JP4695917B2 - 曲線階段の施工方法 - Google Patents
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Description
一方、戸建住宅の高級化に伴って、階段も実用第一の単なる直線形状の階段だけではなく、曲線形状の階段が要求されるようになってきた。
これに対して、螺旋階段よりも緩やかに曲がった形状の曲線階段は、直線形状の階段に比較してやや多くの場所を占めるが、高級感があり優雅で、それでいて家具類や長尺物の運搬にも支障が無い。そのため、玄関部分の広さに余裕がある場合には、吹き抜け構造を有する高級住宅を中心として、採用する住宅が増えつつある。
図11に示す曲線階段は、昇り口Aの向きと降り口Bの向きが90度異なっており、昇り口Aと降り口Bの間に湾曲した昇降路7が形成されている。昇降路7の昇り方向右側には壁面8が位置している。また昇降路7には、踏板2と蹴込板5がそれぞれ複数枚設置されている。踏板2は通常、昇降路7の湾曲に合わせて略扇形に形成されている。
この踏板2と蹴込板5を支持するために、昇降路7の両側には図12に示すような側板9が設けられている。側板9は、踏板2の側面の幅と蹴込板5の高さ(蹴上げ高さ)に合わせて、階段状に形成されるとともに、昇降路7の湾曲に合わせて曲げられている。
一方、側板9の厚さは、踏板2を支持して階段を昇降する人間等の重量を支える必要があることから、厚さ15〜30ミリ程度として強度を確保するようになっている。
従って、実際の製造においては、接着剤を塗布した木片を積層して曲線形状の型に入れて硬化させた集成材を用いたり、5.5〜12ミリ程度の薄く曲がりやすい合板やLVLを製造して接着剤を塗布し、複数枚を曲線形状の型に入れて厚く積層接着した合板やLVL等を用いて、必要とする強度を発揮し得る側板を製造している。
しかし、曲線階段の側板は、回りながら上昇するといった3次元的な加工が必要なので、ねじり・ひねりの形状を考慮して加工する必要があり、機械加工は容易ではない。そのため、製造や施工は手作業に頼る部分が多く、一般的な直線階段に比べて高価なものとなる。
また特許文献5には、湾曲した側板を用いるのではなく、高さが蹴上げ高さずつ異なるように構成された複数のステップユニットを順次連結して、踏板を支持するようにした発明が記載されている。
(1)大量生産が困難である。
一般の合板やLVL等が連続生産や多段プレス装置といった高能率の生産設備を使用するのに対して、型を用いて湾曲させる場合は1セットずつしか生産できない。
(2)強度にばらつきが生じる。
立体的な形状の側板は、製造装置の自動化ができず、手作業に頼る部分が多くなり、接着剤塗布量、圧締圧力その他の要素が一定せず、部分的な接着不良が生じるなどして強度にばらつきが生じる。
(3)施工現場で手直しが必要となる。
型から取り外した後、製造に使用した単板や木片の水分変動により側板の寸法が変化してしまい、施工現場で寸法が合わなくなり手直しが必要となる。
(4)運搬・保管に問題がある。
3次元的な加工がされた側板は、立体的な形状となってしまう為に梱包が大型化し、安定性も悪く、傷が付き易い。又、保管にも多くの場所が必要である。
従って、高能率の生産設備を使用した大量生産が可能であり強度のばらつきも生じにくく、木質基材の水分変動の影響が小さいので施工現場での手直しが発生しにくい。さらに、平板であるため立体的形状と比べて運搬や保管が容易である。
さらに、側板には踏板を支持する踏板受け材が取り付けられているので、側板の厚みが薄くても踏板受け材により踏板を強固に支えることができる。
一方、曲線階段裏面の壁面側には踏板を支持する支持枠材等が存在しないため、収納等に有効利用することができる。
図11に示す曲線階段は、湾曲した壁面8に沿って設置されるものであって、昇り口Aの向きと降り口Bの向きが90度異なっており、昇り口Aと降り口Bの間に湾曲した昇降路7が形成されている。昇降路7の昇り方向右側には湾曲した壁面8が位置し、反対側の昇り方向左側には壁面はなく手摺11が設けられている。
また昇降路7には、踏板2と蹴込板5がそれぞれ複数枚設置されている。踏板2は昇降路7の湾曲に合わせて略扇形に形成されている。また蹴込板5は両端が同一の蹴上げ高さになるような長方形に形成されている。
なお、壁面8の施工方法の一例としては、曲線状のベース材を床面及び天井面に固定し、上下の曲線状ベース材の間に一定間隔(300ミリ程度)で門柱を立設し、立設した門柱に合わせて壁材を施工していく方法があげられる。
側板1には、合板又はLVLの平板が材料として用いられる。平板は壁面8への固定時に壁面8に合わせて湾曲可能なように、厚さ12ミリ程度とすることが好ましい。
この平板を図2に示すように、上下複数段の階段状に形成する。このとき、各階段部分の水平方向の長さL1が踏板2の壁面8側周縁の長さとなるようにし、垂直方向の長さHが蹴込板5の高さ(=蹴上げ高さ)となるように形成する。
なお、加工は平板のまま行うことができるので、コンピュータ制御による自動加工装置等を利用して生産効率を高めるとよい。
本実施形態では、1枚の踏板に対して2個の踏板受け材10が対応するように取り付けてあるが、支持する重量等を考慮して数を調整すればよい。
側板1は平板のまま梱包されて施工現場に運搬される。
図3は、側板1を固定する前の壁面8を示す斜視図である。壁面8にはあらかじめ踏板2の設置位置に合わせて側板1の取り付け位置を示すガイド線(図3の二点鎖線)を表示しておく。
以上のように、側板固定工程200において、側板1が壁面8に固定され図4に示すような状態となる。
図3に示すように、壁面8の反対側の床面には、ベース材31が固定されている。このベース材31は、昇降路7の壁面8の反対側の湾曲に合わせて曲線状に形成されている。そして、図5に示すようにベース材31の上に高さの異なる複数の鉤形枠材30を並べて、上下複数段の階段状に支持材3を設置する。
水平材30aはベース材31と平行となるように、昇降路7の壁面8の反対側の湾曲に合わせて曲線状に形成されている。また、水平材30aの長さL2は踏板2の壁面8の反対側周縁の長さとなり、第2垂直材の長さHは蹴込板5の高さ(=蹴上げ高さ)となるように形成されている。
図10は、側板1に踏板2を設置する様子を示す斜視図である。
本実施形態においては、側板1の他に壁面8の反対側に支持材3を設置して、側板1と支持材3により踏板2を支持する。
また、蹴込板5を側板1と支持材3に合わせて設置し、側板1と壁面8の間に幅木6を挿入して隙間を埋める。さらに、支持材3の外面側に化粧板12を貼付して、図11に示すように支持材3側に滑らかな壁面を形成し、壁面8の反対側には手摺11を設置する。
なお、蹴込板5、幅木6、化粧板12、手摺11は、必要に応じて設置すればよい。
以上のようにして、曲線階段が完成する。
従って、高能率の生産設備を使用した大量生産が可能であり強度のばらつきも生じにくく、木質基材の水分変動の影響が小さいので施工現場での手直しが発生しにくい。さらに、平板であるため立体的形状と比べて運搬や保管が容易である。
さらに、側板1には踏板2を支持する踏板受け材10が取り付けられているので、側板1の厚みが薄くても踏板受け材10により踏板2を強固に支えることができる。
一方、曲線階段裏面の壁面8側には踏板2を支持する支持枠材等が存在しないため、収納等に有効利用することができる。
なお、側板1を壁面8に固定したときに隙間が生じても、側板1は踏板2に隠蔽されて見えなくなるので問題はない。さらに幅木6を施工すれば完全に隙間を隠蔽することができる。
図6に示すように、この実施形態では、高さの異なる複数の四角枠材40を並べて、上下複数段の階段状に支持材4を設置する。
二枚の水平材40a,40aは、昇降路7の壁面8の反対側の湾曲に合わせて曲線状に形成されている。また、水平材40aの長さL2は踏板2の壁面8の反対側周縁の長さとなり、第2垂直材の長さHは蹴込板5の高さ(=蹴上げ高さ)となるように形成されている。
そして、高さの異なる複数の四角枠材40を昇降路7の上段から下段に向けて高さが低くなるように並べ、階段状の支持材4を形成する。
図7に示すように、この実施形態では、高さの異なる複数のL形枠材50を並べて、上下複数段の階段状に支持材13を設置する。
水平材50aはベース材51と平行となるように、昇降路7の壁面8の反対側の湾曲に合わせて曲線状に形成されている。また、水平材50aの長さL2は踏板2の壁面8の反対側周縁の長さとなるように形成されている。
また、垂直材50bの上端から長さHだけ下方には欠き込み52が形成されており、隣り合う下段側の水平材50aの他端(垂直材50bが延びる一端の反対側)と嵌合するようになっている。
そして、高さの異なる複数のL形枠材50を昇降路7の上段から下段に向けて高さが低くなるように並べ、各々のL形枠材50の水平材50aの他端を、隣り合う上段側のL形枠材50の垂直材50bに形成された欠き込み52に嵌合させて、階段状の支持材13を形成する。
なお、欠き込み52だけでは踏み板2を支える強度が不足するという場合には、図8に示すように、補強材53を設けて水平材50aを支持する構造としてもよい。
これにより、溝14に合わせて支持材3又は支持材13を設置することができ、施工現場で正確かつ効率的に施工することができる。
さらに、昇降路7の両側に壁面8が存在する場合には、それぞれの壁面8に応じた側板1を加工し、それぞれの壁面8に固定して、踏板2を設置すればよい。この場合、支持材の設置は不要である。
2 踏板
3 支持材
4 支持材
5 蹴込板
6 幅木
7 昇降路
8 壁面
9 側板
10 踏板受け材
11 手摺
12 化粧板
13 支持材
14 溝
30 鉤形枠材
30a 水平材
30b 第1垂直材
30c 第2垂直材
31 ベース材
40 四角枠材
40a 水平材
40b 垂直材
50 L形枠材
50a 水平材
50b 垂直材
51 ベース材
52 欠き込み
53 補強材
100 側板加工工程
200 側板固定工程
300 踏板設置工程
A 昇り口
B 降り口
Claims (8)
- 湾曲した昇降路を有し、前記昇降路に略扇形の踏板を設置してなる曲線階段であって、前記昇降路の左右少なくとも一方の側に湾曲した壁面が設けられた場所に設置される曲線階段の施工方法において、
前記壁面に合わせて湾曲可能な厚さの平板を、前記踏板の前記壁面側周縁の長さと、蹴上げ高さに合わせて上下複数段の階段状に形成するとともに、前記踏板を支持する踏板受け材を取り付けて、前記曲線階段の側板に平板のまま加工する側板加工工程と、
前記加工された側板を湾曲させながら、前記踏板の設置位置に合わせて前記壁面に固定する側板固定工程と、
前記固定された側板に合わせて前記踏板を設置する踏板設置工程とからなる曲線階段の施工方法。 - 前記壁面は前記昇降路の左右いずれか一方の側のみに設けられており、前記壁面が設けられていない側に、前記踏板の前記壁面の反対側周縁の長さと、蹴上げ高さに合わせて上下複数段の階段状に、かつ前記昇降路の湾曲に合わせて曲線状に支持材を設置し、前記支持材に合わせて前記踏板を設置することを特徴とする請求項1に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記支持材は、水平材と、前記水平材の一端から垂直下方に延びる第1垂直材と、前記水平材の他端から垂直下方に延びる前記第1垂直材より短い第2垂直材からなる高さの異なる複数の鉤形枠材を、床面に設けたベース材の上に前記昇降路の上段から下段に向けて高さが低くなるように並べて、各々の鉤形枠材の第2垂直材の下端を隣り合う下段側の鉤形枠材の第1垂直材の上端に当接させてなることを特徴とする請求項2に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記ベース材には、前記第1垂直材の下端と嵌合する溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記支持材は、二枚の水平材と二枚の垂直材からなる高さの異なる複数の四角枠材を、前記昇降路の上段から下段に向けて高さが低くなるように並べてなることを特徴とする請求項2に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記支持材は、水平材と、前記水平材の一端から垂直下方に延びる垂直材からなる高さの異なる複数のL形枠材を、床面に設けたベース材の上に前記昇降路の上段から下段に向けて高さが低くなるように並べて、各々のL形枠材の水平材の他端を隣り合う上段側のL形枠材の垂直材に形成された欠き込みに嵌合させてなることを特徴とする請求項2に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記ベース材には、前記垂直材の下端と嵌合する溝が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の曲線階段の施工方法。
- 前記側板は、複数枚に分割して加工されることを特徴とする請求項1に記載の曲線階段の施工方法。
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