JP4683357B2 - パック充填豆腐の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パック充填豆腐において、消費者がその容器から充填豆腐を容易に離型させて取り出すことができるようにしたパック充填豆腐を製造する方法に関する。
従来のパック充填豆腐に例をとると、消費者がパックから充填された豆腐を上手く離型させて綺麗な状態の豆腐を容易に取り出せるようにするための離型性の改善策としては、一般に、温度や凝固剤量の調節による粘性の調整など、凝固条件の最適化により離水を促進する方法が取られている。
しかしながら、凝固条件は充填食品の原料による変動が大きく、離型性も安定化しないのが現状である。
また、豆乳に粘性を持たせると、容器と容器を覆うフィルムのシール性が悪くなるため、シール不良の可能性も大きくなり、パック充填豆腐の保存性にも大きく影響してくる。また、軟らかい充填食品は離型性が悪いため商品設計時の制約条件にもなる。
この他、容器充填食品においては充填容器からの離型性を良くするよう、容器側に離型剤を配合するなどの対策を取るところが多いが、満足する離型に至っていないのが現状である。
以上、説明したように、従来の容器充填食品における離型性改善は、容器充填する食品成分の配合条件によるものであり、その離型性改善は、目的とした製品のレシピに影響することがある。
本発明は、容器充填される食品の原料や凝固状態に左右されることなく充填容器からの食品の離型性を改善した容器充填食品の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、前記課題を解決するため、パック充填豆腐の製造において、豆乳を容器に充填しゲル化した後、そのパック充填豆腐を氷点下温度帯に所定時間保持することで容器からの充填豆腐の離型性を改善することを特徴とするパック充填豆腐の製造方法を提供する。
本発明によるパック充填豆腐の製造方法において、パック充填豆腐を前記した氷点下温度帯に所定時間保持するには、パック充填豆腐を低温アルコール、または液体窒素などのブライン不凍液に所定時間浸漬することによってよい。
また、本発明によるパック充填豆腐の製造方法において採用する前記氷点下温度帯は−40〜−5℃、前記所定時間は15〜600秒とすることができ、パック充填豆腐を保持する温度が低温ほど保持時間は短くてよいが、その温度と保持時間は充填豆腐の種類や成分組成に応じて設定することが必要である。
本発明によるパック充填豆腐の製造方法において、氷点下温度帯に所定時間保持されたパック充填豆腐は、その容器に接する充填豆腐の表面部分において、豆腐組織の凍結変性に伴って離水促進が強制的に起こされ、これによって充填豆腐の組織が凝縮するとともに容器と充填豆腐との間に離水層が介在された状態が形成され、これによって、包装容器を開封したときに充填豆腐の離型性が極めて良くなる。
本発明により離型性が改善される作用を図1、図2によって説明する。図において,1は容器を示し、容器1の内部に食品2が充填されている。3は食品が充填された容器1の上面開口を覆うフィルムで、フィルム3は容器1の縁とシールされる。
一例として食品2が豆腐で、容器1が豆腐充填用のパックである場合について説明する。
図1のA部分を拡大して示した図2において、(a)は本発明を適用する前のパック1内部における充填豆腐2の状態を示しており、パック1内の豆腐2は、豆腐組織4と水分5から成っていることを概念的に示している。
この状態の豆腐2が充填されたパック1を低温アルコールに所定時間浸漬するなどの手段で氷点下温度帯に保持して、パック1の内面に接する部分の豆腐2に図(b)に示すように凍結面6を形成させる。この凍結面6は、豆腐2の組織内に抱え込まれていた水分5が凍結して生成されるもので、この凍結面6が成長することにより豆腐組織は強固なものとなる。
上記のようにしてパック1内部と接する表面部分に凍結面6が形成された豆腐2は、その凍結面6が解凍した時点で、その解凍された水分が外に飛び出すことで、図(c)に示すようにパック1の内面部分に離水促進が行われて離水層7が形成され、消費者がパックを開封した時に、その離水層7の水分がパック1における豆腐2の離型性を改善することとなって、パック1に充填されていた豆腐2を綺麗な状態で円滑に取り出すことができる。
本発明のパック充填豆腐の製造方法において、パック充填豆腐を低温アルコール、または液体窒素などのブライン不凍液に所定時間浸漬することによって、パック充填豆腐を氷点下温度帯に所定時間保持させるようにしたものでは、その包装容器の形状や大きさに関係なく、その容器の内面に接している充填豆腐の表面部分を均一に氷点下温度帯に所定時間保持させることができる。これによって、各種充填豆腐に対する製造条件の選択許容範囲が広くなる。
本発明によるパック充填豆腐の製造方法において、前記氷点下温度帯として−40〜−5℃、前記所定時間として15〜600秒を採用するように温度と処理時間の組合せを、品質を傷めることがないよう被処理豆腐に応じて適用する氷点下温度を適切に選定し、その温度で所定の離水状態を形成させることができる保持時間を実験的に定めるなどによって選択することができる。
以下、本発明によるパック充填豆腐の製造方法を実施例に基づいて説明する。
パックに豆乳を充填して製造したパック充填豆腐を、−25°Cまで冷却された30〜50%のアルコール溶液中に60〜90秒浸漬した。これにより、パック内の豆腐の表層部に凍結面を生成させた。
なお、パック充填豆腐をアルコール溶液中に浸漬させる時、パック上面は薄いフィルムで覆われているため、この部分も浸漬させるとパック上面部分の豆腐表面がパック部分よりも強く低温に晒されて凍結面が厚くなり、低温により食品の品質に影響を受けやすいし、上面のフィルム部分については、離型性を改善することが必要な場合以外、一般的には浸漬の必要性はない。
こうして表層部に凍結面が生成された状態のパック充填豆腐は通常の工程を進める間に、その凍結面は解凍され、水分が離水として放出されることによって、充填豆腐の表層部、すなわち、パックと充填豆腐との間には離水層を形成させることができた。
また、上記浸漬を120秒にして凍結面を形成させ、離型性を試験した。
以上の結果を表1と表2に示す。
Figure 0004683357
Figure 0004683357
また、上記した実施例では、パック充填豆腐を−25°Cまで冷却された30〜50%のアルコール溶液中に60〜90秒浸漬しているが、冷却温度、浸漬時間、使用する冷却媒体などは、充填された食品の種類、その充填容器の材質、厚み、大きさ、形状及び構造などによって異なるので、本発明を適用するに当たっては、本発明を適用する容器充填食品毎に実験を行い、充填食品に与える影響、離型性の改善度合いなどを検討することによって、適用対象に応じた最適の条件を選定して採用すべきである。
本発明において適用される氷点下温度帯としては、一般的目安として−40〜−5°Cの温度であり、この温度帯に15〜600秒間保持するのがよい。
低温に晒すのが好ましくない食品に対しては晒す低温を和らげ時間を長くしてその温度帯に保持し、長時間低温に晒すのが好ましくない食品に対しては低温に対して短時間晒して離型性を改善することを考える。
本発明による容器充填食品の製造方法を適用するパック充填豆腐を示す側面図。 図1のパック充填豆腐に対して本発明による容器充填食品の製造方法を適用した場合、内部の豆腐に形成される凍結面の状態を示す図1のA部断面図で、(a)は本発明適用前の状態を示し、(b)は本発明に従って氷点下温度帯に保持した時の凍結面形成状態を示し、(c)は氷点下温度帯に保持して凍結面形成後、解凍した時の状態を示している。
符号の説明
1 容器(パック)
2 食品(豆腐)
3 フィルム
4 豆腐組織
5 水分
6 凍結面
7 離水層

Claims (3)

  1. パック充填豆腐の製造において、豆乳を容器に充填しゲル化した後、そのパック充填豆腐を氷点下温度帯に所定時間保持することで容器からの充填豆腐の離型性を改善することを特徴とするパック充填豆腐の製造方法。
  2. 前記パック充填豆腐を低温アルコール、または液体窒素などのブライン不凍液に所定時間浸漬することを特徴とする請求項1に記載のパック充填豆腐の製造方法
  3. 前記氷点下温度帯を−40〜−5℃、前記所定時間を15〜600秒とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のパック充填豆腐の製造方法。
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