JP4685400B2 - 粒子のコーティング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶性の高い薬物含有核粒子等の水溶性粒子に水系膜剤液の湿式コーティングにより被覆層を形成する方法に関する。
例えば、医薬品業界では、薬物伝達を目的とした製剤設計の研究が進められており、原薬の溶出制御が重要な課題となっている。溶出制御としては、薬物粒子の表面に、腸溶性、胃溶性、徐放性、防湿性、光分解性、苦味マスク等の種々の機能性被膜を形成することが広く行われている。このような機能性被膜のコーティング処理は、流動層装置を用いて行われる場合が多く、近年は流動層装置の改良により、微粒原薬への直接コーティングが可能となり、固形製剤の細粒化やマイクロカプセル化等の多様な製剤設計を可能にしている。その一方で、微粒原薬へのコーティングは、原料の総表面積が大きくなることにより、多くの膜剤量と処理時間を要しているのが現状であり、生産効率、製品品質に関する問題も少なくない。
また、流動層装置を用いたコーティング操作は、一般的に膜剤液の液滴の噴霧による湿式コーティングであるが、近年は安全面や環境保護の観点から、有機溶剤系の膜剤液に代えて水系の膜剤液を使用する場合が増えてきている(水系コーティング)。しかしながら、水溶性の高い薬物粒子等の水溶性粒子のコーティングに水系膜剤液を使用すると、噴霧された膜剤液の液滴が粒子表面に付着して十分に乾燥されるまでの間に粒子成分(薬物)が被覆層中に溶解・浸透して、目的とする溶出制御が困難になる場合が多い。一方、コーティング操作をさらに進めることによって被覆層中の粒子成分濃度を低下させることはできるが、目的とする溶出制御性能を得るためには大量の被覆量が必要となり、生産効率の低下につながる。
上記の点に関連して、下記の特許文献1には、薬理活性物質を含有する固形成型物の表面に、水不溶性高分子の微粉を粉末状態で添加し被膜形成した後、水系コーティング法によってコーティングする被コーティング製剤の製法が開示されている。
特開平9−143056号公報
特許文献1に開示された製法は、固形成型物の表面に水不溶性高分子の微粉を粉末状態で添加して第1被覆層を形成する工程と、第1被覆層の表面に水系膜剤液を噴霧して第2被覆層を形成する工程とを有するものであるが、各工程をそれぞれ異なる装置で別々に行っている。例えば、同文献の実施例では、第1被覆層の形成を転動造粒機で行い、第2層被覆層の形成を流動層装置で行っている。そのため、工程間における原料の移送や各装置ごとの運転準備・監視作業が必要となり、処理時間が増大するという問題がある。
また、第1被覆層を形成する工程において、水不溶性高分子の粉末を固形成型物の表面に付着させるために結合剤液を噴霧しているが、このようなコーティング操作は、医薬品原末のような微粒子に対しては粒子同士の凝集を生じやすく、良好なコーティング品質を確保することが難しい。また、結合剤液を噴霧するので上述した問題が生じる。すなわち、結合剤として、水系のものを使用した場合は被覆層中への粒子成分(薬物)の溶解・浸透の問題が生じ、有機溶媒系のものを使用した場合は安全面や環境上の問題が生じる。
本発明の課題は、水溶性の高い薬物粒子等の水溶性粒子に水系膜剤液の湿式コーティングにより被覆層を形成するに際し、水系膜剤液による被覆層中への粒子成分の溶解・浸透の問題を解決すると共に、処理時間を短縮し、生産性の向上を図ることである。
上記課題を解決するため、本発明は、水溶性粒子の表面に疎水性粉末を機械的なせん断と展延作用により展延付着させる乾式コーティングにより第1被覆層を形成する工程と、第1被覆層を形成した粒子の表面に水系膜剤液の湿式コーティングにより第2被覆層を形成する工程とを含み、第1被覆層を形成する工程と、第2被覆層を形成する工程とを、単一の流動層装置内で連続して行う粒子のコーティング方法を提供する。
ここで、本発明における水溶性粒子とは、その表面に水系膜剤液を直接噴霧して被覆層を形成した場合、粒子成分が上記被覆層中に溶解移行(浸透)する程度の高い水溶性を示す粒子をいう。また、本発明における乾式コーティングとは、結合剤液等の液体を添加することなく、機械的なせん断と展延作用により、疎水性粉末を水溶性粒子の表面に展延付着させて被覆層を形成する操作をいう。さらに、本発明における湿式コーティングとは、粒子の表面に水系膜剤液の液滴を噴霧して被覆層を形成する操作をいう(水系湿式コーティング)。
水系湿式コーティングによる第2被覆層の下層に、疎水性粉末の乾式コーティングによる第1被覆層を形成することにより、水溶性粒子成分の第2被覆層中への溶解・浸透が防止又は抑制され、水溶性粒子成分の溶出制御が効果的になされる。
第1被覆層を形成する工程と第2被覆層を形成する工程とを、単一の流動層装置内で連続して行うことにより、工程間における原料の移送や各装置ごとの個別的な運転準備・監視作業を不要にして、処理時間を短縮することができる。
上記の流動層装置として、例えば、流動層容器と、流動層容器内を流動循環する粒子の凝集を機械的な解砕力によって分散する整粒機構と、流動層容器内を流動循環する粒子に向けて水系膜剤液を噴霧するスプレーノズルとを備えた流動層装置を用いることができる(本出願人が先に提案している特開2004−148291号公報を参照)。ここで、機械的な解砕力とは、整粒機構を構成する部材の運動によって、粉粒体粒子に与えられる衝突力、衝撃力、反発力、圧壊力、剪断力、撹拌力、摩擦力などの力である。そのような機械的な解砕力によって粉粒体粒子の凝集を分散する整粒機構として、例えば、解砕羽根を有するインペラーを備えたもの、さらに、インペラーの解砕羽根と所定の間隙を設けて配設されたスクリーンを備えたものを採用することができる。また、上記の整粒機構として、同心状に配設され且つ複数の歯を有するロータ及びステータを備えたものを採用することができる。このようなロータ及びステータを備えた整粒機構はホモジナイザーとも呼ばれ、一般には、分散乳化装置に使用されている(例えば、株式会社パウレック製「ユニバーサルミキサーSRシリーズ」)。あるいは、上記の整粒機構として、相対回転する円盤に多数のピンを設けたもの(いわゆるピンミル)、多数のスイングハンマーを設けた円盤状のハンマープレートとインボリュート型のくぼみのあるライニングプレートとを備えたもの(例えば、株式会社パウレック製「Powrex Atomizer」)等を採用することもできる。
本発明によれば、水溶性の高い薬物粒子等の水溶性粒子に水系膜剤液の湿式コーティングにより被覆層を形成するに際し、水系膜剤液による被覆層中への粒子成分の溶解・浸透の問題を解決すると共に、処理時間を短縮し、生産性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、この実施形態で用いる流動層装置の全体構成を概念的に示している。
流動層容器1は、例えば上方部分が円錐筒状、下方部分が円筒状をなし(上方部分が円筒状、下方部分が円錐筒状の場合もある。)、上部空間にフィルターシステム2が設置され、底部にパンチングメタル等の多孔板で構成された気体分散板3が配設されている。また、底部の中心に回転ロータ4が配設され、回転ロータ4の上方に整粒機構5が配設され、整粒機構5の上方に円筒状のドラフトチューブ6が設置されている。さらに、整粒機構5の側方に1又は複数のスプレーノズル7が配設されている。
図2は、流動層容器1の下方部分を示している。ドラフトチューブ6は、整粒機構5のスクリーン5bと共に、取付部材6aを介して流動層容器1の側壁に固定され、その上端部は開口している。例えば、ドラフトチューブ6の上方部分6bは円筒形状、下方部分6cは下方に向かって縮径する円錐形状になっている。
整粒機構5は、複数、例えば2枚の解砕羽根5a1を有するインペラー5aと、所定径の多数の孔を有するスクリーン(ふるい)5bとを備えている。スクリーン5bは下方に向かって縮径する円錐台形状をなし、ドラフトチューブ6の下端部に適合される。インペラー5aは、回転軸5cの上方部分にボルト5dで着脱自在に固定され、その解砕羽根5a1の側縁はスクリーン5bの内面と所定の間隙を有している。回転軸5cは、気体分散板3の中心部を貫通して流動層容器1の下方に延び、流動層容器1のスタンド8に固定されたハウジング9に軸受10で回転自在に支持される。尚、ハウジング9の内部はシール部材11によってシールされる。また、回転軸5cと気体分散板3との間はラビリンスシールによってシールされる。
回転軸5cのインペラー5aより下方部位に、スペーサ13、エアキャップ14、及び回転ロータ4が固定される。回転ロータ4は、気体分散板3の上面と所定の隙間を有し、気体分散板3の上面を覆うように配設される。
回転軸5cは、図示されていない適宜の回転駆動手段に連結され、回転駆動手段によって回転駆動される。回転軸5cの回転に伴い、インペラー5a、エアキャップ14、及び回転ロータ4が一体となって高速回転する。尚、スクリーン5bの下端開口部は、インペラー5a及びエアキャップ14との間にラビリンスシール(又は接触シール)を構成する。また、インペラー5aと回転ロータ4は、相互に異なる速度で回転させるようにしても良い(例えば、回転ロータ4の回転速度をインペラー5aの回転速度をよりも遅くする。)。
スプレーノズル7は、例えば、回転軸5cの軸心を中心とする所定半径の円に対して、接線方向にスプレー液を噴霧するように配置される(いわゆるタンジェンシャルスプレー)。
流動化気体(例えば熱風)は、気体分散板3を介して流動層容器1内に給気される。気体分散板3から流動層容器1内に噴出した流動化気体は、回転ロータ4の下面と気体分散板3の上面との間の隙間部を通り、回転ロータ4の外周と流動層容器1の底部の内壁との間の隙間部を上昇し、さらに、整粒機構5と流動層容器1の内壁との間の空間部と、ドラフトチューブ6の外周と流動層容器1の内壁との間の空間部を上昇して、フィルターシステム2に達する。そして、フィルターシステム2で微粉等を濾過された後、装置外部に排気される。また、整粒機構5のインペラー5aの回転によるファン効果によって、スクリーン5bの内側から外側への気流が発生する。これにより、ドラフトチューブ6の内部は周囲に比べてごく弱い負圧になり、ドラフトチューブ6の上端部では周囲の粉粒体粒子を内部に吸引する効果が得られる。
図1に示すように、流動層容器1内に投入された粉粒体粒子Pは、回転ロータ4の外周と流動層容器1の底部の内壁との間の隙間部、整粒機構5と流動層容器1の内壁との間の空間部、ドラフトチューブ6の外周と流動層容器1の内壁との間の空間部を上昇する上昇気流に乗って上昇し、流動層容器1内をある程度上昇した後、自重によって下降し、さらに上記の吸引効果を受けて、ドラフトチューブ6の内部に流入する。そして、ドラフトチューブ6内に流入した粉粒体粒子Pは、ドラフトチューブ6内を下降して整粒機構5に達し、インペラー5aの回転に伴う遠心効果を受け、所定径の多数の孔を有するスクリーン5bを通過する際に二次凝集部分や団粒部分が解砕されて、単粒子状または所定粒径の粒子に分散される(整粒作用)。
整粒機構5を通過した粉粒体粒子Pは、回転ロータ4の遠心効果によって再び上記の上昇気流に戻される。このようにして、流動層容器1内の粉粒体粒子Pに、回転ロータ4の外周と流動層容器1の底部の内壁との間の隙間部、整粒機構5と流動層容器1の内壁との間の空間部、ドラフトチューブ6の外周と流動層容器1の内壁との間の空間部を上昇し、ドラフトチューブ6の内部に沿って下降する方向に浮遊循環する流動層が形成される。
上記の流動層装置を用いて、水溶性粒子、例えば水溶性薬物粒子のコーティング操作を行う。
まず、水溶性薬物原料に膜剤として疎水性粉末を添加し、混合した後、流動層容器1内に仕込む。そして、流動層装置を上記の態様で運転し、薬物粒子と疎水性粉末を流動層容器1内で流動循環させる。図3に示すように、薬物粒子Pと疎水性粉末P’は混合状態で流動層容器1内を流動循環し、整粒機構5を繰り返し通過する際に、整粒機構5から機械的せん断、展延作用を受け、疎水性粉末P’が薬物粒子Pの表面に展延付着して第1被覆層L1が形成される(乾式コーティング)。
上記の乾式コーティング操作における流動化気体の給気風量は、例えば、流動層容器1内で薬物粒子Pと疎水性粉末P’とが分離しない程度の低風量に設定する。また、流動化気体の給気温度は、疎水性粉末の熱的特性により、室温から疎水性粉末の軟化点の範囲で設定する。尚、薬物原料のみを先に流動層容器1内に仕込み、薬物粒子を流動層容器1内で流動循環させつつ、疎水性粉末を流動層の下部などから適量づつ添加するようにしても良い。
上記の乾式コーティングにより、薬物粒子Pの表面に疎水性粉末P’の第1被覆層L1を形成した後、湿式コーティングに移行する。図3に示すように、湿式コーティングは、疎水性粉末P’の第1被覆層L1を形成した薬物粒子Pの表面に水系膜剤液の液滴を噴霧し、水系膜剤液中に含まれる膜剤成分(固形分)を薬物粒子Pの表面に付着乾燥させて、膜剤成分からなる第2被覆層L2を形成する工程である。乾式コーティングから湿式コーティングへの移行は、流動層装置の運転状態を継続しつつ、操作条件を切り替えることによって行う。この湿式コーティング操作は、流動層装置を用いた通常のスプレーコーティング操作と同じ条件で行うことができる。
図1に示すように、この実施形態において、整粒機構5を通過し、回転ロータ4の遠心効果によって上記の上昇気流に戻された薬物粒子P(乾式コーティングにより疎水性粉末P’の第1被覆層L1を形成した薬物粒子P)は、この位置で、スプレーノズル7から水系膜剤液の噴霧を受ける。そして、水系膜剤液の噴霧を受けた薬物粒子Pは、ドラフトチューブ6の外周と流動層容器1の内壁との間の空間部を上昇する際に乾燥を受け、再びドラフトチューブ6の内部に流入し、整粒機構5に送られて整粒作用を受ける。このようにして、水系膜剤液噴霧→乾燥→整粒というサイクルが繰り返されることによって、薬物粒子P同士が二次凝集を起こすことなく、水系膜剤液の液滴中に含まれる膜剤成分が薬物粒子Pの表面に付着乾燥して第2被覆層L2が形成される(水系湿式コーティング)。
水溶性薬物として微小粒径(平均粒径D50=53μm)かつ比較的高い水溶性(溶解性)を示す無水カフェイン粉末を用い、これに疎水性粉末としてカルナウバロウ(ワックス)粉末を加えて混合した後、上記の流動層装置の流動層容器1内に仕込み、上述した態様で乾式コーティング→湿式コーティングを連続的に行った。被覆量は、無水カフェイン重量に対して、乾式コーティングでは5%、湿式コーティングでは90%(無水カフェイン重量と、噴霧した水系膜剤液中の固形分重量との割合)とした。操作条件は表1に示す通りである。
無水カフェイン原末、乾式コーティング後の粒子、湿式コーティング後の粒子のSEM観察結果を図4〜図6にそれぞれ示す。図5に示す観察結果により、乾式コーティング操作後の粒子表面に疎水性粉末の被覆層(第1被覆層)が形成されていることが確認された。また、図6に示す観察結果により、湿式コーティング操作後の粒子表面に水系膜剤液の被覆層(第2被覆層)が形成されていることが確認された。また、乾式コーティング後の粒子、湿式コーティング後の粒子は、いずれも、整粒機構5の整粒作用により、二次凝集を起こすことなく比較的均一な粒径に整粒されていることが確認された。
図7は、図6に示す湿式コーティング後の粒子(実施例品:◆で表示)と、上記の流動層装置を用いて同じ操作条件で湿式コーティングのみを実施した粒子(比較例品:◇で表示)について行った溶出試験の結果を示している。同図に示す結果から、実施例品(◆)では、疎水性の乾式コーティング層(第1被覆層)により、核粒子成分(カフェイン)の湿式コーティング層(第2被覆層)への溶解・浸透が防止又は抑制され、比較例品(◇)に比べて、良好な溶出制御性能を示すことが確認された。
図8は、80%溶出時間とコーティング率との関係を示している。80%溶出時間5分で必要な湿式コーティング量は、比較例品(◆)では82%(無水カフェイン重量と、噴霧した水系膜剤液中の固形分重量との割合)であるのに対し、実施例品(◇)では45%であり、実施例品(◇)はより少量の湿式コーティング量で比較例品(◆)と同じ溶出制御性能を得ることができる。
操作時間で比較すると、図9に示すように、実施例(左側)では乾式コーティングに20分の時間を要するものの、湿式コーティングを連続して行うことにより、比較例(右側)に比べて約90分の時間短縮を実現できた。すなわち、実施例では、比較例で要した全コーティング時間に対して、約37%という大幅な時間短縮を実現できた。
[乾式コーティング操作]
実施例1と同様に、水溶性薬物には微小粒径(平均粒径D50=53μm)かつ比較的高い水溶性(溶解性)を示す無水カフェイン粉末を用いた。無水カフェイン粉末500gに対し、物性の異なる7種類の乾式膜剤(グリセリン酸脂肪酸エステル、食用油脂、ロウ、硬化油、徐放性コーティング粉末)のうち1種類をそれぞれ重量比10%で混合し、上記の流動層装置の流動層容器1内で20分間循環流動させて乾式コーティングを行った。この時の操作条件を表2に示す。
上記の乾式コーティング操作において、流動層容器1内の粒子の流動状態を観察した結果、粒子の流動状態は乾式膜剤の種類によって表3に示す3つの態様に類別できた。
無水カフェイン原末、乾式コーティング後の粒子のSEM観察結果を図10に示す。粒子の流動状態と成膜性には関係があり、流動状態の悪化は粒子表面への乾式膜剤被膜の展延を示すものと考えられる。乾式膜剤Aは操作初期に被膜が展延されると考えられ、最も均一な被膜が形成されている。乾式膜剤Bは操作後期で被膜展延する。乾式膜剤Cでは流動悪化状態がなく若干の粒子表面の変化はみられるものの、多くの未付着の膜剤粉体がカフェイン原末粒子と混在していた。また、原末粒子表面に膜剤粉体が散在し不規則な表面形状であった。
図11は、上記の乾式コーティングのみを行った粒子についての溶出試験の結果を示している。尚、乾式コーティング粒子には粒子表面が疎水化し、試験液に浮遊し評価できない粒子も存在したことから、2(KN)の低圧で圧縮成型して試験用サンプルとした。また、即時崩壊するように成型品500(mmg)中の半分量は崩壊剤L−HPCを混合して作製した。比較のためにカフェイン原末についても同様に成型品を作製し評価した。溶出試験は、日本薬局方試験(パドル法)に準じて、パドル回転数50rpm、溶出試験液は37°Cの精製水900mlで実施した。
図11に示すように、溶出時間2分までは、乾式膜剤品A、B、Cはいずれも原末成型品に比べて溶出が抑制されているが、溶出時間2分以降、乾式膜剤品B、Cでは速やかに溶出する結果となった。乾式膜剤品Aについては全体的に原末成型品と比較して溶出が遅延した。乾式膜剤品Aは上述したように粒子表面全体が疎水化され、水の薬物への浸透が抑制されている。一方、乾式膜剤B、Cではある一定時間までは被膜の性能が確認できるが、これを超えると水が薬物に浸透し溶解する結果を示した。
[湿式コーティング操作]
上記の乾式被覆粒子(乾式膜剤品A、B、C)に対して、エチルセルロース系水溶液{アクアコート(大日本製薬)93%、トリアセチン(有機合成薬品工業)7%}を用いて湿式コーティングを行った。この時の操作条件を表4に示す。
被覆量(コーティング率)は、無水カフェイン重量に対して60%(無水カフェイン重量と、噴霧した水系膜剤液中の固形分重量との割合)とし、途中40%コーティング時にサンプリングを実施した。得られたコーティング粒子は、棚型乾燥機にて60°C、2時間キュアリングを実施した。また、比較例品として、乾式コーティングを行わずに、同じ操作条件で湿式コーティングのみを行ったサンプルを作製した。そして、コーティング率40%、60%の実施例品及び比較例品について溶出試験を行い、溶出制御性能を比較した。溶出試験は、日本薬局方試験(パドル法)に準じて、パドル回転数50rpm、溶出試験液は37°Cの精製水900mlで実施した。その結果を図12、13に示す。尚、溶出制御性の確認のために、無水カフェイン原末の溶出試験結果も併記した。
図12、13に示す試験結果から、乾式膜剤品B(○)の場合、比較例品(△)に比べて高い溶出制御性能を発揮することが確認された。乾式膜剤品A(黒四角)については、40%コーティングまでは溶出制御性能の向上は認められたが、コーティング率を増加させると溶出制御性能が低下した。乾式膜剤品Aの粒子表面をSEM観察すると、エチルセルロース被膜の破断がみられたことから、乾式膜剤Aの被覆によりエチルセルロース被膜の固着性が低下したことが原因と考えられる。乾式膜剤品C(□)については、乾式コーティング操作の効果は認められなかった。これは、未付着の乾式膜剤や原末粒子表面に散在して付着した乾式膜剤がエチルセルロースの被膜性能を低下させたためと考えられる。また、乾式膜剤が水に溶解するため、薬物が被膜側へ移行したことも一因であると考えられる。
実施形態で用いる流動層装置の全体構成を概念的に示す図である。 図1の流動層容器1の主要部分を示す拡大断面図である。 被覆層の形成過程を示す模式図である。 無水カフェイン原末粒子のSEM観察結果を示す図である。 乾式コーティング後の粒子のSEM観察結果を示す図である。 湿式コーティング後の粒子のSEM観察結果を示す図である。 溶出試験の結果を示す図である。 80%溶出時間とコーティング率との関係を示す図である。 操作時間の比較を示す図である。 無水カフェイン原末と乾式コーティング後の粒子のSEM観察結果を示す図である。 溶出試験の結果を示す図である。 溶出試験の結果を示す図である。 溶出試験の結果を示す図である。
符号の説明
1 流動層容器
5 整粒機構
7 スプレーノズル
P 水溶性粒子
P’ 疎水性粉末
L1 第1被覆層
L2 第2被覆層

Claims (2)

  1. 水溶性粒子の表面に疎水性粉末を機械的なせん断と展延作用により展延付着させる乾式コーティングにより第1被覆層を形成する工程と、前記第1被覆層を形成した粒子の表面に水系膜剤液の湿式コーティングにより第2被覆層を形成する工程とを含み、前記第1被覆層を形成する工程と、前記第2被覆層を形成する工程とを、単一の流動層装置内で連続して行う粒子のコーティング方法。
  2. 前記流動層装置は、流動層容器と、該流動層容器内を流動循環する粒子の凝集を機械的な解砕力によって分散する整粒機構と、該流動層容器内を流動循環する粒子に向けて水系膜剤液を噴霧するスプレーノズルとを備えている請求項に記載の粒子のコーティング方法。
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