JP4687038B2 - 燃料電池用電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用電解質膜の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、カルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示すものである。燃料電池は、通常、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟持した基本構造を有する単セルを複数積層して構成されており、中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、ナフィオン(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜や、スルホン酸基、リン酸基等のプロトン伝導性基を側鎖に有する炭化水素系高分子膜、ポリベンゾイミダゾール等の高分子膜に酸等のプロトン伝導性化合物をドープさせたもの等が知られている。
しかし、パーフルオロカーボンスルホン酸膜はプロトンの移動に水を伴うため、常に膜の含水率を高く保つ必要があり、100℃以上のような高温域ではプロトン伝導性を高く保つことが困難である。また、フッ素系樹脂を材料とするため高価であり、燃料電池のコスト削減を阻む要因の一つである。
一方、スルホン酸基等のプロトン伝導性基を側鎖に有する炭化水素系高分子膜は、安価に製造することが可能であるが、プロトン伝導度が不十分なことが指摘されている。しかも、プロトン伝導性を向上させるためにプロトン伝導性基の導入量を増加させると、膜自体が水溶性となったり、膜の強度が著しく低下するという問題がある。
酸等のプロトン伝導性化合物をドープしたポリベンゾイミダゾール膜等の高分子電解質膜は、膜にドープしたプロトン伝導性化合物を介してプロトン伝導が行われると考えられており、パーフルオロカーボンスルホン酸膜とは異なってプロトン移動に水を伴わない。そのため、膜の含水率によってプロトン伝導性が影響されにくい。
このような酸等のプロトン伝導性化合物をドープした高分子電解質膜として、例えば、イミダゾール環を有する高分子化合物に、無機酸の水素原子をフェニル基を有する官能基で置換した酸をドープしてなる高分子電解質膜が特許文献1に記載されている。また、予めプロトン伝導性化合物をドープさせた高分子膜に放射線を照射することによって、プロトン伝導性を向上させる試みも行われており、例えば、予め芳香族高分子化合物膜をプロトン伝導性物質と接触させ、膜中にプロトン伝導性物質を保持させた高分子膜に、放射線を照射したもの(特許文献2)や、スルホン酸基を含有する高分子化合物からなるフィルムに放射線を照射して得られるもの(特許文献3)等が提案されている。
特開2000−38472号公報 特開2003−288916号公報 特開2003−68327号公報
しかしながら、従来の方法ではプロトン伝導性化合物の高分子膜へのドープ量が不十分であり、特許文献2や特許文献3に記載の燃料電池用膜のように、プロトン伝導性化合物をドープした後に放射線を照射して改質する場合でも、プロトン伝導性を向上させる効果は最初にドープした量に制限されてしまう。また、従来の固体高分子電解質膜では、プロトン伝導性を向上させるために高分子膜にドープさせるプロトン伝導性化合物の量を増加させると、膜の機械的強度が著しく低下するという問題があった。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、プロトン伝導性に優れると同時に、膜の機械的強度を保持することが可能な燃料電池用電解質膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明により提供される燃料電池用電解質膜の製造方法は、酸素存在下で塩基性固体高分子膜に放射線を照射する工程と、放射線を照射した塩基性固体高分子膜に強酸をドープする工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、予め塩基性固体高分子膜に放射線を照射することによって、塩基性固体高分子膜に対する強酸のドープ量を増加させることができる。しかも、放射線を照射することによって、塩基性固体高分子膜の化学構造に変化が生じるため機械的強度が大きくなる。
また、本発明によれば、強酸を用いることによって、高いプロトン伝導性を発現し、且つ塩基性固体高分子膜へドープしやすくなるという利点がある。
前記放射線としては、γ線、電子線又はイオンビームから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
前記塩基性固体高分子膜としては、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールよりなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。
前記強酸としては、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの酸を用いることが好ましい。
本発明によれば、プロトン伝導性化合物のドープ量が多く、且つ、機械的強度に優れた電解質膜を得ることができる。
従って、本発明により得られる電解質膜は、優れたプロトン伝導性を示すものである。充分量のプロトン伝導性化合物がドープされていることから、60℃以下のような低温下においてもプロトン伝導性は保持される。また、この電解質膜は、塩基性固体高分子膜にプロトン伝導性化合物をドープさせたものであるから、プロトン伝導性が電解質膜内の水分量に依存せず、無加湿下においてもプロトン伝導性を発現するため、電解質膜内に水分を保持しにくい150℃以上のような高温領域においてもプロトン伝導性を発現することができる。
しかも、本発明により得られる電解質膜は、高い機械的強度を有しているため、高温領域下における電池作動においても膜形状を保つことができる。従って、本発明の燃料電池用電解質膜は、低温から高温領域にわたる広い温度範囲において使用することが可能であり、高いプロトン伝導性を示すものである。
本発明の燃料電池用電解質膜の製造方法は、酸素存在下で塩基性固体高分子膜に放射線を照射する工程と、放射線を照射した塩基性固体高分子膜にプロトン伝導性化合物をドープする工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、塩基性固体高分子膜に、プロトン伝導性化合物をドープさせる前に、まず、放射線を照射することを特徴とする。
塩基性固体高分子膜は、プロトン伝導性化合物をドープすることが可能であり、このドープによりプロトン伝導性を発現し、また、放射線照射により架橋することができ、さらに、燃料電池の作動温度範囲において安定であれば、特に限定されない。塩基性固体高分子膜としては、例えば、ベンゾイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、チアジアゾール、オキサゾール、チアゾール、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の繰り返し単位を含む塩基性高分子化合物を含有するものを用いることができ、好ましいものとして、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノリン、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリオキサゾール、ポリチアゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール等の塩基性高分子化合物を含有するものを挙げることができる。これらの塩基性固体高分子化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
塩基性固体高分子化合物としては、後述するプロトン伝導性化合物(一般的に、酸性化合物)をより強くドープする観点から、強い塩基性を有するものが好ましく、また、より多くのプロトン伝導性化合物をドープする観点から、プロトン伝導性化合物のドープ点密度が高いものが好ましい。
上記塩基性高分子化合物のうち、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等が好ましく、特に、ポリベンゾイミダゾールが好ましい。ポリベンゾイミダゾールは強い塩基性を有するN−H基を有しているため、プロトン伝導性化合物がドープしやすく、プロトン伝導性化合物のドープ量が多いため、プロトン伝導性に優れた電解質膜を得ることができる。ポリベンゾイミダゾールとしては、具体的には、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ピリジレン−3”,5”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(フリーレン−2”,5”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ナフチレン−1”,6”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−(ビフェニレン−4”,4”)−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−アミレン−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,2’−オクタメチレン−5,5’−ビベンゾイミダゾール、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)−ジイミダゾールベンゼン、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ビベンゾイミダゾール)エーテル、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルフィド、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)スルホン、ポリ−2’,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ジ(ベンゾイミダゾール)メタン、ポリ−2’,2”−(m−フェニレン)−5,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−プロパン−2,2、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5’,5”−ジ(ベンゾイミダゾール)−エチレン−1,2等が挙げられる。
塩基性固体高分子膜は、上記した塩基性高分子化合物の他、必要に応じて、例えば、リン酸ジルコニウム等の固体酸を含有してもよい。
塩基性固体高分子膜の製造方法は、特に限定されるものではなく、一般的に用いられている方法によって製造すればよく、また、市販品を使用してもよい。塩基性固体高分子膜の膜厚は、膜の機械的強度や、燃料及び酸化剤の透過性等を考慮した範囲内で薄いほど、プロトン伝導性の点から好ましく、通常10〜200μm程度とすればよく、好ましくは30〜100μm程度する。
本発明は、以上のような塩基性固体高分子膜に、プロトン伝導性化合物をドープする工程の前に、酸素存在条件下、塩基性固体高分子膜に放射線を照射することを特徴とするものである。酸素存在下、塩基性固体高分子膜に放射線を照射することによって、塩基性固体高分子膜の一部が酸化され、この酸化された部分が酸性化合物等のプロトン伝導性化合物の吸着点となるため、塩基性固体高分子膜のプロトン伝導性化合物をドープする能力を増大させることができると推測される。その結果、本発明の製造方法により得られる燃料電池用電解質膜は、予め放射線を照射していない塩基性固体高分子膜より多くのプロトン伝導性化合物をドープすることが可能となり、高いプロトン伝導性が得られる。さらに、放射線照射により、固体高分子鎖間に架橋構造が形成され、高次構造が変化するため、塩基性固体高分子膜の機械的強度を向上させることができ、プロトン伝導性化合物のドープ量の増加に伴う膜の強度低下を防止し、燃料電池作動条件下においても膜形状を維持することができると考えられる。
放射線の照射雰囲気は、酸素が存在していればよいが、プロトン伝導性化合物の吸着点の増加及び塩基性固体高分子膜の酸化による劣化を考慮して、酸素濃度は10〜50vol%程度とすることが好ましく、空気中での照射でもよい。
放射線の種類は特に限定されないが、γ線、電子線、イオンビーム等が好ましい。
放射線の照射量は、用いる塩基性固体高分子膜の種類や膜厚、プロトン伝導性化合物の種類やドープ時に使用する酸性化合物等のプロトン伝導性化合物溶液の濃度等によって異なるが、通常、10〜100Mradの範囲内とすればよい。塩基性固体高分子膜として、膜厚30〜100μm程度のポリベンゾイミダゾール(詳しくは、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’ビベンゾイミダゾール)を用いる場合には、10〜50Mrad程度の照射量が好ましい。放射線照射量を10Mrad以上とすることによって、充分な放射線照射の効果を得ることができ、一方、50Mrad以下とすることによって、放射線照射による膜の過剰な酸化や特性の低下を予防することができる。
放射線照射の際には、照射雰囲気や塩基性固体高分子膜そのものを加熱することもでき、適宜最適な温度設定をすればよい。
次に、上記のようにして放射線を照射した塩基性固体高分子膜にプロトン伝導性化合物をドープさせる。
プロトン伝導性化合物を塩基性固体高分子膜にドープさせる方法は、特に限定されるものではなく、塩基性固体高分子膜に酸性化合物等のプロトン伝導性化合物を接触させればよい。典型的には、塩基性固体高分子膜をプロトン伝導性化合物を含む溶液に浸漬する方法(浸漬法)が挙げられる。また、プロトン伝導性化合物を含む溶液を塗布する方法(塗布法)でもよい。
プロトン伝導性化合物としては、例えば、酸性化合物、特に、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の強酸が挙げられる。強酸の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は、塩基性固体高分子膜の塩基性部位へのドープ力が強く、また、高温条件下でも安定且つ優れたプロトン伝導性を発現するからである。
これらのプロトン伝導性化合物を含む溶液(ドープ溶液)は、上記したようなプロトン伝導性化合物を、例えば、水、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等の溶剤に溶解させたものを用いることができる。ドープ溶液中のプロトン伝導性化合物濃度は、使用するプロトン伝導性化合物やプロトン伝導性化合物をドープさせる塩基性固体高分子膜、放射線照射量によって異なってくるが、30〜85vol%程度とすることが好ましい。プロトン伝導性化合物濃度が30vol%より小さいドープ溶液では、プロトン伝導性化合物の塩基性固体高分子膜へのドープ量が小さく、充分なプロトン伝導性を有する電解質膜が得られないおそれがある。
より多くのプロトン伝導性化合物をドープさせるためには、ドープ溶液中のプロトン伝導性化合物の濃度は高い方が好ましい。しかしながら、従来のように放射線未照射の状態で浸漬法によるドープを行う場合には、プロトン伝導性化合物濃度が高い、典型的には、酸性の強い溶液を用いると、膜自体がこの溶液に溶解してしまう場合があること、また、酸性化合物分子の分散性が低いため、塩基性固体高分子膜に酸性化合物が吸着しにくいという問題があることから、プロトン伝導性化合物濃度が85vol%のような高濃度溶液を用いることは難しかった。それに対し、予め放射線を照射させた膜は、プロトン伝導性化合物濃度が85vol%のような高濃度溶液を用いても溶解せずに、より多くのプロトン伝導性化合物をドープすることができる。
浸漬法では、放射線を予め照射しておいた塩基性固体高分子膜を、通常、室温(約20〜25℃)で、プロトン伝導性化合物を含む溶液中に24〜72時間程度浸漬し、メタノール等で洗浄、その後50〜80℃程度で乾燥すればよく、適宜最適な条件に設定することができる。
以上のようにして得られる電解質膜は、プロトン伝導性化合物のドープ量が多く、本発明によれば、ポリベンゾイミダゾール(PBI)膜に、リン酸をドープさせた場合、PBI単位当たりのリン酸のドープ量を6.6mol以上とすることが可能である。従って、本発明により得られる燃料電池用電解質膜は、プロトン伝導性に優れるものである。
また、多くのプロトン伝導性化合物をドープしていることから、低温領域(例えば60℃以下)においても、プロトン伝導性化合物を保持することが可能である。しかも、本発明の電解質膜は、塩基性固体高分子膜にプロトン伝導性化合物をドープさせたものであり、プロトン伝導性が電解質膜内の水分量に依存しないので、電池運転時の水分管理を要せず、無加湿下においても高いプロトン伝導性を発現する。よって、電解質膜に水分を保持しにくい高温領域(例えば150℃以上)においてもプロトン伝導性を発現することができる。さらに、高い機械的強度を有しているため、高温領域下における電池作動においても膜形状を保つことができる。従って、本発明の燃料電池用電解質膜は、低温から高温領域にわたる広い温度範囲において使用することが可能であり、高いプロトン伝導性を示すものである。
また、無加湿下でも運転可能であることから、メタノール等のアルコール透過性が低く、直接メタノール型燃料電池の電解質膜としても好適である。
本発明により得られる燃料電池用電解質膜は、一般的な固体高分子電解質膜のように、通常、その両面に触媒層とガス拡散層とからなる電極により挟持し、さらにその外側に、燃料及び酸化剤流路が画成されたセパレータを設けることによって燃料電池用セルを構成することができる。
燃料としては、水素ガスや水素を発生させるガス等のガス状燃料、及びメタノール等のアルコール水溶液等の液体状燃料を用いることができ、酸化剤としては、空気等の酸素を含むガス状酸化剤を用いることができる。
<燃料電池用電解質膜(PBI膜)の作製>
ポリベンゾイミダゾール(PBI)(ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’ビベンゾイミダゾール)5gをジメチルアセトアミド(DMAc)溶液45mlと混合し、支持体上に流延塗布し、80℃で72時間乾燥させた。その後、真空乾燥を48時間行い、膜厚75μmのPBI膜を得た。
得られたPBI膜に60Coを線源とした放射線を照射(線源からの距離0.5cm)し、放射線照射量の異なるサンプルA〜Eを得た。放射線照射量は、下記式(1)より求めた線量より算出した。サンプルA〜Eの放射線照射量を表1に示す。
Figure 0004687038
Figure 0004687038
<リン酸ドープ量の評価>
得られたサンプルA〜Eを34、51、68vol%のリン酸/メタノール溶液及び85vol%リン酸水溶液に3日間浸漬し、その後エタノールで洗浄、常圧下、50℃で48時間乾燥した。続いて、50℃で48時間減圧乾燥した後、サンプルA〜Eにリン酸をドープしてPBI/リン酸複合膜を得た。リン酸のドープ量は、ドープ前後の膜重量を測定して求めた。表2にサンプルA〜Eのリン酸ドープ量、また、図1に放射線照射量とリン酸ドープ量との関係を示す。
Figure 0004687038
放射線を照射していないサンプルAは、68vol%リン酸/メタノール溶液に浸漬したときにリン酸ドープ量が最大となり、3.3mol/unitのリン酸をドープした。また、85vol%リン酸水溶液に浸漬したところ、ほとんどリン酸をドープすることができなかった。
一方、放射線を照射したサンプルB(照射量16Mrad)及びC(照射量34.5Mrad)は、サンプルAと比較して、どの濃度のリン酸溶液を用いた場合においてもリン酸ドープ量が多く、特にサンプルCは85vol%リン酸水溶液に浸漬したところ、6.6mol/unitのリン酸をドープし、サンプルAの2倍以上のリン酸ドープ量を示した。放射線照射量が多めのサンプルD(照射量47.2Mrad)及びサンプルE(照射量72.5Mrad)は、低濃度のリン酸溶液(34〜51vol%リン酸/メタノール溶液)を用いた場合に、サンプルAよりもリン酸ドープ量が少なくなったが、68vol%リン酸/メタノール溶液及び85vol%リン酸水溶液に浸漬した場合には、サンプルAよりもリン酸ドープ量が高くなった。
この結果から、放射線を照射することによって、PBI膜のリン酸ドープ量を増加できることがわかる。また、放射線照射量が多すぎる場合、リン酸濃度が低い溶液では、未照射膜よりリン酸ドープ量を増加させることができず、リン酸濃度の高いリン酸溶液を用いることによってドープ量を増加させることができることがわかる。
また、サンプルAは、85vol%リン酸水溶液ではほとんどリン酸をドープすることができなかったのに対して、サンプルB〜Eは、高いリン酸ドープ量を示した。
<プロトン伝導度の評価>
上記リン酸ドープ量の評価において、放射線未照射PBI膜(サンプルA)のうち最も多くのリン酸をドープした膜(未照射膜サンプルAを68vol%リン酸/メタノール溶液に浸漬したもの。以下、サンプルA68とする)、及び、放射線照射PBI膜(サンプルB〜E)のうち、最も多くのリン酸をドープした膜(照射膜サンプルCを85vol%リン酸水溶液に浸漬したもの。以下、サンプルC85とする)について、プロトン伝導度を測定した。
(プロトン伝導度の測定)
インピーダンスアナライザー(横河ヒューレットパッカード(株)製、YHP4192A)を用いて、無加湿下、測定温度(60〜160℃)を変えて、サンプルA68及びサンプルC85のプロトン伝導度を測定した。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、全測定温度範囲に渡ってサンプルC85の方がサンプルA68よりも高いプロトン伝導度を示し、各測定温度においてサンプルC85のプロトン伝導度はサンプルA68のプロトン伝導度の約10倍にも達した。また、サンプルC85の最も低いプロトン伝導度(測定温度60℃)は、サンプルA68の最も高いプロトン伝導度(測定温度160℃)よりも高く、60℃のような低温域におけるプロトン伝導性の高さが示された。
以上の結果より、塩基性固体高分子膜に放射線を照射することによって、無加湿条件下においても幅広い温度範囲で高いプロトン伝導性を有する電解質膜を得ることができることが明らかとなった。
放射線照射量とリン酸ドープ量の関係を示す図である。 本発明の実施例におけるプロトン伝導度測定の結果を示す図である。

Claims (4)

  1. 酸素存在下で塩基性固体高分子膜に放射線を照射する工程と、放射線を照射した塩基性固体高分子膜に強酸をドープする工程とを含むことを特徴とする、燃料電池用電解質膜の製造方法。
  2. 前記放射線がγ線、電子線又はイオンビームから選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  3. 前記塩基性固体高分子膜がポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールよりなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  4. 前記強酸は、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの酸である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
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