JP3694178B2 - 液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ここで図2はモータ運転時の封入液の熱膨張を吸収する封水膨張調整装置を備えた液封式液中モータの一例を示す全体図である。同図に示すようにこの液封式液中モータは、筒状のモータフレーム1内に固定子30を取り付け、固定子30の中央に回転子40を固定した主軸50を回転自在に挿入し、モータフレーム1の上下端にそれぞれモータ反負荷側のブラケット3とモータ負荷側のブラケット2とを取り付け、モータフレーム1内に封入液4を充填し、モータフレーム1の外周を外部ケーシング11で覆い、外部ケーシング11の上下端にそれぞれ吐出ケーシング12と上部ケーシング10とを取り付け、上部ケーシング10の下に下部ケーシング9とストレーナ9とを取り付け、主軸50の下端にポンプ羽根車8を取り付け、さらにこの液封式液中モータの上部に設置した封水膨張調整装置5に前記モータフレーム1内部の封入液4に連通する2本のパイプ61,65を接続して構成されている。
【0003】
封水膨張調整装置5はヘッドタンク方式であり、その内部に封入液4を入れ、モータフレーム1内の封入液4が熱膨張するとパイプ65から封水膨張調整装置5に排出され、熱膨張がなくなるとパイプ65からモータフレーム1内に戻されるように構成されている。
【0004】
ところで固定子30からは電源用のケーブル6が外部に引き出されるが、このためモータ反負荷側のブラケット3の部分にはケーブル口出し部Aが設けられている。
【0005】
ここで図3は従来のケーブル口出し部Aの部分の拡大概略側断面図である。同図に示すようにブラケット3に設けた孔31内に電源用のケーブル6を通したリング状のパッキン押え15aと、リング状の2つのゴム製のパッキン13′と、リング状のパッキン押え15bとを挿入し、ボルト17をブラケット3に捩じ込むことでパッキン押え板16の下端をパッキン押え15bに押し付けてパッキン13′,13′を押え込み圧縮させ、その内周と外周のシール面によってシールを行なうように構成されている。
【0006】
ところで封水膨張調整装置5が上述のようにヘッドタンク方式の場合は、封水膨張調整装置5の設置高さと水面との差によって液中モータの内部と外部に圧力差が生じる。
【0007】
従ってケーブル6のやせ細りや、ケーブルシースとパッキン13′を構成するゴム材の弾性低下及び永久変形歪み等の経年的劣化によってシールが不完全となり、封入液4が漏れる事故が発生する恐れがあった。特に寒冷地では寒さにより、ケーブルシース及びパッキンが収縮するので、ケーブル6とパッキン13′の間及びブラケット3とパッキン13′の間に隙間ができ易く、漏れが顕著になる。
【0008】
そしてこの事故の対応には、新たなパッキン押えを追加してパッキン15bの上に重ね合わせ、パッキン13′への圧縮力を増すことでシール性を回復させている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら以上のような封入液漏れの対応では、追加するパッキン押えの板の厚さを特定することは難しく、最適な圧力で電源ケーブル6をシールすることが困難であった。なおケーブル6の被覆材も経年的に圧迫によりやせており、余分な負荷を与えると更に電源ケーブル6に損傷を与え易くなる。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、ケーブルに余分な負荷を与えることなく、シール効果が長期的に持続して保守性に優れた液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、モータ内部に液体が封入される液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造において、前記ケーブル口出し部は前記液封式液中モータのブラケットに設けた孔からケーブルを外部に引き出して構成され、前記シール構造は、前記ケーブルを通したリング状のパッキンの内周のシール面を前記ケーブル外皮と接することでシールすると共に、該パッキンの内周のシール面中に溝を設け、該溝内に接液すると膨張する性質を有するゴム材を前記ケーブル外皮と接するように取り付けることによって構成されていることを特徴とする。
また本発明は、前記シール構造がさらに、前記ケーブルを通したリング状のパッキンの外周のシール面を前記ブラケットの孔の内周面と接することでシールすると共に、該パッキンの外周のシール面中に溝を設け、該溝内に接液すると膨張する性質を有するゴム材を、前記ブラケットの孔の内周面と接するように取り付けることによって構成されていることを特徴とする。
前記シール構造は、リング状のゴム材の内周側に面取りを施した形状のパッキンを複数枚重ねて該面取りした部分で溝を形成し、且つ該溝内に前記ゴム材を取り付けることによって構成されていることが好ましい。
また前記液封式液中モータには、封入液の熱膨張を吸収する封水膨張調整装置が取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるシール構造を示す概略側断面図であり、図2のケーブル口出し部Aの部分を拡大して示している。なお前記図2,図3で示したと同一部分には同一符号を付している。
【0013】
同図に示すようにこのシール機構は、モータ反負荷側のブラケット3に設けた孔31内に電源用のケーブル6を通したリング状のパッキン押え15aと、リング状の2つのゴム製のパッキン13,13と、リング状のパッキン押え15bとを挿入し、ボルト17をブラケット3に捩じ込むことでパッキン押え板16の下端をパッキン押え15bに押し付けて両パッキン13,13を押え込み圧縮させ、両者の内周と外周のシール面によってシールを行なうように構成されている。
【0014】
ここでパッキン13,13はリング形状のゴム材であり、両パッキン13,13を接合する側の面の外径側と内径側に面取りmを設けている。そして2つのパッキン13を接合することで対向する面取りm,mによって形成される溝にはゴム材14が充填されている。言い替えれば両パッキン13,13にてシールしている外周面と内周面に溝を設け、該溝にゴム材14を充填している。
【0015】
ここでゴム材14は接液すると膨張する性質を有する特殊ゴム(例えばブチルゴムシール材)で構成されている。
【0016】
この部分の具体的な組み立ては、電源ケーブル6を通した下側のパッキン13を孔31内に挿入した後、下側のパッキン13の内外周の面取りm部分に粘土状のゴム材14を入れ、その上に電源ケーブル6を通した上側のパッキン13を挿入し、前述のようにボルト17によって上下のパッキン押え15a,b間を挟持することによって行なわれる。
【0017】
そしてパッキン13,13を構成するゴム材が経年的に劣化して封入液4が漏れ出すと、封入液4はゴム材14に触れるのでゴム材14が膨張し、膨張したゴム材14が封入液4の漏れを止める。つまりパッキン13,13が劣化しても継続的にシール効果を維持させることができる。ゴム材14は封入液4が漏れ出した時点より膨張してその効果を発揮し、止水した時点で膨張が止まるため、ケーブル6に余分な負荷を与えることもない。よってシール効果が長期的に持続し、保守性に優れる。
【0018】
なお本実施形態においては2つのリング形状のパッキン13,13の面取りmによって形成された溝にゴム材14を充填したので、パッキン13,13とゴム材14とを別々に扱うことができ、組み立て及び現場でのメンテナンス等の作業を容易に行なえる。
【0019】
なおパッキン13及びゴム材14の構造は上記実施形態に限定されず、例えばパッキン13は3枚以上重ね合わせても良く、また各部材や溝の形状も変形可能である。即ち要はパッキンのシール面に溝を設け、該溝内に接液すると膨張する性質を有するゴム材を取り付ける構造であればどのような構造であっても良い。
【0020】
なお本発明を上記実施形態のようにヘッドタンク方式の封水膨張調整装置5を取り付けた液封式液中モータに適用した場合はその構造上、前述のように封水膨張調整装置5の設置高さと水面との差によって液中モータの内部と外部に圧力差が生じるので、前記シール部分から封入液4が漏れ易い。従って本発明はこの方式の封水膨張調整装置を取り付けた液封式液中モータに適用した場合にその効果が顕著に表われる。
【0021】
但し本発明はヘッドタンク方式以外の封水膨張調整機構(例えばモータ内にべローズを内蔵した方式のものなど)を備えた液封式液中モータに適用しても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば以下のような優れた効果を有する。
▲1▼従来のパッキンのシール効果に加え、パッキンの劣化による封水漏れが発生してからゴム材がシール効果を発揮するという二重構造となるため、シール効果の寿命を延ばすことができる。よって保守点検の間隔にゆとりが出来、保守性に優れ、経済的にも効果が大きい。
【0023】
▲2▼ゴム材は封入液が漏れ出した時点より膨張し、止水した時点で膨張が止まるため、最適な圧力でケーブルをシールすることができ、ケーブルに余分な負荷を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるシール構造を示す概略側断面図である。
【図2】封水膨張調整装置を備えた液封式液中モータの一例を示す全体図である。
【図3】従来のシール構造を示す概略側断面図である。
【符号の説明】
A ケーブル口出し部
4 封入液
6 ケーブル
13 パッキン
m 面取り
14 ゴム材
70 封水膨張調整装置
Claims (4)
- モータ内部に液体が封入される液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造において、
前記ケーブル口出し部は前記液封式液中モータのブラケットに設けた孔からケーブルを外部に引き出して構成され、
前記シール構造は、前記ケーブルを通したリング状のパッキンの内周のシール面を前記ケーブル外皮と接することでシールすると共に、該パッキンの内周のシール面中に溝を設け、該溝内に接液すると膨張する性質を有するゴム材を前記ケーブル外皮と接するように取り付けることによって構成されていることを特徴とする液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造。 - 前記シール構造はさらに、前記ケーブルを通したリング状のパッキンの外周のシール面を前記ブラケットの孔の内周面と接することでシールすると共に、該パッキンの外周のシール面中に溝を設け、該溝内に接液すると膨張する性質を有するゴム材を、前記ブラケットの孔の内周面と接するように取り付けることによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造。
- 前記シール構造は、リング状のゴム材の内周側に面取りを施した形状のパッキンを複数枚重ねて該面取りした部分で溝を形成し、且つ該溝内に前記ゴム材を取り付けることによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造。
- 前記液封式液中モータには、封入液の熱膨張を吸収する封水膨張調整装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の液封式液中モータのケーブル口出し部のシール構造。
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