JP4680933B2 - シェルアンドチューブ式熱交換器 - Google Patents
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Description
また、各チューブは、その両端をシェルの両端にある仕切り板(管束板、固定用管板あるいは側板)にて支持されている。このため、仕切り板には各チューブを支持するための貫通孔が形成され、貫通孔の内周部に設置されたOリング等により密封を図りながらチューブが支持されている(特許文献1、特許文献2)。
そこで、チューブの両端は、全てのチューブを焼結等により一体に束ねた、そして外形がおおよそ円盤状のハニカム構造とされている。そして、このハニカム構造の部分は、チューブ内を流れるプロセス液の流入する側あるいは流出する側の配管のフランジとシェルのフランジ間に配置され、ハニカム構造ごとシールを図りながらシェルや配管に固定されている。
従って、相手方のフランジとの間にジョイントシートを挟みこんでボルトで一体に締め込んで、シールを図りながら固定する構造とすることは困難である。
この結果、樹脂製のチューブを使用するシェルアンドチューブ式の熱交換器において、ハニカム構造部をシェルや配管のフランジにシールを図りながら固定するためには、複雑な構造とせざるを得ず、種々の問題が生じていた。
また、両方の液のシール機能が損なわれたとしても、両方の液の接触が防止される技術の開発が望まれていた。
さらに、従来以上に信頼性のあるシール技術の開発が望まれていた。
また、両方のエンドプレートとハニカム構造部の固定には、ボルトによる締め付けだけでなく嵌め込みを併用し、さらにシール部はこの嵌め込み部内に設けて地震等に対する耐性を増したものである。
さらに、本発明の好ましい態様は、ハニカム構造部の外周部の両エンドプレート間に対応する位置に水切りを設け、両方の液ともシール機能が損なわれたときでも、両方の液の混合が生じないようにしたものである。
また、本発明の好ましい態様は、全ての樹脂製チューブの端部を一体に束ねたハニカム構造部のシェル側に、スプリットリングをシェルに押し付けることとなる凸出部を形成し、この凸出部を利用してシェル側を流れる冷却水などの液を2重にシールし、又ハニカム構造の配管側の外周面と端面の2箇所でチューブ内のプロセス液をシールするようにして、シールの信頼性、安全性を増したものである。
以下に、各請求項の内容と効果等を説明する。
樹脂製チューブの端部を一体に束ねたハニカム構造部と、前記ハニカム構造部をその外径がシェル側フランジよりも小さいことを補償してシェル側フランジに固定するためのスプリットリングと、シェル側エンドプレートと、配管側エンドプレートとを有するシェルアンドチューブ式熱交換器であって、
前記シェル側エンドプレートは、ほぼ円筒状であり、その内周側に前記ハニカム構造部のシェル側寄りの部分と前記スプリットリングとを嵌め込んでシェル側フランジに固定され、併せて前記ハニカム構造部と前記スプリットリングを押圧してシェル側フランジに固定し、
前記配管側エンドプレートは、ほぼ円筒状であり、その内周側に前記ハニカム構造部の配管側寄りの部分を嵌め込んで配管側フランジと前記シェル側エンドプレートに固定され、併せて前記ハニカム構造部を前記スプリットリングと挟み込んで固定し、
前記ハニカム構造部は、前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う側端面間に位置する部分の外周面が外部に露出していることを特徴とするシェルアンドチューブ式熱交換器である。
さらに、従来のシェルアンドチューブ式熱交換器では、ハニカム構造部の固定に、エンドプレートとの嵌め込みは使用されていなかった。
また、ハニカム構造部の固定に、エンドプレートとの嵌め込みが使用されているため、地震等における耐振動性も向上する。
また、ここにいう円筒とは、薄いため円盤(板、リング)に近い形状も含まれる。
また、スプリットリングは、ハニカム構造部をシェル側エンドプレートに嵌め込んだ後、接着等によりハニカム構造部と接合され一体の物とされていてもよい。
また、ハニカム構造部の外周面やシェル側あるいは配管側の端面には、金属製のリングやライナが焼付けなどで固定されていてもよい。
また、シェルの外形やエンドプレート等の材質は問わない。
なお、水切りは、ハニカム構造部の外周面を凸出させていてもよいし、逆に凹ませていてもよいし、2つ割れで取付けられている等の構造物であってもよい。
前記のシェルアンドチューブ式熱交換器であって、
前記配管側エンドプレートを前記シェル側エンドプレートに固定する複数のボルトと、
前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う端面の間隔を一定に保持するため、前記複数のボルトの外周を囲むボルトごとのスペーサとを有していることを特徴とするシェルアンドチューブ式熱交換器である。
また、シェル側と配管側のエンドプレートへのボルトの締め付けが確実になされるため、シェル方向あるいは配管方向への押圧によるシール機能が求められている場合には、いずれのエンドプレートも、Oリング等のシール材へのシェル方向又は配管方向への押圧が適切になされることとなる。
前記ハニカム構造部は、前記スプリットリングと共に前記シェル側エンドプレートの内周側に嵌め込んで固定されたときに、前記スプリットリングをシェル側フランジ端面に押しつける凸出部を有し、
さらに、シェル側の液のシールは、前記凸出部と前記シェル側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造によりなされるものであることを特徴とするシェルアンドチューブ式熱交換器である。
このため、ハニカム構造部の固定は、シェルのフランジとシェル側のエンドプレートが、この凸出部を、スプリットリングを介在させて両側から押圧しつつ挟み込むことと、嵌め込みによりなされることとなる。
また、冷却水のシールは、ほぼ円筒状のシェル側エンドプレートの内周側とハニカム構造部の凸出部の外周面にあるシールでなされることとなる。
また、ケースによっては、あるいは化学プラントの如何によっては、沸騰を防止する等の目的で冷却水や冷却用液体の圧力を増すことも容易になる。
また同じく、シェル方向への押圧は、ボルトの締め付けだけによりなされることとなる。
また、シートによるシールと異なり、原則として接着兼シール剤が不必要であるため、取付け作業が容易であり、接着剤による汚染も生じない。
さらに、単に2重にシールされるだけでなく、Oリングは1つが前記ハニカム構造部の外周側にあって半径方向に押圧され、他の1つが前記ハニカム構造部の凸出部の端壁面にてシェル方向に押圧されてシールされる。このため、例えばチューブ方向のボルトの締め付け力の不足等、一つの原因による機能喪失が発生しても、他方のシール機能への影響が少ない。
また、Oリングは、嵌め込み部にあるため、シールの地震等における耐振動性も高い。
さらに、配管側の液のシールは、前記ハニカム構造部と前記配管側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造によりなされるものであることを特徴とするシェルアンドチューブ式熱交換器である。
特に、プロセス液の圧力を上げることが容易になり、このため低圧の外部側からの不純な液体や気体が浸入してくる危険性を容易に低下させることができる。
なお、フッ素樹脂としては、PTFE、パーフロアルコキシ(PFA)等が挙げられる。
また、ハニカム構造部は、多数の小径のフッ素樹脂製チューブを束ねて形成されるが、そのための方法は問わない。
さらに、シェル内での熱交換を効率化するため、シェル内部で、チューブ相互間を拡散させて保持する治具として金属製の枠等他の材料が使用されていてもよい。
また、両液の接触が防止されやすい。
また、外周面を外部より視認できるため、万が一シール漏れがあったとしても、その発見が容易となる。
また、ハニカム構造部の固定は、押圧に加えて嵌め込みが使用されるため、地震等への耐性が向上するが、さらに、シールもこの嵌め込み箇所に設けられているため、地震等への耐性が向上する。
以上のため、樹脂製チューブを採用したシェルアンドチューブ式熱交換器の、信頼性や実用性が向上する。
12 ハニカム構造部のシェル側の凸出部
13 ハニカム構造部の外周面
14 ハニカム構造部の配管側の端面
15 ハニカム構造部の外周部の凹部(水切り)
21 樹脂製チューブ
23 スプリットリング
41、42、43、44 シール部
51 シェル側エンドプレート
52 配管側エンドプレート
53 スペーサ
61 ボルト(配管側とシェル側のエンドプレート間用)
62 ボルト(配管側フランジと配管側エンドプレート間用)
71 液漏れセンサー
90 シェル
91 シェル側フランジ
96 配管側フランジ
また、シェル側のエンドプレート51と配管側のエンドプレート52を固定するボルト61の外周には、ボルトごとに円筒状のスペーサ53が配置されている。このスペーサ53は、ボルトの過度のねじ込みや、シェルや配管の熱膨張、振動等により樹脂からなるハニカム構造部11に過度の押圧力が作用したり、落下物等がハニカム構造部11を直撃したりするのを防止する。
なお、シェル側フランジ91とシェル側エンドプレート51間もOリングやジョイントシートを使用したシールがなされている。ただし、これは本発明の趣旨に直接の関係はないため、詳細な説明は省略する。
なお、この凹部は水切りであるため、凸部であってもよい。
Claims (12)
- 樹脂製チューブの端部を一体に束ねたハニカム構造部と、前記ハニカム構造部をその外径がシェル側フランジよりも小さいことを補償してシェル側フランジに固定するためのスプリットリングと、シェル側エンドプレートと、配管側エンドプレートとを有するシェルアンドチューブ式熱交換器であって、
前記シェル側エンドプレートは、ほぼ円筒状であり、その内周側に前記ハニカム構造部のシェル側寄りの部分と前記スプリットリングとを嵌め込んでシェル側フランジに固定され、併せて前記ハニカム構造部と前記スプリットリングを押圧してシェル側フランジに固定し、
前記配管側エンドプレートは、ほぼ円筒状であり、その内周側に前記ハニカム構造部の配管側寄りの部分を嵌め込んで配管側フランジと前記シェル側エンドプレートに固定され、併せて前記ハニカム構造部を前記スプリットリングと挟み込んで固定し、
前記ハニカム構造部は、前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う側端面間に位置する部分の外周面が外部に露出していることを特徴とするシェルアンドチューブ式熱交換器。 - 前記ハニカム構造部は、前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う端面間に位置する部分の外周面に水切りが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記配管側エンドプレートを前記シェル側エンドプレートに固定する複数のボルトと、
前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う端面の間隔を一定に保持するため、前記複数のボルトの外周を囲むボルトごとのスペーサとを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。 - 前記ハニカム構造部は、前記スプリットリングと共に前記シェル側エンドプレートの内周側に嵌め込んで固定されたときに、前記スプリットリングをシェル側フランジ端面に押しつける凸出部を有し、
さらに、シェル側の液のシールは、前記凸出部と前記シェル側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造によりなされるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。 - 前記凸出部と前記シェル側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造とは、前記凸出部の頂面および凸出部の反シェル側の壁面と前記シェル側エンドプレートの内周側間の2箇所に設けられたものであることを特徴とする請求項4に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記2箇所に設けられたシール構造は、いずれもOリングを使用するものであることを特徴とする請求項5に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記配管側エンドプレートは、その内周側に前記ハニカム構造部の配管寄りの部分を嵌め込んだときに、前記ハニカム構造部の配管側の端面を押圧する段部を有し、
さらに、配管側の液のシールは、前記ハニカム構造部と前記配管側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造によりなされるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。 - 前記ハニカム構造部と前記配管側エンドプレートの内周側間に設けられたシール構造とは、前記ハニカム構造部の配管側の端面部分と前記配管側エンドプレートの内周側にある段部間、および前記ハニカム構造部の配管寄りの外周面と前記配管側エンドプレート内周側間の2箇所に設けられたものであることを特徴とする請求項7に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記ハニカム構造部の配管側の端面部分と前記配管側エンドプレートの内周側にある段部間、および前記ハニカム構造部の配管寄りの外周面と前記配管側エンドプレート内周側間の2箇所に設けられたシール構造は、いずれもOリングを使用するものであることを特徴とする請求項8に記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 配管側の液のシールは、ポリテトラフルオロエチレンをその材質として使用するシール構造によりなされるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記樹脂製チューブは、フッ素樹脂製であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
- 前記シェル側エンドプレートと前記配管側エンドプレートの相向き合う側端面間に位置する部分に、液漏れセンサーを設けることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のシェルアンドチューブ式熱交換器。
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