JP4691685B2 - 樹脂成形金型及び成形法 - Google Patents

樹脂成形金型及び成形法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡樹脂成形特にビーズ発泡成形に用いる金型及び発泡樹脂成形法に関する。更に詳しくは、型の開閉方向と交差する方向に貫通孔や凹入部等のアンダーカット部を処理する機能を有する金型、及び該型の開閉方向と交差する方向に貫通孔や凹入部等のアンダーカット部を有する成形品の成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリスチレンやポリオレフィンのビーズを発泡させて成形する所謂ビーズ成形法で成形する発泡樹脂成形品は、魚貝類等の水産物のトロ箱、野菜箱、梱包時の保温材、緩衝材等として広く用いられている。
【0003】
こうした魚貝類等の水産物のトロ箱、野菜箱に用いる発泡樹脂成形品は、雄雌1組の型を有する成形金型を用いて、雄型と雌型の間で成形する。近年、トロ箱に関しては、側壁の底部近くに横方向に延びる排水孔のためのアンダーカット部を持つ高機能の製品の要求が急増してきている。アンダーカット部は、このような成形品における孔や、凹みやくびれや、突起のある部分である。アンダーカット部を形成する成形品は、金型が成形機の型開き方向に作動する構造だけでは金型から取り外しが出来ず従って成形品を得ることが出来ない。
【0004】
アンダーカット部の形成は、アンダーカット部を成形する成形駒を型に設けて、この成形駒を型の開閉方向と交差する方向に移動させるようにして行なわれる。
【0005】
即ち、図18に示す従来の態様のように、雌型201を支持し、且つ、この雌型201の背面側に雌型の加熱・冷却室202を設けた雌型フレーム204に対して、雄型206を支持し、且つ、この雄型206の背面側に雄型の加熱・冷却室208を設けた雄型フレーム210を近接離反できるように移動可能に配置し、各型間の成形空間212に充填する例えばポリスチレン等のスチレン系の樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等より成る発泡性樹脂ビーズを、各加熱・冷却室202、208に注入する蒸気の加熱により発泡させ、成形空間212の形状に対応した形状の成形品を成形する一方、雌型フレーム204の側壁には、成形空間212に対して進退する作動軸から成る成形駒214を持ったエアシリンダ216を設け、成形駒214の往復動により、成形品の成形時に、アンダーカット部を成形品の成形と同時に成形出来るようにしている。なお、各加熱・冷却室202、208には蒸気と水とを選択的に注入し、各型201、206を加熱及び冷却出来るようにしている。
【0006】
この他、樹脂成形におけるアンダーカット部の処理法としては、型開き力や突き出し力を利用してアンダーカット成形駒を往復動させる方法が従来から行われている。
【0007】
これらは、型開き力や突き出し力あるいはシリンダ力をアンダーカット成形駒に正確に伝えるための複雑かつ精密な機構を備える高価で複雑な装置を必要とするので、食品用トレーや日用品の梱包包装に使用されるような安価で単純で、かつ大量に生産されて金型の消耗が多い成形物の成形に用いることはコストや装置の操作、保全の点で問題が多い。
【0008】
特に、図18に示すような金型の態様においては、可動の成形駒214が各加熱・冷却室202のなかを貫通して通過するので加熱・冷却用の蒸気と水のシール構造を必要とし、この部分のシール構造及び成形駒の腐蝕等の問題を生じやすい。
【0009】
又、例えば、特開平6−99444号、特開平8−294929号には可撓性をもった伝動体を介して成形駒をシリンダ等で駆動する方法が開示されている。この方法は、シリンダ等の駆動手段の位置にあまり限定されずにアンダーカット成形駒を金型の所望の位置に配設出来るので好ましいが、一連のシリンダ等の駆動手段、伝動体、成形駒の連結に複雑な治具と組み立て操作を要し、且つ、その駆動手段から伝動体を経て成形駒に至る一連の装置において、成形駒を駆動する力の伝達のための経路を金型の近傍に加熱・冷却室を貫通して確保せねばならず、金型装置全体としては複雑な機構を有するものとなり、かつ、加熱・冷却用の蒸気と水のシール構造を必要とし、この部分のシール構造及び伝動体等の腐蝕等の問題を生じやすい。従って装置、組み立て、保全の各コストが大きく、操業時のトラブル発生の確率も高い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の金型の問題点に鑑み、成形物を金型から取り外す際に、成形物に大きな力がかからず、かつ成形物と成形駒との係合が外れたときに成形駒が成形操作の前の位置に確実に復帰する、アンダーカット部を有する成形体を成形する、単純な構成の金型を提供しようとする。又、成形物を金型から取り外す際に、成形物に損傷を与えることなく確実に成形物を金型から取り外すことのできる、単純な構成の金型を用いた主として発泡樹脂成形に好適なアンダーカット部を有する成形体を成形する樹脂成形法を提供しようとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の要旨とするところは、型の開閉方向と交差する方向に貫通孔や凹入部等のアンダーカット部を持った樹脂成形体を成形する樹脂成形金型であって、前記アンダーカット部を成形するための成形駒と、前記成形駒を前記開閉方向に垂直に回動可能に支持する支持手段と、付勢手段とを含み、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転して離型され、離型後前記付勢手段により原位置に復帰する駒付き構造を備えることを特徴とする樹脂成形金型であることにある。
【0013】
本発明の樹脂成形金型は、原位置において、前記型の開閉方向に対して鋭角方向に且つ一方の前記型からみて他方の前記型が離れる方向に向けて成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒が設けられ、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転してさらに鋭角に向きをかえ離型され得る。
【0014】
前記駒付き構造は、当接面と、前記成形駒に連接する可動子に備えられ原位置で前記当接面に当接する被当接面と、磁石とを含み、前記当接面及び又は前記被当接面が前記磁石の面から成り、前記当接面は原位置で前記被当接面に吸着され得る。
【0015】
前記付勢手段は、可逆的に変形する変形子を含み得る。
前記駒付き構造を有する駒付き構造体は、前記型に着脱自在に固定され得る。
【0016】
又、本発明の要旨とするところは、雄雌1組の型を含む樹脂成形金型に装着して、該型の開閉方向と交差する方向に貫通孔や凹入部等のアンダーカット部を有する成形体を成形するためのものであって、前記アンダーカット部を成形するための成形駒と、前記成形駒を前記型の開閉方向に垂直に回動可能に支持する支持手段と、付勢手段と、を含み、前記樹脂成形金型に装着されたとき、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転して離型され、離型後前記付勢手段により原位置に復帰することを特徴とする駒付き構造体であることにある。
【0017】
前記成形駒は、該成形駒に連接された可動子を介して前記支持手段に支持され、且つ、該可動子を介して前記付勢手段により付勢され得る。
前記支持手段は軸を含み、前記可動子が該軸に軸着され得る。
【0018】
本発明の樹脂成形金型は、当接面と、前記可動子に備えられ原位置で前記当接面に当接する被当接面と、磁石とを含み、前記当接面及び又は前記被当接面が前記磁石の面から成り、前記当接面は原位置で前記被当接面に吸着され得る。
【0019】
前記成形駒の前記樹脂成形体との当り面の、前記成形駒の回動の軸方向に直交する断面の外形状は、凹の弧状であり得る。
前記断面の外形状は、凹の略円弧状であり得る。
【0020】
前記成形駒が原位置に位置するとき、前記断面の外縁の曲率中心が、前記軸の軸芯を通り且つ前記型の開閉方向と略直交する面の上に位置し得る。
【0021】
本発明の樹脂成形金型は、筐体を含み、該筐体の内部に、前記支持手段と前記付勢手段とが配され得る。
【0022】
前記筐体の外面の一部は、前記金型の成形面の一部であり得る。
前記筐体は、前記成形駒の突出する部分を除いて、前記筐体の外部に対して閉じていることがあり得る。
【0023】
前記筐体は、外側に前記型の開閉方向と平行な平行面を有し、前記平行面が少なくとも前記成形駒の近傍において前記型の成形面の一部を構成し、且つ前記成形駒が、原位置で前記平行面から該平行面と鋭角に斜めに突出し、前記外力によりさらに鋭角に向きをかえるものであり得る。
【0024】
前記付勢手段は、前記筐体に設けられた受け部と前記可動子に設けられた受け部とにまたがって配され、離型時に前記成形駒の回転で弾性変形させられる変形子を含み得る。
【0025】
本発明の駒付き構造体は、前記型へ着脱自在に装着され得るものであって、前記型への着脱自在な装着手段を有し得る。
【0026】
更に、本発明の要旨とするところは、雄雌1組の型を含む樹脂成形金型を用いて、該型の開閉方向と交差する方向に貫通孔や凹入部等のアンダーカット部を有する樹脂成形体を成形する方法であって、
成形駒を、成形時成形空間に突出させ、離型時前記樹脂成形体との接触により回転させて前記アンダーカット部から抜き、離型後付勢手段により原位置に復帰するように構成された樹脂成形方法であることにある。
【0027】
前記成形駒、又は前記成形駒に連接させた可動子を、所定の位置に配した当接面に磁力で吸着させて、前記成形駒を原位置に停留させ得る。
【0028】
本発明の樹脂成形方法は、原位置において、前記型の開閉方向に対して斜め方向に且つ一方の前記型からみて他方の前記型が離れる方向に向けて前記成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒を設けるものであり得る。
【0029】
前記付勢手段は、離型時に前記成形駒の回転で可逆的に変形する変形子を含み得る。
前記樹脂成形体は発泡樹脂成形体であり得る。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の金型の態様を図を用いて説明する。本発明の発泡樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の構成を示す図1の斜視説明図において、駒付き構造体2は、一端にアンダーカット部形成用の成形駒3を有する可動子4と、軸6と、バネ(コイルバネ)8と、可動子4の他端に設けられバネ8の一端を受ける受け部10と、可動子4を収納する筐体12とから構成される。バネ8は可逆的に変形する変形子108である。筐体12は基台13と蓋32とから成る。軸6が基台13の内底面14から突設され、可動子4が軸6を介して基台13に軸着している。即ち、軸6は可動子4を支持する支持部106であり、軸6に嵌る孔40が被支持部140である。筐体12は内側に、バネ8の他端を受ける受け部18を備える。バネ8と、受け部10、受け部18とで、成形駒3を可動子4を介して付勢する付勢手段33を構成する。
【0031】
又、筐体12の他の内側面からは、磁石22の端面24が露出しており、磁石22は筐体12の側壁26に設けられた貫通孔27に嵌入させられて固定されている。可動子4は成形駒3の部分を外部に露出させて、残りの大部分は筐体12即ち基台13と蓋32とで覆われている。符号131は駒付き構造体2の前面(平行面)、符号132は駒付き構造体2の左面、符号133は駒付き構造体2の上面、符号134は駒付き構造体2の底面を示す。
【0032】
図2は図1の駒付き構造体2の平面模式図である。成形時には、可動子4はXの位置にあり、成形・冷却後金型を開くときに駒付き構造体2は矢印の方向即ち金型の開方向に型とともに移動し、成形駒3の当り面37が成形体により相対的に押されて、可動子4がYの位置に移動する。前面(平行面)131は型の開閉方向(図2の矢印)の方向と平行である。
【0033】
成形時即ちXの位置では可動子4の他端の被当接面130が磁石22の端面24に当接して吸着され、これにより可動子4、従って成形駒3がXの位置に確実に停留させられる。この位置は可動子4、従って成形駒3の原位置である。なお、磁石22の端面24は可動子4を原位置で停止させる当接面124となっており、被当接面130は原位置で当接面124に当接する。
【0034】
離型時に金型が開いてゆき成形物から取り外されるときに、この取り外す力により磁石22の端面24と可動子4の被当接面130とが離れ、次いでバネ8がこの取り外す力により圧縮されつつ可動子4がYの位置に移動する。金型が成形物から取り外されると、圧縮されたバネ8の復元力により可動子4がXの位置に戻り、再び可動子4の他端の被当接面130が磁石22の端面24に吸着され、可動子4がXの位置に確実に固定される。
【0035】
本発明のこのような構成により、バネ8の弾性が弱くても成形時に可動子4が所定の位置に確実に固定され、且つバネ8の弾性が弱い場合は、成形物を金型から取り外すときに、可動子の移動による大きな力が成形物に持続してかからないので、成形物に損傷を与えることなく且つスムースに成形物を金型から取り外すことが出来る。
【0036】
図3は図1の駒付き構造体2の組み立ての様子を示す斜視説明図である。筐体12の底面14に突設された軸6に可動子4の孔40に挿入して、筐体12に可動子4を組み込み、バネ8を配し、筐体12には蓋32が装着されボルト34により締結固定される。ボルト34は貫通孔36を通り盲貫ネジ孔38に螺入される。
【0037】
本発明の駒付き構造体2は図4に示すような発泡ポリスチレンから成る水産品用トロ箱箱の成形に極めて好適に用いることが出来る。図4のトロ箱50は例えば発泡ポリスチレンから成り、魚等の水産品を氷とともに入れて上蓋52でふたをして保管や運搬がなされる。
【0038】
トロ箱50は側壁の四隅に、トロ箱50の上面から下面に至る貫通孔54が設けられている。同様にこれらに対応する位置で、上蓋52の上面から下面に至る貫通孔56が設けられている。又、トロ箱50の内壁底の四隅に、貫通孔54と導通する水抜き孔58が設けられている。
【0039】
このような構成のトロ箱50は、上蓋52をされたとき、貫通孔54の上に貫通孔56が位置して互いに導通し、更に多段に積み重ねられたときも、貫通孔54、貫通孔56が交互に縦に連なって導通する。これにより、多段に積み重ねられたそれぞれのトロ箱50に入れられている氷がとけたりして出てくる水が水抜き孔58を通って縦に連なって導通する貫通孔54、貫通孔56の中に導かれ、最下方のトロ箱の貫通孔の下方から流出する。
【0040】
本発明の駒付き構造体2は、このような構成のトロ箱50に設けられる水抜き孔58を成形するために好適に用いられる。
【0041】
図5はこのような構成のトロ箱50の成形に用いられる成形装置300である。図5において、成形装置300は、内底近くの側壁に水抜き孔58を設けた箱体390(トロ箱50)を成形するためのものであって、固定基台301に取り付けた固定背板311に雌形フレーム312を取り付け、この雌形フレーム312と取付板313を介して雌形金型(雌型)70を支持し、その雌形金型(雌型)70の背面側で、且つ、固定背板311との間に雌型加熱・冷却室303を形成すると共に、前記固定基台301に対して移動可能に配置する移動基台304の移動背板341に雄型フレーム342を取り付け、この雄型フレーム342に取付板343を介して雄形金型(雄型)72を支持し、その雄形金型(雄型)72の背面側で、且つ、固定背板341との間に雄型加熱・冷却室69を形成し、前記雄形金型(雄型)72を雌形金型(雌型)70へ図5鎖線で示したように近接移動させることによって、これら金型70、72間に例えばポリスチレンやポリオレフィンなどの発泡性樹脂を成形する成形空間307を形成するようにしている。又、各フレーム312,342の側壁にはそれぞれ流体入口314、344を設け、これら各入口314、344を介して蒸気や水蒸気を選択的に各加熱・冷却室303、69に送り込み、各金型70、72を加熱冷却できるようにすると共に、各加熱・冷却室303、69内にはパイプ315,345を配置し、これらパイプ315,345から冷却水を噴射できるようにしている。なお、符号316、346は流体出口である。
【0042】
又、固定背板311には、成形空間307へ例えばポリスチレンやポリオレフィン等の発泡性樹脂材料を注入するフィーダーから成る充填装置317と、前記成形空間307で成形した箱形の成形品を前記雌形金型(雌型)70から取り出すノックピン318を設けている。
【0043】
更に、箱体390(トロ箱50)の水抜き孔58(図4)を形成するためのアンダーカット成形部位には、その水抜き孔58(図4)を形成するための成形駒3を備えた本発明の駒付き構造体2が設けられる。即ち、成形駒3を備えた本発明の駒付き構造体2は、雄形金型(雄型)72の側壁64と底壁62とに挟まれた位置に取り付けられる。
【0044】
又、雌形金型(雌型)70の側面の角の部分には、成形体の側面の角の部分に成形体の上面から下面に貫通する貫通孔54(図4)を形成するためのポール状の型60が底壁82から立設している。
【0045】
この本発明の駒付き構造体2の作用を説明するために、駒付き構造体2が取り付けられた近傍を拡大して図6、図7に示す。図6、図7は、図4に示すようなトロ箱50の、貫通孔54及び水抜き孔58が設けられた部分に相当する金型の構造74であり、本発明の駒付き構造体2が組み込まれた発泡樹脂成形金型の部分的な断面図である。但し、駒付き構造体2は外観の輪郭のみを示す。図6は、トロ箱を横に切った面方向に相当する断面図であり、図7はE−E´方向の断面図である。
【0046】
図6、図7において、符号70は雌型であり、符号72は雄型である。符号307は成形空間である。雌型70は側壁68と底壁82で構成され、雄型72は側壁64、側壁66と底壁62で構成される。符号60は貫通孔54(図4)を形成するためのポール状の型であり、底壁82から立設している。駒付き構造体2はネジ孔78を備え、雄型72に固定具76を介してネジ77を用いて固定される。又、駒付き構造体2は、その前面131及び下面134が雄型72の外壁面を形成するように雄型72の外壁面に露出している。従って、取り付けられている駒付き構造体2が操業中に不具合を生じても、ネジ77を緩めて駒付き構造体2をはずして、予備の駒付き構造体に交換することが容易に迅速に出来る。即ち、本発明の樹脂成形金型は、着脱自在に駒付き構造体2を装着し得る。即ち、本発明の駒付き構造体2は、雄型72に固定具76によりネジ77を用いて固定するための着脱自在な装着手段81であるネジ孔78、ネジ77及び固定具76を備える。
【0047】
又、アンダーカット部即ち水抜き孔58(図4)を形成する成形駒3が、相当する位置にくるように駒付き構造体2が雄型72に固定されている。成形駒3の先端は成形空間307に突出し、その先端が水抜き孔58(図4)を形成するためのポール状の型60に接している。
【0048】
成形・冷却後、雄型72が図7矢印方向に移動すると、成形駒3が図7図面視左方に向くように角度を変えて成形体から引き抜かれてアンダーカット部即ち水抜き孔58(図4)が形成される。
【0049】
このように、本発明においては、駒付き構造体2を用いた極めて簡単な構成の金型により、アンダーカット部を形成出来る。アンダーカット部を形成する成形駒3は、従来の装置のような金型の外部からの成形駒を変位させるための力の発生及び伝達の複雑な手段を必要とせず、成形体との接触による変位のみにより成形体から引き抜くことが出来る。従って従来の装置のような外部から成形駒を変位させるための力の発生及び伝達の複雑な手段の保守、点検などの作業が省け、金型装置の信頼性も向上する。更に、駒付き構造体2はスペアと容易に交換することができ、これにより万一の故障に際しても迅速に対応できるので、金型装置の信頼性が向上する。
【0050】
又、図6、図7において、駒付き構造体2は、雄型72の加熱・冷却室69の内部に一部を曝しており、加熱・冷却室69には加熱・冷却用の蒸気、水が出入りする。しかし、駒付き構造体2は、成形駒3が備わった可動子4(図1)を、成形駒3が突出している部分を除いて筐体12(図1)で囲んでシールするように内蔵しており、可動子の主要部を加熱・冷却用の蒸気、水に曝すことなく駒付き構造体2を雄型72に配置出来るので、雄型72に特別のシール構造を必要とせず、且つ、可動部の蒸気、水に起因する故障や腐蝕が少ない。
【0051】
本発明の駒付き構造体2を用いた発泡ポリスチレン等から成る水産品用トロ箱箱の成形の他の金型の態様を、駒付き構造体2が取り付けられた近傍を拡大して図8、図9に示す。図8、図9はそれぞれ図6、図7と同様の方向の断面図である。但し、駒付き構造体2は外観の輪郭のみを示す。図8は、トロ箱を横に切った面方向に相当する断面図であり、図9はF−F´方向の断面図である。
【0052】
図8、図9において、符号70は雌型であり、符号72は雄型である。符号141は成形空間である。雌型70は側壁68と底壁82で構成され、雄型72は側壁64、側壁66と底壁62で構成される。成形駒3の先端は成形空間141に突出し、その先端が雌型70の底壁82の段差の部分91に接している。
【0053】
成形・冷却後、雄型72が図9矢印方向に移動すると、成形駒3が図7図面視左方に向くように角度を変えて成形体から引き抜かれてアンダーカット部即ち水抜き孔が形成される。
【0054】
図8、図9に示すこのような態様の金型により成形されたトロ箱50aの、底部の隅の部分の構造を断面模式図で図10に示す。図10において、符号93はトロ箱50aの側壁であり、符号94はトロ箱50aの内底面、符号98はトロ箱50aの外底面である。トロ箱50aの、底部の隅の部分には成形駒3(図8、図9)によりアンダーカット部即ち水抜き孔58aが形成されている。一方、トロ箱50aの外底面98には雌型面の段差91(図8、図9)により生じた段差99が形成されており、外底面98の底部の隅の部分に窪み97が形成されている。窪み97の面には水抜き孔58aがトロ箱の内壁から導通している。
【0055】
このような形状であると、トロ箱が積み重ねられたとき、トロ箱50aの下に位置する他のトロ箱の蓋52aとの間に隙間96ができているので、水抜き孔58aが蓋52aにより塞がれることなく、トロ箱50aの中から水がスムースに排出される。
【0056】
本発明の駒付き構造体2の一般的な用い方を図11、図12に示す。図11は本発明の駒付き構造体が装着される一般的な金型333の構成である。図11の金型333は、雄型フレーム210、雌型フレーム204を備える。雌型フレーム204は雌型201を支持し、且つ、この雌型201の背面側に雌型の加熱・冷却室202を設けた雌型フレーム204に対して、雄型206を支持し、且つ、この雄型206の背面側に雄型の加熱・冷却室208を設けた雄型フレーム210を近接離反できるように移動可能に配置し、各型間の成形空間141に充填する例えばポリスチレンやポリオレフィン等の発泡性樹脂ビーズを、各加熱・冷却室202、208に注入する蒸気の加熱により発泡させ、成形空間141の形状に対応した形状の成形品を成形する。なお、各加熱・冷却室202、208には蒸気と水とを選択的に注入し、各型201、206を加熱及び冷却出来るようにしている。金型333のHの部分に或いは向きをかえてH´の部分に本発明の駒付き構造体2を配することが出来る。
【0057】
図12(a)は金型333のHの部分に本発明の駒付き構造体2が配されたときのその部分の断面図であり、図12(b)は金型333のH´の部分に本発明の駒付き構造体2が異なる態様で配されたときのその部分の断面図である。符号82は雄型の断面、符号80は雌型の相当する部分の断面である。雄型82、雌型80の間の成形空間141に成形物100(図12(a))又は成形物102(図12(b))が成形される。駒付き構造体2の前面131が雄型82、雌型80の間の成形空間141に露出し、成形駒3がその成形空間141内に突出した状態になるように、図12(a)においては駒付き構造体2が雄型82に固定される。図12(b)においては駒付き構造体2が雌型80に固定される。前面131は型(雄型82、雌型80)の開閉方向と平行になっている。
【0058】
図12(a)の配置においては、型(雄型82、雌型80)が閉じた状態、即ち原位置において、型の開閉方向に対して鋭角方向に、且つ駒付き構造体2からみて、即ち駒付き構造体2が取り付けられた雄型82からみて、相手の型(雌型80)が型が離れる方向(矢印ロの方向)に向けて成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒が設けられる。即ち、図12(a)の角度αが鋭角となる。矢印イは雄型82が開く方向である。
【0059】
図12(b)の配置においては、型(雄型82、雌型80)が閉じた状態、即ち原位置において、型の開閉方向に対して鋭角方向に、且つ駒付き構造体2からみて、即ち駒付き構造体2が取り付けられた雌型80からみて、相手の型(雄型82)が離れる方向(矢印イの方向)に向けて成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒が設けられる。即ち、図12(b)の角度αが鋭角となる。矢印イは雄型82が開く方向でもある。
【0060】
このような配置で、成形物100又は成形物102を成形・冷却後、雄型82が矢印イの方向に移動させられる。
【0061】
図12(a)の配置においては、このとき、成形駒3が、成形駒3の上面114と接する成形物100の面112により押し下げられ、同時に、成形駒3の下面118と接する部分の近辺の成形物の部分116が成形駒3により押し下げられ、又同時に成形駒3の上面114と接する部分の近辺の成形物120が成形駒3により押し上げられ、これらにより成形駒3の向きが、雌型80の相対的な移動方向の向き(矢印ロの向き)に近づくように(図面視下方に)角度がかわり、成形駒3により形成された窪み124(アンダーカット部)から引き抜かれる。即ち、離型時成形駒3が成形物100との接触により回転してαより小さい値のさらに鋭角に向きをかえられ成形物100が離型される。
【0062】
図12(b)の配置においては、雄型82の離型後、成形物102が雄型82の離型方向(矢印イ、ハの方向)に突き出される。このとき、成形駒3が、成形駒3の上面114と接する成形物102の面112により押し下げられ、同時に、成形駒3の下面118と接する部分の近辺の成形物の部分116が成形駒3により押し下げられ、又同時に成形駒3の上面114と接する部分の近辺の成形物120が成形駒3により押し上げられ、これらにより成形駒3の向きが、雄型82の移動方向の向き(矢印イの向き)に近づくように(図面視上方に)角度がかわり、成形駒3により形成された窪み124(アンダーカット部)から引き抜かれる。即ち、離型時成形駒3が成形物102との接触により回転してαより小さい値のさらに鋭角に向きをかえられ成形物102が離型される。
【0063】
このようにして成形物100又は成形物102にアンダーカット部126を形成することが出来る。
【0064】
図12(a)のように成形駒3の先端が雌型80の内壁に接して配置された場合は、アンダーカット部126は貫通孔となる。図12(b)のように成形駒3の先端が雄型82の内壁から離れて配置された場合は、アンダーカット部126は盲貫孔となり、箱体の取っ手等を形成するのに好適である。
【0065】
又、本発明の駒付き構造体はH´の位置に配置して図12(c)に示すように用いることが出来る。図12(c)においては、雌型80、雄型82のそれぞれに駒付き構造体2を配置し、成形駒3同士を成形空間141内で先端をつきあわせて対向させる。これにより、成形駒2個分の長さの貫通孔をアンダーカットとして形成出来る。矢印はイは雄型82の開(後退)方向、矢印ハは、成形体が突き出されて離型される方向である。
【0066】
なお、駒付き構造体2は、前述の図1のように、成形駒3を有する可動子4がバネ8により原位置に復帰する構成となっており、且つ、磁石22の吸着力により、確実に原位置に保持されるが、磁石の機能のかわりに形状記憶合金を利用することも出来る。図13にその態様を示す。図13(a)の駒付き構造体2aは、図1に示す駒付き構造体2とほぼ同様の構成となっているが、磁石は備えていない。又、バネ受け部10とバネ受け部18の間に渡されたバネ8aは、図13(b)に示すように、通常のバネ鋼から成るバネ鋼バネ部92と、形状記憶合金から成る記憶合金バネ部90が中間部で連結されて成る。記憶合金バネ部90は常温に近い温度では比較的弱い力で圧縮され得る。又、常温に近い温度で圧縮された後はその圧縮された形態をほぼ保つ。この圧縮された状態で記憶合金バネ部90が加熱されると、この熱により形状がもとの圧縮される前の形状に戻る。図13(a)の駒付き構造体2aにおいては、この熱により形状がもとの形状に戻る復元力を利用して可動子4を原位置(Xの位置)に確実に復帰させる。
【0067】
即ち、図13(a)において、成形体から成形駒3が引き抜かれるときに、可動子4が原位置(Xの位置)からYの位置へ移動し、この移動に伴いバネ8a(変形子108a)が圧縮される。このときバネ8aの記憶合金バネ部90も当然圧縮される。圧縮に要する力は弱い。成形体から成形駒3が引き抜かれるときは金型が冷却のステージであり、圧縮された記憶合金バネ部90はそのの圧縮された形態をほぼ保つ。成形体が金型から除去されると、バネ8aの復元力により、可動子4のバネ受け部10が押し下げられ、原位置に復帰しようとする。このバネ8aの復元力は成形体から成形駒3が引き抜かれるときに成形体に損傷を与えないためにあまり大きくは出来ない。従って、可動子4の原位置への復帰は不充分であることが多い。次に発泡ビーズが供給された後、金型が加熱ステージに入り、これに伴い駒付き構造体2a、従ってバネ8aが加熱されると記憶合金バネ部90の形状がもとの形状に戻る復元力が発現し、可動子4のバネ受け部10が押し下げられ、可動子4が原位置に確実に復帰する。
【0068】
このような形状記憶合金を利用した駒付き構造体においては、可動子4を原位置へ復帰させるためのバネ構造は、記憶合金バネ部と、バネ鋼から成るバネ鋼バネ部とが並列に配置されたものであってもよい。
【0069】
発明の駒付き構造体の更に他の態様を図14に示す。図14の駒付き構造体2bは図1,図2に示す駒付き構造体2と同様の外観をしており、図14は図2のように蓋を外した状態の構造を示す。図14において、可動子4bが基台13bの側壁25b、側壁23bに支えられている。一方、基台13bの内底面14bから突設された軸6bに外嵌されたコイルバネ21b(変形子121b)の一端部のフック19が可動子4bに設けられた孔15に挿入され、可動子4bがコイルバネ21bの復元力により原位置(成形駒3がXの位置にくる配置)に固定される。なお、コイルバネ21bは両端とも直線状に延長されたバネ材の部分を有する。コイルバネ21bの他端部のフック17は基台13bの内底面14bから突設された軸7bに掛合している。基台13bには図1の駒付き構造体2と同様の配置と目的で磁石22が取り付けられている。可動子4bの、成形駒3がYの位置からXの位置に戻る配置の変化の、復元力はコイルバネ21bの弾性によって生ずる。即ち、コイルバネ21bと、軸6b、軸7b、孔15とで成形駒3を可動子4bを介して付勢する付勢手段33bを構成する。
【0070】
本発明の駒付き構造体の又更に他の態様を図15に示す。図15の駒付き構造体2cは図1,図2に示す駒付き構造体2とほぼ同様の外観をしており、図15は図2のように蓋を外した状態の構造を示す。図15において、可動子4cの被支持部140cが板バネ21c(変形子108c)を介して基台13cの内壁に固定された支持台19c(支持部106c)に固定されている。板バネ21cは一端がネジ23cにより支持台19cに固定され、他端がネジ23cにより可動子4cの所定の位置に固定されている。符号124cは可動子4cを原位置(成形駒3がX´の位置にくる配置)に停止させる当接面であり、符号130cはその配置で当接面124cに当接する可動子4cの被当接面である。可動子4cは矢印の方向に押されると、Y´の位置に移動する。可動子4cの、成形駒3がY´の位置からX´の位置に戻る配置の変化の、復元力は板バネ21cの弾性によって生ずる。即ち、板バネ21cと、支持台とで成形駒3を可動子4cを介して付勢する付勢手段33cを構成する。
【0071】
なお、図15に示す駒付き構造体の態様においては、図1に示すような態様で可動子4cを磁石で吸着してもよい。磁石の面は当接面124cに設けてもよい。当接面及び被当接面を基台13cの内壁と可動子4cそれぞれに別途設けてもよい。
【0072】
図16に本発明の駒付き構造体の上述のものとは異なる他の態様を示す。図16の駒付き構造体2dにおいては、図2のように蓋を外した状態の構造を示す。図16において、可動子4dが軸6dに軸着している。バネ8dが可動子4dと基台13dとの間に配されている。
【0073】
符号124dは可動子4dを原位置に停止させる当接面であり、符号130dはその配置で当接面124dに当接する可動子4dの被当接面である。磁石22dが可動子4dに埋め込まれ、可動子4dの被当接面130dに露出し、原位置(図16に示す位置)で当接面124dを吸着している。可動子4dは成形駒3dの突出し方向と交差する型面150を有し、この型面150は、駒付き構造体2dの前面131dと面1で連なり、且つ雄型又は雌型の成形面の延長上に連なって形成体の面を形成する。
【0074】
本発明の駒付き構造体の更に又他の態様を図17の平面模式図に示す。図17の駒付き構造体2eは図1,図2に示す駒付き構造体2と同様の外観をしており、図17は図2のように蓋を外した状態の構造を示す。図17において駒付き構造体2eは、一端にアンダーカット部形成用の成形駒3eを有する可動子4eと、軸6と、バネ(コイルバネ)8と、基台13とを含んで構成される。可動子4eが軸6を介して基台13に軸着している。符号131は駒付き構造体2の前面であり、金型の成形面の一部を構成する。成形時には、可動子4eは原位置Xの位置にあり、成形・冷却後金型を開くときに駒付き構造体2eは矢印の方向即ち金型の開方向に型とともに移動し、成形駒3eの当り面37eが成形体により相対的に押されて、可動子4eがYの位置に移動する。当り面37eは、可動子4eの回転軸心と直交する面に関する断面の外形状が弓なりの弧状の凹みを有している。
【0075】
このような弧状の凹みを有する断面の外形状をした成形駒3eは、冷却後金型を開くときに成形体から極めて滑らかに引き抜かれ、成形駒を引き抜くときに成形体に引っ掛かったり成形体に損傷を与えることがほとんどない。弧の曲線の形状は、円弧であってもよい。楕円の弧であってもよい。2次曲線状であってもよい。多次曲線状であってもよい。
【0076】
又、当り面37eの、可動子4eの回転軸芯と直交する面に関する断面の外形状が略円弧状の凹みを有している場合は、成形駒3eの引き抜きは、更に滑らかに行われる。又更に、図17のように、当り面37eの前記断面を含む面上でみて、当り面37eの前記円弧状の部分に接し且つ前記円弧と同じ曲率を持つ接円TEの中心をKEとし、可動子4eの回転軸芯をCEとしたとき、KEとCEを結ぶ直線LEが金型の開閉方向と直交するように原位置において構成されたときに、成形駒3eの引き抜きは、最も滑らかに行われる。即ち、図17のような駒付き構造体2eの構成にあっては、前記成形駒が原位置に位置するとき、前記断面の外縁35の曲率中心CC(KE)が、前記軸の軸芯を通り且つ前記型の開閉方向と略直交する面(LP)上、に位置するような構成のとき、成形駒3eの引き抜きは、最も滑らかに行われる。
【0077】
なお、図17にあっては、基台13の前面131が型の開閉方向と略平行になるように構成されており、前面131と、前記KEとCEを結ぶ直線LEとが略直交するような構成のとき、即ち前面131と、前記KEとCEを結ぶ直線LEとの成す角度γが略90度であるように構成されたときに、成形駒3eの引き抜きは、最も滑らかに行われる。
【0078】
なお、本発明の駒付き構造体は発泡ポリスチレンの成形体に好適に用いられるが、成形体を構成する樹脂が軟質のものであればその他の樹脂の成形にも適用することが出来る。
【0079】
【発明の効果】
本発明の樹脂成形金型は、成形物を金型から取り外す際に外部からの駆動なしに成形駒が変位して、成形物に大きな力がかからず、かつ成形物と成形駒との係合が外れたときに成形駒が外部からの駆動なしに成形操作の前の位置に確実に復帰する、単純な構成の金型であり、発泡樹脂成形品の成形に好適に用いることが出来る。
【0080】
本発明の樹脂成形金型に用いられる、成形駒が備わった駒付き構造体は、型に着脱自在であり、不良の発生した駒付き構造体のみを操業の途中で容易に交換出来る。このため、成形作業の能率が良い。
【0081】
本発明の樹脂成形金型に用いられる、成形駒が備わった可動子を内蔵する駒付き構造体は可動子を加熱・冷却する蒸気、水に曝されることなく金型に配置出来るので、金型に特別のシール構造を必要とせず、且つ、この蒸気、水に起因する可動部の故障や腐蝕が少ない。
【0082】
本発明の樹脂成形方法は、成形物を金型から取り外す際に、成形物に損傷を与えることなく確実に成形物を金型から取り外すことのできる、単純な構成の金型を用いた主として発泡樹脂成形に好適な樹脂成形法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の構成を示す斜視説明図である。
【図2】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の構成を示す平面模式図である。
【図3】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の組み立ての様子を示す斜視説明図である。
【図4】発泡樹脂成形体の形状を示す要部斜視図である。
【図5】駒付き構造体が配置された本発明の樹脂成形金型の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の樹脂成形金型の駒付き構造体が配置された部分の構成を示す断面図である。
【図7】図6の樹脂成形金型のE−E´方向の断面図である。
【図8】本発明の樹脂成形金型の駒付き構造体が配置された部分の、図6とは異なる態様の構成を示す断面図である。
【図9】図8の樹脂成形金型のF−F´方向の断面図である。
【図10】発泡樹脂成形体の要部の形状を示す要部断面図である。
【図11】本発明に用いることの出来る樹脂成形金型の一般的な態様を示す要部断面図である。
【図12】駒付き構造体が配置された本発明の樹脂成形金型の態様を示す断面模式図である。図12(b)は、図12(a)と異なる配置の態様である。
【図13】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の他の態様を示す平面模式図である。
【図14】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の更に他の態様を示す平面模式図である。
【図15】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の又更に他の態様を示す平面模式図である。
【図16】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の更に又他の態様を示す平面模式図である。
【図17】本発明の樹脂成形金型に用いられる駒付き構造体の他の態様を示す平面模式図である。
【図18】従来の樹脂成形金型の態様を示す断面図である。
【符号の説明】
2、2a、2b、2c、2d、2e:駒付き構造体
3、3d、3e:成形駒
4、4c、4d、4e:可動子
6、6b、6d:軸
8、8d:バネ
10、18:受け部
22:磁石
33、33b、33c:付勢手段
37、37e:当り面
40:孔
58:水抜き孔
70、80:雌型
72、82:雄型
81:装着手段
106、106c:支持部
108:変形子
124、124c、124d:当接面
130、130c、130d:被当接面
131:前面(平行面)
134:底面
140、140c:被支持部
141、212、307:成形空間

Claims (11)

  1. 型の開閉方向と交差する方向に貫通孔または窪みからなるアンダーカット部を持った樹脂成形体を成形する樹脂成形金型であって、
    前記アンダーカット部を成形するための成形駒と、前記成形駒を前記開閉方向に垂直に回動可能に支持する支持手段と、付勢手段とを含み、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転して離型され、離型後前記付勢手段により原位置に復帰する駒付き構造を備え、
    該駒付き構造が、基台と、該基台に形成された当接面と、前記成形駒に連接する可動子に形成され原位置で前記当接面に突き当たって当接する被当接面と、磁石とを含み、前記成形駒が前記支持手段により前記基台に支持され、
    前記当接面原位置で前記当接面に前記磁石の作用で吸着されるように前記基台又は前記可動子に前記磁石が配されたことを特徴とする樹脂成形金型。
  2. 原位置において、前記型の開閉方向に対して鋭角方向に且つ一方の前記型からみて他方の前記型が離れる方向に向けて成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒が設けられ、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転してさらに鋭角に向きをかえ離型されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形金型。
  3. 前記付勢手段が、可逆的に変形する変形子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形金型。
  4. 前記駒付き構造を有する駒付き構造体が、前記型に着脱自在に固定され得ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂成形金型。
  5. 雄雌1組の型を含む樹脂成形金型に装着して、該型の開閉方向と交差する方向に貫通孔または窪みからなるアンダーカット部を有する成形体を成形するための駒付き構造体であって、
    前記アンダーカット部を成形するための成形駒と、前記成形駒を前記型の開閉方向に垂直に回動可能に支持する支持手段と、付勢手段と、を含み、前記樹脂成形金型に装着されたとき、離型時前記成形駒が前記樹脂成形体との接触により回転して離型され、離型後前記付勢手段により原位置に復帰し、
    更に、基台と、該基台に形成された当接面と、前記成形駒に連接する可動子に形成され原位置で前記当接面に突き当たって当接する被当接面と、磁石とを含み、前記成形駒が前記支持手段により前記基台に支持され、
    前記当接面原位置で前記当接面に前記磁石の作用で吸着されるように前記基台又は前記可動子に前記磁石が配されたことを特徴とする駒付き構造体。
  6. 前記成形駒が、該成形駒に連接された可動子を介して前記支持手段に支持され、且つ、該可動子を介して前記付勢手段により付勢されることを特徴とする請求項5に記載の駒付き構造体。
  7. 前記支持手段が軸を含み、前記可動子が該軸に軸着されていることを特徴とする請求項6に記載の駒付き構造体。
  8. 雄雌1組の型を含む樹脂成形金型を用いて、該型の開閉方向と交差する方向に貫通孔または窪みからなるアンダーカット部を有する樹脂成形体を成形する方法であって、
    成形駒を、成形時成形空間に突出させ、離型時前記樹脂成形体との接触により回転させて前記アンダーカット部から抜き、離型後付勢手段により原位置に復帰させ、そして、前記成形駒、又は前記成形駒に連接させた可動子を、所定の位置に配した当接面に磁力で吸着させて、前記成形駒を原位置に停留させることを特徴とする樹脂成形方法。
  9. 原位置において、前記型の開閉方向に対して斜め方向に且つ一方の前記型からみて他方の前記型が離れる方向に向けて前記成形空間に突出させた配置で、一方の前記型に前記成形駒を設けることを特徴とする請求項8に記載の樹脂成形方法。
  10. 前記付勢手段が、離型時に前記成形駒の回転で可逆的に変形する変形子を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の樹脂成形方法。
  11. 前記樹脂成形体が発泡樹脂成形体であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の樹脂成形方法。
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