JP4682424B2 - ディジタル画像補正装置、ディジタル画像補正方法、x線画像による診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線源と、X線を光に変換する蛍光体と、前記蛍光体で変換された光を電気信号に変換する光電変換体と、前記光電変換体で変換された電気信号をディジタル信号に増幅するアナログ/ディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部で変換されたディジタル画像データをディジタル画像処理し、CRTなどに表示、及び記録媒体に記録するディジタル画像補正装置、ディジタル画像補正方法及びX線画像による診断装置に関するものであり、特に医科用、歯科用の診断装置、または工用非破壊検査に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
X線を利用して対象物の外からは見えない状態を画像で見るために、旧来ではX線フィルムを利用していた。しかし、近年、現像作業の追放、データ保存の容易性、データ劣化防止などの目的で、X線を光に変え、光を電気信号に変換する光電変換体としてCCDセンサを使用したX線撮影装置が使われている。このような装置では、CCDセンサで直接X線を受け、ディジタル化されたデータをCRT表示する方法がとられてきている。患部を透過してきたX線を光に変換する物質を通してCCDで受け、1画素ずつディジタル化された画像データを画像表示装置に表示させる。これにより旧来フィルムにX線を当てていた方法に比べ、現像する手間が省け、患部を診断するまでの時間が短縮された。しかも画像データがディジタル化されるので、劣化すること無く記憶媒体に一括して納められ、収納の省スペース化が可能になっている。さらにディジタル画像の特長を生かし、表示装置上で明るさ、コントラスト、患部の拡大などが自由に調整できるので、診断の補助に有効であり、医科用、歯科用では診断の補助に有効となっている。また工業用非破壊検査装置では検査の効率向上につながりその有用性は大きい。
【0003】
X線用のCCDセンサは、ビデオカメラに利用されているのと同様で、リアルタイムでCCDセンサが受けた可視光をアナログ信号に変換して出力する。このとき通常のCCDと異なり、CCD表面にX線を可視光に変換する蛍光体(シンチレータ、例えばGd2O2S)が挿入されている。また、CCD表面にCdTe検出素子を設け、各画素ごとに導通させたものでもよい。
【0004】
X線が照射されると、被照射体をX線撮影した画像のX線強度の情報を備えたCCDセンサからのアナログ信号が、アナログ/ディジタル変換部に備わるA/Dコンバータによりディジタル化された数値群となる。さらに画像処理部ではディジタル化された数値群を、検査者が診断あるいは検査に適した画像になるように単純な線形変換とマニュアル操作で設定する特性曲線により、ディジタル画像補正を行ない、CRTなどに表示あるいは記録媒体への記録を行う。
【0005】
図を用いて従来例について説明する。図12は従来のディジタル画像補正装置の全体構成を示すブロック図、図13は従来の画像補正手段の作業手順を示すフローチャート、図14は全画素ディジタル値の濃度分布図、図15は線形変換による全画素ディジタル値の変換後の濃度分布図、図16は表示目的に応じてまたは視覚的に見やすくするための変換特性図を示す。
【0006】
図12で、51はX線照射装置、52はX線、53は被照射物、54は被照射物を通過したX線、55はCCDセンサ、56は蛍光体、57はCCD、58は画像アナログ信号、59は信号増幅手段、60は画像アナログ信号、61はA/D変換手段、62、67は画像ディジタル値、63は記憶手段、65は表示手段、66はディジタル画像処理部、64、68は表示用ディジタル値、70はCRT等の表示装置を示す。
【0007】
X線照射装置51からX線52が照射され、被照射物53を通過したX線54を、信号出力手段55が受けると、信号出力手段55は受けたX線54の強度に応じた画像アナログ信号58を信号増幅手段59に出力する。
【0008】
信号出力手段55は、X線を可視光に変換する蛍光体56(シンチレータ、例えばGd2O2S)と可視光を電荷に変えて転送するCCD57とからなり、CCD各画素が受けた光量に応じた信号がアナログ信号58として全画素分の信号が出力される。これにより信号出力手段55は、X線の強度に応じた画像アナログ信号58を出力することができる。なお、蛍光体56の代わりにCCD表面にCdTe検出素子を設け、各画素ごとに導通させたものでもよい。
【0009】
信号増幅手段59では入力された画像アナログ信号58をA/D変換するのに必要なレベルになるように信号増幅を行い、増幅された画像アナログ信号58をA/D変換手段61に出力する。A/D変換手段61では画像アナログ信号60をディジタル値に変換し、画像ディジタル値62を記憶手段63に記憶させる。さらにディジタル値変換手段66においては記憶された画像ディジタル値67を補正して表示用ディジタル値68に変換する。A/D変換手段61は被照射物を通過したX線54の照射量に応じて出力された画像アナログ信号60をディジタル化する。
【0010】
ディジタル値変換手段66の具体例を図13の作業手順を用いて示す。STEP1では画像補正後のヒストグラムの希望する最大値と最小値をそれぞれ、通常画像データがもつダイナミックレンジの最小値、最大値に設定する。これはできるだけ画像情報の濃淡をはっきりさせ、コントラストをつけるためである。このとき設定する最大値をHMAX、最小値をHMINとする。
【0011】
次にSTEP2ではX線照射によって得られた実際の画像データのディジタル数値群から図14に示すようなヒストグラムを求め、このヒストグラムから、最大値及び最小値を求める。このとき設定する最大値をBMAX、最小値をBMINとする。さらにSTEP3ではSTEP2で決めた画像ディジタル値の範囲を図15に示すように広い範囲になるように全画素ディジタル値の変換を実施する。このとき下記に示す式により線形変換を用いて変換する。変換する前のディジタル値をBDATA、変換後の表示用ディジタル値をHDATAとすると次式により線形変換により全画素ディジタル数値群の変換を実施する。
【0012】
【式1】
【0013】
ただしa= HMAX−HMIN
b= BMAX−BMIN
c= HMAX×BMIN−HMIN×BMAX
さらにSTEP4では表示目的に応じて図16に示すように全画素ディジタル値について濃度補正を行う。濃度補正の具体的方法について説明する。図13はある画素のディジタル値の大きさを変換する特性を示す図である。ディジタル値の大きさを変更することと画像の明るさすなわち濃度を変更することとはまったく同一の作業となる。X線画像を見る検査者が明るい部分を見たいときは、直線に近いγ1の特性で、暗い部分をより詳しく見たいときは暗い部分の範囲を広げるγ2の特性により変換を行う。
【0014】
さらにSTEP5では変換したディジタル値を記憶手段63に記憶する。
【0015】
さらに図12の表示手段65により記憶手段の更新された表示用ディジタル値64をCRT等の表示装置70で画像表示させる。
【0016】
以上のような方法で、X線撮影したディジタル画像データを検査や診断しやすい画像データに変換して、画像表示や保存ができた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記従来のディジタル画像補正装置では、X線照射装置の管電圧、出力方式、照射時間、被照射体とX線源との距離、被照射体の状態の個体差などのちがいにより、常に検査者が診断あるいは検査するのに適した画像にならず、いったん表示した画像を、マニュアル操作にて濃度、コントラスト調整して最も検査しやすい画像にする必要があり、煩雑な操作や無駄な時間の浪費を強いられた。これは画像が視覚的に最もよく見えるためには明るい部分より暗い部分の方をよりきめ細かに表示するほうがよく、またできるだけ表示されている画像の明暗の範囲を広げる方が良いためである。しかし、検査者が画像を見ながら濃度調整等を行うのは熟練技術が必要となり、実用上、短時間で多くの画像を見るには大きな課題となっていた。
【0018】
また画像データはディジタル値であるためその取り得る範囲は有限であるので、X線照射量が多すぎたり少なすぎたりすると濃度調整をいくら行っても診断に十分な画像が得られなくなる。CCDセンサはフィルムに比べ感度が優れており、僅かな照射量で十分な画像が得られるという安全面での優位性はある。しかし、照射時間設定や距離設定をCCDセンサの感度に丁度あわせるための条件設定が非常に難しいということがあった。例えば歯科では前歯と臼歯、あるいは幼児と成人の違いでX線の透過率が異なり、照射すべきX線量が異なる。このため最適な条件で画像が得られるまでに何度も試験照射が必要となり無駄が生じていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明第1のディジタル画像補正装置は、光を電気信号に変換する光電変換体と、前記センサで変換された電気信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうちの最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値を所定の値に変換する所定関数を求め、前記所定関数を用いて前記線形変換された数値群の夫々の値を変換する第2の画像処理部とを具備する。
【0020】
また、本発明第2のディジタル画像補正装置は、本発明第1のディジタル画像補正装置において、第2の画像処理部が、第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値が変換される所定の値と、前記線形変換された数値群の最大値及び最小値とから演算される所定の円関数によって前記線形変換された数値群のそれぞれの値を変換することを特徴とする。
【0021】
また、本発明第3のディジタル画像補正装置は、本発明第1または第2のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値が変換される所定の値を設定する設定部を有する。
【0022】
また、本発明第4のディジタル画像補正装置は、本発明第1のディジタル画像補正装置において、第2の画像処理部は、第1の画像処理部において線形変換された数値信号群の中間値が変換される所定の値と、前記線形変換された数値信号群の最大値及び最小値とから演算される所定の2次関数によって前記線形変換された数値信号群のそれぞれの値を変換することを特徴とする。
【0023】
また、本発明第5のディジタル画像補正装置は、本発明第4のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値が変換される所定の値を設定する設定部を有する。
【0024】
また、本発明第6のディジタル画像補正装置は、本発明第1または第2のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において、アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群の中間値を所定の値になるように各数値に同じ値を加算または減算し、さらに線形変換後の数値群の最大値と最小値の差が、表示領域を超えない範囲で、線形変換前の数値群の最大値と最小値の差の所定倍率になるように、全画素データを線形変換することを特徴とする。
【0025】
また、本発明第7のディジタル画像補正装置は、本発明第6のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値が変換される所定の値を設定する設定部を有する。
【0026】
また、本発明第8のディジタル画像補正装置は、本発明第6のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において、線形変換後の数値群の最大値と最小値の差を線形変換前の数値群の最大値と最小値の差の所定倍率を設定する設定部を有する。
【0027】
また、本発明第9のディジタル画像補正装置は、本発明第1または第2のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において、アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群の最大値と最小値の差が所定の数値以下の場合、入力量不足としてエラー状態にすることを特徴とする。
【0028】
また、本発明第10のディジタル画像補正装置は、本発明第9のディジタル画像補正装置に加え、第1の画像処理部において、アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群の最大値と最小値の差が入力量不足としてエラー状態にする基準となる所定の値を設定する設定部を有する。
【0029】
また、上記課題を解決するため、本発明第1のディジタル画像補正方法は、光電変換体で光を電気信号に変換し、前記センサで変換された電気信号をディジタル信号に変換し、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうち最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換し、線形変換された数値群の中間値を所定の値に変換する所定関数を求め、前記所定関数を用いて前記線形変換された数値群の夫々の値を変換する。
【0030】
また、本発明第2のディジタル画像補正方法は、本発明第1のディジタル画像補正方法において、線形変換された数値群の中間値が変換される所定の値と、前記線形変換された数値群の最大値及び最小値とから演算される所定の円関数によって前記線形変換された数値群のそれぞれの値を変換することを特徴とする。
【0031】
また、本発明のX線画像による診断装置は、X線源と、X線を光に変換する蛍光体と、前記蛍光体で変換された光を電気信号に変換する光電変換体と、前記光電変換体で変換された電気信号をディジタル信号に増幅するアナログ/ディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうちの最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値を所定の値に変換する所定関数を求め、前記所定関数を用いて前記線形変換された数値群の夫々の値を変換する第2の画像処理部と、前記第2の画像処理部からの出力を画像として構成し表示装置で表示する。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明第1のディジタル画像補正装置によれば、従来、X線照射装置の管電圧、出力方式、照射時間、被照射体とX線源との距離の違い、被照射体の状態の個体差などにより撮影後の画像が濃度的に一定にならなかったが、中間値を所定の設定値に常に変換することによりこの問題は解消される。
【0033】
また、円関数を用いた変換式で演算できるので、診断等しやすい適切な濃淡の画像に短時間で補正し表示できる点で優れている。また画像全体の印象もフィルムで撮影した時と変わらず、滑らかな画像となる。
【0034】
また、線形変換された中間値を任意に設定できるので、種々の撮影環境で適切な濃淡によってディジタル画像を表示できる。
【0035】
また、2次関数を用いた変換式で演算すれば円関数によって変換する場合よりもより簡易に変換可能となる。
【0036】
上記構成により、本発明のディジタル画像補正装置は、検査者がマニュアル操作せずに、撮影した画像のディジタル数値群に応じて常に最も検査または診断しやすい画像を提供するので迅速な診断、検査に有用なものである。
【0037】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は本発明におけるX線画像装置の全体構成を示すブロック図、図2乃至図5はディジタル値変換手段の一連の作業手順を示すフローチャート、図6は全画素ディジタル値の濃度分布図、図7は線形変換による第1の画像処理部で変換後の濃度分布図、図8は中間値を所定の値になるようにする所定関数による変換特性図、図9は所定関数による第2の画像処理部で変換後の全画素ディジタル値の濃度分布図を示す。
【0039】
図1で、1はX線照射装置、2はX線、3は被照射物、4は被照射物を通過したX線、5は信号出力手段、6は蛍光体、7はCCD、8は画像アナログ信号、9は信号増幅手段、10は画像アナログ信号、11はA/D変換手段、12、17は画像ディジタル値、13は記憶手段、15は表示手段、16はディジタル画像処理部、14、18は表示用ディジタル値、20はCRT等の表示装置を示す。
【0040】
X線照射装置1からX線2が照射され、被照射物3を通過したX線4を、信号出力手段5が受けると、信号出力手段5は受けたX線4の強度に応じた画像アナログ信号8を信号増幅手段9に出力する。
【0041】
信号出力手段5は、X線を可視光に変換する蛍光体6(シンチレータ、例えばGd2O2S)と可視光を電荷に変えて転送するCCD7とからなり、CCD各画素が受けた光量に応じた信号がアナログ信号8として全画素分の信号が出力される。これにより信号出力手段5は、X線の強度に応じた画像アナログ信号8を出力することができる。なお、蛍光体6の代わりにCCD表面にCdTe検出素子を設け、各画素ごとに導通させたものでもよい。
【0042】
信号増幅手段9では入力された画像アナログ信号8をA/D変換するのに必要なレベルになるように信号増幅を行い、増幅された画像アナログ信号8をA/D変換手段11に出力する。A/D変換手段11では画像アナログ信号10をディジタル値に変換し、画像ディジタル値12を記憶手段13に記憶させる。さらにディジタル画像処理部16においては記憶された画像ディジタル値17を本発明のディジタル画像補正方法により表示用ディジタル値18に変換する。
【0043】
ディジタル画像処理部16の具体例を図2乃至図5の作業手順を用いて説明する。
【0044】
STEP1では画像補正後のヒストグラムの希望する最大値と最小値を設定する。通常画像データがもつダイナミックレンジの最小、最大値に設定する。すなわち8ビット階調では0と255、10ビット階調では0と1023というふうに設定する。これはできる限り、画像情報の濃淡をはっきりさせ、コントラストをつけるためである。このとき設定する最大値をHMAX、最小値をHMINとする。なおこの例ではHMIN=0とする。
【0045】
STEP2では第2の画像処理部による画像補正において、撮影画像のディジタル数値群の中間値を変換後にどの値に設定するかを予め設定する。この値は予備実験でCCDセンサを含む全体の系で最適な数値を決定しておく。従来のフィルム撮影での見やすい画像から最適な数値を選択することは困難ではない。この値をTGとする。
【0046】
STEP3ではX線照射によって得られた実際の画像データのディジタル数値群から図6に示すようなヒストグラムを求め、このヒストグラムから、最大値及び最小値を求める。このとき求めた最大値をBMAX、最小値をBMINとする。
【0047】
STEP4では求めたBMAX、BMINがSTEP1で決めたHMAX、0となるよう、全画素ディジタル値の変換を行い、図7に示すような広い範囲になるようにする。このとき下記に示す式により線形変換を用いて変換する。変換する前のディジタル値をBDATA、変換後の表示用ディジタル値をHDATAとすると次式により線形変換により全画素ディジタル数値群の変換を実施する。
【0048】
【式2】
【0049】
ただし
a= HMAX
b= BMAX−BMIN
c=HMAX×BMIN
STEP5ではSTEP4で新しく変換された画像データのディジタル数値群からヒストグラムを求め、このヒストグラムから、中間値を求める。このとき求めた中間値をMXとする。
【0050】
STEP6では変換したディジタル値を円関数または2次関数を使って、STEP5で求めたMXをSTEP2で設定したTGに変換するように、全画素ディジタル値の変換を行なう。このとき円関数または2次関数を求める条件は次の3つである。
(1)HMAX → HMAX (最大値はそのまま最大値で数値は変わらな い。)
(2)HMIN → HMIN=0 (最小値はそのまま最小値で数値は変わ らない。)
(3)MX → TG (求めた中間値は設定した数値へ変換する)
また、元データの全範囲(0−HMAX)に対し、変換後の結果が一意的に求められ、かつ決定した関数によって算出された数値がすべて0−HMAX内であることが拘束条件となる。
【0051】
円関数及び2次関数の、変数x,yを用いた基本式は、定数a,b,c,rを用いると、
円関数の場合
【0052】
【式3】
【0053】
((a,b)は円の中心座標、rは円の半径)
2次関数の場合
【0054】
【式4】
【0055】
である。それぞれ未知数が3個であるので、上記3つの条件から、撮影した画像に特有の変換関数を一意的に求めることができる。
【0056】
条件を代入して実際の関数を求めると、変換する前のディジタル値をHDATA、変換後の表示用ディジタル値をNDATAとして、次のようになる。
円関数の場合
(1)MX=TGの場合 補正しない(すでに条件満足している)
(2)d≦HMAX/2の場合
【0057】
【式5】
【0058】
[(HMAX−d)2+2×d×HDATA―HDATA2]1/2
ただし0<d≦HMAX/2の場合
d=0として上記式にて算出する。
(3)HMAX/2<dの場合
【0059】
【式6】
【0060】
[(HMAX−d)2+2×d×HDATA―HDATA2]1/2
ただしHMAX/2<d≦HMAXの場合
d=HMAXとして上記式にて算出する。
【0061】
ただし
【0062】
【式7】
【0063】
(ここでdは円関数の中心のx座標を示している)
2次関数の場合
【0064】
【式8】
【0065】
(MX2―TG×HMAX)/e×HDATA
ただし
【0066】
【式9】
【0067】
の場合
【0068】
【式10】
【0069】
として上記式にて算出する。
【0070】
【式11】
【0071】
の場合
【0072】
【式12】
【0073】
として上記式にて算出する。
【0074】
(iii)MX=0またはMX=HMAXの場合
計算不可のため変換しない。(通常ありえない)
ただし
【0075】
【式13】
【0076】
上記式を求める過程で平方根の正負の選択をする必要がある。これは図8に示すように、必要とする変換曲線の状態を考慮して選択可能である。変換曲線はヒストグラムの分布状況やTGの値で変換する関数の曲線は上に凸であったり、下に凸であったりするが、関数を求める過程で算出された結果から、条件分岐で自動的に決定される。また、求めたMXと設定したTGがある範囲を超えると求められない。これらの場合が上記式中の条件分岐に現れており、この分岐境界は、全ての変換前の数値に対し、変換後の結果が一意的に求められ、かつ決められた範囲内に入らなければならないという拘束条件から求められる。上記式ではこの条件が満たされない場合、TGにできるだけ近い数値になるようにMXの数値を境界の値に変更して変換式を決定している。
【0077】
実際には、このような条件を満たさない場合というのは、ヒストグラムが明暗どちらかに偏った非適切な撮影がされていたり、設定したTGの数値が非適切であったりする場合である。これらの場合は適切な画像を得ることはできず、条件を変えて再撮影するかTGをもっと適切な数値に設定するべきであるので本発明の弊害とはならない。
【0078】
この変換により図7のヒストグラムは図9のように、MXがTGと一致し、全体の画像が滑らかにつながり、コントラストがよく、濃度的に適度で、かつ照射条件の影響を受けにくい常に安定した画像を得ることが出きる。
【0079】
STEP6では変換したディジタル値を記憶手段13に記憶する。
【0080】
さらに図1の表示手段15により記憶手段の更新された表示用ディジタル値14をCRT等の表示装置20で画像表示させる。
【0081】
以上のような方法で、X線撮影したディジタル画像データを検査や診断しやすい画像データに変換して、画像表示や保存ができた。
【0082】
また、第1の画像処理部で、X線照射量が少なく、ノイズ重畳成分が多い時の処理方法として、以下に発明の実施の形態を図10、11を用いて説明する。図10は画像データの中間値が所定値になるようシフトする状態を示した線形変換前の濃度分布図、図11は線形変換後の最大値と最小値の差が線形変換前の所定倍率になるよう線形変換した時の濃度分布図を示す。
【0083】
図10でBMAX、BMINはそれぞれ画像データ分布の中間値が所定値βになるように全画像データを加算または減算した後の全画像データの最大値、最小値を示す。図11でαは線形変換後の全画像データの最大値と最小値の差が線形変換前の全画像データの最大値と最小値の差の倍率を示す所定値を示し、TMAXとTMINはそれぞれ最大値と最小値の差が所定倍率になるよう変換した後の全画像データの最大値と最小値を示す。γは線形変換前の全画像データの最大値と最小値の差が小さい時にエラー状態にする基準となる所定値を示す。
【0084】
撮影直後のディジタル変換された画像データの濃度分布は図10の右方の点線で示される。この全画像データから中間値を求め、その値があらかじめ設定された値βになるよう全画像データを加算または減算し濃度分布をシフトする。図11の実線で示す部分がその濃度分布を示す。さらにシフトされた全画像データから最大値、最小値を求め、それぞれBMAX、BMINとする。次に、あらかじめ設定された値αを使って、図11下部に示した式に従ってHMAX、HMINを算出する。この計算式はBMAX、BMIN、αが既知であれば、HMAXとHMINの差がBMAXとBMINの差のα倍となるようにHMAXとHMINが決定できるものである。なお、算出したHMAXまたはHMINが表示領域を超えないように限界値を設ける。さらにBMAXとBMINの差があらかじめ設定した値γ以下の場合はX線照射不足と判断し、再撮影を促す等のエラー状態にする。算出したHMAX、HMINを使って、既に説明した方法で線形変換し、第1の画像処理部での処理を終了する。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のディジタル画像補正装置は、全体の画像が滑らかにつながっていて、照射条件の違いに影響されず、常に安定した画像を、マニュアル操作の必要なしに自動的に得ることが出来る。
【0086】
また撮影した画像に特有の変換関数を容易に一意的に求めることができ、全体画像の演算に時間を必要としない。
【0087】
これらにより、X線を用いたディジタル画像補正処理をする本発明は、迅速な診断、検査に有用なものである。
【0088】
また、線形変換して元の画像データの濃度分布を広げる際にその倍率を抑えることにより、ノイズ成分の抑えられ診断に適した画像が提供できる。また、照射量が少なく、濃度補正しても画像コントラストが期待できず、診断に適した画像が得られないときはエラー状態にし、正しい診断、検査を行うことに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施の形態を示すX線画像装置の全体構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態のディジタル値変換手段の作業手順を示すフローチャート
【図3】本発明の一実施の形態のディジタル値変換手段の作業手順を示すフローチャート
【図4】本発明の一実施の形態のディジタル値変換手段の作業手順を示すフローチャート
【図5】本発明の一実施の形態のディジタル値変換手段の作業手順を示すフローチャート
【図6】本発明の一実施の形態における全画素ディジタル値の濃度分布図
【図7】本発明の一実施の形態における線形変換による第1の画像処理部での変換後の濃度分布図
【図8】本発明の一実施の形態における中間値を所定の値になるようにする所定関数による変換特性図
【図9】本発明の一実施の形態における所定関数による第2の画像処理部での変換後の濃度分布図
【図10】本発明の一実施の形態における画像データの中間値が所定値になるようシフトする状態を示した線形変換前の濃度分布図
【図11】本発明の一実施の形態における線形変換後の最大値と最小値の差が線形変換前の所定倍率になるよう線形変換した時の濃度分布図
【図12】従来のディジタル画像補正装置の全体構成を示すブロック図
【図13】従来の画像補正手段の作業手順を示すフローチャート
【図14】従来の全画素ディジタル値の濃度分布図
【図15】従来のディジタル画像補正装置による線形変換による全画素ディジタル値の変換後の濃度分布図
【図16】従来のディジタル画像補正装置の表示目的に応じてまたは視覚的に見やすくするための変換特性図
【符号の説明】
1 X線照射装置
2 X線
3 被照射物
4 被照射物を通過したX線
5 CCDセンサ
6 蛍光体
7 CCD
8 画像アナログ信号
9 信号増幅手段
10 画像アナログ信号
11 A/D変換手段
12、17 画像ディジタル値
13 記憶手段
14、18 表示用ディジタル値
15 表示手段
16 ディジタル画像処理部
19 表示用アナログ信号
20 表示装置
21 アナログ/ディジタル変換部
Claims (5)
- 光を電気信号に変換する光電変換体と、前記光電変換体で変換された電気信号をディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうちの最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値(MX)が変換される任意の値(TG)を設定する設定部と、前記設定部で設定された任意の値(TG)と前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから所定の円関数を演算し、前記所定の円関数の中心のx座標をdとしたときに、0<d≦HMAX/2の場合には、d=0となるように任意の値(TG)を変更し、HMAX/2<d≦HMAXの場合には、d=HMAXとなるように任意の値(TG)を変更し、変更後の任意の値(TG)と前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから演算された所定の円関数によって前記線形変換された数値群のそれぞれの値を変換する第2の画像処理部とを具備するディジタル画像補正装置。
- 第1の画像処理部は、アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群の中間値を所定の値になるように各数値に同じ値を加算または減算し、さらに線形変換後の数値群の最大値と最小値の差が、表示領域を超えない範囲で、線形変換前の数値群の最大値と最小値の差の所定倍率になるように、全画素データを線形変換することを特徴とする請求項1記載のディジタル画像補正装置。
- 第1の画像処理部は、アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群の最大値と最小値の差が所定の数値以下の場合、入力量不足としてエラー状態にすることを特徴とする請求項1記載のディジタル画像補正装置。
- 光電変換体で光を電気信号に変換し、前記光電変換体で変換された電気信号をディジタル信号に変換し、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうち最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換し、線形変換された数値群の中間値(MX)が変換される任意の値(TG)を設定し、設定された任意の値(TG)と線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから所定の円関数を演算し、前記所定の円関数の中心のx座標をdとしたときに、0<d≦HMAX/2の場合には、d=0となるように任意の値(TG)を変更し、HMAX/2<d≦HMAXの場合には、d=HMAXとなるように任意の値(TG)を変更し、変更後の任意の値(TG)と線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから演算された所定の円関数によって前記線形変換された数値群のそれぞれの値を変換するディジタル画像補正方法。
- X線源と、X線を光に変換する蛍光体と、前記蛍光体で変換された光を電気信号に変換する光電変換体と、前記光電変換体で変換された電気信号をディジタル信号に増幅するアナログ/ディジタル変換部と、前記アナログ/ディジタル変換部で変換された数値群のうちの最大値と最小値とを所定の値になるよう前記数値群を線形変換する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の中間値(MX)が変換される任意の値(TG)を設定する設定部と、前記設定部で設定された任意の値(TG)と前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから所定の円関数を演算し、前記所定の円関数の中心のx座標をdとしたときに、0<d≦HMAX/2の場合には、d=0となるように任意の値(TG)を変更し、HMAX/2<d≦HMAXの場合には、d=HMAXとなるように任意の値(TG)を変更し、変更後の任意の値(TG)と前記第1の画像処理部において線形変換された数値群の最大値(HMAX)及び最小値(HMIN)とから演算された所定の円関数によって前記線形変換された数値群のそれぞれの値を変換する第2の画像処理部と、前記第2の画像処理部からの出力を画像として構成し表示装置で表示するX線画像による診断装置。
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