JP4693902B2 - 体液中のrasp21の定量的検定法 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝医学の一般的分野、および腫瘍学および免疫学の分野に関するものである。より詳細には、本発明は、体液中の総ras p21、特に対象の体液中の総ras p21レベルの連続変化の検出および定量に関する。さらに、本発明は、総ras p21を、例えば腫瘍性タンパク質、血管新生因子、腫瘍マーカー、阻害因子、増殖因子受容体、転移タンパク質、および腫瘍抑制因子といった一つ以上の他のタンパク質と併せて検出および定量することに関する。
rasファミリーの発癌遺伝子(ラット肉腫ウイルスと相同)は、シグナル伝達に関与する細胞タンパク質のGタンパク質ファミリーに属する。ras遺伝子は、細胞膜の内表面に位置しおよびGTPアーゼ活性を有するタンパク質をコードする。通常は、細胞膜受容体に結合する増殖因子によって誘起される際、rasタンパク質はGTPと結合し、rasシグナルの活性化を結果として生じる。ras遺伝子ファミリーは、ヒトの癌で見出される最も一般的に活性化される発癌遺伝子に含まれる、三つの主要なメンバー(H−ras、K−ras、およびN−ras)を有する。他のras遺伝子ファミリーメンバーは、Rho/Rac、Rab、ArfおよびRanサブファミリーを含む。
三つの主要なras遺伝子(H−ras、K−ras、およびH−ras)は、全ての真核細胞で細胞膜の内表面上に見出される、アミノ酸189個の21kDアルファ/ベータシートタンパク質をコードする。三つのras遺伝子にコードされるアイソフォーム(H−Ras、N−RasおよびK−Rasと表示される)は、本分野では集合的に「p21」または「ras p21」として知られ、および高度のホモロジー(>90%)および共通の下流エフェクターおよび上流グアニン−ヌクレオチド交換因子(GEFS)を共有する。ras遺伝子ファミリーのその他のメンバーについてそうであるように、ras p21は細胞シグナル伝達に重要な細胞内GDP/GTP結合Gタンパク質であり、細胞膜中の受容体チロシンキナーゼから核へのシグナルを変換し、正常細胞増殖および分化を調節する[Pruitt and Der (2002)]。12、13、または61位アミノ酸の置換によって活性化されたras p21タンパク質は、高い形質転換能力を有する腫瘍性タンパク質として作用しうる。ras p21の変異形は、GTP加水分解を還元することによって構成的に活性状態に固定され、その結果として細胞増殖のためのシグナルが制御されない。変異または過剰発現された場合、p21タンパク質は発癌性である。Ras p21タンパク質は、乳癌の50〜60%で過剰発現されており、および全ての癌の約30%、特に膵臓癌および結腸癌で変異している。
ras発癌遺伝子の変異性活性化は、さまざまな癌および前駆病変で同定されている。変異性に活性化されたras遺伝子は、胃、食道、卵巣、前立腺および乳房腫瘍ではまれであるが、肺癌の20〜40%、急性骨髄性白血病の30%、結腸直腸腫瘍および甲状腺腫瘍の40〜50%および膵臓腫瘍の>80%で報告されている。全体として、全てのヒト新生物の約30%がras遺伝子変異を含むことが報告されている。[非特許文献1;非特許文献2] H−ras変異は、膀胱、腎臓、および甲状腺癌で一般的である;K−ras変異は非小細胞肺癌、結腸直腸癌および膵臓癌に存在する;およびH−ras変異はメラノーマ、肝細胞癌、および血液系腫瘍でみられる。[非特許文献1.]発癌性ras変異体による細胞の形質転換は、ゼラチナーゼおよびストロメライシンといったメタロプロテイナーゼの発現を増大させる可能性があり、それは腫瘍転移を促進しうる。加えて、血管内皮増殖因子(VEGF)の発現は、K−ras−およびH−ras形質転換された上皮細胞においてRaf経路を通じて増大する。
変異ras p21に対して過剰発現ras p21の予後診断的意義について本分野でいくらか議論されている。例えば、非特許文献3は、半定量的ウェスタンブロットによって検出されたp21レベル上昇は初期乳癌患者における重要な予後指標であることを報告した。2001年にはしかし、非特許文献4は、結腸直腸癌におけるp21ras腫瘍性タンパク質発現を免疫組織化学試験を用いて調査し、および、決してras p21でなく、p21rasの遺伝子変化が、結腸直腸癌の生物学的攻撃性を決定するのに重要であると結論した。
腫瘍においてrasを検出するためにしばしば用いられる抗体は、ras p21の三種類の型全て(H−、N−およびK−ras)、変異型および野生型の両方に結合する汎反応性抗体である。例えば、非特許文献5は、結腸直腸腺癌におけるras p21の意義を調べるための免疫組織化学試験に汎反応性 Mab Ras 11を使用し、およびras p21は増殖活性と明らかに相関し、および独立した予後診断的価値を有することを見出した。
ras p21のヒト組織における定量的検定法が利用可能であるが、より以前に記載されたras p21のヒト体液における検定法はせいぜい半定量的である。rasは正常に発現されているため、活性化(アップレギュレートされたおよび/または変異性に刺激された)ras腫瘍性タンパク質経路の指標、例えば、ras p21レベルにおける上昇レベルまたは変化が、rasに導かれる発癌、またはrasに導かれる腫瘍の状態変化を検出するために使用できる、循環ras p21レベルにおける上昇または連続変化の定量的検定法があれば有用である。
特許文献1(Carney,W.P.,1995)は、正常ヒト血漿中の総ras p21の半定量的イムノアッセイを記載するが対応する血清ではない。その特許文献1はまた、正常ヒト血漿のELISA検定において総ras p21を検出するための、汎反応性MabRas17の使用を記載する。
2000年までに、少なくとも2名の研究者が、肺癌患者の血清中のrasタンパク質の存在を報告している。1991年には、非特許文献6が、肺癌患者11名中5名および非悪性肺疾患患者21名中2名の血清中にrasをイムノブロットを用いて検出し、および呼吸器癌の早期検出のためのマーカーとしてのrasの使用を示唆した。Anderson他もまた、ヒト肺癌患者の血漿中のrasレベルをウェスタンブロットを用いて分析した。[非特許文献7−9]Anderson他の1996年の試験では、rasレベルは患者のうち45%に対して正常対照のうち6%で上昇した。Anderson他の試験の一部では、総rasタンパク質(正常および変異体rasと反応する)を検出する一次抗体Ras10が使用された。RasレベルはBrandt−Rauf(1991)の試験またはAnderson他の試験のどちらでも定量(ピコグラムで)されなかった。
非特許文献10は、ras p21は肺癌患者血清にも、またはどの試験群由来の血清からも検出できなかったこと、およびしたがってrasは肺癌の早期検出のためのマーカーとして有用と考えることはできないと報告した。Schneider et al.(2000)は、男性肺癌患者65名、29非悪性肺疾患患者29名、および対照44名の血清を、H、KおよびN−rasと反応するAb−1(クローンY13−259由来汎反応性抗ras p21ラットMab)を用いて、三つの異なるウェスタンブロット法で検定した。しかし、標準において1ngのrasタンパク質が測定可能であったにもかかわらず、彼はrasをそれらの血清試料中に検出できなかった。
非特許文献11は、乳癌患者由来の血漿中のras p21レベルを、ウェスタンブロット、コンピューターを利用した画像分析(統合ピクセルユニット)、および汎反応性抗ras抗体を用いて調べた。Rundle et al.(2002)は、乳癌患者の53%において検出可能レベルの野生型rasを見出した;乳癌患者における平均レベルは、陽性対照(良性乳房疾患患者の27%および健常対照の26%)において見出された平均野生型rasレベルよりも定性的に高かった。非特許文献12は、化学療法の前および経過全体にわたっての両方で、 rasを含む9つの異なる発癌遺伝子 タンパク質産物の血清レベルにおける連続変化を調べた。ここでも、Rundle et al.(2002) および Perera et al.(1990)の検定の両方のras測定は半定量的なだけであった。
過剰発現されたrasもまた活性化ras経路を示しうるため、変異rasと関連していない癌においてさえ、変異および過剰発現ras p21の両方を測定することが非常に重要でありうる。例えば、rasは乳癌の50〜60%で過剰発現されおよび5%未満で変異しているが、おそらくHER−2/neuまたは他の発癌遺伝子の活性化のため、変異性に活性化されたrasが乳癌増殖および進行を促進しうるという多数の実験的証拠がある。[非特許文献13.]
発明者らは、体液中の総ras p21レベルにおける連続変化を測定するために使用できる定量的イムノアッセイを発見しており、その変化は活性化(アップレギュレートおよび/または変異性に刺激された)ras経路の指標として有用である。その新規のイムノアッセイは、汎反応性モノクローナル抗体(Mabs)Ras17およびRas10またはRas10.2の使用を含み、そのそれぞれが総ras p21タンパク質(正常および変異活性化ras p21の両方)と結合する。Mabs Ras17およびRas10は以前に記載されている[Carney,W.P.,特許文献2,特許文献1,特許文献3 および 特許文献4];しかし、イムノアッセイにおけるMabs Ras17およびRas10の組み合わせの使用は以前に記載されていない。
本発明は、アップレギュレートされたかまたは変異性に刺激された活性化ras経路を検出するために、体液試料中の総ras p21レベルの変化を検出するための定量的検出法を開示する。そのような検定法は、単独でまたは、rasの上流(TIMP−1)の癌マーカーのレベル、またはレベル他のタンパク質のレベルと組み合わせて、ras経路を標的とする患者治療を選択するために使用されうる。腫瘍形成におけるrasの重要性のために、例えばrasタンパク質発現の阻害(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、ras活性化に必須の膜局在化の妨害(例えばRasファルネシル化阻害因子を用いて)[非特許文献14および15]、またはrasの下流エフェクターの阻害(例えば、Rafセリン/スレオニンキナーゼ)によってMAPKシグナルカスケードの構成的活性化を阻害[非特許文献16]といった、rasを標的とする抗癌治療を開発するためにいくつかの方法が取られている。ras経路を標的とする治療の一つの有望な候補は、rafキナーゼおよびVEGFRの両方を阻害することが知られている、ビスアリール尿素ソラフェニブ(BAY−43−9006)である。[非特許文献17]
本発明まで、癌患者がras p21に導かれる腫瘍を有するか否かを決定する高感度な、定量的および定型的な血清検査は存在しなかった。本発明の検定法は、定型的に、血清だけでなく血漿および他の体液にも使用されうる、そうした高感度なおよび定量的な検定法を提供する。
米国特許第5,443,956号明細書 米国特許第 5,262,523号明細書 米国特許第5,081,230号明細書 米国特許第6,200,764号明細書 Adjei,A.A.,Journal of National Cancer Institute,93(14): 1062−1074 (July 18,2001) Bos,J.L,Cancer Research,49: 4682−4689 (1989) Watson,D.M.,Breast Cancer Res.Treat.17(3): 161 −169 (Jan−Feb 1991) Karelia et al.Int.J.Biol.Marker,16(2): 97−104 (2001) Sun et al.,Eur.J.Cancer.27(12): 1646−1649 (1991) Brandt−Rauf,P.W.,J.Occup.Med.,33(9): 951−955 (Sept.1991) Anderson et al.,Mutat.Res,349: 121−126 (1996) Anderson et al.,Mutat.Res,403(1−2): 229−235 (1998) Anderson et al.,Int.J.Hyq.Environ.Health.204(1): 55−60 (Oct.2001) Schneider et al.Clin.Chem.Lab.Med..38(4): 301−305 (2000) Rundle et al.Cancer Lett,185(1): 71−78 (Nov.8,2002) Perera et al.Arch.Toxicol.,64(5): 401−406 (1990) Eckert et al.,Cancer Research,64: 4585 − 4592 (2004) Kohl et al.,J Cell Biochem (Suppl.),22: 145−150 (1995) Lerner et al.,J Biol Chem.,270(45): 26802−26806 (Nov.10,1995) Pruitt and Der,Cancer Letters,171 : 1−10 (2002) Wilhelm et al.,Cancer Research,64: 7099−7109 (Oct.1,2004)
本発明は、ヒト体液中の総ras p21タンパク質のレベルにおける連続変化を測定するための、定量的イムノアッセイの使用に関する。前記連続変化は、rasシグナル伝達経路の活性化状態の指標として特に有用であり、ここで「活性化」はアップレギュレーションおよび変異性活性化の両方を含むと定義される。本発明の方法の基礎となる理論によると、総ras p21タンパク質の上昇(総ras p21レベルにおける連続変化によって検出される)は、ヒト対象における前腫瘍/腫瘍疾患の存在を示す、活性化rasシグナル伝達経路の指標と考えられている。本発明のイムノアッセイは、臨床的に−診断的におよび/または予後的に、前癌および/または癌(前腫瘍/腫瘍疾患)を検出するために、および患者治療選択のための治療的補助として、患者における前腫瘍/腫瘍疾患の状態の監視、または前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者がどのように治療に反応するかの監視に使用されうる。本発明のイムノアッセイに好ましい使用は、患者の状態を監視すること、および患者治療のための最適な方法についての決断を行うことである。
総ras p21における連続変化をイムノアッセイによって検定するための好ましい試料は、ヒト体液の試料であり、体液のうち特に:血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、乳房滲出液、脳脊髄液、涙液、痰、粘液、リンパ液、細胞質ゾル、腹水、胸水、羊水、膀胱洗液および気管支肺胞洗浄液を含みうる。検定のために好ましい体液は、血液、血清、および血漿、より好ましくは、血清または血漿である。特に好ましい体液試料は、治療前試料、および治療に反応していない患者から採取された試料を含む。
一態様では、本発明は活性化ras経路に関連する前腫瘍/腫瘍疾患を検出するための診断/予後診断(予測)法に関する。ヒト対象において活性化ras経路に関連する前腫瘍/腫瘍疾患を検出する一つの方法は下記の工程を含む:
(a)対照集団の個体から採取された体液の試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを免疫学的に検出および定量する;
(b)経時的に対象から採取された対応する体液試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化を免疫学的に検出および定量する;および
(c)対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルを、対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルと比較する;
ここで対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを上回る、対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルは、対象における活性化ras経路および前腫瘍/腫瘍疾患の存在を示唆する。工程(a)の対照集団の個体は、性別はどちらでもよく、または対象と同じ性別でよい。
ヒト対象において活性化ras経路に関連する前腫瘍/腫瘍疾患を検出する前記方法は、前腫瘍/腫瘍疾患の予後診断的なものであり、対照試料中の総ras p21の平均レベルと相対的な対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが前記対象についてより良好なまたはより悪い予後を示唆する。好ましくは、前記予後は、奏功率(RR)、完全奏功臨床効果(CR)、部分奏功臨床効果(PR)、病勢安定臨床効果(SD)、無進行期間(TTP)、および生存期間(TTD)より成る群から選択される臨床的結果である。
前記方法は、例えば、サンドイッチイムノアッセイ、好ましくはサンドイッチ酵素結合免疫吸着法(ELISA)または同等の検定法の形のイムノアッセイによるような、標準形式でありうる。好ましい形式は、モノクローナル抗体、好ましくは抗p21汎反応性モノクローナル抗体の使用を含むサンドイッチELISA、好ましくは捕捉モノクローナル抗体がAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたハイブリドーマHB10054から分泌されるRas17が指定されることを特徴としおよび検出モノクローナル抗体がATCCに寄託されたハイブリドーマHB9426から分泌されるRas10、またはRas10ハイブリドーマHB9426のサブクローンから分泌されるRas10.2が指定されることを特徴とするサンドイッチELISAである。より好ましくは、検出モノクローナル抗体Ras10またはRas10.2はビオチン化されている。
前記方法は、疾患が活性化ras経路と関連する、癌疾患または前癌疾患を診断および/または予後診断(予測)できる。そのような癌疾患または前癌疾患のうち典型的なのは、結腸直腸癌、結腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、急性骨髄性白血病、甲状腺癌、膵臓癌、膀胱癌、腎臓癌、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸部癌、頭頚部癌、肝細胞癌および血液系腫瘍、およびそのような癌に繋がる前癌より成る群から選択されるものである。結腸、結腸直腸、肺癌および乳癌、およびそれに繋がる前癌は、ヒト体液中の総ras p21の連続変化を検出する診断/予後診断(予測)検定方法の特に標的と考えられる。
本発明の別の一態様は、前腫瘍/腫瘍疾患を有するヒト患者のための治療選択の方法として、ヒト体液中の総ras p21タンパク質のレベルの変化を測定するための定量的イムノアッセイに関する。一つのそのような治療選択の方法は下記の工程を含む:
(a)対照集団の個体から採取された体液の試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを免疫学的に検出および定量する;
(b)経時的に患者から採取された対応する体液試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化を免疫学的に検出および定量する;
(c)患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルを、対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルと比較する;および
(d)患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルと対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルとの差に基づき、および患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルの連続変化を考慮して、患者を治療するために従来の癌治療および/またはrasを標的とする癌治療を用いるか否かを決定する。例えば、患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを上回るとわかった場合、および患者の試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化が対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを上回る傾向にあるレベルを示す場合、その患者はras発癌遺伝子に導かれる前腫瘍/腫瘍疾患を有するという結論付けがなされ、および、単独でまたは一つ以上の他の抗癌治療と併せて、ras指向治療を用いて患者を治療することが決定される。
好ましくは、前記ras指向治療は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子(FTI)、チロシンキナーゼ阻害因子、ビスアリール尿素およびrasのアンチセンス阻害因子より成る群から選択される。より好ましくは、前記ras指向治療は、ビスアリール尿素ソラフェニブ(BAY43−9006)である。
本発明の別の一態様は、患者における前腫瘍/腫瘍疾患の状態を監視、および/または前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者が治療にどう反応するかを監視する方法としてのイムノアッセイの使用に関するものであり、経時的に患者から採取された体液の試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化を免疫学的に検出および定量することを含み、経時的な総ras p21タンパク質のレベル上昇が疾患進行または治療に対するネガティブな反応を示唆し、および総ras p21タンパク質のレベル低下が疾患寛解または治療に対するポジティブな反応を示唆する。前記治療は、従来の抗癌治療、非慣習的な抗癌治療、および/またはras指向治療でありうる。好ましい体液試料は、試料の種類のうちでも特に、治療前試料、または治療に反応していない癌患者由来の試料でありうる。
本発明のさらに別の一態様は、診断/予後診断(予測)方法、前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者のための治療選択の方法、患者において前腫瘍/腫瘍疾患の状態を監視、および前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者がras指向治療または他の治療にどのように反応するかを監視する方法のような、本発明の方法において、一つ以上の他のタンパク質のレベルと組み合わせて、総ras p21レベルの変化を検出するために定量的イムノアッセイを使用することに関する。好ましくは、本発明の検定法においてras p21と共に定量するのが有用な前記の他のタンパク質は、阻害因子、腫瘍性タンパク質、増殖因子受容体、血管新生因子、転移タンパク質、腫瘍マーカーおよび腫瘍抑制因子である。好ましくは、前記阻害因子はメタロプロテイナーゼ−1組織阻害因子(TIMP−1)であり、前記腫瘍性タンパク質はHER−2/neuであり、前記増殖因子受容体は上皮増殖因子受容体(EGFR)および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)より成る群から選択され、前記血管新生因子は血管内皮増殖因子(VEGF)であり、前記転移タンパク質はウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)であり、前記腫瘍マーカーは癌胎児性抗原(CEA)であり、および前記腫瘍抑制因子はp53である。
非常に好ましくは、前記の他のタンパク質は、例えばTIMP−1およびHER−2/neu/c−erbB−2(「HER−2/neu」)のような、ras経路を活性化するタンパク質である。例えば、総ras p21および/またはHER−2/neuのレベル上昇は、腫瘍または腫瘍転移の早期の再発のより高い確率を示しうる。最も有望な治療結果のための最適な治療の組み合わせを選択するために、臨床的展望、治療上の資源および診断/予後診断(予測)パラメーターを広げることは、癌患者を、総ras p21およびそのような他のタンパク質、特にras経路を活性化するタンパク質の両方について連続変化を検査することは有用である。
参照文献
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略語
下記の略語がここで用いられる:
ATCC:American Type Culture Collection
BSA:ウシ血清アルブミン
℃:摂氏
CEA:癌胎児性抗原
CV:変動係数
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸
EGFR:上皮増殖因子受容体
ELISA:酵素結合免疫吸着検定法
FTI:ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子
GDP:グアノシン二リン酸
GEFS:グアニン−ヌクレオチド交換因子
GTP:グアノシン三リン酸
Gタンパク質:グアニルヌクレオチド依存性タンパク質
HRP:ホースラディッシュペルオキシダーゼ
kD:キロダルトン
M:モル濃度
Mab:モノクローナル抗体
MAP:分裂促進因子活性化タンパク質
ml:ミリリットル
mM:ミリモル濃度
N:正常または数(文脈に応じて)
ND:検出されず
NED:疾患徴候無し
Ng:ナノグラム
nm:ナノメートル
OD:光学密度
pg:プロテオグリカン
PDGFR:血小板由来増殖因子 受容体
P.Resp:患者の反応
Prog:増悪
Recur:再発
SD:標準偏差
Stab:安定
Stg:ステージ
TIMP−1:メタロプロテイナーゼ−1組織阻害因子
TMB:テトラメチルベンジジン
μg:マイクログラム
μl:マイクロリットル
Unk:不明
uPA:ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子
VEGF:血管内皮増殖因子
VEGFR:血管内皮増殖因子受容体
本発明は、ヒト体液中の総ras p21タンパク質のレベルの連続変化を測定する定量的イムノアッセイに関するものであり、そのアッセイは、診断的に/予後診断(予測)的にヒトにおいて、活性化ras経路と関連している前腫瘍/腫瘍疾患を検出または監視するのに、または前記前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者のための治療を選択するのに有用である。ここでは、「活性化ras経路」はras p21タンパク質の過剰発現または変異のどちらかによって活性化されたras経路と定義され、およびしたがってアップレギュレートされたおよび/または変異性に刺激されたras経路を包含する。さらに、ここでは、「総ras p21タンパク質」は、変異活性化および正常(野生型)p21タンパク質(H−ras、K−ras、およびN−rasタンパク質を含む)の両方を含む。
活性化ras経路と関連する前腫瘍/腫瘍疾患の典型は下記の通りであり、および書きに繋がる前癌である:結腸直腸癌、結腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、急性骨髄性白血病、甲状腺癌、膵臓癌、膀胱癌、腎臓癌、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸部癌、頭頚部癌、肝細胞癌および血液系腫瘍。特に、総ras p21タンパク質のレベルは、単独でまたは他のタンパク質、特に他の腫瘍性タンパク質のレベルと組み合わせて、臨床的結果を予測するためにおよび/または治療選択における補助として使用されうる。
本発明の検定法は、診断および/または予後診断(予測)、すなわち、診断法/予後診断(予測)法でありうる。「診断/予後診断(予測)」の語はここでは下記の過程を、臨床的背景に応じて個別にまたは累積的に包含すると定義される:疾患の存在を判定、疾患の性質を判定、疾患を識別、疾患状態の可能な結果に関して予測、症例の性質および症状によって示される通りの疾患からの回復に関しての見込みを判定、患者の疾患状態を監視、疾患の再発について患者を監視、および/または患者にとって好ましい治療計画を決定。本発明の診断/予後診断(予測)方法は、例えば、腫瘍または前腫瘍疾患の存在について集団をスクリーニング、腫瘍疾患を発症するリスクを判定、腫瘍および/または前腫瘍疾患の存在を診断、腫瘍疾患を有する患者の疾患状態を監視、および/または腫瘍疾患の経過についての予測を判定するために有用である。
本発明は、上記に示す通りのさまざまな前腫瘍/腫瘍疾患の存在についてスクリーニングするのに有用である。そのような検定法は、腫瘍を検出、腫瘍の増殖を監視、および疾患の診断および予後診断(予測)を助けるのに使用されうる。本検定法はまた、癌転移の存在を検出、および癌化学療法および/または放射線療法後の腫瘍組織の非存在を確認するために使用されうる。本検定法はさらに、癌化学療法および腫瘍再出現を監視するために使用されうる。
本方法は、前腫瘍/腫瘍疾患を診断されたかまたはその疑いのあるヒト対象から採取された連続体液試料中に存在する総ras p21タンパク質がもしあればそれを定量することを含む。定量された総ras p21タンパク質レベルは、対照集団の個体から採取された体液試料における平均レベルと比較され、ここで平均レベルを上回る総ras p21タンパク質は活性化ras経路を示す。ここでは、「平均を上回る」レベルの総ras p21タンパク質は、対照試料でみられる平均レベルより2標準偏差(SD)高いレベルを指す。対照集団の個体はどちらの性別でもよく、または対象と同じ性別の人に限定されうる。
ここでは、「癌」および「腫瘍」は等価の意味を有し、および「前癌」および「前腫瘍」は等価の意味を有する。前腫瘍/腫瘍疾患の診断/予後診断(予測)の指標としての発癌遺伝子の遺伝子発現産物の検出の使用は、当業者によって通常と見なされる。しかし、活性化rasと関連する前腫瘍/腫瘍疾患を検出または監視するための、体液中のrasレベル、特に循環rasレベルの連続変化を定量的に測定するような手法の使用は新規である。
体液の連続試料
本発明の好ましい一実施形態では、総ras p21タンパク質は、連続して経時的に採取されたヒト体液試料で定量される。そのような体液試料は、体液試料の中でも特に、血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、乳房滲出液、脳脊髄液、涙液、痰、粘液、リンパ液、細胞質ゾル、腹水、胸水、羊水、膀胱洗液および気管支肺胞洗浄液でありうる。好ましい体液は、体液試料の中でも特に、例えば、血清またはヘパリン、クエン酸またはEDTAで処理された血漿試料を含み、および新鮮または冷凍でありうる。そのような体液標本は、治療前、治療中、または治療後に採取でき、または治療に反応しない患者から採取されうる。ここでは、「経時的連続変化」または「連続試料」は、背景および状況に応じて、対象にとって適切と考えられる期間にわたって採取された試料の連続検査を意味する。例えば、癌患者スクリーニングのためには、連続試料は患者の初診、診断後、手術前および/または手術後に採取されうる;一方、前腫瘍疾患のための集団スクリーニングのためには、連続試料は年一回ベースで採取されうる。
イムノアッセイ
本発明の方法に記載の典型的なおよび好ましいイムノアッセイは、材料および方法の項で後述されおよび実施例1から8のデータを得るために用いられたサンドイッチELISAである。ここに開示される方法に加えて、代替の方法がヒト体液中の総ras p21タンパク質を定量するために使用されうることが理解できる。他の好ましいサンドイッチアッセイが、例えば発光標識といった他の視覚化方法と共に使用されうる。他の標識は、下記の標識化標識の項で詳述される。
多数の形式が、本発明の方法との使用のために適用されうる。ヒト体液中の総ras p21タンパク質の検出および定量は、本分野で一般に知られる検定法の中でも特に、例えば、by酵素結合免疫吸着検定法、ラジオイムノアッセイ、二重抗体サンドイッチアッセイ、凝集検定法、蛍光イムノアッセイ、免疫金を用いる免疫走査電子顕微鏡法によって実施されうる。そのような検定法での総ras p21タンパク質の定量は、本分野で公知の従来の方法によって適応されうる。好ましい実施形態である、循環総ras p21タンパク質レベル、または他の体液中のそのようなレベルにおける連続変化は、従来の方法を用いて担体表面上に捕捉抗体が固定化されているサンドイッチアッセイによって検出および定量される。
検定法に用いられる適当な担体は、担体の中でも特に、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、ポリアクリルアミド(例えばポリアミドおよびポリ塩化ビニル)、ガラスビーズ、アガロース、およびニトロセルロースを特に含む。
典型的なイムノアッセイ
典型的なおよび好ましいELISAサンドイッチイムノアッセイが、材料および方法の項に、および実施例1〜8に記載される。その典型的なELISAは、MabRas17を捕捉抗体として、およびビオチン化Mab10.2(ハイブリドーマRas10のサブクローンによって産生される)を検出抗体として使用する。捕捉MabRas17はマイクロタイタープレートウェル上に固定化され;希釈ヒト血清/血漿試料またはras p21標準(組み換え野生型H−rasタンパク質)が3時間37℃にてウェル中でインキュベートされ、総ras p21抗原をMab17によって結合させる。ウェルの洗浄後、固定化されたras p21抗原はビオチン化検出抗体MabRas10.2に30分間室温にて(20〜27℃)曝露され、その後ウェルは再び洗浄される。ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体が次いで添加される(30分間室温にて)。最後の洗浄後、結合ペルオキシダーゼ活性を検出するためにTMBブルー基質がウェルに添加される(および30分間室温にてインキュベートされる)。反応は2.5N硫酸の添加によって停止され、および吸収が450nmにて測定される。試料の吸収値のras標準との相関が、総ras p21の定量値をpg/ml血清または血漿として決定可能にする。
組み合わせ検定法:Rasおよび他のタンパク質のレベル
対象前腫瘍/腫瘍疾患に応じて、例えば阻害因子、腫瘍性タンパク質、増殖因子受容体、血管新生因子、転移タンパク質、腫瘍マーカー、および腫瘍抑制因子、特にras経路に随伴するものといった他のタンパク質が、ras p21と同時の検出および定量に適しうることが理解できる。ras p21との同時検査に適する典型的なおよび好ましい他のタンパク質は、メタロプロテイナーゼ−1組織阻害因子(TIMP−1)、HER−2/neu、上皮増殖因子受容体(EGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、癌胎児性抗原(CEA)、およびp53を含む。本発明の方法に適した好ましい他のタンパク質を検出するための検定法は当業者に公知である。例えば、ヒト体液中のHER−2/neuおよびTIMP−1の定量のためのイムノアッセイは、ヒト血清または血漿中のTIMP−1のng/ml値を測定できるOncogene Science TIMP−1 ELISA [Oncogene Science,Cambridge,MA (USA),www.oncogene.com]のように市販されている。実施例8に記載される通り、連続結腸直腸癌血清試料および正常血清試料が、総ras p21およびTIMP−1レベルの療法について検定された。
予後診断
ras p21および/または他のタンパク質のレベルの監視は、前腫瘍/腫瘍疾患の臨床的結果を示しうる。臨床的結果を評価する好ましい方法は、奏功率(RR)、臨床効果[完全奏功(CR)、部分奏功(PR)、および病勢安定(SD)を含む]、無進行期間(TTP)、および生存期間(TTD)に基づく方法である。予後を評価する他の方法が本分野で公知でありおよび使用されうる。
抗体
「抗体」の語はここでは、もっとも広義で用いられおよび具体的にはモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および目的の生物活性を示す限り抗体断片を包含する。本発明の方法に記載の有用な抗体は、従来の方法論によっておよび/または遺伝子工学によって調製されうる。本発明に記載の好ましい抗体は、「汎反応性」であるもの、すなわち総ras p21(野生型および変異活性化ras p21の両方)、およびHarvey、KirstenおよびN−ras p21の三つのファミリーと結合する抗体である。非常に好ましいのは、本発明の典型的なイムノアッセイに使用される抗体であるRas17およびRas10抗体、または目的の生物活性を示す限りRas17およびRas10ハイブリドーマのサブクローンによって産生される抗体である(例えば親Ras10ハイブリドーマのサブクローン由来のRas10.2Mab)。
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、一般的にはその抗原結合または可変ドメインを含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、二重特異性抗体、線形抗体、および1本鎖抗体分子、および抗体断片から形成された二重特異性抗体を含む多重特異性抗体を含む。
「モノクローナル抗体」の語はここでは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体をいい、すなわち、その集団を構成する各抗体は少量存在しうる可能な天然に存在する変異以外は同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象とする。さらに、典型的にはさまざまな決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基を対象とする。修飾語「モノクローナル」は、indicates抗体の実質的に均一な集団から得られているという抗体の性質を示し、および何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明にしたがって使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製が可能であり、または組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書)によって作製されうる。「モノクローナル抗体」はまた、ファージ抗体ライブラリから、例えばClackson et al.,Nature,352: 624−628 (1991) および Marks et al.,J.Mol.Biol.,222: 581−597 (1991)に記載の方法を用いて単離されうる。
モノクローナル抗体はここでは特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一かまたは相同であり、一方で鎖の残りが別の種に由来するかまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一かまたは相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、および目的の生物活性を示す限りそのような抗体の断片を含む[米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.ScL USA,81; 6851−6855 (1984)]。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。大部分は、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、そこではレシピエントの超可変領域残基が、目的の特異性、親和性、および容量を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類といった非ヒト種由来の超可変領域残基(ドナー抗体)で置換されている。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体にはみられない残基を含みうる。そのような改変は、抗体性能をさらに改良するために実施される。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンのものと対応する全てまたは実質的に全ての超可変領域、および全てまたは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも一個、および典型的には二個の可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた随意的に、典型的にはヒト免疫グロブリンの、少なくとも一部の免疫グロブリン定常領域(Fc)を含む。さらなる詳細については、Jones et al.,Nature,321 :522− 525 (1986); Reichmann et al.,Nature,332: 323−329 (1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2: 593−596 (1992)を参照。
「1本鎖Fv」または「sFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般的に、Fvポリペプチドはさらに、VHおよびVLドメイン間に、sFvが抗原結合のための目的の構造をとることを可能にするポリペプチドリンカーを含む。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315 (1994)を参照。
「二重特異性抗体」の語は、二個の抗原結合部位を有する小さい抗体断片をいい、その断片は、同一ポリペプチド鎖内に軽鎖可変ドメイン(VL)と連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。短すぎて同一鎖上の二つのドメイン間の対形成ができないリンカーを使用することによって、それらのドメインは別の鎖の相補ドメインと対形成するよう強制され、および二個の抗原結合部位を生じる。二重特異性抗体は、例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第93/11161号パンフレット; および Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.ScL.USA,90: 6444−6448 (1993)により完全に記載される。
「線形抗体」の表現は、Zapata et al.,Protein Eng.,8(10): 1057−1062 (1995)に記載された抗体をいう。要約すると、そのような抗体は、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFd区域(VH−CHI−VH−CHI)を含む。線形抗体は二重特異性または単特異性でありうる。
本発明に記載の有用な代表的なモノクローナル抗体は、以前のCarney他の特許[米国特許第5,081,230号明細書;米国特許第5,443,956号明細書;米国特許第6,200,764号明細書]に記載されたMabsRas17およびRas10を含む。本発明に記載の有用なモノクローナル抗体は、例えば臨床試料中で、さまざまな予後診断的臨床検査において総ras p21タンパク質を特定するのに役立つ。
抗体の調製を含む、ここで有用な他の分子生物学的方法を記載する一般的テキストは、Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzvmology,Vol.152,Academic Press,Inc.,Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,(Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press; Cold Spring Harbor,N.Y.; 1989) Vol.1−3; Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausabel et al.[Eds.],Current Protocols,a joint venture between Green Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.(supplemented through 2000),Harlow et al.,Monoclonal Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988),Paul [Ed.]; Fundamental Immunology.Ueppincott Williams & Wilkins (1998),および Harlow et al.,Using Antibodies: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1998)を含む。
標識
総ras p21タンパク質を特定するための本発明に記載の有用な抗体は、任意の従来の方法によって標識化されうる。本発明に記載の好ましい標識はホースラディッシュペルオキシダーゼであり、および抗体を標識化する好ましい方法は、ビオチン−ストレプトアビジン複合体を用いることによる。
必要に応じて、トレーサーとして用いられる本発明のイムノアッセイに使用される抗体は、可視シグナルまたは可視化されうるシグナルを結果として生じる任意の方法で直接にまたは間接に標識化されうる。検出可能なマーカー物質は、3H、125I、および131Iといった放射性核種;蛍光物質、例えばフルオレセインイソチオシアネートおよび他の蛍光色素、フィコビリンタンパク質、フィコエリトリン、希土類キレート、テキサスレッド、ダンシルおよびローダミン;比色試薬(色素原);電子不透明物質、例えば金コロイド;生物発光物質;化学発光物質;色素;酵素、特に例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルファ−、ベータ−ガラクトシダーゼ;補酵素;酵素基質;酵素補助因子;酵素阻害因子;酵素サブユニット;金属イオン;フリーラジカル;または形成された免疫複合体の存在または量を検出または測定する手段を提供する任意の他の免疫学的に活性または不活性な物質を含む。典型的な酵素基質の組み合わせは、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよびテトラメチルベンジジン(TMB)、およびアルカリホスファターゼおよびパラニトロフェニルリン酸(pNPP)である。
本発明に記載のもう一つの好ましい検出、または検出および定量系は、発光シグナル、生物発光(BL)または化学発光(CL)を生じる。化学発光(CL)または生物発光(BL)検定法では、強度または総発光が測定されおよび未知分析物の濃度と関連づけられる。光は、ルミノメーター(検出器として光電子増倍管)または電荷結合素子を用いて定量的に、または写真フィルムまたはX線フィルムによって定性的に測定されうる。そのような検定法を用いることの主な利点は、その単純さおよび、非常に少量の分析物の検出および/または定量を可能にする分析感度である。
典型的な発光標識は、アクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホニルカルボキサミド、ルミノール、ウンベリフェロン、イソルミノール誘導体、光タンパク質、例えばエクオリン、およびホタル、海産細菌、VargullaおよびRenilla由来ルシフェラーゼである。ルミノールは随意的に、好ましくは4−ヨードフェノールまたは4−ヒドロキシ桂皮酸より成る群から選択されるエンハンサー分子と使用されうる。アクリジニウムエステルは、本発明に記載のCL標識の好ましい種類の一つである。典型的には、CLシグナルは塩基性条件下で酸化剤との処理によって生じる。
また好ましい発光検出系は、シグナル(検出可能なマーカー)が基質との酵素反応によって生じる系である。CLおよびBL検出系が、特にアルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、およびキサンチン−オキシダーゼ標識を検定するために開発されている。APおよびHRPは、さまざまなCLおよびBL反応によって定量されうる二種類の好ましい酵素標識である。例えば、APは、アダマンチル1,2−ジオキセタンアリールリン酸基質(例えばAMPPDまたはCSPD;[Kricka,L.J.,"Chemiluminescence and Bioluminescence,Analysis by," at p.167,Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference (ed.R.A.Meyers) (VCH Publishers; N.Y.,N.Y.; 1995)];好ましくは4−メトキシ−4−(3−リン酸フェニル)スピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−アダマンタン]の二ナトリウム塩とエンハンサー分子ありまたは無しで、好ましくは二塩化1−(トリオクチルホスホニウムメチル)−4−(トリブチルホスホニウムメチル)ベンゼンといった基質と共に使用されうる。HRPは好ましくは、2’,3’,6’−トリフルオロフェニルS−メトキシ−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラートといった基質と共に使用される。
CLおよびBL反応は、酵素のだけでなく、他の基質、補助因子、阻害因子、金属イオンなどの分析にも適用されうる。例えば、ルミノール、ホタルルシフェラーゼ、および海産細菌ルシフェラーゼ反応は、それぞれ過酸化物、ATP、およびNADPHの産生または消費の指標反応である。それらは、オキシダーゼ、キナーゼ、およびデヒドロゲナーゼを含む他の反応とカップリングでき、およびカップリングされた反応の任意の成分(酵素、基質、補助因子)を測定するために使用されうる。
検出可能なマーカーは、本発明の検定法に使用される抗体と、直接的にまたは間接的に結合されうる。検出可能な標識の典型的な間接的結合は、抗体とマーカーとの間の結合対の使用、またはシグナル増幅系の使用である。
本発明の検定法の抗体を検出可能なマーカーと結合するために使用されうる典型的な結合対は、ビオチン/アビジン、ストレプトアビジン、または抗ビオチン;アビジン/抗アビジン;チロキシン/チロキシン結合グロブリン;抗原/抗体;抗体/抗抗体;糖/レクチン;ハプテン/抗ハプテン抗体;色素および疎水性分子/疎水性タンパク質結合部位;酵素阻害因子、補酵素または補助因子/酵素;ポリ核酸/相同なポリ核酸配列;フルオレセイン/抗フルオレセイン;ジニトロフェノール/抗ジニトロフェノール;ビタミンB12/内因子;コルチゾン、コルチゾール/コルチゾール結合タンパク質;および特異的受容体タンパク質のリガンド/膜結合特異的受容体タンパク質である。本発明に記載の好ましい結合対は、ビオチン/アビジンまたはストレプトアビジン、より好ましくはビオチン/ストレプトアビジンである。
標識を直接的にまたは間接的に抗体へ結合するためのさまざまな手段が本分野で公知である。例えば、標識は共有的にまたは非共有的に結合されうる。典型的な抗体複合体化方法は: Avarmeas et al.,Scan.J.Immunol.,8 (Suppl.7): 7 (1978); Bayer et al.,Meth.Enzymol.,62: 308 (1979); Chandler et al..J.Immunol.Meth.,53: 187 (1982); Ekeke and Abuknesha,J.Steroid Biochem..11 : 1579 (1979); Engvall and Perlmann,J.Immunol.,109: 129 (1972); Geoghegan et al.,Immunol.Comm.,7: 1 (1978);およびWilson and Nakane,Immunofluorescence and Related Techniques,p.215 [Elsevier/North Holland Biomedical Press; Amsterdam (1978)]に記載されている。
標識の性質に応じて、標識を検出および定量するためにはさまざまな方法が使用されうる。蛍光物質については、多数の蛍光光度計が利用可能である。化学発光物質については、ルミノメーターまたはフィルムが利用可能である。酵素については、蛍光、化学発光、または着色産物が、蛍光光度計、ルミノメーター、分光光度計、または目視によって判定または測定されうる。
アクリジニウム、ベンズアクリジニウム、またはアクリダン型のヘテロ環系を有するさまざまな種類の化学発光化合物が好ましい標識である。アクリジニウムおよびベンズアクリジニウムエステルは現在より好ましい化学発光化合物であり、好ましいアクリジニウムエステルは、ヘテロ環または、本分野でよく知られている通り、アクリジニウム、ベンズ[a]アクリジニウム、ベンズ[b]アクリジニウム、ベンズ[c]アクリジニウム、ベンズイミダゾールカチオン、キノリニウム、イソキノリニウム、キノリジニウム、環置換キノリニウム、フェナントリジニウム、およびキノキサリニウムといった環系を含む正の酸化状態にあるヘテロ原子を含む環系を有する化合物を含む。
トレーサーは、例えば Weeks et al.,Clinical Chemistry,29(8),1474−1479,(1983)のように当業者によく知られている通り、アクリジニウムまたはベンズアクリジニウムエステル上に存在する反応性官能基を、選択された抗体へ直接的または間接的に結合することによって調製されうる。特に好ましい化合物は、アリール環脱離基およびアリール環のパラまたはメタ位に存在する反応性官能基を有するアクリジニウムおよびベンズアクリジニウムエステルである。[米国特許第4,745,181号明細書および国際公開第94/21823号パンフレットを参照。]
Ras指向治療
ここでは、「ras指向治療」は、ras経路を標的とする任意の治療を含み、rasタンパク質発現の阻害(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、ras活性化に必須の膜局在化の妨害(rasファルネシル化阻害因子)、またはrasの下流エフェクターの阻害(例えば、Rafセリン/スレオニンキナーゼ)を含む。好ましいras指向治療は、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子(FTI)、チロシンキナーゼ阻害因子、またはビスアリール尿素を含む。典型的なFTIは、BMS−214662[イミダゾール含有非ペプチドミメティックFTI; Cortes et al.,J.Clin.Oncol,23 (12): 2805−2812 (April 20,2005); Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJ (USA)]、FTI−2153およびFTI−277[EMD Biosciences,www.emdbiosciences.com (Cat.No.3444555); Lerner et al.(1995); Sun et al.,Cancer Res..59: 4919−4926 (1999)]、R115777[メチルキノロン; Janssen Research Foundation,Titusville,NJ (USA)]、および Sch66336 [Sarasar(登録商標) または Lonafamib(登録商標);ベンゾシクロヘプタピリジルFTI; Taveras et al.,Curr.Topics Med.Chem.,3(10): 1103− 1114 (June 2003); Schering Plough,Kenilworth,NJ (USA)]である。
典型的なチロシンキナーゼ阻害因子はAZD3049である[プレニルトランスフェラーゼ阻害因子; AstraZeneca,www.astrazeneca.com]。rasの典型的なアンチセンス阻害因子はISIS2503である[ISIS Pharmaceuticals,Inc.,Carlsbad,CA (USA)]。[rasを、またはrasから下流の関連するエフェクターを標的とする他のras指向治療については、例えば、http://www.webtie.org/sots/html/LungAgents.htmも参照。]
本発明に記載の好ましいras指向治療は、酵素Rafキナーゼを阻害する低分子であるビスアリール尿素ソラフェニブ(BAY43−9006)である[Onyx Pharmaceuticals,Richmond,CA (USA),および Bayer Corporation,West Haven,CT (USA); Lyons et al.,Endocrine−Related Cancer,8:219−225 (2001) および Wilhelm et al.(2004)]。ソラフェニブは、細胞増殖を阻害するRAF/MEK/ERK[MEK:MAP/ERKキナーゼ;ERK:細胞外シグナル関連キナーゼ]シグナル伝達経路、および腫瘍血管新生を阻害するVEGFR−2/PDGFR−βシグナル伝達経路の両方を標的とする。ソラフェニブはそのため、活性化ras経路および活性化VEGFR−2/PDGFR−βシグナル伝達経路を有することがわかった患者のための、特に好ましい抗癌治療となる。
下記の実施例は説明のみを目的とし、およびいかなる方法でも本発明を限定しないことが意図される。
材料および方法
ヒト血清および血漿のための固相サンドイッチマイクロタイターELISA
試料調製ras p21ELISAによる分析に適した試料は、ヘパリン、クエン酸、またはEDTAで処理されたヒト血漿、およびヒト血清を含む。可能な干渉因子のため、ヒト血清および血漿の調製および検定には特別の注意を払わなければならない。希釈前に微量遠心分離によって、いかなる凝集物質も試料から除去されるべきである。試験すべき血清または血漿標本の初濃度は濃度50%(標本の試料希釈剤での1:2希釈)を超えない。例えば、試料0.150mlは試料希釈剤0.150mlで希釈でき、および100μlをマイクロプレートウェルへ加える。
典型的な検定手順
精製Ras17Mabs[ATCCへHB10054として寄託されたRas17ハイブリドーマから分泌された]は1μg/mlへコーティング緩衝液(0.03M無水炭酸ナトリウムおよび0.07M炭酸水素ナトリウム、pH9.6)で希釈され、および96ウェルマイクロプレート[Nunc MaxiSorp(商標) F8 lmmuno Module,Part #1001; Nalge Nunc International Corp.,Naperville,IL (USA)]のウェルへ吸着される(ウェル当たり100μlにて)。吸着は一夜(少なくとも12時間)室温にて(20℃〜27℃)実施される。インキュベート期間の終了時に、ブロッキング溶液をウェルに加え(0.002Mリン酸二水素ナトリウム、0.008Mリン酸水素二ナトリウム七水和物、0.15M塩化ナトリウム、0.29MベータD−ラクトースおよび2%BSA試薬グレード;pH7.45)およびOyster Bayマイクロプレートコーター(Model MPCS− 3) [Oyster Bay Pump Works,Hicksville,N.Y.(USA)]を用いて吸引した。コーティングされたマイクロプレートはLyoStar(登録商標) Freeze−Dryer [FTS Systems,Stone Ridge,N.Y.(USA)]を用いて22℃にて乾燥しおよび2〜8℃にて保存した。
ヒト血清試料およびras p21標準[Invitrogen Corporation,Catalog # P2138; Carlsbad,CA (USA)]は試料希釈剤[4%BSAプロテアーゼフリー(Serologicals Product #82−045; www.serologicals.com)、10 μg/ml精製マウス IgG (Scantibody Laboratories Product #3BM222; Santel,CA,USA)および0.09%アジ化ナトリウム]を用いて連続希釈する。ヘパリン、クエン酸、またはEDTAで処理した血漿試料を血清の代わりに使用しうる。希釈試料を次いでマイクロプレートウェルに加え(ウェル当たり100μl)、および密閉したプレートを3時間37℃にてインキュベートする。各ウェルをウェル当たり300μLのプレート洗浄液pH7.4[0.137M塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム、1.45mMリン酸二水素カリウム、0.08Mリン酸水素二ナトリウム七水和物、および0.05%Tween20]で6回洗浄する。各ウェルへ次いで、検出希釈剤[0.4%カゼイン、1.7mMリン酸二水素ナトリウム、8.1mMリン酸水素二ナトリウム七水和物、0.15M塩化ナトリウム、および0.1%アジ化ナトリウム、pH7.15±0.1]で希釈された100μlのビオチン化Ras10.2Mabs[その親ハイブリドーマRas10はATCCにHB9426として寄託されている]を添加する(Mab終濃度0.5〜3.5μg/ml;検出Mabの力価測定および機能試験によって決定された最適濃度)。
プレートを30分間室温にてインキュベートする。各ウェルを上記の通り6回洗浄し、および複合体希釈剤[1.7mMリン酸二水素ナトリウム、8.1mMリン酸水素二ナトリウム七水和物、0.145M塩化ナトリウム、0.1%2−クロロアセトアミド、1%BSAプロテアーゼフリー、および0.05%Tween20;pH7.3]で1μg/mL以下に希釈された100μlのストレプトアビジン−HRP[Zymed Laboratories,Inc.,Catalog # 43−8323; www.zymed.com]を各ウェルに加える。プレートを室温にて30分間インキュベートする。各ウェルを再び上記の通り6回洗浄し、および100μlの発色基質溶液[TMBブルー基質、DakoCytomation,Catalog # S1601; www.dakocytomation.com]を各ウェルに加えて、結合したペルオキシダーゼ活性を検出する。プレートを30分間室温にてインキュベートし、および反応を2.5N硫酸100μlの添加によって停止する。吸収は450nmにてMolecular Devices分光光度プレートリーダー(Model #Vmax; www.moleculardevices.com)を用いて測定し、およびSoftmax Pro(商標) (Molecular Devices Corporation; www.moleculardevices.com)ソフトウェアプログラムを用いて分析する。
ヒト血清および血漿試料正常ヒトおよび癌患者由来の冷凍血漿および血清試料はBioclinical Partners,Inc.[Franklin,MA (USA);現在はZeptometrix (www.zeptometrix.com)]から入手した。
実施例1
Ras標準曲線
定量的分析は、Ha ras p21[組み換え野生型ras p21、Invitrogen Corporation,Catalog # P2138]を用いて標準曲線を作成することによって行った。図1は、さまざまな濃度 のHa−ras p21タンパク質を固定化抗p21汎反応性モノクローナル抗体Ras17と反応させることによって、および捕捉されたras p21タンパク質をビオチン化抗総p21モノクローナル抗体Ras10.2を用いて検出することによって作成された標準曲線を示す。イムノアッセイ手順は材料および方法で上述した通りであった。
実施例2
正常ヒト血清
マイクロプレートウェルを、上記の通り、抗総ras p21捕捉抗体(MabRas17)でコーティングした。計82検体の正常ヒト血清(女性42名、男性40名;Bioclinical Partners,Inc.から入手)を個別に、コーティングされたマイクロプレートでELISAによって検査し、および血清中に存在するras p21をビオチン化Ras10.2モノクローナル抗体を用いて検出した。450nmでの吸収度を用いて、血清試料中の総ras p21のレベルを測定した。結果は、一般的に、正常男性よりも正常女性でより高いレベルの総ras p21タンパク質がみられたことを示した(平均は女性で122.4pg/mlに対して男性で33.1pg/ml)。
Figure 0004693902
Figure 0004693902
実施例3
血漿対血清
16検体の対応する正常ヒト血清および血漿試料について、材料および方法は上述の通りで、総ras p21タンパク質レベルをELISAによって測定した。血漿レベルは、下記の表2で示す通り、血清レベルより平均して約24%高かった。
Figure 0004693902
実施例4
検定法の特徴
ヒト血清または血漿中の総ras p21についてのELISAアッセイ法の感度、特異性、精度および並列性が特徴づけられた(全ての場合で、MabRas17を捕捉抗体として、およびMabRas10.2を検出抗体として使用)。
1.分析感度
分析物の最小検出可能濃度を、ゼロ用量試料(標準レベル1)の反復測定および平均+2標準偏差の計算によって決定した。rasELISAアッセイ法は総ras p21タンパク質4.6ピコグラム/mlを検出する。
2.特異性
交差反応性:Rab3A、Rac−1、およびRanは、Gタンパク質ファミリーの他のメンバーである。Oncogene Science RAS p21 ELISAを、高レベルの各分析物で検証した。Rab−3Aだけが最小限の1.22%にていくらかの交差反応性を示した。
3.精度
分析間精度:ヒト試料中の総ras p21タンパク質を測定するための本ELISA検査の再現性を、別の時での同一血清の反復検査によって確認した(表3)。正常ヒト血清および血漿に組み換え野生型ras p21[Invitrogen]を三つの異なる濃度で添加し、および8回の分析で、各回当たり8連で試験した。分析間変動は10.0%以下であった。
Figure 0004693902
分析内精度:正常ヒト血清および血漿にras p21タンパク質を三つの異なる濃度で添加し、および8回の分析で、各回当たり8連で試験した。平均分析内変動は7%未満であった(表4)。
Figure 0004693902
4.並列性
添加血清および血漿試料を最初に1:2希釈し、続いて2倍希釈を作製し、および全ての希釈をras p21ELISAで試験した。各希釈についての回収率(pg/ml)は適当な希釈係数で補正して計算した。結果は、試料希釈剤で希釈した添加血漿および血清試料はras p21タンパク質の正確な回収を結果として生じることを示す(表5)。
Figure 0004693902
実施例5
正常血清由来連続試料中のrasレベル
正常者15名(男性13名、女性2名)由来の連続血清試料について、材料および方法は上述の通りで、ELISAによって総ras p21レベルを測定した。一般的に、試料は少なくとも3週間間隔で採取された。
Figure 0004693902
Figure 0004693902
実施例6
結腸癌患者における一点および連続Rasレベル
Rasは全ての癌の約20%、特に結腸および膵臓癌で変異している。変異または過剰発現によって活性化されたras経路は総ras p21タンパク質のレベル上昇を結果として生じうるという本発明の仮説に基づき、結腸癌患者由来の血清48検体について、総ras p21レベルを測定した(表7)。結腸癌患者由来の少なくとも4検体の血清(試料#2004、#2065、#2784および#2785)が極めて高い総ras p21レベルを示した。
Figure 0004693902
しかし、総ras p21タンパク質における連続変化は、一点検定法よりも、前腫瘍/腫瘍疾患のより有用な指標でありうる。ras p21のレベル上昇は、結腸直腸癌再発または進行を示す可能性があり、および従来の治療またはras経路を標的とする治療のどちらかで治療されるべき患者を特定しうる。ras腫瘍性タンパク質のレベル上昇は、他の腫瘍学検査、例えば癌胎児性抗原(CEA)と併用されうる。
表8に示す通り、結腸癌患者7名に由来する連続血清試料について、材料および方法に記載のELISAイムノアッセイ形式を用いて、総ras p21レベルを測定した。ステージIV結腸癌を有する特定の患者1名において、発明者らは下記の観察を行った:rasレベルは最初は相対的に安定に留まったが(表8、試料#3766−2から#3766−4)、しかし癌が進行するにつれ、rasレベルは69pg/mlへ、および次いで124pg/mlへ上昇した。その患者は従来の治療を受けていた一方、癌の進行を示した。本発明のイムノアッセイはしたがって、ras発癌遺伝子経路またはその経路の成分を特異的に阻害することを標的とする治療に反応しうる、従来の治療に反応していない患者を特定するために使用されうる。本発明のイムノアッセイはまた、ras経路を標的とする治療に対する反応または反応の欠如を監視するために使用されうる。
別の一例は、ras p21レベルが最初は相対的に安定に留まったステージII結腸癌患者のものである(表8、試料#3767−1から#3767−4)。癌が進行するにつれ、しかし(試料#3767−5および#3767−6)、rasレベルは142pg/mlへ上昇し、および95pg/mlで高値に留まった一方、患者のCEAレベルは正常の1.8ng/mlへ低下した。この患者の例で示される通り、CEAは増悪に直面して減少した一方、rasレベルは上昇し、そのパターンは増悪と合致する。rasのレベル上昇はしたがって、ras阻害因子治療に適する患者、またはras発癌遺伝子経路を阻害するように特に標的化された治療に反応しうる従来の治療に反応していない患者を特定するために使用されうる。
Figure 0004693902
実施例7
ステージI/ステージII乳癌におけるRas p21血清レベル
Ras p21は乳癌の50〜60%で過剰発現されている。転移性乳癌(MBC)患者における循環ras腫瘍性タンパク質の治療前の上昇したレベルは、従来の治療または標的化抗ras治療に適した患者を示しうる。
加えて、乳癌患者におけるras p21単独のレベル上昇または低下は、またはHER−2/neuのレベルと併せて、再発乳癌の早期指標でありうる。転移性乳癌(MBC)患者におけるrasまたはHER−2/neu腫瘍性タンパク質の、治療前の上昇した循環レベルは、抗rasおよび/または抗HER−2/neu治療、従来の治療または標的化治療に適した患者を示しうる。
表9は、ステージIまたはステージII乳癌患者由来の単一血清試料のイムノアッセイ(材料および方法で記載の通り)でみられる総ras p21レベルを示す。個別の乳癌患者は、100〜200pg/ml範囲にある正常レベルと比較して高い総ras p21レベルを示す。数名の患者は2600〜2800pg/ml範囲の極めて高いras p21レベルを示す(例えば、試料#1323、#1357および#1432を参照)、
Figure 0004693902
実施例8
ヒト血清におけるRasおよびTIMP−1の同時発現
ras p21レベルを他の腫瘍関連タンパク質と組み合わせて測定することは、特定の癌についての治療の選択を支援しうる。例えば、rasおよびrasの上流のタンパク質の両方のレベルを測定することによって、活性化ras経路に関連する腫瘍疾患に最も適した治療を決定しうる。
一つのそのような上流タンパク質がTIMP−1(メタロプロテイナーゼ−1組織阻害因子)である。TIMP−1は大部分の組織および体液でみられる多機能タンパク質である;TIMP−1はマトリクスメタロプロテアーゼのタンパク質分解活性を阻害し、およびそれによって癌浸潤を妨げる。しかし、TIMP−1はまた、アポトーシスの阻害、悪性形質転換の誘導および細胞増殖の刺激といった他の機能を有し、および見かけ上rasを活性化する。TIMP−1は結腸直腸癌患者由来の血液中で上昇しており、および高いTIMP−1レベルは悪い予後を予測する[38]。rasおよびTIMP−1の両方のレベルを監視することは、癌患者のための治療選択、治療に対する応答または応答の欠如、および腫瘍進行が起こっているか否か判定するための貴重な情報を提供する。
結腸直腸癌患者におけるras p21およびTIMP−1の連続試料は、標的化治療(rasおよび/またはTIMP−1への)に対する反応を予測または監視するために有用でありうる。また、従来の抗癌治療に対する反応を予測するためにrasおよびTIMP−1を測定する有用性もありうる。
治療前の上昇したras p21およびTIMP−1レベルは、rasおよび/またはTIMP−1タンパク質を阻害することを意図する医薬を用いた治療のために患者を選択するのに、またはそのような医薬での治療に対する患者反応を予測するのに使用されうる。そのような治療は、例えばrafキナーゼといったras発癌遺伝子経路のさまざまな成分を阻害する医薬を含み、およびrafキナーゼ阻害因子薬にまたはファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子(FTI)に適用されうる。そのような治療はまた、rasに導かれる腫瘍に対する従来の治療、またはTIMP−1機能を阻害することを意図する医薬を含む。
連続正常試料中のRasおよびTIMP−1レベル
正常者対照15名(男性13名、女性2名)由来の連続正常試料について、材料および方法で上述の通り、ELISAによって総ras p21およびTIMP−1レベルを測定した(表10に示す)。一般的に、試料は少なくとも3週間間隔で採取された。正常血清では、総ras p21レベルは50.6pg/mlないし560pg/mlで変動した;TIMP−1の正常レベルは167.8ng/mlないし614.4ng/mlの範囲であった。
Figure 0004693902
連続結腸癌試料中のRas p21、TIMP−1およびCEAレベル
表11に示す通り、結腸癌患者7名から連続的に採取された血清について、材料および方法で上述の通り、ELISAによって総ras p21およびTIMP−1レベルを測定した。それらの患者のうち6名に由来する血清をまた、CEAについても検定した。
特定の1名のステージIV結腸直腸癌患者では(表11、患者#3766)、rasレベルは59pg/mlから125pg/mlへ上昇し、一方でTIMP−1レベルは263から703ng/mlへ上昇した。その患者は従来の治療を受けている一方で増悪を示した。そのデータは、総ras p21およびTIMP−1レベルが、そのような結腸直腸癌患者の管理に使用されうることを示唆する。
Figure 0004693902
ハイブリドーマ細胞株の寄託
ATCC寄託。下記の材料は現在10801 University Boulevard,Manassas,Va.,20110−2209 (USA)のAmerican Type Culture Collection (ATCC)に寄託された。寄託はBudapest Treaty on the International Recognition of Deposited Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure and Regulations thereunder(ブダペスト条約)の規定に基づいて実施した。生存可能な培養の維持は寄託日から30年間保証されている。該ハイブリドーマおよびプラスミドは、ATCCによってブダペスト条約の条項に基づいて利用可能にされ、および、関連する米国特許の発行に際して一般に対し、寄託されたハイブリドーマおよびその子孫の無制限の利用可能性を保証する、出願者およびATCCの間の合意に支配される。
本出願の代理人は、適当な条件下で培養された際に寄託されている材料の培養が死滅または亡失または破棄された場合、通知に際して直ちに別の同一物で材料を差し替えることに合意している:

i. ハイブリドーマ 寄託日 ATCC#
ii. Ras10 1987年5月12日 HB9426
iii. Ras17 1989年5月29日 HB10054
本発明の前記の実施形態の記載は、説明および記載の目的で提示されている。それらは網羅的であることまたは本発明を開示された正確な形に限定することを意図せず、および上記の教示に照らして明らかに多数の改変および変形が可能である。実施形態は本発明の原理およびその実際的応用を説明し、それによって当業者が本発明をさまざまな実施形態でおよび考えられる特定の使用に適するさまざまな改変と共に利用することが可能になるように選択および記載された。
引用された全ての参考文献は参照により本開示に含まれる。
図1は、材料および方法で、および実施例1で詳細に記載されるras p21ELISA1の、本発明の検定法の好ましい一実施形態において、野生型組み換えras p21標準を0、40、150、300、500および700pg/mlの6種類の異なる濃度で反応させることによって作製された標準曲線例である。

Claims (23)

  1. 活性化ras経路に関連する前腫瘍/腫瘍疾患を検出する方法であって:
    (a)対照集団の個体から採取された体液試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを免疫学的に検出および定量する;
    (b)対象から経時的に採取された対応する体液試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化を免疫学的に検出および定量する;および
    (c)前記対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルを、前記対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルと比較する;工程を含み、
    前記対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルより高い前記対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが、対象における活性化ras経路および前腫瘍/腫瘍疾患の存在の指標となり、
    前記工程(a)および(b)における免疫学的検出および定量が、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたハイブリドーマHB10054から分泌されるモノクローナル抗体Ras17と、ATCCに寄託されたハイブリドーマHB9426から分泌されるモノクローナル抗体Ras10との組合せを使用するサンドイッチイムノアッセイの形式のイムノアッセイによってなされることを特徴とする方法。
  2. 前記対照試料中の総ras p21の平均レベルに対する前記対象の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが、前記対象に関するより良好なまたはより悪い予後の指標となることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記対象が前腫瘍/腫瘍疾患を有するヒト患者であり、該患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルと前記対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルとの差、および該患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルの連続的変化が、該患者を治療するために従来の癌治療および/またはras指向癌治療を用いるか否かの指標となることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 前記患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが前記対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを上回る場合、および患者の試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化が対照試料中の総ras p21タンパク質の平均レベルを上回る傾向にあるレベルを示す場合、ras発癌遺伝子により生じた前腫瘍/腫瘍疾患が存在すること、およびras指向治療を用いて治療すべきことが示唆されることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. ras指向治療が、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子(FTI)、チロシンキナーゼ阻害因子、ビスアリール尿素、およびrasのアンチセンス阻害因子より成る群から選択されることを特徴とする請求項3または4記載の方法。
  6. ras指向治療がビスアリール尿素ソラフェニブ(BAY43−9006)であることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記工程(a)の対照集団の個体が、対象と同一の性別の個体であることを特徴とする、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
  8. 前記サンドイッチイムノアッセイが、サンドイッチELISAであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の方法。
  9. モノクローナル抗体Ras10がビオチン化されており、検出抗体として使用されることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の方法。
  10. 前記患者の体液試料が、治療に反応していない癌患者に由来するものであることを特徴とする請求項3記載の方法。
  11. 活性化ras経路に関連する前腫瘍/腫瘍疾患の状態を特定する方法であって:
    前腫瘍/腫瘍疾患を有する患者から経時的に採取された体液試料中の総ras p21タンパク質レベルの連続変化を免疫学的に検出および定量することを含み;
    前記患者が治療を受けている患者であり、経時的な総ras p21タンパク質のレベル上昇が、疾患の進行または治療に対するネガティブな反応を示唆し、および総ras p21タンパク質のレベル低下が、疾患の寛解または治療に対するポジティブな反応を示唆し、
    前記免疫学的検出および定量が、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたハイブリドーマHB10054から分泌されるモノクローナル抗体Ras17と、ATCCに寄託されたハイブリドーマHB9426から分泌されるモノクローナル抗体Ras10との組合せを使用するサンドイッチイムノアッセイの形式のイムノアッセイによってなされることを特徴とする方法。
  12. 前記治療がras指向治療であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 前記患者の試料中の総ras p21タンパク質のレベルが、前記患者に関するより良好なまたはより悪い予後の指標となることを特徴とする請求項11または12記載の方法。
  14. 前記予後が、奏功率(RR)、完全奏功臨床効果(CR)、部分奏功臨床効果(PR)、病勢安定臨床効果(SD)、無進行期間(TTP)、および生存期間(TTD)より成る群から選択される臨床的結果であることを特徴とする請求項2または13記載の方法。
  15. 前記患者の試料が、治療前の試料であることを特徴とする請求項2または3記載の方法。
  16. 前記患者の試料中の一または複数の他のタンパク質のレベルを検出または検出および定量するためのイムノアッセイの使用をさらに含むことを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の方法。
  17. 前記一または複数の他のタンパク質が、阻害因子、腫瘍性タンパク質、増殖因子受容体、血管新生因子、転移タンパク質、腫瘍マーカーおよび腫瘍抑制因子より成る群から選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 阻害因子がメタロプロテイナーゼ−1組織阻害因子(TIMP−1)であり、腫瘍性タンパク質がHER−2/neuであり、増殖因子受容体が上皮増殖因子受容体(EGFR)および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)より成る群から選択され、血管新生因子が血管内皮増殖因子(VEGF)であり、転移タンパク質がウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)であり、腫瘍マーカーが癌胎児性抗原(CEA)であり、および腫瘍抑制因子がp53であることを特徴とする請求項17記載の方法。
  19. 前記患者の体液試料が、治療に反応していない癌患者に由来するものであることを特徴とする請求項11記載の方法。
  20. 総ras p21および/またはHER−2/neuのレベルの上昇が、早期再発または転移の高い可能性の指標となることを特徴とする請求項18記載の方法。
  21. 前記体液が、血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、乳房滲出液、脳脊髄液、涙液、痰、粘液、リンパ液、細胞質ゾル、腹水、胸水、羊水、膀胱洗液および気管支肺胞洗浄液より成る群から選択されることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の方法。
  22. 前記体液が血清または血漿であることを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 活性化ras経路と関連する前腫瘍/腫瘍疾患が、結腸直腸癌、結腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、急性骨髄性白血病、甲状腺癌、膵臓癌、膀胱癌、腎臓癌、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸部癌、頭頚部癌、肝細胞癌および血液系腫瘍より成る群から選択されることを特徴とする請求項1から22いずれか1項記載の方法。
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