JP4684570B2 - 基板上に規則配列した触媒金属微粒子を利用したカーボンナノチューブの形成法 - Google Patents
基板上に規則配列した触媒金属微粒子を利用したカーボンナノチューブの形成法 Download PDFInfo
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Description
ーボンナノチューブ(CNT)を基板上に成長させる方法、特に基板上に配列制御して成長さ
せる方法に関する。
どが知られている。最近、(株)富士通研究所がCNTを形成する位置及び成長方向を制
御する方法を開発したと報じられた(2002年7月8日プレスリリース)が、直径1μm程度
のバンドルCNTであり、ウイスカー結晶の個別分離ではない。
有機金属化合物の塗布後焼成等の方法で形成したNi,Fe,Coからなる任意のパターン
に電界印加型プラズマCVDを用いてCNTを成長させる方法(特許文献1)、触媒含有
液をインクジェット法で基板上に付着させて触媒を配列させる方法(特許文献2)、2種
以上の異なる触媒金属層が積層された多層触媒金属パターンを、CVD法に供する前に加
熱処理する方法(特許文献3)に関する発明の特許出願がなされている。
注目されており、産業技術総合研究所はシリコン基板上にフォトリソグラフィー法で形成
した鉄の極薄膜の二つの電極パターンをCNTで橋渡しした量子効果ナノデバイスを開発
したと報じられた(2002年9月13日プレスリリース)。また、CNTの水平成長による電
界効果トランジスタや水平成長方法(特許文献4)や量子ドットのような微細素子を電気
的に相互接続する素子間配線方法(特許文献5)に関する発明の特許出願がなされてい
る。
れているが、数十nm以下の微細構造を製造するための簡便かつ低コストなプロセス手法
が未だに確立されておらず、依然として困難な技術課題が山積している。キーポイントは
ナノ触媒の配列法である。これら従来のナノ加工法には、電子線露光装置、フォーカスイ
オンビーム装置、原子間力顕微鏡などの最新の技術が用いられているが、処理能力が低く
、また大がかりで高コストな設備が必要とされてきた。CNTは、その直径が数nm、長
さが数〜十数μmという超微細な構造の故にナノエレクトロニクス素子への応用が期待さ
れているが、取り扱いが非常に困難であり、特に電子デバイスへの応用に際して必要不可
欠な任意の位置に規則的に、しかも希望のサイズのCNTを垂直方向に配列させることが
極めて困難であるという問題があった。
ある。本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)を基板上に配列制御する手法である新開発
のフレキシブルナノインプリント(FNI)法によって、触媒の微小化、位置制御を行い、C
NTの成長起点を制御するプロセス法である。本発明者は、ナノインデンターを用いる微
細加工技術に関する発明を先に特許出願した(特願2002-289190)が、ナノ領域の硬度測
定器であるナノインデンターを加工に転用する技術は一般化しておらず、特に、本発明の
ように微細加工プロセスヘ適用した例は皆無で前例が無い。
CNT形成位置の制御を行うものであり、また、触媒金属を利用するものである。
と直径を決定する。この目的のために、本発明者は、FNI法を開発した。FNIレジス
ト法によってドット(=圧痕孔内部)への触媒金属微粒子の配列が可能であり、触媒サイ
ズが直径数10nm以下の微小触媒金属微粒子を基板上に周期的に規則配列出来る。
いることで、従来技術のレジストリフトオフ時の剥離トラブルを一挙に解決することと、
基板上の局所加圧加工が可能であり、さらにナノインデンターによる加工深さをプロセス
中にモニターできることを特徴とする。本発明によって、従来の電子線露光法などと比べ
て、再現性、コスト、プロセスの簡便性などに優れた方法によって、配列制御されたCN
Tを基板上に形成できる。
ンターは、ナノスケールの先端半径を持つ圧子を対象物の表面に当て、加重を加えて対象
物に押し込むことによって荷重印加中に、押し込み深さと印加荷重を同時に測定すること
によって対象物の硬度を測定する装置として用いられており、押し込み深さ0〜20ミク
ロン、測定分解能0.3nmが可能である。
る。ナノインデンターの形状としては、三角錐や四角錐が好ましく、その先端の半径は1
nmから50nmが好ましい。圧痕孔の深さは10nmから1μm程度が好ましい。通常
、ナノインデンターによる押し込み可能な深さは20μm程度以下である。
象物が一種類の物質ならば、通常は滑らかな指数関数(exponential)曲線となり、荷重
負荷時、荷重除荷時の曲線は重ならない。重ならない分が、変形した深さ、つまり、加工
深さの関数になる。対象物が、多層(柔らかいもの/堅いもの)構造ならば、その曲線上
に屈折点が生じる。
重と押し込み深さ(変位)の関係を示すp-h曲線の典型的な例をグラフで示す。この屈折
点は多層構造の各ヤング率の差による関数である。ヤング率の異なる多層構造物では、p-
h曲線に屈折点が現れ、この点の深さをモニターすることで、上層の柔らかい層の加工深
さを制御でき、また、上層と下層の境界で加工を停止することが出来る。よって、下層物
質を疵つけることなく、加工停止が可能である。
) を示す工程図であり、基板にリフトオフ可能な膜を形成し、ナノインデンターで圧痕孔
を形成し、触媒金属薄膜を形成し、前記のリフトオフ可能な膜と触媒金属薄膜を剥離(リ
フトオフ)し、さらに、剥離後に前記の圧痕孔内に残存した触媒金属微粒子上に化学的気
相蒸着法 (CVD法) でCNTを成長させる方法である。
な材料はレジスト材料に限らない。有機材料、無機材料、金属材料などリフトオフ可能な
材料であればどんなものでも可能であるが、上層の物質が下層より柔らかいもの、ヤング
率が低いものが好ましい。これらの材料は異種の材料からなる多層構造でもよい。リフト
オフに適する膜の厚みとしては数nm程度が好ましい。
ば何でも可能である。実施例はSi基板を使用しているが、用途によって選ばれるべきで
ある。例えば、CNTを配線材料として利用する場合は、基板材料は絶縁材料又は絶縁膜
をコーティングした材料が適している。
は四角錐などの角錐状圧子10を押し込み、基板表面とレジスト膜のうち少なくともレジ
スト膜2に圧子10の角錐状形状を転写した圧痕孔3を形成する。押し込み深さは、圧子
10の先端がレジスト膜を貫通し基板1の表面に到達した位置、又はそれよりも少し浅い
貫通手前の位置、又は圧子10の先端がレジスト膜を貫通し基板1に少し圧入した位置な
どを選択できる。
に印加荷重と深さデータ(p-h曲線)を表示することができる。p-h曲線を目安に、押し込
み加工深さを表示すると共に所定の荷重又は深さで押し込みを停止できる。また、基板を
載せる試料台がXYスキャン可能であり、多点について10nm〜10μm程度の間隔で
繰り返し押し込み加工が可能であるように制御できる。
て、p-h曲線の屈折点を予め予備試験し、その深さを押し込み加工中にモニターすること
で、柔らかい上層と下層との境界で押し込みを停止できる。この屈折点は、物質の固さが
異なっていることを意味している。この屈折点で荷重の印加を停止することで、リ圧痕孔
内と圧痕孔底部の基板上に付着しているリフトオフ可能な膜の下端で押し込み加工を停止
することが可能である。この押し込み加工によって、圧子の先端半径に相当する直径が1
0nm程度以下の圧痕孔3をリフトオフ可能な膜又はその直下の基板表面にあけることが
出来る。
そのまま利用してもよいが、リフトオフ可能な膜としてレジスト材料を用いた場合は、リ
フトオフを簡単にするためには、レジスト膜を貫通するのではなく、貫通手前の少し浅い
位置で押し込み加工を停止し、孔の底部が微小であることを利用し、孔底部周辺に異方性
プラズマエッチング又はウェットエッチングを少し加え圧痕孔内のレジスト膜を部分エッ
チングして拡張することで、該レジスト膜に下部になるほど微小な、直径が10nm程度
以下の孔をあけることが出来る。
、このレジスト膜にあけた孔の大きさ(面積)を制御できる。この孔の大きさによって触
媒金属を圧痕孔内と圧痕孔底部の基板上に付着させた後にレジスト膜をリフトオフした後
に残存する触媒金属の直径を制御することが可能である。この方法によって直径が1〜2
nmの触媒金属にCNTを成長させることができ、量子効果デバイスに要求される直径が
1〜2nmのCNTの成長が可能となる。このように、押し込み加工を所望の規則配列パ
ターンに対応してレジスト膜2に対して繰り返して周期的に規則配列したナノスケールの
圧痕孔からなるドットパターンを形成する。
されたレジスト膜2A上にレジスト膜2Aと圧痕孔を覆う触媒金属4を蒸着などによって
付着させる。触媒としては、特に限定されず、従来CNT成長用触媒として知られている
例えば、Ni,Co,Mo,Fe,Cu,V,Pdなどの遷移金属触媒を使用できる。
、リンス工程がないので、化学的反応生成物が残留することは少なく、リフトオフは容易
に行える。リフトオフ後、圧痕孔内の底部の基板上に付着したナノスケールの粒子からな
る金属が基板上に周期的に規則配列されて残留し、パターニングされた触媒金属4Aが形
成される。この触媒金属4Aを成長起点として、規則配列したCNT5を成長させる。
端半径に相当するナノメータサイズの圧痕孔内にナノスケールの触媒微粒子を規則的に配
列して形成することによって該触媒微粒子を成長起点にしてCNTを規則的に配列させて
成長させることができる。
に、石英管などの反応管11の外周に配置した外部電極12から外部電界を印加したり、
図4に示すように、反応管11の外周に配置した外部磁石13から磁界を印加したりする
ことによってCNTの成長方向制御性の向上を行うことができる。熱CVD法の加熱方法
として、局所赤外線加熱法を用いることによって外部電界や磁界を効率的に印加できる。
て、電界印加によるCNT成長方向制御が可能であるが、従来手法では、電界を印加する
ためにCNTを配列したい場所付近に電極配置を行う必要があり、プロセスが煩雑であっ
た。
角程度)に加熱できることと、反応管11の外は大気であるから、反応管の外から成長を
追加制御するための装置が簡単に付けられること、である。これは、成長中、金属の箱で
覆われる一般的な赤外線加熱炉と大きく異なる点で、電界や磁界などの外部制御因子を与
える点で非常に有利である。
る。さらに、磁場効果も同時又は個別に反応管外部から与えることができ、CNTの成長
制御性を高めることが可能である。磁界を印加することによって、イオン化されたCNT
の原料粒子の電荷が磁場による作用によってその運動軌道を制限され、方向が制御される
。これによって、CNTの成長方向の制御が可能になる。
の三角錐形状のナノインデンターを用いて、p−h曲線の屈曲点の深さをモニターして、
押し込み加工を所望の規則配列パターンに対応して繰り返して圧痕孔を形成した。圧痕孔
の深さは100nmとした。この時、圧痕孔の先端部のレジスト膜が除去された。レジスト
膜と圧痕孔を覆うように10nmのCo薄膜を真空蒸着法で形成した。剥離液でレジスト膜
及びCo薄膜をリフトオフした。圧痕孔の先端部の基板上にはレジスト膜が存在しない(
Co薄膜が直接Si基板上に形成されている) ため、その部分にナノスケールのCo微粒
子が残存した。図5は、基板上の圧痕孔に付着したCo微粒子のポジティブ配列の様子を
観察したSEM写真である。
o微粒子が残存する部分のみにCNTが成長した。CVDによるCNTの成長条件は、原
料ガスとしてメタン/エチレン/水素=1000/20/500(sccm)、成長温度
は900℃とした。CVDの加熱方法は局所赤外線加熱を用いた。
の三角錐形状のナノインデンターを用いて、p−h曲線の屈曲点の深さをモニターして、
押し込み加工を所望の規則配列パターンに対応して繰り返して圧痕孔を形成した。圧痕孔
の深さは30nmとした。この時、圧痕孔の先端部のレジスト膜厚が圧痕孔のない部分に比
べて薄くなる。この状態で圧痕孔内のレジスト膜をドライエッチングで適度にエッチング
することによって、圧痕孔内の先端部のみレジスト膜のない部分を形成した。次に、レジ
スト膜と圧痕孔を覆うように厚さ10nmのCo薄膜を真空蒸着法で形成した。剥離液でレ
ジスト膜及びCo薄膜をリフトオフした。圧痕孔の先端部はレジスト膜が存在しない(C
o薄膜が直接Si基板上に形成されている) ため、その部分に直径で数十nmのナノスケ
ールのCo微粒子が残存した。
o微粒子が残存する部分のみにCNTが成長した。CVDによるCNTの成長条件は、原
料ガスとしてメタン/エチレン/水素=1000/20/500(sccm)、成長温度
は900℃とした。CVDの加熱方法は局所赤外線加熱を用いた。
線源への応用が考えられる。これら製品化実現のために、簡易で低コストかつ再現性の良
いプロセス法が望まれており、本発明の方法は、その期待に十分応えることが可能で、ナ
ノ加工プロセスの革新に大いに寄与できる。
Claims (6)
- 基板上に周期的に規則配列した触媒金属微粒子上にCVD法でカーボンナノチューブを成
長させる方法において、
基板にレジスト膜を形成し、次に、
基板とレジスト膜からなる上層が柔らかく下層が堅い多層構造物に対するナノインデンタ
ーの角錐状圧子の押し込み荷重と押し込み深さの関係を示すp−h曲線の屈曲点の深さを
モニターして、レジスト膜に対する該圧子の押し込み加工を所望の規則配列パターンに対
応して繰り返して
基板表面とレジスト膜のうち少なくともレジスト膜にレジスト膜を貫通する圧痕孔を周期
的に規則配列して形成し、
次に、レジスト膜と圧痕孔を覆う触媒金属薄膜を付着させ、
次に、前記のレジスト膜と触媒金属薄膜をリフトオフすることによって、圧痕孔内と圧痕
孔底部の基板上に付着している触媒金属薄膜を触媒金属微粒子として基板上に残存させ、
さらに、残存させた触媒金属微粒子上にCVD法でカーボンナノチューブを成長させるこ
とを特徴とするカーボンナノチューブの形成法。 - 基板上に周期的に規則配列した触媒金属微粒子上にCVD法でカーボンナノチューブを成
長させる方法において、
基板にレジスト膜を形成し、次に、
基板とレジスト膜からなる上層が柔らかく下層が堅い多層構造物に対するナノインデンタ
ーの角錐状圧子の押し込み荷重と押し込み深さの関係を示すp−h曲線の屈曲点の深さを
モニターして、レジスト膜に対する該圧子の押し込み加工を所望の規則配列パターンに対
応して繰り返して
レジスト膜に圧痕孔を周期的に規則配列して形成する際に、レジスト膜の貫通手前の少し
浅い位置で押し込み加工を停止した後、
圧痕孔内のレジスト膜を部分エッチングし、圧痕孔内の先端部のみレジスト膜のない部分
を形成して、
該レジスト膜に下部になるほど微小な、直径が10nm以下の孔をあけ、
次に、レジスト膜と圧痕孔を覆う触媒金属薄膜を付着させ、
次に、前記のレジスト膜と触媒金属薄膜をリフトオフすることによって、圧痕孔内と圧痕
孔底部の基板上に付着している触媒金属薄膜を触媒金属微粒子として基板上に残存させ、
さらに、残存させた触媒金属微粒子上にCVD法でカーボンナノチューブを成長させるこ
とを特徴とするカーボンナノチューブの形成法。 - 残存させた触媒金属微粒子の直径が1〜2nmであることを特徴とする請求項1又は2記
載のカーボンナノチューブの形成法。 - 触媒金属薄膜の厚さが、1nm〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2記載
のカーボンナノチューブの形成法。 - 電界中及び/ 又は磁界中でカーボンナノチューブを成長させることを特徴とする請求項1
又は2記載のカーボンナノチューブの形成法。 - CVD法の加熱方法が局所赤外線加熱であることを特徴とする請求項1又は2記載のカー
ボンナノチューブの形成法。
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