JP4684958B2 - シート材情報検知装置、ならびにシート材処理装置 - Google Patents

シート材情報検知装置、ならびにシート材処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、電力で駆動される外力印加部材を用いてシート材に外力を印加してシート材情報を検知するシート材情報検知装置、詳しくは電力ダウンが発生した場合の制御に関する。
近年、画像形成装置(LBP、複写機、インクジェットプリンタ、など)に代表されるシート材処理装置では、処理されるシート材の種類が多様化している。シート材処理装置を使用するユーザーや使用環境も多様化している。画像形成装置に限って言えば、このように多様化したシート材に対して、高品質化(高画質化・処理の高速化など)の要求が高まっている。反面、シート材の多様化、処理内容の多様化に伴って、ユーザーが設定する項目数が膨大になり、最適な処理条件の設定が困難になっている。そこで、シート材処理装置に各種のセンサを配置して、シート材の大きさ、厚み、材質等のシート材情報を自動的に識別して、最適な処理条件を自動設定する技術が一部実用化されている。
特許文献1には、様々なシート材情報をデータベースとして複数のプリンタで共有するシステムが示される。ここでは、テクスチャ、光沢度、インク吸収度、輝度、グロス、色反射、色深度、粒状性、白み、湿度、熱損失、接着性、付着性等のシート材情報がデータベース化されている。操作画面上でシート材を指定すると、データベースから必要なシート材情報が取り出され、シート材情報に応じて最適化された処理条件が指定されたプリンタに自動設定される。
しかし、同一種類のシート材(紙)でも温度、湿度、保管環境、保管時間等によってシート材の曲げ弾性、減衰性能と言ったシート材情報は大幅に変化する。特許文献1のデータベースは、固定値を扱うので、このような環境条件の細かな違いを織り込んだ設定への対応が困難である。
そこで、シート材情報検知装置をシート材処理装置に組み込んで、処理するシート材の1枚ずつで必要なシート材情報を取得して、搬送条件や処理条件にフィードバックすることが提案されている。
特許文献2には、外力受け部材と支持部材との間にシート材を挟み込んで、外力印加部材を上方から自然落下して衝突させ、支持部材に伝達された衝撃力を圧電素子で検知するシート材情報検知装置が示される。ここでは、シート材情報としてシート材の圧縮特性が測定される。
しかし、特許文献2に示されるシート材情報検知装置は、搬送条件の設定に必要なシート材の曲げ弾性を検知できない。また、シート材の広い面積を圧縮するために、重い外力印加部材をかなり高い位置から落下させるので、短時間で高頻度な動作を要求される実用的なシート材処理装置には搭載できない。
特許文献3には、外力印加部材をシート材に衝突させ、シート材を介して外力受け部材に伝達された衝撃力を圧電素子で検知するシート材情報検知装置が示される。ここでは、変形する圧電素子の電圧出力のピーク値を判別してシートの曲げ弾性をシート材情報として出力する。
特許文献3に示されるシート材情報検知装置は、グラムレベルの外力印加部材をミリメートルレベルのストロークで衝突させるので、短時間、高頻度で実用的な精度を持ったシート材情報を検知できる。
特開2004−038983号公報 特開2002−310866号公報 特開2005−024550号公報
特許文献3のシート材情報検知装置では、軽量、高精度に組立てられた外力印加部材と外力受け部材との対向間隔が狭い搬送経路を、シート材が高速通過する。従って、折れ曲がりやカールを伴ったシート材が通過する場合やシート材が重ね送り(重送)された場合に、搬送経路の壁面、外力印加部材或いは外力受け部材にシート材が高速で衝突する、或いは紙詰まり(ジャムともいう)する場合がある。この結果、外力印加部材や外力受け部材の調整が狂う可能性がある。
また、特許文献3のシート材情報検知装置では、外力印加部材を衝突させる際のシート材高さを位置決めるため、シート材を厚み方向に保持する保持手段を設ける場合がある。この場合も、保持手段の狭い保持間隔にシート材が高速で衝突する、或いは紙詰まりする可能性がある。
そこで、シート材の衝突や紙詰まりを電気的に検知し、外力印加部材と外力受け部材との対向間隔や上記保持間隔を、モーターやソレノイドを用いて強制的に拡大させる退避制御が提案された。
しかし、電気的な検知、電気的な制御、電気的な駆動に頼る退避制御では、肝心の電力が停止した際には、外力印加部材と外力受け部材との対向間隔や保持間隔が拡大されない。拡大されないこれらの間隔に後からシート材が飛び込むと、シート材の新たな紙詰まり(ジャム)や重ね送りを生じる可能性がある。
また、シート材情報検知装置以外の場所で紙詰まりやシート材の重ね送りが発生した場合、電気的な検知がされず、外力印加部材と外力受け部材との対向間隔や保持間隔は強制的に拡大されない。これらの狭いままの間隔にシート材を残してシート処理装置の電源が停止され、復帰のためにシート材が無理に引き出されると、狭いままの間隔に拘束されたシート材が破れる可能性がある。シート材が破れなければ、外力印加部材や外力受け部材に無理な力がかかって調整が狂う可能性もある。ここで上記「拘束」とは、情報検知のための衝撃印加動作も含まれる。
本発明は、何らかの原因(異常)で電源が停止した場合でも確実に外力印加部材と外力受け部材との対向間隔を強制的に拡大してシート材を容易に除去できるシート材情報検知装置を提供することを目的としている。
本発明のシート材情報検知装置は、シート材に外力を印加する外力印加部材と、シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材と、電力を供給されて前記外力印加部材を駆動する駆動手段とを備えたものである。そして、前記外力の印加に係る異常を検知する印加異常検知手段と、前記印加異常検知手段が前記異常を検知した際に、前記駆動手段に対する電力供給を停止する制御手段と、前記制御手段によって電力供給を停止されて前記電力が低下した際に、前記外力印加部材又は外力受け部材の少なくとも一方と前記シート材との間隔を大きくする間隔制御機構を備える。
別発明のシート材情報検知装置は、シート材に外力を印加する外力印加部材と、シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材と、電力を供給されて前記外力印加部材を駆動する駆動手段と、前記外力印加部材の上流側と下流側との少なくとも一方でシート材を厚み方向に保持する保持手段とを備えたものである。そして、前記電力が低下した際に、前記シート材と前記保持手段との間隔を大きくする間隔制御機構を備える。
別発明のシート材情報検知装置は、シート材に外力を印加する外力印加部材と、シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材と、電力を供給されて前記外力印加部材を駆動する駆動手段と、前記外力印加部材の上流側と下流側との少なくとも一方でシート材を厚み方向に保持する保持手段とを備えたものである。
本発明のシート材情報検知装置は、外力印加部材と外力受け部材との間隔に、駆動手段へ供給される電力によってシート材に衝撃を印加し、シート材に関する情報を検知する。この間シート材はシート材情報検知装置に拘束されることになる。本発明において、「シート材の拘束」とは、情報検知のための衝撃印加動作も含まれる。そして、外力印加部材による外力の印加に係る異常が検知されて駆動手段に対する電力供給が停止されて電力が低下した際には、前記間隔におけるシート材の拘束を解放する間隔制御機構を備えている。
間隔制御機構は、駆動手段に供給される電力が低下すると、外力印加部材と外力受け部材との間隔におけるシート材の拘束を、間隔制御機構がシート材の有無にかかわらず解放する。解放とは、間隔の拡大のみならず拘束圧力を弱めることも含まれる。解放に際して電気的な検知、電気的な制御、電気的な駆動に頼らないので、駆動手段への電力供給が停止した際に、外力印加部材と外力受け部材との間隔を確実に拡大できる。駆動手段への電力供給の停止のみならず、装置全体、システム全体、工場全体、地域全体の電力停止に際しても、駆動手段への電力供給の停止に至る限りにおいて、シート材の拘束を解放できる。
拘束が強制的に解放されることにより、後から間隔に飛び込んだシート材が紙詰まり、或いは重ね送りを起こす可能性が減る。そして、搬送を再開すればシート材が外力印加部材と、外力受け部材とで構成される間隔が狭い搬送経路から抜け出すことができる。電力停止したシート材情報検知装置で、狭い間隔の搬送経路にシート材が残っていることも無くなる。
シート材が自動的に排出されない場合でも、シート材の拘束が解放されるので、搬送経路の前後からシート材を容易に引き出せる。さらに、引き出す際には、間隔を構成する部材にもシート材にも無理な力がかからない。手荒く引き出してもシート材は破れにくく、外力印加部材や外力受け部材の調整が狂うことも少ない。
別発明のシート材情報検知装置は、保持手段がシート材を保持する間隔に、駆動手段へ供給される電力によってシート材を拘束する。別発明でも、「シート材の拘束」とは、情報検知のための衝撃印加動作も含まれる。そして、電力が低下した際には、この間隔におけるシート材の拘束を解放する間隔制御機構を備えている。
間隔制御機構は、駆動手段に供給される電力が低下すると、保持手段がシート材を保持する間隔におけるシート材の拘束を、間隔制御機構がシート材の有無にかかわらず解放する。解放とは、間隔の拡大のみならず拘束圧力を弱めることも含まれる。間隔制御機構が電力に頼ることなく間隔を解放するので、肝心の電力供給が途絶えた場合でも、間隔を確実に解放して、間隔によるシート材の拘束を確実に解除する。
従って、後から間隔に飛び込んだシート材がジャムや重ね送りを起こす可能性が減り、搬送さえ再開すればシート材が間隔から抜け出す可能性が増える。シート材が自動的に排出されない場合でも、搬送経路の前後から容易にシート材を引き出せ、引き出す際に、保持手段を構成する部材にもシート材にも無理な力がかからない。
以下、本発明の実施形態であるシート材情報検知装置100について、図面を参照して詳細に説明する。本発明のシート材情報検知装置は、以下に説明する実施形態の限定的な構成には限定されない。シート材を介して外力印加部材を外力受け部材で受け止める限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実現可能である。
本実施形態では、静電写真方式の画像形成装置300にシート材情報検知装置100を搭載した例を説明する。しかし、シート材情報検知装置100は、インクジェット方式の画像形成装置や各種印刷装置、シート材加工装置、シート材積載装置、ソーター等、各種シート材処理装置に搭載可能である。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の構成、動作、制御、シート材情報検知装置の動作原理、信号処理等については、図示を省略して詳細な説明も省略する。
<第1実施形態>
図1は画像形成装置の構成の説明図、図2は第1実施形態のシート材情報検知装置の構成の説明図、図3はシート材情報検知装置の動作を説明するフローチャートである。
図1に示すように、画像形成装置300は、画像形成プロセス部340によってシート材Pに画像形成するカラー複写機である。読み取りユニット311は、カラー原稿312の画像情報を読み取る。読み取った情報は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーに対応した色別信号に変換される。
一方、カセット321内に収容されたシート材Pは、送出ローラ322で搬送部112へと送られる。搬送部112に近接する場所には、第1実施形態のシート材情報検知装置100が設けられている。シート材情報検知装置100は、送出ローラ322から搬送部112へ受け渡されるシート材Pの搬送経路13を上下に挟み込んで配置され、搬送経路13を通過するシート材Pのシート材情報(機械特性)を検知する。
制御部(処理制御手段)120は、画像形成プロセス部340で画像形成が行われる前に、シート材情報検知装置100が検知したシート材Pのシート材情報を識別して、最適な搬送条件、転写条件、定着条件等を設定する。
次に、シート材Pは、搬送経路13から搬送部112を経て転写装置ドラム330へと送られる。転写装置ドラム330の周面には、誘電体シートが設けられている。シート材Pは、吸着コロナ放電器331によって帯電した転写ドラム330の表面に吸着担持される。その後、転写コロナ放電器332の作用によって、感光ドラム323上のトナー像がシート材Pに転写される。
感光ドラム323の表面は、ブレードクリーナ324で清掃される。そして、前露光ランプ325及び前除電器326により、前回の画像形成による感光体表面層に残留する影響が除去される。次に、感光ドラム323の表面は、一次帯電器327で一様に帯電される。このときの帯電量は、シート材Pのシート材情報に基づいて決定される。
レーザービームスキャナ328は、読み取られたカラー原稿312の色別信号をもとに、感光ドラム323の表面を走査して静電潜像を形成する。現像器329は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の現像ユニットから成る。それぞれの色に対応した現像ユニットが、感光ドラム323の真下に順次移動して、感光ドラム323上の潜像をトナー像に現像する。
シート材Pは、4色のトナー像が順次転写されるまで転写ドラム330に吸着保持されており、その後、分離爪333の作動により転写ドラム330から分離される。分離されたシート材Pは、搬送ベルト334により加熱ローラ定着器335に送られ、加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着される。このときの定着温度は、シート材Pのシート材情報に基づき決定される。
定着終了後のシート材Pは、トレー336に排出される。又、転写終了後の感光ドラム323の表面上に残留したトナーは、ブレードクリーナ324で清掃されて、次の画像形成サイクルに入る。
図2に示すように、シート材情報検知装置100では、モーター5への電力供給が停止してモーター5(ステッピングモータ)の着磁が解除されると、退避用ばね11がホイール10を強制的に回転させて外力印加部材1を最高位置へ退避させる。第1実施形態では、電力供給が停止した際の外力印加部材1の退避は、ラッチ(留め金)を解除された退避用ばね11の戻りによって駆動されるので、電気的な検知、電気的な制御、電気的な駆動には頼らない。図2は、シート材情報検知装置100の外力印加部材1が退避状態にある様子を模式的に示している。
シート材(P)に外力を印加する外力印加機構は、外力印加部材1、印加用ばね2、軸受け3、プレート4、モーター5、カム6を含む。モーター5は、ステッピングモータであって、ドライバ122からコネクタ18、配線17を通じて電力を供給されることにより外力印加部材1を駆動する。
モーター5の出力軸の一端にカム6が固定され、モーター5は、カム6を回転させて、印加用ばね2の付勢力に逆らってプレート4を押し上げ、外力印加部材1を打ち出し位置へ移動させる。カム6は、その後、外力印加部材1を解放して印加用ばね2の付勢に委ね、印加用ばね2に付勢されて加速された外力印加部材1の先端部がシート材に外力を印加する。制御回路121は、ドライバ122を制御してモーター5を回転させ、カム6を用いた印加用ばね2の圧縮と解放とを通じて外力印加部材1を打ち込み、シート材に外力を印加する。
モーター5の出力軸の他端にはホイール10が固定されている。外力印加部材1を最高位置へ退避させる退避機構は、ホイール10と退避用ばね11とを含む。退避用ばね11は、外力印加部材1を退避位置へ位置決める回転角度へ向かってホイール10を付勢する。外力印加機構と退避機構とは、ハウジング12に固定され、ハウジング12は、第一の搬送ガイド14にダンパー16Aを介して取り付けられる。
印加用ばね2に付勢されて打ち出された外力印加部材1は、外力受け機構がシート材を介して受け止める。外力受け機構は、外力受け部材8、圧電素子(衝撃検知手段)7、ダンパー16B、支持部材9を含む。外力受け部材8は、シート材を介して外力印加部材1を受け止める。外力受け部材8とダンパー16Bとの間に、外力印加部材1が受け止めた衝撃力を検知する圧電素子7が挟み込まれて一体に固定されている。ダンパー16Bは、支持部材9に固定され、支持部材9は、不図示の防振機構を介して第二の搬送ガイド15に固定されている。
第一の搬送ガイド14と第二の搬送ガイド15とを対向配置して搬送経路13が形成される。シート材は、搬送経路13内を搬送され、支持部材9を通過する過程で、外力印加部材1を打ち込まれる。打ち込まれた外力印加部材1による外力は、シート材を介して外力受け部材8に受け止められ、外力受け部材8が外力を受け止めた際の衝撃力が圧電素子7によって検知される。
変換部(チャージアンプ)123は、圧電素子7の変形による容量変化を電圧信号の変化に変換する。制御回路121は、変換部123から出力された電圧信号のピーク値を検知してシート材情報を取り出す。シート材情報は、シート材Pを介して検知された衝撃力のピーク値に対応し、シート材Pの機械特性や水分量を反映している。
第1実施形態のシート材情報検知装置100は、モーター5への電力供給が停止した際に、退避用ばね11による駆動力を用いて、外力印加部材1を退避させる。モーター5には、電力供給が停止すると保持力を失うステッピングモータを採用した。モーター5は、ドライバ122から電力が供給されている間は、ステーターがローターを着磁して回転に保持力を生じている。
モーター5の出力軸を強制的に回転させるホイール10の周縁の一点に、退避用ばね11の一端が回転自由に固定され、退避用ばね11の他端は、ハウジング12の一点に回転自由に固定されている。電力が供給されているモーター5は、保持力を持ちながら回転/停止動作し、上述した外力印加における駆動源として機能する。しかし、電力供給が停止されると、モーター5は保持力を失って、退避用ばね11の付勢力によってホイール10が所定方向に回転してモーター5を空転させる。モーター5の空転は、印加用ばね2の圧縮により生じる力と拮抗する位置までカム6を回転させてプレート4を引き上げ、プレート4に接続された外力印加部材1を上方へ退避させる。これにより、外力印加部材1の先端とシート材との間隔が拡大して、シート材の拘束が確実に解除される。
外力印加部材1は、先端部(シート材Pに接触する側)と軸部、さらに後述するカムと接触するプレート4とを一体に構成した。先端部は、ステンレス材にて構成し、シート材との接触面は半径20mmの球面加工を施した。軸とプレート4を合わせた外力印加部材1全体の質量は4gである。
外力印加部材1は、その軸部を軸受け3によって直動方向に運動可能に保持されており、カム6が印加用ばね2を伸縮させることにより運動を付与される。軸受け3は、摩擦抵抗の少ない樹脂材料の一例であるフッ素系樹脂より形成した。
外力印加部材1は、モーター5がカム6を回転させることにより運動を制御される。モーター5は、所定の停止位置より回転する過程でカム6を必要な角度回転して停止させ、その後、最初の停止位置に復帰させる。カム6は、モーター5に駆動されて1回転する過程で印加用ばね2の圧縮/解放を2回繰り返す。外力印加部材1は、印加用ばね2の復元力で所定速度に加速されてシート材に衝突して外力を印加する。
1回目の外力印加における衝突速度は0.5m/sec.、2回目の外力印加における衝突速度は0.2m/sec.である。モーター5の回転制御においては、駆動に伴って発生する印加用ばね2や外力印加部材1の不要な振動が減衰するのを待つために、回転を一時休止する工程を入れている。また、カム6の最初の停止位置は、カム6の1回転中、最も印加用ばね2が圧縮される角度位置の近傍、つまり、外力印加部材1が最もシート材から離れる位置に設定した。
このように設定した停止位置からカム6の回転を開始させ、2回の外力印加を経て再び停止位置に戻るまでが一回のサイクルとなる。一回のサイクルは、不図示のシート材通過検知センサの信号を受けて所定時間後に開始され、所要時間は、0.2秒、2回の外力印加の間隔は0.1秒である。
外力受け部材8は、シート材を挟んで外力印加部材1と対向する位置に配置されて圧電素子7を接合されている。圧電素子7と支持部材9との間に差し込まれたダンパー16Bは、支持部材9から圧電素子7に伝わる不要な振動を除去している。圧電素子7としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックスを採用し、外力受け部材8としては、ステンレス材を採用した。
支持部材9のシート材支持面と、外力受け材8の外力印加部材受け止め面との間に所定の段差構造を設けた。これらの面には、シート材の進入を円滑にする円弧状の面取りを形成した。
この段差構造は、シート材の撓みを許容する空間を形成しており、シート材は、段差量だけ撓んだ後に外力受け部材に接触する。これにより、出力信号にシート材特性のひとつである撓み剛性が反映される。シート材の他の諸特性が同等であっても、シート材の撓み剛性が大きいほど外力印加部材1は減速を大きく受け、外力が減衰して圧電素子7に検知される。
撓み過程を経て外力受け材8に接触したシート材は、次に外力印加部材1との間に挟まれて圧縮力を受ける。これにより、圧電素子7の出力信号にシート材の圧縮特性が反映される。シート材の他の諸特性が同等であっても、シート材の圧縮による衝撃吸収性が高いほど外力印加部材1は減速を大きく受け、外力が減衰して圧電素子7に検知される。
第1実施形態のシート材情報検知装置100は、図3のフローチャートに従ってシート材情報を検知する。図3のフローチャートは、画像形成装置300(図1)が正常に動作している場合の制御である。画像形成装置300への電源供給の不良等でシート材情報検知装置100へ電力供給されない場合は、外力印加部材1は、はじめから退避状態にあるため、説明を割愛する。
まず、画像形成装置300(図1)においてシート材処理の動作が開始したことを受けて、シート材情報検知装置100の動作がスタートする(S11)。
続いて、シート材情報検知装置100の制御回路121に、シート材搬送情報が入力される(S12)。シート材搬送情報は、シート材の位置や速度に関する情報であって、シート材がシート材情報検知装置100を通過するタイミングを意味する。シート材搬送情報は、画像形成装置300のシート材通過センサの信号や、画像形成装置300の動作開始(コピーボタンが押された)等の情報を処理して形成される。シート材搬送情報に対応してシート材情報検知装置100の動作(外力印加等)のタイミングが決定される。
続いて、シート材搬送情報を受けて、制御回路121は、シート材情報検知の動作を開始する(S13)。搬送経路13の上流側に配置された不図示のシート材通過センサがシート材Pの通過を検知してから、一定時間経過後、制御回路121からドライバ122へ動作開始の信号が送られる。制御回路121は、モーター5を回転させて外力印加部材1を駆動し、解放してシート材Pに衝突させる。
さらに、この動作の開始後、制御回路(制御手段)121は、圧電素子7から所定時間内にスレッショルドレベル以上の出力があったかどうかを判断する(S14)。所定時間は、外力印加部材1が一回のサイクルを完了する時間に若干の遅延分を加算して設定され、第1実施形態では0.3秒とした。
0.3秒以内にスレッショルドレベル以上の出力があった場合(S14のYES)、この出力に対してシート材情報処理を行い(S15)、シート材情報として出力して(S16)、1回のシート材情報検知の動作を終了する(S18)。画像形成装置300の制御部120は、制御回路121から受信したシート材情報に基いて、シート材の搬送条件や処理条件を設定する。
しかし、0.3秒以内でスレッショルドレベル以上の出力が無かった場合(S14のNO)、制御回路(制御手段)121は、ドライバ122を介してモーター(駆動手段)5への電力供給を停止させる(S19)。これにより、自動的に外力印加部材1が上方へ退避して、外力印加部材1と支持部材9とが対向する間隔が解放され、シート材Pの拘束が解除される。
さらに、シート材情報検知装置が異常であるという異常情報を出力する(S19)。異常情報は、シート材情報の一部として制御部120に送られ、画像形成装置300における適切なリカバリー処理に用いられる。例として、故障情報として画像形成装置300のタッチパネルに表示したり、ネットワーク上で適切な接続PCや保守依頼先等に情報を送ったりする。
ただし、この異常の原因については、画像形成装置300に設けられた他のセンサ類の情報等も併せて判断される。例えば、シート材情報検知装置100では異常を感知したものの、搬送経路13の上流および下流のシート材通過センサがともにシート材の通過を感知していれば、制御部120は、シート材情報検知装置100の異常であると判断する。しかし、上流のシート材通過センサがシート材の通過を感知しても、下流側の同センサが感知しない場合は、制御部120は、シート材のつまりが発生したと判断する。
第1実施形態では、制御回路121がモーター5への電力供給を意図的に遮断して、外力印加部材1を退避させる。モーター5への電力供給の停止は、制御回路121が正常動作して行う制御出力の1つであって、モーター5への電力供給が正常状態へ復帰させるアクチュエータを兼ねている。しかし、制御回路121への電力供給が途絶えた場合、制御回路121を含むシート材情報検知装置100への電力供給が停止した場合、画像形成装置300への電力供給が停止した場合も、モーター5への電力供給は停止する。電力供給系の途中に、制御回路等や配線など他の要素が介在する場合には、これらの要素の不良等もモーター5への電力供給を停止させる。代表的な例として、
(1)駆動手段への制御電力供給線の断線、またはコネクタの脱落
(2)駆動手段の制御電力の制御回路不良
(3)停電、または電源の不具合
(4)電源OFF
このようなトラブルに起因してシート材情報検知装置100への電力供給が遮断される不慮の異常事態においても、確実に外力印加部材1を退避してシート材の拘束を解除する。これにより、高速でされるシート材による力でシート材情報検知装置や周辺部材やシート材自体が破損されにくくなる。シート材情報検知装置100の機構や周辺部材の破損を回避しつつ、シート材情報検知装置100は、高速で搬送される大量のシート材で再現性高くシート材情報を検知できる。そして、画像形成装置300において適切かつ高速なシート材処理を行うことができる。
<第2実施形態>
図4は第2実施形態のシート材情報検知装置の構成の説明図である。図4中、(a)は正常状態、(b)は退避状態である。第2実施形態のシート材情報検知装置200は、図1に示す画像形成装置300にシート材情報検知装置100を置き換えて搭載される。シート材情報検知装置200は、電磁石のラッチを解除することにより、外力印加部材1とともにシート材押さえ25、26を上方へ退避させる。それ以外の構成、取り付け、制御等については、第1実施形態のシート材情報検知装置100と同様なので、図4中、図2と共通する構成には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4の(a)に示すように、シート材Pに外力を印加する外力印加機構は、外力印加部材1、印加用ばね2、軸受け3、プレート4、モーター5、カム6、プレート4を含む。モーター5は、外部より電力を供給されて、カム6を回転させ、外力印加部材1を駆動する。カム6は、印加用ばね2を圧縮して外力印加部材1を持ち上げた後に解放して、外力印加部材1をシート材Pに衝突させる。
外力印加機構はハウジング12に固定され、ハウジング12は固定板19に固定される。固定板19は、不図示のねじりコイルばねを内蔵したヒンジ20を介してシート材Pの搬送経路13を構成する第一の搬送ガイド14に取り付けてある。ヒンジ20のねじりコイルばねは、図4の(b)に示す「跳ね上げ状態」に向かって固定板19を付勢している。
外力印加部材1により印加された外力をシート材を介して受け止める外力受け材8には圧電素子7が接着固定され、圧電素子7はダンパー16Bを介して支持部材9に固定されている。支持部材9は、第一の搬送ガイド14に対向配置された第二の搬送ガイド15に固定される。
支持部材9のシート材支持面に対向させて、シート材押さえ25、26を固定板19に取り付けてある。シート材押さえ25、26と支持部材9とは、搬送されてくるシート材のばたつきを抑制して、外力印加部材1を衝突させる際のシート材Pの高さを位置決める保持機構を構成する。
シート材押さえ25、26は、シート材Pの搬送による衝突の衝撃を逃がすよう曲面加工した金属部材を、内蔵されたばねで下方へ付勢して、シート材Pを支持部材9に押し付ける。
シート材Pは、搬送経路13内を搬送されてシート材押さえ25、26と支持部材9との間に保持される。この状態で、外力印加部材1がシート材Pに外力を印加し、シート材Pを介して外力受け材8が受け止めた外力が圧電素子7により検知される。
固定板19は、ラッチ23とキー金具22とによって図4の(a)に示す水平な状態にラッチされている。キー金具22は磁性金属よりなり、固定板19に固定される。ラッチ23は、キー金具22をラッチするための電磁石を下部に埋め込んだコの字型の樹脂部材であって、上部はストッパーとして機能する。ラッチ23は、第一の搬送ガイド14に固定される。ラッチ23の電磁石への電力は、モーター5への電力供給と連動して同じコネクタ18を介して配線17より供給される。
図4の(a)に示すように、モーター5に電力供給されている場合は、ラッチ23の電磁石がONとなり、キー金具22はラッチ23の下部に吸引保持される。しかし、モーター5への電力供給が停止した場合は、連動してラッチ23の電磁石もOFFとなり、キー金具22の保持が解除される。これにより、図4の(b)に示すように、ラッチ23の上部に突き当たる位置まで固定板19が回転して跳ね上がり、外力印加部材1とシート材押さえ25、26とが上方へ退避して、シート材Pの拘束を解放する。第2実施形態では、図2に示す退避用ばね11を別途設けて退避の補助力としてもよい。
以上述べてきたように、シート材情報検知装置200では、モーター5への電力供給が遮断された際に外力印加部材1とシート材押さえ25、26とを退避させてシート材の拘束を解除する。シート材情報検知装置200への電力供給が遮断された際にも、同様にしてシート材の拘束を解除する。これにより、シート材情報検知装置200や周辺部材の破損などのトラブルを回避でき、画像形成装置300において適切なシート材処理を行うことができる。そして、モーター5への電力供給が再開されると、ラッチ23の電磁石がONとなって固定板19をラッチ23の上部から下部へ引き戻す。これにより、手作業による復帰処理を行うことなく、図4の(a)に示す正常状態でのシート材情報検知、画像形成が再開される。ラッチ機構とストッパーにより、より確実な退避位置制御が可能となっている。
<第3実施形態>
図5は第3実施形態のシート材処理装置における制御のフローチャートである。図1に示す画像形成装置300では、第2実施形態のシート材情報検知装置200から異常情報を受信すると、シート材情報検知装置200から受信したシート材情報を破棄する。次いで、予め定められたデフォルトの搬送条件と処理条件とを画像形成装置300に設定して画像形成を実行する。
図5に示すように、画像形成装置300の制御部120は、画像形成動作をスタートしてシート材の搬送を開始する(S31)。画像形成動作のスタートは、画像形成装置300のユーザー(オペレーター)が、機械本体のスタートボタンを押す、あるいは接続された外部コンピュータやカメラ等の周辺機器から処理命令を送る等して開始される。画像形成装置300で画像形成動作が開始したことを受けてシート材情報検知装置200の動作もスタートする。
続いて、シート材情報検知装置200の制御回路(121)にシート材搬送情報が入力される(S32)。シート材搬送情報とは、シート材Pの位置や速度に関する情報であって、シート材Pがシート材情報検知装置200を通過するタイミングを意味する。シート材搬送情報を受けて、制御回路(121)は、シート材情報検知装置200によるシート材情報検知動作を開始する(S33)。
シート材情報検知動作の開始後、所定時間内に出力があったか否か(S34)で、以下のフローは異なる。所定時間内に出力があった場合(S34のYES)、シート材情報検知装置200により、シート材情報の検知を行う(S35)。続いて、制御部120は、シート材情報に基づきシート材処理条件を決定し(S36)、決定されたシート材処理条件に基づき、画像形成処理が行われる(S37)。以上の処理をもって動作終了する(S38)。
しかし、所定時間内に出力がなかった場合(S34のNO)、制御回路(搬送異常検知手段(121))によって、シート材情報検知装置200のモーター(駆動手段)5への電力供給が停止される。これにより、自動的に外力印加部材1およびシート材押さえ25、26が上方へ退避する(S39)。
続いて、出力がなかったことから異常と判断し、シート材情報検知装置200の制御回路(121)は、画像形成装置300の制御部120に対して異常情報を出力する(S40)。異常情報を受け取った制御部120では、異常が重大か軽微かを判断する(S41)
異常が軽微と判断される場合(S41のYES)は、必ずしもシート材処理を中止する必要が無いので、制御部120は、シート材情報検知装置200の動作を停止した上で、デフォルト条件にて画像形成処理を行う。異常が軽微であるという判断は、例えばシート材Pの搬送が正常に行われていることが確認できた場合や、繰り返しのシート材処理において低確率で突発的に異常が発生した場合などである。
しかし、異常が及ぼす影響が甚大と考えられる場合(S41のNO)、制御部120は、シート材処理を中止する。シート材処理の中止は、搬送停止または排紙し(S43)、シート材処理装置の異常表示や適宜復帰指示を行う(S44)。また、制御部120は、必要に応じて次のシート材処理への影響を判断し、適切な処理を行う。以上の処理をもって動作終了する(S38)。
第3実施形態の画像形成装置300の制御によれば、シート材情報検知装置200に異常が発生した場合でも、トラブルを回避し、適切な画像形成処理を行うことができる。
<変形例のシート材情報検知装置>
上述の各実施形態において、シート材とは、紙(普通紙、光沢紙、コート紙、再生紙、など)、樹脂等のフィルム、OHTシートなどであり、シート状になった画像記録メディアを主に対象とする。所定寸法にカットされたもの(カット紙)、ロール状に巻かれたもの(ロール紙)など、形態は問わない。また、一枚の物であっても、二枚以上が重なって貼り合わされたものでもよい。本明細書中では、特に断りのない限り所定寸法にカットされたシート材を例として説明する。
シート材情報とは、シート材処理において必要となるシート材に関する情報の全てが含まれる。特に重要なものは、主に物理的な性質や形状およびそれに関連する諸情報である。シート材の厚み、密度、弾性率、粘性、振動特性、凹凸、表面粗さ、状態、変形状態、強度、弾性変形/塑性変形のしやすさ、伸び量、色味、変色、反射率のうち少なくとも1つを含む。変形(伸び、屈曲、つぶれ、破断、折れ曲がり等)、透過率、カールの状態、気体や液体の透過性、熱拡散率や熱容量等の熱物性を含んでもよい。紙の場合、繊維、填量、コート層などのむらに関する情報も含まれる。
含水率は、シート材の物理的な性質や形状に大きな影響を与えるので、とりわけ重要な属性である。シート材情報として、他に重要なものは、前記物性に影響を与える埋設物の情報である。埋設物の例を列挙すると、IDタグ等の素子類、押し花や木の葉などの自然物などである。他には、既に形成された画像、異物の付着、汚れ、メディアのサイズや形状、端部などの折れ曲がり、切断や穴あけなどの加工状態、ラミネートやコーティング、ステイプルなどの付着である。また、面内方向に何枚かのメディアが貼りあわされていたり、2枚以上が全部又は一部重なっているかどうかなども重要な情報である。
シート材情報を検知するための第1の方法は、第1実施形態で説明したように、外力印加部材によりシート材に衝撃力を与え、その際のシート材からの反応を感圧素子により検知する方法である。これにより、局所的な曲げ剛性や圧縮剛性を検知し、シート材の機械特性を検知できる。
この場合、感圧素子としては、圧電素子、ピエゾ抵抗素子、静電容量型加速度センサ、磁気センサなど、圧力あるいは加速度を検知できる素子を適宜用いる。衝撃力の印加には、ある質量の外力印加部材を、適当な速度および加速度を持った状態でシート材に衝突させる。外力印加部材の材質や形状、質量と衝突速度や加速度は、検知対象とするシート材の種類や範囲に応じて適宜決定する。一例として、複写機等に用いる用紙(普通紙、コート紙、ボンド紙、再生紙、OHT等の樹脂シート類)に検知に好ましいものを列記しておく。
外力印加部材の材質や形状は、シート材との衝突や付随する接触による磨耗や、塑性変形や弾性変形が最小限であり、じん性が高くクラックの発生がないものが好ましい。具体的には、材質としてはステンレスなどの金属材料を、形状としては球状もしくは棒状でシート材と衝突する先端部は曲面とするものが好ましい。曲面とすることにより、衝突に際して外力印加部材もしくはシート材の振動により、衝突角度が変動した場合でも安定した衝撃印加が可能であり、磨耗も局所的なものは少なくなり平準化される。該曲面には、一部平坦部を設けてもよい。平坦部を衝突させることで、衝突部分のシート材を均一に圧縮し、シート材のむらに起因する誤差を低減できる。
外力印加部材の質量と衝突速度や加速度は、外力印加部材がシート材に圧痕等を残さない範囲で、シート材の剛性を鑑みて適宜決定される。画像形成装置300に用いるシート材(用紙)の検知に好ましい範囲としては、質量で1g乃至10g程度、衝突速度で0.1m/sec.乃至1m/sec.程度である。また、衝突時の加速度は可能な限り小さいことが好ましい。これは、シート材の厚みばらつきや、シート材情報検知装置の固定精度などに起因して外力印加部材の衝突までの運動距離が変動した場合でも、安定した速度での衝突が可能だからである。衝突速度にもよるが、好ましい範囲としては、運動距離1mmについて、速度の変動が5%以内、より好ましくは1%以内の加速度がよい。加速度を小さくする方法としては、加速手段による加速と、重力による加減速、摩擦など抵抗による減速を適宜相殺して用いる。
このような衝突による外力の印加は、1回のシート材情報検知に際して1回でもよいし、複数回行ってもよい。また、複数の個所に同時、あるいは時間差を設けて印加することもよい。複数回の衝撃印加を行う場合、同一値の衝撃力を印加することで、出力値を平均化して精度を上げることも好ましい。また、同じシート材に対して異なった値の衝撃力を印加することで、シート材の複数の物性値を検出することもできる。
このような外力印加によって、シート材を撓ませたり、圧縮させたりするための機構を設けることもできる。シート材を撓ませる機構としては、シート材を挟んで外力印加部材と対向する位置に溝構造(凹構造)などの段差構造を設ける。シート材を圧縮させる機構としては、シート材を挟んで外力印加部材と対向する位置に、外力を受け止めるための外力受け材を設ける。このような溝構造と外力受け材は一体のものとしてもよいし、別体でもよい。また、シート材の撓ませ方は、撓みの片側のみを支持するものでも、撓みの両側を支持するものでも、また、シート面の一部を窪み形に撓ませるものでもよい。なお、外力印加部材に外力検知機構を直接接合してシート材の反発力を検知させる場合、必ずしも外力受け材は必要であるとは言えない。
シート材情報を検知するための第2の方法は、シート材に衝撃力を印加した際のシート材の撓みを変位検知素子により検知する方法である。シート材は、弾性と可撓性とを有するため、衝撃力により、シート材の機械特性に応じた変位が生じる。シート材の変位を、変位検知素子で計測し、その変位量や変位速度、加速度からシート材の機械特性を検知することができる。変位計測素子としては、前項で述べた感圧素子を用いることができる。機械的な変位部材(板ばね状のカンチレバー等)に感圧素子を接合してシート材に接触させ、感圧素子の出力から変位を計測することもできる。もちろん、光学素子や音響素子などで、シート材に光や音などを照射してその透過や反射よりシート材の変位を機械的な接触なしに計測することも好ましい。
シート材情報を検知するための第3の方法は、シート材に振動を印加して、その際のシート材からの反応を感圧素子で検知する方法である。例えば、振動を発する外力印加部材と、感圧素子を固定した外力検知部材とでシート材を挟み込み、外力印加部材から振動を印加し、感圧素子にてシート材を介して振動を検知する。これにより、シート材による振動の減衰や位相の変化、伝播時間等を計測してシート材の機械特性を検知する。外力印加部材と外力検知部材、さらにシート材との配置関係はさまざまなものが用いられる。
他には、外力として搬送力を印加し、メディア表面をプローブでこすり凹凸による振動の力や摩擦力を検知してもよいし、光や音波などの波動を与えて反射や透過後の波動を検知し特性を検知しても良い。
シート材の拘束を弱める退避とは、シート材情報検知装置の一部または全部をシート材との間隔を拡大する方向へ動かすことである。具体例としては、シート材の搬送経路を挟んで対向する外力印加部材と外力検知部材との間隔を拡大することである。他の例として、外力印加部材もしくは外力検知部材をシート材の搬送路からその外側へ変位させることである。さらに他の例として、外力印加部材もしくは外力検知部材の固定を緩和もしくは解除し、シート材から力が加わった際には搬送経路の外側に変位できるようにすることである。退避動作の終了後、駆動手段への電力供給が再開されるまで退避状態が保持され、電力供給の再開とともに元の拘束状態に復帰させることが望ましい。
駆動手段への電力供給が停止した際には、シート材を拘束する(または拘束する可能性のある)部材を、シート材との間隔を拡大する方向へ移動させることが望ましい。このような移動は、駆動手段に供給される電源以外の駆動力を用いて能動的に行ってもよい。また、例えばシート材から力が加わったときに受動的に行われるように、固定を解除する、もしくは固定力を弱める機構でもよい。
退避のための駆動力は、ばね力、重力、電磁気力などを用いる。退避のための駆動力は、常時付与しておき他の保持力等が電力供給の遮断により失われた際に駆動するようにしてもよいし、クラッチ機構により電力供給が遮断されたときにのみ付与されるようにしてもよい。また、適宜ストッパーを設け、退避量を制限する。
退避量は、少なくともシート材の通過、衝突によりシート材情報検知装置やシート材処理装置が損傷しない距離に設定する。具体的には、シート材の搬送経路を構成するガイド板のシート材と接する面よりも外側までとすることが好ましい。ただし、シート材情報検知装置の退避対象となる部材のシート材に近接する面が曲面で構成されている場合など、シート材との接触による圧力を逃がす機構を設けた場合は、該曲面が搬送経路内に突出していても問題がない場合がある。退避位置からの復帰は、電源供給の復帰に伴って自動的に行わせてもよいし、使用者によるリセット操作を契機として自動的に行わせてもよいし、操作者が自ら手動で戻す構成としてもよい。
電力供給の遮断によってシート材情報検知装置が退避状態に移行した場合、該状態にあることを示す情報(以下、退避情報と記す)を出力することが好ましい。退避情報としては、例えば、所定の時間内にシート材情報検知装置からの一定レベル以上の出力がないことなどから得てもよい。これは、シート材処理装置全体への電源供給が正常に行われている場合で、シート材情報検知装置への制御電力が遮断された場合に特に有効である。
シート材処理装置は、図1に示す画像形成装置300には限られない。一例として、シート材に対して、文字や映像等を記録する装置である。シート材処理装置の他の例としては、シート材を搬送してシート材に記録された情報を読み取る装置(所謂ドキュメントスキャナーなど)、紙幣や切符等の繰り出し装置、シート材の折り畳みや穴あけなどの加工を行う装置装置等がある。さらに、現在の代表的な画像形成装置である、複写機、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタにおいては、工程の一環としてカール補正や、スタック、製本のためのソート、パンチ穴あけ、ステイプル等が行われる装置も一般的である。以上述べたように、画像形成装置に限っても、セットされるシート材が排出されるまでの全プロセスを対象とする。
また、シート材処理の他の例としては、シート材に記録された内容を読み取ることである。シート材に記録された内容とは、画像や文字、刻印、磁気記録されたデータ類、埋設された素子類に記録されたデータなど、種類や形態を問わない。
シート材処理装置は、シート材情報検知装置で得られたシート材情報に基づき、シート材の処理条件を変更、調整もしくは制御する。シート材の処理条件の一例は、電子写真プロセスにおけるトナー、インクジェットプリンタにおけるインクを主とする色材のシート材への転写に関わる画像形成条件である。シート材情報に対応して画像形成条件を変える、または画像形成の制御条件を変える等して、画像形成条件を調整する。例えば、厚みが小さいシート材には薄い紙に適したモードで画像を形成し、厚みが大きいシート材には厚い紙に適したモードで画像を形成する。制御されて好ましい画像形成条件は、第一に色材の転写量であって、シート材に対するトナー供給量の調整、インク付着量の調整等である。第二に色材の定着条件であって、シート材の定着温度の調整、定着圧力の調整等である。ただし、シート材処理条件は、画像の配置調整、色材の転写条件等には限られない。
シート材処理条件の決定は、入力されるデータを処理してシート材処理装置の動作を決定するプロセッサにて行われる。プロセッサは、シート材処理装置に搭載されていても良いし、外部コンピュータ等に機能を預託しても構わない。シート材処理装置は、以上のようにして決定されたシート材処理条件にてシート材処理を行う。
ところで、シート材情報検知装置への電力供給が遮断された場合、シート材情報の検知は不可能となる。この場合、例えば、適当なシート材処理の標準条件(デフォルト条件)をあらかじめシート材処理装置で準備しておき、この条件でシート材処理を行うのが好ましい。しかし、別の例として、シート材の処理を休止もしくは停止することもできる。いずれの場合でも、警報の発令、修理に関する情報を表示するなど、使用者に適切な情報を提供することが好ましい。
<発明との対応>
第1実施形態のシート材情報検知装置100は、シート材に外力を印加する外力印加部材1と、シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材8と、電力を供給されて外力印加部材1を駆動するモーター5とを備える。そして、前記電力が低下した際に、外力印加部材1又は外力受け部材8の少なくとも一方とシート材との間隔を大きくするホィール10、退避用ばね11、モーター5を備える。外力印加部材1と外力受け部材8との間隔は、モーター5へ供給される電力によってシート材を拘束する。
シート材情報検知装置100では、モーター5に供給される電力が低下すると、外力印加部材1と外力受け部材8との間隔におけるシート材の拘束を、ホィール10、退避用ばね11がシート材の有無にかかわらず解放する。解放とは、間隔の拡大のみならず拘束圧力を弱めることも含まれる。解放に際して電気的な検知、電気的な制御、電気的な駆動に頼らないので、モーター5への電力供給が停止した際に、外力印加部材1と外力受け部材8との間隔を確実に拡大できる。モーター5への電力供給の停止のみならず、装置全体、システム全体、工場全体、地域全体の電力停止に際しても、モーター5への電力供給の停止に至る限りにおいて、シート材の拘束を解放できる。
拘束が強制的に解放されることにより、後から間隔に飛び込んだシート材がジャムしたり重ね送りを起こしたりする可能性が減り、搬送さえ再開すればシート材が間隔から抜け出す可能性が増える。電力停止したシート材情報検知装置で、狭いままの間隔にシート材が残っていることも無くなる。
シート材の拘束が解放されるので、搬送経路の前後からシート材を容易に引き出せるし、引き出す際には、間隔を構成する部材にもシート材にも無理な力がかからない。手荒く引き出してもシート材は破れにくく、外力印加部材1や外力受け部材8の調整が狂うことも少ない。
第2実施形態のシート材情報検知装置200は、シート材に外力を印加する外力印加部材1と、シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材8と、電力を供給されて外力印加部材1を駆動するモーター5とを備える。さらに、外力印加部材1の上流側と下流側との少なくとも一方でシート材を厚み方向に保持するシート材押さえ25、26を備える。そして、前記電力が低下した際に、シート材とシート材押さえ25、26との間隔を大きくする固定板19、ヒンジ20、キー金具22、ラッチ23を備える。
シート材情報検知装置200は、モーター5に供給される電力が低下すると、シート材押さえ25、26がシート材を保持する間隔におけるシート材の拘束を、固定板19、ヒンジ20、キー金具22、ラッチ23がシート材の有無にかかわらず解放する。解放とは、間隔の拡大のみならず拘束圧力を弱めることも含まれる。固定板19、ヒンジ20、キー金具22、ラッチ23が電力に頼ることなく間隔を解放するので、肝心の電力供給が途絶えた場合でも、間隔を確実に解放して、間隔によるシート材の拘束を確実に解除する。
従って、後から間隔に飛び込んだシート材がジャムや重ね送りを起こす可能性が減り、搬送さえ再開すればシート材が間隔から抜け出す可能性が増える。搬送経路の前後から容易にシート材を引き出せ、引き出す際に、シート材押さえ25、26を構成する部材にもシート材にも無理な力がかからない。
シート材情報検知装置200における間隔制御機構(固定板19、ヒンジ20、キー金具22、ラッチ23)は、前記間隔を大きくさせた後に電力が復帰すると、復帰した電力によって前記間隔を通常状態に自動復帰させる。言い換えれば、前記間隔におけるシート材の拘束状態を通常状態に自動復帰させる。
シート材情報検知装置100における間隔制御機構(ホイール10、退避用ばね11、モーター5)は、前記間隔を拡大する方向に前記間隔を付勢する退避用ばね11を有する。さらに、前記電力によって退避用ばね11の力に抵抗して前記間隔を維持させるモーター5を有する。
シート材情報検知装置100は、前記外力の印加に係る異常を検知する制御回路121と、制御回路121が異常を検知した際に、モーター5に対する電力供給を停止する制御回路121とを備える。
シート材情報検知装置100は、外力受け部材8がシート材を介して前記外力を受け止めた際の衝撃力を検知する圧電素子7を備え、制御回路121は、圧電素子7が検知した衝撃力が予め定めた閾値に満たない場合を、前記異常として検知する。
シート材情報検知装置100は、ジャム、重ね送りと言ったシート材の搬送に係る異常を検知する制御回路121と、制御回路121が前記異常を検知した際に、モーター5に対する電力供給を停止する制御回路121とを備えることができる。
画像形成装置300は、シート材情報検知装置100と、シート材情報検知装置100によってシート材情報が検知されたシート材を処理する画像形成プロセス部340とを備える。さらに、画像形成プロセス部340におけるシート材の搬送条件と処理条件との少なくとも一方を、シート材情報に応じて調整する制御部120とを備える。そして、制御回路121は、前記異常を検知すると、制御部120に対して異常情報を出力する。
画像形成装置300の制御部120は、制御回路121から異常情報を受け取ると、シート材情報と無関係に予め定められたデフォルトの搬送条件または処理条件を画像形成プロセス部340に設定する。
画像形成装置の構成の説明図である。 第1実施形態のシート材情報検知装置の構成の説明図である。 シート材情報検知装置の動作を説明するフローチャートである。 第2実施形態のシート材情報検知装置の構成の説明図である。 第3実施形態のシート材処理装置における制御のフローチャートである。
符号の説明
1 外力印加部材
2 印加用ばね
3 軸受け
4 プレート
5 駆動手段(モーター)
6 カム
7 衝撃検知手段(圧電素子)
8 外力受け材
9 支持部材
10、11 間隔制御機構(ホイール、退避用ばね)
12 ハウジング
13 搬送経路
14 第一の搬送ガイド
15 第二の搬送ガイド
16A,16B ダンパー
18 コネクタ
19 固定板
20、22、23 間隔制御機構(ヒンジ、キー金具、ラッチ)
25、26 保持手段(シート材押さえ)
100、200 シート材情報検知装置
120 処理制御手段(制御部)
121 制御手段、印加異常検知手段、搬送異常検知手段(制御回路)
122 ドライバ
300 シート材処理装置(画像形成装置)
340 処理手段(画像形成プロセス部)

Claims (10)

  1. シート材に外力を印加する外力印加部材と、
    シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材と、
    電力を供給されて前記外力印加部材を駆動する駆動手段と、を備えたシート材情報検知装置において、
    前記外力の印加に係る異常を検知する印加異常検知手段と、
    前記印加異常検知手段が前記異常を検知した際に、前記駆動手段に対する電力供給を停止する制御手段と、
    前記制御手段によって電力供給を停止されて前記電力が低下した際に、前記外力印加部材又は外力受け部材の少なくとも一方と前記シート材との間隔を大きくする間隔制御機構を備えたことを特徴とするシート材情報検知装置。
  2. シート材に外力を印加する外力印加部材と、
    シート材を介して前記外力を受け止める外力受け部材と、
    電力を供給されて前記外力印加部材を駆動する駆動手段と、
    前記外力印加部材の上流側と下流側との少なくとも一方でシート材を厚み方向に保持する保持手段と、を備えたシート材情報検知装置において、
    前記電力が低下した際に、前記シート材と前記保持手段との間隔を大きくする間隔制御機構を備えたことを特徴とするシート材情報検知装置。
  3. 前記間隔制御機構は、前記間隔を大きくさせた後に前記電力が復帰すると、前記電力によって前記間隔を通常状態に自動復帰させることを特徴とする請求項2記載のシート材情報検知装置。
  4. 前記間隔制御機構は、前記間隔を大きくする方向に力を与えるばね部材と、前記電力によって前記ばね部材の力に抵抗して前記間隔を維持させる維持手段と、を有することを特徴とする請求項2または3に記載のシート材情報検知装置。
  5. 前記外力の印加に係る異常を検知する印加異常検知手段と、
    前記印加異常検知手段が前記異常を検知した際に、前記駆動手段に対する電力供給を停止する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項乃至4いずれか1項記載のシート材情報検知装置。
  6. 前記外力受け部材がシート材を介して前記外力を受け止めた際の衝撃力を検知する衝撃検知手段を備え、
    前記印加異常検知手段は、前記衝撃検知手段が検知した衝撃力が予め定めた閾値に満たない場合を、前記異常として検知することを特徴とする請求項1または5に記載のシート材情報検知装置。
  7. シート材の搬送に係る異常を検知する搬送異常検知手段と、
    前記搬送異常検知手段が前記異常を検知した際に、前記駆動手段に対する電力供給を停止する制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項乃至4いずれか1項記載のシート材情報検知装置。
  8. 請求項1乃至7いずれか1項記載のシート材情報検知装置と、
    前記シート材情報検知装置によってシート材情報が検知されたシート材を処理する処理手段と、
    前記処理手段におけるシート材の搬送条件と処理条件との少なくとも一方を、前記シート材情報に応じて調整する処理制御手段と、を備えることを特徴とするシート材処理装置。
  9. 請求項5乃至7いずれか1項記載のシート材情報検知装置と、
    前記シート材情報検知装置によってシート材情報が検知されたシート材を処理する処理手段と、
    前記処理手段におけるシート材の搬送条件と処理条件との少なくとも一方を、前記シート材情報に応じて調整する処理制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記異常を検知すると、前記処理制御手段に対して異常情報を出力することを特徴とするシート材処理装置。
  10. 前記処理制御手段は、前記制御手段から前記異常情報を受け取ると、前記シート材情報と無関係に予め定められた前記搬送条件または前記処理条件を前記処理手段に設定することを特徴とする請求項9記載のシート材処理装置。
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