JP4678808B2 - ノイズ環境適応型無線lanシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノイズ環境に応じてデータ伝送速度を自動選択するモデムを備えたノイズ環境適応型無線LANシステムに関し、特にノイズを測定してノイズ環境に応じてデータ伝送速度をかえるモデムを備えたノイズ環境適応型無線LANシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線LANは、ノイズのない良好な通信環境では良好に作動するが、道路、工場、その他のノイズ発生源の近傍ではノイズによって通信路が遮断されて、安定した通信が保証されない欠点がある。
【0003】
特開平11−284688号公報におて提案されているネットワーク通信システムでは、たとえば地上信号用のVSB、有線信号用のQAM衛星信号用のQSPKおよび電話地上回線用のDMT等の変調方式を汎用モデムに用意しておき、チャネルノイズにしたがって送信および受信側の両方の変調タイプを制御し、それに応じた復調タイプに変更できるようにしている。
【0004】
しかしながらこの提案は、ノイズ環境の検出場所、検出したノイズ特性の伝達方法の明示がなく、特に無線LANにおける限定された周波数帯でのノイズ環境に応じたデータ伝送の方法については、具体的な提案がなされていない。
【0005】
本出願人は、無線LANの交信時にノイズ状況を検出し、このノイズ環境に応じたデータ伝送速度を選択して、送、受信装置にソフト処理による最適な変調、復調をさせて安定な通信を保証するノイズ環境適応型無線LANシステムを提案するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような従来技術における問題点を解決するために、信号の変調速度をかえることなく、ノイズ環境に最も適した変調、復調方式を設定してデータ伝送速度を自動的に切りかえるノイズ環境適応型無線LANシステムの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アンテナ(10)とそのアンテナ(10)に連結された送受切替器(11)とその送受切替器(11)の送信側に連結されたRF電力増幅機(12)とその送受切替器(11)の受信側に連結されたRF受信機(14)とそのRF電力増幅機(12)およびRF受信機(14)に接続されてノイズ環境に適応したデータ伝送速度を選択して変復調を行うデジタルシグナルプロセッサモデム(20)とパソコン(30)とよりなるノイズ環境適応型無線LANシステムにおいて、前記デジタルシグナルプロセッサモデム(20)は送信側のRF電力増幅機(12)に接続されるD/A変換器(21)と、受信側のRF受信機(14)に接続されるA/D変換器(22)と、それらのD/A変換器(21)およびA/D変換器(22)に接続されたバス(29)とを備え、そのバス(29)には受信信号から自局周囲のノイズ環境を解析し復調させそして送信信号を変調させる各機能を有するデジタルシグナルプロセッサ(23)と、前記パソコン(30)に接続されたPCインターフエース(25)と、前記デジタルシグナルプロセッサ(23)が受信信号からノイズ特性を検出するプログラムと受信信号のデータを復調させるプログラムと発信信号のデータを変調するプログラムとを前記パソコン(30)からダウンロードするメモリ(24)とが接続されており、前記デジタルシグナルプロセッサ(23)はA/D変換された受信データをメモリ(24)内に蓄積し(iS2)、そのメモリ(24)に蓄積したデータを予め決められた復調方式でヘッダ(Hd)の復調をし(iS3)、かつ受信信号を解析してノイズを解析し(iS4)、解析結果をメモリ(24)に記憶させ、ヘッダ(Hd)の復調に成功するとヘッダ(Hd)を解析して送信局のノイズ情報と変調方式をメモリ(24)に記憶させ(iS5)、複数の変調方式(dMA、dMB)から選択してその復調方式で復調し(iS6)、パソコン(30)から送信指示が与えられると(OS1)、送信データをメモリ(24)に転送し(OS2)、メモリ(24)に保有された自局のノイズ環境解析結果と相手局のノイズ環境とを検討して最適な変調方式を決定し(OS3)、送信すべきパケットのヘッダ(Hd)のデータを複数の変調方式(MA、MB)の中から選択してその変調方式で変調し(OS4)、その変調された送信データをD/A変換器(21)で変換する機能を有している。
【0009】
前記送信信号は、固定の変調方式で変調されたヘッダと任意の変調方式で変調されたデータによってパケットが構成されていることが好ましい。
上記において、送信のパケットはヘッダが所定の固定な変調方式で統一され、データ部は発信側(自局)のノイズ環境と受信側(相手局)のノイズ環境を勘案してデータ伝送速度と変調方式を決定する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明のノイズ環境適応型無線LANシステムの実施形態を説明する。
図1は、本発明のノイズ環境適応型無線LANシステムに使用する送、受信端末装置の一実施例の構成を示している。
【0011】
図1において、ノイズ環境適応型無線LANシステムの送受信端末装置1は、アンテナ10と送受切替器11とRF電力増幅機12とアップコンバータ13とRF受信機12とダウンコンバータ15とノイズ環境に適応して最適のデータ伝送速度を選択して変復調を行うDSPモデム20とパーソナルコンピュータ(以降、パソコンと略記する。)30により構成されている。
【0012】
アンテナ10は、外局との送受信機能を有し、線10Lによって送受切替器11に連結され、送受切替器11の送信側は線11LAによってRF電力増幅器12に結、切自由に連結され、送受切替器11の受信側は線11LBによってRF受信機14に結、切自由に連結されている。送受切替器11は送信時を除いては、通常はRF受信機14に結となるよう設定されている。
【0013】
RF受信機14は、受信信号を受信し、線14Lを介してダウンコンバータ15に送信する機能を有している。
【0014】
ダウンコンバータ15は、RF受信機14のアナログ信号出力をDSPモデム20で処理が可能な低周波にダウンさせる周波数変換機能を有して構成され、出力側は線15LによってDSPモデム20に連結されている。
【0015】
DSPモデム20は、A/D変換器22と、D/A変換器21、デジタルシグナルプロセッサ(以降、DSPと略記する。)23と記憶装置(以降、メモリと記す。)24およびPCインタフェース25で構成され、それぞれは内部バス29によって連通されている。
【0016】
DSP23は、受信信号から自局周囲のノイズ環境の解析をする機能、復調させる機能、送信信号を変調させる機能を有し、これらの機能はDSP23とメモリ24にたくわえられたプログラムによって実現するよう構成され、バス29でDSP20内の他の装置と連通されている。
【0017】
メモリ24は、DSP23が受信信号からノイズ特性を検出するプログラム、受信信号のヘッダ情報を検知するプログラム、受信信号のデータを復調させるプログラム、発信信号のヘッダ情報を決定するプログラム、発信信号のデータを変調するプログラム等を、システム1の起動時にパソコン30からダウンロードしてDPS23の作動に応えるよう構成されている。なお、メモリ24の記憶容量が大容量であれば、前記各プログラムの全部または、1部を予め内蔵しておいてもよい。
【0018】
PCインタフェース25は、DSP23とパソコン30とを交信させる機能を有して構成され、DSP23とはバス29で、パソコン30とは線25Lで連結されている。
【0019】
A/D変換器22は、ダウンコンバータ15の出力であるアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を備え、バス29によってDSP23に連結されている。
【0020】
D/A変換器21は、DSP23で変調されたデジタル送信信号をアナログ信号に変換させる機能を備え、線13Lによってアップコンバータ13に連結されている。
【0021】
アップコンバータ13は、D/A変換器21からの比較的低周波数の信号をRF波に周波数をアップさせる周波数変換機能を有し、出力線12LでRF電力増幅機12に連結されている。
【0022】
RF電力増幅機12は、アップコンバータ13からのRF波を、送信域をカバーする出力に増幅し発信する機能を備えて構成されている。
【0023】
パソコン30は、送信及び受信のそれぞれの内容をまとめる機能と、DSPモデム20全体を制御する機能を有し、DSP23で使用する変、復調の各種プログラム等を内蔵していて、DSP23で必要とするプログラムをメモリ24にダウンロードさせる機能を有している。パソコン30とDSPモデム23は、線25LとPCインタフェース25を介して交信されるようになっている。
【0024】
本装置により通信されるパケットのフォーマットを図2に例示する。
【0025】
パケットPkは、ヘッダHdとデータDとで形成され、ヘッダHdは同期方式H1、始めH2、アドレスH3、ノイズ情報H4、変調情報H5等がビット表示され、たとえば、変調方式を表示する変調情報は後述する図3の変調方式を識別するために3ビットを使用している。このヘッダHdの変調方式は、図3の変調方式の1つを固定して使用するよう決められている。
データDは、ヘッダHd内の変調情報H5で規定された変調方式に従って、変調されるように構成されている。
【0026】
パソコン30が内蔵していて、必要に応じてメモリ24にダウンロードする各変調方式は、図3に示されている。図3は、左縦列に変調信号を変数にしたQAM、IQ及びQPSKの変調方式を変数として表示し、右縦列に変調方式それぞれの特性を示している。ここで、kは入カデータビット数、nはチャネルシンボル、rcはビット増分係数、rcRsはビットレート(表中のビットレートRsは2400シンボル/秒を基準に計算してある)、dmin2乗は信号間最短距離、ndは最短距離信号の最大数、Esは信号エネルギをそれぞれ示している。図3において、64−IQ変調にすれば、表中の最小のビットレート900となる。本実施形態では、通常は、64−IQ変調をヘッダHdの変調に適用している。
【0027】
モデム20内で作動するプログラムの処理ステップを図4によって説明する。このプログラムは、例えばモデム20およびパソコン30の電源投入時にパソコン30から線25Lを介してモデム20内のメモリ24にダウンロードされる。
【0028】
パソコン30から線25Lを介して受信指示が与えられると受信開始ステップiS1から始まる受信処理が開始される。
【0029】
ステップiS2で、ダウンコンバータ15を介した低周波信号をA/D変換器22でデジタルデータに変換し、変換されたデータを、メモリ24内に一時的に蓄積する。
【0030】
ステップiS3では、DSP23でメモリ24に蓄積されたA/Dデータを予め決められた復調方式で、たとえば図3中のデータ伝送速度の最も低い64−IQ復調方式で復調する。 上記は所定のデータ数をメモリ24に蓄えてまとめて復調する蓄積復調方法について述べたが1サンプルデータ毎に復調する方法でもよい。 この復調によって、ヘッブHdの復調に成功すると、次のステップiS5に移行する。
【0031】
ステップiS5では、ステップiS3で検知したヘッダHdを解析することにより、送信局のノイズ情報、ヘッダHdに続くデータDの変調方式等が判明する。そして、この内容をメモリ24に記憶させる。
【0032】
ステップiS6では、ステップiS5の結果に基づいて、ヘッダHd以下のデータDを図3で示した変調方式に相当するdMA、dMB・・の中から選択して、その復調方式で復調する。
【0033】
ステップiS7では、上記のようにして復調された受信情報のパケットPkを、PCインタフェース35を介してパソコン30に転送させる。 以上のステップiS1〜iS7は、受信情報を復調させるプログラム処理のステップである。そして、以下のステップは、情報送信のためのプログラム処理のステップである。
【0034】
ステップiS4では、受信信号波を解析して自局に送られる送信波を乱しているノイズを解析する。 この解析作業は、上記の復調作業の合間にバックグランドジョブとして行い、解析結果はメモリ24に記憶させる。この解析作業は、一定時間毎に行って解析結果を常時更新させている。
【0035】
パソコン30から線25Lを介して送信指示が与えられると、ステップoS1から始まる送信処理が開始される。
【0036】
ステップoS2では、パソコン30から送信データをメモリ24に転送する。
【0037】
ステップoS3では、受信処理で解析され、メモリ24に保存された自局のノイズ環境解析結果と相手局のノイズ環境を検討して図3の中から最適な変調方式を選択決定する。
【0038】
ステップoS4では、ステップoS3の結果に基づいて、送信すべきパケットPkのヘッダHd以下のデータDを図3で示した変調方式に相当するMA、MB・・の中から選択して、その変調方式で変調する。送信データのノイズ情報、変調情報は、パケットPkのヘッダHdに記入される。
なお、ヘッダHdの変調方式は、前記受信パケットPkのヘッダHdに適用した変調方式と同じで、本システムで予め統一して決められている方式で変調する。
【0039】
ステップoS5では、上記によって変調された送信データをD/A変換器21でアナログデータに変換する。なお、アナログ信号は、アップコンバータ13、RF電力増幅機12及び送受切替器11を介してアンテナ10から送信される。
【0040】
【発明の効果】
本発明の作用効果を、以下に列挙する。
(1) 本発明のノイズ環境適応型無線LANシステムによれば、送信パケットのヘッダに記入されたヘッダ以下のデータを変調した変調方式の情報によって、受信側ではその復調方式で復調する。また、送信側は送信する相手局のノイズ情報と自局周辺のノイズ環境とを検討してその時のノイズ環境に対して最も多くのデータ速度を可能とする変調方式で変調する。これによって、ノイズ環境に応じて最適な伝送速度を選択するように自動的に変調方式をかえるので安定な情報伝送ができる。
(2) 信号の変調速度を変えずにデータ伝送速度を変えるので、通信系として所定の周波数帯域内で作動させることができる。
(3) また、信号電力を有効に利用した高効率の伝送が可能となり、単位周波数あたりの信号電力が最小に抑えられて、他の機器への影響を最小にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のノイズ環境適応型無線LANシステムに使用する端末装置の構成を示すブロック図。
【図2】 本無線LANシステムに使用するパケットのフォーマットを示す図。
【図3】 本無線LANシステムに使用する変調方式の特性を示す表図。
【図4】 図1の構成を説明する作用手順図。
【符号の説明】
D・・・データ
Hd・・・ヘッダ
Pk・・パケット
1・・・端末装置
10・・アンテナ
11・・送受切替器
12・・RF電力増幅機
13・・アップコンバータ
14・・RF受信機
15・・ダウンコンバータ
20・・DSPモデム
21・・D/A変換器
22・・A/D変換器
23・・DSP
24・・メモリ
25・・PCインタフェース
30・・パソコン
Claims (1)
- アンテナ(10)とそのアンテナ(10)に連結された送受切替器(11)とその送受切替器(11)の送信側に連結されたRF電力増幅機(12)とその送受切替器(11)の受信側に連結されたRF受信機(14)とそのRF電力増幅機(12)およびRF受信機(14)に接続されてノイズ環境に適応したデータ伝送速度を選択して変復調を行うデジタルシグナルプロセッサモデム(20)とパソコン(30)とよりなるノイズ環境適応型無線LANシステムにおいて、前記デジタルシグナルプロセッサモデム(20)は送信側のRF電力増幅機(12)に接続されるD/A変換器(21)と、受信側のRF受信機(14)に接続されるA/D変換器(22)と、それらのD/A変換器(21)およびA/D変換器(22)に接続されたバス(29)とを備え、そのバス(29)には受信信号から自局周囲のノイズ環境を解析し復調させそして送信信号を変調させる各機能を有するデジタルシグナルプロセッサ(23)と、前記パソコン(30)に接続されたPCインターフエース(25)と、前記デジタルシグナルプロセッサ(23)が受信信号からノイズ特性を検出するプログラムと受信信号のデータを復調させるプログラムと発信信号のデータを変調するプログラムとを前記パソコン(30)からダウンロードするメモリ(24)とが接続されており、前記デジタルシグナルプロセッサ(23)はA/D変換された受信データをメモリ(24)内に蓄積し(iS2)、そのメモリ(24)に蓄積したデータを予め決められた復調方式でヘッダ(Hd)の復調をし(iS3)、かつ受信信号を解析してノイズを解析し(iS4)、解析結果をメモリ(24)に記憶させ、ヘッダ(Hd)の復調に成功するとヘッダ(Hd)を解析して送信局のノイズ情報と変調方式をメモリ(24)に記憶させ(iS5)、複数の変調方式から選択してその復調方式で復調し(iS6)、パソコン(30)から送信指示が与えられると(OS1)、送信データをメモリ(24)に転送し(OS2)、メモリ(24)に保有された自局のノイズ環境解析結果と相手局のノイズ環境とを検討して最適な変調方式を決定し(OS3)、送信すべきパケットのヘッダ(Hd)のデータを複数の変調方式(MA、MB)の中から選択してその変調方式で変調し(OS4)、その変調された送信データをD/A変換器(21)で変換する機能を有することを特徴とするノイズ環境適応無線LANシステム。
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