JP4693015B2 - フルオロアルキル基含有オリゴマー類、その製造方法、界面活性剤、抗菌剤及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフルオロアルキル基含有オリゴマー類及びその製造方法並びにこれを有効成分とする界面活性効果に優れた界面活性剤、抗菌活性に優れる抗菌剤、撥水撥油性と抗菌性に優れた樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フルオロアルキル基を含有する化合物は、耐光性、撥水撥油性、更には生理活性等の有用な性質を示す化合物として注目を集めている。特に界面活性剤の分野において、フッ素、特に長鎖のフルオロアルキル基が導入された界面活性剤は、従来の炭化水素系界面活性剤に比べて、フッ素に起因した優れた性能を有することが注目されており、低分子量界面活性剤についてその報告は非常に多い。しかしながら、フルオロアルキル基を導入した高分子量界面活性剤の知見はほとんどない。
【0003】
本発明者らは、先にフルオロアルキル基の利点を生かしつつ、新規な機能性材料を種々提案してきた。
例えば、抗菌性を有するフルオロアルキル基含有ホスホニウムオリゴマー類(特開平11−246577号公報、特開平11−246578号公報、特開平11−246579号公報)、抗菌性を有するフルオロアルキル基含有アンモニウムオリゴマー類(特願2000−65012号、特願2000−65011号)、界面活性剤として有用なフロオロアルキル基含有ホスホネートオリゴマー類(特開平11−246573号公報、特開平11−246574号公報)及びフロオロアルキル基含有ホスフィン酸オリゴマー類(特願平11−45901号公報、特願平11−45915号公報)、及び高分子電解質として有用なフルオロアルキル基含有ホスホン酸オリゴマー類(特願2000−66293号、特願2000−66292号)等を提案した。
【0004】
これら一連のフルオロアルキル基含有オリゴマー類に、フッ素原子に起因する界面活性剤としての特性に加えて、新たな種々の機能性を付与することは興味深いことで注目されていた。従来、これらのフルオロアルキル基含有オリゴマー類に各種の機能性を付与する方法としては、過酸化フルオロアルカノイル類と、所望の機能性モノマーとを反応させて製造されてきたが、フルオロアルキル基含有オリゴマー類に各種の機能性を付与する上で更に有利な化合物が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、機能性基を有する新規なフルオロアルキル基含有オリゴマー類およびその製造方法、並びにこれを有効成分とする界面活性効果に優れた界面活性剤、抗菌活性に優れた抗菌剤およびこれを含有する撥水撥油性と抗菌活性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは、フルオロアルキル基含有オリゴマー類に新たな、例えば、医薬、殺菌、農薬、タンパク質、核酸等の生理活性作用を有するものや、ホール輸送能、プロトン輸送能、色素、光変調能等を有する電子機能性を有する各種の機能性基を導入するのに有利な化合物について鋭意研究を重ねた結果、スクシンイミジルセグメント又はフタルイミジルセグメントを有するフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体と、アミノ基と機能性基を有する機能性化合物とを反応させることにより、スクシンイミジルセグメント又はフタルイミジルセグメントとアミノ基が容易に反応して機能性基が該フルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体に導入され、機能性基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー類を得ることができ、また、このようにして得られるフルオロアルキル基含有オリゴマー類は、フッ素原子に起因した特性と、その導入された機能性基の特性を同時に発現させることが出来る化合物となると言うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1 、R2 は(CF2 )n Y又はCF(CF3 )−〔OCF2CF(CF3 )〕p −OC3 F7 {但し、Yは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示す。nは1〜10の整数、pは0〜8の整数を示す。}を示す。R3、R4 は水素原子又はメチル基を示す。Aはモルホリノ基または−N(A1 )A2 (A1、A2 は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。A1 、A2 は同一でも又は異なっていてもよい。)を示す。Zは置換基を有していてもよく、また、O、N、S、P等のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖状、分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、アルコキシ基、カルボキシル基及びアシル基から選ばれる有機基、又は細菌類に作用し、死滅または増殖抑制効果を持つ殺生物剤や防腐剤等の薬剤抗菌活性を有する1−置換イミダゾール基,イミダゾリンジオン基,N−置換アミド基,トリアジン基,トリアゾール基、ピリミジノン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサザール基、イソオキサザール基、チアザール基、イソチアザール基、フラザン基、ピラン基、ピロリン基、ピロリジン基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、モルホリン基、インドール基、イソインドール基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、インドリジン基、クロメン基、キノリン基、イソキノリン基、キノリジン基、プリン基、インダゾール基、キナゾリン基、シンノリン基、キノキサリン基、フタラジン基、プテリジン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェナントリジン基、ベンゼンスルホンアミド基、サルファピリジン基、サルファピタイアジン基、サルファチアゾール基、ジメチルジチオカルバメート基、エチレンビスチオカルバメート基、ピラゾール基、ヒドロキシピラゾール基、オキシビスフェノキシアルシン基、ベンズイミダゾール基、イソチオシアネート基、チアゾロン基、チアジアジン基、シアネート基、クレゾール基、イソシアヌール酸基、サルチル酸基、これらの基の誘導体及びその塩から選ばれる抗菌活性を有する有機基を示す。mは1〜100を示し、a:bのモル比は1:99〜99:1である。)
で表されることを特徴とするフルオロアルキル基含有オリゴマー類を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、下記一般式(2)
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、R1、R2は(CF2)nY又はCF(CF3)−〔OCF2CF(CF3)〕p−OC3F7{但し、Yは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示す。nは1〜10の整数、pは0〜8の整数を示す。}を示す。R3、R4は水素原子又はメチル基を示す。Aはモルホリノ基又は−N(A1)A2(A1、A2は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。A1、A2は同一でも又は異なっていてもよい。)を示す。Bは、下記一般式(3)
【0013】
【化7】
で表されるスクシンイミジル基又は下記一般式(4)
【0014】
【化8】
【0015】
で表されるフタルイミジル基を示す。mは1〜100を示し、a:bのモル比は1:99〜99:1である。)
で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体と、一般式;H2N−Z(式中、Zは前記と同義。)で表されるアミノ基を有する化合物とを反応させることを特徴とする請求項1又は2記載の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の製造方法を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記フルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とする界面活性剤を提供するものである。
また、本発明は、前記フルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とする抗菌剤を提供するものである。
また、本発明は、前記フルオロアルキル基含有オリゴマー類を含有する樹脂組成物を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るフルオロアルキル基含有オリゴマー類は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0018】
【化9】
【0019】
一般式(1)中、R1 、R2 は、(CF2 )n Y又はCF(CF3 )−〔OCF2 CF(CF3 )〕p −OC3 F7 を示す。但し、Yは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示す。nは1〜10の整数、pは0〜8の整数を示す。
【0020】
R1 及びR2 の好ましいものとしては、式;(CF2 )n Yの中、nが1〜5、特に4〜5であり、Yがフッ素原子である。また、式;CF(CF3 )−[OCF2 CF(CF3 )]p −OC3 F3 の中、pが0〜8、特に0〜5である。
【0021】
R3 及びR4 は、好ましいものは水素原子又はメチル基である。
Aは、下記の式(5)
【0022】
【化10】
【0023】
で表されるモルホリノ基または−N(A1 )A2 を示す。A1 、A2 は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。A1 、A2 は同一でも又は異なっていてもよい。式中のA1 及びA2 の炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基等が挙げられる。
【0024】
Zは有機基であり、直鎖状、分岐状のアルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、アルコキシ基、カルボキシル基、アシル基等が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよく、O、N、S、P等のヘテロ原子で置換されていてもよい。また、Zはスクシンイミジル基又はフタルイミジル基と蛋白質や核酸等の生理活性物質との反応残基であってもよい。これらの有機基の種類としては特に限定されるものではないが、この中、抗菌活性を有する有機基が特に好ましい。ここで、抗菌活性を有する基とは、細菌類に作用し、死滅または増殖抑制効果を持つ殺生物剤や防腐剤等の薬剤抗菌活性を有すものであり、このような有機基としては、1−置換イミダゾール基,イミダゾリンジオン基,N−置換アミド基,トリアジン基,トリアゾール基、ピリミジノン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサザール基、イソオキサザール基、チアザール基、イソチアザール基、フラザン基、ピラン基、ピロリン基、ピロリジン基、イミダゾリン基、イミダゾリジン基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、モルホリン基、インドール基、イソインドール基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、インドリジン基、クロメン基、キノリン基、イソキノリン基、キノリジン基、プリン基、インダゾール基、キナゾリン基、シンノリン基、キノキサリン基、フタラジン基、プテリジン基、カルバゾール基、アクリジン基、フェナントリジン基、ベンゼンスルホンアミド基、サルファピリジン基、サルファピタイアジン基、サルファチアゾール基、ジメチルジチオカルバメート基、エチレンビスチオカルバメート基、ピラゾール基、ヒドロキシピラゾール基、オキシビスフェノキシアルシン基、ベンズイミダゾール基、イソチオシアネート基、チアゾロン基、チアジアジン基、シアネート基、クレゾール基、イソシアヌール酸基、サルチル酸基これらの基の誘導体叉はその塩等が好ましく、より好ましくは下記一般式(6)
【0025】
【化11】
で表される5−ヒドロキシピラゾール基、叉は下記一般式(7)
【0026】
【化12】
で表されるサルファチアゾール基が挙げられる。
【0027】
また、前記一般式(1)中のmは1〜100、好ましくは1〜50である。
a:bのモル比は1:99〜99:1である。
【0028】
また、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類において、R1 及びR2 で表されるフルオロアルキル基はオリゴマー類の片末端のみに導入されたオリゴマー類を任意の割合で含んでいてもよい。
【0029】
次いで、本発明に係る一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の製造方法について説明する。
前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類は、前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体と、一般式;H2 N−Z(式中、Zは前記と同義。)で表されるアミノ基を有する化合物と反応させることにより製造することができる。
【0030】
その反応式を下記に示す。
【0031】
【化13】
【0032】
<フルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体>
本発明の製造方法における第1の原料とするフルオロアルキル基オリゴマー類は、下記一般式(2)で表されるものである。
【0033】
【化14】
【0034】
一般式(2)中、R1 、R2 、R3 、R4 、Aは前記と同じである。
式中のBは、下記一般式(3)
【0035】
【化15】
で表されるスクシンイミジル基又は下記一般式(4)
【0036】
【化16】
で表されるフタルイミジル基を示す。
【0037】
また、前記一般式(2)中のmは1〜100、好ましくは1〜50である。
a:bのモル比は1:99〜99:1である。
【0038】
また、前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体においてR1 及びR2 で表されるフルオロアルキル基はオリゴマー類の片末端のみに導入されたオリゴマー類を任意の割合で含んでいてもよい。
【0039】
本発明の第1の原料とする前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体の製造方法は、例えば、下記一般式(8)
【0040】
【化17】
(式中、R1 、R2 は前記と同義。)で表される過酸化フルオロアルカノイル類と、下記一般式(9)
【0041】
【化18】
(式中、B、R3 は前記と同義。)で表される(メタ)アクリル基を有するイミド類、及び下記一般式(10)
【0042】
【化19】
(式中、A、R4 は前記と同義。)で表される(メタ)アクリル基を有する化合物とを反応させることにより容易に得ることができる。
【0043】
その反応式を下記に示す。
【0044】
【化20】
【0045】
<過酸化フルオロアルカノイル類>
第1の原料となる一般式(8)で表される過酸化フルオロアルカノイル類において、式中のR1 及びR2 の好ましい基としては、前記と同様なものが挙げられる。前記一般式(7)で表される過酸化フルオロアルカノイル類の具体的な化合物例としては、過酸化ジペルフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル、過酸化ジペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナノイル、過酸化ジペルフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイル、過酸化ジペルフルオロブチリル、過酸化ジペルフルオロヘプタノイル、過酸化ジペルフルオロオクタノイル等を例示することができる。
【0046】
かかる過酸化フルオロアルカノイル類の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、その一例を示せば、フルオロアルキル基含有ハロゲン化アシルに、含フッ素芳香族溶媒又は代替フロンのような含フッ素脂肪族溶媒中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムなどのアルカリの存在下で過酸化水素を反応させる方法等により容易に目的とする過酸化フルオロアルカノイル類を得ることができる。
【0047】
<(メタ)アクリル基を有するイミド類>
第2の原料である一般式(9)で表される(メタ)アクリル基を有するイミド類において、式中、R3 及びBは、前記と同様な基である。前記一般式(8)で表される(メタ)アクリル基を有するイミド類の具体的な化合物例としては、N−アクリロキシスクシニルイミド、N−メタクリロキシスクシニルイミド、N−アクリロキシフタルイミド、N−メタクリロキシフタルイミドが挙げられる。この中、N−アクリロキシスクシニルイミド又はN−メタクリロキシスクシニルイミドが特に好ましい。
【0048】
かかる(メタ)アクリル基を有するイミド類の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、その一例を示せば、N−ヒドロキシスクシニルイミド又はN−ヒドロキシフタルイミドと、アクロイルクロリド又はメタクロイルクロリドとを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又はトリエチルアミン等の塩基の存在下にクロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で反応させる方法等により容易に目的とする(メタ)アクリル基を有するイミド類を得ることができる。
【0049】
<(メタ)アクリル基を有する化合物>
第3の原料の一般式(10)で表される(メタ)アクリル基を有する化合物において、式中、R4 及びAは前記したとおりである。具体的な化合物例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、N−メタクリロイルモルフォリン等を例示することができる。
【0050】
本発明の第1の原料である前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体の調製方法において、前記一般式(8)〜(10)で表される原料の配合モル比は、前記一般式(8)で表される過酸化フルオロアルカノイル類1に対して、前記一般式(9)で表される(メタ)アクリル基を有するイミド類0.5以上、好ましくは1〜50であり、前記一般式(10)で表される(メタ)アクリル基を有する化合物0.5以上、好ましくは1〜60とすることが好ましい。
【0051】
この反応は常圧で行うことが可能である。
また、反応は、窒素、アルゴン等の雰囲気中で行なうことができるが、特に窒素の雰囲気中で行なうのが好ましい。
【0052】
反応温度は、通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃である。反応温度が−20℃より小さくなると、反応に長時間要する傾向があり、一方、150℃より大きくなると反応系内の圧力が高くなって、反応操作が困難になる傾向があるので好ましくない。
反応時間は、通常、30分〜20時間、好ましくは3〜10時間である。
【0053】
この反応は、無溶媒でも溶媒下でも反応を行うこともできる。用いることができる反応溶媒としては、ハロゲン化脂肪族系の溶媒が特に好ましく用いられ、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオルエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオルプロパン等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
反応溶媒を用いる場合には、過酸化フルオロアルカノイル類のこれら溶媒中の濃度は、0.5〜30重量%の範囲とすることが好ましい。
【0055】
かくして、本発明の第1の原料とするフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体が容易に得られるが、本発明では所望により、透析、再結晶、再沈殿、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の常法の精製手段により精製を行ったものであってもよい。
【0056】
<アミノ基を有する化合物>
本発明の第2の原料のアミノ基を有する化合物は、一般式;H2 N−Zで表されものであり、式中のZは前記と同じである。特に好ましい化合物としては、フルオロアルキル基含有オリゴマー類に抗菌性を付与する面で、下記一般式(11)
【0057】
【化21】
で表される3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール、又は下記一般式(12)
【0058】
【化22】
で表されるサルファチアゾールが特に好ましい。
【0059】
<反応条件>
次いで、反応条件について説明する。
本発明の前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の製造方法において、第1および第2の原料の配合モル比は、前記一般式(2)で表されるフルオロアルキル基オリゴマー類前駆体1に対して、前記一般式;H2 N−Zで表されるアミノ基を有する化合物1以上、好ましくは1.2〜1.8である。
【0060】
この反応は常圧で行うことが可能である。
反応温度は、通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃である。反応温度が−20℃より小さくなると、反応に長時間要する傾向があり、一方、150℃より大きくなると反応系内の圧力が高くなって、反応操作が困難になる傾向があるので好ましくない。
反応時間は、通常、30分〜20時間、好ましくは3〜10時間である。
【0061】
この反応は、無溶媒でも溶媒下でも行うことができるが、反応を円滑に行うために溶媒下に反応を行うことが好ましい。用いることができる反応溶媒としては、反応原料を溶解し、反応原料と生成物に不活性なものであれば特に制限はなく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオルエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオルプロパン等のハロゲン化脂肪族系の溶媒、エタノール、メタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン等の1種又は2種以上で用いることができる。
【0062】
かくして、目的とする本発明のフルオロアルキル基含有オリゴマー類が容易に得られるが、本発明では所望により、透析、再結晶、再沈殿、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の常法の精製手段により精製を行ってもよい。
【0063】
次いで、本発明の界面活性剤について説明する。
本発明の界面活性剤は、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とするものであり、フッ素に起因した撥水撥油性と前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の式中のZに起因する種々の特性を兼ね備え、種々の環境下においてそれらの特性を発現することができる界面活性剤である。特に、本発明において、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の式中のZに、抗菌活性を有する前記一一般式(6)で表されるヒドロキシピラゾール基又は前記一般式(7)で表されるサルファチアゾール基を導入することにより、優れた界面活性効果と抗菌効果とを同時に発現することができることから好ましい。
【0064】
前記一般式(1)において、界面活性の効果は、R1 とR2 のフルオロアルキル基の長さに影響を受ける。従って、R1 とR2 とを表す式中、(CF2 )n Y又はCF(CF3 )−〔OCF2 CF(CF3 )〕p −OC3 F7 のpの大きいものが、界面活性の効果が高くなる点で好ましい。また、R3 及びR4 は、水素原子又はメチル基である。Aは、モルフォリノ基又は一般式−N(A1 )A2 であり、A1 及びA2 は、水素原子、炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基等が好ましく、これらは同一の基でも異なる基でもよい。a:bのモル比は1:99〜99:1であり、mの範囲は好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜10である。
【0065】
本発明の界面活性剤は、各種溶剤の表面張力の低下は、濃度0.01g/L以上、好ましくは0.1g/L以上で発揮される。
【0066】
本発明の界面活性剤を使用するには、通常の方法で行うことができ、公知の界面活性剤と併用することもできる。他の界面活性剤としては、特に限定はなく陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び陽イオン界面活性剤とも併用することができる。
【0067】
陰イオン界面活性剤としては、例えばスルホネート系、スルフェート系、カルボキシレート系等のものが挙げられる。
【0068】
スルホネート系界面活性剤としては、炭素原子数が9〜15のアルキルベンゼンスルホネート類、炭素原子数12〜16のアルキルスルホネート類、アルケン及びヒドロキシアルカンスルホネート、ジスルホネート、αーオレフィンスルホネート等が挙げられる。
【0069】
スルフェート系界面活性剤としては、獣脂脂肪アルコール、オレインアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の第一アルコール又は/及び炭素原子数10〜20のオキソアルコール等の第二アルコールの硫酸モノエステル、ヒドロキシスルホン酸、アミノスルホン酸、アルキルスルホコハク酸、スルホコハク酸エステル、スルホコハク酸アルコール等が挙げられる。
【0070】
また、カルボキシレート系界面活性剤としては、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ヤシ油、パーム核油、獣脂脂肪酸等の石鹸も挙げることができる。
【0071】
非イオン界面活性剤としては、脂肪アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、脂肪アミン、脂肪酸アミド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリエチレン化カルボン酸アミド、アミノキシド、スルホキシド系のものも用いることができる。
【0072】
陽イオン界面活性剤としては、少なくとも1つが炭素数12〜18のアルキル基である脂肪族アミンの有機酸塩又は無機酸塩、およびその4級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩などの複素環4級アンモニウム塩や、スルホニル塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩などのオニウム塩が挙げられる。
【0073】
これらの化合物の1種又は2種以上で、またこれら化合物はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノー、ジー又はトリエタノールアミン等の有機酸塩として存在しても差し支えない。
【0074】
また、その他の成分として通常の洗浄剤の成分、例えば泡安定剤、泡抑制剤、カルシウムの錯化剤もしくは沈澱剤、柔軟付与剤、アルカリ剤又は電解質、漂白剤、漂白剤活性剤、再沈着防止剤、腐蝕防止剤、殺菌性物質、酵素、酵素安定剤、増白剤、着色剤、蛍光剤等と併用することができる。
【0075】
本発明の界面活性剤は、撥水撥油性等のフッ素原子に起因した優れた特性を有するので、安定性の高いペシクル剤、医薬農薬の助剤、医療材料、酸素富化膜、各種潤滑剤の添加剤、塗料、インキのレベリング剤、ペイントムーバー、レジスト剥離剤、洗浄用起泡剤、繊維処理剤及びフッ素系樹脂表面改質剤等として利用することができる。
【0076】
次いで、本発明の抗菌剤について説明する。
本発明の抗菌剤は、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の式中のZに、抗菌活性を有する基を導入したフルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とするものである。前記一般式(1)において、好ましい化合物としては、R1 とR2 とを表す式;(CF2 )n Y又はCF(CF3 )−〔OCF2 CF(CF3 )〕p −OC3 F7 の式中、pが0〜5、特に0〜2が好ましい。また、Zは前記一般式(6)で表されるヒドロキシピラゾール基又は前記一般式(7)で表されるサルファチアゾール基が好ましい。また、R3 及びR4 は、水素原子、メチル基である。Aは、モルフォリノ基又は一般式−N(A1 )A2 であり、A1 及びA2 は、水素原子、炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基等が好ましく、これらは同一の基でも異なる基でもよい。a:bのモル比は1:99〜99:1であり、mの範囲は、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜10である。
【0077】
本発明に係る抗菌剤は、他の抗菌剤と組み合わせて使用しても差し支えない。他の抗菌剤としては、特に制限はなく一般的の抗菌剤を用いることができる。例えば、ジメチル−n−デシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチル−n−ドデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチル−n−テトラデシルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,5−ペンタンジアール、フェノール、クロルヘキシジン、ポピオンヨード、塩化アルキルポリアミノエチレングリシン、塩素剤等の有機系抗菌剤及び銀置換ゼオライト、銀置換アパタイト等の無機系抗菌剤等から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
【0078】
また、〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕トリ−n−オクチルホスホニウムクロライド等のシリル系ホスホニウム塩、トリエチル−n−ヘキサデシルホスホニウムクロライド等のテトラアルキルホスホニウム塩等と併用してもよい。
【0079】
本発明の抗菌剤には、その製剤においては、必要に応じて、界面活性剤、結合剤、色剤、分散剤、潤滑剤、その他無機質又は有機質の希釈剤、担体等の助剤を配合しても差し支えない。
【0080】
本発明に係る抗菌剤は、その製剤の形態によって各種の産業分野、例えば製紙におけるスライム防止又はコントロール剤、水、油脂、エマルジョン、紙、ゴム、プラスチック、繊維、フィルム、塗料等の防腐、殺菌性を付与させることができる。
【0081】
本発明の抗菌剤であるフルオロアルキ基含有オリゴマー類の有効成分としての添加量は、被抗菌物質に対して通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
また、本発明に抗菌剤において、その使用形態により抗菌性を有する前述の界面活性として利用することができる。
【0082】
次いで、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【0083】
好ましい化合物としては、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の式中、R1 、R2 は、(CF2 )n Y又はCF(CF3 )−〔OCF2 CF(CF3 )〕p −OC3 F7 の式中、pが0〜5、特に0〜2である。また、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類式中のZは前記一般式(6)で表されるヒドロキシピラゾール基又は前記一般式(7)で表されるサルファチアゾール基が樹脂に優れた抗菌性を付与する面で特に好ましい。R3 及びR4 は、水素原子、メチル基である。Aは、モルフォリノ基又は一般式−N(A1 )A2 であり、A1 及びA2 は、水素原子、炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基等が好ましく、これらは同一の基でも異なる基でもよい。a:bのモル比は1:99〜99:1であり、mの範囲は、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜10である。
【0084】
本発明において適用できる樹脂としては、特に限定はなく、ゴムの組成物として用いる場合には、例えば天然ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、アクロニトリル−ブタジエン系ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン系ゴム(EPPM)、クロロブチレンゴム(CR)、ポリイソブチレンゴム、アルリルゴム、水素化アクロニトリル−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、クリリスルホン化ゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性物等が挙げられ、これらは、2種以上のブレンドゴムであってもよい。
【0085】
また、その他シート、フィルム、容器、繊維等の樹脂成型品を得る場合にマトリックスとなる樹脂類としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリールフタレート樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、アルキド樹脂、メラニン樹脂、グアナジン樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、含フッ素樹脂及びそれらの変性物等が挙げられる。
【0086】
該フルオロアルキ基含有オリゴマー類の樹脂に対する添加量は、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0087】
また、他の成分としては、ホワイトカーボン、カーボンブラック、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の無機質充填剤、ハイスチレン樹脂、リグニン、フェノール樹脂等の有機質充填剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、体質顔料、分散助剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、老化防止剤、可塑剤等が配合されていても差し支えない。
【0088】
本発明に係る樹脂組成物は、抗菌性の他、併せて撥水撥油性及び防汚性に優れた樹脂組成物である。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
<N−アクリロキシスクシニルイミドの調製>
三つ口フラスコ中にN−ヒドロキシスクシニルイミド0.2mmol(23g)、アクロイルクロリド0.22mmol(20g)とトリエチルアミン0.22mmol(22g)、クロロホルム300mlを仕込み、0℃、30分間反応させ黄色の溶液を得た。得られた溶液を飽和NaCl水溶液で抽出し、硫酸マグネシウムで脱水後冷却した。冷却後、40ml程度に濃縮し、酢酸エチル:ヘキサン(3:7)溶液で再沈澱し、得られた生成物を精製した。再び冷却後、ろ過乾燥してN−アクリロキシスクシニルイミド19.5gを得た。得られたN−アクリロキシスクシニルイミドは水には不溶であったが種々の有機溶媒に可溶であった。
【0091】
同定データ
FT−IR(KBr)
ν(cm-1);1180(C−N)、1720(C=O)、2850(CH)
【0092】
<N−アクリロキシフタルイミドの調製>
三つ口フラスコに、N−ヒドロキシフタルイミド0.15mmol(15.2g)、アクロイルクロリド0.25mmol(0.15g)、トリエチルアミン0.15mmol(15.2g)、テトラヒドロフラン80mlを仕込み、0℃で1.5時間反応させた。反応終了後、乳白色の生成物をろ過し、白色結晶(HN+(Et)3 Cl)を除去し、ろ液をエバポレート後エタノールに溶解し再結晶を行った。結晶をろ過、乾燥して目的とするN−アクロキシフタルイミド17.6gを得た。得られたN−アクロキシフタルイミドは水には不溶でったが種々の有機溶媒に可溶であった。
【0093】
同定データ
FT−IR(KBr)
ν(cm-1);897(−Ph)、1176(C−N)、1750(C=O)、2919(CH)
【0094】
合成例1
コンデンサー、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコに、過酸化ジペルフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル11.8mmol(7.76g)、前記で調製したN−アクリロキシスクシンイミド11.8mmol(2g)、N,N−ジメチルアクリルアミド118mmol(11.6g)を45℃、5時間、窒素気流中で反応させた。反応後、生成物を5mlに濃縮し、ヘキサンで再沈澱を行い、乾燥してコオリゴマー12.4g(収率60%)を得た。
【0095】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは3360、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.38であった。FT−IR、1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、1H−NMRから求めたモル重合比a:b(N−アクリロキシスクシンイミド:N,N−ジメチルアクリルアミド)は10:90であった。
【0096】
FT−IR(KBr、cm-1):1230(CF2)、1320(CF3)、1627(C=O)
1H−NMR(δ、D2O):1.18〜1.79(CH2)、2.18〜3.01(CH、CH2、CH3)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3COOH):−5.69〜−7.43(16F)、−54.1〜−54.2(6F)
分析結果より、得られた化合物は、下記の表1中の試料Aで示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0097】
合成例2
コンデンサー、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコに、過酸化ジペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナノイル3mmol(2.97g)、前記で調製したN−アクリロキシスクシンイミド3mmol(0.51g)、N,N−ジメチルアクリルアミド30mmol(4.23g)を45℃、5時間、窒素気流中で反応させた。反応後、生成物を5mlに濃縮し、ヘキサンで再沈澱を行い、乾燥してコオリゴマー8.98g(収率98%)を得た。
【0098】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは6280、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.66であった。FT−IR、1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、1H−NMRから求めたモル重合比a:b(N−アクリロキシスクシンイミド:N,N−ジメチルアクリルアミド)は22:78であった。
【0099】
FT−IR(KBr、cm-1):1628(C=O)、1310(CF3)、1238(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.09〜1.97(CH2)、2.18〜3.20(CH、CH2)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3COOH):−5.45〜−8.20(26F)、−54.6〜−56.0(6F)、−71.2(2F)
分析結果より、得られた化合物は、表1中の試料Bで示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0100】
合成例3
コンデンサー、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコに、過酸化ジペルフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル1.5mmol(0.99g)、前記で調製したN−アクリロキシスクシンイミド1.5mmol(0.25g)、N−アクロイルモルフォリン15mmol(2.10g)を45℃、5時間、窒素気流中で反応させた。反応後、生成物を5mlに濃縮し、ヘキサンで再沈澱を行い、乾燥してコオリゴマー2.56g(収率80%)を得た。
【0101】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは4830、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは2.19であった。FT−IR、1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、1H−NMRから求めたモル重合比a:b(N−アクリロキシスクシンイミド:アクロイルモルフォリン)は17:83であった。
【0102】
FT−IR(KBr、cm-1):1625(C=O)、1310(CF3)、1245(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.98〜1.98(CH2)、2.12〜2.98(CH、CH2)、−5.30〜−7.89(16F)、−54.2〜−54.6(6F)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.30〜−7.89(16F)、−54.2〜−54.6(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表1中の試料Cで示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0103】
合成例4
コンデンサー、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた200ml四つ口フラスコに、過酸化ジペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサノナノイル3mmol(2.97g)、前記で調製したN−アクリロキシスクシンイミド3mmol(0.51g)、N−アクロイルモルフォリン30mmol(4.23g)を45℃、5時間、窒素気流中で反応させた。反応後、生成物を5mlに濃縮し、ヘキサンで再沈澱を行い、乾燥してコオリゴマー7.48g(収率96%)を得た。
【0104】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは5420、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.90であった。FT−IR、1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、1H−NMRから求めたモル重合比a:b(N−アクリロキシスクシンイミド:N−アクロイルモルフォリン)は13:87であった。
FT−IR(KBr、cm-1):1630(C=O)、1310(CF3)、1243(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.95〜2.12(CH2)、2.22〜4.25(CH、CH2)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3COOH):−5.84〜−8.93(26F)、−54.4〜55.9(6F)、−70.7(2F)
分析結果より、得られた化合物は、表1中の試料Dで示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1
合成例1で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.17mmol(0.58g)と、アニリン1.45mmol(0.16g)を120℃、1時間DMF(ジメチルホルムアミド)10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.32g(収率43%)を得た。
【0107】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは3210、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは2.75であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(アニリン:N,N−ジメチルアクリルアミド)は1:99であった。
【0108】
FT−IR(KBr、cm-1):1630(C=O)、1310(CF3)、1240(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.00〜1.85(CH2)、2.20〜3.15(CH、CH2、CH3)、7.10〜7.80(5H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.74〜−7.76(16F)、−54.1〜−56.5(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料1で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0109】
実施例2
合成例3で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.08mmol(0.38g)と、アニリン1.23mmol(0.11g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.46g(収率73%)を得た。
【0110】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは4840、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.80であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(アニリン:N−アクロイルモルフォリン)は3:97であった。
【0111】
FT−IR(KBr、cm-1):1720、1680(C=O)、1310(CF3)、1245(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.10〜2.00(CH2)、2.18〜4.20(CH、CH2)、7.10〜7.79(5H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.10−7.76(16F)、−54.1〜−55.6(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料2で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0112】
実施例3
合成例1で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.17mmol(0.58g)と、シクロヘキシルアミン1.4mmol(0.14g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.50g(収率67%)を得た。
【0113】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは6890、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.54であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(シクロヘキシルアミン:N,N−ジメチルアクリルアミド)は14:86であった。
【0114】
FT−IR(KBr、cm-1):1630(C=O)、1320(CF3)、1235(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.01〜1.95(CH2)、2.10〜3.60(CH、CH3)、3.05〜4.21(CH2)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.00〜−7.76(16F)、−54.2〜−56.5(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料3で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0115】
実施例4
合成例3で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.02mmol(0.11g)と、シクロヘキシルアミン0.28mmol(0.03g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.12g(収率98%)を得た。
【0116】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは9240、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.34であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(シクロヘキシルアミン:N−アクロイルモルフォリン)は7:93であった。
【0117】
FT−IR(KBr、cm-1):1720、1680(C=O)、1310(CF3)、1238(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.98〜2.01(CH2)、2.03〜2.99(CH、CH3)、3.05〜4.21(CH2)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.08〜−7.76(16F)、−54.1〜−55.6(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料4で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0118】
実施例5
合成例1で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.12mmol(0.40g)と、シトシン1.0mmol(0.11g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.41g(収率80%)を得た。
【0119】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは3410、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.32であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(シトシン:N,N−ジメチルアクリルアミド)は8:92であった。
【0120】
FT−IR(KBr、cm-1):1680(C=O)、1320(CF3)、1248(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.15〜1.80(CH2)、2.25〜3.20(CH、CH3)、7.40(1H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.33〜−7.79(16F)、−54.2〜−55.7(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料5で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0121】
実施例6
合成例1で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.18mmol(0.60g)と、スルファチアゾール1.4mmol(0.37g)を120℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.78g(収率73%)を得た。
【0122】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは9240、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.41であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(スルファチアゾール:N,N−ジメチルアクリルアミド)は4:96であった。
【0123】
FT−IR(KBr、cm-1):1629(C=O)、1310(CF3)、1247(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.08〜1.69(CH2)、2.18〜3.01(CH、CH3)、6.62(1H)、6.71(2H)、7.03(1H)、7.55(2H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.05〜−7.76(16F)、−5.42〜−55.7(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料6で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0124】
実施例7
合成例2で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.09mmol(0.58g)と、スルファチアゾール1.445mmol(0.37g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.50g(収率52%)を得た。
【0125】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは8800、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.29であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(スルファチアゾール:N,N−ジメチルアクリルアミド)は4:96であった。
【0126】
FT−IR(KBr、cm-1):1625(C=O)、1318(CF3)、1243(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.12〜2.01(CH2)、2.29〜3.10(CH、CH2)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.08〜8.78(26F)、−54.5〜−55.7(6F)、−71.2(2F)
分析結果より、得られた化合物は、表2中の試料7で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0127】
実施例8
合成例3で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.06mmol(0.29g)と、スルファチアゾール0.72mmol(0.18g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.16g(収率34%)を得た。
【0128】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは3170、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは2.15であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(スルファチアゾール:N−アクロイルモルフォリン)は3:97であった。
【0129】
FT−IR(KBr、cm-1):1629(C=O)、1310(CF3)、1247(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.95〜2.10(CH2)、2.21〜3.82(CH、CH2)、6.63(1H)、6.71(2H)、7.03(1H)、7.55(2H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.09〜−7.76(16F)、−54.2〜−54.8(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表3中の試料8で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0130】
実施例9
合成例4で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.11mmol(0.58g)と、スルファチアゾール1.45mmol(0.37g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.73g(収率77%)を得た。
【0131】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは6380、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.59であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(スルファチアゾール:N−アクロイルモルフォリン)は3:97であった。
【0132】
FT−IR(KBr、cm-1):1632(C=O)、1309(CF3)、1248(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.05〜2.02(CH2)、2.30〜3.00(CH)、3.02〜4.10(CH3)、6.62(1H)、6.70(2H)、7.01(1H)、7.54(2H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.84〜−8.93(26F)、−55.9(6F)、−70.9(2F)
分析結果より、得られた化合物は、表3中の試料9で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0133】
実施例10
合成例1で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.17mmol(0.58g)と、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール1.5mmol(0.15g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.47g(収率63%)を得た。
【0134】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは1561、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.98であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(5−ヒドロキシピラゾール:N,N−ジメチルアクリルアミド)は11:89であった。
【0135】
FT−IR(KBr、cm-1):3440(OH)、1630(C=O)、1310(CF3)、1248(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):1.18〜1.62(CH2)、2.12〜3.04(CH、CH3)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.31〜−7.76(16F)、−54.2〜−56.5(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表3中の試料10で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0136】
実施例11
合成例4で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.09mmol(0.58g)と、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール1.40mmol(0.14g)を70℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.61g(収率85%)を得た。
【0137】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは9790、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは1.09であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(5−ヒドロキシピラゾール:N,N−ジメチルアクリルアミド)は36:64であった。
【0138】
FT−IR(KBr、cm-1):3450(OH)、1627(C=O)、1310(CF3)、1245(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.98〜2.03(CH2)、2.22〜4.19(CH、CH2)、7.79(1H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−5.84〜−8.88(26F)、−54.3〜−55.8(6F)、−70.6(2F)
分析結果より、得られた化合物は、表3中の試料11で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0139】
実施例12
合成例3で調製したフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体0.06mmol(0.29g)と、3−アミノ−5−ヒドロキシピラゾール0.72mmol(0.07g)を120℃、1時間DMF10g中で反応させた。得られた生成物を濃縮後、透析(MeOH:水=1:1)により精製し、ろ過、乾燥してコオリゴマー0.28g(収率77%)を得た。
【0140】
GPCにより求めた数平均分子量Mnは2494、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnは2.82であった。FT−IR、 1H−NMR、19F−NMRにより、生成物の確認を行った。また、 1H−NMRから求めたモル重合比a:b(5−ヒドロキシピラゾール:N−アクロイルモルフォリン)は8:92であった。
【0141】
FT−IR(KBr、cm-1):3450(OH)、1628(C=O)、1310(CF3)、1240(CF2)
1H−NMR(δ、D2O):0.98〜1.95(CH2)、2.18〜3.82(CH、CH2)、7.79(1H)
19F−NMR(δ、D2O、ext.CF3 COOH):−4.10〜−7.76(16F)、−54.1〜−55.1(6F)
分析結果より、得られた化合物は、表3中の試料12で示されるフルオロアルキル基含有オリゴマーであることが確認された。
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】
(界面活性剤としての評価)
1.実施例1〜12(試料1〜12)で得られた各種のフルオロアルキル基含有オリゴマー類について、各種溶剤に対する溶解性を試験した。その結果を表4および表5に示した。
表中の記号は下記のことを示す。
○;非常によく溶ける、△;あまりよく溶けない、×;全く溶けない
【0145】
2.実施例6、実施例8で得られた各種のフルオロアルキル基含有オリゴマー類試料(試料6、試料8)を水に溶解させ、濃度0.001〜1g/dcm3 の範囲において水の表面張力をウィルヘルミー法により30℃にて測定し、その結果を図1に示した。
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
(注)
AK−255;1,1−ジクロロ2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび1,3−ジクロロ1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパンの1:1混合溶媒
THF;テトラヒドロフラン
DMSO;ジメチルスルホキシド
【0149】
(撥水撥油性試験)
実施例6、8、10及び12で得られた試料6、8、10及び12のフルオロアルキル基オリゴマー類をポリメタクリル酸メチル(PMMA)100重量部に対して1重量部混合したものをクロロホルム30mlに溶解させ、直径5cmのシャーレに入れた。クロロホルムを自然乾燥により除去した後、24時間、真空乾燥させ、ドデカン及び水について接触角を測定した。その結果を表6に示す。
【0150】
接触角の測定は、ERMA製、ゴニオメーターG−1型を使用し、接触角(度)で表示した。なお、PMMAに本発明のフルオロアルキル基含有オリゴマー類を添加していないものをブランクとした。また、「BL」はブランクを示す。
【0151】
【表6】
【0152】
(抗菌活性試験)
グラム陰性菌の代表として、エシエリア・コリ(Escherichia coli)IF03806、グラム陰性菌の代表としてスタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)IFO12732に対して、実施例8、実施例10、実施例12で得られた試料8、10、12のフルオルアルキル基含有オリゴマー類を重量比で2重量%となるようにPMMA樹脂ペレットと混合し、可溶な溶剤に溶解した。得られた溶液をシャーレに均一に塗布し、常温減圧下で溶剤を蒸発させることにより、オリゴマーを含有するフィルムを得た。
【0153】
フィルムの試料から50mm×50mmの大きさの正方形の試験片を作成した。滅菌シャーレに試験片を入れ、エシエリア・コリが1.2×106 個/ml、スタフィロコッカス・オーレウスが1.1×105 個/mlの試験菌液0.5mlを各試験片表面に接種させた。その上に強化ポリエチレン製フィルムを載せ、ふたをして25℃、24時間培養後に、各試験片をブイヨン培地10mlでよく洗い出し、NA培地に37℃、24時間培養後、この培地の生菌数を測定し、コロニー数(cfu/ml)で表示した。その結果を表7に示した。
【0154】
【表7】
【0155】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明のフルオロアルキル基含有オリゴマー類は、フッ素に起因する特性と、該フルオロアルキル基含有オリゴマー類に導入された、例えば、抗菌活性を有する基を導入したものは、優れた界面活性効果と抗菌活性を示す界面活性剤、抗菌剤として用いることができる他、これを樹脂組成物として用いたものは撥水撥油性及び防汚性と抗菌性を有する樹脂となる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6および実施例8で得られたフルオロアルキル基含有オリゴマー類の水溶液の表面張力を示す図である。
Claims (6)
- 下記一般式(1)
で表されることを特徴とするフルオロアルキル基含有オリゴマー類。 - 前記抗菌活性を有する有機基はサルファチアゾール基又はヒドロキシピラゾール基である請求項1記載のフルオロアルキル基含有オリゴマー類。
- 下記一般式(2)
で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類前駆体と、一般式;H2 N−Z(式中、Zは前記と同義。)で表されるアミノ基を有する化合物とを反応させることを特徴とする請求項1又は2記載の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー類の製造方法。 - 請求項1又は2記載のフルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とすることを特徴とする界面活性剤。
- 請求項1記載の一般式(1)の式中のZが抗菌活性を有する有機基であるフルオロアルキル基含有オリゴマー類を有効成分とすることを特徴とする抗菌剤。
- 請求項1又は2記載のフルオロアルキル基含有オリゴマー類を含有することを特徴とする樹脂組成物。
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