JP4694420B2 - 空港面監視装置 - Google Patents
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Description
図1は、この発明の実施の形態1よる空港面監視装置の基本構成を示すブロック図である。
図において、空港面監視装置は、マルチラテレーション10、ASDE(すなわち空港面探知レーダ)20、目標高度監視装置30、統合処理装置40および表示装置50を備えている。
ASDE(すなわち空港面探知レーダ)20は、電波により空港面を走査して当該空港面上に在る目標の位置情報を算出する手段である。マルチラテレーション10は、空港の異なる位置に配置された4つ以上の地上局により、目標が搭載しているトランスポンダからの信号を受信し、その各受信信号の到達時間差から目標の3次元位置情報を算出すると共に、受信信号から目標の識別情報を抽出する手段である。目標高度監視装置30は、マルチラテレーション10で算出された3次元位置情報に基づいて目標が空港上空を低高度で飛行しているか、飛行せず空港面上に在るかの判定を行う手段である。統合処理装置40は、目標高度監視装置30による判定結果に基づいてASDE20とマルチラテレーション10の各々で算出された目標の位置情報を統合処理し、得られた位置情報にマルチラテレーション10で得た対応する目標の識別情報を付加する手段である。表示装置50は、統合処理装置40で統合された、識別情報を付加した目標の位置情報を、空港面を表す座標上に表示する手段である。
図2において、マルチラテレーションは、4つ以上の地上局(受信局)1a、目標処理装置1bおよび保守用表示装置1cからなる。このマルチラテレーションは、航空機など目標が搭載するトランスポンダから送信されるスキッタ信号もしくは空港周辺に存在する航空機が発するSSR(secondary surveillance radar;二次監視レーダ)回答信号を各地上局(受信局)1aで受信し、目標処理装置1bにおいて、地上局1a間の受信信号の到達時間差を、各地上局1aと目標との距離差に変換し、距離差が一定である条件からなる双曲線同士の交点を求める3次元測距を行い、目標の位置を算出する。保守用表示端末1cでは、機材の動作状況の監視や、目標の位置算出に関する設定等を行う。マルチラテレーションは、算出した目標の3次元位置情報や、トランスポンダ信号から得られる識別情報、高度情報などを外部システムに与えることができる。また、マルチラテレーションは、トランスポンダからの信号として1090MHzを使用しているため、気象条件による伝搬損失などの影響をほとんど受けることがない。なお、上記SSRについて説明しておくと、SSRは、地上のアンテナから質問信号を出すと同時に、それに対する機上のATC(Air Traffic Control;航空管制)トランスポンダからの応答信号を受信し、航空機を識別すると共に、距離、方位および飛行高度や、非常信号などの航空管制に必要なデータを指示器上に表示するものである。
図4に例示するように、ASDE20は空港面の誘導路および滑走路を監視するように設置されている。一方、マルチラテレーション10の複数の地上局1a,1dは、空港面全域の監視と、特にASDE20のブラインドエリア補完が可能となるように空港面上に配置されている。目標が搭載するトランスポンダから送信されるスキッタ信号もしくはSSR回答信号を受信すると、マルチラテレーション10では、その地上局間の受信信号の到達時間差から目標の3次元位置情報を算出し、また、受信信号に含まれる目標の識別情報等を抽出し、得られたデータを目標高度監視装置30に出力する。目標高度監視装置30では、目標の3次元位置情報に基づいて、その対応する目標が空港上空を低空飛行しているか、飛行せず空港面上に在るかの判定を行う。この場合、3次元位置情報から目標の位置と高度が算出されるから、高度が0以上で所定の高度以下にあることで低空飛行と判断すればよい。目標高度監視装置30は、判定結果、目標の位置情報および識別情報等を統合処理装置40に出力する。他方のASDE20では、電波により空港面を走査して当該空港面、すなわち誘導路や滑走路上に在る目標の位置情報を算出して統合処理装置40に出力する。表示装置50では、空港面を表す座標上に、統合処理装置40から得られた識別情報が付加された目標の位置情報を表示する。
まず、1つ目は、目標が離陸直後または着陸直前で空港上空を低高度で飛行している場合の処理方法である。この場合、統合処理装置40には、目標高度監視装置30から目標が低高度飛行であることが伝達されるから、統合処理装置40では、ASDE20における目標位置検出の有無に関わらず、マルチラテレーション10で得られた目標の位置情報を優先して採用し、それに対応する識別情報を付加して表示装置50に出力する。
搭乗ゲートに駐機している航空機はASDE20のブラインドエリアにあるため、統合処理装置40はこの航空機に対してはマルチラテレーション10による検出位置情報および識別情報を用いる。次に航空機が誘導路上に移動して来ると、マルチラテレーション10およびASDE20が共に目標検出が可能となるので、統合処理装置40は両センサから出力される位置情報を統合処理し、統合後の位置情報およびマルチラテレーション10で検出した識別情報を用いる。この処理は目標が滑走路上を滑走し車輪が離れるまで行われる。次に航空機の車輪が滑走路から離れると、統合処理装置40はマルチラテレーション10による位置情報および識別情報のみを用いる。一方、着陸時における統合処理は、上記と逆のプロセスを辿ることになる。したがって、離陸、着陸のプロセスにおける目標の捕捉を安定して行うことが可能となる。
図5はこの発明の実施の形態2による空港面監視装置の基本構成を示すブロック図である。図において、上記図1に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態2は、上記実施の形態1の空港面監視装置の構成に対して、気象レーダ60を設けたものである。気象レーダ60は、空港面上の降雨状況をリアルタイムに検出し、降雨状況に応じた電波伝搬の減衰量を算出する手段であり、一般的に用いられる構成を持つ。
広大な空港を監視するASDE20では、降雨による気象条件の変化によっては電波伝搬が劣化するため、目標検出が困難となる場合がある。そのため、この実施の形態2では、気象レーダ60を設け、広大な空港のどの部分でどのくらいの降雨量が発生しているのかを適宜把握し、目標情報の統合処理に反映するようにしている。すなわち、降雨時において、気象レーダ60は、ASDE20と降雨地間の距離および降雨量を測定し、これらから電波伝搬の減衰量を算出して統合処理装置40に出力する。統合処理装置40では、降雨時におけるASDE20で検出される目標の位置情報に対して、気象レーダ60で得られた電波伝搬の減衰量に基づいた重み付けを行う。そして、この重み付けした目標の位置情報とマルチラテレーション10で算出された目標の位置情報を、実施の形態1で述べたように統合処理を行う。このことにより、気象条件が悪化してもより安定した目標の位置を表示装置50で表示することができる。
図6はこの発明の実施の形態3による空港面監視装置の基本構成を示すブロック図である。図において、上記図5に相当する部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態3は、上記実施の形態2の空港面監視装置の構成に対して、降雨検知システム70を設けたものである。降雨検知システム70は、空港面上にできる気象レーダ60のブラインドエリアに設置され、設置点の降雨状況をリアルタイムに検出する手段である。
空港に気象レーダ60を設置した例を図7に示すが、気象レーダ60による降雨観測を行う場合、空港面上において気象レーダのブラインドエリアが存在すると、ブラインドエリアに関する降雨状態は検知できなくなる。そこで、この実施の形態3では、空港面内に存在する気象レーダ60のブラインドエリアに適宜点的に降雨検知システム70を設置し、このブラインドエリアにおける降雨情報を検知し、気象レーダ60に送る。気象レーダ60では、自己の観測データを降雨検知システム70で得られたブラインドエリアにおける降雨情報で補完し、空港面内全ての降雨状況(ASDE20とブラインドエリア間の距離および降雨量)を取得する。そして、得られた空港面上の降雨状況に応じた電波伝搬の減衰量を算出して統合処理装置40に出力する。統合処理装置40では、この電波伝搬の減衰量に基づいてASDE20からの目標の位置情報に重み付けをした後、マルチラテレーション10で算出された目標の位置情報との統合処理を行う。
このことにより空港面監視において、気象条件が変化してもより安定した目標の位置および識別情報を表示装置50で表示することが可能となる。
Claims (2)
- 空港面探知レーダを用いて空港面を走査し、当該空港面上に在る目標の位置情報を算出して表示する空港面監視装置において、
空港の異なる位置に配置された複数の地上局により、目標が搭載しているトランスポンダからの信号を受信し、その各受信信号の到達時間差から目標の3次元位置情報を算出すると共に、受信信号から対応する目標の識別情報を得るマルチラテレーションと、
前記マルチラテレーションで算出された3次元位置情報に基づいて目標が空港上空を低高度で飛行しているか、飛行せず空港面上に在るかの判定を行う目標高度監視装置と、
前記目標高度監視装置の判定結果に基づいて前記空港面探知レーダと前記マルチラテレーションが算出した目標の位置情報を統合処理し、統合した位置情報に前記マルチラテレーションで得た対応する目標の識別情報を付加する統合処理装置と、
前記統合処理装置で統合された、識別情報を付加した目標の位置情報を、空港面を表す座標上に表示する表示装置と、
空港面上の降雨状況をリアルタイムに検出し、降雨状況に応じた電波伝搬の減衰量を算出する気象レーダと、
空港面上にできる前記気象レーダのブラインドエリアに設置され、当該設置点の降雨状況をリアルタイムに検出する降雨検知システムを備え、
前記気象レーダは、自己の観測データを前記降雨検知システムで得られたブラインドエリアにおける降雨情報で補完し、空港面内全ての降雨状況を取得して降雨状況に応じた電波伝搬の減衰量を算出し、
前記統合処理装置は、前記空港面探知レーダで検出された目標の位置情報に対して、前記気象レーダで算出された電波伝搬の減衰量に基づいて重み付けした後、前記マルチラテレーションで算出された目標の位置情報との統合処理を行うことを特徴とする空港面監視装置。 - 統合処理装置は、
目標高度監視装置の判定結果が、目標が空港上空を低高度で飛行していることを表している場合、空港面探知レーダにおける目標の位置検出の有無に関わらず、マルチラテレーションで得られた目標の位置情報を出力し、
前記目標高度監視装置の判定結果が、目標が空港面上に在ることを表している場合、前記マルチラテレーションおよび前記空港面探知レーダで検出された目標の位置情報を統合して出力し、その際、前記空港面探知レーダのブラインドエリアに存在する目標については前記マルチラテレーションで検出された目標の位置情報を出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の空港面監視装置。
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