JP4690583B2 - 紙類処理剤及び紙類の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙より選ばれた紙類に柔軟性、吸水性を付与することのできる紙類処理剤及び、その処理剤を用いた紙類の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙や紙製品、特にトイレットペーパーやティッシュペーパー等の家庭用の紙類には適度な柔軟性、吸水性が要求されている。このような要求に応えるため、従来より処理剤によって紙類を処理することが行われている。この種の紙類処理剤としては、グリセリン、脂肪酸エステル類、パラフィン類、第4級アンモニウム塩等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、グリセリンは多量に使用しないと、紙類に要求される柔軟性を付与することができず、多量のグリセリンを使用して紙類を処理すると、処理コストが高くつくという問題があった。また、脂肪酸エステル類、パラフィン類は、少ない使用量で紙類に適度な柔軟性を付与できる反面、紙類に要求される吸水性を低下させるという問題があった。更に第4級アンモニウム塩は皮膚刺激性が高く、安全性に問題があった。
【0004】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたもので、従来の紙類処理剤の欠点を解決し、紙類に柔軟性、吸水性を効果的に付与できる紙類処理剤及び紙類の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の紙類処理剤は、ペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙より選ばれた紙類に柔軟性、吸水性を付与するための紙類処理剤であって、下記(1)式によって示されるスルホコハク酸ジエステル塩を含有することを特徴とする。
【0006】
【化2】
Figure 0004690583
【0007】
また本発明の紙類の処理方法は、上記紙類処理剤により、ペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙より選ばれた紙類を処理し、スルホコハク酸ジエステル塩が、紙類中に0.01〜10.0重量%含有されるように処理することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の紙類処理剤に使用するスルホコハク酸ジエステル塩は、定法に従って製造したものを用いることができ、例えば無水マレイン酸1モル当たりに対し、アルコール類を反応させて得られるマレイン酸ジエステルと、亜硫酸水素塩とを反応させて得ることができる。
【0010】
マレイン酸ジエステルを得るためのアルコール類としては、脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、芳香族アルコール、脂環式アルコール等のアルコールのアルキレンオキサイド付加体を用いることができる。アルコールのアルキレンオキサイド付加体としては、炭素数8〜24の脂肪族飽和アルコールや脂肪族不飽和アルコールのアルキレンオキサイド付加体が用いられるが、なかでも炭素数が12〜24の脂肪族飽和アルコールや脂肪族不飽和アルコールのアルキレンオキサイド付加体がより好ましい。またアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられるが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。アルコールのアルキレンオキサイド付加体は、アルコールに対するアルキレンオキサイドの付加重合度が平均1〜20程度のものが好ましい。アルコールのアルキレンオキサイド付加体は、アルコールに2種以上の異なるアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物であっても良い。この場合、アルキレンオキサイドはランダムに付加しているものでも、ブロック状に付加しているものでも良い。アルコールのアルキレンオキシド付加体としては、炭素数12以上のアルコールに、エチレンオキシドを平均1〜20モル付加重合したものが、柔軟性、吸水性付与効果の点で好ましい。
【0011】
マレイン酸ジエステルは、無水マレイン酸1モル当たり、アルコール類2モルを反応させることにより得ることができるが、アルコール類は同一のものを反応させて得たものでも、異なるものを反応させて得たものでも良い。即ち、無水マレイン酸1モル当たり、同一のアルコール2モルを反応させたり、同一のアルコールのアルキレンオキサイド付加体2モルを反応させて得たものでも良く、無水マレイン酸1モル当たり、異なるアルコールを1モルづつ反応させたり、異なるアルコールのアルキレンオキサイド付加体を1モルづつ反応させて得たものでも良い。また無水マレイン酸1モル当たり、アルコール1モルと、アルコールのアルキレンオキサイド付加体1モルを反応させて得たものでも良い。
【0012】
マレイン酸ジエステルと亜硫酸水素塩とは、通常の蒸気反応により反応させることができる。亜硫酸水素塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、を用いることができるが、通常は亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、重亜硫酸水素ナトリウム、無水重亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。なお、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩の製造方法は上記方法に限定されるものではない。
【0013】
本発明の紙類処理剤は、上記スルホコハク酸ジエステルの塩を、水に溶解または分散した水溶液或いは乳化液として使用する。通常、有効成分を10〜90重量%程度含む水溶液、乳化液として使用する。本発明の紙類処理剤により紙類を処理するには、紙類に噴霧器によりスプレーする方法、含浸機により浸漬処理する方法等が挙げられるが、処理後の紙類中にスルホコハク酸ジエステルの塩が、固形換算で0.01〜10.0重量%含有されるように処理することが必要である。より好ましくは、処理後の紙類中のスルホコハク酸ジエステルの塩の含有率が、固形分換算で0.1〜5.0重量%となるように処理することである。紙類中のスルホコハク酸ジエステルの塩の含有率が0.01重量%未満では紙類に十分な柔軟性が付与されない。また、10.0重量%を超えると紙類の風合い等が悪くなる。
【0014】
本発明の紙類処理剤には、スルホコハク酸ジエステル塩の他に、更に必要に応じて他の成分、例えば鉱物油、脂肪酸エステル等の平滑剤、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)脂肪酸エステル等の乳化剤等を配合することもできる。
【0015】
本発明処理剤が処理対象とする紙類とは、ペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙等が挙げられる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0017】
実施例1〜
表1に示す処理剤有効成分を用い、その含有率が40.0重量%(2種以上の有効成分を含む場合には合計の含有率が40.0重量%)となるように、有効成分を水に溶解又は分散させて処理剤を調整した。
【0018】
【表1】
Figure 0004690583
【0019】
各処理剤を、柔軟処理を施していないティッシュペーパーに、付着量が表1に示す量(有効成分の固形分換算量)となるようにスプレー噴霧処理した後、24時間風乾させ、その後、更に恒温恒湿室(温度20℃、湿度65%RH)内で12時間以上放置し、含有水分率が平衡になった後、ティッシュペーパーの柔軟性、吸水性を評価した。結果を未処理のティッシュペーパーの場合とあわせて表1に示す。
【0020】
処理後のティッシュペーパーの柔軟性、吸水性は以下のようにして評価した。
柔軟性
被試験紙5枚を片手で握り、柔軟性の評価を行った。評価基準は以下の5段階とした。
5:非常に柔らかい。
4:柔らかい。
3:やや柔らかい。
2:柔軟剤を使用しない場合と同等。
1:柔らかくない。
【0021】
吸水性
処理後のティッシュペーパーにスポイトから水滴(イオン交換水)を滴下し、吸水状態を未処理のティッシュペーパーと比較して以下の基準で評価した。
○:未処理のものに比べて吸水性が良好となる。
△:未処理のものと同程度の吸水性。
×:未処理のものより吸水性が悪くなり、紙本来の吸水性が阻害される。
【0022】
比較例1〜9
表2に示す処理剤有効成分を用い、その含有率が40.0重量%(2種以上の有効成分を含む場合には合計の含有率が40.0重量%、また乳化剤を併用した場合には乳化剤も含めた合計の含有率が40.0重量%)となるように、有効成分を水に溶解又は分散させて処理剤を調整した。尚、有効成分が水溶性、自己乳化性に乏しい比較例7〜9については、表2に示す量のポリオキシエチレンアルキルエーテルを乳化剤として使用し、温水加水法により乳化して処理剤を調整した。乳化剤として、比較例7はポリオキシエチレン(30モル)ラウリルエーテルを、比較例8はポリオキシエチレン(20モル)ステアリルエーテルを、比較例9はポリオキシエチレン(8モル)セチルエーテルをを使用した。
【0023】
各処理剤を、柔軟処理を施していないティッシュペーパーに表2に示す付着量となるように噴霧処理した後、24時間風乾させ、その後、更に恒温恒湿室(温度20℃、湿度65%RH)内で12時間以上放置し、含有水分率が平衡になった後、ティッシュペーパーの柔軟性、吸水性を実施例と同様に評価した。これらの結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0004690583
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の紙類処理剤は、紙類に優れた柔軟性を付与できる。また従来の処理剤のように柔軟性を付与しようとすると紙類の吸水性が低下するという問題がなく、本発明の処理剤で処理した紙類は柔軟性、吸水性に優れる効果がある。

Claims (2)

  1. ペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙より選ばれた紙類に柔軟性、吸水性を付与するための紙類処理剤であって、下記(1)式によって示されるスルホコハク酸ジエステル塩を含有することを特徴とする紙類処理剤。
    Figure 0004690583
  2. 請求項1記載の紙類処理剤によりペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙より選ばれた紙類を処理し、スルホコハク酸ジエステル塩が、紙類中に0.01〜10.0重量%含有されるように処理することを特徴とする紙類の処理方法。
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