JP4684749B2 - グラフィック装置 - Google Patents
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Description
複数のオブジェクトの重なり判定は、視点からオブジェクトまでの奥行を示すZ値(深度)を用いて、オブジェクトを構成するピクセルの重なり判定を行うZバッファ法(Zテスト)が多く使われている。このZバッファ法では、全てのピクセルのZ値を保持するZバッファが必要である。
このため、表示の必要のないピクセルに対しても、全てのパイプライン処理が行われることになる。本来、手前のオブジェクトに覆い隠される部分は、表示の必要のないものであり、パイプライン処理を省略することができる。
このグラフィック装置では、予め、フレームを構成しているピクセル毎に深度範囲(最大/最小値)を記憶し、オブジェクトを構成しているピクセルの深度を深度範囲と比較して、そのピクセルの深度が深度範囲内にあるか否かを判定することにより、オブジェクトの大まかな重なり判定を実施する。
図1はこの発明の実施の形態1によるグラフィック装置を示す構成図であり、図1の例では、ラスタライザ1、早期Zテスト部2、テクスチャ処理部3、ピクセル処理部4及びフレームバッファ5がパイプライン処理を実施する構成をなしている。
図において、ラスタライザ1は前段の処理部であり、例えば3次元グラフィクス処理における座標変換や陰影処理などが実施されたオブジェクトのデータが入力されると、そのオブジェクトの塗りつぶし処理などのパイプライン処理を実施して、そのオブジェクトを構成するピクセルのカラー値、視点からピクセルまでの奥行を示す深度Z(Src)及びピクセルの位置を示すアドレスAddressを早期Zテスト部2に出力する処理を実施する。
テクスチャ処理部3は後段の処理部であり、早期Zテスト部2によりパイプライン処理が必要であると判定された場合、例えば、模様をオブジェクトに貼り付けるなどのパイプライン処理を実施する。
ピクセル処理部4のZテスト部4aは例えばZバッファ法を実施する。即ち、フレームを構成する全ピクセルの深度Zをフレームバッファ5のZバッファ5bに書き込む処理などを実施して、ピクセルの正確な重なり判定を実施する。
フレームバッファ5はピクセル単位のカラーバッファ5aとZバッファ5bから構成されている。
早期Zテスト部2のZ比較器12はラスタライザ1から出力されたオブジェクトを構成しているピクセルの深度Z(Src)とZ値保持部11に保持されている基準面Z−WALLの深度Zrefを比較し、その比較結果を示す前後フラグSrcをフラグバッファ13及びZ−WALL判定回路14に出力する処理を実施する。なお、Z比較器12は深度比較手段を構成している。
早期Zテスト部2のZ−WALL判定回路14はZ比較器12から出力された前後フラグSrcとフラグバッファ13から出力された前後フラグDstに基づいて後段のパイプライン処理の必要性を判定するとともに、ピクセル処理部4のZテスト部4aによる正確な重なり判定の必要性を判定する処理を実施する。なお、Z−WALL判定回路14は必要性判定手段を構成している。
早期Zテスト部2は、視点から近い側に位置しているオブジェクトに覆い隠されている遠い側に位置しているオブジェクトに対する後段のパイプライン処理を省略するため、ラスタライザ1からオブジェクトを構成するピクセルの深度Z(Src)とアドレスAddressを受けると、オブジェクトの大まかな重なり判定を実施して、後段のパイプライン処理の必要性を判定する処理を実施する。
具体的には、以下の通りである。
図3は☆型のオブジェクトと、□型のオブジェクトと、△型のオブジェクトとが表示されている例を示す画面図である。
早期Zテスト部2のZ値保持部11には、3次元空間における基準面Z−WALLの深度Zrefが保持されるが、基準面Z−WALLの深度Zrefは、図2に示すように、3次元空間における透明な一枚の壁の深度と考えることができる。
なお、何れのオブジェクトもフレームに描画されていない初期段階では、図4に示すように、フラグバッファ13におけるピクセル単位の前後フラグDstは全て“0”で初期化される。
3次元グラフィクスにおいて描画を始める前には、フレームバッファ5のZバッファ5bが最遠方を表すZ値で初期化される。
この場合、フレームを構成している全てのピクセルは、一枚の透明な壁である基準面Z−WALLより奥側に存在することになる。
□型のオブジェクトを構成しているピクセルは、基準面Z−WALLより手前側にあるので、そのピクセルに対応する前後フラグSrcは手前側に存在していることを示す“1”に設定される。
また、Z−WALL判定回路14は、フラグバッファ13から“0”の前後フラグDstを受けると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルに対応するフレームのピクセルが、現時点では基準面Z−WALLより奥側に位置していることが分かる。
よって、この場合、□型のオブジェクトを構成しているピクセルは、他のオブジェクトの存在を考慮することなく、3次元空間上に描画することができるので、Z−WALL判定回路14は、図5に示すように、case2に分類する。
即ち、Z−WALL判定回路14は、後段のパイプライン処理は必要であるが、Zテスト部4aによる正確な重なり判定は必要ないと判定する。また、フラグバッファ13を更新する必要があると判定する。
ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により後段のパイプライン処理が必要であると判定されると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルのカラー値をフレームバッファ5のカラーバッファ5aに書き込むことにより、□型のオブジェクトを構成しているピクセルを3次元空間上に描画する処理を実施する。
ただし、ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により正確な重なり判定は必要ないと判定されているので、Zテスト部4aを起動せず、オブジェクトの正確な重なり判定を行う処理を省略する。
☆型のオブジェクトを構成しているピクセルのうち、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分のピクセルの処理は、次のように行われる。
☆型のオブジェクトを構成しているピクセルは、基準面Z−WALLより奥側にあるので、そのピクセルに対応する前後フラグSrcは奥側に存在していることを示す“0”に設定される。
また、Z−WALL判定回路14は、フラグバッファ13から“0”の前後フラグDstを受けると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の☆型のオブジェクトのピクセルに対応するフレームのピクセルが、現時点では基準面Z−WALLより奥側に位置していることが分かる。
よって、この場合、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の☆型のオブジェクトのピクセルは、□型のオブジェクトの存在を考慮しながら、3次元空間上に描画する必要があるので、Z−WALL判定回路14は、図5に示すように、case4に分類する。
即ち、Z−WALL判定回路14は、後段のパイプライン処理が必要であるとともに、Zテスト部4aによる正確な重なり判定が必要であると判定する。ただし、フラグバッファ13を更新する必要はないと判定する。
ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により後段のパイプライン処理が必要であると判定され、かつ、正確な重なり判定が必要であると判定されると、Zテスト部4aを起動して、□型のオブジェクトと☆型のオブジェクトの正確な重なり判定を実施する。
そして、ピクセル処理部4は、その判定結果が、重なりがないことを示している部分のピクセル(□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の☆型のオブジェクトのピクセル)のカラー値をフレームバッファ5のカラーバッファ5aに書き込むことにより、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の☆型のオブジェクトのピクセルを3次元空間上に描画する処理を実施する。
☆型のオブジェクトを構成しているピクセルは、基準面Z−WALLより奥側にあるので、そのピクセルに対応する前後フラグSrcは奥側に存在していることを示す“0”に設定される。
また、Z−WALL判定回路14は、フラグバッファ13から“1”の前後フラグDstを受けると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の☆型のオブジェクトのピクセルに対応するフレームのピクセルが、基準面Z−WALLより手前側に位置していることが分かる。
よって、この場合、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の☆型のオブジェクトのピクセルは、3次元空間上に描画する必要がないので、Z−WALL判定回路14は、図5に示すように、case3に分類する。
即ち、Z−WALL判定回路14は、後段のパイプライン処理や、Zテスト部4aによる正確な重なり判定が不要であると判定する。また、フラグバッファ13を更新する必要がないと判定する。
ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により後段のパイプライン処理が不要であると判定され、かつ、正確な重なり判定が不要であると判定されると、Zテスト部4aを起動せず、□型のオブジェクトと☆型のオブジェクトの正確な重なり判定を行う処理を省略する。また、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の☆型のオブジェクトのピクセルを描画する処理を省略する。
△型のオブジェクトを構成しているピクセルのうち、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分のピクセルの処理は、次のように行われる。
△型のオブジェクトを構成しているピクセルは、基準面Z−WALLより手前側にあるので、そのピクセルに対応する前後フラグSrcは手前側に存在していることを示す“1”に設定される。
また、Z−WALL判定回路14は、フラグバッファ13から“0”の前後フラグDstを受けると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の△型のオブジェクトのピクセルが、現時点では基準面Z−WALLより奥側に位置していることが分かる。
よって、この場合、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の△型のオブジェクトのピクセルは、他のオブジェクトの存在を考慮することなく、3次元空間上に描画することができるので、Z−WALL判定回路14は、図5に示すように、case2に分類する。
即ち、Z−WALL判定回路14は、後段のパイプライン処理は必要であるが、Zテスト部4aによる正確な重なり判定は必要ないと判定する。また、フラグバッファ13を更新する必要があると判定する。
ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により後段のパイプライン処理が必要であると判定されると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがない部分の△型のオブジェクトのピクセルのカラー値をフレームバッファ5のカラーバッファ5aに書き込むことにより、重なりがない部分の△型のオブジェクトのピクセルを3次元空間上に描画する処理を実施する。
ただし、ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により正確な重なり判定は必要ないと判定されているので、Zテスト部4aを起動せず、オブジェクトの正確な重なり判定を行う処理を省略する。
△型のオブジェクトを構成しているピクセルは、基準面Z−WALLより手前側にあるので、そのピクセルに対応する前後フラグSrcは手前側に存在していることを示す“1”に設定される。
また、Z−WALL判定回路14は、フラグバッファ13から“1”の前後フラグDstを受けると、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の△型のオブジェクトのピクセルに対応するフレームのピクセルが、基準面Z−WALLより手前側に位置していることが分かる。
よって、この場合、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の△型のオブジェクトのピクセルは、□型のオブジェクトの存在を考慮しながら、3次元空間上に描画する必要があるので、Z−WALL判定回路14は、図5に示すように、case1に分類する。
即ち、Z−WALL判定回路14は、後段のパイプライン処理が必要であるとともに、Zテスト部4aによる正確な重なり判定が必要であると判定する。ただし、フラグバッファ13を更新する必要はないと判定する。
ピクセル処理部4は、早期Zテスト部2により後段のパイプライン処理が必要であると判定され、かつ、正確な重なり判定が必要であると判定されると、Zテスト部4aを起動して、□型のオブジェクトと☆型のオブジェクトの正確な重なり判定を実施する。
そして、ピクセル処理部4は、その判定結果が、重なりがあることを示している部分のピクセル(□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の△型のオブジェクトのピクセル)のカラー値をフレームバッファ5のカラーバッファ5aに書き込むことにより、□型のオブジェクトを構成しているピクセルと重なりがある部分の△型のオブジェクトのピクセルを3次元空間上に描画する処理を実施する。
即ち、フラグバッファ13が1ピクセル当り、1ビットの前後フラグDstを保存するだけで、不要なピクセルのパイプライン処理を省略することができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、Z値保持部11が3次元空間における透明な一枚の壁の深度と考えることができる基準面Z−WALLの深度Zrefを保持しているものについて示したが(図2を参照)、Z値保持部11がアドレス毎に異なる基準面Z−WALLの深度Zrefを保持するようにしてもよい。
即ち、Z値保持部11が図9に示すように、3次元空間における透明な二枚の壁の深度と考えることができる基準面Z−WALLの深度Zrefを保持するようにしてもよい。
この実施の形態2によれば、例えば、3次元空間の背景などを考慮して、オブジェクトの描画処理を実施することができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、Z値保持部11が3次元空間における透明な一枚の壁の深度と考えることができる基準面Z−WALLの深度Zrefを保持しているものについて示したが(図2を参照)、図10に示すように、Z値保持部11が複数の基準面Z−WALL(1)(2)の深度Zrefを保持するようにしてもよい。
図10の例では、□型のオブジェクトと☆型のオブジェクトとの間に存在する基準面Z−WALL(1)の深度Zrefと、△型のオブジェクトと□型のオブジェクトとの間に存在する基準面Z−WALL(2)の深度Zrefとを保持している。
また、Z比較器12がラスタライザ1から□型のオブジェクトを構成しているピクセルの深度Z(Src)を受けると、□型のオブジェクトが基準面Z−WALL(1)と基準面Z−WALL(2)の間に位置しているので、基準面Z−WALL(1)と基準面Z−WALL(2)の間に位置していることを示す“1”の前後フラグSrcを出力する。
また、Z比較器12がラスタライザ1から△型のオブジェクトを構成しているピクセルの深度Z(Src)を受けると、△型のオブジェクトが基準面Z−WALL(2)より手前に位置しているので、基準面Z−WALL(2)より手前側に位置していることを示す“2”の前後フラグSrcを出力する。
したがって、Z−WALL判定回路14は、Z比較器12から出力される“0”又は“1”又は“2”の前後フラグSrcと、フラグバッファ13から出力される“0”又は“1”又は“2”の前後フラグDstとに基づいてオブジェクトの大まかな重なり判定を実施することになるで(上記実施の形態1よりも、1つ多いパラメータ(3つのパラメータ)で重なり判定を実施することになる)ので、上記実施の形態1よりも、木目細かな判定を行うことができるようになる。
上記実施の形態1では、Z値保持部11が□型のオブジェクトと☆型のオブジェクトとの間に存在する基準面Z−WALLの深度Zrefを保持しているものについて示したが(図2を参照)、図11に示すように、3次元空間において、基準面Z−WALLが視点から最遠方の位置に存在するものとして、Z値保持部11がその基準面Z−WALLの深度Zrefを保持するようにしてもよい。
以降、書き込まれるピクセルは、必ず基準面Z−WALLより手前に存在するため、Z−WALL判定回路14によりcase2と判定される。
したがって、3次元グラフィクスにおいて描画を始める前に、フラグバッファ13を“0”で初期化するだけで足り、比較的負荷の高いZバッファ5bの初期化処理が省略されるため、処理の高速化を図ることができる効果を奏する。
なお、一度ピクセルが書き込まれると、フラグバッファ13は“1”(手前)に更新され、また、フレームバッファ5にピクセルが書き込まれて、Zバッファ5bも更新される。
上記実施の形態4では、3次元空間において、基準面Z−WALLが視点から最遠方の位置に存在するものとして、Z値保持部11がその基準面Z−WALLの深度Zrefを保持するものについて示したが、3次元空間において、基準面Z−WALLが視点から最近傍の位置に存在するものとして、Z値保持部11がその基準面Z−WALLの深度Zrefを保持するようにしてもよい。
したがって、この実施の形態5の場合も、上記実施の形態4と同様に、3次元グラフィクスにおいて描画を始める前に、フラグバッファ13を初期化するだけで足り、比較的負荷の高いZバッファ5bの初期化処理が省略されるため、処理の高速化を図ることができる効果を奏する。
Claims (6)
- 視点から3次元空間における基準面までの奥行を示す深度を保持する深度保持手段と、前段の処理部でパイプライン処理されたオブジェクトを構成しているピクセルの深度と上記深度保持手段に保持されている深度を比較する深度比較手段と、フレームを構成しているピクセル毎に、当該ピクセルが基準面より視点側に位置しているか否かを示すフラグを保持しており、上記オブジェクトを構成しているピクセルに対応するフラグを出力するフラグ保持手段と、上記深度比較手段の比較結果と上記フラグ保持手段より出力されたフラグから後段の処理部におけるパイプライン処理の必要性を判定する必要性判定手段とを備えたグラフィック装置。
- 必要性判定手段は、後段の処理部におけるパイプライン処理が必要であると判定する場合、深度比較手段の比較結果とフラグ保持手段より出力されたフラグから後段の処理部でオブジェクトの正確な重なり判定を実施する必要があるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のグラフィック装置。
- 深度保持手段は、アドレス毎に異なる基準面の深度を保持していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグラフィック装置。
- 深度比較手段は、深度保持手段により複数の基準面の深度が保持されている場合、オブジェクトを構成しているピクセルの深度を複数の基準面の深度とそれぞれ比較することを特徴とする請求項1または請求項2記載のグラフィック装置。
- 深度保持手段は、3次元空間において、基準面が視点から最遠方の位置に存在するものとして、その基準面の深度を保持していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグラフィック装置。
- 深度保持手段は、3次元空間において、基準面が視点から最近傍の位置に存在するものとして、その基準面の深度を保持していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグラフィック装置。
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