JP4693683B2 - 薄膜成膜方法、磁気記録媒体の成膜方法および磁気記録ディスクの製造方法 - Google Patents

薄膜成膜方法、磁気記録媒体の成膜方法および磁気記録ディスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜成膜方法、磁気記録媒体の成膜方法および磁気記録ディスクの製造方法に関するものである。
磁気記録ディスクでは、非磁性基板の主表面に磁気記録層を含む複数の薄膜が形成された構成を有しており、このような磁気記録ディスクにおいて、高密度記録化を実現する技術の一つとして垂直磁気記録方式が注目されている。この方式を採用した垂直磁気記録ディスクでは、例えば、付着層、軟磁性材層、垂直磁気記録層、保護層、潤滑層がこの順に形成されており、軟磁性材層は、磁気ヘッドが発生する磁束を垂直磁気記録層に集中させる機能を担っている。垂直磁気記録層としてはCo合金にSiO2やTiO2、Ta25などを加えた酸化物グラニュラー膜により構成することが主体になっている。
また、磁気記録ディスクを製造するにあたっては、一般に、環状の基板搬送経路に沿って複数の成膜部が配置された成膜装置において、基板搬送経路に沿って複数枚の非磁性基板を順次、搬送することにより、非磁性基板に対して磁気記録層を含む複数の薄膜を形成する方式が採用されている。このため、各層は連続して形成されることになる。
ここで、垂直磁気記録層を構成するグラニュラー膜は成膜を開始する温度を70℃以下に調整しないとグラニュラー層の主粒界成分である酸化物の偏析が乱れてしまい、所望の特性が得られない。一方、垂直磁気記録層の下層側に形成される軟磁性材層は、書き込み磁束を十分集束させるために垂直磁気記録層よりも厚く形成することが好ましい。このため、軟磁性材層を形成した時点で基板の温度は100℃近くにも達してしまい、この状態でグラニュラー膜を形成すると、垂直磁気記録層としての特性が劣化してしまうという問題がある。
そこで、軟磁性材層を形成した後、基板を成膜装置から大気中に取り出して冷却、洗浄を行い、その後、再び成膜装置内に投入して垂直磁気記録層を形成することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−227740号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、成膜途中で基板を成膜装置から大気中に取り出すと、スループットが低下し、量産性が低下してしまう。また、例えば軟磁性材層性膜後に大気中に取り出す場合は、軟磁性材層の表層の酸化や汚染を回避するために、軟磁性材層の上層に軟磁性材層保護用のキャップ層を追加する必要が生じてしまい、軟磁性材層と垂直磁気記録層との間の距離が離れてしまう結果、記録・再生特性が悪化する。
そこで、成膜途中において成膜装置から基板を出し入れせずに、軟磁性材層を形成した後にウエイトタイムを入れて基板を冷却し、その後に、垂直磁気記録層を形成する方法が考えられる。しかしながら、この方式では、連続して行うことが可能な成膜と成膜との間に対しても不要なウエイトタイムが強制的に挿入されてしまい、全ての成膜と成膜との間に搬送時間とウエイトタイムとを合算した長いアイドル時間が挿入されることになる。このため、スループットが著しく低下してしまうとともに、成膜と成膜との間の時間が長すぎて、既に形成した膜の結晶配向性が劣化するおそれもある。
また、軟磁性材層を形成した後に磁気記録ディスク用基板をなんらかの冷却手段によって冷却してから垂直磁気記録層を形成する方法が考えられる。しかし、この方法では、冷却手段を真空チャンバー内に設ける必要があるなど、従来の成膜装置に大掛かりな改造を必要とし、かつ、成膜装置が大型化してしまう。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、所定のタイミングで成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けた場合でもスループットが高い薄膜成膜方法、磁気記録媒体の成膜方法および磁気記録ディスクの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の基体が順次、投入される環状の基体搬送経路に沿って複数の成膜部を配置しておき、当該基体搬送経路に沿って前記基体を搬送することにより当該基体に対して複数の薄膜を順次形成する薄膜成膜方法において、前記複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた基体については前記基体搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせるとともに、当該巡回の期間中はいずれの成膜部においても当該基体に対する成膜を中断し、当該基体が前記巡回を終えて前記所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した後、当該基体に対する成膜を開始することを特徴とする。
また、本発明は、複数枚の非磁性基板が順次、投入される環状の基板搬送経路に沿って複数の成膜部を配置しておき、当該基板搬送経路に沿って前記非磁性基板を搬送することにより当該非磁性基板に対して磁気記録層を含む複数の薄膜を順次形成する磁気記録媒体の成膜方法において、前記複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた非磁性基板については前記基板搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせるとともに、当該巡回期間中はいずれの成膜部においても当該非磁性基板に対する成膜を中断し、当該非磁性基板が前記巡回を終えて前記所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した以降、当該非磁性基板に対する成膜を開始することを特徴とする。
本発明では、基板搬送経路に沿って配置された複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた非磁性基板については前記基板搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせ、冷却を行う。そして、非磁性基板が巡回を終えて所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した以降、当該非磁性基板に対する成膜を開始する。従って、成膜装置から基板を取り出さなくても、従来の成膜装置の運転条件を変更するだけで所定の成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けて基板の冷却を行うことができるので、新たな設備投資が不要であり、かつ、スループットも高い。また、所定の成膜と成膜との間にのみウエイトタイムを設けることができ、他の成膜と成膜との間に不要なウエイトタイムが挿入されないので、不必要な結晶配向性の劣化を防ぐことができる。
本発明においては、前記複数の成膜部の各々に前記非磁性基板を投入して複数枚の非磁性基板の各々に前記複数の薄膜の全てを形成する複数枚分の成膜工程を1サイクルとしたとき、今回のサイクルを行っている途中において、前記複数の成膜部のうち、前記複数の薄膜の全ての形成が終了した非磁性基板の搬出により空いた成膜室に対して、次回のサイクルで成膜工程を行う非磁性基板を順次、投入していくことが好ましい。このように構成すると、所定の成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けたことに起因するスループットの低下を最小限に止めることができる。
本発明において、前記磁気記録層がグラニュラー膜からなる垂直磁気記録層である場合、前記複数の薄膜には、前記垂直磁気記録層の下層側に形成された軟磁性材層が含まれる。このような場合、前記軟磁性材層を形成した後、前記垂直磁気記録層を形成する前に前記巡回を行えばよい。このように構成すると、グラニュラー膜からなる垂直磁気記録層を形成する前に基板をウエイトタイムにより冷却することができるので、熱による偏析の乱れのないグラニュラー膜を形成することができる。
次に本発明は、前記磁気記録媒体の成膜方法を用いた磁気記録ディスクの製造方法である。
本発明では、基体搬送経路に沿って配置された複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた基体については前記基体搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせ、冷却を行わせた後、基体が巡回を終えて所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した以降、当該基体に対する成膜を開始する。従って、成膜装置から基体を取り出さなくても、従来の成膜装置の運転条件を変更するだけで、所定の成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けることができるので、新たな設備投資が不要であり、かつ、スループットも高い。また、所定の成膜と成膜との間にのみウエイトタイムを設けることができ、他の成膜と成膜との間に不要なウエイトタイムが挿入されないので、不要な結晶配向性の劣化を防ぐことができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態として、磁気記録ディスクの製造方法(磁気記録媒体の成膜方法)に本発明に係る薄膜成膜方法を適用した例を説明する。
(磁気記録ディスクの構成)
図1(a)および(b)はそれぞれ、磁気記録ディスクを示す平面図、および磁気記録ディスクの概略断面図である。これらの図に示すように、本形態の磁気記録ディスク1は、中心穴111を備えた円形の非磁性基板11の表面に、付着層12、軟磁性材層13、シード層14、下地層15、磁気記録層16、磁性層17、保護層18および潤滑層19が下側からこの順に形成された構造を有している。非磁性基板11は、アモルファス、結晶化などのガラス基板、NiPメッキを施したAl合金等であり、本例では、アルミノシリケートガラスなどの化学強化ガラスが用いられている。
以下、非磁性基板11に対して複数の層を順次形成して磁気記録ディスク1を製造する方法を説明しながら、磁気記録ディスク1の構成をさらに詳述する。本形態の磁気記録ディスク1を製造するには、まず、非磁性基板11の表面に対してDCマグネトロンスパッタリング法によりCrTi合金層などからなる付着層12を形成する。本形態において、付着層12の膜厚は例えば10nmである。
次に、付着層12の上層にDCマグネトロンスパッタリング法により軟磁性材層13を形成する。ここで、軟磁性材層13としてはNiFe系合金、FeSiAl合金、飽和磁束密度の大きなFeCo合金等を用いることができ、非晶質のCo合金のCoNbZr、CoTaZrを用いることにより良好な電磁変換特性を得ることができる。軟磁性材層13の膜厚としては、10nm以上200nm以下であることが好ましい。また、Co合金などの軟磁性材層をRuなどの非磁性層で互いに分離された複数の層により構成し、交換結合膜として構成してもよい。本例では、膜厚50nmのCoTaZr層131、膜厚1nmのRu層132、膜厚50nmのCoTaZr層133の3層構造の軟磁性材層13を採用している。
次に、後述する冷却期間をおいた後、軟磁性材層13の上層にDCマグネトロンスパッタリング法によりシード層14を形成する。シード層14は全層を連続して形成する場合には必要がない場合もあるが、その上層に形成される下地層の結晶成長を制御するために用いられる。シード層14としては、例えばTaを用いることができる。本形態において、シード層14の膜厚は例えば3nmである。
次に、シード層14の上層にDCマグネトロンスパッタリング法により下地層15を成膜する。下地層15は、その上層に形成される磁気記録層16の結晶配向性および偏析を好適に制御するために用いられるものであり、面心立方構造あるいは六方最密充填構造を有する単金属膜あるいは合金膜が好ましく、具体的には、Ti、Ru、Pd、Ptや、それらを含む合金膜が用いられる。シード層14および下地層15の膜厚は、いずれもその上層に形成される層の結晶成長を制御するのに必要最小限とするのが好ましい。本形態では、下地層15としてRu層を用いており、膜厚は25nmである。
次に、下地層15の上層にDCマグネトロンスパッタリング法により磁気記録層16を形成する。磁気記録層16としては、CoPtCr系合金、Co/Pd等の積層膜、希土類−遷移金属合金等の非晶質膜、FePt規則合金膜等による磁性粒部と、SiO2等の非磁性酸化物や窒化物による粒界部とからなるグラニュラー膜などの垂直磁気記録層を用いることができる。本形態では、ターゲットとして、CoCrPtSiO2などの複合ターゲットを用い、磁性粒子の間に非磁性の分離母材が導入されたグラニュラー薄膜として磁気記録層16を形成し、磁気記録ディスク1を垂直磁気記録型の記録媒体として構成する。本形態において磁気記録層16の膜厚は15nmである。
次に、磁気記録層16の上層にDCマグネトロンスパッタリング法によりPdとCoBの多層膜を用いて、磁気記録層16の磁気特性を調節するための磁性層17を形成する。本形態において、磁性層17の膜厚は5nmである。
次に、磁性層17の上層にプラズマCVD法などにより保護層18を形成する。保護層18は耐摩耗性を向上させて磁気記録層16を保護する。本形態において、保護層18は、膜厚5nmのアモルファスのダイヤモンドライクカーボンからなる。
しかる後には、保護層18の上層に潤滑層19をディップ法などにより形成する。潤滑層19は、厚さが1nmの薄いパーフルオロポリエーテル層などから構成され、磁気ヘッドとの接触した際の衝撃を緩和するなどの機能を担っている。なお、付着層12から保護層18の各層は、後述する成膜装置により形成されるが、潤滑層19は、別のディップ装置において形成される。
(成膜装置の全体構成)
図2を参照して成膜装置の構成を説明する。図2は、成膜装置の要部の平面構成を模式的に示す説明図である。
図2において、成膜装置200は、非磁性基板11(基体)に対して付着層12から保護層18までの各層を形成するものである。成膜装置200は、矢印Lで示す環状の基板搬送経路220に沿って、真空チャンバー210内に非磁性基板11を搬入するための仕込室140と、基板表面に形成される各層を成膜する成膜室101〜110と、成膜が終了した基板を搬出するための取出室150とが配置された構成を有している。また、成膜装置200は、図示を省略するが、非磁性基板11を仕込室140に装置外から搬入するための搬入機構と、非磁性基板11を基板搬送経路220(基体搬送経路)に沿って各成膜室101〜110に間欠的に搬送する搬送機構と、全ての成膜が完了した非磁性基板11を取出室150から装置外に搬出するための搬出機構と、これらの機構および各成膜室101〜110制御する制御装置とを有しており、制御装置は、各成膜室101〜110における成膜の開始および停止を個別に制御することができる。
各成膜室101〜110は、非磁性基板11が基板搬送路220に沿って搬送されてきた時に、下層から順に各層を形成できる順に配列されており、本形態では、成膜室101では付着層12、成膜室102〜104では軟磁性材層13(CoTaZr層131、Ru層132、CoTaZr層133)、成膜室105ではシード層14、成膜室106では下地層15、成膜室107、108では磁気記録層16、成膜室109では磁性層17をスパッタリング法により形成する。成膜室110では、プラズマCVD法により保護膜18を形成する。
(成膜装置の基本動作)
図2に示す成膜装置200の基本動作を説明する。まず、搬入機構によって第1番目の非磁性基板11が真空チャンバー210内の仕込室140に搬入される。
次に、搬送機構によって第1番目の基板(非磁性基板11)が成膜室101に搬送される。そして、成膜室101では第1番目の基板の表面に付着層12を形成するスパッタリングが行われる。このスパッタリングのプロセス間に、搬入機構は仕込室140に第2番目の基板を搬入する。
次に、搬送機構は、スパッタリングのプロセス終了を待って第1番目の基板を次の成膜室102に搬送するとともに、第2番目の基板を成膜室101に搬送する。
成膜室102では第1番目の基板に対して軟磁性材層13を形成するスパッタリングが行われる。同時に、成膜室101では第2番目の基板に対して付着層12を形成するスパッタリングが行われる。搬入機構はこれらのプロセスの間に仕込室140に第3番目の基板を搬入する。
そして、搬送機構は、スパッタリングのプロセスの終了を待って第1〜第3番目の基板をそれぞれ隣接する次の成膜室へと搬送する。
このように、搬送機構は基板を次の成膜室へ搬送することを繰り返す。搬入機構は新たな非磁性基板11の搬入を繰り返す。その結果、第1番目の基板は成膜室101〜109において各層を形成されながら順次移動して、保護層18を形成する最後の成膜室110に至る。また、第2番目以降の基板も、成膜室101〜109において各層が形成されながら順次搬送される。
そして、成膜室110に搬送された第1番目の基板には保護層18が形成される。次に、搬送機構は、成膜室110における成膜のプロセスの終了を待って、第1番目の基板を取出室150に搬送する。同時に、第2番目の基板を成膜室109から成膜室110に搬送する。同様に、第3番目以降の基板を隣接する次の成膜室に搬送する。
成膜室110で第2番目の基板に対して成膜が行なわれるプロセス間に、搬出機構は、取出室150の第1番目の基板を成膜装置200の外に搬出する。搬出された第1番目の基板は、付着層12〜保護膜18までの形成が終了しているので、別の成膜装置に移送され、ディップ法により潤滑層19が形成され、これにより第1番目の基板を用いた磁気記録ディスクの製造が終了する。なお、第1番目の基板の搬出と同時に、搬入機構は、仕込室140に新たな非磁性基板11を搬入する。以後、搬送機構による搬送、成膜室101〜110での成膜、搬入機構による搬入、および搬出機構による搬出が繰り返される。
本形態では、各成膜室101〜109での成膜時間が5秒であり、搬送機構による基板の次の成膜室への搬送時間は1秒であり、タクトタイムは6秒となっている。なお、搬入機構、搬送機構、搬出機構は、基板を一枚ずつ扱うようにしてもよいが、複数枚の基板を基板ホルダで一括して保持させ、複数枚の基板を一括して扱うようにすることが好ましい。
(本発明を適用した成膜方法)
次に、図2を参照して説明した成膜装置200を用いて磁気記録ディスクを製造する方法を説明する。図3は、本発明を適用した磁気記録ディスクを製造する際の成膜装置200の1サイクル分の動作を示す説明図であり、時間T1〜T36に伴って、基板が各成膜室101〜110に移動する状態を示してある。また、図3において、各欄に示された数字は、搬入された基板の順番を示してある。さらに、図3において、基板の順番を示す数字を丸で囲んだ場所で成膜が行われ、数字を丸で囲んでいない場所では成膜が行われないことを示している。かかる動作は制御装置によって制御される。なお、図3に示す動作例は、冷却のための巡回が基板搬送経路に沿って1周行われる例である。
図2および図3に示すように、本形態では、非磁性基板11を搬入、搬送して、成膜室101〜104において付着層12、軟磁性材層13の形成を行う工程までは、図3に時間T1〜T5で示すように、前記の成膜方法の場合と同様である。
但し、基板に軟磁性材層13が形成された後の成膜の工程が異なっている。すなわち、複数の成膜室101〜110のうち、所定の成膜室104での成膜を終えた第1番目の基板については、時間T6〜T17で示すように、基板搬送経路220に沿って1周の巡回を行わせるとともに、この巡回の期間中、いずれの成膜室101においても第1番目の基板に対する成膜を中断する。そして、第1番目の基板が巡回を終えて、時間T18において、所定の成膜室104の次段に位置する成膜室105に到達した以降、時間T18〜T23において成膜室105〜110での第1番目の基板に対する成膜を開始する。従って、第1番目の基板は、巡回中、取出口150に到来することはあるが、巡回途中であるため、通過するだけで搬出が行われず、全ての成膜が完了した後、取出口150に到来した際に搬出される。
2番目以降の基板12についても同様であるため、説明を省略する。また、本形態では、仕込室140、成膜室101〜110、および取出室150を含めて計12の場所があるので、12枚の基板を成膜装置200に投入した以降、時間T25において第1番目の基板が搬出されるとともに、仕込室140が空くまで新たな基板の搬入を行わない。言い換えると、時間T25以降において、全ての成膜が終了した基板の搬出により仕込室140が空いた場合には、次の12枚の基板に対する同様な処理が開始される。従って、今回のサイクルの途中において、次回のサイクルが開始されることになる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、基板搬送経路220に沿って配置された複数の成膜室101〜110のうち、成膜室104での成膜を終えた基板については、基板搬送経路220に沿って1周あるいは2周以上の巡回を行わせるとともに、この巡回期間中はいずれの成膜室101〜110においても、この基板に対する成膜を中断する。そして、基板が巡回を終えて、所定の成膜室104の次段に位置する成膜室105に到達した以降、成膜室105〜110での基板に対する成膜を開始する。従って、成膜装置200から基板を取り出さなくても、従来の成膜装置の運転条件を変更するだけで、所定の成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けることができる。従って、新たな設備投資が不要であり、かつ、スループットも高い。また、所定の成膜と成膜との間にのみウエイトタイムを設けることができ、他の成膜と成膜との間に不要なウエイトタイムが挿入されないので、不要な結晶配向性の劣化を防ぐことができる。
また、本形態では、今回のサイクルを行っている途中において、複数の成膜室101〜110のうち、複数の薄膜の全ての形成が終了した非磁性基板11の搬出により空いた成膜室に対して、次回のサイクルで成膜工程を行う非磁性基板11を順次、投入していくため、所定の成膜と成膜との間にウエイトタイムを設けたことに起因するスループットの低下を最小限に止めることができる。
さらに、本形態では、成膜室104で軟磁性材層13(CoTaZr層133)を形成した時点で、基板温度が100℃を超えている場合でも、基板を巡回させて冷却し、しかる後に、成膜室105でのシード層14の形成、成膜室106での下地層15の形成、成膜室107、108での磁気記録層16を行う。このため、磁気記録層16を形成する時点で基板温度を低下させておくことができるので、磁気記録層16をグラニュラー膜で形成する場合でも熱による偏析の乱れを誘発しない。それ故、磁気記録層16について所望の特性を得ることができるので、信頼性の高い磁気記録ディスク1を製造できる。
(磁気記録層16の膜質評価結果)
上記の説明では、説明の簡略化することを目的に、冷却のための巡回を1回に設定したが、基板の冷却が不足する場合、基板の巡回数を増やすことで所定の温度まで冷却することができる。そこで、本形態の製造方法を採用した場合において、下地層15を構成するRu層をX線による分析した際のRu(002)面の半値幅、磁気記録層16を形成するCoCrPtSiO2膜をX線による分析した際のCo(002)面の半値幅、磁気記録ディスク1を製造した際のS/N比(電磁変換特性の信号とノイズの強度比)、および、熱による偏析の乱れの指標として保磁力Hc(Oe)を測定したところ、表1に示す結果が得られた。なお、結晶配向性は、X線評価装置により測定したものであり、電磁変換特性は、スピンスタンドテスターを用いてSPT/GMRヘッドにより測定したものである。
Figure 0004693683
表1に示すように、本形態によれば、基板に垂直な方向への配向性が高く、かつ、偏析の乱れのないグラニュラー膜が形成されているので、S/N比の良好な磁気記録ディスクを得ることができる。
(比較例)
以下に説明する比較例に係る製造方法を採用した場合の磁気記録ディスクの特性を図4および表1を参照して説明する。図4は、各比較例に係る磁気記録ディスクの構成を模式的に表した説明図である。なお、本発明の実施の形態に対応する層については同一の符号を付してある。
まず、図4(a)には、比較例1の磁気記録ディスクの構成を示してあり、比較例1は、膜の構造は本発明の実施の形態と同一である。但し、軟磁性材層13を形成後に基板を搬送路に沿って2周巡回させることなく、それ以降の各層も連続して形成したものであり、それ以外の製造方法は本例と同一である。かかる方法を採用した場合における下地層15のRuおよび磁気記録層16のCoの(002)面の半値幅と、磁気記録ディスク1のS/N比と、Hcとを表1に示す。表1から分かるように、基板温度が高い条件で成膜した分、結晶の配向性は良好であるが、グラニュラー膜で熱による偏析の乱れが起こっているため、Hc、S/N比がともに低いという結果になっている。
図4(b)は、比較例2〜4の構成を示してある。比較例2〜4は基板を各成膜室へ搬送する際の全てにウエイトタイムを挿入して基板の冷却を試みたものである。すなわち、全ての層を形成する前にウエイトタイムが挿入されており、比較例2のウエイトタイムは9秒、タクトタイムは15秒。比較例3のウエイトタイムは24秒、タクトタイムは30秒。比較例4のウエイトタイムは54秒、タクトタイムは60秒となっている。かかる方法を採用した場合における下地層15のRuおよび磁気記録層16のCoの(002)面の半値幅と、磁気記録ディスク1のS/N比と、Hcを表1に示す。この方法では、Hcの値から分かるように、グラニュラー膜での偏析の乱れを防止できるものの、結晶の配向性が低い分、S/N比が低いという結果になっている。
図4(c)は、比較例5の構成を示してある。比較例5の構成イメージを示すものである。比較例5は、軟磁性材層13を成膜した後に成膜装置200から基板を一旦取り出して、洗浄した後に、再び装置内に戻して磁気記録層を成膜したものである。なお、比較例5では、軟磁性材層13の上層に軟磁性材層保護用のキャップ層20を形成してある。軟磁性材層13を成膜した後に成膜装置200から基板を取り出すので、軟磁性材層13を酸化を防止するために、本例では必要がないが、比較例では必要になる層である。かかる方法を採用した場合における下地層15のRuおよび磁気記録層16のCoの(002)面の半値幅と、磁気記録ディスク1のS/N比と、Hcとを表1に示す。表1から分かるように、本発明の実施の形態と比較して若干低い程度の特性が得られているが、2回の成膜作業が必要となるため生産性が悪化してしまう。
[他の実施の形態]
上記形態では、磁気記録層16に用いるグラニュラー膜を好適に形成するために冷却(巡回)を行う例であったが、他の目的で成膜と成膜との間に冷却(巡回)を行う場合に本発明を適用してもよい。
また、上記形態は、本発明を磁気記録ディスクの製造に適用した例であるが、本発明に係る成膜方法は、磁気記録ディスク用の薄膜以外の成膜にも適用することができる。
(a)および(b)はそれぞれ、磁気記録ディスクを示す平面図、および磁気記録ディスクの概略断面図である。 本発明の実施の形態で用いた成膜装置の要部の平面構成を模式的に示す説明図である。 図2に示す成膜装置を用いて本発明を適用した磁気記録ディスクの製造方法を実施する際の1サイクル分の動作を示す説明図である。 本発明の比較例に係る製造方法によって製造した磁気記録ディスクの説明図である。
符号の説明
1 磁気記録ディスク
11 非磁性基板(基体)
12 付着層
13 軟磁性材層
14 シード層
15 下地層
16 磁気記録層
17 磁性層
18 保護層
19 潤滑層
101〜110 成膜室
140 仕込室
150 取出室
200 成膜装置
220 搬送路
230 真空チャンバー

Claims (5)

  1. 複数の基体が順次、投入される環状の基体搬送経路に沿って複数の成膜部を配置しておき、当該基体搬送経路に沿って前記基体を搬送することにより当該基体に対して複数の薄膜を順次形成する薄膜成膜方法において、
    前記複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた基体については前記基体搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせるとともに、当該巡回の期間中はいずれの成膜部においても当該基体に対する成膜を中断し、
    当該基体が前記巡回を終えて前記所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した後、当該基体に対する成膜を開始することを特徴とする薄膜成膜方法。
  2. 複数枚の非磁性基板が順次、投入される環状の基板搬送経路に沿って複数の成膜部を配置しておき、当該基板搬送経路に沿って前記非磁性基板を搬送することにより当該非磁性基板に対して磁気記録層を含む複数の薄膜を順次形成する磁気記録媒体の成膜方法において、
    前記複数の成膜部のうち、所定の成膜部での成膜を終えた非磁性基板については前記基板搬送経路に沿って1周以上の巡回を行わせるとともに、当該巡回の期間中はいずれの成膜部においても当該非磁性基板に対する成膜を中断し、
    当該非磁性基板が前記巡回を終えて前記所定の成膜室の次段に位置する成膜室に到達した後、当該非磁性基板に対する成膜を開始することを特徴とする磁気記録媒体の成膜方法。
  3. 前記複数の成膜部の各々に前記非磁性基板を投入して複数枚の非磁性基板の各々に前記複数の薄膜の全てを形成する複数枚分の成膜工程を1サイクルとしたとき、
    今回のサイクルを行っている途中において、前記複数の成膜部のうち、前記複数の薄膜の全ての形成が終了した非磁性基板の搬出により空いた成膜室に対して、次回のサイクルで成膜工程を行う非磁性基板を順次、投入していくことを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体の成膜方法。
  4. 前記磁気記録層はグラニュラー膜からなる垂直磁気記録層であり、
    前記複数の薄膜には、前記垂直磁気記録層の下層側に形成された軟磁性材層が含まれ、
    前記軟磁性材層を形成した後、前記垂直磁気記録層を形成する前に前記巡回を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の磁気記録媒体の成膜方法。
  5. 請求項2ないし4のいずれかの項に記載された成膜方法を用いた磁気記録ディスクの製造方法。
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