JP4686733B2 - 抗がん剤 - Google Patents

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本発明は、新たな抗がん剤、特に他のがん治療法の治療効果を増強させることによる抗がん剤に関する。
がんは昭和56年に死因の一位になって以来、現在でも死因の一位を続けており、常に新たな治療法が求められている。がんの治療法としては、外科療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)があるが、外科手術後でも抗がん剤による治療が用いられる。
抗がん剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アルカロイド系抗がん剤、抗生物質抗がん剤、白金製剤等が用いられているが、その治療効果は未だ十分とはいえず、また副作用の発生頻度が高いという問題もある。かかる観点から、より優れた抗がん剤の開発が望まれている。
一方、MFG−E8(脂肪球被膜糖蛋白質:milk fat globule−EGF factor8)は、乳腺より分泌され乳腺分化、授乳刺激を促進する因子として同定された(非特許文献1)。近年MFG−E8がこれらの作用のみならず、種々の異なった機能を有する事が明らかになった。その一つが、オプソニンとしてアポトーシス細胞上のホスファチジルセリンを認識してマクロファージや樹状細胞による貪食処理能を促進し免疫寛容を維持するという重要な機能である(非特許文献2、3)。さらに、MFG−E8はFoxp3陽性制御性T細胞の増殖を促進することで免疫寛容を誘導し、腫瘍ワクチンの抗腫瘍免疫を負に調節することも判明した(非特許文献4)。この知見を基盤として、がんワクチンをはじめとした腫瘍抗原との併用を前提として、MFG−E8のデコイ遺伝子あるいは阻害抗体を用いる治療法開発について既に特許出願がなされている(特許文献1)。またMFG−E8は樹状細胞などの抗原提示細胞に限らず乳癌、大腸癌、メラノーマなど腫瘍細胞に広範に発現すること(非特許文献5)、血管新生や腫瘍転移能を促進することにより腫瘍促進作用を有することやメラノーマの臨床的進行度と正相関することが明らかになっている(非特許文献6)。
WO2008/043018号パンフレット
Stubbs T et al.1990.cDNA reveals the existence sequences.Proc.Natl Acad.Sci.USA 87:8417−8421. Hanayama R.et al.2002.Nature 417:182−187. Hanayama R.,et al.2004.Autoimmune MFG−E8−deficient mice.Science 304:1147−1150. Jinushi M.,et al.2007.MFG−E8 mediated uptake of apoptotic cells by APCs links the pro−and anti−inflammatory activities of GM−CSF.J Clin Invest 117:1902−1913. Carmon L.,et al.2002.Characterization of novel breast carcinoma−associated BA46−derived peptides in HLA−2.1/D(b)−beta2m transgenic mice.J Clin Invest 110:453−462. Neutzner M.,et al.2007.MFG−E8/lactadherin promotes tumor growth in an angiogenesis−dependent transgenic mouse model of multistage carcinogenesis.Cancer Res 67:6777−6785.
本発明は、新たな抗がん剤および新たながんの治療方法を提供することにある。
本発明者は、MFG−E8に対する抗体を用いて、その薬理作用について検討してきたところ、抗MFG−E8抗体が、単独で優れた抗がん効果を有することを見出した。さらに検討を進めたところ、抗MFG−E8抗体は、単独による抗がん効果よりも、腫瘍抗原を投与しないにもかかわらず、他の抗がん剤を含む他のがん治療法との併用により、極めて強力な抗がん効果を発揮し、他のがん治療法の効果を増強させる効果が特に優れていることを見出した。さらに、抗MFG−E8抗体は、腫瘍内および全身性の抗腫瘍免疫応答を活性化させ、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞等の誘導を含む抗腫瘍免疫反応を惹起促進させる作用を有することを明らかにした。特に抗MFG−E8抗体は、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法と組み合せた際に、抗MFG−E8抗体による抗腫瘍免疫反応を強力に誘導し得る特異的免疫誘導薬として極めて有用であることも見出した。さらに、この抗MFG−E8抗体による特異的免疫誘導作用が、樹状細胞等の抗原提示細胞上のαβインテグリンを介するシステムからFc受容体を介するシステムへとスイッチすることによるものであることも明らかにした。ここであげた特異的免疫とは、標的抗原に対して特異的なB細胞などによる液性免疫およびT細胞などによる細胞性免疫応答をさす。
すなわち、本発明は、抗MFG−E8抗体を有効成分とする抗がん剤を提供するものである。
また本発明は、抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤とを組み合せてなる抗がん剤を提供するものである。
また本発明は、抗MFG−E8抗体を含有し、他のがん治療法と組み合せて使用するための抗がん剤を提供するものである。前記抗がん剤は、腫瘍抗原または腫瘍細胞を含まないにもかかわらず腫瘍細胞特異的な抗がん作用を発揮することを特徴とする。これは、有効成分である抗MFG−E8抗体が、生体内の抗原提示細胞によるアポトーシスに陥った腫瘍細胞の取り込みを、Fc受容体を介して促進し細胞障害性T細胞を中心とする特異的抗腫瘍免疫を誘導することに基づくと考えられる。
また本発明は、抗MFG−E8抗体を有効成分とし、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法と組み合せて使用するための、標的細胞に対する特異的免疫誘導薬を提供するものである。前記標的細胞は、腫瘍細胞であることが好ましい。また、前記抗MFG−E8抗体は、抗原提示細胞上のFc受容体を介して標的細胞に対する特異的免疫を誘導することを特徴とする。さらに本発明の1つの実施形態において、抗MFG−E8抗体を含み、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法によってMFG−E8が発現誘導された標的細胞に対する免疫寛容を、抗MFG−E8抗体が抑制するとともに生体内の抗原提示細胞によるアポトーシスに陥った標的細胞の取り込みを、Fc受容体を介して促進し細胞障害性T細胞を中心とする抗腫瘍免疫を賦活化する、免疫経路スイッチ剤を提供する。
また本発明は、抗がん剤製造のための抗MFG−E8抗体の使用を提供するものである。
また本発明は、他の抗がん剤と組み合せてなる抗がん剤製造のための抗MFG−E8抗体の使用を提供するものである。
また本発明は、他のがん治療法と組み合せて使用するための抗がん剤製造のための抗MFG−E8抗体の使用を提供するものである。
また本発明は、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法と組み合せて使用するための特異的免疫誘導薬製造のための抗MFG−E8抗体の使用を提供するものである。
また本発明は、抗MFG−E8抗体を投与することを特徴とするがんの治療法を提供するものである。
また本発明は、抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤とを組み合せて投与することを特徴とするがんの治療法を提供するものである。
また、本発明は、抗MFG−E8抗体の投与と、他のがん治療法とを組み合せることを特徴とするがんの治療法を提供するものである。
また本発明は、抗MFG−E8抗体と、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法とを組み合せることを特徴とする特異的免疫誘導方法を提供するものである。
本発明の抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤等の他のがん治療法とを組み合せれば、抗がん効果が飛躍的に向上するため、より優れたがん治療効果が得られる。また、副作用のある他の抗がん剤や放射線療法等のがん治療法と併用した場合には、その抗がん剤の投与量やがん治療法の強度(放射線療法における放射線照射量にあたるもの)を減らすことができ、その抗がん剤の投与間隔やがん治療法実施の間隔を長く設定できるため、副作用の軽減も可能になる。副作用が発生する頻度が低下すれば、他の抗がん剤や放射線療法等による治療をより長く継続できるため、がん治療効果はさらに向上することになる。
また、本発明における抗MFG−E8抗体によるがん治療効果はがん患者の体内に存在している状態の腫瘍細胞由来の抗原を利用して特異的免疫を誘導し得るものであるため、本発明によれば、従来の腫瘍ワクチンのような腫瘍細胞の抗原を患者から分離あるいは同定する必要はなく、また治療の際に患者に腫瘍抗原を投与することなく治療効果が得られる。
また、本発明によれば、抗MFG−E8抗体による特異的免疫誘導作用は、樹状細胞やマクロファージに代表される抗原提示細胞上のαβインテグリンを介した免疫寛容経路を抑制し、Fc受容体を介した免疫賦活化経路にスイッチすることにより行われていることが明らかになった。
マウス大腸癌細胞株(MC38)を用いた皮下腫瘍モデルにおける抗MFG−E8抗体単独投与、または他の抗がん剤(ゲムシタビン:GEM)との併用による抗がん効果を示す図である。NTは無治療群、Anti−MFG−E8Abは抗MFG−E8抗体を示す(以下同じ)。 図1と同じ腫瘍モデルにおける抗MFG−E8抗体単独投与、または他の抗がん剤(CPT11、5FU)との併用による抗がん効果を示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける抗MFG−E8抗体単独投与、またはEGFR−TK1、α−VEGFR−2Abとの併用による抗がん効果を示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける抗MFG−E8抗体単独投与、または放射線療法(XRT)との併用による抗がん効果を示す図である。 マウス悪性黒色腫細胞株(B16)を用いた皮下腫瘍モデルにおける抗MFG−E8抗体単独投与、または他の抗がん剤(ドキソルビシン(Dox)、エトポシド(Etop))との併用による抗がん効果を示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける5−FUと抗MFG−E8抗体併用による腫瘍内リンパ球(CD4、CD8)の活性に関連する表面抗原のフローサイトメトリーを示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける5−FUと抗MFG−E8抗体併用による腫瘍内リンパ球(CD11b、CD11c)の活性に関連する表面抗原のフローサイトメトリーを示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける5−FUと抗MFG−E8抗体併用による脾臓内リンパ球(CD4)の活性に関連する表面抗原のフローサイトメトリーを示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける5−FUと抗MFG−E8抗体併用による脾臓内リンパ球(CD8)の活性に関連する表面抗原のフローサイトメトリーを示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体併用によるリンパ節内リンパ球の腫瘍特異的細胞傷害活性を示す図である。B16はB16細胞を、MC38はMC38細胞を示す。 OVAトランスジェニック・マウスの細胞を用いたT細胞活性状態をフローサイトメトリーによってIFN−α(IFNg)およびIL−10の細胞内発現を測定した結果を示す図である。 他の抗がん剤による腫瘍細胞および非腫瘍細胞からのMFG−E8発現を示す図である。 他の抗がん剤による腫瘍細胞からのMFG−E8発現を示す図である。 マウス大腸癌細胞株(MC38)を用いた抗MFG−E8抗体が他の抗がん剤による腫瘍細胞死誘導に与える作用を示す図である。 他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用による、アポトーシスのマーカーであるカスパーゼ3活性化作用を示す図である(MC38に対する化学療法はゲムシタビン、B16に対する化学療法はダカルバジン)。 NOD−SCIDマウスにおけるマウス大腸癌細胞株(MC38)を用いた皮下腫瘍モデルに対する他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用効果を示す図である。 野生型マウスにおいて抗体でCD4、CD8、NK1.1を阻害した場合の、マウス大腸癌細胞株(MC38)に対する他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用効果を示す図である。 他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用による、MC38再移植に対する作用を示す図である。 図1と同じ腫瘍モデルにおける抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用によるCD11b、CD86の発現に対する作用を示す図である。 他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用による、MC38およびB16細胞に対する貧食作用を示す図である。 PKH26によりラベルしたEG7−OVA細胞の貪食実験において抗MFG−E8抗体を使用することにより、αβインテグリンよりもFcレセプターの関与が増加することを示す図である。 樹状細胞による腫瘍抗原の交差提示において抗MFG−E8抗体存在下でのFc受容体を介するシステムの重要性を示す図である(in vitro)。 樹状細胞による腫瘍抗原の交差提示において抗MFG−E8抗体存在下でのFc受容体を介するシステムの重要性を示す図である(in vivo)。 抗MFG−E8抗体による抗原提示細胞のサイトカイン(IL−12、IL−23、TNF−αおよびIL−10)産生に対する作用を示す図である。
本発明の抗がん剤の有効成分は、抗MFG−E8抗体である。本発明に用いられる抗MFG−E8抗体は、MFG−E8に特異的に結合し、MFG−E8の機能を阻害する抗体であれば特に制限されない。
本発明の抗体には、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびに抗原決定基に特異的に結合する能力を保持している抗体およびT−細胞レセプターフラグメント等の、抗体の変種および誘導体が含まれる。
又、本発明の抗体の種類は特に制限されず、マウス抗体、ヒト抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、ラクダ抗体、トリ抗体等や、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、等を適宜用いることができる。遺伝子組換え型抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP239400、国際特許出願公開番号WO96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res,1993,53,851−856.)。
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(WO93/12227,WO92/03918,WO94/02602,WO94/25585,WO96/34096,WO96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に周知であり、WO92/01047,WO92/20791,WO93/06213,WO93/11236,WO93/19172,WO95/01438,WO95/15388を参考にすることができる。
また、これらの抗体は、MFG−E8遺伝子によってコードされる蛋白質の全長または一部を認識する特性を失わない限り、抗体断片(フラグメント)等の低分子化抗体や抗体の修飾物などであってもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Diabodyなどを挙げることができる。このような抗体断片を得るには、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968−2976;Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476−496;Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497−515;Lamoyi,E.,Methods Enzymol.(1986)121,652−663;Rousseaux,J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663−669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132−137参照)。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
又、本発明においては、細胞傷害活性を増強する目的などで、糖鎖を改変した抗体などを用いることも可能である。抗体の糖鎖改変技術は既に知られている(例えば、WO00/61739、WO02/31140など)。
又、本発明においては、2種以上の異なる抗原に対して特異性を有する多特異性抗体も含まれる。通常このような分子は2個の抗原を結合するものであるが(すなわち、二重特異性抗体)、本発明における「多特異性抗体」は、それ以上(例えば、3種類の)抗原に対して特異性を有する抗体を包含するものである。多特異性抗体は全長からなる抗体、またはそのような抗体の断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)であり得る。
当分野において多特異性抗体の製造法は公知である。全長の二特異性抗体の産生は、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖の共発現を含むものである(Millsteinet al.,Nature 305:537−539(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖はランダムに取り合わされるので、共発現を行う得られた複数のハイブリドーマ(クワドローマ)は、各々異なる抗体分子を発現するハイブリドーマの混合物であり、このうち正しい二特異性抗体を産生するものを選択する必要がある。選択はアフィニティークロマトグラフィー等の方法により行うことができる。また、別な方法では所望の結合特異性を有する抗体の可変領域を免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合する。該定常ドメイン配列は、好ましくは免疫グロブリンの重鎖の定常領域の内、ヒンジ、CH2およびCH3領域の一部を少なくとも含むものである。好ましくは、さらに軽鎖との結合に必要な重鎖のCH1領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA、および、所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAをそれぞれ別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に形質転換する。別々の発現ベクターに各遺伝子を挿入することにより、それぞれの鎖の存在割合が同じでない方が、得られる抗体の収量が上がる場合に、各鎖の発現割合の調節が可能となり都合が良いが、当然ながら、複数の鎖をコードする遺伝子を一つのベクターに挿入して用いることも可能である。
好ましい態様においては、第一の結合特性を有する重鎖がハイブリッド免疫グロブリンの一方の腕として存在し、別の結合特性の重鎖−軽鎖複合体がもう一方の腕として存在する二重特異性抗体が望ましい。このように一方の腕のみに軽鎖を存在させることにより、二重特異性抗体の他の免疫グロブリンからの分離を容易に行うことができる(WO94/04690参照)。二重特異性抗体の作成方法については、さらに、Sureshら(Methods in Enzymology 121:210(1986))の方法を参照することができる。組換細胞培養物から得られる最終産物中のホモダイマーを減らしヘテロダイマーの割合を増加させる方法として、抗体の定常ドメインのCH3を含み、一方の抗体分子において、他方の分子と結合する表面の1若しくは複数の小さな側鎖のアミノ酸を大きな側鎖のアミノ酸(例えば、チロシンやトリプトファン)に変え、他方の抗体分子の対応する部分の大きさ側鎖のアミノ酸を小さなもの(例えば、アラニンやスレオニン)に変えて第一の抗体分子の大きな側鎖に対応する空洞を設ける方法も知られている(WO96/27011)。
二重特異性抗体には、例えば、一方の抗体がアビジンに結合され、他方がビオチン等に結合されたようなヘテロ共役抗体が含まれる(米国特許第4,676,980号;WO91/00360;WO92/00373;EP03089)。このようなヘテロ共役抗体の作製に利用される架橋剤は周知であり、例えば、米国特許第4,676,980号にもそのような例が記載されている。
また、抗体断片より二特異性抗体を製造する方法も報告されている。例えば、化学結合を利用して製造することができる。例えば、まずF(ab’)断片を作成し、同一分子内でのジスルフィド形成を防ぐため断片をジチオール錯化剤アルサニルナトリウムの存在化で還元する。次にF(ab’)断片をチオニトロ安息香酸塩(TNB)誘導体に変換する。メルカプトエチルアミンを用いて一方のF(ab’)−TNB誘導体をFab’−チオールに再還元した後、F(ab’)−TNB誘導体およびFab’−チオールを等量混合し二特異性抗体を製造する。
組換細胞培養物から直接、二重特異性抗体を製造し、単離する方法も種々、報告されている。例えば、ロイシンジッパーを利用した二重特異性抗体の製造方法が報告されている(Kostelny et al.,J,Immunol.148(5):1547−1553(1992))。まず、FosおよびJun蛋白質のロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により異なる抗体のFab’部分に連結させ、ホモダイマーの抗体をヒンジ領域においてモノマーを形成するように還元し、抗体へテロダイマーとなるように再酸化する。また、軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を、これら2つのドメイン間での対形成できない位に短いリンカーを介して連結し、相補的な別のVLおよびVHドメインと対を形成させ、それにより2つの抗原結合部位を形成させる方法もある(Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993))。また、一本鎖Fv(sFV)を用いたダイマーについても報告されている(Gruger et al.,J.Immunol.152:5368(1994))。さらに、二重特異性ではなく三重特異性の抗体についても報告されている(Tutt et al.,J.Immunol.147:60(1991))。
本発明の抗体および抗体フラグメントは、任意の適当な方法、例えば、インビボ、培養細胞、インビトロ翻訳反応、および組換えDNA発現系により製造することができる。
モノクローナル抗体およびハイブリドーマを製造する手法は当該技術分野においてよく知られている(Campbell,“Monoclonal Antibody Technology:Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”、Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands,1984;St.Groth et al.、J.Immunol.Methods 35:1−21,1980)。MFG−E8遺伝子によりコードされる蛋白質またはフラグメントを免疫原として用いて、抗体を生成することが知られている任意の動物(マウス、ウサギ等)に皮下または腹膜内注射することにより免疫することができる。免疫に際してアジュバントを用いてもよく、そのようなアジュバントは当該技術分野においてよく知られている。
ポリクローナル抗体は、免疫した動物から抗体を含有する抗血清を単離し、ELISAアッセイ、ウエスタンブロット分析、またはラジオイムノアッセイ等の当該技術分野においてよく知られる方法を用いて、所望の特異性を有する抗体の存在についてスクリーニングすることにより得ることができる。
モノクローナル抗体は、免疫した動物から脾臓細胞を切除し、ミエローマ細胞と融合させ、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作製することにより得ることができる。ELISAアッセイ、ウエスタンブロット分析、またはラジオイムノアッセイ等の当該技術分野においてよく知られる方法を用いて、目的とする蛋白質またはそのフラグメントを認識する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択する。所望の抗体を分泌するハイブリドーマをクローニングし、適切な条件下で培養し、分泌された抗体を回収し、当該技術分野においてよく知られる方法、例えばイオン交換カラム、アフィニティークロマトグラフィー等を用いて精製することができる。あるいは、ゼノマウス株を用いてヒト型モノクローナル抗体を製造してもよい(Green,J.Immunol.Methods 231:11−23,1999;Wells,Eek,Chem Biol 2000 Aug;7(8):R185−6を参照)。また、免疫を行わないファージディスプレイに基づいたモノクローナル抗体の作製も現在行われており、本発明の抗体はこれらの方法のいずれで製造されてもかまわない。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用な方法(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)により容易に単離、配列決定できる。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの好ましい出発材料である。一度単離したならば、DNAを発現ベクターに挿入し、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または形質転換されなければ免疫グロブリンを産生しないミエローマ細胞等の宿主細胞へ組換え、組換え宿主細胞からモノクローナル抗体を産生させる。また別の態様として、McCaffertyら(Nature 348:552−554(1990))により記載された技術を用いて製造された抗体ファージライブラリーより抗体、または抗体断片は単離することができる。
抗MFG−E8抗体と併用することができる他の抗がん剤としては、抗がん効果を有する抗がん剤であれば特に限定されないが、腫瘍細胞傷害性を有する抗がん剤であることが、相乗効果を得る点で特に好ましい。
当該他の抗がん剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬、ホルモン剤、生物製剤等が挙げられる。アルキル化剤としては、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファラン、プロカルバジン、ラニムスチン等が挙げられる。代謝拮抗剤としては、例えば、エノシタビン、カルモフール、カペシタビン、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサート、クラドリビン、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、メルカプトプリン等が挙げられる。微小管阻害剤としては、例えば、ビンクリスチン等のアルカロイド系抗がん剤、ドセタキセル、パクリタキセル等のタキサン系抗がん剤が挙げられる。抗生物質抗がん剤としては、例えば、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ペプロマイシン、ミトキサントロン、アムルビシン、ジノスタチンスチマラマー等が挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤としてはトポイソメラーゼI阻害作用を有するCPT−11、イリノテカン、ノギテカン、トポイソメラーゼII阻害作用をもつエトポシド、ソブゾキサンが挙げられる。白金製剤としては、例えば、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン等が挙げられる。ホルモン剤としては、例えば、デキサメタゾン、フィナステリド、タモキシフェン、アストロゾール、エキセメスタン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、ビカルタミド、フルタミド、ブレドニゾロン、リュープロレリン、レトロゾール、エストラムスチン、トレミフェン、ホスフェストロール、ミトタン、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン等が挙げられる。生物製剤としては、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、インターロイキン2、ウベニメクス、乾燥BCG等が挙げられる。分子標的薬としては、例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、テムシロリムス、ベバシズマブ、VEGF trap、スニチニブ、ソラフェニブ、トシツズマブ、ボルテゾミブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、タミバロテン、トレチノイン等が挙げられる。ここに特定する分子標的薬以外にも、ヒト上皮性増殖因子受容体2阻害剤、上皮性増殖因子受容体阻害剤、Bcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤、上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、血管内皮増殖因子受容体2阻害剤(α−VEGFR−2抗体)等の血管新生を標的にした阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤などの各種チロシンキナーゼ阻害剤、サイトカインを標的とした阻害剤、プロテアソーム阻害剤、抗体―抗がん剤配合体等の分子標的薬なども含めることができる。これら阻害剤には抗体も含む。上記の薬剤の他にも、以下の医薬も併用し得る;サリドマイド、エベロリムス、エルプラット、ABI−007、イキサベピロン、ミリプラチン、ラパチニブ、pemetrexed、クラドリビン、リポソーマルドキソルビシン、Z−100、ハイカムチン、バンデダニブ、ZD4054、アナストロゾール、GSK1572932A、パゾパニブ、デノスマブ、S−1、モテサニブ、トラスツズマブ、Enzastaurin、イムシスト、NIK−333、アキシチニブ、ボスチニブ、E7080、ソブリドチン、デガレリクス、フルベストラント、ゾラデックス、セディラニブ、エリブリン、TSU−68、TAC−101、TAS−108、NK911、NK105、エロチニブ、LBH589、MK−0457、タミバロテン、レナリドミド、BNP1350、AZD0530、AZD1152、AZD2281、AZD4877、ABT−869、ONO−4538、OTS102、KW−0761、ARQ197、オファツムマブ、AMG655、TAK−700、TAK−683、TAK−448、CBP501、TAK−285、TAK−593、MLN8054、MLN4924、pertuzumab、R1507、NK012、BIBF1120、BIBW2992、Patupilone、MK−2461、CP751,871、PF−00299804、サトラプラチン、CMC−544、YM155、GPI21016、YHO−13351。
これらの他の抗がん剤のうち、細胞傷害活性を特徴とするアルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬等が特に好ましい。具体的には、ゲムシタビン、5−FU、CPT−11、エトポシド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダカルバジン、ドキソルビシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、抗血管内皮増殖因子受容体2阻害抗体、上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤等が特に好ましい。
抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤は、一の製剤として用いてもよいし、それぞれ別の製剤の形態で用いてもよい。別の製剤にする場合、例えば注射剤と経口剤のように、投与ルートの異なる製剤の組み合せであってもよい。また、抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤とは、同時に投与してもよいし、いずれか一方を先に投与し、他方を後に投与してもよい。つまり、抗MFG−E8抗体は他の抗がん剤よりも前に投与してもよく、また同時であってもよく、あるいは他の抗がん剤投与開始後であってもよい。投与時期を同時にしない場合、例えば他の抗がん剤を一定期間投与し、他の抗がん剤の投与期間中又は投与期間終了後に抗MFG−E8抗体を投与するのが好ましい。具体的な抗MFG−E8抗体の投与タイミングは、他の抗がん剤投与開始後2週間以内、好ましくは1週間以内、より好ましくは3日以内である。
他の抗がん剤等の化学療法により誘導されたアポトーシス腫瘍細胞の免疫原性を、抗MFG−E8抗体によるMFG−E8阻害によって効果的に発揮させることで、生体に本来備わっている抗腫瘍免疫を適切に引き出すことができ、さらには腫瘍再発抑制効果をも誘導することができる。これらの抗MFG−E8抗体の作用効果を考慮すると、他の抗がん剤等の化学療法は、抗MFG−E8抗体の投与と同時、もしくは先に実施することが極めて効果的である。
なお、本明細書における「抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤との組み合せ」とは製剤的に一体として薬剤とする場合に限定するものではなく、製剤としては抗MFG−E8抗体単独での提供であったとしても、他の抗がん剤の効果増強の目的で、上述のようなタイミングで他の抗がん剤と併用される限り、本明細書における「抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤との組み合せ」の概念に含まれる。後述にて詳しく説明するように、「他の抗がん剤」は、2剤以上の併用であってもよい。
さらに言えば、抗MFG−E8抗体が他の抗がん剤投与と所望のタイミングで併用され、抗MFG−E8抗体を当該他の抗がん剤の効果を増強させ得る併用剤(あるいは抗腫瘍効果増強剤)として使用するような場合も、「抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤との組み合せ」に該当する。あるいは、抗MFG−E8抗体が主となるがん治療薬とすると、他の抗がん剤が、抗MFG−E8抗体による抗腫瘍免疫作用を効果的に引き出し得る併用剤(あるいはイニシエーター)となり、当該併用される他の抗がん剤と主となるがん治療薬である抗MFG−E8抗体とが所望のタイミングで投与するような場合にも、「抗MFG−E8抗体と他の抗がん剤との組み合せ」に該当する。
抗がん剤以外の他のがん治療法としては、外科手術の他、放射線療法(ガンマーナイフ療法、サイバーナイフ療法、ホウ素中性子捕捉療法、陽子線治療・重粒子線治療法を含む)、MRガイド下集束超音波手術、凍結療法、ラジオ波凝固療法、エタノール注入療法、動脈塞栓療法等が挙げられる。
これらのがん治療法と抗MFG−E8抗体の投与とは、いずれか一方を先に行い、他方を後に行ってもよいが、同時に行ってもよい。このうち、所定の放射療法を行った後に抗MFG−E8抗体を投与する手段が好ましい。抗MFG−E8抗体の投与と他のがん治療法との組み合わせについても、抗MFG−E8抗体の投与と他のがん治療法とが上述のようなタイミングで投与される限り、本明細書における「抗MFG−E8抗体と他のがん治療法との組み合せ」の概念に含まれる。なお、「他のがん治療法」は、複数の治療法の併用実施であってもよく、さらに「他のがん治療法」と、上述した「他の抗がん剤」投与との併用であってもよい。
がん治療で実施される細胞療法などと組み合わせて抗MFG−E8抗体を用いてもよい。細胞療法との組み合わせの場合には、細胞療法に使用する細胞を調製している工程で抗MFG−E8抗体を添加してもよく、また、調製後の細胞を患者に戻す際に抗MFG−E8抗体を患者に投与してもよい。
本発明の抗がん剤は、ヒトを含む哺乳類の、多岐にわたるがんに対して有効であり、例えば咽頭癌、喉頭癌、舌癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌、子宮癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、悪性黒色腫、甲状腺癌などの上皮がん;骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、繊維肉腫、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などの非上皮がんが挙げられる。
前記のように、抗MFG−E8抗体は、化学療法により誘導されたアポトーシス腫瘍細胞の免疫原性を、MFG−E8阻害により増強させることで効率的な抗腫瘍免疫誘導、腫瘍再発抑制効果を発揮している。従って、化学療法、放射線療法による腫瘍細胞死の誘導が行われれば抗MFG−E8抗体の抗腫瘍効果は十分期待できる。想定される多剤併用療法、および放射線化学療法など標準治療として確率されている治療法との併用にて、腫瘍縮小効果の増強、無病無再発率の向上が可能である。
このような候補としては以下の通りである:大腸癌でのFOLFOX(5−FU+オキサルプラチン)、胃癌でのフルオロウラシル系薬剤(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムを含む)+シスプラチン、食道癌、頭頸部癌や子宮癌での化学放射線併用療法(食道癌:フルオロウラシル+シスプラチン、頭頸部癌:フルオロウラシル+シスプラチン+タキサン系、子宮癌:カルボプラチンなど)、膵胆道系癌でのゲムシタビンと放射線併用療法、肺非小細胞癌でのCDDP+タキサン/ビノレルビン/ゲムシタビン等、肺小細胞癌でのCDDP+エトポシド、急性骨髄性白血病でのアンスラサイクリン系抗生剤+シタラビン、悪性リンパ腫でのR−CHOP療法(リツキシマブ、シクロフォスファミド、アンスラサイクリン系抗生剤、ビンクリスチン、プレドニン)、乳癌における多剤化学療法(CAF療法:シクロフォスファミド、アンスラサイクリン系抗生剤、フルオロウラシルなど)およびタキサン系+ハーセプチン、髄芽種におけるTamozolomide+放射線全脳照射、などが挙げられる。
本発明の抗がん剤は、当該技術分野においてよく知られる薬学的に許容しうる担体とともに、混合、溶解、顆粒化、錠剤化、乳化、カプセル封入、凍結乾燥等により、製剤化することができる。
経口投与用には、抗MFG−E8抗体を、薬学的に許容しうる溶媒、賦形剤、結合剤、安定化剤、分散剤等とともに、錠剤、丸薬、糖衣剤、軟カプセル、硬カプセル、溶液、懸濁液、乳剤、ゲル、シロップ、スラリー等の剤形に製剤化することができる。
非経口投与用には、抗MFG−E8抗体を、薬学的に許容しうる溶媒、賦形剤、結合剤、安定化剤、分散剤等とともに、注射用溶液、懸濁液、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、吸入剤、坐剤等の剤形に製剤化することができる。注射用の処方においては、本発明の治療剤を水性溶液、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的食塩緩衝液等の生理学的に適合性の緩衝液中に溶解することができる。さらに、組成物は、油性または水性のベヒクル中で、懸濁液、溶液、または乳濁液等の形状をとることができる。あるいは、抗MFG−E8抗体を粉体の形態で製造し、使用前に滅菌水等を用いて水溶液または懸濁液を調製してもよい。吸入による投与用には、抗MFG−E8抗体を粉末化し、ラクトースまたはデンプン等の適当な基剤とともに粉末混合物とすることができる。坐剤処方は、抗MFG−E8抗体をカカオバター等の慣用の坐剤基剤と混合することにより製造することができる。さらに、本発明の治療剤は、ポリマーマトリクス等に封入して、持続放出用製剤として処方することができる。
抗MFG−E8抗体の投与量は、患者の症状、投与経路、体重、年令等によっても異なるが、例えば成人1日あたり1μg〜500mgであるのが好ましい。また、他の抗がん剤の投与量は、それぞれの抗がん剤の有効量またはその有効量の0.01〜1倍までが好ましい。また、他のがん治療法、例えば放射線療法における放射線照射量を0.1〜0.8倍に低減することができる。
本発明の抗がん剤は、通常非経口投与経路で、例えば注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)、経皮、経粘膜、経鼻、経肺などで投与されるが、特に限定されず、経口投与でもよい。
本発明の抗MFG−E8抗体の抗がん効果の作用機序は完全には解明されていないが、腫瘍内および全身性の抗腫瘍免疫応答を活性化させ、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の誘導を含む抗腫瘍免疫反応を惹起・促進させることを主要なものとすると考えられる。
抗MFG−E8抗体は、上記のように標的細胞に対する免疫応答を活性化させ、細胞傷害性T細胞等を誘導して、標的細胞に対する免疫反応を惹起・促進させる。従って、抗MFG−E8抗体を、標的細胞を傷害し得る薬剤又は治療法と組み合せれば、標的細胞に対する免疫反応を強力に誘導し得ることから、がん等の排除したい種々の病巣細胞に対する特異的免疫誘導薬として用いることができる。この抗MFG−E8抗体による特異的免疫誘導は、抗原提示細胞上のαβインテグリンを介した免疫寛容経路を抑制し、Fc受容体を介した免疫賦活化経路にスイッチさせることによる。ここで抗原提示細胞には、樹状細胞、単球、マクロファージが含まれる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
実施例1(他の抗がん剤と抗MFG−E8抗体による相乗的な腫瘍縮小効果)
(方法)
マウス大腸癌細胞MC−38またはB16メラノーマ細胞(マウス一匹あたり1×10個)を、6週齢C57BI/6マウス背側皮下に注入後、腫瘍径が長径5mm(25〜30mm)に増殖した時点(day10)で抗がん剤、抗MFG−E8抗体を以下のプロトコールにてday10、day13、day16に腹腔内投与した。以下のプロトコールに沿って各々2回同様の検討を施行した。なお、抗MFG−E8抗体は、MBL社より商品化されている阻害抗体を用いた。また、プロトコール1〜4はMC−38を用い、プロトコール5は、B16メラノーマを用いた。
プロトコール1:
・Gemcitabine(GEM):4mg/kg
・Gemcitabine(GEM):1mg/kg
・抗MFG−E8抗体:1mg/kg
・Gemcitabine(GEM):4mg/kg+抗MFG−E8抗体:1mg/kg
・Gemcitabine(GEM):1mg/kg+抗MFG−E8抗体:1mg/kg
プロトコール2:
・CPT−11:1mg/kg
・5―FU:0.1M
・抗MFG−E8抗体:1mg/kg
・CPT−11:1mg/kg+抗MFG−E8抗体:1mg/kg
・5―FU:0.1M+抗MFG−E8抗体:1mg/kg
プロトコール3:
・上皮性増殖因子受容体チロシンキナーゼ1(EGFR−TK1):40mg/g
・抗血管内皮増殖因子受容体−2モノクローナル抗体(α−VEGFR−2Ab):40mg/kg
・抗MFG−E8抗体:1mg/kg
プロトコール4:
・放射線照射(XRT):3Gy/day 5回
・抗MFG−E8抗体:1mg/kg
プロトコール5:
・ドキソルビシン(Dox):5mg/kg
・エトポシド(Etop):2mg/kg
・抗MFG−E8抗体:1mg/kg
(結果)
抗がん剤を単独投与した場合、投与後5〜10日は無治療群と比較して有意な腫瘍増殖抑制効果を示しているが、それ以降で無治療群と同等な確率で腫瘍増殖を認めた。以上の傾向はGEM、5FU、CPT−11、ドキソルビシン、エトポシド、EGF−TK1、α−VEGFR−2Abのいずれの抗がん剤投与および放射線療法にても同等であった。以上より、抗がん剤による制がん効果は一過性であり長期的な抗腫瘍効果は期待できないことが判明した(図1〜5)。
抗MFG−E8抗体単独投与では、無治療群に比較して軽微な腫瘍増殖抑制効果を認めるが、抗がん剤投与または放射線療法時に比較してその効果は弱い(図1〜5)。
抗がん剤または放射線療法と抗MFG−E8抗体との併用投与群では有意な強い腫瘍増殖抑制効果を認めた。この効果は抗がん剤単独投与群または放射線療法単独群と異なり、治療終了後長期間を経過しても強力な腫瘍抑制効果を維持した。例えばゲムシタビン4mg/kgと抗MFG−E8抗体併用群や5−FUと抗MFG−E8抗体併用群では35日後まで腫瘍はほとんど増殖しなかった。上記の結果は抗がん剤の種類に関わらず(抗EGFR抗体、抗VEGFR抗体等)、同様であった(図1〜5)。
以上の結果より、抗MFG−E8抗体によるMFG−E8活性阻害が、各種抗がん剤または放射線療法による抗腫瘍効果を劇的に改善する事が明らかとなった。また、腫瘍抗原を使用することなく、抗がん剤または放射線療法と抗MFG−E8抗体との併用による優れた抗腫瘍効果が得られることは、全く予想外である。
実施例2(腫瘍内リンパ球の免疫学的機能に関連する表面形質の検討)
(方法)
上記と同様の大腸癌細胞MC38皮下投与を用いた腫瘍モデルにおいて、各種治療プロトコールを施行し、その1週間後(day23)の時点でマウスより腫瘍組織を採取した。これをコラゲナーゼIにて処理後、Lymphoprepを用いた比重勾配法にて、腫瘍組織内に存在するリンパ球を分離・採取した。この腫瘍内リンパ球の活性に関連する表面抗原についてフローサイトメトリーを用いて、下記の検討を行った。
・CD4陽性ヘルパーT細胞、CD8陽性細胞傷害性T細胞のメモリー活性状態(CD44発現)
・T細胞活性抑制に重要なCD11b・Gr−1陽性細胞(未熟ミエロイド細胞)の割合
・抗腫瘍T細胞活性増強に寄与する樹状細胞のマーカーであるCD11c陽性細胞分画の割合
・樹状細胞の活性度の評価:CD11b、CD86陽性分画の割合
(結果)
代表例として5―FU投与群のみ提示する。他の治療群でも同様の結果である。
無治療群と比較して、抗がん剤単独投与群でのT細胞、未熟ミエロイド細胞、樹状細胞の比率に大きな変化を生じない(図6および7)。抗MFG−E8抗体単独投与群でも抗がん剤と同等である。
抗がん剤と抗MFG−E8抗体とを併用した群では以下の変化が生じた。
T細胞のメモリー活性(CD44発現)が増加した(図6)。これは、腫瘍内に浸潤したT細胞の活性能が誘導されたことを示す。
樹状細胞数の大幅な増加、活性の増強が生じた(図6および7)。これは、腫瘍内の樹状細胞の浸潤、活性が誘導されていることを示唆しており、特異的T細胞免疫応答を増強するのに好適な環境となっている。
以上より、抗がん剤と抗MFG−E8抗体との併用により、腫瘍内の抗腫瘍免疫応答(標的とする腫瘍に対する特異的免疫応答)が増強されているものと考えられた。この腫瘍局所での環境が、併用群における腫瘍増殖抑制効果の大幅な増強に関与している可能性が示唆された。
実施例3(脾臓内リンパ球免疫活性能の評価)
腫瘍局所だけではなく、全身の免疫応答の変化を検討するため、代表的な末梢リンパ系組織である脾臓細胞を用いて検討した。具体的には、腫瘍内リンパ球の免疫活性能の検討を行ったマウスより脾臓を摘出し、そこから脾細胞を分離して、主にCD4陽性ヘルパーT細胞、CD8陽性細胞傷害性T細胞の活性について、フローサイトメトリー法にて以下のように検討した。
・メモリー活性状態(CD44発現)
・サイトカイン産生プロフィール:Interferon−gamma(IFN−α;免疫活性化のマーカー)
:Interleukin−10(IL−10;免疫抑制のマーカー)
(結果)
無治療群と比較して、抗がん剤単独投与群でのT細胞、未熟ミエロイド細胞、樹状細胞の比率については、大きな変化を生じない(図8および9)。
抗MFG−E8抗体単独投与群でも抗がん剤と同等である。
抗がん剤と抗MFG−E8抗体を併用した群では、CD44発現およびIFNγ産生の明らかな増強を認めた。IL−10反応については無治療群、抗がん剤単独群と比較して有意差を認めなかった(図8および9)。
以上より、抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用により、腫瘍局所だけではなく全身性の抗腫瘍免疫応答が活性化していることが明らかとなった。
実施例4(抗MFG−8抗体、抗がん剤併用による腫瘍特異的細胞傷害性T細胞誘導能についての検討)
(方法)
無治療群、抗MFG−E8抗体群、抗がん剤群、および抗がん剤と抗体併用群で治療した担癌マウスよりリンパ節細胞を分離して、放射線処理(200Gy)したMC38大腸癌細胞と10:1の割合で共培養を施行した。5日後にリンパ節細胞と51Crで標識した標的腫瘍細胞を4時間混合培養したあと、γシンチレーターにて51Crの上清への放出量を計測することにより、腫瘍細胞傷害活性を計測した。
(結果)
抗MFG−E8抗体治療群由来のリンパ節細胞によりMC38に対する細胞傷害活性を認めた。さらに抗がん剤と抗MFG−E8抗体併用治療群由来のリンパ節細胞では、MC38特異的細胞傷害の増強作用を認めた。それに対し、B16悪性黒色腫細胞への傷害活性は殆ど誘導されなかった(図10)。
以上より、抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用により、腫瘍特異的細胞障害性リンパ球の誘導能増強を認めることが明らかとなった。
実施例5(MFG−E8による樹状細胞活性修飾を介した抗原特異的T細胞活性増強のin vitroでの検討)
(方法)
In vivoで認められた抗MFG−E8抗体と、抗がん剤との併用による樹状細胞、T細胞活性のメカニズムについてin vitroでの混合培養の系にて詳細に検討した。
具体的にはモデル抗原としてOvalbumin(OVA)を利用するため、DO11.10(MHC class II拘束性OVA抗原トランスジェニックマウス)より骨髄細胞を採取し、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)により樹状細胞を分化誘導する。誘導開始後Day7でMFG−E8組換え蛋白(100μg/mL)ないし抗MFG−E8抗体(20μg/mL)で処理、さらにday8にてMHC class IIOVA拘束性OVA peptide(5mg/mL)あるいは陰性コントロールpeptide(HSA)を6時間パルスした。それらを、Syngeneic(Balb/c)マウス由来のnaive CD4+陽性T細胞と、樹状細胞とCD4+T細胞の比が1:10の割合となるように混和し、抗CD3抗体(0.1μg/mL)存在下にて混合培養した。72時間後にT細胞活性状態をフローサイトメトリー法によってIFN−αおよびIL−10の細胞内発現を測定することにより検討した。
(結果)
無処理樹状細胞:OVA特異的な樹状細胞によるT細胞活性を認めた(IFN−α,IL−10供に増加しているため免疫活性、抑制機能双方を活性している状態と考えられる)。
MFG−E8を前刺激した樹状細胞:コントロール群に比して、OVA特異的なIFN−α産生低下、IL−10産生増強を認めた(抗原特異的免疫応答の抑制が認められた)。
抗MFG−E8抗体にて樹状細胞のMFG−E8を阻害した場合、コントロール群に比して、OVA特異的なIFN−α産生能の増強、IL−10産生の低下を認めた(抗原特異的免疫応答の活性化が認められた)。
以上よりMFG−E8は樹状細胞に直接作用し、その免疫活性機能を負に制御すること、抗MFG−E8抗体による中和により抗原特異的に樹状細胞による免疫応答を強力に活性化することが明らかになった。この抗MFG−E8抗体の機能は、peptideをパルスした樹状細胞においても同様に見られたので、樹状細胞の抗原提示以外の機能である共刺激分子の制御を介したものであると考えられた(図11(IFNgはIFN−α))。
実施例6(抗がん剤による腫瘍細胞からのMFG−E8発現(分泌)誘導の検討)
(方法)
抗がん剤によるMFG−E8阻害の感受性増強を検討するため、MC38大腸癌細胞、正常繊維芽細胞(NIH3T3,Primary Fibroblast)に各種抗がん剤(Doxorubicine、GEM,5−FU,CPT−11等)投与後24時間後におけるMFG−E8発現を細胞内フローサイトメトリー、細胞培養上清を用いELISA法にて検討した。
(結果)
各種抗がん剤投与により、MC38におけるMFG−E8産生能は有意に増強した。これに対してNIH3T3、Primary fibroblast非がん細胞でのMFG−E8発現は抗がん剤による増強効果を認めなかった(図12)。またB16メラノーマ細胞においても抗がん剤によるMFG−E8産生誘導を認めた(図13)。
以上の結果より、抗がん剤により腫瘍細胞のMFG−E8産生が誘導されることが判明した。これまでに明らかとなったMFG−E8の機能を考慮すると、抗がん剤に対する治療抵抗性獲得の機序の一つとなっている可能性が示唆された。
実施例7(抗MFG−E8抗体が抗がん剤による腫瘍細胞死誘導に与える影響についての検討)
(方法)
MC38大腸癌細胞株に各種抗がん剤(GEM:1M,CPT−11:0.5M,5FU:1M)投与する際に抗MFG−E8阻害抗体(20μg/mL)あるいは陰性コントロールとしてIgG抗体を同時に添加し、無血清下で48時間培養した後の細胞死比率をフローサイトメトリー法にて定量的に検討した。
(結果)
抗がん剤非添加群においても抗MFG−E8抗体添加にて有意の腫瘍細胞死の誘導を認めたが、抗がん剤と比してその効果は軽微である。
抗がん剤投与群については、コントロール群と比較して抗体併用群で、有意の腫瘍細胞死増強を認めた。この効果は抗がん剤の種類に関わりなく一定であった。
以上よりMFG−E8阻害による抗腫瘍効果には、免疫能増強による間接的な腫瘍退縮に加え、直接的な抗がん剤による腫瘍細胞アポトーシス誘導増強作用が関与している可能性が示された(図14)。
実施例8(インビボにおけるアポトーシス誘導)
(方法)
in vivoにおけるアポトーシスを測定するために、抗MFG−E8抗体存在下もしくは非存在下で、MC38もしくはB16腫瘍(25mm)をゲムシタビンもしくはダカルバジン(10mg/kg)で処理し、処理の4日後に腫瘍を採取、腫瘍ホモジェネート中のカスパーゼ3活性化をcolorimetric assay kit(インビトロジェン)で測定した。
(結果)
ゲムシタビンと抗MFG−E8抗体を投与されたマウスから摘出されたMC38腫瘍は、それぞれの薬剤で治療されたマウスから摘出された腫瘍と比較すると、カスパーゼ3活性を促進させた(図15)。同様に、B16メラノーマはダカルバジンと抗MFG−E8抗体を組み合わせると、カスパーゼ3活性が増加した(図15)。
実施例9(抗MFG−E8抗体と免疫)
(方法)
抗MFG−E8抗体による抗がん剤の抗腫瘍効果増強作用と免疫との関係を明らかにするため、免疫不全マウスおよび野生型マウスを用いて、実施例1と同様に腫瘍細胞MC38、B16またはMCA−205を移植して試験を行った。
すなわち、樹立した腫瘍細胞MC38(25mm)を移植したNOD−SCIDマウスに全身的に(systemic)GEMおよび抗MFG−E8モノクローナル抗体を投与した。また、樹立した腫瘍細胞MC38を移植し、抗体でCD4、CD8、またはNK1.1細胞を枯渇させた野生型C57B1/6マウスに、全身的に(systemic)GEMおよび抗MFG−E8モノクローナル抗体を投与した。また、MC38を移植した野生型C57B1/6マウスにGEM及び抗MFG−E8モノクローナル抗体を投与してMC38の増殖を抑制させたマウスに、50日経過後、MC38、B16又はMCA−205を移植し、抗腫瘍効果を検討した。
(結果)
免疫不全マウスであるNOD−SCIDマウスにおいては、実施例1で観察された抗MFG−E8抗体による、抗がん剤の抗腫瘍効果に対する増強効果は全く認められなかった(図16)。また、野生型マウスに対してCD4もしくはCD8T細胞を除去した場合、抗MFG−E8抗体と抗がん剤併用による抗腫瘍増強効果は低減した(図17)。GEM及び抗MFG−E8抗体投与により、MC38に対する増殖抑制効果が得られたマウスに、50日経過後に再度MC38を移植したところ、MC−38に対する増殖抑制効果が持続していた(図18)。一方、50日経過後に移植したB16及びMCA−205に対しては、増殖抑制効果は得られなかった(図18)。
この結果、抗MFG−E8抗体と抗がん剤併用療法による抗腫瘍活性を増強する効果が、持続的であり、特異性が高い宿主免疫応答を介するものであることが、より明確になった。
実施例10
(方法)
投与マウスから腫瘍浸潤細胞を採取し、CD11c、CD11bおよびCD86の発現をフローサイトメトリー法により分析した。また、骨髄由来樹状細胞と、PKH26で標識したEG.7−OVAとを(抗MFG−E8モノクローナル抗体でオプソニン化して、またはオプソニン化せずに)混合培養し、貪食性を評価した。
(結果)
抗がん剤と抗MFG−E8抗体の併用治療により、CD11b、CD11cの樹状細胞の数は、有意に増加し、そして、これらの細胞は、共促進する分子CD86を高発現した(図19)。骨髄由来の樹状細胞は、in vitroの系で、化学療法に晒されたMC38及びB16細胞を効果的に貪食した(図20)ので、腫瘍浸潤の解析により、in situにおける腫瘍細胞の樹状細胞捕捉がT細胞プライミングに重要であるという可能性が考えられる。
実施例11
(方法)
樹状細胞(BMDCs)は、GM−CSF条件培地を用いて骨髄前駆細胞から7日間培養し、その後、組換えMFG−E8(100ng/mL、R&D Systems社)、抗MFG−E8モノクローナル抗体(20μg/mL、MBL)もしくはポリクローナルMFG−E8抗血清(20μg/mL)で一晩処理した。培養上清中のIL−12、IL−23、TNF−αおよびIL−10濃度はELISA法により測定した。7日目のBMDCsは、PKH26(Sigma−Aldrich)で標識したEG.7−OVA細胞とともに12穴丸底プレートで共培養し(比1:10)、貪食作用をフローサイトメトリー法で測定した。共培養の前に抗MFG−E8モノクローナル抗体(30mg/mL)で30分間前処理した腫瘍細胞での実験も行った。αβインテグリン阻止抗体(RMV−7、Millipore)もしくはFcレセプター阻止抗体(BD Bioscience)の腫瘍細胞取り込みに対する影響も同様に評価した。交差提示をテストするため、ナイーブCD4T細胞をC57BL/6−Tg(ACTB−OVA)916Jen/Jマウスの脾臓からmagnetic cell sorting(Miltenyi Biotech)を用いて単離し、24時間腫瘍細胞を負荷した樹状細胞に加えた。細胞内のIFN−γ発現は、フローサイトメトリー法で測定した。
in vivoにおける交差提示アッセイとして、X線処理したEG.7−OVA細胞(1×10/マウス)をMFG−E8モノクローナル抗体(1mg/mL)、抗FcRブロック抗体(1mg/mL)もしくはアイソタイプコントロールとともにOT−Iマウスの足蹠に投与した。投与5日後にマウスを屠殺し、流入領域リンパ節細胞を単離して、MHCクラスI拘束性OVAペプチド(10mg/mL)とともに一晩培養した。その後、培養上清を用い、CD8T細胞によるIFN−γ産生をフローサイトメトリーもしくはELISA法で測定した。
(結果)
骨髄由来の樹状細胞は、照射されたEG.7−OVA細胞を効果的に取り込んだが、αβインテグリンに対する抗体により部分的に阻害された。このことは、MFG−E8がこの系において腫瘍細胞の取り込みに寄与したことを示している(図21)。抗MFG−E8抗体は、放射線処理されたEG.7−OVA細胞の全貪食には影響しなかったが、αβインテグリンに対してではなく、Fc受容体に対する拮抗抗体は、EG.7−OVA細胞の取り込みを減衰させた。これらの結果は、抗MFG−E8抗体が、MFG−E8介在腫瘍細胞の取り込みに対する受容体を、αβインテグリンからFc受容体にスイッチすることを明らかにしている。このスイッチ作用に関しては、Fc受容体を介する取り込みを促進できる抗体ならではの機能と考えられるため、抗MFG−E8抗体による抗腫瘍効果はMFG−E8の機能を特異的に阻害する抗体以外の薬剤を使用した場合のそれよりも格段に大きいものと想定される。
免疫刺激を引き起こすFc受容体を活性化する力と一致して、抗MFG−E8抗体によるEG.7−OVA細胞のオプソニン化が、C57B1/6同系マウスからのOVA TCR トランスジェニックT細胞の樹状細胞刺激を増加させ、結果として、IFN−γ産生が増加する一方、抗Fc受容体抗体は、クロスプライミングを阻害した(図22、23)。対照的に、抗αβインテグリンが、放射線処理されたEG.7−OVA細胞のみあるいは抗MFG−E8抗体がオプソニン化したかどうかのT細胞応答を増大させ、放射線処理されたEG.7−OVA細胞が樹状細胞に送られた。事実、樹状細胞上のαβインテグリンのMFG−E8取り込みはIL−10分泌を増加する一方、抗MFG−E8抗体によるMFG−E8取り込みの阻害はIL−10を減少し、IL−12、IL−23及びTNF−α産生を増加させた(図24)。このサイトカインプロファイルの調節は、抗MFG−E8抗体による免疫活性化作用に寄与していると考えられる。
実施例12
抗がん剤および抗MFG−E8抗体の投与時期による抗腫瘍効果の影響を検討した。すなわち、実施例1においては、抗がん剤と抗MFG−E8抗体は同時に投与したが、投与時期を変更して、抗MFG−E8抗体による抗がん剤の抗腫瘍効果に対する作用を検討した。
その結果、抗がん剤と抗MFG−E8抗体と同時投与又は、先に抗がん剤を投与し、次いで抗MFG−E8抗体を投与することにより、顕著に優れた抗腫瘍効果が得られた。このことは、抗MFG−E8抗体の作用が、抗がん剤によるがん細胞傷害作用に引き続く、がん免疫を含む免疫原性の活性化によることを明らかにしたものといえる。
実施例13(他の抗がん剤2種以上の併用)
(方法)
マウス大腸癌MC−38(1×10/mouse)を皮下接種後10日目(腫瘍径25mm)に以下の薬剤を第10、12、14、16、18日に腹腔内投与した。
・化学療法単独群:5FU(20mg/kg)+CPT−11(2mg/mL)
・抗MFG−E8抗体単独
・併用群:5―FU(20mg/kg)+CPT−11(2mg/mL)+抗MFG−E8阻害抗体(1mg/kg)
(結果)
化学療法単独群、併用群で腫瘍縮小効果を認め、第30日には腫瘍消失を認めた。ただし、投与後長期間経過後(第120日<)に両群で明らかな抗腫瘍効果の相違を認めた。つまり、化学療法単独群の多くで急速な腫瘍再燃をきたしたのに対し、抗がん剤+抗MFG−E8抗体併用群では再発例は認められなかった。以上より、抗がん剤と抗MFG−E8抗体を併用することにより、長期的な腫瘍増殖抑制効果を発揮することが判明した。

Claims (11)

  1. 抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを組み合せてなる抗がん剤であって、抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを別製剤として使用し、腫瘍抗原を投与しないで使用するものである抗がん剤。
  2. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤又は分子標的薬である請求項1記載の抗がん剤。
  3. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、ゲムシタビン、5−FU、CPT−11、エトポシド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダカルバジン、ドキソルビシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、抗血管内皮増殖因子受容体2阻害抗体又は上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤である請求項1又は2記載の抗がん剤。
  4. 抗MFG−E8抗体を含有し、放射線療法、凍結療法、ラジオ波凝固療法、エタノール注入療法及び動脈塞栓法から選ばれるがん治療法と組み合せて使用するための抗がん剤であって、腫瘍抗原を投与しないで使用するものである抗がん剤。
  5. 抗MFG−E8抗体を有効成分とし、抗MFG−E8抗体と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤又は放射線療法、凍結療法、ラジオ波凝固療法、エタノール注入療法及び動脈塞栓療法から選ばれるがん治療法と組み合せて使用するための、腫瘍細胞に対する特異的免疫誘導薬であって、腫瘍抗原を投与しないで使用するものであり、抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを組み合せた場合には、抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを別製剤として使用するものである特異的免疫誘導薬。
  6. 抗MFG−E8抗体が、抗原提示細胞上のFc受容体を介して腫瘍細胞に対する特異的免疫を誘導する、請求項5記載の特異的免疫誘導薬。
  7. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤又は分子標的薬である請求項5又は6記載の特異的免疫誘導剤。
  8. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、ゲムシタビン、5−FU、CPT−11、エトポシド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダカルバジン、ドキソルビシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、抗血管内皮増殖因子受容体2阻害抗体又は上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤である請求項5〜7のいずれか1項記載の特異的免疫誘導剤。
  9. 抗MFG−E8抗体を含み、
    抗MFG−E8抗体と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤又は放射線療法、凍結療法、ラジオ波凝固療法、エタノール注入療法及び動脈塞栓療法から選ばれるがん治療法とを組み合せて使用するものであり、前記がん治療法によってMFG−E8が発現誘導された腫瘍細胞に対する免疫寛容を、抗MFG−E8抗体が抑制するとともに免疫を賦活化する免疫経路スイッチ剤であって、当該スイッチ経路が、抗原提示細胞上のαvβ3インテグリンを介した免疫寛容経路を抑制し、Fc受容体を介した免疫賦活化経路にスイッチするものであり、腫瘍抗原を投与しないで使用するものであり、抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを組み合せた場合には抗MFG−E8抗体と腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを別製剤として使用するものである免疫経路スイッチ剤。
  10. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤又は分子標的薬である請求項9記載の免疫経路スイッチ剤。
  11. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤が、ゲムシタビン、5−FU、CPT−11、エトポシド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダカルバジン、ドキソルビシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、抗血管内皮増殖因子受容体2阻害抗体又は上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤である請求項9又は10記載の免疫経路スイッチ剤。
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