JP4688254B2 - 腫瘍ワクチン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍の再発予防、転移阻害、及び治療に有用な腫瘍ワクチンに関する。
【0002】
【従来の技術】
腫瘍ワクチン療法は、体内における免疫機能、なかでも細胞性免疫反応の中心的役割をはたすキラーリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球(以下、「CTL」と略す。)を活性化して、正常細胞を傷害することなく腫瘍細胞を特異的に殺し、腫瘍の再発を防止し、転移を阻害し、あるいは既存腫瘍の治癒を期待する療法である。
【0003】
腫瘍ワクチンとしては多種類が開発されている (Pardoll, D.M., Nature Med., 4(5 Suppl), pp.525-531, 1998)。大まかに分類すれば、腫瘍特異的なものとして、(1)すでに性状が明らかになっている腫瘍抗原ペプチドを用いるもの;(2)未同定の腫瘍抗原ペプチドが含まれる腫瘍組織の抽出液を用いるもの;(3)これらを抗原提示細胞、特に強力な抗原提示機能がある樹状細胞に結合させたもの (Nestle, F.O., et al., Nature Med., 4, pp.328-332, 1998);(4)樹状細胞に腫瘍抗原タンパクを取り込ませ負荷したもの;(5)樹状細胞と腫瘍細胞を融合させたもの;(6)腫瘍抗原をリポソームに結合させ、リポソームごと取り込ませるもの (Nakanishi, T., et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 240, pp.793-797, 1997);(7)腫瘍細胞そのものを放射線や固定剤で不活性化処理して投与するもの;(8)遺伝子治療法で、抗原提示細胞刺激効果あるいはリンパ球刺激効果があるサイトカイン遺伝子を腫瘍細胞に導入し、それをワクチンとして投与するもの、又は腫瘍抗原遺伝子を適切な細胞に導入し、その遺伝子を発現している腫瘍細胞をワクチンとして投与するもの;(9)腫瘍抗原遺伝子をウイルス又は細菌に組み込み患者に感染させるもの;(10)生きている腫瘍細胞、腫瘍抗原ペプチドあるいは腫瘍細胞抽出液を投与し、別途、サイトカインを大量投与するか(Rosenberg, S. A., et al., Nature Med., 4, pp.321-327, 1998)、あるいはサイトカインを徐放性に製剤化して投与するもの(Golumbek, P. T., et al., Cancer Res., 53, pp.5841-5844, 1993)などがある。
【0004】
しかしながら、上記の腫瘍ワクチンにはいずれも一長一短がある。例えば、方法(1)は、同定された腫瘍抗原ペプチドがあてはまる特定の主要組織適合抗原(以下、「MHC」と略し、Class Iの場合は「MHC-I」、Class IIの場合は「MHC-II」と記載する。)を発現する腫瘍にしか適用できない。ヒトのMHCの種類は膨大であり、当該腫瘍抗原ペプチドがあてはまる症例は極めて限定的である。この難点を克服するため、未同定の腫瘍抗原ペプチドが含まれる腫瘍組織の抽出液を使用する方法(2)が開発されたが、腫瘍組織から抽出できる腫瘍抗原ペプチドの量は極微量であり、原材料となる腫瘍量が少ない場合には濃縮できない場合が多い。この結果、同定され合成された腫瘍抗原ペプチドのように大量に投与できず、その効果も限定されてしまう。
【0005】
方法(3)のように、あらかじめ腫瘍抗原ペプチドを抗原提示細胞に結合させれば、CTLの活性化効果は高い。しかし、抗原提示細胞、中でも強力な抗原提示能力のある樹状細胞を分離調製するための抹消血や骨髄は、危険な移植片対宿主間拒絶反応(以下、「GVHD」と略す。)を避けるため、腫瘍ワクチン療法の適用対象である腫瘍を持つ患者本人からでなければならず、高度の技術を要し煩雑である。方法(4)及び(5)も方法(3)と同じ問題を有しており、方法(5)は融合操作が極めて煩雑である。方法(6)ではGVHDの危険性を配慮する必要はないが、腫瘍抗原の抗原提示細胞への導入効率は必ずしも高くはなく、また腫瘍ワクチン作製のため比較的大量の腫瘍抗原が必要である。
【0006】
方法(7)も腫瘍細胞を大量培養で取得するために煩雑でコストがかかるうえ、腫瘍細胞そのものに含まれる腫瘍抗原量が微量であるという問題がある。また、この方法は、抗原性の高い腫瘍細胞ではポリ-L-リジン処理を追加すれば成功する場合が知られているが(Naito, M. and Seno, S., Cell Biol. International Rep., 5, pp.675-681, 1981)、抗原性の低い腫瘍細胞では成功しない。方法(8)及び(9)の遺伝子治療は、治療操作はもちろん、治療に至る認可取得手続きが煩雑極まりない。現段階では方法(10)が有望であるが、特にRosenbergらの方法では、同時に投与される大量のインターロイキン-2の副作用が厳しく、必ずしも腫瘍の臨床成績は高くない。Golumbekらの方法でサイトカインを徐放製剤化した場合でも、放射線処理した生きている腫瘍細胞を調製する煩雑さが残っている。
【0007】
腫瘍ワクチンは極力簡便に取り扱える形態が望ましい。その点で、生きている腫瘍細胞または抗原提示細胞をワクチンの一部として投与する方法は、生かした状態での操作が必要なため、技術的に非常に煩雑になるという問題がある。まして遺伝子治療となれば操作は一段と煩雑である。腫瘍抗原ペプチドが判明している場合には、それを大量に合成して投与できるものの、腫瘍抗原ペプチドは非常に多くの種類があり、患者個人のMHCに拘束されるためもあって、どの腫瘍抗原ペプチドが対象となる患者個人に適用できるかが判然としない場合が多く、適用は限定される。腫瘍抗原ペプチドではなく腫瘍抗原タンパクを用いる場合には、そのタンパクが抗原提示細胞内で処理されMHCに合う腫瘍抗原ペプチドが選別されてくるため、適用される患者個人のMHCに拘束されることはないが、腫瘍抗原タンパク自体の精製及び大量調製が難しいという問題がある。
【0008】
一方、CTLの誘導方法として、病理切片を脱パラフィン処理して得た固定腫瘍組織の上で抹消血単核細胞分画からCTLを誘導する方法が知られている (Liu, S.Q. et al., Nature Med., 2, pp.1283-1283, 1996)。また、通常、溶解状態の抗原タンパクを抗原提示細胞に与えても、MHC-IIに抗原タンパク由来の抗原ペプチドが結合されて抗体作製につながる液性免疫を刺激する効果が高く、MHC-Iに抗原タンパク由来の抗原ペプチドが結合されキラー細胞を活性化する細胞性免疫反応を刺激する効果は低いが、Faloらは異種タンパクで強烈な抗原である卵白アルブミンを鉄粉に結合させて、アジュバントを加えずにマウスに注射し、卵白アルブミン由来の抗原ペプチドに反応するCTLを誘導した (Falo, Jr., L.D., et al., Nat. Med., 1, pp.649-653, 1995)。
【0009】
本発明者らは、溶解性の腫瘍抗原タンパクを微小なポリスチレンビーズ上に固定し、in vitro細胞培養系で、微小固形物としてヒト抹消血単核細胞分画中の抗原提示細胞に貪食させたところ、同一人の抹消血リンパ球から効率よくCTLを誘導できることを見出した (Kim, C., et al., Cancer Immunol. Immunother., 47, pp.90-96, 1998)。また、死細胞由来の抗原は、死細胞の状態で未成熟な樹状細胞に貪食された場合、免疫反応を惹起できる効率は、貪食されない場合に比べて数千倍に達することが知られている(稲葉:1998年12月2日、日本免疫学会、演題SI-3-3)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡便に取り扱うことができ、腫瘍の種類を問わずに再発防止、転移阻害、及び治療に適用できる汎用性を供え、しかも抗腫瘍効果が高い腫瘍ワクチンを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、腫瘍組織、腫瘍細胞、又はこれらの成分を固定操作により固体化した材料を用い、この材料を抗原提示細胞が貪食できる大きさに微粒子化するか、あるいは溶解操作により溶解し、さらに少なくとも一種類のサイトカインと組み合わせて腫瘍ワクチンとして用いることにより、高い有効率をもって腫瘍の再発防止、転移阻害、及び治療を達成できることを見出した。
【0012】
すなわち本発明は、腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製された微粒子と、少なくとも一種類のサイトカイン及び/又はサイトカイン誘導剤とを含む腫瘍ワクチン;並びに、腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製された溶解物と、少なくとも一種類のサイトカイン及び/又はサイトカイン誘導剤とを含む腫瘍ワクチンを提供するものである。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、非特異的に免疫反応を惹起するアジュバントをさらに含む上記腫瘍ワクチン;体内の同一局所に投与するための上記腫瘍ワクチン;サイトカインとして徐放性サイトカイン製剤を含む上記腫瘍ワクチン;及びサイトカインとして顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子及び/又はインターロイキン-2を含む上記腫瘍ワクチンが提供される。別の観点からは、少なくとも一種類のサイトカインと組み合わせて用いるための腫瘍ワクチンであって、腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製された微粒子又は該腫瘍材料から調製された溶解物を有効成分として含むワクチンが提供される。
【0014】
さらに別の観点からは、腫瘍の治療方法、再発予防方法、及び転移阻害方法であって、腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製された微粒子、及び少なくとも一種類のサイトカイン及び/又はサイトカイン誘導剤の有効量を患者に投与する方法;腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製された溶解物、及び少なくとも一種類のサイトカイン及び/又はサイトカイン誘導剤の有効量を患者に投与する方法;同一局所に繰り返し投与を行なう上記方法;並びに、上記腫瘍ワクチンの製造のための固体化された上記腫瘍材料から調製された微粒子又は溶解物の使用が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の腫瘍ワクチンは、腫瘍組織、腫瘍細胞、及びこれらの成分からなる群から選ばれる固体化された腫瘍材料から調製される微粒子又は溶解物を腫瘍抗原として含み、さらに少なくとも一種類のサイトカイン及び/又はサイトカイン誘導剤とを含むことを特徴としている。
【0016】
腫瘍細胞又は腫瘍組織としては、例えば哺乳類動物、好まくはヒト由来のもの用いることができるが、治療や予防の対象となる腫瘍の腫瘍抗原を含む細胞又は組織であれば、いかなる生物種のものを用いてもよい。腫瘍組織は、腫瘍細胞を含む組織であれば特にその種類は限定されない。また、腫瘍組織又は腫瘍細胞の成分を用いる場合には、腫瘍抗原となりうる物質を含むものであればその種類は限定されない。固形癌組織、骨髄、白血球など、生体から分離又は採取された癌細胞を含む生体試料を腫瘍材料として用いることができる。腫瘍組織又は腫瘍細胞の成分としては、例えば、抗原ペプチドや抗原蛋白を用いることができる。
【0017】
固体化された腫瘍材料を調製するための固定方法は特に限定されず、当業者に利用可能ないかなる手段を採用してもよい。例えば、組織固定剤を用いる場合には、中性ホルマリン、グルタールアルデヒド、メタノール、エタノール等のアルコール類等を用いることができるが、これらの他にも生体組織若しくは細胞、又はそれらの成分を固体化できる方法であればどのような方法を用いてもよい。腫瘍材料をパラフィン埋没や凍結などの方法により固体化してもよい。骨組織など本来固体状態の組織を固体化腫瘍材料として用いる場合にも、適宜の固定方法を行なうことが望ましい。
【0018】
微粒子の調製方法は特に限定されないが、例えば、固体化した腫瘍組織を破砕して微細な断片である微粒子を調製する方法のほか、腫瘍組織の破砕断片や腫瘍細胞を溶解して固体微粒子に固定する方法、又は抗原ペプチドや抗原タンパクなどの溶解性腫瘍抗原を固体微粒子に固定する方法などを採用することができる。固体微粒子としては、例えば、直径0.05ミクロンから1000ミクロン程度の鉄粉、炭粉、ポリスチレンビーズ等を用いることができる。また、組織の破砕断片、腫瘍細胞、又は溶解性腫瘍抗原をリポソーム等の脂質粒子に結合させ、抗原提示細胞が微粒子として認識して貪食し得るようにしたものや、溶解性腫瘍抗原自体を結合剤又は架橋剤によって相互に結合させて微粒子化したものを用いてもよい。
【0019】
微粒子の大きさは特に限定されないが、体内において貪食能力のある細胞が貪食可能なサイズであることが望ましい。本来微小な単個細胞状態の固定腫瘍細胞は特に破砕する必要はないが、細胞の固定化操作で凝集した場合には破砕又は分散処理を施すことが望ましい。破砕又は分散処理には、ホモジェナイザー処理、超音波処理、消化酵素による部分消化法等を用いることができる。また、空隙の大きさが1000ミクロン以下のメッシュ、好ましくは380ミクロン以下のメッシュを通過させることによって微粒子を調製することもできる。これらの微粒子の調製方法は当業者に周知であり、当業者は適宜の方法を単独で、又は複数の方法を組み合わせ微粒子を調製することができる。
【0020】
固体化された腫瘍材料から溶解物を調製する方法としては、例えば、タンパク分解酵素を用いる方法を採用することができる。タンパク分解酵素としては、例えばプロナーゼKが挙げられる。また、タンパク分解酵素以外の酵素、酸、又はアルカリ等を適宜組み合わせた方法でもよい。固体化された腫瘍材料を溶解できるものであればいかなる方法を採用してもよく、当業者が適宜の方法を選択することが可能である。溶解物を上記の固体微粒子に固定化してもよい。
【0021】
本明細書において用いられる「溶解物」という用語は、固体化された腫瘍材料が水、生理食塩水、緩衝液などの水性媒体中に肉眼で固形物が認められない程度に分散した状態を意味しており、その分散物が抗原提示細胞に貪食され得る程度のものであればよいが、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。なお、固定化された腫瘍材料の調製方法、微粒子の調製方法、及び溶解物の調製方法の詳細は本明細書の実施例に具体的に示されいるので、当業者は上記の一般的な説明及び実施例の具体的説明を参照しつつ、必要に応じてこれらの方法に適宜の修飾ないし改変を加え、所望の微粒子又は溶解物を調製することが可能である。
【0022】
本発明の腫瘍ワクチンに含まれるサイトカインの種類は特に限定されず、1種又は2種以上のサイトカインを用いることができる。例えば、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(以下、「GM-CSF」と略す。)又はインターロイキン-2(以下、「IL-2」と略す。)を用いることが好ましいく、GM-CSFとIL-2とを組み合わせて用いることも好ましい。また、体内局所の免疫担当細胞を刺激し、結果的にGM-CSF及び/又はIL-2を投与した場合と同様な状況を実現できる他のサイトカインやサイトカイン誘導剤を用いることもできる。これら2種類のサイトカイン以外のサイトカイン又はサイトカイン誘導剤としては、例えば、インターロイキン12、インターロイキン18、インターフェロン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
これらのサイトカインや誘導剤は、投与局所における濃度をなるべく長期間高い状態に保てるように徐放性製剤として調製されていることが好ましい。そのような徐放化手段は、例えばGolumbekらにより報告されているが (Golumbek, P. T., et al., Cancer Res., 53, pp.5841-5844, 1993)、当業界では種々の徐放化方法が知られており、いかなる方法を採用してもよい。
【0024】
本発明の腫瘍ワクチンは、非特異的免疫反応を惹起するアジュバントを含んでいてもよい。アジュバントは一種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アジュバントとして、例えば、Freund Complete Adjuvant、Freund Imcomplete Adjuvant、BCG等の細菌製剤、ツベルクリン等の細菌成分製剤、keyhole limpet hemocyanineや酵母マンナン等の天然高分子物質、Alum、TiterMax Gold等の合成アジュバント製剤等が挙げることができるが、これらの具体例に限定されることはなく、アジュバントとしての効果を有する物質であればいかなるものを用いてもよい。アジュバントを用いるか否かは、投与局所の炎症性反応の強さや、投与した結果として惹起される抗腫瘍効果の強さを指標として判断することができる。例えば、アジュバントを含む腫瘍ワクチンと、アジュバントを含まない腫瘍ワクチンを同一局所に交互に投与することも可能である。
【0025】
本発明の腫瘍ワクチンの製剤形態は特に限定されないが、局所投与に適するような製剤形態であることが望ましい。製剤化の方法も特に限定されず、当業界で利用可能な方法を単独で、又は適宜組み合わせて用いることにより、所望の形態の製剤を調製することができる。製剤化にあたっては、注射用蒸留水や生理食塩水などの水性媒体のほか、当業界で利用可能な製剤用添加物を1種又は2種以上用いることができる。例えば、緩衝剤、pH調節剤、溶解補助剤、安定化剤、無痛化剤、及び防腐剤などを用いることができるが、これらの具体的成分は当業者に周知されている。また、腫瘍ワクチンを凍結乾燥製剤などの固体製剤として調整し、用時に注射用蒸留水などの溶解剤を加えて注射剤を調製することもできる。
【0026】
本発明の腫瘍ワクチンを用いてワクチン療法を行なうにあたっては、腫瘍ワクチンの単回のみ投与してもよいが、腫瘍抗原とサイトカイン又はサイトカイン誘導剤とをなるべく長い時間共存させるために、体内の同一局所に投与を繰り返すことが望ましい。例えば、投与局所の炎症性反応が惹起され、免疫細胞が集中してそこに存続する状態となるように、両成分が3時間以上共存していることが望ましい。アジュバントを含まない腫瘍ワクチンを投与する場合には、アジュバントを同一局所に投与してもよい。一般的には、腫瘍材料の由来する患者に腫瘍ワクチンを投与することができるが、病理診断上、腫瘍材料に含まれる腫瘍抗原と同種又は近縁種の腫瘍抗原を含む腫瘍の患者に投与することも可能である。
【0027】
投与する局所は特に限定されないが、例えば皮内、皮下、筋肉内、リンパ節内、脾臓等の主要臓器内であって、サイトカイン等が簡単には拡散消失しにくい場所が好ましい。もっとも、腫瘍ワクチンの有効成分が容易に拡散しないような剤型を選択することにより任意の部位の局所投与が可能になる場合もあり、またドラッグ・デリバリ・システムを応用することによって全身投与が可能になる場合もある。本発明の腫瘍ワクチンの投与量及び投与期間は特に限定されないが、ワクチン療法の効果を確認しつつ、適宜投与量と投与期間を決定することが望ましい。投与は、例えば注射等により行なうことができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:本発明の腫瘍ワクチンの作用
抗原性が低いことが広く知られている同系移植マウス肝癌(Guo, Y. J., et al., Nat. Med. 3:451-5, 1997)を対象に、腫瘍抗原としての固定腫瘍細胞、GM-CSF、IL-2、及びアジュバントを組み合わせた腫瘍ワクチンが肝癌形成を阻害できるか否かを検討した。
[方法]
1.固定腫瘍細胞
C57BL/6に発症した肝癌細胞Hepa 1-6(理化学研究所細胞開発銀行より入手)を培養し、これをダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」と略す。)に溶解した3%パラホルムアルデヒド溶液で2時間固定した。固定細胞を70%アルコールで一度洗浄滅菌してから、無菌的にPBSで4回洗浄し、さらに10%のウシ胎児血清を含むダルベッコの最少必須培地(以下、「DMEM」と略す。)を加え、炭酸ガスインキュベーターにて、37℃で2日間インキュベートした。この培地を除去後、細胞層にポリ-L-リジン水溶液(50 μg/ml)を添加し、2時間室温放置した後、PBSで4回洗浄した。この後、細胞をスクレーパーでかきとり、PBSにて1.25×108個/mlに希釈した。固定Hepa 1-6細胞はすべて100ミクロン以下のサイズであり、貪食能力のある抗原提示細胞が貪食可能なサイズである。
【0029】
2.サイトカインマイクロスフェアの作製
マイクロフフェア化すべきサイトカインとしてマウスGM-CSFまたはヒトIL-2(いずれもImmunex社製)を用いた。ヒト血清アルブミン注射液(25%濃度のもの、Albuminar-25, Centeon L.L.C.製, Illinois, USA)を二回蒸留水で5%に希釈し、塩酸にてpH 3.0に合わせた。さらに2.5%に希釈してから、0.22ミクロンの孔径を持つフィルターを通して除菌した。100 μgのGM-CSF、または106国際単位のIL-2を5 ml-遠心管に加え、つぎに注射用ヘパリン溶液(病院用市販品で1000 単位/ml、Elkins-SINN, Inc, NJ, USA)を1 mlいれ、これをボルテックスミキサーで撹拌しつつ、上述の2.5%ヒト血清アルブミン注射液(pH 3.0)を1 ml添加した。30秒以上撹拌を続けた後、形成された微粒子を遠心して回収した。この上澄みから、包埋効率を算定した。
【0030】
微粒子のペレットを二回蒸留水2 mlに懸濁して、これに0.22ミクロンの孔径を持つフィルターを通し除菌した20 mg/mlの濃度の1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide(以後、「EDC」と略す。)溶液を0.8 mg/mlとなるように添加した。これを25℃で15分間保存、さらに無菌の2 mlの0.1M glycin溶液を添加した。25℃で30分間保存後、安定なマイクロスフェアが発生したこの懸濁液を、半径12 cmの水平ローターにて2000 rpm、10分間遠心し、マイクロスフェアを沈殿させて回収した。これに二回蒸留水を適量加え懸濁し、遠心操作を繰り返して計6回洗浄した。その後、20μl懸濁液に1μgの GM-CSF(106国際単位に相当)、または103国際単位のIL-2を含むように生理食塩水に懸濁させた。
【0031】
3.感作と腫瘍拒絶反応の測定
上記1.で調製した固定Hepa 1-6細胞、上記2.で調製したGM-CSFマイクロスフェアとIL-2マイクロスフェア、アジュバントとして市販されているTiterMax Gold(CytRX, Atlanta, Norcross, GA)を混合して腫瘍ワクチンとした。それぞれの量は腫瘍ワクチン0.05 mlにつき、順に1.25×106個、106単位、103国際単位、20μlである。これらの構成製剤の組み合わせを変えた腫瘍ワクチンも作製した。組み合わせは表1、表2、表3にそれぞれ記載した。
【0032】
腫瘍ワクチンを、Hepa 1-6細胞とは同系(syngeneic)の関係にある6-8週齢のC57BL/6雄マウス尾の付け根部位の皮内に、1匹あたり0.05 ml注射した。1群5匹とした。対照群の5匹のC57BL/6雄マウスにはPBSを0.05 ml注射した。7日後、この投与をもう一度同一部位に行い、さらに7日後、0.05 mlのPBSに懸濁した培養Hepa 1-6生細胞107個を直接肝臓内(最大肝葉の被膜直下)に注射した。この21日後、形成された肝癌組織のサイズを計測し、その容積を算出した。
【0033】
[結果]
表1に示すように、対照群では全てのマウスに肝癌ができ、癌組織の平均容積は270 mm3であった。これに対し、固定Hepa 1-6 細胞、アジュバントであるTiter Max Gold、IL-2マイクロスフェア、GM-CSF マイクロスフェアを含む腫瘍ワクチン処置群では5匹中4匹に全く腫瘍は認められず(表中では、tumor-freeマウスの割合で表現してある)、肝癌が観察された1匹ではわずか18 mm3の小さな腫瘍であった。腫瘍のワクチン療法の効果は明白である。
【0034】
【表1】
Figure 0004688254
【0035】
次に、腫瘍ワクチンの構成成分の組み合わせの重要性を判定するため、処置群のなかで腫瘍ワクチン成分を変化させた。表2にその結果を示す。対照群(A)と処置群(E)は表1の場合と同様な結果となり、再現性が認められた。
【0036】
【表2】
Figure 0004688254
【0037】
この表中、処置群(B)では、固定 Hepa1-6 細胞とアジュバントTiter Max Goldのみを含む腫瘍ワクチンでマウスを感作したが、Tumor-freeマウスは1匹も認められなかった。従って、併用すべきサイトカインの重要性は明らかである。処置群(C)では、固定 Hepa1-6 細胞とアジュバントTiter Max GoldのほかにIL-2マイクロスフェアのみを含む腫瘍ワクチンを用いたが、同様にtumor-freeマウスは1匹も認められなかった。しかし、発生した腫瘍サイズは全体として明らかに小さく、平均腫瘍容積は67 mm3であり、対照群(A)の1/6以下にすぎなかった。従って、IL-2マイクロスフェアの重要性は明らかである。また、処置群(D)では固定 Hepa1-6 細胞とアジュバントTiter Max GoldのほかにGM-CSFマイクロスフェアのみを含む腫瘍ワクチンを用いたが、マウス2匹がtumor-freeとなった。従って、GM-CSFマイクロスフェアの重要性は明らかである。しかしながら、tumor-freeマウスは処置群(E)のtumor-freeマウスの半数にとどまり、処置群(E)には及ばない成績となった。この結果から、サイトカインIL-2とGM-CSFの組み合わせが一層重要であることが判明した。
【0038】
さらに、腫瘍抗原としての固定腫瘍細胞の必要性を検討し、アジュバントの効果を算定するために、固定腫瘍細胞を含まない腫瘍ワクチン、またはアジュバントを含まない腫瘍ワクチンを作製し、その効果を比較した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0004688254
【0040】
表1と同じ対照群(A)と処置群(G)は表1の場合と同様な結果ではあるが、処置群(G)では5匹全部がtumor-freeマウスとなった。固定Hepa 1-6細胞を含まないがそれ以外は処置群(G)と同じくIL-2マイクロスフェアとGM-CSF マイクロスフェア、ならびにアジュバントTiter Max Goldを含む腫瘍ワクチンで処理された処置群(C)では、すべてのマウスに大きな肝癌(平均300 mm3)の生成が認められた。この結果から、固体微粒子状の腫瘍抗原が極めて重要であることが判明した。実際、処置群(E)に見られるように、PBSに固定Hepa 1-6細胞のみを加えた腫瘍ワクチンでも、1匹がtumor-freeとなった。これに対し、固定Hepa 1-6細胞、IL-2マイクロスフェア、GM-CSF マイクロスフェアを含むが、アジュバントTiter Max Goldを含まない処置群(H)では、4/5がtumor-freeマウスとなったものの、1匹では小さいながらはっきりした36 mm3の肝癌が生じた。従って、非特異的な免疫反応を惹起するアジュバントの効果も、十分配慮に値することが判明した。
【0041】
これらの結果から、Hepa 1-6細胞によるマウス肝癌の癌組織形成を阻止する腫瘍ワクチンとしては、固定Hepa 1-6細胞、IL-2マイクロスフェア、GM-CSF マイクロスフェア、アジュバントTiter Max Goldの組み合わせが、抗腫瘍効果を発揮するためには、最も効果的であると結論された。
【0042】
例2:固定腫瘍組織からの微粒子化腫瘍抗原の作製法
固定腫瘍細胞を含む固定腫瘍組織を破砕して、微細な固体化腫瘍抗原を調製した。
[方法]
例1において、対照群(A)のマウスに使用したHepa 1-6細胞と同量をマウス大腿部皮下に移植し、3週間後に生成された肝癌組織を摘出し、市販中性ホルマリン液に室温にて3日間浸漬して固定した。この組織を取り出し、眼科バサミにて径1 mm程度の細かいミンスとし、PBSを元の肝癌湿重量の10倍量加え、さらに氷冷しつつホモジェナイザー(ハイドルフ社製DIAX-600、6Gゼネレーターシャフト)にて30秒間ホモジェナイズした。このホモジェナイズは氷冷するために間隔を3分間以上あけながら5回繰り返した。このホモジェネート1.2 mlを1.5-mlエッペンドルフ遠心チューブにとり、エッペンドルフ微量高速遠心機にて15,000 rpm、3分間遠心し、packed volumeを計測した。計測は50 μl以上の水を入れた1.5-mlエッペンドルフ遠心チューブと比較して行った。また、残りのホモジェネートを半径12cmの水平ローターにて2000rpm、10分間遠心し、沈殿を得た。
【0043】
この沈殿を5 mlの70%アルコールに懸濁して洗浄、2000rpm、10分間遠心し上清を除去した後、元の容量のPBSに再度懸濁した。これを、当初40メッシュのステンレス金網(Sigma社製、S0770、空隙サイズ380ミクロン)を通過させた。通過した懸濁液1.2 mlを1.5-mlエッペンドルフ遠心チューブにとり、微量高速遠心機にて15,000 rpm、3分間遠心し、packed volumeを計測した。計測は一定量の水を入れた1.5-mlエッペンドルフ遠心チューブと比較して行った。
【0044】
[結果]
固定肝癌組織から得たホモジェネート中の組織断片は非常に細かく、上述のメッシュ通過後は、通常の22G規格以下の細い注射針を易々と通過できる微細さであった。回収細胞数は不明だが、回収packed volumeは目測にして明らかにHepa 1-6生細胞107個相当を越えており、上述のメッシュ通過前後のpacked volumeで計測した回収率は78%であった。このホモジェネートは固体化された腫瘍細胞断片を含み、腫瘍ワクチンとしての必要量は十分あるため、微粒子化腫瘍抗原として用いることが可能である。
【0045】
例3:In vitro誘導CTLの抗腫瘍効果
固定腫瘍細胞を標的としてCTLを誘導した場合の腫瘍細胞殺傷活性と特異性を検討した。
[方法]
1.固定腫瘍細胞
C57BL/6マウスに発症したメラノーマ細胞B16の亜株B16-F10(American Type Culture Collection (Bethesda, MA, USA)から入手)108ないし109個を10%ホルマリン液に漬け、4℃にて2ないし4週間固定した。これを70%エタノール30 mlで懸濁遠心洗浄後、さらにPBSにて3回懸濁遠心洗浄した。これを適量の10%ウシ胎児血清を含む細胞培養用MEM培地に懸濁し、37℃にて2〜3日加温するか、または60℃にて4時間加温した。さらにこれを遠心回収し(以下、この処理を行った細胞を「固定B16-F10細胞」という)、5×108個/mlとなるように懸濁した。
【0046】
2.In vitro感作と腫瘍細胞殺傷活性による抗腫瘍効果の測定
何も感作していないC57BL/6マウスの脾臓から、当業者に周知の方法により組織を軽く潰して脾臓細胞を得た。この大部分はリンパ球である。この4×107個を取り、2×106個の固定B16-F10細胞とともに、10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地にヒトIL-1β(167単位/ml), ヒトIL-2 (67国際単位/ml), ヒトIL-6 (134単位/ml)(いずれもImmunex社製のもの)を添加した培養液で10日間培養し増殖させた。この培養液を培養開始後3日目及び5日目に全交換し、以後は2日置きに半分交換した。こうして増殖したリンパ球をCTLとした。
【0047】
抗腫瘍効果測定として、in vitroでCTLの腫瘍細胞殺傷活性を測定した。細胞殺傷活性は、放射線照射をしていない生きているB16-F10細胞を標的細胞にして、標準的な測定法として広く知られている4時間Cr-51遊離法により測定した。また、比較のため、標的細胞として例1で述べたHepa 1-6細胞、American Type Culture Collection (Bethesda, MA, USA)から入手したLewis lung carcinoma細胞をB16-F10細胞の代わりに用いた。
【0048】
[結果]
図1にin vitro感作によって誘導したCTLの活性を示した。縦軸の % LysisはCTLによる標的細胞の殺傷活性を表している。また、横軸のE/T ratioは、4時間Cr-51遊離法による殺傷活性測定時のCTL数と標的細胞数の比である。B16-F10細胞を標的とした場合(□)はE/T ratioが10で約20%を殺傷した。この活性は、同じC57BL/6マウス由来である他の2種類の腫瘍細胞を標的とした場合よりも、明らかに高かった。この結果は、固定B16-F10細胞に対して誘導されたCTLは、同じC57BL/6マウス由来でありながら、他の2種類の腫瘍細胞よりも特異的に生きているB16-F10細胞を認識して殺す能力があることを示唆している。
【0049】
例4:溶解固定腫瘍細胞からの微粒子化腫瘍抗原の作製法とそのin vivo抗腫瘍効果
病理切片を材料にする場合には、例2で示した方法で微粒子化すると収量が悪く、腫瘍ワクチンの作製が困難になる場合がある。そのような場合には、以下のようにして固定腫瘍細胞を消化酵素で溶解し、これをマイクロスフェア製剤とし、サイトカインのマイクロスフェア製剤と組み合わせて腫瘍ワクチンを製造することができる。
[方法]
1.溶解固定腫瘍マイクロスフェアの作製法と腫瘍ワクチン製剤の作製法
固定B16-F10細胞を5×108個/mlとなるようにPBSに懸濁した。これにpronase K(Sigma社)を1 mg/mlとなるように添加し、56℃にて一夜加温した。3000 rpm, 10分間の遠心にて沈殿を除去し、上清を溶解B16-F10抗原とした。この上清に例1で用いたヒト血清アルブミン注射液を添加し、最終アルブミン濃度が2.5%となるように調製した。これ以下の操作は例1のGM-CSFマイクロスフェアの作製手順と同じとし、溶解固定腫瘍マイクロスフェアを作製した。最終的には80μlの生理食塩水に懸濁されたマイクロスフェアに含まれる腫瘍抗原量が107個の腫瘍細胞数に相当するように希釈した。これに、例1と同じ方法で調製したGM-CSFマイクロスフェア20μlを混合し、腫瘍ワクチン製剤とした。
【0050】
2.In vivo感作と腫瘍細胞チャレンジによる抗腫瘍効果の測定
B16-F10細胞とは同系(syngeneic)の関係にある6-8週齢のC57BL/6雄マウス(1群10匹)をエーテル麻酔し、26G注射針を使って腫瘍ワクチン製剤をマウスの大腿部の皮内に1匹あたり100μlを注射した。対照群にはPBSを同量注射した。腫瘍ワクチン投与を繰り返す場合は、隔週に同量の投与を繰り返した。初回の腫瘍ワクチン投与2週間後、腹部皮下に懸濁した培養B16-F10生細胞105個を注射した。抗腫瘍効果は残存tumor-freeマウスの%で算出した。
【0051】
[結果]
図2にはin vivo感作実験の結果を示した。対照群に比べて、腫瘍ワクチン製剤投与群の残存tumor-freeマウスは明らかに高い%を示した。特に、この腫瘍ワクチン製剤を3回投与した群では、観察期間が90日を越えてもなお半数のマウスがtumor-freeの状態を保っていた。この結果は、in vivoでも腫瘍ワクチン製剤投与によってB16-F10細胞に対するCTLが誘導され、そのため後から注射した生きているB16-F10細胞が殺傷され、半数のマウスで生着しなかったことを示唆している。また、この結果は、腫瘍の摘出手術後、その腫瘍細胞を用いて腫瘍ワクチン製剤を製造すれば、腫瘍の再発を防止できる腫瘍ワクチン療法が成立し得ることを示唆している。
【0052】
例5:溶解固定腫瘍細胞から作製した腫瘍ワクチン製剤のCTL誘導効果
例4で腫瘍ワクチンを投与した動物に、実際にin vivoでCTLが誘導されていることをin vitroで検証した。
[方法]
例4と同じ方法で腫瘍ワクチン製剤を投与したC57BL/6雄マウス、対照群のマウス、及び別種の対照群として、例4における腫瘍ワクチン製剤1回投与群の代わりに、X-線50Gyをあらかじめ照射した生きているB16-F10細胞107個とGM-CSFマイクロスフェア20μlを混合して対照腫瘍ワクチン製剤として投与した群のマウスを使用した。これらから脾臓と鼠径リンパ節を取り出し、組織を軽く潰してリンパ球を得た。これらのリンパ球を10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地にヒトIL-1β(167単位/ml), ヒトIL-2 (67国際単位/ml), ヒトIL-6 (134単位/ml)(いずれもImmunex社製のもの)を添加した培養液で7日間培養し増殖させた。この実験系は、培養期間中に固定B16-F10細胞による刺激を一切加えていない点で例3の系と異なっている。これによって、培養期間中にCTLが誘導される可能性はなく、体内で誘導されたCTL数に比例した数のCTLがin vitroで増殖すると期待できる。培養リンパ球の細胞殺傷活性は、放射線照射をしていない生きているB16-F10細胞を標的にして、標準的な測定法として広く知られている4時間Cr-51遊離法により測定した。
【0053】
[結果]
培養リンパ球と標的腫瘍細胞の比(E/T ratio)を変えて細胞殺傷活性を検討した。図3にその結果を示す。例4と同じ方法で腫瘍ワクチン製剤をin vivo投与したマウス由来のリンパ球による処理群では、殺傷された標的のB16-F10細胞の割合が明らかに高い。このリンパ球の腫瘍細胞殺傷活性は、CTLを誘導できることが明らかにされている既存の方法である別種の対照群(対照腫瘍ワクチン製剤を投与したマウス)由来のリンパ球の細胞殺傷活性とほぼ同等であった。この結果はマウス体内でB16-F10細胞に対するCTLが誘導されていることを示唆している。また、この結果から、CTLには高い腫瘍細胞殺傷能力があるが故に、一旦CTLが誘導されれば、in vivoでも既存の腫瘍細胞を殺せると推定され、腫瘍の転移防止、腫瘍の治癒が期待できる。
【0054】
例6:溶解固定腫瘍細胞から作製した腫瘍ワクチンのCTL誘導効果-HA-20細胞を用いた場合
本発明により誘導され得るCTLが、抗原とした腫瘍B16-F10細胞一種に限定されるものではないことを確認した。
[方法]
HA-A20細胞はBalb/cマウス由来のBリンパ腫細胞株である。この細胞を遺伝子操作により改変したGM-CSF-HA-A20細胞は、influenza-hemagglutininとマウスGM-CSFの二つの遺伝子の発現ベクターを導入した安定細胞株で、古典的なGM-CSF産生性生細胞型腫瘍ワクチンとして研究材料になっている (Levitsky,H.I., et al., J. Immunol., 156, pp.3858-3865, 1996)。B16-F10細胞の代わりに野生型HA-A20細胞を用い、例4と同様な方法で、GM-CSFマイクロスフェア20μlを混合した腫瘍ワクチン製剤を作製し、Balb/cマウスの感作に使用した。このとき、対照群としてPBS投与群、X-線50Gyをあらかじめ照射した生きているHA-A20細胞107個投与群、GM-CSFマイクロスフェアを混合していない腫瘍ワクチン製剤投与群、ならびにX-線50Gyをあらかじめ照射した生きているGM-CSF-HA-A20細胞107個投与群を作製した。
【0055】
Balb/cマウスの感作は例4の場合と同じく1回投与により行なった。そして、B16-F10細胞の代わりに野生型HA-A20細胞を用い、例5の場合と同じ方法でHA-A20細胞に対するCTL活性を測定した。また、典型的CTLの細胞表面抗原として知られるマウスCD8に対するモノクローナル抗体(Sigma社製、Product No. F7525、5μg)を、標準的な測定法として広く知られている4時間Cr-51遊離法により測定する際に同時に96ウエルプレート中の各ウエルに添加した試験も併行して行った。
【0056】
[結果]
図4に示すように、対照群のうち、PBS投与群、(X-線50Gyをあらかじめ照射した生きている)HA-A20細胞投与群、GM-CSFマイクロスフェアを混合していない腫瘍ワクチン製剤投与群では細胞殺傷活性がほとんど認められなかった。一方、GM-CSFマイクロスフェア20μlを混合した腫瘍ワクチン製剤投与群では明らかな標的の野生型HA-A20細胞殺傷活性があり、この強さは古典的なGM-CSF産生性生細胞型腫瘍ワクチンとして知られる(X-線50Gyをあらかじめ照射した生きている)GM-CSF-HA-A20細胞投与群とほぼ同様であった。しかも、E/T ratioを64として、マウスCD8に対するモノクローナル抗体を添加した場合、図5に示すように、細胞殺傷活性は明らかに阻害された。これは細胞殺傷活性がCD8陽性リンパ球、すなわち典型的CTLが含まれるリンパ球群によるものが大部分であることを示唆している。
【0057】
例7:例2で作製した固定腫瘍組織からの微粒子化腫瘍抗原によるin vivo抗腫瘍効果
[方法]
例2において作製した微粒子化腫瘍抗原でパックトボリュームにして 10μl分を、例1において用いた固定腫瘍細胞 1.25×106 個の代わりに用いて、例1の表1の実験と同様の実験を行い、in vivo抗腫瘍効果を測定した。ただし、培養 Hepa 1-6生細胞をチャレンジする時は、例1では直接肝臓内に107個を注射したが、本実施例では左後肢皮下に2×107 個を注射し、腫瘍組織の成長速度を体外から計測した。しかも腫瘍のサイズの表し方は、当該研究分野の慣例に従って、容積ではなく皮下腫瘍の面積で表した。また同時に、同じ実験の中の1群として、アジュバントとして Titer Max Gold 20μlではなく、市販のツベルクリン(日本ビーシージー製造株式会社)20μlを代わりに用いた群を作製した。
【0058】
[結果]
表4に示すように、対照群は3週間でHepa 1-6生細胞をチャレンジした6匹すべてのマウスに腫瘍を形成した。しかし、処置群のうち、例1の表1の(B)群に対応する、固定腫瘍細胞の代わりに微粒子化腫瘍抗原を用いた群では、6匹中3匹のマウスに腫瘍を形成しただけであり、3匹(50%)で抗腫瘍効果が観察された。また、この微粒子化腫瘍抗原群でアジュバントをツベルクリンとした群では6匹中わずかに1匹のマウスに腫瘍を形成しただけであり、抗腫瘍効果は83%に高まった。
【0059】
これらの結果から、癌組織形成を阻止する腫瘍ワクチンとしては、固定腫瘍組織から作製した微粒子化腫瘍抗原、IL-2マイクロスフェア、GM-CSFマイクロスフェア、アジュバントとしてTiter Max Goldもしくはツベルクリンの組み合わせでも、抗腫瘍効果を発揮するために十分効果的であると結論された。
【0060】
【表4】
Figure 0004688254
【0061】
【発明の効果】
本発明の腫瘍ワクチンは簡便に製造でき、腫瘍の種類を問わずに再発防止、転移阻害、及び治療に適用できる汎用性を有しており、しかも抗腫瘍効果に極めて優れているという特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の腫瘍ワクチンを用いてインビトロ感作により誘導したCTLの活性を示した図である。図中、縦軸の % LysisはCTLの標的細胞の殺傷活性を示し、横軸のE/T ratioは4時間Cr-51遊離法による殺傷活性測定時のCTL数と標的細胞数の比を示す。また、□はB16-F10;△はHepa1-6;▲はLewis lug carcinomaを示す。
【図2】 例4において溶解固定腫瘍細胞を用いて製造した腫瘍ワクチンによるインビボ感作実験の結果を示した図である。図中、○はPBS対照群;□は腫瘍ワクチン1回投与群;■は腫瘍ワクチン3回投与群を示す。
【図3】 例5において、培養リンパ球と標的腫瘍細胞の比(E/T ratio)を変えて細胞殺傷活性を検討した結果を示した図である。図中、●はPBS対照群;■は腫瘍ワクチン投与群;□は別種の対照群(X線50Gyを予め照射した生きているB16-F10細胞+GM-CSFマイクロスフェア投与群)を示す。
【図4】 例6において用いた各種の腫瘍ワクチンの細胞殺傷活性の結果を示した図である。図中、●はPBS投与群;○はHA-A20細胞投与群;□はGM-CSFマイクロスフェアを混合していない腫瘍ワクチン投与群;▲はX線50Gyを予め照射した生きているGM-CSF-HA-A20細胞投与群;△はGM-CSFマイクロスフェアを混合した腫瘍ワクチン投与群を示す。
【図5】 本発明の腫瘍ワクチンによる細胞殺傷活性が、マウスCD8に対するモノクローナル抗体により阻害される結果を示した図である。

Claims (4)

  1. 10%のホルマリン液で固体化された腫瘍組織及び腫瘍細胞からなる群から選ばれる腫瘍材料から調製された微粒子と、サイトカインとして顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子とを含む腫瘍ワクチン。
  2. 該微粒子が該腫瘍材料から調製された溶解物から調製された微粒子である請求項1に記載の腫瘍ワクチン。
  3. サイトカインとして徐放性顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子製剤を含む請求項1又は2に記載の腫瘍ワクチン。
  4. さらにアジュバントとしてBCGの細菌製剤を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の腫瘍ワクチン。
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