JP2003520964A - 中枢神経系の癌を検出する方法 - Google Patents

中枢神経系の癌を検出する方法

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Abstract

(57)【要約】 哺乳類の中枢神経系における腫瘍を診断する方法は、インターαトリプシン阻害剤に結合するリガンドを哺乳類に由来する体液に接触させることによって実施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、癌の診断に関する。
【0002】 中枢神経系(CNS)において癌を有する患者の有効な治療は、ほとんどの場合
、対処できない難題であり、原発性および転移性の脳腫瘍はいずれも発生率が増
加しているように思われる。悪性神経膠腫および脳転移を有する患者の予後はな
おも不良である。
【0003】 脳脊髄液(CSF)中の悪性細胞を検出するための細胞検査は、それによって軟
膜癌腫症のような疾患が診断される標準的な方法である。悪性細胞が存在しない
ことが、ほとんどの治療介入にとっての第一義的エンドポイントである。しかし
、偽陰性がしばしば存在する。従来の造影技術(コンピューター横断断層撮影(
CT)スキャンまたは磁気共鳴造影(MRI))では播種性細胞の残留負荷を推定ま
たは検出できないために、予後および治療を決定することは難しい。
【0004】発明の概要 本発明は、原発性の脳腫瘍または脳転移を診断する正確かつ信頼できる方法を
提供する。哺乳類のCNSにおいて腫瘍を診断する方法は、検出可能なITIリガンド
を哺乳類に由来する体液を接触させて、体液試料中の結合したITIリガンドの量
を測定することによって行う。例えば、リガンドは、ITIポリペプチド、例えばI
TI軽鎖ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗血清
であり、体液試料を、抗原-抗体複合体を形成するために十分な条件下で抗体と
接触させて、複合体を検出する。または、リガンドは、ITI軽鎖に結合する合成
または蛋白質溶解によって産生されたペプチドである。検出のために、リガンド
、例えば、ITI特異的抗体は、例えば比色または放射性同位元素マーカーを用い
て直接または間接的に標識する。免疫複合体(ITI特異的抗体に結合したITI抗原
を含む)の量を定量して、液体中のITIレベルを決定し、液体中のITIレベルを、
ITIの正常対照レベルと比較する(例えば、予め決定した基底値または癌を有し
ないことが知られている被験者からのITIレベル)。ITIは、播種性癌細胞による
ITI分泌の結果として、または血清ITIのCSFへの漏出を引き起こすECM分解の結果
として、CNS腫瘍を有する患者の体液中では上昇している。または、腫瘍細胞は
、脈絡叢および星状細胞のような脳における周辺組織によるITIの産生を刺激す
る。正常対照レベルと比較してITIレベルが上昇していれば、試験哺乳類のCNS中
に腫瘍が存在することが示される。例えば、腫瘍の存在は、CSFのようなCNS体液
中でのITIの正常対照または対照基底値量の場合より少なくとも2倍高い試験試
料中のITI量によって示される。例えば、試験試料中のITIの量は、正常より2〜
7倍高い。CNS体液中のITIレベルは、神経腫瘍の指標である。
【0005】 体液は、好ましくは、CNS由来の液体である。CNSとは、脳または脊髄の体組織
を意味する。例えば、CNS由来の液体は、脳脊髄液、または脳、脊髄、もしくはC
SF中に存在する細胞の細胞溶解物の上清である。血液、血清、尿、唾液、喀痰、
汗、肺浸出液、または腹水のようなその他の体液も、CNS病態の指標としてITIレ
ベルに関して調べる。
【0006】 同様に、以下の段階によって行われる、哺乳類のCNS中の腫瘍の予後を決定す
るための方法も本発明に含まれる: (a)哺乳類に由来する体液、例えばCNS由来の液体を、ITIポリペプチド、例え
ばITI軽鎖に反応性の抗体と、抗原-抗体複合体を形成するために十分な条件下で
接触させて、抗原-抗体複合体を検出する段階;(b)複合体の量を定量して、液
体中のITIレベルを決定する段階;および(c)液体中のITIレベルをITIの正常対
照レベルと比較する段階。疾患の重症度の変化は、患者の体液中のITIレベルの
経時的変化を比較することによってモニターされる。例えば、CSF中でのITIレベ
ルが経時的に増加する場合には、有害な予後、例えばCNS病態の増悪を示す。そ
のような時間的データを用いて、患者の治療コースを決定する。
【0007】 本発明は、ITI軽鎖のエピトープに結合するモノクローナル抗体を特徴とする
。抗体は、ITI軽鎖の活性部位内、または近位の残基に結合する。ITIとセリンプ
ロテアーゼの存在下でインキュベートすると、抗体はセリンプロテアーゼ活性に
おけるITI媒介阻害を阻害する。好ましくは、抗体、例えばmAb 69.31は、尿トリ
プシン阻害剤断片(UTI)のオクタペプチド配列、すなわち に結合しない。
【0008】 診断アッセイ法または予後アッセイ法を行うための試薬、例えばmAb 69.31の
ようなITI特異的抗体は、キットとして共に包装してもよい。例えば、抗体を固
相に固定して、ITIリガンド複合体を検出するために適しているその他の試薬と
共に包装する。例えば、酵素結合試薬を含めてもよい;ITIはまた、標準試薬ま
たは対照試薬として含めてもよい。上に抗体または抗原を固定するキットの固相
構成要素は、好ましくはアッセイプレート、アッセイウェル、ニトロセルロース
膜、ビーズ、ディップスティック、または溶出カラムの構成要素である。例えば
mAb 69.31などの捕獲抗体を固定し、二次抗体を用いて、免疫複合体を検出する
(例えば、mAb 69.31抗体に結合したITI抗原)。キットは選択的に、対照として
精製ITIポリペプチドまたは精製ITI複合体を含んでもよい。ポリペプチドまたは
複合体は、天然資源から精製するか、または組換えによって産生する。キットは
また、二次抗体または他の検出マーカーを含んでもよい。二次抗体またはマーカ
ーは、例えば、放射性同位元素、蛍光色素、またはその他の検出手段を用いて標
識される。
【0009】 哺乳類にITI組成物、例えばITIポリペプチドまたはITIポリペプチドをコード
する核酸を投与することによって、哺乳類のCNSへの全身性の癌の転移を阻害す
る方法も同様に本発明に含まれる。例えば、ITIポリペプチドをコードする合成
オリゴヌクレオチドを投与する。ITI組成物は、哺乳類のCSFに直接注入すること
によって投与する。治療的投与の場合、ITIポリペプチドは、ITI軽鎖をITI重鎖
に結合した分子複合体としてその本来の形で投与される。方法は、脳転移を発症
するリスクがある哺乳類を同定する段階を含みうる。例えば、以下の癌は、CNS
、例えば脳に転移する傾向がある;乳癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌、悪性黒色種、
食道癌、頭頚部癌、精巣癌、絨毛癌、前立腺癌、骨癌、および軟組織肉腫。その
ような癌を有すると診断された個体は、癌がCNSに転移するリスクを有する個体
である。CNS癌を有することが疑われる個体はまた、頭痛、悪心または嘔吐、急
発作、精神状態の変化、言語の変化、視覚異常、および/または麻痺のような臨
床症状を検出することによっても特定される。CTスキャンまたはMRIは、脳転移
を診断するためにしばしば用いられる。しかし、本発明のアッセイ法は、そのよ
うな従来の診断ツールに対して有意な長所、例えば感度の増加を提供する。本発
明で主張されるアッセイ法は、極初期の腫瘍の存在を正確かつ信頼できるように
(肉体的症状の発現またはCTもしくはMRIによって腫瘍が検出される時期より以
前に)検出する。
【0010】 哺乳類における原発性CNS癌の転移を阻害する方法もまた、本発明の範囲内で
ある。治療は、哺乳類にITIポリペプチドを投与することによって、例えば哺乳
類のCSFに直接注入することによって実施される。以下の型のCNS癌を有すると診
断された個体は、本発明に従って治療される:星状細胞腫、神経膠腫、または白
血病もしくは癌腫のような他の型の癌からの脳への転移。
【0011】 本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請
求の範囲から明らかとなると思われる。
【0012】詳細な説明 体液中のITIの検出は、原発性脳腫瘍または体内の他の場所を発端とする癌のC
NSへの転移を診断するための感度のよい信頼できる方法である。ITIレベルの増
加は、体液、例えば、原発性および転移性脳腫瘍を有する患者のCSFにおいて検
出された。腫瘍細胞は、脈絡叢のような周辺組織におけるITI発現、および/ま
たは細胞外マトリクス(ECM)の分解を誘導するプロテアーゼを産生し、その結
果、血清ITIがCSF中に漏出する。
【0013】ITI特異的抗体の産生 標準的な減法免疫プロトコールを用いて、異なる2つのヒト血漿由来第VII因
子調製物に対して一連のmAbを作製した。始めに、マウスを非殺菌調製物(ITIを
含む)で免疫し、シクロホスファミドを処理した後、殺菌調製物を注射した。マ
ウスを屠殺した後、既知の方法を用いて、ハイブリドーマを作製してスクリーニ
ングした。抗体の一つ(mAb 69.31)は、いくつかのポリペプチド鎖を含む複合
糖蛋白質に結合することが判明した。免疫したmAb 69.31との抗原複合体のアフ
ィニティクロマトグラフィーによる精製によって、大きさが250 kDaおよび125 k
Daのポリペプチド抗原が単離された。バンド(SDS-PAGE上)は、N末端のアミノ
酸配列分析によってITIであると同定された(図1); アフィニティ精製したITIは、トリプシン、プラスミン、およびエラスターゼの
ようなセリンプロテアーゼを阻害した。
【0014】 ヒト被験者の血清または血漿中に認められるITIは、一つの軽鎖とコンドロイ
チン硫酸鎖によって共有結合した二つの重鎖ポリペプチドとを含む。軽鎖(見か
けの分子量30 kDa)は、トリプシン、ヒト白血球エラスターゼ(HLE)、プラス
ミンおよびカテプシンGのようないくつかのセリンプロテアーゼを阻害するが、
それらのプロテアーゼは炎症、ショック、腫瘍の浸潤、および転移の形成に関係
している。天然に存在するITI軽鎖および組換え型ITI軽鎖は、69.31のようなITI
mAbによって精製する。精製ITI軽鎖はセリンプロテアーゼを治療的に阻害する
ために有用である。
【0015】寄託 mAb 69.31を産生するハイブリドーマ細胞株RI 69.31は、特許手続き上の微生
物の寄託に関する国際的承認に基づくブダペスト条約の要件の下で、1999年12月
16日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Coll
ection:ATCC)に寄託され、特許寄託名PTA-1066を有する。出願人の代理人は、
付与された特許期間の満了以前に寄託物の状態のために寄託所が請求時に試料を
分譲できない場合には、寄託物を交換する義務を理解していると共に、その時か
ら寄託物が公的に利用可能になるそのような特許が付与されたことをATCCに通知
する責任を理解している。それ以前では、寄託物は、CFR§1.14および35U.S.C.
§112の下で特許庁長官が利用することができると思われる。
【0016】ITI特異的抗体の結合特異性 mAb 69.31はITIの軽鎖と反応した。ITIはmAb 69.31を用いてヒト血清から精製
し、0、1、5、および10 μgのヒアルロニダーゼで処理して、ITIの重鎖と軽
鎖とを切断した。試料を12.5%SDS-PAGE上で分離し、ウェスタンブロットによる
分析のためにニトロセルロース膜に転写した。ヒアルロニダーゼの非存在下では
、mAb 69.31によって二つの主なバンド(250 kDaと125 kD)が検出された。ヒア
ルロニダーゼの量を増加させると、さらに低分子量のバンド(約25〜30 kDa)が
抗体によって検出された。このより低分子量のバンドは、ITIの軽鎖を表した。I
TIの軽鎖と重鎖は、グリコサミノグリカンによって結合している。ヒアルロニダ
ーゼは、ITI複合体の重鎖と軽鎖とを結合するグリコサミノグリカン(コンドロ
イチン硫酸)鎖を切断し、二つの鎖を放出した。これらの結果は、mAb 69.31がI
TIの軽鎖に存在するエピトープに結合することを示している。
【0017】 ITIにmAb 69.31を加えると、ITIのセリンプロテアーゼ阻害活性が遮断された
(抗体の存在下でトリプシン活性のITI阻害について認められた減少によって示
される;図2)。これらのデータは、mAb 69.31のエピトープがITI分子の活性部
位、またはその近位に存在すること、すなわち69.31抗体がITI軽鎖分子に結合す
ると、分子はその基質に結合できないことを示している。または、抗体が結合す
ると、ITIの三次元立体構造が変化して、それによって、セリンプロテアーゼ阻
害活性が減少する。mAb 69.31の結合特異性を有するその他のモノクローナル抗
体は、当技術分野で既知の方法、例えば、競合的結合アッセイ法を用いて産生お
よび同定される。例えば、ITI軽鎖の活性部位は、配列番号:2の20〜32位の残
基、241〜242位の残基、または297〜298位の残基を含む(表2)。
【0018】ITIは腫瘍細胞の転移を阻害する 抗転移剤としてのITIの治療効果を評価するために、インビトロ三次元細胞浸
潤アッセイ法を行った。アッセイ法は、人工基底膜(マトリゲル(MATRIGEL)(
登録商標))の中を浸潤性腫瘍細胞が移動できることに基づく。様々な程度の浸
潤性を有する異なる3つの癌細胞の型を調べた。ヒト前立腺癌であるPC-3細胞は
、このアッセイ法においてヒト白血病細胞であるK562より浸潤性が低かった。非
転移性ヒト結腸腺癌細胞株DLD-1のクローンDを陰性対照として用いた(図3)。
ITIをPC-3細胞に加えると、細胞の移動は阻害された(図4)。ITIの阻害活性は
、濃度依存的であり、mAb 69.31を加えると特異的に消失した(図5)。対照的
に無関係な抗体(mAb 69.20;フォンウィルブランド因子に結合する陰性対照抗
体)を加えても、ITIの転移阻害能に対してほとんどまたは全く影響を及ぼさな
かった。
【0019】CNS癌およびCNSへの転移と体液中のITIレベルとの臨床的相関 ITIレベルは腫瘍負荷および疾患の進行に密接に相関している。CSF中にITIを
検出することはまた、従来のCSF細胞学よりCSF中に腫瘍細胞が存在することのよ
り正確な予測因子である。
【0020】 脳の癌患者のCSFをITI軽鎖特異的抗体を用いるウェスタンブロットによって分
析すると、非腫瘍対照患者(例えば、既に癌を有しないことがわかっている頭痛
を有する患者)、または明確なCNSの関与がない全身性の癌の患者からのCSFと比
較して有意に高い量のITIが検出された(図6)。図6に示すデータは、本明細
書に記載のITI診断アッセイ法が神経腫瘍の標準的な診断試験、例えば悪性細胞
の細胞学検査より有意に感度が高いことを示している。場合によっては、癌患者
の血清中のITIレベルは正常対照者と比較して減少する可能性があるが、CSFレベ
ルは正常なCSF対照と比較して増加する。CSFレベルの上昇は、CNS中の腫瘍の存
在または腫瘍負荷の増加を確実に示す。
【0021】 例えば、CSFを競合的ELISAにおいてITI軽鎖特異的モノクローナル抗体、例え
ばmAb 69.31を用いる定量的イムノアッセイ法によって分析すると、非腫瘍対照
患者または明確なCNS疾患を有しない癌患者のレベルは0.5〜1.0 μg/mlの範囲で
あった。非腫瘍神経疾患患者には、頭痛、痴呆、および様々な病因の脳症が含ま
れた。対照的に、原発性または転移性脳癌患者のCSF中のITIレベルは、2.0〜20
μg/mlの範囲であることが判明した。ITIレベルは、腫瘍の負荷、疾患の進行、
および抗癌治療に対する反応性と密接に相関していた。
【0022】 (正常対照試料またはCNS癌を有しないことがわかっている被験者と比較して
)原発性脳腫瘍患者のCSFには高レベルのITIが検出された:MR=[多形性神経膠
芽腫(GBM)+新生物性髄膜炎(NM)];07=髄芽細胞腫+NM;33=(GBM+NM)
;および40=星状細胞腫、またはCNSを含む全身性の癌(PL=乳房Ca+進行性NM
、異なる3時点で採取(PL1−放射線治療後、PL2−新規再発性NM;およびPL3−
放射線治療直後(PL2試料後に採取したPL3試料);36=肺Ca+NM;および44=乳
房Ca+NM)。対照的に、腫瘍を有しないと診断された患者のCSF中に検出されたI
TIは低レベルであったか、または検出されなかった:(LO=頭痛;WW=頭痛;HL
=脳水腫;18=痴呆;および27=脳症)、またはCNSを含まない全身性の癌(DW
=乳房Ca)。
【0023】 標準的な方法を用いて、様々なヒト被験者(脳の癌または転移の診断を有する
個体、および検出可能な脳の癌または転移を有しない個体)から体液、例えばCS
F標本を得た。CSF標本を暗号化して、ITI分析を二重盲検的に(すなわち、患者
の年齢、診断、またはその他の臨床特徴に関する情報なしに)行った。全体で、
CNS腫瘍患者からCSF試料49例および非腫瘍患者試料20例を評価した。結果を表1
に要約する。
【0024】 CSF中のITIの検出は、全体的な感度86%および特異性95%を有し、従来のCSF
細胞学より腫瘍の軟膜伝幡に関して信頼でき、感度が良く、且つ正確な手段を提
供する(表1)。CSF中のITIレベルの定量は、原発および転移脳腫瘍における腫
瘍負荷と相関する。これらの結果は、ITI検出が、現在利用できるツールよりも
良い診断ツールであるのみならず、再発性の腫瘍と治療効果とを区別するため(
例えば、患者の放射線治療後)、腫瘍の再発または悪性変化の初期指標を提供す
るため、治療に対する反応を評価するために、予後的ツールとして用いることが
できることを示している。
【0025】
【表1】 様々な患者に由来するCSFのITIの検出と細胞学知見の要約 * CSF細胞学が陰性であったにもかかわらず、この患者は、著しく上昇したITI
レベルを示し、神経学検査は癌様髄膜炎の強制的な証拠を提供する。
【0026】診断/予後アッセイ法およびキット 本明細書に記載のデータは、脳腫瘍患者のCSF中では、非腫瘍対照患者または
明確なCNS疾患を有しない全身性の癌を有する患者と比較して有意に高いレベル
のITIがウェスタンブロットによって検出されることを示した。ウェスタンブロ
ットアッセイ法は、ITIの検出において高い特異性を示すが、体液中のITIレベル
を定量するためにはELISAのような定量的アッセイ法が好ましい。ELISA法は、診
断/予後目的のためのマーカーとしてのITIの特異性および感度を決定するため
に大量の患者標本の分析を容易にするのみならず、この型のアッセイ法はまた、
「非悪性」CSF中でのITIレベルの正常値範囲の決定を可能にする。例えば、アフ
ィニティ精製したヒトITIおよびMab 69.31を用いる標準的な競合的ELISA法を用
いて、患者のITIレベルを定量する。または、捕獲抗体(Mab 69.31)および検出
抗体としてITIに対する酵素標識ウサギポリクローナル二次抗体を用いるサンド
イッチELISAを用いる。
【0027】 体液中のITIレベルを検出する方法には、固相マトリクス、例えばマイクロタ
イタープレート、ビーズ、ディップスティックに結合したITI特異的抗体に体液
成分を接触させる段階が含まれる。例えば、固相マトリクスを患者に由来する体
液試料に浸して、洗浄し、固相マトリクス上に存在する免疫複合体の存在を検出
するために固相マトリクスを試薬に接触させる。
【0028】 試験試料中の蛋白質は、固相マトリクス上に固定(結合)している。固相マト
リクスに蛋白質を共有結合または非共有結合させる方法および手段は、当技術分
野で既知である。固相表面の特性は、アッセイ法に従って変化してもよい。マイ
クロタイターウェルにおいて実施するアッセイ法の場合、固相表面は、ウェルま
たはカップの壁である。ビーズを用いるアッセイ法では、固相表面はビーズ表面
である。ディップスティック(すなわち、布または紙のような多孔性または繊維
様材料で構成された固体)を用いるアッセイ法では、表面はディップスティック
を構成する材料表面である。有用な固相支持体の例には、ニトロセルロース(例
えば、膜またはマイクロタイターウェルの形態)、ポリ塩化ビニル(例えば、シ
ートまたはマイクロタイターウェルの形態)、ポリスチレンラテックス(例えば
、ビーズまたはマイクロタイタープレート、ポリフッ化ビニリデン(イムロン(
登録商標)として知られる)、ジアゾ化紙、ナイロン膜、活性化ビーズ、および
プロテインAビーズが含まれる。マイクロタイタープレートは、蛋白質を共有結
合するために活性化してもよい(例えば、化学処理またはコーティング)。抗体
を含む固相支持体は、試験試料に接触させた後、典型的には洗浄してから結合し
た免疫複合体を検出する。
【0029】 これらのアッセイ法の全ての一般的な特徴は、抗原を抗体に結合させて、ITI
特異的抗体に結合した患者のITIを含む免疫複合体を形成させる条件下で、ITIを
含むことが疑われる体液成分にITI特異的抗体を接触させることである。そのよ
うな条件は典型的には生理的温度、pH、およびイオン強度である。抗体を試験試
料と共にインキュベートした後、検出可能な標識による免疫複合体の検出を行う
。例えば、標識は、酵素、蛍光、化学発光、放射活性、または色素である。免疫
複合体からのシグナルを増強するアッセイ法、例えばビオチンおよびアビジンを
利用するアッセイ法も同様に当技術分野で既知である。
【0030】 ITI検出試薬、例えば抗体は、キットの形で包装される。キットは異なる容器
に、抗体(固相マトリクスに既に結合しているか、またはそれらをマトリクスに
結合させる試薬とは個別に包装されている)、対照製剤(陽性および/または陰
性)、および/または検出可能な標識を含んでもよい。アッセイ法を行うための
説明書(例えば、書面、テープ、VCR、CD-ROM等)をキットに含めてもよい。ア
ッセイ法は、当技術分野で既知の標準的なサンドイッチELISAフォーマットの形
であってもよい。
【0031】 例えばmAb 69.31などのITI捕獲抗体を多孔性小片のような固相マトリクス上に
固定して少なくとも一つのITI検出部位を形成してもよい。多孔性小片の検出領
域の測定には、固定された抗体を含む複数の部位を含んでもよい。試験片はまた
、陰性および/または陽性対照のための部位を含んでもよい。または、対照部位
は、試験片とは異なる小片に存在する。選択的に、検出部位が異なれば、異なる
量の固定抗体を含んでもよく、すなわち第一の検出部位ではより多い量、その後
の部位ではより少ない量を含んでもよい。例えば、20 ngの抗体が1nmol/分/ml
等量のITIを捕獲すると、アッセイ装置の第一の検出部位は50 ngの抗体を含んで
もよく、その後の部位は10、20、30 ngの抗体等を含んでもよい。試験試料を加
えると、検出可能なシグナルを示す部位の数は、試料中に存在するITIの量の定
量的指標を提供する。検出部位は、如何なる適した検出可能な形状の形に作製し
てもよく、典型的には試験小片の幅に及ぶ棒の形状である。
【0032】 多捕獲アッセイ型は、ITIの閾値量が試験試料に存在しなければ、実質的に全
てのITIが第一の捕獲部位で抗体に結合し、従ってその部位で固定されるように
なるように調製する。閾値量より多いITIが試験試料中に存在すれば、残りのITI
は試験小片の長さに沿って固定された抗体のその後の検出域に結合する。試験試
料中に存在するITIの量が多ければ、ITIの存在により検出可能なシグナルを示す
捕獲部位の数は大きくなる。
【0033】ITIの治療的投与 ITIポリペプチドは、全身性の癌の脳転移を防止するために、原発性脳腫瘍に
おいて腫瘍の白質およびCSF経路に沿っての伝幡を阻害するために、および軟膜
転移を治療するために、哺乳類、例えばヒト患者に投与する。脳腫瘍患者からの
CSF中の内因性ITIは、生物学的に不活性であるか(正常対照レベルと比較して上
昇しているにもかかわらず)、または臨床的に関連する保護および抗浸潤活性に
とって不十分なレベルで存在する。
【0034】 ITIは、ECMの分解にとって重要であり、それによってインビボでの転移を阻害
する、セリンプロテアーゼであるプラスミンを阻害する。癌患者においてITIレ
ベルが高いことは、腫瘍関連蛋白質溶解活性を阻害することを目的とした生理反
応を示している。しかし、分泌されたITIは、異常に変化しており、生物学的に
不活性である。増加したα-1プロテナーゼレベルにもかかわらず、腫瘍患者群の
血清中の抗トリプシン能は、平均で正常群の50%に過ぎず、このことは、腫瘍群
において分泌された蛋白質の有意な分画が生物学的に不活性であることを示して
いる。さらに、CSFにおいて認められたITIレベルの増加は、血清中に正常に認め
られるITIレベルと比較して定量的に非常に低く、このことは、CSF中に分泌され
た量は保護にとって十分ではないことを示唆している。このように、ITIは、転
移を阻害するために生物学的に活性な(すなわち抗転移)ITI組成物によって内
因性のITIを増強する治療として投与される。
【0035】 ITIポリペプチドまたはITIポリペプチドをコードするDNAは、癌患者のCSF中の
ITIポリペプチドレベルを増加させて、腫瘍細胞の転移を阻害するために投与す
る。ITIポリペプチドは、標準的な方法を用いて生理食塩水のような薬学的に許
容される担体中で患者のCSFに投与する。約1〜100 μmolの本発明のポリペプチ
ドの注入用量が1日あたり体重1kgあたり投与されるであろうと予想される。例
えば、ITI複合体(重鎖との複合体における軽鎖)を標準的な薬理学的緩衝系(
例えばCSFの場合、標準的なグリシン緩衝液系を用いる)において投与する。ブ
タおよびラットの場合、30 mg/kgのITI複合体を投与する。ヒト患者の用量は、
当技術分野で既知の方法を用いて動物モデルから外挿する。
【0036】 治療的ITIポリペプチドは、天然に存在するITIアミノ酸配列、例えば配列番号
:2の配列と少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。より好ま
しくは、配列は天然に存在するITI配列と少なくとも75%の同一性、より好まし
くは85%の同一性、より好ましくは95%の同一性、より好ましくは99%の同一性
、および最も好ましくは100%の同一性を有する。
【0037】 ヌクレオチドおよびアミノ酸比較は、レーザージーンソフトウェアパッケージ
(DNAスターインク、マディソン、ウィスコンシン州)を用いて行う。用いたメ
グアラインモジュール(MegAlign module)は、クラスタルV法であった(ヒギン
ス(Higgins)ら、1989、CABIOS 5(2):151〜153)。用いたパラメータはギャッ
プペナルティ10、ギャップ長ペナルティ10であった。
【0038】 投与すべきITI断片は、天然に存在するITI配列と少なくとも50%(より好まし
くは99%、最も好ましくは100%)の同一性を有し、天然に存在するITIポリペプ
チドの生物活性を有する。例えば、ITIの生物活性は、セリンプロテアーゼ活性
の減少または、例えば本明細書に記載の三次元細胞浸潤アッセイ法において測定
した癌細胞の転移もしくは浸潤性の阻害である。治療ポリペプチドは、好ましく
は配列番号:2の20〜32位の残基、241〜242位の残基、または297〜298位の残基
を含む(表2)。ポリペプチドは、好ましくは、コンドロイチン硫酸を通してIT
I重鎖との結合に関与する215位の残基を含む。
【0039】
【表2】 ヒトITI軽鎖のアミノ酸配列 (配列番号:2;1〜19位の残基=シグナルペプチド)
【0040】 治療的に投与するためのITIポリペプチドは、実質的に純粋である。好ましく
は、ITIポリペプチドはポリペプチドの成熟型であり、すなわちシグナルペプチ
ドを欠損する。ポリペプチドは、対象となる化合物が重量(乾燥重量)で少なく
とも60%である調製物内に存在する場合に「実質的に純粋」である。好ましくは
、調製物は、対象となる化合物の重量で少なくとも75%、より好ましくは少なく
とも90%、および最も好ましくは少なくとも99%である。純度は任意の適当な標
準的な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳
動、またはHPLC分析によって測定される。
【0041】 治療ポリペプチドをペプチダーゼによる切断に対する感受性を低くするために
、ペプチドとペプチド結合を他の型の共有結合に置換してもよい(ペプチド模倣
物)。被験者に注入後のペプチドの蛋白質溶解的分解が問題である場合、特定の
感受性ペプチド結合を非切断型のペプチド模倣物に置換すると、得られたペプチ
ドはより安定となり、従って、治療物質としてより有用となる。そのような模倣
物およびそれらをポリペプチドに組み入れる方法は当技術分野で周知である。同
様に、L-アミノ酸残基をD-アミノ酸残基によって置換することは、ポリペプチド
を蛋白質溶解に対する感受性を低下させる標準的な方法である。t-ブチルオキシ
カルボニル、アセチル、テニル、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル(
suberyl)、アジピル(adipyl)、アザラリル(azelayl)、ダンシル、ベンジル
オキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼラリル、メ
トキシアジピリル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフェニルのようなア
ミノ末端ブロッキング基も同様に有用である。
【0042】 ITIポリペプチドをコードするDNAを、標準的なベクターおよび/または遺伝子
輸送系によって患者の標的細胞に導入する。適した遺伝子輸送系には、中でもリ
ポソーム、受容体を介した輸送系、裸のDNA、ならびにヘルペスウイルス、レト
ロウイルス、およびアデノウイルスのようなウイルスベクターが含まれる。
【0043】 その他の態様は特許請求の範囲内である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気泳動ゲルの写真である。固定したmAb 69.31によって、蛋白
質をアフィニティ精製した;重鎖と複合体を形成したITI軽鎖の本来の分子複合
体は沈殿した。アフィニティカラムから溶出した蛋白質にSDS-PAGEを行った;精
製蛋白質を銀染色によって可視化した。約250 kDaのバンドと125 kDaのバンドを
検出した。バンドは、N末端アミノ酸配列分析によって、ITI重鎖(HC-2)および
軽鎖(LC)であると同定された。2つのバンドは、1個のLCと1個のHCとを含むIT
I複合体(125 kDa)および2個のHCと1個のLCとを含むITI複合体(250 kDa)を表
す。
【図2】 ITIの阻害活性を示す折れ線グラフである。ITIがp-トルエンスル
ホニル-L-アルギニンメチルエステル(TAME)のトリプシン加水分解を阻害する
能力は電気泳動によって測定された。トリプシン単独では、典型的な活性曲線が
示された(白四角)。アフィニティ精製したITIは、濃度依存的にトリプシン活
性を阻害した[ITI 5μgでは部分的に阻害され(黒四角)、ITI 10 μgでは完全
に阻害された(黒菱形)]。精製mAB 69.31を加えると、ITIの阻害活性は消失し
て、トリプシン加水分解活性が減少した(黒丸)。この作用は、他の抗体、例え
ばmAb 69.20(フォンウィルブランド因子に対して特異的)を加えても、ITIの阻
害活性を遮断しなかったこと(白三角)、およびmAb 69.31のみをトリプシンに
加えてもトリプシン活性に有意な影響を示さなかったこと(白菱形)から、特異
的であった。
【図3】 細胞浸潤アッセイ法の結果を示す棒グラフである。3つの異なる
ヒト細胞株の浸潤性をインビトロ三次元細胞浸潤アッセイ法で調べた。このアッ
セイ法は、浸潤性癌細胞が人工基底膜(マトリゲル(登録商標);ベクトンディ
ッキンソン社)の中を移動できることに基づく。この細胞の移動は時間依存的で
、また細胞型にも依存的である。ヒト白血病細胞株であるK-562(A)は、調べた
三つの癌細胞株の中で最も浸潤性が高かった。24時間以内に、細胞はマトリゲル
(登録商標)の下の膜上に存在したが、ヒト前立腺癌細胞株PC-3(B)は、48時
間では膜に達していなかった。ヒト結腸癌細胞株DLD-1(C)の非転移性亜集団(
クローンD)を対照として用いた。48時間および60時間後にマトリゲル(登録商
標)の底に達したDL-1細胞は、ごく少数に過ぎなかった。
【図4】 アフィニティ精製したITIと共にPC-3細胞をインキュベートする
ことは、浸潤能を制御するための非常に有効な方法であることを示す棒グラフで
ある。ITIを加えると、マトリゲル(登録商標)内の移動が大きく妨害され、細
胞はマトリゲル(登録商標)の上部に留まるか、または膜表面に非常に近いとこ
ろに存在した。対照的に、ITIがなければ(0nMol)、癌細胞の高レベルの移動
が48時間および60時間で検出された。細胞の移動に及ぼすITIの影響は濃度依存
的であった。10 nM ITIでは、PC-3細胞の浸潤は、60分間のインキュベーション
後、完全に阻害された。
【図5】 PC-3細胞浸潤アッセイ法におけるmAb 69.31によるITIの阻害活性
の遮断を示す棒グラフである。図3および図4に示すように、ITIの非存在下で
はPC-3細胞は、48時間後にマトリゲル(登録商標)の中に移動した。10 nM精製I
TIを加えると、移動は完全に阻害された。精製mAb 69.31の量を増加させてさら
にインキュベートすると、ITIの阻害活性は有効に遮断された。mAb 69.31のみを
インキュベートしても、PC-3細胞の移動にほとんどまたは全く影響を及ぼさなか
った。無関係な抗体(mAb 69.20)と共にインキュベートしても、ITIの阻害活性
に影響を及ぼさなかった。これらの結果は、mAb 69.31の遮断作用が特異的であ
ること、およびmAb 69.31が、ITIのプロテアーゼ阻害活性にとって重要であるIT
I軽鎖のエピトープを認識することを示している。
【図6】 CSFのウェスタンブロット分析のオートラジオグラフである。ヒ
ト被験者から得たCSF 10 μlを、非還元条件下で6%SDS-PAGEによって分離して
、ウェスタンブロット分析のためにmAb 69.31を用いてニトロセルロース膜上に
転写した。CSFでは、血清からアフィニティ精製されたITIのバンドに対応する二
つの主なバンドが検出された(「対照」と表示されたレーン)。分子量マーカー
を「標準物質」と表示したレーンにおいて泳動させた。細胞学所見は、患者のイ
ニシャルまたは番号の上に示した(「+」は、標準的な細胞学により悪性細胞が
検出されることを示す:「−」は、標準的な細胞学により悪性細胞が検出されな
いことを示す)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/04 C07K 16/38 C07K 16/38 C12P 21/08 ZNA C12P 21/08 ZNA G01N 33/53 D G01N 33/53 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B064 AG27 CA10 CA20 CC01 CC24 CE12 DA05 DA14 4C084 AA17 BA02 CA17 DA27 DC32 ZB26 ZC20 4H045 AA11 AA30 CA40 DA76 EA28 EA51 FA72 GA26

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インターαトリプシン阻害剤(ITI)軽鎖に結合するリガン
    ドを、哺乳類に由来する体液に、ITI-リガンド複合体を形成するために十分な条
    件下で接触させて、複合体を検出する段階を含む、哺乳類の中枢神経系(CNS)
    における腫瘍を診断する方法。
  2. 【請求項2】 体液が中枢神経系(CNS)由来の液体である、請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 液体が脳脊髄液である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 体液が血液または血清である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 体液が尿である、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 体液が、血液、血清、尿、唾液、喀痰、肺浸出液、および腹
    水からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 リガンドが抗体である、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 モノクローナル抗体が69.31である、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 インターαトリプシン阻害剤(ITI)ポリペプチドに結合
    するリガンドを、哺乳類に由来する体液に、ITI-リガンド複合体を形成するため
    に十分な条件下で接触させて、複合体を検出する段階を含む、哺乳類のCNSにお
    ける腫瘍を診断する方法。
  11. 【請求項11】 体液がCNS由来の液体である、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 液体が脳脊髄液である、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 体液が、血液、血清、尿、唾液、喀痰、肺浸出液、および
    腹水からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 リガンドが抗体である、請求項10記載の方法。
  15. 【請求項15】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 モノクローナル抗体が69.31である、請求項15記載の方法
  17. 【請求項17】 以下の段階を含む、哺乳類の中枢神経系(CNS)における
    腫瘍の予後のための方法: (a)ITIポリペプチドに結合するリガンドを、該哺乳類に由来する体液に、IT
    I-リガンド複合体を形成するために十分な条件下で接触させて、複合体を検出す
    る段階; (b)複合体の量を定量して該液体中のITIレベルを決定する段階;および (c)該液体中のITIレベルをITIの正常対照レベルと比較して、ITIレベルが経
    時的に増加すれば、予後が有害であることが示される段階。
  18. 【請求項18】 ITIポリペプチドがITI軽鎖ポリペプチドである、請求項17
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 体液がCNS由来の液体である、請求項17記載の方法。
  20. 【請求項20】 液体が脳脊髄液である、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 体液が、血液、血清、尿、唾液、喀痰、肺浸出液、および
    腹水からなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  22. 【請求項22】 リガンドが抗体である、請求項17記載の方法。
  23. 【請求項23】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 モノクローナル抗体が69.31である、請求項23記載の方法
  25. 【請求項25】 ITI軽鎖のエピトープに結合するモノクローナル抗体。
  26. 【請求項26】 抗体がセリンプロテアーゼ活性のITI媒介阻害を阻害する
    、請求項25記載のモノクローナル抗体。
  27. 【請求項27】 抗体がMab 69.31である、請求項25記載のモノクローナル
    抗体。
  28. 【請求項28】 請求項25記載のモノクローナル抗体を含む、哺乳類の中枢
    神経系における腫瘍の診断または予後のためのキット。
  29. 【請求項29】 抗体が固相に固定される、請求項28記載のキット。
  30. 【請求項30】 固相がアッセイプレート、アッセイウェル、ニトロセルロ
    ース膜、ビーズ、ディップスティック、および溶出カラムの構成要素からなる群
    より選択される、請求項28記載のキット。
  31. 【請求項31】 ITI組成物が哺乳類のCSF中に注入される、該哺乳類にITI
    組成物を投与する段階を含む、哺乳類のCNSへの全身性の癌の転移を阻害する方
    法。
  32. 【請求項32】 ITI組成物がITI軽鎖ポリペプチドである、請求項31記載の
    方法。
  33. 【請求項33】 ITI組成物がITI軽鎖ポリペプチドとITI重鎖ポリペプチド
    とを含む、請求項31記載の方法。
  34. 【請求項34】 癌が白血病または癌腫である、請求項31記載の方法。
  35. 【請求項35】 ITI組成物が哺乳類のCSF中に注入される、該哺乳類にITI
    組成物を投与する段階を含む、哺乳類における原発性CNS癌の転移を阻害する方
    法。
  36. 【請求項36】 ITI組成物がITI軽鎖ポリペプチドである、請求項35記載の
    方法。
  37. 【請求項37】 ITI組成物がITI軽鎖ポリペプチドとITI重鎖ポリペプチド
    とを含む、請求項35記載の方法。
  38. 【請求項38】 原発性CNS癌が星状細胞腫または神経膠腫である、請求項3
    5記載の方法。
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