JP4693093B2 - 抗癌剤 - Google Patents
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によって表わされるフラン誘導体を有効成分として含有する抗癌剤を提供する。
本発明はさらに、上記の式(II)によって表わされる2−アセチル−3−O−α−D−グルコピラノシル−フランを提供する。この化合物は、従来未知の化合物である。
本発明のフラン誘導体を得るための原料の1つが、焙煎サツマイモである。焙煎とは、高温加熱により焦がすことを意味する。焙煎サツマイモは、本出願人による特願2001−69945(非特許文献1)に記載される方法によって調製することができる。
本発明において、例えば、焙煎サツマイモまたは紫系サツマイモの乾燥粉末から、水、あるいは低級アルコール、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて本発明のフラン誘導体を抽出することができる。次に、抽出溶液を直接、逆相用ゲル、例えばMCI gel CHP−20P(三菱化学)などのオープンカラムクロマトグラフィーに付すことができる。移動層にA液として水、B液としてメタノールを用い、A液からB液へのリニアグラジエントによってクロマトグラフィーを行う。さらに、固定相にSephadex LH−20(ファルマシアファインケミカル)を用い、移動層にA液として水を用い、C液としてアセトンを用い、C液からA液へのリニアグラジエントによってクロマトグラフィーを行う。次に、固定相としてシリカゲル、移動相として例えばクロロホルム/メタノール/水系(8:2:0.2v/v%)を用いるクロマトグラフィーを行う。この段階で、5−ヒドロキシメチルフルフラールが単離される。
本発明の式(I)のフラン誘導体において、Xが−COR(Rは、置換もしくは未置換の低級アルキルである。)であり、Yが単糖残基である化合物は、一般的な化学合成の技術を組み合わせて製造できる。例えば、3−保護ヒドロキシフランを例えばジアルキルカルボニルエーテル/三フッ化ホウ素・エーテル溶液などのアシル化剤と反応させて2−アルキルカルボニル−3−保護ヒドロキシフランを合成し、脱保護したのち、第1の方法として、フラン環上のヒドロキシ基と、単糖の1または2位のヒドロキシ基との間で化学的または酵素的にグリコシル化反応を行うか、あるいは第2の方法として、単糖の1または2位のヒドロキシ基をフッ素原子(F)で置換した化合物をSnCl2/AgClO4の存在下で2−アルキルカルボニル−3−ヒドロキシフランと反応させるか、あるいは第3の方法として、単糖の1または2位のヒドロキシ基を臭素(Br)で置換した化合物を1,1,3,3−テトラメチル尿素(TMU)で処理したのち2−アルキルカルボニル−3−ヒドロキシフランと反応させることなどの方法によって、フラン環に単糖残基を結合することができる。各反応に際して、必要に応じて単糖の他のヒドロキシ基を適当な保護基で保護し、または脱保護する。
本発明の式(I)のフラン誘導体は、抗癌作用を有する。従って、本発明は、該フラン誘導体を有効成分として含有する抗癌剤を提供する。特に好ましいフラン誘導体は、焙煎サツマイモから単離された2−アセチル−3−O−α−D−グルコピラノシル−フランおおよび5−ヒドロキシメチルフルフラールである。
本発明はさらに、上記式(I)のフラン誘導体を有効成分として含有する、抗癌作用を有する旨の表示をした飲食品を提供する。フラン誘導体として、2−アセチル−3−O−α−D−グルコピラノシル−フランまたは5−ヒドロキシメチルフルフラールが好ましい。
RMPI1640(10%FBS+)培地の調製:
RMPI1640を2.04g秤取し、蒸留水にて全量を200mlとし、攪拌して溶解した後、溶液をオートクレーブで滅菌した(121℃、20分)。冷後、これに、10%炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を4ml、FBS(予め非動化したもの)を20ml、抗生物質溶液(ペニシリン・ストレプトマイシン)2mlを加え、4℃で保存した。
予め−80℃で凍結させておいたHL−60細胞を37℃で溶解し、予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)培地5mlに混入し、よく混合した。培地は、遠心分離(1200rpm、5分間)を行った後、上澄みを除去した。これにRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、さらにRMPI1640(10%FBS+)培地5mlを加え、混合した後、遠心分離(1200rpm、5分間)を行い、上澄みを除去した。これにRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、さらにRMPI1640(10%FBS+)培地5mlを加え、混合した後、シャーレ(6cm)に培地を流し込み、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件で、インキュベーターでHL−60細胞を培養した。
培養し、増殖されたHL−60細胞を15mlチューブで回収し、丁寧に攪拌した後、その少量を血球計算盤に採取し、細胞数をカウントした。15mlチューブで回収したHL−60細胞は、遠心分離(1200rpm、5分間)を行った後、上澄みを除去した。これに予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、先の細胞数を計算した値から、培地中の細胞の濃度が2x106cells/6mlとなるように、RMPI1640(10%FBS+)培地で濃度を調整した。調整した培地は、5%二酸化炭素含有空気で37℃の条件で、インキュベーターでHL−60細胞を継代した。
継代されたHL−60細胞を15mlチューブで回収し、丁寧に攪拌した後、その少量を血球計算盤に採取し、細胞数をカウントした。15mlチューブで回収したHL−60細胞は、遠心分離(1200rpm、5分間)を行った後、上澄みを除去した。これに予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、先の細胞数を計算した値から、培地中の細胞の濃度が2x106cells/1mlとなるように、RMPI1640(10%FBS+)培地を80%、FBSを10%、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を10%の組成を有する培地で、濃度を調整した。これをセラムチューブに1mlずつ分注し、−20℃で一夜保存後、翌日より−80℃にて保存した。
検定法は、文献記載の方法を参考にした(Mosmann、T.:J.Immunol.Methods、65:55−63、1983)。2x106cells/1mlのRMPI1640(10%FBS+)培地で継代したHL−60細胞を、平底の1 plate 96 wellの1 wellあたり2x104cells/100μlのHL−60細胞数になるように培地でRMPI1640(10%FBS+1%PSG)培地で希釈し、2x104cells/100μlのHL−60細胞を各wellへ分注した。これを5%二酸化炭素含有空気で37℃の条件で、インキュベーターで24時間培養した。
HL−60細胞の継代と各フラン誘導体の添加:
RMPI1640(10%FBS+)培地中のHL−60細胞の濃度が1x106cells/1mlの濃度で継代された培養細胞液1mlとRMPI1640(10%FBS+)培地2mlをシャーレ中で混合し(これを3ml細胞液という)、5%二酸化炭素含有空気で37℃の条件下、インキュベーターで24時間培養した。これに焙煎サツマイモを分離した各分画又はフラン誘導体を添加し、規定時間について、5%二酸化炭素含有空気で37℃の条件下、インキュベーターで培養した。
焙煎サツマイモを分離した各分画又はフラン誘導体で規定時間処理した後、培地から細胞液を15mlチューブに回収した。15mlチューブで回収したHL−60細胞は、遠心分離(2000rpm、8分間)を行った後、上澄みを除去した。これに、予め氷冷しておいた滅菌PBS溶液1mlを加え、HL−60細胞を懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに分注して遠心分離(2000rpm、8分間、4℃)を行った後、上澄みを除去した。各1.5mlのエッペンドルフチューブにライシスバッファー(lysis buffer)を20μl加え、よく混和した。次に、各1.5mlのエッペンドルフチューブにRNA分解酵素(RNase、1mg/ml濃度)を5μl加え、よく混和し、水浴で加温(50℃、30分)した。加温後、各1.5mlのエッペンドルフチューブにプロテイン分解酵素K(proteinkinase K、10mg/ml濃度)を40μl加え、よく混和し、水浴で加温(50℃、3時間)し、冷後、-20℃で保存した。
HL−60細胞のDNA断片化については文献記載の方法で測定した(Hou,D.X.ら:Int.J.Oncol.、23:2003)。各1.5mlのエッペンドルフチューブに保存したHL−60細胞の処理溶液にローディングバッファーを添加し、よく混和後、遠心分離(10000rpm、1分間)を行い、核DNA以外のたんぱく質を沈殿、除去した。予め電気泳動槽内にTAEバッファーを満たしたアガロースゲルの各レーンに、遠心分離して除タンパクした核DNAを含む上澄み溶液を分注し、100Vで泳動を開始した。電気泳動後、アガロースゲルを取り出し、シーソー上で揺らしながらエチジウムブロミドで15分間染色する。染色した後、紫外線(UV、UVトランスイルーミネーター)照射により、DNAの断片の様子を観察した。
焙煎サツマイモ粉末の製造は、特許文献3の方法に従って行ってもよいし、または、サツマイモを非特許文献4に記載の方法でボイルし、粉砕後、凍結乾燥し、乾燥後粉末にしたものをフライパンなどで焦がして焙煎サツマイモ粉末作製することも可能である。何れにおいても作製された焙煎サツマイモの粉末には癌細胞へアポトーシスを誘導する効果が認められた。
前記した方法で得た分画2及び分画3を混合し、固定相にSephadex LH−20(ファルマシアファインケミカル)を用い、移動層にA液として水を、C液としてアセトンを用い、C液からA液の含量を順次増やすことによってクロマトグラフィーを行った。分画を5つ得た。分画L1、L2、L3は、C液(アセトン)のみで溶出する分画である。A液(水)を1%で溶出させると分画L4を得ることができる。A液(水)を2から3%で溶出させると分画L5を得ることができる。このようにして順次、5つの分画を得ることができる。
単離・精製した5−ヒドロキシメチルフルフラールのプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−Nuclear magnetic resonance [NMR] spectrum)を測定した。測定装置は、GSX400型核磁気共鳴装置(JEOL GSX400 FT−NMR、日本電子)を用いた。その結果は次の通りである。1H−NMR(400MHz,CD3OD)δ:4.82(2H,br.s,CH2OH),6.58(1H,br s,H−4),7.38(1H,br s,H−3),9.53(1H,br d,J=6Hz,CHO)。
前記した方法で得た分画L5を、固定相にシリカゲル(Silica gel、メルク社)を用い、移動層にクロロフォルム−メタノール−水(CHCl3−MeOH−H2O;8対2対0.2(v/v%))の混合溶液を用い、順層クロマトグラフィーを行った。このクロマトグラフィーにより、三つの分画を得ることができる。
単離・精製した式(II)で示すことのできる新規フラン誘導体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定した。測定装置は、JNM−ECA600型核磁気共鳴装置(JEOL JNM−ECA600KS、日本電子)を用いた。その結果は次の通りである。1H−NMR(600MHz,CD3OD) δ:2.48(3H,s,CH3),3.43(1H,dd,J=10.3,8.9Hz,glc−H−4),3.57(1H,ddd,J=10.3,5.4,2.7Hz,glc−H−5),3.61(1H,dd,J=9.6,3.4Hz,glc−H−2),3.68(1H,dd,J=12.3,5.4Hz,glc−H−6a),3.74(1H,dd,J=12.3,2.7Hz,glc−H−6b),3.83(1H,dd,J=9.6,8.9Hz,glc−H−3),5.57(1H,d,J=3.4Hz,glc−H−1),6.77(1H,d,J=2.0Hz,fur−H−5),7.65(1H,d,J=2.0Hz,fur−H−6)。
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