JP4679293B2 - 車載パノラマカメラシステム - Google Patents

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Description

この発明は、車載パノラマカメラシステムに関する。
安全運転を支援するため、1または複数の車載カメラで水平方向に広視野な領域を撮影し、その映像を車内のモニタに表示する車載パノラマカメラシステムが実用化されつつある。現在、提案されている車載パノラマカメラシステムには、通常のカメラを複数台使用するものと、広視野のカメラを1台使用するものとがある。
(1)通常のカメラを複数台使用する車載パノラマカメラシステム
通常のカメラでは視野角が小さいので、複数台のカメラをその視野の一部が重なるように、水平方向に視線を変えて設置し、得られた複数の画像を合成して表示する。このとき、複数の画像のつなぎ目がわからないように各画像を幾何変換することで、より視認性の高い水平パノラマ画像が得られる。
(2)広視野のカメラを1台使用する車載パノラマカメラシステム
この種の車載パノラマカメラシステムでは、超広角レンズ、魚眼レンズまたは全方位センサを用いて、一度に広視野な画像を得る。ただし、撮影画像はレンズ歪みの影響が大きいため、レンズ歪みを補正し、補正後の画像の一部分を切り取ってモニタに表示する。
広視野のカメラを1台使用する車載パノラマカメラシステムは、通常のカメラを複数台使用する車載パノラマカメラシステムと比較すると、画像中心から離れるほど解像度が低くなるという問題はあるが、つなぎ目は発生しないという利点がある。
ところで、複数の画像を合成してパノラマ画像を生成する方法には、各撮影画像を平面上に投影して貼り合わせる方法の他、各撮影画像を円筒面上に投影して貼り合わせる方法がある。
前者によって生成されたパノラマ画像では、遠近感が出るため、画像と実際の方向感覚との一致度は高いが、視野が広くなるほどパノラマ画像の歪みは大きくなり、中央付近の領域は視認不可能なほど小さくなる。さらに、180度以上の視野は原理的に表示不可能である。後者によって生成されたパノラマ画像では、遠近感が出ないため、パノラマ画像の水平位置と、実際の方向との対応付けが直観的にわかりづらいという問題がある。
合成ものと、広視野のカメラを1台使用するものとがある。
特許第3154676号公報 特許第3297040号公報 特開2004−46573号公報
この発明は、実際の方向を認識しやすくかつ広視野においても比較的歪みが小さいパノラマ画像が得られる車載パノラマカメラシステムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、車両に搭載されており、投影中心を共有しかつ隣どうしのカメラの撮像領域の一部が重なり合うように配置された複数のカメラであって、それらのカメラ全体の撮像範囲が車両の前方または後方を中心とする所定水平角度範囲となるように配置されている複数のカメラ、上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする円筒面を投影面として、各カメラの撮像画像を円筒面投影画像に変換する円筒面投影変換手段、円筒面投影変換手段によって得られた各円筒面投影画像を接合することにより、円筒面パノラマ画像を生成する接合手段、上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする楕円筒面であって短軸方向が車両の前後方向と一致している楕円筒面を投影面として、接合手段によって得られた円筒面パノラマ画像を楕円筒面投影画像に変換することにより、楕円筒面パノラマ画像を生成する楕円筒面投影変換手段、ならびに楕円筒面投影変換手段によって得られた楕円筒面パノラマ画像を表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、車両に搭載されており、投影中心を共有しかつ隣どうしのカメラの撮像領域の一部が重なり合うように配置された複数のカメラであって、それらのカメラ全体の撮像範囲が車両の前方または後方を中心とする所定水平角度範囲となるように配置されている複数のカメラ、上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする円筒面を投影面として、各カメラの撮像画像を円筒面投影画像に変換する円筒面投影変換手段、円筒面投影変換手段によって得られた各円筒面投影画像を接合することにより、円筒面パノラマ画像を生成する接合手段、上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする楕円筒面であって短軸方向が車両の前後方向と一致している楕円筒面を投影面として、接合手段によって得られた円筒面パノラマ画像を楕円筒面投影画像に変換することにより、楕円筒面パノラマ画像を生成する楕円筒面投影変換手段、楕円筒面投影変換手段によって得られた楕円筒面パノラマ画像における車両のコーナ位置に対応する位置に、車両のコーナ位置を示す画像を付加するコーナ位置指標付加手段、ならびにコーナ位置指標付加手段によって車両のコーナ位置を示す画像が付加された楕円筒面パノラマ画像を表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1乃至2に記載の発明において、円筒面投影変換手段は、隣合う円筒面投影画像の重なり部を抽出する第1手段、隣合う円筒面投影画像の重なり部の対応点を求める第2手段、および隣合う円筒面投影画像の重なり部の対応点に基づいて、隣合う円筒面投影画像間の幾何変換係数を算出する手段および隣合う円筒面投影画像の幾何変換係数に基づいて隣合う円筒面投影画像を接合する第3手段を備えていることを特徴とする。
この発明によれば、実際の方向を認識しやすくかつ広視野においても比較的歪みが小さいパノラマ画像が得られるようになる。
以下、図面を参照して、この発明の実施例について説明する。
〔1〕カメラの配置についての説明
図1は、車両に設けられた3台のカメラを示している。
車両100の前部に、3台のカメラ1、2、3が設けられている。カメラ2は車両の幅中央に前方向きに配されている。カメラ1はカメラ2の左側に前方斜め左向きに配されている。カメラ3はカメラ2の右側に前方斜め右向きに配置されている。各カメラ1、2、3は、投影中心を共有し、かつ隣どうしのカメラの撮影領域の一部が重なり合うように配置されている。
〔2〕車載パノラマカメラシステムの構成についての説明
図2は、車載パノラマカメラシステムの構成を示している。
車載パノラマカメラシステムは、車両100に設けられた3台のカメラ1、2、3と、車両内に設けられかつカメラ1、2、3によって撮影された画像からパノラマ画像を生成するパノラマ画像生成部4と、車両内に設けられかつパノラマ画像生成部4によって生成されたパノラマ画像を表示するモニタ5とを備えている。
各カメラ1、2、3としては、CCDカメラが用いられる。パノラマ画像生成部4としては、例えば、マイクロコンピュータが用いられる。モニタ5としては、例えば、ナビケーションシステムのモニタが用いられる。
〔3〕パノラマ画像生成処理についての説明
図3は、パノラマ画像生成部4によるパノラマ画像生成処理手順を示している。
まず、各カメラ1、2、3の撮像画像を読み込む(ステップS1)。次に、読み込んだ各撮像画像を円筒面に投影するための処理(円筒面投影変換処理)を行なう(ステップS2)。つまり、各撮像画像の座標を円筒面投影座標に変換する。次に、円筒面に投影された各画像を接合するための処理(画像接合処理)を行なう(ステップS3)。これにより、円筒面パノラマ画像が得られる。次に、円筒面パノラマ画像を、楕円筒面に投影するための処理(楕円筒面投影変換処理)を行なう(ステップS4)。これにより、楕円筒面パノラマ画像が得られる。そして、得られた楕円筒面パノラマ画像をモニタ5に表示する(ステップS5)。
以下、ステップS2、S3の処理の詳細について説明する。
〔3−1〕円筒面投影変換処理(ステップS2の処理)についての説明
ステップS2では、各撮影画像を円筒面に投影する。説明の便宜上、各カメラ1、2、3は、水平状態で車両に取り付けられているものとする。
図4に示すように、例えば、カメラ3の撮像面S3の幅をw画素とすると、視点(投影中心)Oから撮影した画像面S3上の点Q(x,y)は、次式(1)を用いて、投影中心Oを通る垂線を中心軸とし半径rの円筒面E上の点Q’=(x’,y’)に投影される。円筒面投影画像をI3で示す。なお、カメラ3の撮像画像を円筒面投影画像に変換する場合、円筒面E上の座標系x’y’は、投影中心Oからカメラ3の撮像面S3の中心を通る直線と円筒面Eとの交点を原点とし、垂直方向にy’軸を、円筒面の周方向にx’軸を取った座標系である。また、x’,y’の各座標値の単位は画素単位である。
Figure 0004679293
ステップS2では、上記式(1)を用いて、各カメラ1、2、3の撮影画像を円筒面投影画像に変換する。図5に、各カメラ1、2、3の撮影画像に対応する円筒面投影画像を、I1、I2およびI3で示す。
〔3−2〕画像接合処理(ステップS3)の説明
ステップ3では、円筒面投影変換された各画像が接合される。具体的には、カメラ2に対応する円筒面投影画像を基準として、3台のカメラ1、2、3に対応する円筒面投影画像が接合される。
図6は、画像接合処理手順を示している。
カメラ2に対応する円筒面投影変換画像I2を基準画像として、カメラ1に対応する円筒面投影変換画像I1を基準画像I2に接合するとともに、カメラ3に対応する円筒面投影変換画像I3を基準画像I2に接合する。
基準画像を第1画像といい、基準画像に接合される他の1つの画像を第2画像ということにする。第1画像と第2画像との重なり部の抽出処理が行われる(ステップS11)。この重なり部の抽出処理としては、例えば、特開2004−46573号公報に開示されている方法等の公知の技術が用いられる。
次に、特徴点抽出処理が行われる(ステップS12)。つまり、第1画像における第2画像との重なり部分から、追跡に有効な複数の部分画像(矩形領域)が特徴点として抽出される。この特徴点抽出処理としては、例えば、特開2004−46573号公報に開示されている方法等の公知の技術が用いられる。
次に、特徴点追跡処理が行われる(ステップS13)。つまり、抽出された第1画像上の特徴点に対する第2画像上の位置が追跡される。この特徴点追跡処理としては、例えば、特開2004−46573号公報に開示されている方法等の公知の技術が用いられる。
次に、幾何学変換行列の算出処理が行なわれる(ステップS14)。ここでは、第1画像が基準画像であるため、上記ステップS13で求められた第1画像と第2画像との対応点の座標に基づいて、第2画像内の各画素の座標を第1画像上の座標に変換するための幾何変換行列(幾何変換係数)を算出する。
幾何変換行列としては、この例では、2次元平行移動のための行列が用いられる。幾何変換行列とし2次元剛体変換行列を用いてもよい。
この段階では、第2画像内の各画素の座標を第1画像上の座標に変換しないが、第2画像内の各画素の座標(x’,y’,1)を第1画像の座標(*x’,*y’,1)に変換する式は、次式(2)で表される。
Figure 0004679293
上記式(2)において、(tx ,ty )は平行移動量を示し、kは零でない任意の定数を示している。
次に、画素値調合の重み(画素値調合係数)を算出する(ステップS15)。
3台のカメラで複数の画像を撮像した場合には、画像間の明るさが異なることがある。そこで、接合されるべき第1画像と第2画像とが重なる領域では、各画像の画素値を調合する処理を後処理として行なう。画素値調合処理は、両画像の重なり領域の画素値を画像間で滑らかに変化させることにより、明るさの差異を目立たなくさせる処理である。また、この処理は、同時に、幾何変換による合成誤差も目立たなくさせることができる。
この実施の形態では、各画像の重心からの距離に基づいて両画像の重なり領域の画素値を調合する。
まず、第1画像の重心位置G1 を求める。また、第2画像を第1画像に接合した合成画像上での第2画像の重心位置G2 を、接合のために使用される変換式(上記式(2)式)に基づいて求める。
次に、第1画像の4頂点(4隅)の位置をそれぞれ求める。また、第2画像を第1画像に接合した合成画像上での第2画像の4頂点の位置を、接合に使用される変換式(上記式(2)式)に基づいて求める。これにより、合成画像上における第1画像の4頂点の位置および第2画像の4頂点の位置が分かるので、合成画像上において第1画像と第2画像との重なり領域を抽出する。
合成画像上での第1画像と第2画像との重なり領域内の各画素(画素値調合対象画素)から第1画像と第2画像のそれぞれの画像の重心位置G1 、G2 までの距離に応じて、当該画素値調合対象画素の画素値の重みを決定する。この重みは、画素値調合対象画素から重心までの距離が近い方の画像の画素値を大きくするように決定する。
つまり、合成画像上での第1画像と第2画像との重なり領域内の画素値調合対象画素の座標から、合成画像上での第1画像の重心位置G1 までのユークリッド距離をd1 、合成画像上での第2画像の重心位置G2 までのユークリッド距離をd2 とすると、画素値調合対象画素における第1画像の画素値に対する重みW1 および第2画像の画素値に対する重みW2 は、次式(3)で表される。
Figure 0004679293
各画素値調合対象画素に対して式(3)に基づいて重みw1 およびw2 を算出し、画素値調合対象画素に対する重みw1 およびw2 のテーブル(重みテーブル)を作成する。
次に、画像を合成する(ステップS16)。
つまり、上記式(2)を用いて第2画像を第1画像の座標系に描画する。
この際、ステップS15で得られた重みテーブルに基づいて、第1画像と第2画像の重なり領域の画素値P1 、P2 を画素調合する。すなわち、次式(4)により、各画素値調合対象画素の画素値Pi を算出する。このようにして、3つの円筒面投影画像I1、I2、I3を接合することにより、円筒面パノラマ画像が得られる。なお、カメラ2の撮像画像に対応する円筒面投影変換画像I2を基準画像として3つの円筒面投影変換画像を合成しているので、円筒面パノラマ画像の座標系x’y’は、投影中心Oから中央のカメラ2の撮像面の中心を通る直線と円筒面Eとの交点を原点とし、垂直方向にy’軸を、円筒面の周方向にx’軸を取った座標系となる。
Figure 0004679293
〔3−3〕楕円筒面投影変換処理(ステップS4)の説明
ステップS4では、円筒面パノラマ画像を、楕円筒面に投影する。
図7に示すように、投影中心Oを通る垂線を中心軸とし、車両の前後方向(投影中心Oと図示しないカメラ2の撮像面との中心を結ぶ方向)と短軸方向とが一致する楕円筒面Dを想定する。この楕円筒面Dの長軸の半径(長半径)をa画素、短軸の半径(短半径)をb画素とする。
円筒面パノラマ画像上の点Q’(x’,y’)は、次式(5)を用いて、楕円筒面D上の点Q”(x”,y”)に投影される。この場合、楕円筒面D上の座標系x”y”は、投影中心Oから中央のカメラ2の撮像面の中心を通る直線と楕円筒面Dとの交点を原点とし、垂直方向にy”軸を、楕円筒面Dの周方向にx”軸を取った座標系となる。また、x”,y”の各座標値の単位は画素単位である。
Figure 0004679293
ステップS4では、上記式(5)を用いて、円筒面パノラマ画像を楕円筒面投影画像に変換する。これにより、楕円筒面パノラマ画像が得られる。このようにして得られた楕円筒面パノラマ画像がモニタ5に表示される。
なお、図8に示すように、楕円筒面パノラマ画像における車両100のコーナ位置(この場合は車両前部の左コーナ位置および右コーナ位置)に対応する位置に、車両のコーナ位置を示す指標画像200を表示させるようにしてもよい。
つまり、カメラ3の撮像面S3上における車両前部の右コーナ位置(x座標値)を予め求めておくことにより、楕円筒面パノラマ画像における車両100の右コーナ位置に対応する位置(x”座標値)が算出されるので、その位置に右コーナ位置を示す指標座標を合成すればよい。同様に、カメラ1の撮像面上における車両前部の左コーナ位置(x座標値)を予め求めておくことにより、楕円筒面パノラマ画像における車両100の左コーナ位置に対応する位置(x”座標値)が算出されるので、その位置に左コーナ位置を示す指標座標を合成すればよい。
カメラ3の撮像面S3上における車両前部の右コーナ位置を求める方法について説明する。図9に示すように、カメラ3の投影中心と撮像面S3の中心とを通る直線L0と、カメラ3の投影中心と車両前部の右コーナ位置とを通る直線L1とのなす角度をαとする。また、撮像面S3の中心を通るx軸と、撮像面S3の右端との交点とカメラ3の投影中心とを通る直線をL2とし、直線L2と直線L0とのなす角度をβとする。また、撮像面S3の幅をwとすると、撮像面S3上における車両前部の右コーナ位置に対応するx座標値は、次式(6)によって求めることができる。
Figure 0004679293
〔1〕車載パノラマカメラシステムの構成についての説明
実施例2においても、車載パノラマカメラシステムの構成は実施例1と同じであり、 図2に示すように、車載パノラマカメラシステムは、実施例1と同様な配置で車両に設けられた3台のカメラ1、2、3と、車両内に設けられかつカメラ1、2、3によって撮影された画像からパノラマ画像を生成するパノラマ画像生成部4と、車両内に設けられかつパノラマ画像生成部4によって生成されたパノラマ画像を表示するモニタ5とを備えている。
実施例2では、パノラマ画像生成部4によるパノラマ画像生成方法が実施例1と異なっている。
〔2〕パノラマ画像生成処理についての説明
図10は、パノラマ画像生成部4によるパノラマ画像生成処理手順を示している。
まず、各カメラ1、2、3の撮像画像を読み込む(ステップS21)。次に、読み込んだ各撮像画像を楕円筒面投影画像に変換する変換式であって、楕円筒面に対して予め設定された単一の2次元座標系に全ての楕円筒面投影画像の座標が統一されるような変換式を用いて、各撮像画像を楕円筒面投影画像に変換するための処理(カメラ位置を考慮した楕円筒面投影変換処理)を行なう(ステップS22)。この後、各撮像画像に対応する楕円等面投影画像の重なり合う領域での画素値を調合するための処理(画素値調合処理)を行なう(ステップS23)。これにより、楕円筒面パノラマ画像を得る。そして、得られた楕円筒面パノラマ画像をモニタ5に表示する(ステップS24)。
以下、ステップS22、S23の処理の詳細について説明する。
〔2−1〕カメラ位置を考慮した楕円筒面投影変換処理(ステップS22の処理)についての説明
ステップS22では、各カメラの水平方向の角度を考慮して、各撮像画像を楕円筒面上に投影する。説明の便宜上、各カメラ1、2、3は、水平状態で車両に取り付けられているものとする。
ステップS22の処理の基本的な考え方について説明する。まず、カメラ設置時に実測または既知のキャリブレーション方法を用いて、中央に位置するカメラ2を基準として、カメラ1、2、3の水平方向の角度(パン角)θ1、θ2、θ3を記憶させておく。
次に、図11に示すように、各撮像画像を投影中心を通る垂線を中心軸とし半径rの円筒面Eに投影するが、この際、各カメラ1、2、3の水平方向の角度θ1、θ2、θ3を考慮して、各撮像画像に対応する円筒面投影画像の座標系が、円筒面に対して予め設定された単一の2次元座標系に統一されるように、投影変換を行なう。
例えば、カメラ2の撮像画像の撮像面をS2とし、カメラ3の撮像面をS3とし、カメラ2の水平方向の角度θ2を0度とした場合の、カメラ3の水平方向の角度をθ3とする。撮像面S2上のx座標値x2と、それに対応する円筒面E上のx’座標値x2’との関係は、図12に示すようになる。また、撮像面S3上のx座標値x3と、それに対応する円筒面E上のx’座標値x3’との関係は、図13に示すようになる。撮像面S2の中心を円筒面E上に投影した点と、撮像面S3の中心を円筒面E上に投影した点との間の、円筒面E上のx’座標系での距離はrθ3となる。
図4を用いて説明したように、撮像画像を単純に円筒面投影画像に変換する変換式は上記式(1)で表されるので、カメラ1、2、3の水平方向の角度θ1、θ2、θ3(=θi)を加味した変換式(7)を用いて、各カメラ1、2、3の撮像画像を円筒面E上に投影すると、各撮像画像に対応する円筒面投影画像の座標系が、円筒面Eに対して予め設定された単一の2次元座標系に統一される。ここでは、カメラ2を基準としているので、円筒面E上の単一の二次元座標系x’y’は、投影中心Oから中央のカメラ2の撮像面の中心を通る直線と円筒面Eとの交点を原点とし、垂直方向にy’軸を、円筒面の周方向にx’軸を取った座標系となる。
Figure 0004679293
上記式(7)において、θiはカメラ1、2、3の水平方向の角度θ1、θ2、θ3を表しており、カメラ1の撮像画像を円筒面投影画像に変換するときにはi=1となり、カメラ2の撮像画像を円筒面投影画像に変換するときにはi=2となり、カメラ3の撮像画像を円筒面投影画像に変換するときにはi=3となる。
x,yは撮像画像のx,y座標を表している。x’,y’は円筒面に対して設定された単一の2次元座標系のx’,y’座標を表している。wは撮像面の幅を表している。rは円筒面の半径を表している。
次に、得られた各円筒面投影画像を、図11に示すように、投影中心Oを通る垂線を中心軸とし、車両の前後方向(投影中心Oと図示しないカメラ2の撮像面との中心を結ぶ方向)と短軸方向とが一致する楕円筒面D上に投影する。楕円筒面Dの長半径をa、短半径をbとすると、各円筒面投影画像を楕円筒面投影画像に変換する変換式は次式(8)となる。
Figure 0004679293
上記式(8)において、x’,y’は円筒面に対して設定された単一の2次元座標系のx’,y’座標を表している。また、x”,y”は円筒面に対して設定された単一の2次元座標系のx”,y”座標を表している。ここでは、カメラ2を基準としているので、楕円筒面D上の単一の二次元座標系x”y”は、投影中心Oから中央のカメラ2の撮像面の中心を通る直線と楕円筒面Dとの交点を原点とし、垂直方向にy”軸を、楕円筒面の周方向にx”軸を取った座標系となる。
上記式(8)のx’およびy’に、上記式(7)を代入することにより、各カメラ1、2、3の撮像画像を楕円筒面投影画像に変換する変換式であって、楕円筒面に対して予め設定された単一の2次元座標系に全ての楕円筒面投影画像の座標が統一されるような変換式が得られる。ステップS22では、このようにして得られた変換式を用いて、各カメラ1、2、3の撮像画像を楕円筒面投影画像に変換する。
〔2−2〕画素値調合処理(ステップS23)の説明
ステップS23では、各カメラ1、2、3の撮像画像に対応する楕円筒面投影画像において、互いに重なる領域において、各画像の画素値を調合する。
ここでは、隣接する2つのカメラに対応する楕円筒面投影画像の一方を第1画像といい、他方を第2画像ということにする。
まず、第1画像および第2画像の重心位置G1 、G2 を求める。次に、第1画像および第2画像の4頂点(4隅)の位置をそれぞれ求める。そして、第1画像と第2画像との重なり領域を抽出する。
第1画像と第2画像との重なり領域内の各画素(画素値調合対象画素)から第1画像と第2画像のそれぞれの画像の重心位置G1 、G2 までの距離に応じて、当該画素値調合対象画素の画素値の重みを決定する。この重みは、画素値調合対象画素から重心までの距離が近い方の画像の画素値を大きくするように決定する。
つまり、第1画像と第2画像との重なり領域内の画素値調合対象画素の座標から、第1画像の重心位置G1 までのユークリッド距離をd1 、第2画像の重心位置G2 までのユークリッド距離をd2 とすると、画素値調合対象画素における第1画像の画素値に対する重みW1 および第2画像の画素値に対する重みW2 は、次式(9)で表される。
Figure 0004679293
各画素値調合対象画素に対して上記式(9)に基づいて重みw1 およびw2 を算出し、画素値調合対象画素に対する重みw1 およびw2 のテーブル(重みテーブル)を作成する。
次に、第1画像と第2画像の重なり領域の画素値P1 、P2 を画素調合する。すなわち、次式(10)により、各画素値調合対象画素の画素値Pi を算出する。
Figure 0004679293
このようにして画素値調合処理が行なわれることにより、楕円筒面パノラマ画像が得られる。このようにして得られた楕円筒面パノラマ画像がモニタ5に表示される。
なお、実施例1と同様に、楕円筒面パノラマ画像における車両100のコーナ位置(この場合は車両前部の左コーナ位置および右コーナ位置)に対応する位置に、車両のコーナ位置を示す指標画像を表示させるようにしてもよい。
上記実施例1、2では、車両の前方のパノラマ画像を生成しているが、車両の後方のパノラマ画像を生成する場合にもこの発明を適用することができる。
車両に設けられた3台のカメラを示す模式図である。 車載パノラマカメラシステムの構成を示すブロック図である。 パノラマ画像生成部4によるパノラマ画像生成処理手順を示すフローチャートである。 図3のステップS2の円筒面投影変換処理を説明するための模式図である。 各カメラ1、2、3の撮影画像に対応する円筒面投影画像I1、I2およびI3示す模式図である。 図3のステップS3の画像接合処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3のステップS1の楕円筒面投影変換処理を説明するための模式図である。 楕円筒面パノラマ画像における車両のコーナ位置に、車両のコーナ位置を示す指標画像を表示させた場合の表示例を示す模式図である。 カメラ3の撮像面S3上における車両前部の右コーナ位置を求める方法を説明するための模式図である。 パノラマ画像生成部4によるパノラマ画像生成処理の他の例の手順を示すフローチャートである。 図9のステップS22のカメラ位置を考慮した楕円筒面投影変換処理の原理を説明するための模式図である。 撮像面S2上のx座標値x2と、それに対応する円筒面E上のx’座標値x2’との関係を示す模式図である。 撮像面S3上のx座標値x3と、それに対応すると円筒面E上のx’座標値x3’との関係を示す模式図である。
符号の説明
1、2、3 カメラ
4 パノラマ画像生成部
5 モニタ
100 車両

Claims (3)

  1. 車両に搭載されており、投影中心を共有しかつ隣どうしのカメラの撮像領域の一部が重なり合うように配置された複数のカメラであって、それらのカメラ全体の撮像範囲が車両の前方または後方を中心とする所定水平角度範囲となるように配置されている複数のカメラ、
    上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする円筒面を投影面として、各カメラの撮像画像を円筒面投影画像に変換する円筒面投影変換手段、
    円筒面投影変換手段によって得られた各円筒面投影画像を接合することにより、円筒面パノラマ画像を生成する接合手段、
    上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする楕円筒面であって短軸方向が車両の前後方向と一致している楕円筒面を投影面として、接合手段によって得られた円筒面パノラマ画像を楕円筒面投影画像に変換することにより、楕円筒面パノラマ画像を生成する楕円筒面投影変換手段、ならびに
    楕円筒面投影変換手段によって得られた楕円筒面パノラマ画像を表示する表示手段、
    を備えていることを特徴とする車載パノラマカメラシステム。
  2. 車両に搭載されており、投影中心を共有しかつ隣どうしのカメラの撮像領域の一部が重なり合うように配置された複数のカメラであって、それらのカメラ全体の撮像範囲が車両の前方または後方を中心とする所定水平角度範囲となるように配置されている複数のカメラ、
    上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする円筒面を投影面として、各カメラの撮像画像を円筒面投影画像に変換する円筒面投影変換手段、
    円筒面投影変換手段によって得られた各円筒面投影画像を接合することにより、円筒面パノラマ画像を生成する接合手段、
    上記投影中心を通る垂直軸を中心軸とする楕円筒面であって短軸方向が車両の前後方向と一致している楕円筒面を投影面として、接合手段によって得られた円筒面パノラマ画像を楕円筒面投影画像に変換することにより、楕円筒面パノラマ画像を生成する楕円筒面投影変換手段、
    楕円筒面投影変換手段によって得られた楕円筒面パノラマ画像における車両のコーナ位置に対応する位置に、車両のコーナ位置を示す画像を付加するコーナ位置指標付加手段、ならびに
    コーナ位置指標付加手段によって車両のコーナ位置を示す画像が付加された楕円筒面パノラマ画像を表示する表示手段、
    を備えていることを特徴とする車載パノラマカメラシステム。
  3. 円筒面投影変換手段は、隣合う円筒面投影画像の重なり部を抽出する第1手段、隣合う円筒面投影画像の重なり部の対応点を求める第2手段、および隣合う円筒面投影画像の重なり部の対応点に基づいて、隣合う円筒面投影画像間の幾何変換係数を算出する手段および隣合う円筒面投影画像の幾何変換係数に基づいて隣合う円筒面投影画像を接合する第3手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の車載パノラマカメラシステム。
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