JP4697165B2 - 音楽再生制御装置 - Google Patents
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Description
特に、使用者がウォーキングやジョギング、ダンス等の有酸素反復運動をしながら、曲を再生する携帯音楽プレーヤ用の音楽再生制御装置に適したものである。
しかし、あらかじめ決められた音楽を、その音楽テンポを変更して再生している。そのため、音楽をオリジナルテンポから外れた音楽テンポで再生した場合、使用者は演奏時の意図とはかけ離れた不自然な音楽を聴くことになる。しかも、単に音楽テンポを変更しただけでは気分が変わらないので、音楽に飽きて運動を継続する意欲をなくしてしまう。
また、心拍数を測定し、使用者の情報から導かれた理想の心拍数との差が一定以上開いたときにMIDI音楽の再生速度(音楽テンポ)を変化させ、使用者の心拍数を理想値に誘導する音楽再生装置も知られている(特許文献3参照)。
しかし、これらの技術も、あらかじめ決められた音楽データをその音楽テンポを変更して再生するものであるから、演奏時の意図とはかけ離れた不自然な音楽が再生されることになる。
従って、運動負荷率に応じたオリジナルテンポを有する自動演奏データが再生される。
しかし、配信サイトでは、負荷テンポTMPに略合致するテンポの曲データをどのように保存しておくのかについてまでは検討されていない。
現在心拍数より速いリズムの音楽に合わせて運動を行わせることによって自然に心拍数が速くなる方向に運動を促進させる。しかし、音楽ファイルのデータ形式は明らかでない。
しかし、使用者が受け取る音楽テンポの感覚は、音楽テンポの値が変わらなくても、曲調によって大きく変わることが知られている。
そのため、適切な音楽テンポの音楽データが選択されていても、音楽データの曲調が指示された音楽テンポに合わない場合がある。このような場合、使用者の気分を害してしまう。
また、使用者が運動ペースを上げようとしているときに、現在よりも音楽テンポを遅く感じさせる曲が選択されて再生されたり、運動ペースを下げようとしているときに、現在よりも音楽テンポを速く感じさせる曲が選択されて再生されたりすると、曲調と運動の気分とが合致しないし、また、反復運動のペースがつかみにくい。
実際の選曲動作に対して、個々の使用者により所望の検索キーワードが入力される。検索キーワードとしては、50〜100種類程度のものが設定されている。
検索キーワードと各特徴ワードとの相関値が記録された感性テーブルと上述した特徴ワードリストを基準として、複数の音楽データのうち検索キーワードに合致する1又は複数のコンテンツ情報を選択する。
しかし、音楽テンポの指示と関連づけて曲調を選択するものではなかった。
しかし、曲調と速度とを対応付けるための規則が明確でなく、また、音楽テンポと曲調とを関連づけて曲調を選択するものではない。
上述した曲調評価パラメータは、音楽データの内容が、音楽テンポを速いと感じさせるか遅いと感じさせるかを評価した値である。
従って、運動開始段階における使用者の気分の昂揚に適した曲調の音楽データが選択され再生される。
従って、運動終了段階における使用者の気分の沈静化に適した曲調の音楽データが選択され再生される。
従って、運動開始段階における使用者の気分の昂揚に適した曲調の音楽データが選択され再生される。運動終了段階における使用者の気分の沈静化に適した曲調の音楽データが選択され再生されることになる。
使用者の運動ペースが上がっているときは、音楽テンポを相対的に速く感じさせる曲調の音楽データを選択した方が、使用者の運動意欲に合う。また、前記使用者の運動ペースが下がっているときは、音楽テンポを相対的に遅く感じさせる曲調の音楽データを選択した方が、使用者の運動意欲に合う。
従って、請求項4に記載の発明をフリーモード(自由運動)の場合に適用することができる。その結果、音楽テンポを運動の反復運動テンポに追従させることができる。
従って、請求項4に記載の発明をアシストモード(運動支援)の場合に適用することができる。その結果、心拍数が目標運動強度に対応する目標心拍数に近づくように、音楽テンポが、設定された初期値から変更され、かつ、心拍数は運動強度に関係するので、音楽データを聴くだけで、目標運動強度で運動できるようになる。その結果、使用者の運動目的に適した運動をすることができる。
上述した各請求項に記載の発明において、データ記憶装置、音楽データ再生装置は、それぞれ、本発明の音楽再生制御装置と一体化されていてもよいし、別体とし、本発明の音楽再生制御装置とは有線又は無線で接続されたものでもよい。
この実施の形態は、ユーザ(使用者)が、単に音楽再生をするだけではなく、反復運動をしながら音楽再生をする場合に適した機能を備えている。
単に音楽再生をする場合は、ミュージック・リスニング(音楽鑑賞)モードで使用し、反復運動をしながら音楽再生をする場合は、エクササイズ(運動)モードで使用する。
このエクササイズモードは、さらに、フリー(自由運動)モードとアシスト(運動支援)モードに分かれている。しかし、いずれか1つのモードを備えた装置であってもよい。
アシストモードは、運動計画に従って使用者の反復運動を支援するモードであって、使用者の心拍数と目標運動強度に対応する目標心拍数との差が小さくなるように、音楽テンポの値を指示するものである。再生される曲の音楽テンポに対応した反復運動テンポで使用者が反復運動をすれば、使用者に最適な運動ができるようになる。
取得する音楽データのファイルに、この音楽テンポの値が含まれていなければ、音楽データを自動分析することにより、そのオリジナルの音楽テンポを抽出する。自動分析は、パーソナルコンピュータ等の外部装置、又は、本装置の音楽データ取得部1で行う。
曲調とは、一般に、音楽データの内容(曲)から受ける心理的な感情を表すものである。例えば、特許文献(特開2002−278547号公報)では、「楽曲の主観的な印象」として、「激しさ、のりのよさ、爽やかさ、素朴さ、ソフトさ」が例示されている。
特許文献(特開2003−132085号公報)では、「検索キーワード」として、「陽気な曲」、「スカットとする曲」、「聞かせる曲」が例示されている。
特許文献(特開2005−209276号公報)では、「感性語」として、「ノリがいい」、「静かな」、「明るい」、「悲しい」、「癒される」、「せつない」が例示されている。
音楽テンポの値が同じものであっても、人が聴いた場合、音楽テンポに差があるように聴こえることが知られており、「リズミカルな曲」、「明るい曲」、「ノリが良い曲」は「アップテンポな曲」に属する。
これに対し、「ゆったりした曲」であるとか、「リラックスできる曲」は、相対的に、「ダウンテンポな曲」に属する。
曲調評価パラメータの値が大きいほど、音楽テンポを速いと感じさせる、意欲が昂揚する、元気な曲調であり、曲調評価パラメータの値が小さいほど、音楽テンポを遅いと感じさせる、意欲が沈静化する、落ち着いた曲調である。
そこで、音楽データを再生したときの音響信号の複数の物理的特徴量と上述した「エキサイト度」との相関係数をあらかじめ設計しておく。次に、ある音楽データについて音響信号の複数の物理的特徴量を検出し、各物理的特徴量にそれぞれの相関係数を乗算して総和を算出すれば、その音楽データの「エキサイト度」の値が計算される。
この場合、音楽データを再生したときの複数の特徴値と上述した「エキサイト度」との相関係数をあらかじめ設計しておく。次に、ある音楽データについて複数の特徴値を検出し、各特徴値にそれぞれの相関係数を乗算して総和を算出すれば、その音楽データの「エキサイト度」の値が計算される。
この場合、上述した特徴ワードと上述した「エキサイト度」との相関係数をあらかじめ設計しておく。また、各音楽データについて複数の特徴ワードの指標値を設定しておく。その結果、各指標値にそれぞれの相関係数を乗算して総和を算出すれば、その音楽データの「エキサイト度」の値が計算される。
また、複数の観点から決められた複数の曲調、それぞれの曲調評価パラメータの値を、各音楽データに設定してもよい。この場合、再生すべき音楽データの「曲調」を指示する場合、複数の「曲調評価パラメータ」についてその値を計算し、それぞれの値を個別に評価したり、又は、各値の総和を最終的な曲調の総合値として評価したりすればよい。
データ記憶部2に格納される音楽データは、波形データ形式であることが好ましい。
しかし、MIDIシーケンスデータのような音符の音高と音長を表す演奏データで曲が記録された演奏データ形式でもよい。
ただし、演奏データ形式であっても、音楽テンポの値を含んだファイルとする。この音楽テンポの値は、演奏データを生成したときの電子楽器演奏時の音楽テンポの値にするなど、意図的にあらかじめ設定された値である。演奏データの再生時には、原則として、音楽データにあらかじめ設定された音楽テンポの値で再生する。
演奏データ形式の場合、音楽テンポの値を変更してもピッチは変わらない。従って、再生時の音楽テンポの値を、上述した設定された音楽テンポから少しの範囲であれば変更しても違和感はない。
再生時の音楽テンポの値を、設定された音楽テンポの値から変更することを許容する場合、演奏データ形式の音楽データは、音楽テンポの値そのものに代えて、再生時に許容する音楽テンポ値の範囲(例えば、範囲の最大値と最小値)を含むものであってもよい。
なお、あらかじめ複数の、演奏データ形式音楽データをデータ記憶部2に格納しておかない方法もある。音楽テンポ及び曲調指示部6により条件(音楽テンポ値及び又は曲調評価パラメータ値)が指示されたときに、指示された条件を満たす演奏データ形式の音楽データを自動生成(自動作曲)し、自動生成された音楽データをデータ記憶部2の一時記憶部に格納してもよい。
3は設定部であって、上述した各種の操作により、後述する音楽テンポ指示部6、再生制御部7を制御するパラメータ値を設定して、設定部内のメモリ、又は、データ記憶部2に記憶する。パラメータとしては、例えば、現在のモード、使用者の個人情報(身体情報を含む)、初期音楽テンポ、及び、目標運動強度等がある。
この反復運動テンポ検出部4は、一時的に大きく変動した反復運動テンポの値を除いたり、数ステップにわたる移動平均値をとったりする。
5は心拍数検出部であり、使用者が歩行又は走行している反復運動時の心拍数を検出する。アシストモードにおいて使用される。心拍数と脈拍数とは同一値であるから、本発明の実施の形態では用語を心拍数に統一している。
音楽テンポ及び曲調指示部6は、この他、ミュージック・リスニングモードにおいて、曲調あるいは曲調評価パラメータの値のみを指示する場合がある。
音楽テンポ及び曲調指示部6は、データ記憶部2から、現に再生されている音楽データの、再生位置、音楽テンポ値、及び、曲調評価パラメータ値等のデータを取得している。
音楽データ再生部8は、再生制御部7が選択した音楽データを、その音楽データが波形データ形式、演奏データ形式のいずれの場合でも、そのオリジナルの音楽テンポで再生し、音響信号をスピーカやヘッドフォンに出力する。
その他、アルバム再生(所定の順番、例えば、データ記憶部2に保存された順番で複数曲を連続再生)、シャッフル再生(ランダムな順番で複数曲を連続再生)等の機能を有する。
より具体的には、音楽テンポ及び曲調指示部6は、反復運動テンポ検出部4により検出された反復運動テンポの値が、現に音楽データ再生部8により再生されている音楽データの有する音楽テンポの値を基準とする所定範囲を外れたとき、上述した反復運動テンポの値に一致する値の音楽テンポを指示する。
再生制御部7は、音楽テンポ及び曲調指示部6により指示された音楽テンポの値と略同じ値(指示された値そのものを含む)、より具体的には、指示された音楽テンポの値を基準とする所定範囲内の音楽テンポを有する音楽データを、データ記憶部2に格納された複数の音楽データの中から選択し、選択した音楽データを音楽データ再生部8に再生させる。
なお、再生時に許容される音楽テンポ値の範囲が設定された演奏データ形式の音楽データを再生する場合、指示された音楽テンポの値を含む音楽テンポ値の範囲が設定されている演奏データ形式の音楽データを選択すればよい。
そのため、新たに選択された音楽データの再生開始後、所定時間(例えば、30秒)を経過するまでは、音楽テンポ及び曲調指示部6が、音楽テンポ値を変更指示しないようにしてもよい。この場合、運動開始時に、最初に再生される音楽データについても同様に、上述した所定時間を経過するまでは、音楽テンポ値を変更指示しないようにする。
データ記憶部2には、指示された音楽テンポの値に等しい値の音楽テンポを有する音楽データ(波形データ形式音楽データ)が、1曲も格納されていない場合がある。そのため、所定範囲内にあるものを選択する。
従って、指示された音楽テンポの値に等しい値の音楽テンポを有する十分な数の音楽データ(波形データ形式音楽データ)が格納されている場合は、指示された音楽テンポの値に等しい値の音楽テンポを有する音楽データのみを選択するようにしてもよい。
そのため、再生制御部7は、音楽テンポ及び曲調指示部6に指示されている音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有する次の音楽データを、データ記憶部2に保存された複数の音楽データの中から選択する。
使用者が音楽テンポに合うように自身の反復運動テンポを変えれば、実績心拍数が目標運動強度に対応する目標心拍数に近づくように誘導されるから、使用者は目標運動強度で反復運動ができるようになる。
一方、現に再生されている音楽データの再生区間が終了するときに、実績心拍数が、目標運動強度に対応する目標心拍数から、上述した第1の所定範囲内である第2の所定範囲(適正範囲)を超えているときは、指示する音楽テンポの値を、実績心拍数と目標運動強度に対応する目標心拍数との差が小さくなるように、再生されている音楽データの有する音楽テンポの値を基準にして変更し、かつ、再生制御部7に対し、現に再生されている音楽データの再生区間が終了した後に、変更した音楽テンポの値に応じた音楽テンポを有する音楽データを再生するように指示する。再生制御部7は、変更された音楽テンポの値に応じた値の音楽テンポを有する音楽データを新たに選択し、音楽データ再生部8に再生させる。
なお、現に再生されている音楽データの再生区間が終了するまでに、実績心拍数が、目標運動強度に対応する目標心拍数から、上述した第2の所定範囲(適正範囲)を超えていないとき、音楽テンポ及び曲調指示部6は、これまで指示していた音楽テンポ値をそのまま指示する。再生制御部7は、音楽テンポ及び曲調指示部6に指示されている音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有する次の音楽データを、データ記憶部2に保存された複数の音楽データの中から選択する。
この具体例において、先に、再生制御部7の説明において触れたように、運動開始時に最初の音楽データの再生開始後、及び、新たに選択された音楽データの再生開始後、所定時間(例えば、30秒)を経過するまでは、実績心拍数が第1,第2の所定範囲を超えても、音楽テンポ及び曲調指示部6が、音楽テンポ値を変更指示しないようにすれば、再生音楽データの変更が頻繁に生じないようにすることができる。
上述した目標心拍数(目標運動強度)は、反復運動の主運動期間において所定の一定値を設定する。反復運動の運動開始段階においては、所定の初期値から経過時間に比例して増加し、反復運動の主運動期間になったときに上述した所定の一定値になるようにする。反復運動の運動終了段階においては、上述した所定の一定値から、経過時間に比例して減少し、運動終了時の所定の最終値になるように設定する。
上述した説明では、音楽テンポ及び曲調指示部6において、実績心拍数と目標運動強度に対応する目標心拍数とを比較していたが、心拍数[bpm]と運動強度[%](予測最大心拍予備能に対するパーセント)とは換算可能であるから、実績運動強度と目標運動強度とを比較してもよい。
本明細書において、目標心拍数、心拍数(実績心拍数)というとき、これらは、目標運動強度、運動強度(実績運動強度)に換算して比較する場合を含む。
なお、再生制御部7は、現に再生されている音楽データから新たに選択した音楽データの再生に切り替える前に、つなぎ用の音楽データを再生させてもよい。
実施の一形態では、ミュージック・リスニングモード、フリーモード、アシストモードという3つのモードがある。モードによっては適用できない機能がある。適用可能な場合であっても、適用しない設定にすることもできるため、適用可能な場合に○/×の表記をした。△/×の表記は、一部の機能が適用可能であることを示している。
各機能を、図1のブロック構成図も参照して、以下、説明する。
音楽データを再生中に、使用者が、気分や運動意欲と合って心地よい曲であると感じたときにホールド操作子を操作することによって実行される。
全てのモードにおいて適用可能であるが、ミュージック・リスニングモードに適用するのが一般的である。
ただし、アシストモードでは、使用者に適した運動計画に従って音楽テンポを指示するモードであるため、このホールド操作により、音楽テンポの値を、現に再生している曲の音楽テンポと同じ値に固定しまう場合は、本来の機能を損なうことになる。従って、曲調のみにホールド機能を適用するか、適用を全面的に禁止した方がよい場合もある。しかし、アシストモードの一時停止の機能として利用することもできる。
この機能は、全てのモードに適用可能である。しかし、指示された音楽テンポ及び又は曲調等の条件がある場合などにおいて、この機能は、これらの条件を満たす、再生候補データの中で、使用者の好みが大きい曲ほど高い再生確率で再生されるようにする。
複数の曲の音楽テンポ値が同じであっても、曲によって使用者に与える音楽テンポの心理的な効果が異なる。そのため、運動をしながら音楽を聴く場合に、音楽テンポに加えて使用者の運動に適した曲調を条件として選曲する機能である。
フリーモード、アシストモードに適用可能である。
データ記憶部2には、複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポ及び曲調評価パラメータの値とともに格納されている。
音楽テンポ及び曲調指示部6は、音楽テンポの値及び使用者の現在の運動状態に応じた曲調評価パラメータの値を指示する。
フリーモードにおいては、再生される音楽データが有する音楽テンポの値が反復運動テンポに追従するように、音楽テンポの値が指示される。アシストモードにおいては、使用者の運動強度(実績運動強度)が目標運動強度を維持するように、再生される音楽データが有する音楽テンポの値が指示される。曲調は、音楽テンポの値が指示される際に、併せて指示される。
上述した曲調評価パラメータは、音楽データの内容が、音楽テンポを速いと感じさせるか遅いと感じさせるかを評価した値であって、図1の音楽テンポ及び曲調指示部6について先に説明した「エキサイト度」である。
従って、上述した音楽テンポ及び曲調指示部6は、音楽テンポの値として使用者の運動開始段階に応じた値を指示するとともに、曲調評価パラメータの値として音楽テンポを速く感じさせる数値範囲内にある値を指示する。
また、アシストモードの主運動段階の後に設けられる運動終了段階の運動状態においては、使用者は気分を沈静化させようとするから、音楽テンポを遅く感じさせる曲調が適している。
従って、上述した音楽テンポ及び曲調指示部6は、音楽テンポの値として使用者の運動終了段階に応じた値を指示するとともに、曲調評価パラメータの値として音楽テンポを遅く感じさせる数値範囲内にある値を指示する。
なお、フリーモードにおいても、上述した運動開始段階、運動終了段階を、それぞれ、フリーモードでの運動期間(主運動段階となる)の前後に設ける場合に適用可能である。
一方、アシストモードにおいては、心拍数検出部5と、初期音楽テンポ値及び目標運動強度を設定する設定部3を有する。音楽テンポ及び曲調指示部6は、音楽テンポの値として、設定部3により設定された音楽テンポを初期値とし、心拍数検出部5により検出された心拍数と設定部3により設定された目標運動強度に対応する目標心拍数との差が小さくなる値を指示する。
アシストモードに適用可能である他、運動開始時における音楽テンポ(反復報知テンポ)の値や、反復運動における最速音楽テンポ(最速反復報知テンポ)の値の修正については、フリーモードにおいても適用可能である。
ここで、最速音楽テンポ(最速反復報知テンポ)について説明しておく。
ある運動の形態(ウォーキング、ジョギング等)において適する反復運動テンポには最速値があることが知られている。例えば、ウォーキング運動中に、反復運動テンポを早くして行くと、ウォーキングの運動形態を維持することが無理になり、ジョギングの運動形態で運動した方が望ましくなる。
音楽テンポは、同じ値の反復運動テンポで運動するように使用者を誘導するから、音楽テンポ(反復報知テンポ)についても、最速値、すなわち、最速音楽テンポ(最速反復報知テンポ)を設定する。しかし、使用者に適した値にする必要がある。
この場合、図1における、「複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポとともに格納されたデータ記憶部2及び音楽データ再生部8」が報知部、再生制御部7が報知制御部、音楽テンポ及び曲調指示部6が反復報知テンポ指示部という機能ブロックになる。
図3(a)に示すように、データ記憶部2には、複数の音楽データファイルが格納されている。音楽データファイルには、波形データ形式と演奏データ形式とがあり、例えば、楽曲毎にファイル化されている。図示の例では、データ形式毎に領域が分かれているが、混在していてもよい。
波形データ形式には、WAV形式(非圧縮の波形データ形式)、MP3(MPEG-1 Audio Layer-III)等の種々の圧縮方式で圧縮された波形データ形式がある。
演奏データ形式には、MIDIメッセージとイベントタイミングデータとがペアになって記述されたSMF(Standard MIDI File)等のMIDIシーケンスのフォーマットがある。
これらの音楽データファイルは、音楽管理データリストによって管理される。音楽管理データリストを設けない場合は、各音楽データファイルの音楽管理データが、それぞれの音楽データファイルに含まれるようにすればよい。
管理番号は、音楽データファイルを特定する。曲名は、音楽データの曲名である。作曲者名、アーティスト名といった著作権情報や、音楽ジャンル名を加えてもよい。種別データは、波形データ形式であることを示す。
音楽テンポはオリジナル音楽テンポである。
再生回数は、この音楽データがこれまでに再生された回数であり、一種の再生履歴である。リセットされない限り電源をオフにしても保存している。1回の運動期間(セッション)の終了時にリセットしてもよい。
再生優先度(再生優先度ポイント)は、複数の曲をランダムに選曲して再生する際に、その再生確率を決めるパラメータである。1セッション中は、再生優先度を上げる操作及び再生優先度を下げる操作に従って変更設定され、セッション終了時にリセットされる。又は、電源をオフにするまで保存してもよいし、電源をオフにしてもリセットされるまでは保存するようにしてもよい。
なお、音楽データファイルの記憶領域を、音楽データファイルに付された管理番号等で参照できる場合には、音楽データ先頭アドレス、音楽データ長を記述しなくてもよい。
再生開始位置は、各音楽データにおける再生開始位置を、音楽データ(曲)の開始位置からの時間(秒)あるいはクロック(1拍の時間を細分化した単位、1クロックに対応する時間は、音楽テンポ値に応じて変化する)を単位として表す。
再生終了位置は、各音楽データにおける再生終了位置を、音楽データ(曲)の開始位置からの時間あるいはクロックを単位として表す。
上述した図3(b)の波形データ形式と同様のものである。種別データは、演奏データ形式であることを示すものとなる。
図1のデータ記憶部2を参照して説明した通り、音楽テンポは、音楽テンポ値を記述する場合と、音楽テンポ値の範囲を記述する場合がある。
この図は、音楽データファイルに曲が再生時間軸を基準にどのように記録されているかを模式的に示すものである。
図4(a)〜図4(d)は、曲の長さ別に、音楽データの曲内容を示している。
実際の波形データ形式の音楽データファイルには、波形のサンプリングデータ以外に、ヘッダやタグ等が含まれる。また、演奏データ形式の音楽データファイルもまた、ヘッダ等が含まれる。図4では、これらの付加データについては無視している。
前奏(イントロダクション)部は、主題へ入る前に演奏される導入部分である。本明細書では、単に曲の初めの部分を意味する。前奏部では作曲手法上、曲調がそれ以後の部分とは異なり、曲の開始を感じさせる曲調である場合がある。また、無音期間から始まったり、伴奏のみの演奏であったりする。
後奏部(エンディング)は、主題が終了した後の部分である。本明細書では、単に曲の終わり部分を意味する。後奏部では、作曲手法上、曲調が大きく変化して曲の終了を感じさせる場合がある。伴奏のみの演奏であったり、無音期間で終わったりする。
前奏部及び後奏部は、曲の自動解析によって検出するのがよいが、単に時間長で決めてもよい。例えば、前奏部は音楽データの開始位置から20秒まで、後奏部は音楽データの終了位置からさかのぼって60秒以後とする。
一方、ミュージック・リスニングモードにおいて、音楽データ再生部8は、曲(音楽データ)の開始位置から終了位置まで再生するようにした方がよい。
以下、フリーモード又はアシストモードにおける再生区間について説明する。
図4(b)に示す曲は、再生時間が所定の例えば1分以上3分以下であり、再生対象とする。
図4(c)に示す曲は、再生時間が、所定の例えば3分超のものであり、所定の3分を限度に再生対象とする。図示の例では、後奏部の開始位置を再生終了位置とする再生区間を決めている。これに代えて、前奏部終了位置を再生開始位置とする再生区間を決めてもよい。
しかし、ある音楽テンポ値及びその近傍の音楽テンポを有する曲の数が少ない場合は、上限を設けることなく、前奏部及び後奏部を除いた最大の区間を再生区間にしてもよい。
この場合、音楽テンポが略一定している再生区間のそれぞれを、異なる音楽テンポを有した独立の曲(音楽データ)として利用する。ただし、それぞれの再生時間が、所定の、例えば1分以上3分以下であることを条件とする。
図4(d)の音楽データファイルに対する音楽管理データは、図4(a)〜図4(c)とは異なったものとなる。
例えば、前半の再生区間と後半の再生区間とで異なる管理番号を付ける。音楽テンポ、曲調評価パラメータは、前半の再生区間と後半の再生区間とでは異なる値を指示する。
音楽データ先頭アドレス、音楽データデータ長は、前半の管理データと後半の管理データとでは同じ値を指示する。前半の再生区間の再生終了位置と後半の再生区間の再生開始位置とは、テンポ変更位置と一致する。
一具体例として、加速度センサを内蔵した携帯型音楽再生装置として実現する場合を示す。この装置は、使用者が自分の腰付近又は腕に装着し、耳たぶ用心拍数検出器は、ヘッドフォンに備えられている。
図中、11はCPU(Central Processing Unit)、12はフラッシュROM(Read Only Memory
)、又は、小型で大容量のハード磁気ディスクである。13はRAM(Random Access Memory)である。
フラッシュROM12は、また、図1に示したデータ記憶部2として用いられ、複数の音楽データ及び音楽管理データリストが保存されている。
CPU11は、フラッシュROM12に保存された音楽データの中から、音楽データを選択したとき、選択された音楽データを、RAM13に一時記憶させる。CPU11は、音楽データを再生させるとき、RAM13に一時記憶された音楽データを波形再生部20に転送する。
設定操作は、メニュー選択方式で行う。操作部14におけるメニューボタンを押す毎に表示部15に表示するメニュー項目を順次切替え、各メニュー項目における設定内容を、例えば、2個の選択ボタンの一方を押したり、両方を同時に押したりして選択し、メニューボタンを押すことにより、選択された設定内容を確定する。
反復運動テンポ検出器16、又は、CPU11は、加速度センサの出力に基づいて、歩行ステップのタイミングを抽出するアルゴリズムを実行し、1ステップの時間長を計測し、反復運動テンポを計算する。
電源19は、内蔵電池である。AC電源アダプタを用いることもできる。また、後述するUSB端子を介して、外部装置から電源供給を受けることもできる。
音楽データ再生回路20は、CPU11において選択され、再生指示された音楽データをRAM13から入力し、アナログ信号に変換し、増幅してヘッドフォン,イヤフォン,スピーカ21等に出力する。
音楽データ再生回路20は、入力データ形式に応じて、個別のハードウエアブロックで実現してもよい。また、一部の処理をCPU11においてソフトウエアプログラムを実行することにより実現してもよい。
次に、パーソナルコンピュータ22は、ダウンロードした音楽データに音楽テンポや曲調評価パラメータが含まれていないとき、これらを分析するプログラムを実行する。
パーソナルコンピュータ(PC)22は、また、自身のHD(Hard Disk)に保存されている音楽データやCD(Compact Disc)などの記録媒体から取り込んだ音楽データについて分析し、音楽データとともに、音楽テンポ、曲調評価パラメータ等の音楽管理データを取得して記憶してもよい。
なお、波形データ形式の音楽データを分析して、音楽テンポを自動抽出する技術は、特開昭64−21498号公報、特開平8−201542号公報等で周知である。
サーバ装置23に更新ファームウエアが用意されている場合は、パーソナルコンピュータを介して、フラッシュROM12に記憶されたファームウエアの更新ができる。
フラッシュROM12に格納されている、音楽管理データを伴う複数の音楽データは、本装置の工場出荷時にプリセットデータとして格納しておくこともできる。
本装置は、また、屋内運動用、例えば、トレッドミル(treadmill)上でランニングをするような場合に、据置き型にして実現することもできる。
上述した具体例は、いずれも、音楽再生装置であったが、音楽再生機能、データ記憶部、音楽データ書き込み機能の少なくとも1つの機能は、外付けの装置に持たせることにより、音楽再生制御機能のみを有する装置として本発明を実現することもできる。
具体的には、音楽再生機能、音楽データ記憶機能、音楽データ取得機能は、MP3プレーヤ等の既存の音楽データ再生装置で実現するようにし、この既存の音楽データ再生装置に、音楽再生制御用インタフェースを備えつけて、このインタフェースを介して音楽再生制御機能のみを有する装置を外付けする。
図5に示したCPU11がファームウエアに従って、各ステップの処理が実行される。電源スイッチをオンにすることにより処理が開始される。
S31において、装置を初期化する。S32において、入力操作があるときは、S33に処理を進め、図7に詳細を示す機器設定をする。
S34において、再生フラグがONのとき(後述する図7(機器設定)のS55)、S35に処理を進め、図8に詳細を示す再生処理を実行する。
S36において、曲選択フラグがON(後述する図8(再生処理)のS69)のとき、S37に処理を進め、図13に詳細を示す曲選択処理を実行し、S38に処理を進める。S38において、音楽管理データリスト(図3)に保存されている、選択された音楽データの再生回数を+1し、曲選択フラグをOFFにしてS32に処理を戻す。
機器設定はメニュー選択方式でなされるが、このフローチャートでは、何を設定するかに着目して処理を説明する。
S41において、入力操作が使用者の個人情報(身体情報を含む)の設定であれば、S42に処理を進め、性別や暦年齢等の使用者に応じた個人情報の入力を受付け、S43において、入力されたデータを個人情報としてフラッシュROM(図5の12)に登録する。
S46において、ペースアップ操作であればペースアップフラグをON、ペースダウン操作であればペースダウンフラグをONにし、S47に処理を進める。
S47において、フラッシュROM(図5の12)に記憶された運動目標パラメータ,身体情報を書き替えて、S48に処理を進める。
入力操作がスキップ操作であれば、音楽管理データリスト(図3)における、現に再生されている音楽データの再生優先度ポイントを減らす(例えば、−1する)ことにより、現に再生されている音楽データの再生確率を低くする。
また、スキップフラグをONにすることにより、後述する図8(再生処理)のS62,S63により、現に再生されている音楽データの再生を停止させ、S78において曲選択フラグがONとなる。
また、頭出しフラグをONにすることにより、後述する図8(再生処理)のS64,S65により、現に再生されている音楽データの再生開始位置から、再生を再開することになる。
指示された音楽テンポは、後述する図14のS122において選択条件とし、指示された曲調評価パラメータは、後述する図16のS132において選択条件とする。
S52において、入力操作がモード選択であれば、S53に処理を進め、指示されたモード(ミュージック・リスニングモード、フリーモード、アシストモード)を設定する。
S56において、入力操作が再生停止操作であれば、S57に処理を進め、再生フラグをOFFに戻す。
S58において、その他の操作に応じて処理を実行する。
図1,図2を参照して説明した、第1の機能である、優先するデータ形式の設定をする操作、第2〜第5の機能を有効にするか無効にするかを設定する操作、第5の機能における、修正後の運動目標パラメータの値、身体情報の値を確定して保存する操作等がある。
ミュージック・リスニングモードである場合、S61からS62に処理を進める。
S62において、スキップフラグがONであれば、S63に処理を進め、スキップフラグをOFFにした後、S69に処理を進め、曲選択フラグをONにし、図6(メイン処理)のS36に戻る。その結果、現在の再生曲の再生が中断される。図6(メイン処理)のS36からは、S37(図13)の曲選択に処理を進めることになる。
S66において、現在の再生位置の音楽データを、音楽データ再生回路(図5の20)に再生させ、図6(メイン処理)に処理を戻す。
S64において、頭出しフラグがOFFであれば、S67に処理を進め、現に再生されている音楽データの次の再生位置を指示し、S68に処理を進める。
S68において、現在の再生位置が再生終了位置でなければ、S66に処理を進め、再生終了位置でなければ、S69に処理を進め、曲選択フラグをONにする。
一方、S71において、ホールドフラグがOFFであれば、S72に処理を進め、反復運動テンポ検出器(図15の16)により検出された使用者の反復運動テンポを取得する。
すなわち、反復運動テンポを検出し、反復運動テンポに応じた音楽テンポを指示する。この処理については、フローチャートの図示を省略し、図9を参照し、具体例を用いて説明する。
S74において、音楽テンポの値を直ちに変更する指示がなされたときは、S69に処理を進め、曲選択フラグをONにする。一方、音楽テンポを直ちに変更する指示がなされていないときは、S62に処理を進め、ミュージック・リスニングモードと同様の処理をする。
一方、S76において、ホールドフラグがONでなければ、S77に処理を進め、心拍数検出器(図5の17)により使用者の心拍数を取得する。
S78において、アシストモードにおける音楽テンポを指示する。すなわち、使用者の実績運動強度(又は実績心拍数)と目標運動強度(又は目標心拍数)とに応じて、音楽テンポの値を指示する。
S78の処理後は、S74に処理を進め、音楽テンポを直ちに変更する指示がなされたときは、S69において曲選択フラグをONにし、音楽テンポを直ちに変更する指示がなされていない場合は、S62に処理を進め、ミュージック・リスニングモードと同様の処理をする。
上述したS75において、アシストモードでもなければ、S79に処理を進め、その他の処理をし、図6(メイン処理)のS38に戻る。
反復運動テンポ検出器(図5の16)は、歩行の1ステップ毎にステップタイミング(開始タイミング)を出力している。CPU(図5の11)は、歩行の1ステップに要した時間(ステップ時間)を計測し、計測結果に基づいて、1分間当たりの歩行ステップ数[bpm](Beat Per Minutes:拍/分)を計算し、これを反復運動テンポの値とする。実際には、複数ステップ分についての移動平均をとる。
一方、現に再生中の曲の音楽テンポ値を取得する。音楽テンポの単位も[bpm]である。
その結果、図6(メイン処理)のS37の処理である、後述する図13(曲選択)のS105において、新たに指示された音楽テンポ135[bpm](破線)を基準とした所定範囲(2)(135±135×3%[bpm])に含まれる音楽テンポを有し、さらに、S104以降において、後述する他の条件(曲調評価パラメータの値、再生回数、再生優先度ポイント)をも満足する音楽データ、図示の例では、133[bpm](白丸)(一点鎖線)の音楽データBを、フラッシュROM(図5の12)に格納された音楽データの中から選択し、RAM(図5の13)に書き込む。以後、この新たに選択された音楽データBの音楽テンポ133[bpm]を中心とする所定範囲(3)(133±3[bpm])と、反復運動テンポとを比較することになる。
一方、上述した所定範囲(2)は、変更後の反復運動テンポ±(所定差)としてもよい。変更後の反復運動テンポと略同じ値であればよい。
図10は、図1に示した設定部3に対する設定項目の一例を示す説明図である。
図10(a)は設定項目の概要である。個人情報は、生年月日,性別,身長,体重,安静時心拍数等であって、主としてアシストモードに関するものである。
安静時の心拍数は、起床時の心拍数である。この値は、本装置に付属の心拍数検出器17(図5)で測定して入力するか、市販の心拍計で計測した値を使用者が入力する。
最大心拍数=220−暦年齢 ……………(1)
安静時の心拍数及び最大心拍数に基づいて、予測最大心拍予備能のn[%]、すなわち、n%HR Reserveに相当する心拍数が次式で計算される。
n%HR Reserveに相当する心拍数=
(最大心拍数−安静時心拍数)×n/100+安静時心拍数 ………(2)
ここで、予測最大心拍予備能(HR Reserve)は、(最大心拍数−安静時心拍数)である。
n[%]は運動強度であり、予測最大心拍予備能を基準とした比率である。心拍数が安静時心拍数のとき0[%]、最大心拍数のとき100[%]になる。
運動強度n[%]=
(心拍数−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)×100 ………(3)
以後、心拍検出器(図5の17)により実測される心拍数を実績心拍数と呼び、式(3)により換算される運動強度を実績運動強度と呼ぶことにする。
その他の設定項目としては、図7(機器設定)のS58において説明した諸機能のON/OFF(有効/無効)設定のほか、運動時間の設定等がある。設定された運動時間が終了したとき、音楽データの再生を終了させたり、クールダウンの段階に移行させたりする。
アシストモードにおいては、運動形態、各使用者の個人情報、運動時間等に基づいて、使用者に適した運動計画を自動的に決定する。
アシストモードにおいて、1運動期間(セッション)は、ウォーミングアップ段階から始まり、次に主運動段階、最後にクールダウン段階になって終了する。
ウォーミングアップ段階は、運動開始後、所定時間経過するまでの段階である。この実施の形態では、目標運動強度を徐々に大きくする。クールダウン段階は、運動終了時点の所定時間前から運動終了時点までの段階である。この実施の形態では、目標運動強度を徐々に小さくする。
なお、先に説明したフリーモードにおいても、反復運動テンポに追従した音楽テンポを指示する運動段階の前後に、ウォーミングアップ段階,クールダウン段階を設けてもよい。
図10(b)の主運動段階において、目標運動強度は70[%]の一定値であり、ウォーミングアップ段階において、目標運動強度は30[%]を初期値として、主運動段階における目標運動強度70[%]まで、例えば、直線的に増やし、クールダウン段階において、主運動段階における目標運動強度70[%]から50[%]を最終値として、例えば、直線的に減らす。
なお、運動開始後、所定時間(例えば、30秒)を経過するまでは、音楽テンポ値を変更指示しないようにした場合、この所定時間(例えば、30秒)内における目標運動強度は、音楽テンポ値の指示に反映されない。
図1に示した、音楽テンポ及び曲調指示部6が指示する音楽テンポ値には、上限(最速音楽テンポ値200[bpm])が設定されている。図1,図2を参照して第5の機能に関して説明したように、運動形態に応じて、反復運動テンポの値に最速値があることが知られていることから、指示する音楽テンポ値に上限を設定している。
なお、クールダウン段階の開始時に、実績運動強度が、適正範囲の下限である65[%]以上であれば、現に再生されている曲の再生音楽テンポより7[%bpm]小さな値の音楽テンポ値を、このクールダウン段階の開始時に指示する。
図10(c)については、設定値が異なるだけであるので説明を省略する。
音楽テンポの値を指示する処理は、次の通りである。
心拍数検出器17(図5)により検出された実績心拍数(HR)[bpm]に基づいて、先に説明した、式(3)に基づいて実績運動強度[%]を計算する。以下の説明では、実績心拍数を実績運動強度に換算して、目標運動強度と比較する。
実績運動強度は、移動平均をとった値を用いることが望ましく、例えば、直前20秒程度の移動平均をとる。
現在の運動経過時間における使用者の実績運動強度が、目標運動強度からの適正範囲を超えないときは、音楽テンポを変更しない。
上述した適正範囲、警告範囲は、「目標運動強度」からの差で決めているが、「目標運動強度」からこの「目標運動強度」の所定比%としてもよい。
なお、ジョギングモードのウォーミングアップ段階において、適正範囲は、(現時点における目標運動強度−5)[%]以上、75[%]以下としている。警告範囲は、85[%]を上に超える範囲、(現時点における目標運動強度−15)[%]を下に超える範囲としている。
ジョギングモードのクールダウン段階においては、警告範囲のみを設定し、75[%]を上に超える範囲としている。
例えば、現在の音楽テンポの指示値が165[bpm]であって、この値を基準とする所定範囲(1)(165−165×0.03以上165+165×0.03以下)にある音楽テンポ167[bpm](白丸、一点鎖線)を有する音楽データCが現に再生されている。このとき、音楽データCの音楽テンポ167[bpm]を、図示矢印のように直ちに5[%]上げた値、すなわち、167×1.05=175[bpm](破線)の音楽テンポを指示する。
一方、実績運動強度が、例えば87[%](実績心拍数160[bpm])となって上側の警告範囲に入ったときは、音楽テンポの指示値を、音楽データCの音楽テンポ167[bpm]を直ちに5[%]下げた値の音楽テンポを指示する。
図示の例では、音楽テンポの指示値を、現に再生されている音楽データCの音楽テンポ167[bpm](白丸)を基準に5[%]上げる。一方、適正範囲の上方に変動したときは、音楽テンポの指示値を、音楽データCの音楽テンポ値167[bpm]を基準に5[%]下げた値とし、現に再生されている音楽データの再生が終了した後に再生する音楽テータを選択する際の条件とする。
一方、実績運動強度が適正範囲内にあるとき、指示する音楽テンポの値を変更することなく、次の曲選択を行う。
その結果、後述する図13(曲選択)のS105以降の処理において、変更後の音楽テンポの指示値の±3[%]の範囲内に、その音楽テンポ値177[bpm]を有し、音楽テンポの値以外の選択条件も満足する音楽データDが選曲され、音楽データDの再生が開始される。
なお、再生を開始したときも、S69に処理を進めて、曲選択フラグをONにして、曲選択を行う。
一方、音楽テンポの指示値は、現に再生されている音楽データCの音楽テンポを基準に所定値を加減算した値としてもよい。
運動開始時において指示される音楽テンポ初期値[bpm]、最速音楽テンポの値は、図10(b),(c)を参照して説明したように、運動前の設定項目の値に基づいた値が設定されている。
また、指示される音楽テンポの値は、目標運動強度の設定値に応じて指示される。
ここで、アシストモードにおける再生においては、図7(機器設定)のS44,S45において検出した、ペースアップ/ペースダウン操作により、図8(再生処理)のS78において、音楽テンポを使用者に適した値に修正して指示できるようにする。
まず、図12(a)の下方を参照し、初期音楽テンポの修正について説明する。
初期音楽テンポ値は145[bpm]に設定されており、ウォーミングアップ段階の開始時、すなわち、運動開始時に指示され、図8(再生処理)のS78からS74を経て、S69において曲選択フラグがONとなる。
その結果、図6(メイン処理)のS37の詳細を示す、後述する図13(曲選択)のS105以降の処理において、この初期音楽テンポ値を中心とする範囲(1)(145−145×0.03[bpm]以上145+145×0.03[bpm]以下)であって、音楽テンポの値以外の選択条件も満足する音楽データ、例えば、音楽テンポ値146[bpm]の音楽データEが選択されている。
図8(再生処理)のS78において、運動開始後30秒以内に、ペースアップフラグ又はペースダウンフラグがONになった場合、それぞれ、音楽テンポの値を、現に再生されている音楽データEの音楽テンポ値146[bpm]を5%上げた値(146+146×0.05[bpm])又は5%下げた値(146−146×0.05[bpm])とする。
この処理を終了した後は、ペースアップフラグ又はペースダウンフラグをOFFに戻す。
図8(再生処理)のS78からS74を経て、S69において曲選択フラグがONとなり、図6(メイン処理)のS37の詳細を示す、後述する図13(曲選択)のS105以降の処理において、修正された音楽テンポの値を139[bpm]を中心とする±3%の範囲(2)内に、その音楽テンポ値140[bpm]を有し、音楽テンポの値以外の選択条件も満足する音楽データFが新たに選択され、その再生が開始される。
運動開始後30秒以内に、再度、ペースアップフラグ又はペースダウンフラグがONになった場合は、現に再生されている音楽データ、例えば、上述した音楽データFの音楽テンポ値140[bpm]を基準に、これを5%上げた値又は5%下げた値の音楽テンポを指示する。
ジョギングモードにおける最速音楽テンポの値200[bpm]が現に指示されているとき、この値を基準に200−200×0.03[bpm]以上200+200×0.03[bpm]以下の範囲(5)内に音楽テンポ値を有する音楽データが選択されている。例えば、音楽テンポ198[bpm]の音楽データGが選択されている。
一方、ペースダウンフラグがONになったときは、指示する音楽テンポの値を、現に再生されている音楽データGの音楽テンポ値198[bpm]を5%下げた値とする。処理を終了した後、フラグをOFFに戻す。
図8(再生処理)のS78からS74を経て、S69において曲選択フラグがONとなり、図6(メイン処理)のS37の詳細を示す、後述する図13(曲選択)のS105以降の処理において、指示された音楽テンポの値208[bpm]を中心とする±3%の範囲(6)内に、その音楽テンポ値209[bpm]を有し、音楽テンポの値以外の選択条件も満足する音楽データHが新たに選択され、その再生が開始される。
なお、ペースアップ操作がされた時には、次にはペースダウン操作しかできないようにし、ペースダウン操作がされた時には、次にはペースアップ操作しかできないようにすることにより、最速音楽テンポの値の変更制御を制限してもよい。
現在の音楽テンポ値として165[bpm]が設定されているとき、この設定値から±3[%]の範囲(3)内の曲が選択されている。例えば、音楽テンポ166[bpm]の音楽データIが選択されている。
ペースアップフラグ又はペースダウンフラグがONになった場合、図8(再生処理)のS78において、指示する音楽テンポの値を、直ちに、現に再生されている音楽データIの音楽テンポ値の5%アップ又は5%ダウンさせた値とする。この処理が終了した後は、ペースアップフラグ又はペースダウンフラグをOFFに戻しておく。
図8(再生処理)のS78からS74を経て、S69において曲選択フラグがONとなる。その結果、図6(メイン処理)のS37の詳細を示す、後述する図13(曲選択)のS105以降の処理において、この音楽テンポ値174[bpm]を中心とする±3%の範囲(4)内
に、その音楽テンポ値176[bpm]を有し、音楽テンポの値以外の選択条件も満足する音楽データJが新たに選択され、その再生が開始される。
図12(a)における上述した所定範囲(1)〜(6)は、現に指示されている「音楽テンポの値」から±(この「音楽テンポの値」の所定比%)としているが、この「音楽テンポの値」±(所定差)としてもよい。
なお、主運動段階における、使用者がペースアップ/ペースダウン操作に対してのみ、目標心拍数を変更する処理を行うように機能制限してもよい。
図12(b)は、アシストモードにおける運動計画を変更する処理の説明図である。
使用者の現在の実績運動強度は、67[%](実績心拍数138[bpm])である。ここで、使用者がペースアップ操作又はペースダウン操作をしたとすると、図12(a)の中央に示したように、再生される音楽データが有する音楽テンポが変更される。使用者は、再生される音楽データが有する音楽テンポに追従して反復運動テンポを変更するから、使用者の実績心拍数が変化することになる。
取得した実績心拍数の値150[bpm]が目標運動強度70[%]となる運動計画を作成する。
以後は、ペースアップ/ペースダウン操作後の実績心拍数を目標心拍数とする運動計画に修正して音楽テンポの値を指示するから、使用者の運動能力に適合した音楽テンポが指示される。
ここで、上述した最大心拍数は、式(1)を用いて暦年齢から推定していた。従って、上述したように最大心拍数を変更するということは、暦年齢を変更することに相当する。変更後の暦年齢を体力年齢と言い換えると、体力年齢に従った運動計画に従って、音楽テンポを指示することになる。図示の例では、体力年齢を32才に修正することになる。
なお、実績心拍数を用いる場合は、実績心拍数を修正された目標心拍数を基準に比較することになる。
なお、初期音楽テンポ値145[bpm]を修正して指定した音楽テンポ値を運動開始時の初期音楽テンポ値として保存した場合でも、数値自体は余り変わらない。しかし、実際に再生されて使用者が聴いていた音楽データが有する音楽テンポ値の値を保存する方が、好ましい。
なお、最速音楽テンポ値を修正して指定した音楽テンポ値を最速音楽テンポ値として保存した場合でも、保存される数値自体は余り変わらない。しかし、実際に再生されて使用者が聴いていた音楽データが有する音楽テンポ値の値を保存する方が、好ましい。
この処理は、再生の開示時、音楽テンポを直ちに変更する指示があったとき、又は、現に再生されている音楽データが再生終了位置になったときに、図8(再生処理)のS69において、曲選択フラグがONとなることにより実行される。
音楽データを選択するために参照される条件は、次の通りである。上位の条件を満たすものが再生候補リストに登録され、登録されたものの中から、次の順位の条件を満たすものに絞り込まれる。
S111〜S112において判定する第2の条件は、これまでの再生回数が少ない音楽データを選択するという条件である。
S114において判定する第3の条件は、図1,図2を参照して説明した第2の機能、第4の機能と関係する。使用者によりホールド操作された再生音楽データの曲調評価パラメータと略同じ曲調評価パラメータを有する音楽データであるという条件、又は、運動に適した曲調評価パラメータを有する音楽データであるという条件である。
S116において判定する第4の条件は、図1,図2を参照して説明した第3の機能と関係する。
使用者が好む曲を学習した結果得られる再生優先度ポイントに応じた再生確率で音楽データが選択されるという条件である。
S101において、再生候補リストを初期化する。
S102において、波形データ形式を優先する設定(図7(機器設定)のS58)であれば、S103に処理を進め、ミュージック・リスニングモードであれば、S104に処理を進め(この実施の形態では音楽テンポの値を条件としない)、S110以降の処理を波形データ形式の音楽データを処理対象として行い、そうでなければ、S105に処理を進める。
S105においては、フラッシュROM(図5の12)に保存されている複数の波形データ形式音楽データの中に、指示された音楽テンポの所定範囲内に、その音楽テンポの値を有する音楽データがあるか否かを判定する。
図9、図11、図12を参照して具体例を示したように、「指示された音楽テンポの値」に対し、例えば、「指示された音楽テンポの値」−3[bpm]以上、「指示された音楽テンポの値」+3[bpm]以下の範囲内に、その音楽テンポ値を有する波形データ形式の音楽データがあるか否かを判定する。
指示された範囲内に、その音楽テンポの値を有する波形データ形式の音楽データが少なくとも1個あれば、S104に処理を進め、なければ、波形データ形式が優先される場合でもS106に処理を進め、演奏データ形式の音楽データを処理対象として、S110以降の処理をする。
例えば、波形データ形式の音楽データの選択確率が75%に設定されていれば、75%の確率でS109からS103に処理を進め、25%の確率でS109からS106に処理を進める。
なお、複数の演奏データ形式音楽データを保存しておく代わりに、指示された音楽テンポの値を有する演奏データ形式の音楽データを、自動生成してもよい。曲調選択する場合は、指示される曲調を有する演奏データ形式の音楽データを、自動生成してもよい。
なお、保存された演奏データ形式の音楽データ、自動生成された演奏データ形式の音楽データのいずれにおいても、演奏データ形式の音楽データに音楽テンポ値の範囲を設定する場合は、後述するS111において、指示された音楽テンポ値が、演奏データ形式の音楽データに設定されている音楽テンポ値の範囲に含まれているものを選択する。
一方、ミュージック・リスニングモードであれば、S112に処理を進め、全ての音楽データの中から、再生回数の少ないものを優先して再生候補リストに登録する。この処理は、S111において、音楽テンポを指定しない場合に相当するから、詳細な説明は省略する。
なお、再生回数の少ないものを優先させるか否かを、使用者の操作により設定してもよい。
すなわち、S111又はS112において再生候補リストに登録された再生候補音楽データの中で、指示されている曲調評価パラメータの値と略同じ値の曲調評価パラメータを有するものに限定して登録しなおす。詳細な処理は、図16,図17を参照して後述する。
一方、ランダム再生OFFであれば、S117に処理を進め、再生候補リストに登録されている音楽データの中から、所定の条件、例えば、管理番号(図3に示した音楽管理データリストにおける管理番号)の値が最も小さい音楽データを選曲し、S118に処理を進める。なお、S112において、音楽データの再生回数の小さいものが再生候補リストに登録されるため、次にS112において処理されるとき、管理番号が最も小さい音楽データを選択するだけで、管理番号の順番で再生されることになる。
S118においては、S116又はS117にて選択された音楽データを、図5のフラッシュROM12から読み出してRAM13に書き込んで、図6のS38に処理を戻す。
S121において、全ての音楽データについて、S125までの処理を実行する。
S122において、フラッシュROM(図5の12)に格納されている複数の波形データ形式音楽データの中に、指示された音楽テンポの値と略同じ値、言い換えれば、指示された音楽テンポの所定範囲内に、その音楽テンポ値を有するものを1曲ずつ抽出する。
再生回数がK回(Kは正整数であって、初期値は1)未満であるときは、S124に処理を進め、再生候補リストに、この音楽データを追加し、一方、再生回数がK回以上であれば、S124を実行することなくS125に処理を進め、再び、S121に戻り、S122において、指示された音楽テンポの所定範囲内の音楽テンポ値を有する、次の音楽データを抽出し、以下、同様の処理を実行する。
指示された音楽テンポの所定範囲内に音楽テンポ値のある全音楽データについて、上述した処理が終了したとき、S126に処理を進め、このとき、再生候補リストに登録されている音楽データの曲数を調べ、1曲以上あれば、S127に処理を進め、Kの値を初期値1に戻して、図13のS113に処理を戻す。
同様な繰り返し処理により、結局、指示された音楽テンポの所定範囲内にある音楽データのうち、これまでの1セッション中において、再生回数が最も小さな音楽データが、少なくとも1曲(最も小さな再生回数の音楽データが複数曲、存在する場合がある)選択されて、再生候補リストに登録されることになる。
指示された音楽テンポの値が160であったとき、その所定範囲(−3%以上+3以下)である、音楽テンポ値155.2以上164.8以内にある音楽データについて、再生回数を示している。
図示の例では、再生回数が最も小さい値が1であるから、音楽データの管理番号04,18,23,35,67,74,79,81が再生候補リストに登録される。
図13のS113において、自動曲調選択がONであるとき、又は、ホールドフラグがONの場合に、以下の処理が実行される。
図17は、図16のフローチャートにおける処理を具体例で示す説明図である。
運動と曲調評価パラメータとの関係を表している。図示の例では、曲調評価パラメータ(エキサイト度)を1以上100以下の整数値であるとし、この範囲を3領域に分割している。
すなわち、ウォーミングアップ段階に適した曲調評価パラメータの範囲を70以上100以下とし、音楽のテンポを速く感じさせる曲調評価パラメータ値(アップテンポとなる値)を選択する。
クールダウン段階に適した曲調評価パラメータの範囲を1以上30未満とし、音楽のテンポを遅く感じさせる曲調評価パラメータの値(ダウンテンポとなる値)を選択する。
通常(ノーマル)段階に適した曲調評価パラメータの範囲を30以上70未満とし、中間の範囲とする。
一方、S131において、ホールドフラグがOFFであれば、S135に処理を進め、S135において、運動段階を判定する。
判定の結果、ウォーミングアップ段階であれば、S136に処理を進め、図17に示す曲調評価パラメータの範囲(70以上100以下)を選択する。クールダウン段階であれば、S138に処理を進め、図17に示す曲調評価パラメータの範囲(1以上30未満)を選択する。その他のモード、すなわち、この実施の形態においては、アシストモードにおける主運動段階、フリーモード、又は、ミュージック・リスニングモードであれば、S137に処理を進め、図17に示した曲調評価パラメータの範囲(30以上70未満)を選択する。
ここで、運動段階が変化したときはS104に処理を進め、上述したS136,S137,S138において選択された曲調評価パラメータ範囲を、そのまま、運動に適したものとして指示する。運動段階が変化していなければ、さらに、S141に処理を進めて、運動ペースが変化したか否かを判定する。ミュージック・リスニングモードにおいては、運動ペースの変化無しと判定する。
一方、アシストモードにおいて、反復運動テンポを検出するようにすれば、フリーモードと同様に運動ペースが上がったか下がったかを判定できる。
しかし、反復運動テンポを検出しない場合は、心拍数検出器17(図5)により検出される実績心拍数が増加したときには運動テンポが上がったと判定し、実績心拍数が減少した時に運動テンポが下がったと判定する。
S141において、ペースアップのときはS142に処理を進め、ペースアップ時に曲調評価パラメータを現在値から変更する所定の相対範囲(現在値を基準にした相対範囲)を選択する。
図17において、現在の運動段階に応じて、曲調評価パラメータの現在値として7通りの現在値a〜eを例示している。図示の例では、いずれの範囲にある現在値a〜eに対しても、相対範囲を曲調評価パラメータの現在値から+5を超えて+15以下の範囲としている。
一方、ペースダウン時には、S144に処理を進め、ペースダウン時に曲調評価パラメータを現在値から変更する所定の相対範囲を選択する。いずれの範囲にある現在値a〜eに対しても、相対範囲を曲調評価パラメータの現在値から+5を超えて+15以下の範囲としている。
従って、図17に斜線を付した領域は、隣の運動段階に対応した曲調評価パラメータの範囲に移動するために除外される。
また、ペースアップ時、キープ時、ペースダウン時の相対範囲を、現在値を中心に正負対称の範囲としたが、現在値を基準にするものの、正方向負方向に非対称であってもよい。また、この相対範囲の幅を、ペースアップ時、キープ時、ウォームアップ時とで、それぞれに応じて異な長さにしてもよい。
S145においては、再生候補リストに掲載されている全音楽データの中から、音楽データを1曲ずつ抽出する。
S146において、抽出された音楽データの曲調評価パラメータが、S132又はS140において指示された曲調評価パラメータの所定範囲内にあるか否かを判定する。この範囲内にあればS147に処理を進め、一時候補リストにこの音楽データを追加し、上述した所定の範囲内になければ、S148からS134に処理を戻す。この一次候補リストは、S134からS148までの処理過程において使用している。
一方、S149において、一時候補リストに1曲も登録されていない場合は、S151に処理を進め、S132又はS144において指示された最適曲調パラメータの所定範囲を、例えば、この所定範囲の中心を基準として幅を33%拡張する。
図15に示した具体例において、再生候補リストに登録されている管理番号04,18,35,79,81の音楽データについて、その再生優先度ポイントと、再生優先度ポイントに応じた再生確率を計算する過程のパラメータ値を示している。
図3に示した音楽管理データには、再生優先度ポイントが記述されている。この再生優先度ポイントは、音楽データがフラッシュROM12(図5)に取り込まれた際に、初期値が与えられる。典型的には、音楽データの内容を考慮せずに、一律に同じ値が与えられる。
音楽データがあらかじめフラッシュROM12(図5)に格納された状態で工場出荷される場合も、再生優先度ポイントとして同じ値の初期値が与えられている。図示の例では、初期値を10ポイントとしている。
例えば、管理番号18の音楽データが再生されており、その再生優先度ポイントが10であったときに、スキップ操作がなされると、再生優先度ポイントを−1(所定値を減算)して9に変更する。一方、管理番号79の音楽データが再生されており、その再生優先度ポイントが11であったとき、頭出し操作がなされると、再生優先度ポイントを+1(所定値を加算)して12に変更する。
なお、再生優先度ポイントは、フラッシュROM12に格納された時点の初期値が、使用者のスキップ操作、頭出し操作によって逐次更新される。これに代えて、本装置の電源スイッチをオンにしたとき、図3(b),(c)の音楽管理データリストの再生優先度ポイントを全て初期値にリセットしてもよい。
あるいは、再生優先度ポイントのリセット操作、又は、使用者の操作に応じて初期値にしてもよい。また、使用者が、各音楽データに任意の再生優先度ポイントを与える設定機能を設けてもよい。
S161において、再生確率母数の初期値を0とする。再生確率母数とは、再生確率の分母とする数値である。
S162において、再生候補リストにある全ての音楽データについて、S166までの処理をした後に、S167に処理を進める。結果として、全ての音楽データの再生優先度ポイントを累積加算することになる。
S163において、使用者が好む曲を学習する機能(図2の第3の機能)がON(図7(機器設定)のS58)であるか否かを判定し、ONであればS164に処理を進める。
S164において、図18に示した再生候補リストに登録された各音楽データについて、それぞれの再生優先度ポイントを再生確率母数に加算することにより再生確率母数を更新する。
S165の処理は、一様なランダム選択を、S166以下の処理により実現するためのものである。これに代えて、学習機能がOFFであることを、S162よりも先に判定し、S162〜S166の処理に代えて、各音楽データの再生確率を、1/(再生候補リスト中の音楽データの曲数)としてもよい。
まず、S167において、1個の乱数値を発生させる。乱数値は一様に分布する乱数であり、図示の例では、1以上100以下の値をとるように設定されている。
S168において、再生確率比較値を初期設定して0とする。再生確率比較値とは、S167で得られた乱数値と比較するための数値であって、以下の繰り返し処理により各音楽データに対して割り当てられる。
S170において、各曲の再生確率を次式で計算する。
再生確率(図示の例では%で表現している)=(再生優先度ポイント/確率母数)×100
S171において、S170で計算された再生確率の値を再生確率比較値に加算する。
S172において、S171において得られた再生確率比較値よりもS167において得られている乱数値の方が大きい間は、S169に処理を戻すが、再生確率比較値の方が大きくなれば、S173に処理を進め、繰返処理を終了したときの管理番号を取得し、この管理番号の音楽データを、再生する音楽データとして選択する。
再生候補リストの最初の音楽データから順番に繰返処理を実行した場合、ループ回数1(最初の処理)のときは、音楽データ(管理番号04)の再生確率20と再生確率比較値20とが計算され、以下、ループ回数5のとき、音楽データ(管理番号81)の再生確率20と再生確率比較値100とが計算される。
また、S167において乱数値70が発生していた場合は、ループ回数4のときに、S172において繰返処理が終了し、S173に処理を進め、繰返処理終了時の管理番号を取得する。すなわち、ループ回数4により、管理番号79の音楽データが選択される。
その結果、使用者がその再生中にスキップ操作をした音楽データほど、その後に選択される確率が小さくなり、使用者がその再生中に頭出し操作をした曲ほど、その後に選択される確率が大きくなる。
しかし、自転車型エルゴメータ(ergo meter)、トレッドミル(tredmill)、ストレングスマシン(strength machine)等のトレーニング機械を使用した運動、体操、ダンスなどの、反復運動をしながら音楽を聴く場合に本発明を適用できる。反復運動の種類に応じて、加速度センサを人体の適切な部分に装着するとともに、反復の1ステップとする加速度特性を決め、この反復の1ステップを検出するアルゴリズムを設計すればよい。
この場合、フリーモードにおいては、歩行ピッチに替えて、それぞれの反復運動に応じて、その単位となる反復の1ステップ時間により決まる反復運動テンポ(単位時間当たりの繰り返し数)を検出する。アシストモードにおいては、歩行ピッチの初期値に代えて反復運動テンポの初期値を設定する。目標運動強度(目標心拍数)は、同様に設定する。
上述した説明では、複数の音楽データをその音楽テンポで再生することを前提に説明した。しかし、上述した説明において、反復運動テンポ又は心拍数に応じて音楽テンポを指示する技術、ウォーミングアップ段階や、クールダウン段階において、音楽テンポを指示する技術は、図1,図2を参照して説明した第5の機能と同様に、報知信号の反復報知テンポを変更する技術、あるいは、従来のように、所定の音楽データをそのオリジナル音楽テンポを変更して再生したりするといった技術を前提にした場合にも適用できる。
Claims (6)
- 複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポ及び曲調評価パラメータとともに音楽データ記憶装置に格納されており、該音楽データ記憶装置から前記音楽データを選択し音楽データ再生装置に再生させる音楽再生制御装置であって、
前記音楽テンポの値及び使用者の現在の運動状態に応じた曲調評価パラメータの値を指示する音楽テンポ及び曲調指示手段と、
該音楽テンポ及び曲調指示手段により前記音楽テンポの値及び前記曲調評価パラメータの値が指示されたとき、前記指示された音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有し、かつ、前記指示された曲調評価パラメータの値と略同じ値の曲調評価パラメータを有する音楽データを、前記音楽データ記憶装置に格納された複数の音楽データの中から選択し、前記音楽データ再生装置に再生させる再生制御手段、を有し、
前記使用者の現在の運動状態とは、前記使用者の運動段階であり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、前記使用者の運動開始段階において、前記音楽テンポの値として前記使用者の運動開始段階に応じた値を指示するとともに、前記曲調評価パラメータの値として前記音楽テンポを速く感じさせる数値範囲内にある値を指示するものである、
ことを特徴とする音楽再生制御装置。 - 複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポ及び曲調評価パラメータとともに音楽データ記憶装置に格納されており、該音楽データ記憶装置から前記音楽データを選択し音楽データ再生装置に再生させる音楽再生制御装置であって、
前記音楽テンポの値及び使用者の現在の運動状態に応じた曲調評価パラメータの値を指示する音楽テンポ及び曲調指示手段と、
該音楽テンポ及び曲調指示手段により前記音楽テンポの値及び前記曲調評価パラメータの値が指示されたとき、前記指示された音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有し、かつ、前記指示された曲調評価パラメータの値と略同じ値の曲調評価パラメータを有する音楽データを、前記音楽データ記憶装置に格納された複数の音楽データの中から選択し、前記音楽データ再生装置に再生させる再生制御手段、を有し、
前記使用者の現在の運動状態とは、前記使用者の運動段階であり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、前記使用者の運動終了段階において、前記音楽テンポの値として前記使用者の運動終了段階に応じた値を指示するとともに、前記曲調評価パラメータの値として前記音楽テンポを遅く感じさせる数値範囲内にある値を指示するものである、
ことを特徴とする音楽再生制御装置。 - 複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポ及び曲調評価パラメータとともに音楽データ記憶装置に格納されており、該音楽データ記憶装置から前記音楽データを選択し音楽データ再生装置に再生させる音楽再生制御装置であって、
前記音楽テンポの値及び使用者の現在の運動状態に応じた曲調評価パラメータの値を指示する音楽テンポ及び曲調指示手段と、
該音楽テンポ及び曲調指示手段により前記音楽テンポの値及び前記曲調評価パラメータの値が指示されたとき、前記指示された音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有し、かつ、前記指示された曲調評価パラメータの値と略同じ値の曲調評価パラメータを有する音楽データを、前記音楽データ記憶装置に格納された複数の音楽データの中から選択し、前記音楽データ再生装置に再生させる再生制御手段、を有し、
前記使用者の現在の運動状態とは、前記使用者の運動段階であり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、前記使用者の運動開始段階において、前記音楽テンポの値として前記使用者の運動開始段階に応じた値を指示するとともに、前記曲調評価パラメータの値として前記音楽テンポを速く感じさせる数値範囲内にある値を指示し、前記使用者の運動終了段階において、前記音楽テンポの値として前記使用者の運動終了段階に応じた値を指示するとともに、前記曲調評価パラメータの値として前記音楽テンポを遅く感じさせる数値範囲内にある値を指示するものである、
ことを特徴とする音楽再生制御装置。 - 複数の音楽データがそれぞれの音楽テンポ及び曲調評価パラメータとともに音楽データ記憶装置に格納されており、該音楽データ記憶装置から前記音楽データを選択し音楽データ再生装置に再生させる音楽再生制御装置であって、
前記音楽テンポの値及び使用者の現在の運動状態に応じた曲調評価パラメータの値を指示する音楽テンポ及び曲調指示手段と、
該音楽テンポ及び曲調指示手段により前記音楽テンポの値及び前記曲調評価パラメータの値が指示されたとき、前記指示された音楽テンポの値と略同じ値の音楽テンポを有し、かつ、前記指示された曲調評価パラメータの値と略同じ値の曲調評価パラメータを有する音楽データを、前記音楽データ記憶装置に格納された複数の音楽データの中から選択し、前記音楽データ再生装置に再生させる再生制御手段と、
前記使用者の運動ペースを検出する運動ペース検出手段、を有し、
前記使用者の現在の運動状態とは、前記使用者の運動ペースであり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、
前記音楽テンポの値として前記運動ペース検出手段により検出された前記使用者の運動ペースに応じた値を指示するとともに、
前記曲調評価パラメータの値として、前記運動ペース検出手段により検出された使用者の運動ペースが上がっているときは、現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に速く感じさせる値を指示し、前記運動ペース検出手段により検出された使用者の運動ペースが下がっているときは、前記現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に遅く感じさせる値を指示するものである、
ことを特徴とする音楽再生制御装置。 - 前記運動ペース検出手段は、前記使用者が反復運動をしている時の反復運動テンポを検出するものであり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、
前記音楽テンポの値として前記運動ペース検出手段により検出された反復運動テンポの値に対応した値を指示するとともに、
前記曲調評価パラメータの値として、前記運動ペース検出手段により検出された反復運動テンポが上がっているときは、前記現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に速く感じさせる値を指示し、前記運動ペース検出手段により検出された反復運動テンポが下がっているときは、前記現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に遅く感じさせる値を指示するものである、
ことを特徴とする請求項4に記載の音楽再生制御装置。 - 初期音楽テンポ値及び目標運動強度を設定する設定手段を有し、
前記運動ペース検出手段は、前記使用者が反復運動をしている時の心拍数を検出するものであり、
前記音楽テンポ及び曲調指示手段は、
前記音楽テンポの値として前記設定手段により設定された初期音楽テンポ値を初期値とし、前記運動ペース検出手段により検出された心拍数と前記設定手段により設定された目標運動強度に対応する目標心拍数との差が小さくなる値を指示するとともに、
前記曲調評価パラメータの値として、前記運動ペース検出手段により検出された心拍数が上がっているときは、前記現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に速く感じさせる値を指示し、前記ペース検出手段により検出された心拍数が下がっているときは、前記現に再生されている音楽データの曲調評価パラメータの値よりも前記音楽テンポを相対的に遅く感じさせる値を指示するものである、
ことを特徴とする請求項4に記載の音楽再生制御装置。
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