JP4696802B2 - 基板用コネクタ - Google Patents

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本発明は、基板用コネクタに関する。
基板用コネクタの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。このものは回路基板に固定されるハウジングを備え、ハウジングには複数の端子金具が圧入により装着されている。端子金具の一端部はハウジングのフード内に突出して相手端子と接続される端子接続部となっており、端子金具の他端部はハウジングから外部へ引き出されたあと回路基板の表面に設けられた導体部と半田付けにより接続される基板接続部となっている。
特開平11−265765号公報
ところで、上記の場合には、導体部に施された半田が基板接続部の下面から両側面にかけて付着しているに過ぎないため、基板接続部に対して回路基板から離れる上方向への引っ張り力が作用したときに、基板接続部の上方向(引っ張り方向)への変位を確実に抑えるのが困難であるという事情があった。そのため、基板接続部が導体部から離脱することがあり、接続信頼性が損なわれる懸念があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基板接続部と導体部との接続信頼性を確保することを目的とする。
求項1の発明は、回路基板に固定されるハウジングと、このハウジングに取り付けられる端子金具とを備え、前記端子金具は、前記ハウジングから外部へ引き出された部分に、基板接続部を有し、この基板接続部の下面が前記回路基板の表面に沿って配されて前記回路基板の導体部と半田付けにより接続されるようになっている基板用コネクタにおいて、前記端子金具の前記基板接続部が断面略方形をなし、この基板接続部の上面には、当該上面に対して上方から叩きによる切り込みを入れることにより、前記導体部に盛られた半田の流入を誘導するべく略V字形をなす凹部が当該基板接続部の側面に開口した形態で形成されている構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記凹部は、前記基板接続部の上面を横切って延び、この上面を挟んだ両側面に開口する形態とされているところに特徴を有する
<請求項1の発明>
基板接続部を回路基板の導体部に半田付けにより接続すると、半田が基板接続部の上面に形成された凹部内に流入される。この凹部内に流入された半田によって基板接続部に作用する上方への引っ張り力に抗することができるので、基板接続部が導体部から離脱するのを防止できる。
凹部が基板接続部の上面に対して叩きによる切り込みを入れることで形成されるので、容易に加工できる。
<請求項2の発明>
凹部内に流入された半田が基板接続部の上面に跨って付着されてブリッジを形成するので、回路基板(導体部)に対する基板接続部の保持力がより一層高められる
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6に基づいて説明する。本実施形態の基板用コネクタは、複数本の端子金具30と、各端子金具30が装着されるハウジング10とを備えている。ハウジング10は、回路基板K(プリント配線基板)に対して固定されるとともに図示しない相手のハウジングと嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、相手のハウジングとの嵌合面側を前方とし、上下方向については、図1ないし図3を基準とする。
ハウジング10は、図1ないし図3に示すように、合成樹脂材により全体として横長に形成され、端子金具30を保持するための端子保持部11と、端子保持部11の周縁から突出するフード部12とから構成されている。端子保持部11には、後方から端子金具30を挿入可能な端子挿入孔13が複数設けられている。各端子挿入孔13は、幅方向に並列した状態で上下2段に配されている。
フード部12は、前方へ開口する略角筒状に形成されており、前方から相手のハウジングが内嵌可能とされている。フード部12の上部における幅方向略中央には、相手のハウジングのロックアームが係止することで両ハウジングを嵌合状態に保持可能なロック部14が下方(内方)へ突出して形成されている。
フード部12の幅方向両側端部には、ハウジング10を回路基板Kに固定するための固定部20を装着可能な装着溝15が一対設けられている。固定部20は、ハウジング10とは別体の金属板からなり、上下方向に沿った平板状の本体部21と、本体部21の下端部から幅方向側方へ突出する半田付け部22とを備え、全体として略Lの字をなしている。本体部21は、その板面に沿って縦向きの姿勢で装着溝15に挿入可能とされ、半田付け部22は、回路基板Kの表面に沿って配された状態で半田付けにて同回路基板Kに固定可能とされる。
端子金具30は、断面略方形をなす金属製の角棒材を曲げ加工して形成され、端子保持部11の前面(嵌合面)から前方へ突出する端子接続部31と、端子保持部11の後面から後方へ略水平に突出する水平部32と、水平部32の後端から屈曲して下方へ略垂直に延びる垂直部33と、垂直部33の下端から屈曲して後方へ略水平に延びる基板接続部34とを備えている。端子接続部31は、フード部12に取り囲まれた状態で配され、相手のハウジングに収容された相手端子と導通接続可能とされている。また、水平部32、垂直部33、及び基板接続部34は、いずれもハウジング10外に露出した状態で配されている。このうち基板接続部34は、回路基板Kの表面に沿って配され、同回路基板Kにプリントされた導体部60(図6において回路端に形成された電極ランド)に弾接された状態で半田付けにて導通接続可能とされている。
端子金具30がハウジング10に装着された状態では、上段の端子金具30においてハウジング10外へ露出される部分と、下段の端子金具30においてハウジング10外へ露出される部分とが、幅方向に関して互いにずれた位置に配されるとともに、上下各段の端子金具30における基板接続部34の後端が前後方向に関してほぼ同じ位置に揃って配されるようになっている。一方、上下各段の端子金具30における端子接続部31は幅方向に関して互いに同じ位置に揃って配され、したがって、端子接続部31と水平部32とは両者の境界部(図示せず)を境として幅方向にオフセットされた形態となっている。また、水平部32、垂直部33、及び基板接続部34は、フード部12の幅方向両側端部から後方へ突出する一対の保護壁17によって幅方向外方から保護された状態となる。
さて、基板接続部34は、図4に示すように、その上面に、凹部36を有している。凹部36は、基板接続部34の上面に対して上方からの叩きによる切り込み(ノッチ)を入れることにより形成され、基板接続部34の上面の全幅に亘って連続して開口しかつこの上面を挟んだ両側面に通ずる形態とされている。そして、凹部36は、幅方向に沿って延びる切り込み線41を境として前後対称形をなす斜面39を備えており、両斜面39が切り込み線41から離れるに従って略Vの字に開いた状態となっている。この凹部36の深さ(基板接続部34の上面から切り込み線41までの鉛直距離)は基板接続部34の厚み高さの概ね半分程度であり、また、凹部36の形状は各基板接続部34においてほぼ同一である。さらに、凹部36の配設位置は各基板接続部34において前後方向に関してほぼ同じ位置に揃えられており、切り込み線41が幅方向の一直線上に並ぶようになっている。
凹部36は、その内部に、導体部60に盛られた半田Hの流入を許容し、その斜面39が、半田Hの流れを誘導する通路として機能するようになっている。また、凹部36内に半田Hが流入されると、基板接続部34の上面に半田Hが跨嵌状態で付着されてブリッジ77を形成する。ブリッジ77は、基板接続部34の上方への変位を規制する引掛りとして機能するものである。さらに、凹部36内に半田Hが流入されると、図6に示すように、この凹部36に対応する基板接続部36の外周面が半田Hによって包まれ、導体部60に強固に保持されることとなる。
本実施形態は以上のような構成であり、続いてその作用を説明する。まず、ハウジング10の端子挿入孔13に対し後方から各端子金具30を挿入してその組み付けを行う。
続いて、固定部20をハウジング10に装着し、このハウジング10を、固定部20を介して回路基板Kに対し半田付けにより固定する。これと同時にまたは引き続いて、各端子金具30の半田付け作業を行う。すなわち、各端子金具30の基板接続部34を回路基板Kにおいて対応する導体部60上に配置するとともに、基板接続部34の周縁部に半田Hを付着させる。すると、半田Hは、図4及び図5に示すように、基板接続部34の両側面から後端面にかけて付着するとともに、側方から(基板接続部34の両側面側から)凹部36内へ流入され、かつ、凹部36の底面に沿いつつ基板接続部34の両側面間に幅方向に連通状態で配される。
その後、半田Hが固化されると、基板接続部34の上面から両側面にかけて半田Hによるブリッジ77が形成されるとともに、基板接続部34が導体部60に電気的に接続された状態で回路基板Kに固定される。なお、端子金具30の半田付け作業を先に行ってから固定部20による回路基板Kへの固定作業を行ってもよく、また、これら半田付け作業は、手半田とリフロー半田のいずれの手法で行ってもよい。
以上説明したように本実施形態によれば、基板接続部34の上面に凹部36が形成され、この凹部36内に導体部60に盛られた半田Hが流入固化されるようになっているので、回路基板K(導体部60)に対する基板接続部34の保持力を高めることができる。したがって、基板接続部34の対して上方への引っ張り力が作用しても、凹部36内に流入された半田Hが引掛りとなってその引っ張り力に抗することができるので、基板接続部34が導体部60から引き剥がされるのを防止することができる。その結果、基板接続部34と導体部60との接続信頼性を確保することが可能となる。
また、凹部36内に半田Hが流入固化されると、基板接続部34の上面に半田Hが跨嵌状態で付着されてブリッジ77を形成するので、基板接続部34が回路基板K側に確実に固定された状態となる。さらに、凹部36は基板接続部34の上面に対して叩きによる切り込みを入れることで形成されるから、加工が容易となる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)凹部は、基板接続部の上面の全幅に亘って連続して開口している必要はなく、基板接続部の上面と側面とに開口する形態で切り欠き形成されていればよい。
(2)端子金具の形態は、略Lの字に限らず、例えば、端子接続部から基板接続部にかけて真直ぐ延びるストレート型であってもよい。
(3)端子金具は、ハウジングにインサート成形によって装着されてもよい。
(4)ハウジングを回路基板に固定するに際し、固定部を用いる必要はなく、例えば、ねじ止めしても構わない。
本実施形態の基板用コネクタの斜視図 その正面図 その側面図 半田が付着された基板接続部の拡大斜視図 半田が付着された基板接続部の拡大平面図 半田が凹部内に流入された状態を示す拡大断面図
符号の説明
10…ハウジング
12…フード部
20…固定部
30…端子金具
32…水平部
33…垂直部
34…基板接続部
36…凹部

Claims (2)

  1. 回路基板に固定されるハウジングと、このハウジングに取り付けられる端子金具とを備え、前記端子金具は、前記ハウジングから外部へ引き出された部分に、基板接続部を有し、この基板接続部の下面が前記回路基板の表面に沿って配されて前記回路基板の導体部と半田付けにより接続されるようになっている基板用コネクタにおいて、
    前記端子金具の前記基板接続部が断面略方形をなし、
    この基板接続部の上面には、当該上面に対して上方から叩きによる切り込みを入れることにより、前記導体部に盛られた半田の流入を誘導するべく略V字形をなす凹部が当該基板接続部の側面に開口した形態で形成されていることを特徴とする基板用コネクタ。
  2. 前記凹部は、前記基板接続部の上面を横切って延び、この上面を挟んだ両側面に開口する形態とされていることを特徴とする請求項1に記載の基板用コネクタ。
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