JP4691853B2 - 積層型lc複合部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型LC複合部品、特に、携帯電話等の移動体通信機器などに使用される積層型LC複合部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の積層型LC複合部品として、従来より、図8に示す構造のLCフィルタ1が知られている。この積層型LCフィルタ1は、共振器電極10,11を表面に設けた絶縁体シート4と、グランド電極14,15をそれぞれ表面に設けた絶縁体シート2,6と、ダミー用絶縁体シート3,5等にて構成されている。
【0003】
絶縁体シート2〜6は積み重ねられ、さらに、上下に保護用絶縁体シートを配置して一体的に焼成されることにより、図9に示す積層体17とされる。積層体17には、入力端子18、出力端子19およびグランド端子G1,G2が形成されている。入力端子18には、共振器電極10の入力引出し部10aが接続され、出力端子19には共振器電極11の出力引出し部11aが接続されている。グランド端子G1には、共振器電極10,11の接地側端部10b,11bおよびグランド電極14,15の一方の端部が接続されている。グランド端子G2には、グランド電極14,15の他方の端部が接続されている。
【0004】
以上のLCフィルタ1は、図10に示すように、共振器電極10により形成されるインダクタL1,L2と、グランド電極14,15が共振器電極10に対向することにより形成されるコンデンサC1とで共振器Q1を構成している。同様に、共振器電極11により形成されるインダクタL3,L4と、グランド電極14,15が共振器電極11に対向することにより形成されるコンデンサC2とで共振器Q2を構成している。そして、共振器Q1,Q2の入出力インピーダンスZの整合は、入出力引出し部10a,11aを共振器電極10,11から引き出す位置と、共振器電極10,11の接地側端部10b,11bとの距離l(図8参照)を調整することにより行っていた。ここに、入出力インピーダンスZと距離lとの間には、以下の関係式が成立する。
Z=2πfKl(だだし、K:比例定数,f:使用周波数)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のLCフィルタ1を、入出力インピーダンスZを50Ωに保って高周波化し、例えば5GHz帯フィルタとして使用する場合には、上記関係式より、距離lが極めて小さくなる。従って、入出力引出し部10a,11aを共振器電極10,11から引き出す位置が、共振器電極10,11の接地側端部10b,11bに接近する。
【0006】
しかし、そのような構造を採ると、LCフィルタ1を製造する際に生じる、絶縁体シート2〜6の積層ずれや外形カットの位置ずれ等によって、入出力インピーダンスZが影響を受け易く、精度の良い入出力インピーダンスを安定して得ることが困難となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、入出力インピーダンスが製造時の加工精度の影響を受けにくく、かつ、入出力インピーダンスの調整を精度良く安定して行うことができる積層型LC複合部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】
以上の目的を達成するため、本発明に係る積層型LC複合部品は、
(a)絶縁体層を積み重ねて構成した積層体と、
(b)前記積層体内に設けられ、共振周波数の波長に対して実質的に1/4の長さである少なくとも二つの共振器電極と、
(c)前記積層体内に設けられた少なくとも一つのグランド電極と、
(d)前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の入力端に電気的に接続された入力端子と、
(e)前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の出力端に電気的に接続された出力端子と、
(f)前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の接地端および前記グランド電極に電気的に接続されたグランド端子と、
(g)前記積層体内に設けられ、前記入力端子と前記グランド端子との間、および、前記出力端子と前記グランド端子との間のいずれか一つの間を電気的に直接接続し、インダクタとして機能するインピーダンス調整電極と、
を備え、
(h)前記インピーダンス調整電極が、前記絶縁体層の積み重ね方向において、前記共振器電極を間にして対称の位置に配置されていること、
を特徴とする。インピーダンス調整電極と共振器電極とは、絶縁体層の積み重ね方向において、少なくとも共振器電極の接地端近傍で重なり合っていることが好ましい。
【0009】
以上の構成により、入出力端子とグランド端子との間を電気的に接続しているインピーダンス調整電極を設けることにより、入出力インピーダンスが高精度で微調整される。
【0010】
また、絶縁体層の積み重ね方向において、共振器電極を積層体の略中央部に配置させることを特徴とする。これにより共振器自身のインピーダンスが高くなる。さらに、このLC複合部品の入出力インピーダンスは、絶縁体層の積層ずれや外形カットの位置ずれ等の影響を受けにくくなる。
【0011】
また、絶縁体層の積み重ね方向において、インピーダンス調整電極を共振器電極を間にして対称の位置に配置させることを特徴とする。これにより、LC複合部品の入出力インピーダンスは、外形カットの位置ずれ等の影響を受けにくくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層型LC複合部品の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態は、図8に示した従来の積層型LCフィルタ1に本発明を適用したものである。図1に積層型LCフィルタ21の構成を示し、図2および図3にそれぞれLCフィルタ21の外観斜視図および電気等価回路図を示す。
【0014】
図1に示すように、積層型LCフィルタ21は、共振器電極30,31を表面に設けた絶縁体シート24と、インピーダンス調整電極32,33、34,35をそれぞれ表面に設けた絶縁体シート23,25と、グランド電極36,37をそれぞれ表面に設けた絶縁体シート22,26等にて構成されている。絶縁体シート22〜26は、誘電体セラミック粉末や磁性体セラミック粉末を結合剤等と一緒に混練したものをシート状にしたものである。電極30〜37は、Ag,Pd,Cu,Ni,Au,Ag−Pd等からなり、印刷、蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフィ等の方法により形成される。
【0015】
共振器電極30,31は、絶縁体シート24の手前側から奥側に向かって並設されている。共振器電極30,31のそれぞれの一端30b,31bはシート24の手前側の辺に露出して接地端とされ、他端は開放端とされている。共振器電極30の入力引出し部30aはシート24の左側の辺に露出し、共振器電極31の出力引出し部31aはシート24の右側の辺に露出している。共振器電極30,31の長さは、それぞれ実質的にλ/4(λ:中心周波数の波長)に設定されている。また、共振器電極30,31はシート24上で線対称となっている。共振器電極30は、入力引出し部30aから接地端30bまでの部分でインダクタL1(図3参照)を形成し、入力引出し部30aから開放端までの部分でインダクタL2を形成している。同様に、共振器電極31は出力引出し部31aから接地端31bまでの部分でインダクタL3を形成し、出力引出し部31aから開放端までの部分でインダクタL4を形成している。本実施形態の場合、インダクタL1とL3のインダクタンス値は等しく、インダクタL2とL4のインダクタンス値は等しい。
【0016】
さらに、共振器電極30は、グランド電極36,37に対向し、コンデンサC1を形成する。このコンデンサC1とインダクタL1,L2とでλ/4共振器Q1を構成する。同様に、共振器電極31は、グランド電極36,37に対向し、コンデンサC2を形成する。このコンデンサC2とインダクタL3,L4とでλ/4共振器Q2を構成する。
【0017】
逆L字状のインピーダンス調整電極32,34は、シート22〜26の積み重ね方向において、それぞれ共振器電極30の入力引出し部30aから接地端30bまでの部分と重なり合っている。インピーダンス調整電極32,34はそれぞれインダクタL5,L7を形成している。同様に、インピーダンス調整電極33,35は、それぞれ共振器電極31の出力引出し部31aから接地端31bまでの部分と重なり合っている。インピーダンス調整電極33,35はそれぞれインダクタL6,L8を形成している。本実施形態の場合、インダクタL5〜L8のそれぞれのインダクタンス値はインダクタL1,L3のインダクタンス値と等しい。共振器電極30,31とインピーダンス調整電極32〜35の電極幅は同じでもよいし、どちらかが幅広であってもよい。どちらかを幅広にすることによって、積層ずれの影響を低減することができる。また、インピーダンス調整電極32〜35と共振器電極30,31とは、積層方向において、少なくとも接地端近傍で重なり合っていればよい。
【0018】
インピーダンス調整電極32,34の一方の端部32a,34aはシート23,25の左辺に露出し、他方の端部32b,34bはシート23,25の手前側の辺の左寄りの位置に露出している。インピーダンス調整電極33,35の一方の端部33a,35aはシート23,25の右辺に露出し、他方の端部33b,35bはシート23,25の手前側の辺の右寄りの位置に露出している。
【0019】
共振器電極30,31の開放端側の巻回部分30cと31cは、接近して対向し、電磁結合している。そして、電極30〜35を間にして、広面積のグランド電極36,37がそれぞれ上下に配置されている。
【0020】
絶縁体シート22〜26は積み重ねられ、さらに、上下に保護用絶縁体シートを配置して一体的に焼成されることにより、図2に示す積層体41とされる。積層体41の左右の端面には、それぞれ入力端子42、出力端子43が形成されている。積層体41の手前側及び奥側には、グランド端子G1,G2が形成されている。入力端子42には、共振器電極30の入力引出し部30aとインピーダンス調整電極32,34の端部32a,34aが接続されている。出力端子43には、共振器電極31の出力引出し部31aとインピーダンス調整電極33,35の端部33a,35aが接続されている。グランド端子G1には、共振器電極30,31の接地端30b,31bとインピーダンス調整電極32〜35の端部32b〜35bとグランド電極36,37の一方の端部が接続されている。グランド端子G2には、グランド電極36,37の他方の端部が接続されている。
【0021】
図3はこうして得られた積層型LCフィルタ21の電気等価回路図である。共振器Q1とQ2は電磁気的に結合し、2段のバンドパスフィルタを構成している。共振器Q1,Q2のインダクタL1,L3は、その一端が接地されている。インダクタL1は、インピーダンス調整電極32,34が形成するインダクタL5,L7と並列接続している。インダクタL3は、インピーダンス調整電極33,35が形成するインダクタL6,L8と並列接続している。
【0022】
なお、共振器電極30,31は必ずしも積層体41の中央部に位置している必要はなく、図4に示す積層型LCフィルタ21Aのように積層体41の上部に配置しても良いし、積層体41の下部に配置してもよい。
【0023】
以上の構成からなる積層型LCフィルタ21は入力インピーダンスを、共振器電極30のインダクタL1と二つのインピーダンス調整電極32,34のインダクタL5,L7とで調整することができる。同様に、出力インピーダンスを、共振器電極31のインダクタL3と二つのインピーダンス調整電極33,35のインダクタL6,L8とで調整することができる。従って、入出力インピーダンスの微調整精度を従来のLCフィルタ1の3倍にすることができ、LCフィルタ21を製造する際に生じる絶縁体シート22〜26の積層ずれや外形カットの位置ずれ等による入出力インピーダンスの影響を従来の1/3にすることができる。
【0024】
図5を参照して、本発明の作用効果をより一般的に詳説する。図5は、LCフィルタ21において、インピーダンス調整電極をN−1層形成した場合の断面模式図である。
【0025】
図8に示すLCフィルタ1のように、入力インピーダンスを共振器電極10のみで構成するとき、そのLCフィルタ1の入力インピーダンスを整合させるために必要な入力端子18とグランド端子G1との間のインダクタンス値をLとする。すると、図5に示すように、N−1層のインピーダンス調整電極を設けたLCフィルタ21の場合、インピーダンス調整電極と共振器電極30とは電気的に並列に接続されているため、入力端子42とグランド端子G1との間のインダクタンス値はN×Lになる。
【0026】
また、インダクタの長さlとインダクタンス値Lの間には比例関係があり、以下の式(1)で表すことができる。
L=A×l(ただし、A:比例定数) …(1)
LCフィルタ21の入力インピーダンスZは、入力端子42とグランド端子G1間のインダクタンス値Lに比例しており、
Z=B×L(ただし、B:比例定数) …(2)
である。上記式(1),(2)から、以下の式(3)が成立する。
Z=C×l(ただし、C:比例定数) …(3)
つまり、入力インピーダンスはインダクタの長さに比例することがわかる。
【0027】
次に、図5に示すように、理論上の外形カット面にX軸を設定し、X軸に対して直交する方向にY軸を設定する。積層体41の厚みの中点を零点とした。このとき、外形カット線は以下の関数f(x)で表すことができる。
f(x)=aXn+bXn-1+…+Z …(4)
(ただし、−d/2≦x≦d/2)
【0028】
また、実際の製造工程では、以下の条件式(5)から外れるものは不合格品とされる。
−K≦f(x)≦K …(5)
【0029】
一方、N−1層のインピーダンス調整電極を設けたLCフィルタ21を、式(4)の外形カット線で切断したときに得られる入力インピーダンスZは以下の式(6)となる。なぜなら、第n層のインピーダンス調整電極(又は共振器電極30)のインピーダンスは、NL+Dfn(x)だからである。
【0030】
【数1】
【0031】
上記式(5)と(6)から、入力インピーダンスZのばらつきの範囲は、以下の式(7)となる。
【0032】
【数2】
【0033】
一方、図8に示すLCフィルタ1のように、入力インピーダンスを共振器電極10のみで構成するときは、入力インピーダンスのばらつきの範囲は、以下の式(8)で表される。
L−DK≦Z≦L+DK …(8)
【0034】
従って、上記式(7)と(8)から、LCフィルタ21とLCフィルタ1の入力インピーダンスのばらつきの範囲の比は、
(2DK)/N:2DK=1/N:1
となる。これにより、従来のLCフィルタ1の入力インピーダンスのばらつきは、本発明のLCフィルタ21と比較してN倍になる。つまり、本発明に係るLCフィルタ21を製造する際に生じる外形カットの位置ずれ等による入力インピーダンスZの影響を従来の1/Nにすることができる。以上は入力インピーダンスZを例にして説明したが、出力インピーダンスの場合も同様である。
【0035】
また、図1に示した積層型LCフィルタ21は、絶縁体シート22〜26の積み重ね方向において、共振器電極30,31を積層体41の中央に配置しているので、外形カットの位置ずれ等による特性への影響が少ない構造であると言える。すなわち、図6に示すように、共振器電極30,31が、絶縁体シート22〜26の積み重ね方向において、積層体41の中央部の位置から離れるにつれて、共振器Q1,Q2自身のインピーダンスが低下する。図6は、共振器電極30,31の位置と共振器Q1,Q2(共振周波数は5GHz近傍)自身のインピーダンスの関係を示すグラフである。正規化の基準インピーダンスはZ0=50Ωである。従って、共振器電極30,31を中央の位置に配置した図1のLCフィルタ21の共振器Q1,Q2のインピーダンスZ1と、共振器電極30,31を上部の位置に配置した図4のLCフィルタ21Aの共振器Q1,Q2のインピーダンスZ2との間には以下の関係式(9)が成立する。図1のLCフィルタ21のとき、図6のインピーダンスはピークとなる。
Z1>Z2 …(9)
【0036】
ここで、例えば図7に示すように、外形カットの位置がΔLずれたとすると、インピーダンスの変動は共振器長に比例するため、上記式(9)より、以下の式(10)が得られる。
Z1−A×ΔL>Z2−A×ΔL
(ただし、A:比例定数)
(A×ΔL)/Z1<(A×ΔL)/Z2 …(10)
この結果、図1のLCフィルタ21の方が、外形カットの位置ずれ等による共振器Q1,Q2のインピーダンスの変動が少ない。
【0037】
一方、共振器Q1とQ2が同じ結合状態であれば、共振器Q1,Q2のインピーダンスが高い方が、LCフィルタのインピーダンスを高くすることができる。従って、図1のLCフィルタ21の方がインピーダンスが高い。この結果、図1に示すLCフィルタ21のように、積層体41の中央部に共振器電極を配置した方が、外形カット位置ずれによる特性への影響が少ない。
【0038】
また、図1に示した積層型LCフィルタ21は、絶縁体シート22〜26の積み重ね方向において、共振器電極30,31を間にして上下対称の位置にインピーダンス調整電極32〜35を配置しているので、外形カットによる特性への影響が少ない構造であるといえる。
【0039】
すなわち、積層体41の外形カットの際、共振器電極30,31の接地端30b,31bが露出している積層体41の側面が斜めカットされたとする。ここでは、説明を簡単にするため、1次関数的にカットずれが発生し、共振器電極30,31のカット位置を零点とする。すると、上部に位置するインピーダンス調整電極32,33のカット位置は+ΔL(又は−ΔL)となり、下部に位置するインピーダンス調整電極34,35のカット位置は−ΔL(又は+ΔL)になる。従って、インピーダンス調整電極32〜35の長さ変動は上下で相殺されるため、LCフィルタ21のインピーダンスの変動値は殆ど0になる。
【0040】
これに対して、図4に示した積層型LCフィルタ21Aの場合には、共振器電極30,31のカット位置を零点とすると、インピーダンス調整電極32,33のカット位置は+ΔL1(又は−ΔL1)となり、インピーダンス調整電極34,35のカット位置は+ΔL2(又は−ΔL2)となる。従って、インピーダンス調整電極32〜35の長さ変動は相殺されず、LCフィルタ21Aのインピーダンスは変動することになる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0042】
前記実施形態は、共振器電極30,31のインダクタL2,L3とインピーダンス調整電極32〜35が形成するインダクタL5〜L8とが、全て等しいインダクタンスを有しているとして説明したが、必ずしも全てのインダクタが等しいインダクタンスを有している必要はない。
【0043】
また、LC複合部品としては、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等がある。さらに、LC複合部品としては、バンドパスフィルタを組み合わせて構成したデュプレクサや、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタおよびトラップ回路、あるいは、これら異なる種類の回路を組み合わせたデュプレクサであってもよい。さらに、デュプレクサ以外に、トリプレクサ、マルチプレクサ等のように、一つの積層体内に複数個のフィルタが内蔵されたものを含む。また、前記実施形態の構造を有する高周波複合部品(例えば、高周波スイッチ)も、本発明に係る積層型LC複合部品に含まれる。
【0044】
また、前記実施形態では、実質的にλ/4の長さの共振器電極を用いているが、必ずしもこれに限るものではなく、λ/4よりも若干短い共振器電極や長い共振器電極を用いてもよい。さらに、インピーダンス調整電極の形状は、逆L字状に限らず、円弧状、T字状、直線状、蛇行状などであってもよい。また、インピーダンス調整電極は、入力端子側のみ、あるいは出力端子側のみでもよい。バンドパスフィルタは2段に限らず、3段や4段でもよい。ただし、この場合、インピーダンス調整電極は、入出力端子に近い両側の共振器電極にのみ設ければよい。
【0045】
さらに、前記実施形態は、それぞれ導体パターンが形成された絶縁体シートを積み重ねた後、一体的に焼成するものであるが、必ずしもこれに限定されない。絶縁体シートは予め焼成されたものを用いてもよい。また、以下に説明する製法によってLC複合部品を製造してもよい。印刷等の方法によりペースト状の絶縁材料にて絶縁体層を形成した後、その絶縁体層の表面にペースト状の導電性材料を塗布して導体パターンを形成する。次にペースト状の絶縁材料を上から塗布して絶縁体層とする。同様にして、順に重ね塗りすることにより積層構造を有するLC複合部品が得られる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、入出力端子とグランド端子との間を電気的に接続しているインピーダンス調整電極を設けているので、入出力インピーダンスを高精度で微調整することができる。
【0047】
また、絶縁体層の積み重ね方向において、共振器電極を積層体の略中央部に配置させることにより、共振器自身のインピーダンスを高くすることができる。さらに、このLC複合部品の入出力インピーダンスは、絶縁体層の積層ずれや外形カットの位置ずれ等の影響を受けにくい。
【0048】
また、絶縁体層の積み重ね方向において、インピーダンス調整電極を共振器電極を間にして対称の位置に配置させることにより、LC複合部品の入出力インピーダンスは、外形カットの位置ずれ等の影響をより一層受けにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型LC複合部品の一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】図1に示した積層型LC複合部品の外観斜視図。
【図3】図2に示した積層型LC複合部品の電気等価回路図。
【図4】図1に示した積層型LC複合部品の変形例を示す分解斜視図。
【図5】インピーダンス調整電極をN−1層形成した場合の断面模式図。
【図6】共振器電極の位置と共振器自身のインピーダンスの関係を示すグラフ。
【図7】外形カットの位置ズレを示す平面図。
【図8】従来の積層型LC複合部品を示す分解斜視図。
【図9】図8に示した積層型LC複合部品の外観斜視図。
【図10】図9に示した積層型LC複合部品の電気等価回路図。
【符号の説明】
21,21A…積層型LC複合部品
22〜26…絶縁体シート
30,31…共振器電極
32〜35…インピーダンス調整電極
41…積層体
42…入力端子
43…出力端子
G1,G2…グランド端子
Claims (4)
- 絶縁体層を積み重ねて構成した積層体と、
前記積層体内に設けられ、共振周波数の波長に対して実質的に1/4の長さである少なくとも二つの共振器電極と、
前記積層体内に設けられた少なくとも一つのグランド電極と、
前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の入力端に電気的に接続された入力端子と、
前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の出力端に電気的に接続された出力端子と、
前記積層体の表面に設けられ、前記共振器電極の接地端および前記グランド電極に電気的に接続されたグランド端子と、
前記積層体内に設けられ、前記入力端子と前記グランド端子との間、および、前記出力端子と前記グランド端子との間のいずれか一つの間を電気的に直接接続し、インダクタとして機能するインピーダンス調整電極と、
を備え、
前記インピーダンス調整電極が、前記絶縁体層の積み重ね方向において、前記共振器電極を間にして対称の位置に配置されていること、
を特徴とする積層型LC複合部品。 - 前記共振器電極が、前記絶縁体層の積み重ね方向において、前記積層体の略中央部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の積層型LC複合部品。
- 前記インピーダンス調整電極が、前記絶縁体層の積み重ね方向において、少なくとも前記共振器電極の接地端近傍で重なり合っていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層型LC複合部品。
- 前記インピーダンス調整電極が、前記絶縁体層の積み重ね方向において、前記共振器電極の入力端から接地端までの部分、および、前記共振器電極の出力端から接地端までの部分の少なくともいずれか一つの部分と重なり合っていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層型LC複合部品。
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2001
- 2001-08-08 JP JP2001241269A patent/JP4691853B2/ja not_active Expired - Lifetime
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