とロール角速度の予測値(RRY)との関係に基づいて車両の横転可能性の有無を判定している。これにより、車両の将来のロール状態をより正確に予測することができる。その結果、車両の横転可能性の有無の判定をより正確に行うことが可能となる。
【0050】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分についての詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0051】
本実施形態では、車両の幅方向に発生する横加速度、車両の高さ方向に発生する上下加速度、予測値演算部32においてロール角速度の予測値(RRY)を算出する際に求められるロール角速度の差分値、及びロール角速度(RR)等を用いて、車両の横転形態を判定し、この横転形態に応じて横転判定部33及び予測横転判定部34で用いられるマップの境界線aの設定を変更する。
【0052】
例えば、図8に示すように、土手等から落下することで車両が横転する、いわゆる「フォールオーバ」の形態では、発生する車両の幅方向の横加速度は小さく、車両の高さ方向の上下加速度も小さい。また、このフォールオーバにおいては、ロール角速度は急激な変化をしないためロール角速度の差分値は小さい値を示す。また、ロール角速度も小さいことからロール角速度の最大値も小さい値を示す。
【0053】
また、同図に示すように、車両の左右一方の車輪が障害物等に乗り上げることで車両が横転する、いわゆる「フリップオーバ」の形態では、発生する車両の幅方向の横加速度は小さいものの、横加速度と比較して車両の高さ方向の上下加速度は大きく発生する。また、このフリップオーバにおいては、ロール角速度は急激に変化するためロール角速度の差分値は大きい値を示す。また、ロール角速度も大きいことからロール角速度の最大値も小さい値を示す。
【0054】
さらに、同図に示すように、車両が横滑りして左右一方の車輪が路上の縁石等に衝突したとき、この縁石を支点として横転する、いわゆる「縁石トリップオーバ」の形態では、縁石に衝突した際に横加速度が大きく発生し、横加速度と比較して上下加速度は小さい。また、この縁石トリップオーバにおいては、ロール角速度は「フリップオーバ」と比較してさらに急激に変化するため、ロール角速度の差分値は非常に大きい値を示す。また、ロール角速度も大きく発生することからロール角速度の最大値も非常に大きい値を示す。
【0055】
このように、横加速度、上下角速度、ロール角速度差分値、ロール角速度等の値を参照することで、車両の横転形態を判定することができる。なお、これら横加速度、上下角速度、ロール角速度差分値、及びロール角速度の発生する値と横転形態との対応付けについては、予め実験等によって求めておく。また、これら横加速度、上下角速度、ロール角速度差分値、及びロール角速度のうち、1つの値から横転形態を判定してもよいし、複数の組み合わせによって判定してもよい。
【0056】
さらに、各横転形態において発生するロール角度(RA)及びロール角速度(RR)の大きさが異なることから、横転形態に応じて横転判定部33及び予測横転判定部34で用いられるマップの境界線aの設定を変更する。
【0057】
例えば、図9に示すように、横転形態に応じて境界線aを横転領域側に変更したり、非横転領域側に変更したりする。なお、本実施形態では、境界線aの傾きを変えずに変更しているが、この境界線aの変更方法については、これに限定されるものではない。
【0058】
次に、本実施形態におけるマップ上の境界線aの設定変更処理について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、予測横転判定処理、及び横転判定処理については、第1又は第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0059】
先ず、ステップS300では、ロール角速度(RR)を読み込み、ステップS310では、横加速度及び上下加速度を読み込む。なお、横加速度、及び上下加速度を検出する加速度センサは、例えば、車両の重心点付近等に設けられる。
【0060】
ステップS320では、ロール角速度(RR)、横加速度、及び上下加速度の各値を用いて、車両の横転形態を判定する。ステップS330では、この判定された形態に応じて、横転判定部33及び予測横転判定部34で用いられるマップの境界線aの設定を変更する。これにより、車両の横転形態に応じた横転判定を行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、2つの横転形態について取り上げているが、例えば、ターンオーバやフォールオーバ等の他の形態についても、横転形態の判定を行ってもよい。
【0062】
(変形例2)
例えば、上述した縁石トリップオーバでは、衝突した瞬間に横転に至るモーメントが発生することから、横加速度、ロール角速度、ロール角速度の差分値が非常に大きい値をとる。これに対して、車両が横滑りして左右一方の車輪が路上から外れて砂地等に踏み入れたとき、この砂地に踏み入れた車輪を支点として横転する(砂地トリップオーバ)場合は、比較的長い時間をかけて横転に至るモーメントが発生する。従って、砂地トリップオーバでは、縁石トリップオーバと比較して、より低い横加速度、ロール角速度、ロール角速度の差分値をとり、このような低い値でも横転に至る場合がある。
【0063】
このように、同じ横転形態であっても発生する横加速度の大きさが異なることがある。そこで、横加速度の値の大きさに応じて、マップ上の境界線aの設定を変更することで、車両に発生する横加速度に対応した境界線aに変更することができる。
【0064】
なお、横加速度に限らず、車両の幅方向に発生する横速度の値からマップ上の境界線aの設定を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる、乗員保護装置10を駆動させるためのコントロールユニット30の機能構成を示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係わる、予測横転判定処理を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に係わる、横転判定処理を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係わる、乗員保護装置10を駆動させるためのコントロールユニット30の機能構成を示したブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係わる、予測横転判定処理を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態に係わる、マップ上の境界線aの設定変更処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係わる、ロール角度とロール角速度との関係を示すマップの図である。
【図8】第3の実施形態に係わる、横転の形態とその特徴と示す図である。
【図9】第3の実施形態に係わる、マップ上の境界線aの設定を変更する際のイメージ図である。
【符号の説明】
10 乗員保護装置
30 コントロールユニット
31 積分値演算部
32 予測値演算部
33 横転判定部
34 予測横転判定部
35 駆動判定部
36 記憶部
40 角速度センサ
Claims (7)
- 車両のロール角速度を検出するロール角速度検出手段と、
前記ロール角速度検出手段の検出するロール角速度の値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段の記憶する前記車両に発生した過去のロール角速度の値を用いてロール角速度の導関数を求め、前記導関数の所定時間後におけるテイラー展開から前記所定時間後のロール角速度の予測値を算出するロール角速度予測値算出手段と、
前記ロール角速度の予測値に基づいて車両の横転可能性の有無を判定する車両横転判定手段とを備えることを特徴とする車両横転検出装置。 - 前記車両のロール角を検出するロール角検出手段、もしくは、前記ロール角速度を積分することにより前記車両のロール角を算出するロール角演算手段を備え、
前記車両横転判定手段は、前記ロール角の示す値と前記ロール角速度の予測値との関係に基づいて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする請求項1記載の車両横転検出装置。 - 前記ロール角速度の予測値を用いて、所定時間後のロール角の予測値を算出するロール角予測値算出手段を備え、
前記車両横転判定手段は、前記ロール角の予測値と前記ロール角速度の予測値との関係に基づいて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする請求項1記載の車両横転検出装置。 - 前記車両横転判定手段は、前記ロール角の示す値と前記ロール角速度の示す値との関係を含めて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする請求項2又は3記載の車両横転検出装置。
- 前記車両横転判定手段は、ロール角とロール角速度とからなる2次元マップを有し、前記2次元マップ上には、車両が横転する可能性のある領域と横転する可能性のない領域との境界線が設定され、前記2次元マップ上に前記各値をあてはめて車両の横転可能性の有無を判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両横転検出装置。
- 車両の幅方向に発生する横加速度を検出する横加速度検出手段と、
前記車両の高さ方向に発生する上下加速度を検出する上下加速度検出手段と、
前記記憶手段の記憶するロール角速度の値を用いて、前記ロール角速度の差分値を算出するロール角速度差分値算出手段と、
前記横加速度、前記上下加速度、前記ロール角速度差分値、及び前記ロール角速度のうち、少なくとも1つの値に基づいて車両の横転形態を判定する横転形態判定手段と、
前記横転判定手段によって判定される横転形態に応じて、前記2次元マップ上の境界線の設定を変更する境界線変更手段とを備えることを特徴とする請求項5記載の車両横転検出装置。 - 車両の幅方向に発生する横加速度を検出する横加速度検出手段と、
前記横加速度検出手段の検出する横加速度の高低に応じて、前記2次元マップ上の境界線の設定を変更する境界線変更手段とを備えることを特徴とする請求項5記載の車両横転検出装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003047966A JP3985694B2 (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 車両横転検出装置 |
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