以下、本発明の好適な一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる撮像装置の構成を示す図である。
図1において、100は撮像装置である。10は撮影レンズ、12は絞り機能を備えるシャッター、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子(本実施形態ではCCD)、16は撮像素子14のアナログ出力信号をディジタル信号に変換するA/D変換器である。
18は撮像素子14、 A/D変換器16、 D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
20は画像処理回路であり、 A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
また、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。この制御は、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等である。
さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。
A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
24は画像表示メモリ、26はD/A変換器、28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダー機能を実現することが可能である。
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合には撮像装置100の電力消費を大幅に低減することが出来る。
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。
また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮・伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
40は絞り機能を備えるシャッター12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。
42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御部、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部、46はバリアである保護部102の動作を制御するバリア制御部である。
48はフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有する。
露光制御部40、測距制御部42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。
50は撮像装置100全体を制御するシステム制御回路、52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。表示部54は、撮像装置100の操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。
また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダー104内に設置されている。 表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマー表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示等がある。また、フラッシュ表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付け・時刻表示、等もある。
また、表示部54の表示内容のうち、光学ファインダー104内に表示するものとしては、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等がある。
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
60,62,64,66,68,70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
ここで、これらの操作部の具体的な説明を行う。
60はモードダイアルスイッチで、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定することが出来る。
62はシャッタースイッチSW1で、不図示のシャッターボタンの操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
64はシャッタースイッチSW2で、不図示のシャッターボタンの操作完了でONとなり、露光処理、現像処理、記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。露光処理とは、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む処理である。現像処理とは、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いて画像データを可視化する処理である。記録処理とは、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に書き込む処理である。
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部で、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタンが含まれる。また、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等も含まれる。
80は電源制御部で、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。そして、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池、NiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源である。
90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェース、92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタである。98はコネクタ92及び/或いは96に記録媒体200或いは210が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
なお、本実施形態では記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明している。もちろん、記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。また、異なる規格のインターフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としても構わない。
インターフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。
さらに、インタフェース90及び94、そしてコネクタ92及び96をPCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成した場合次のことが可能となる。すなわち、LANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、P1284カード、SCSIカード、PHS等の通信カード、等の各種通信カードを接続することができる。これにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことが出来る。
102は、撮像装置100の撮影レンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護部である。
104は光学ファインダであり、画像表示部28による電子ファインダー機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮影を行うことが可能である。また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能、例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示などが設置されている。
110は通信部で、RS232C、USB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信機能を有する。
112は通信部110により撮像装置100を他の機器と接続するコネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。
記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、撮像装置100とのインタフェース204、撮像装置100と接続を行うコネクタ206を備えている。
210はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。
記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、撮像装置100とのインタフェース214、撮像装置100と接続を行うコネクタ216を備えている。
次に、図2乃至図6を参照して、本実施形態の撮像装置の動作について説明する。
図2及び図3は本実施形態の撮像装置100の主ルーチンのフローチャートである。
図2及び図3を用いて、撮像装置100の動作を説明する。
電池交換等の電源投入により、システム制御回路50はフラグや制御変数等を初期化し(ステップS101)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に初期設定する(ステップS102)。
システム制御回路50は、モードダイアル60の設定位置を判断し、モードダイアル60が電源OFFに設定されていたならば(ステップS103)、各表示部の表示を終了状態に変更し、保護部102のバリアを閉じて撮像部を保護する。また、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録し、電源制御部80により画像表示部28を含む撮像装置100各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行なう(ステップS105)。その後、ステップS103に戻る。
モードダイアル60が撮影モードに設定されていたならば(ステップS103)、ステップS106に進む。
モードダイアル60がその他のモードに設定されていたならば(ステップS103)、システム制御回路50は選択されたモードに応じた処理を実行し(ステップS104)、処理を終えたならばステップS103に戻る。
システム制御回路50は、電源制御部80により電池等により構成される電源86の残容量や動作情況が撮像装置100の動作に問題があるか否かを判断する(ステップS106)。そして、問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
電源86に問題が無いならば(ステップS106)、システム制御回路50は記録媒体200或いは210の動作状態が撮像装置100の動作、特に記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判断する(ステップS107)。そして、問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
記録媒体200或いは210の動作状態に問題が無いならば(ステップS107)、表示部54を用いて画像や音声により撮像装置100の各種設定状態の表示を行う(ステップS109)。なお、画像表示部28の画像表示がONであったならば、画像表示部28も用いて画像や音声により撮像装置100の各種設定状態の表示を行う。
システム制御回路50は、撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態に設定して(ステップS116)、ステップS119に進む。
スルー表示状態に於いては、撮像素子12、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24に逐次書き込まれたデータを、メモリ制御回路22、D/A変換器26を介して画像表示部28により逐次表示する。これにより、電子ファインダー機能を実現している。
次に、シャッタースイッチSW1が押されていないならば(ステップS119)、ステップS103に戻る。
シャッタースイッチSW1が押されたならば(ステップS119)、ステップS122に進む。
システム制御回路50は、測距処理を行って撮影レンズ10の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値及びシャッター時間を決定する(ステップS122)。測光処理において、必要であればフラッシュの設定も行う。
この測距・測光処理のステップS122の詳細は図4を用いて後述する。
測距・測光処理のステップS122を終えたならば、ステップS125に進む。
シャッタースイッチSW2が押されずに(ステップS125)、さらにシャッタースイッチSW1も解除されたならば(ステップS126)、ステップS103に戻る。
シャッタースイッチSW2が押されたならば(ステップS125)、ステップS129に進む。
ステップS129では、システム制御回路50は撮影処理を実行する。すなわち、システム制御回路50は、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器から直接メモリ制御回路22を介して、メモリ30に撮影した画像データを書き込む露光処理を行なう。またメモリ制御回路22そして必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出して各種処理を行う現像処理を行なう。
この撮影処理のステップS129の詳細は図5を用いて後述する。
システム制御回路50は撮影処理のステップS129が終わったならば、ステップS134に進む。
システム制御回路50は、メモリ30に書き込まれた撮影画像データを読み出して、メモリ制御回路22そして必要に応じて画像処理回路20を用いて各種画像処理を、また、圧縮・伸長回路32を用いて設定したモードに応じた画像圧縮処理を行なう。その後、記録媒体200或いは210へ画像データの書き込みを行う記録処理を実行する(ステップS134)。
この記録処理のステップS134の詳細は図6を用いて後述する。
次に、システム制御回路50は、シャッタースイッチSW2が押されているかを判断し(ステップS135)、押されていればステップS136に進み、押されていなければシステム制御回路50は一連の撮影動作を終えてステップS103に戻る。
シャッタースイッチSW2が押されていたならば(ステップS135)、連写モードが設定されているか否かを判断する。連写モードが設定されていた場合(ステップS136)には、ステップS129に戻り、再び撮影を行なう(ステップS129)。連写モードが設定されていなかった場合には、ステップS135に戻り、シャッタースイッチSW2がOFFにされるまで待機し、OFFされた後に、一連の撮影動作を終えてステップS103に戻る。
図4は、図3のステップS122における測距・測光処理の詳細なフローチャートである。
システム制御回路50は、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16を介して画像処理回路20に撮影画像データを逐次読み込む(ステップS201)。この逐次読み込まれた画像データを用いて、画像処理回路20はTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理、AF(オートフォーカス)処理に用いる所定の演算を行っている。
なお、ここでの各処理は、撮影した全画素数のうちの必要に応じた特定の部分を必要個所分切り取って抽出し、演算に用いている。これにより、TTL方式のAE、EF、AWB、AFの各処理において、中央重点モード、平均モード、評価モードの各モード等の異なるモード毎に最適な演算を行うことが可能となる。
画像処理回路20での演算結果を用いて、システム制御回路50は露出(AE)が適正と判断されるまで(ステップS202)、露光制御部40を用いてAE制御を行う(ステップS203)。
AE制御で得られた測定データを用いて、システム制御回路50はフラッシュ(EF)が必要か否かを判断し(ステップS204)、フラッシュが必要ならばフラッシュフラグをセットし、フラッシュ48を充電する(ステップS205)。
露出(AE)が適正と判断したならば(ステップS202)、測定データ及び/或いは設定パラメータをシステム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。
画像処理回路20での演算結果及びAE制御で得られた測定データを用いて、システム制御回路50はホワイトバランス(WB)が適正と判断されるまで(ステップS206)、画像処理回路20を用いてAWB制御を行う(ステップS207)。
ホワイトバランス(AWB)が適正と判断したならば(ステップS206)、測定データ及び/或いは設定パラメータをシステム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。
AE制御及びAWB(オートホワイトバランス)制御で得られた測定データを用いて、システム制御回路50は測距(AF)が合焦と判断されるまで(ステップS208)、測距制御部42を用いてAF(オートフォーカス)制御を行う(ステップS209)。
測距(AF)が合焦と判断したならば(ステップS208)、測定データ及び/或いは設定パラメータをシステム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶し、測距・測光処理ルーチンS122を終了する。
図5は、図3のステップS129における撮影処理の詳細なフローチャートである。
システム制御回路50は、システム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶される測光データに従い、露光制御部40によって、絞り機能を有するシャッター12を絞り値に応じて開放して撮像素子10を露光する。これは、ステップS301、ステップS302において行なわれる。
フラッシュ・フラグによりフラッシュ48が必要か否かを判断し(ステップS303)、必要な場合はフラッシュ(EF)を発光させる(ステップS304)。
システム制御回路50は、測光データに従って撮像素子12の露光終了を待ち(ステップS305)、シャッター12を閉じる(ステップS306)。ここでシャッター速度(Tv)が所定速度αより速いかを判断する(ステップS307)。また、撮像素子14の温度(Temp)が所定温度βより低いかを判断する(ステップS308)。そして、Tv>α且つTemp<βを満たしていれば、ステップS310のダミー画像読出しに進み、線状欠陥補正を行う。ステップS307とステップS308の条件が満たされていないときには、線状欠陥だけでなく画素自体の固定パターンノイズ(暗電流ノイズ)が目立つようになるので、ステップS320に進み黒引き処理を行うことになる。
なお、シャッター速度の所定速度αについては、固定パターンノイズが目立つようになるシャッター速度として、所定速度αを例えば2秒とする。また、撮像素子温度の所定温度βについては、固定パターンノイズが目立つようになる撮像素子温度として、所定温度βを例えば50℃とする。また、シャッター速度や撮像素子温度の変化と画素自体の固定パターンノイズの関係から、固定パターンノイズが目立つようになる限界を求めて、所定速度α及び所定温度βを決定して、予め記憶しておくようにしてもよい。
ここで黒引き処理とは、撮像素子14の本撮影画像の露光時間と同じ時間だけシャッター12を閉じた状態で電荷の蓄積を行ない、この蓄積の結果得られた暗電流成分を本撮影画像の信号から差し引く処理である。この処理を行なうことにより、本撮影画像の信号から暗電流成分が除去され、暗電流による固定パターンノイズを低減させることができる。
また、この黒引き処理を行なうと、詳細は後述するが、線状欠陥の信号成分も本撮影画像の信号から差し引かれるので、線状欠陥補正を行なう必要はない。
ステップS310からは線状欠陥補正の処理に入る。
まず、線状欠陥補正処理の説明の前に、本実施形態に用いられる撮像素子であるCCDの構造について説明しておく。
図10は、本実施形態に用いられる撮像素子14の構成を示す図である。
図10に示すように、撮像素子14(CCD)は、2次元の行列状に多数の画素14aが並んで配置され、それらの画素14aの列の間に垂直転送CCD14bが配置されて構成されている。これらの画素の配置は、R(赤)の画素とG(緑)の画素が並んだ行と、G(緑)の画素とB(青)の画素が並んだ行とが上下方向に交互に並んだいわゆるベイヤ配列であるものとする。本実施形態では、このような配置の画素からの画像信号の読み出しを、3フィールド読み出しにより行なう。3フィールド読み出しでは、最初の第1フィールドにおいて、1行目、4行目、7行目、…の画素の信号を垂直転送CCD14bに転送して読み出し、次の第2フィールドにおいて、2行目、5行目、8行目、…の画素の信号を同様に読み出す。さらに第3フィールドにおいて、3行目、6行目、9行目、…の画素の信号を読み出す。なお、垂直転送CCD14bに転送された信号電荷は、垂直転送CCD14bにより垂直方向に転送され、その後水平転送CCD14cにより後段のアンプに送られる。
このような読み出し方をするのは、近年の撮像素子では画素数が極めて多く、画素同士が近接しているため、全画素の信号を一括して垂直転送CCD14bに転送すると、垂直転送CCD14b内で上下の隣り合う画素の信号が混色を起こしてしまうからである。また、3行毎に読み出すのは、同じフィールドにおいて、例えば1行目と4行目の画素の信号を読み出せば、同じフィールド内で、R、G、Bの3色の信号が揃うからである。
また、線状欠陥補正処理について簡単に説明しておく。撮像素子であるCCDにおいては、垂直転送CCDに点欠陥があると、一般的に、点欠陥が存在する垂直転送CCDを用いて出力される縦一列の画素の全ての輝度信号を、それぞれが点欠陥を通過する時間に応じた分だけ大きくしてしまう。そのため、縦一列の画素の輝度信号がそれぞれ実際の画像の輝度よりも高輝度を示し、画像上において白縦線と見える。これを線状欠陥と呼ぶ。そこで、本実施形態では、撮像素子14で被写体像を撮像した後に、まず、撮像した画像信号を各画素14aから垂直転送CCD14bに転送しない状態で、垂直転送CCD14bを駆動し、撮影画像信号のない状態で空転送を行なう。この空転送により、垂直転送CCD14bの点欠陥に起因する線状欠陥信号のみが読み出される。これをダミーフィールドと呼ぶことにする。そして、この線状欠陥信号(ダミーフィールド)を、ダミーフィールドの読み出し後に各画素14aから垂直転送CCD14bを介して読み出された画像信号から差し引く。これにより、線状欠陥信号が差し引かれて欠陥が除去された画像信号を得ることができる。
このような前提のもとに以下の説明を行なう。
ステップS310で線状欠陥補正の処理に入ると以下の動作が行なわれる。
まず、最初に撮像素子14からダミーフィールド画像を読み出し、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16から直接メモリ制御回路22を介して、メモリ30に書き込む(ステップS310)。このときダミーフィールド画像を書き込むメモリ30は、図7のように3フィールド読み出しの撮像素子14に対応して3フィールドで構成されており、その最後に読み出される第3フィールドのメモリ領域にダミー画像を書き込む(ステップS310)。ダミー画像のサイズは本撮影画像の1フィールド分の画像サイズと同じサイズで取り込まれる。
次に、図10に示したように、第1フィールドに対応する画素14aの画像信号を垂直転送CCD14bに転送し、垂直転送CCD14bを駆動して本撮影画像の第1フィールドの画像信号を読み出す。同様に、第2フィールド、第3フィールドについても各フィールドに対応する画素の画像信号を順に読み出していく(ステップS311)。その本撮影画像を撮像素子14から読み出す際に、ステップS310で取り込んだダミー画像をメモリ30から読み出しながら各フィールド毎に本撮影画像から減算し、メモリ30に線状欠陥補正された各フィールドの画像を書き込んでいく(ステップS312)。このとき、減算後の線状欠陥補正された本撮影画像の各フィールドは、図7に示すようにメモリ30の各フィールドに対応する領域に書き込まれる。なお、図7における「第1フィールド・1ライン」という領域は、図10に示した撮像素子の1行目の画素の画像信号が書き込まれる領域である。また、「第1フィールド・2ライン」という領域は、図10に示した撮像素子の4行目の画素の画像信号が書き込まれる領域である。以下同様に、撮像素子の各フィールドの各行の画素の画像信号が、メモリ30の対応する領域に書き込まれる。
なお、最後のフィールド(第3フィールド)の撮像素子14からの読み出し時には、メモリ30上の第3フィールドの画像信号が書き込まれるべき領域にダミーフィールド画像が存在している。しかし、第3フィールドについては、ダミーフィールド画像をメモリ30から読み出しながら、それを撮像素子14から読み出される第3フィールドの画像信号から減算しつつ、減算結果をメモリ30のダミーフィールドが記憶されている領域に上書きする。そのため、メモリ30の第3フィールドに対応する領域にダミーフィールド画像が予め書き込まれていても問題はないし、また、メモリ上で上書きされるためダミーフィールド用に余分なメモリを確保する必要が無い。
なお、線状欠陥補正については、後に図8、図9を用いてさらに詳しく説明する。
黒引きを行う場合のステップS320以降の処理では、まず通常画像を読み出す(ステップS320)。その後、直前の撮影の時と同じ露光時間で蓄積した黒画像を読み出す必要があるので、シャッターを閉じたまま露光を開始して(ステップS321)、露光時間の終了を待ち(ステップS322)、黒画像を撮像素子14から順次読み出す(ステップS323)。読み出された黒画像は既にステップS320で読み出されてメモリ30に記憶されている本撮影画像をメモリから読み出しながら、ステップS323で読み出した画像を差し引いて(ステップS324)メモリ30に書き戻す。
メモリ30上に撮影された画像が揃ったならば、設定された撮影モードに応じて、現像処理(ステップS330)を順次行った後、メモリ30に処理を終えた画像データを書き込む。
一連の処理を終えたならば、撮影処理ルーチンS129を終了する。
図6は、図3のステップS134における記録処理の詳細なフローチャートである。
システム制御回路50は、メモリ制御回路22を用いて、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出して、設定したモードに応じた画像圧縮処理を圧縮・伸長回路32により行う(ステップS402)。その後、インタフェース90或いは94、コネクタ92或いは96を介して、メモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等の記録媒体200或いは210へ圧縮した画像データの書き込みを行う(ステップS403)。
記録媒体への書き込みが終わったならば、記録処理ルーチンS134を終了する。
図8は、図5のステップS310〜ステップS312までの線状欠陥補正に関するタイミングチャートである。
VDは垂直同期信号を示し、露光の期間では読み出しパルスが出た後に電子シャッターを出力して撮像素子14内の蓄積電荷をクリアし、本露光を開始する。その後、シャッター速度に応じてシャッター閉じのパルスを出力してシャッターを閉じることで、撮像素子14への露光を終了させる。
その後、通常であれば第1フィールドの読み出しパルスを出力して、第1フィールドの映像信号を読み出すところであるが、本実施形態では、まず線状欠陥を補正するためのダミーフィールド画像を読み出す。ダミーフィールド画像の読み出しでは、各画素14aの信号を垂直転送CCD14bに転送するパルスを出力せずに垂直転送CCD14bを駆動して、撮像素子14内で画素情報の無い空転送画像を読み出す。線状欠陥は画素14aの電荷が無くとも垂直転送CCD14bを通過するだけで発生するので線状欠陥を補正する画像として使用することができる。
ダミーフィールド画像をメモリ30に取り込んだ後、第1フィールドの画素14aの画像信号を垂直転送CCD14bに転送するパルスを出力して、第1フィールド画像を読み出す。この読み出す際に、予めメモリ30に記憶されているダミーフィールド画像を読み出しながら、読み出された第1フィールド画像と減算処理を行い、減算結果を第1フィールド画像用のメモリ領域(図7参照)に書き込む。同様の処理を第2フィールドにも行い、第3フィールドにも同様の処理を行う。第3フィールドの処理では、ダミー画像は第3フィールド画像用のメモリ領域に記憶されているので、減算を行うためにダミー画像を読み出したメモリ領域には減算処理結果を書き戻すことになる。そのため、ダミー画像が記憶されていたメモリ領域には減算処理された第3フィールドの画像が上書きされるので、全フィールドの画像が読み出された後には、ダミー画像はメモリ上に残っていない。
このようにして、線状欠陥の画像補正を行う。
図9は線状欠陥補正前後の画像を説明した図である。
図9(a)は線状欠陥未補正の画像である。垂直転送CCD上に欠陥が生じているので、そこを通過してる画素には白縦筋が発生してしまう。
図9(b)の左側の図は、線状欠陥未補正画像を各読み出しフィールド毎に分解した画像を示している。各フィールド毎の画像は行(ライン)単位で順番に読み出されることになるので、それぞれの画像の垂直方向サイズは、最終的な画像サイズに対して(1/フィールド数)の垂直サイズになる。具体的には、本実施形態では3フィールド読み出しを行なうので、各フィールドでは3行(3ライン)おきの画像が読み出されるので、フィールドごとに分解された画像の垂直方向のサイズは、最終的な画像の垂直方向のサイズの1/3となる。
図9(b)の中央の図は、ダミーフィールドを読み出した画像である。ダミーフィールドでは画素信号の垂直転送CCDへの転送パルスを出力していないため、画像としては黒画像になる。しかし画素の情報は無くとも、垂直転送CCD上を転送しているので、線状欠陥である白縦筋が発生する。この白縦筋の信号レベルが各フィールドの画像を読み出したときの白縦筋と同じレベルになるので、このダミー画像を減算することで線状欠陥補正を行うことができる。そして線状欠陥は垂直転送CCD上で発生するため、各フィールドでの線状欠陥レベルは等しいので、ダミー画像は1フィールド分の画像で各フィールドの画像に対して減算を行うことができる。
図9(b)の右側の図は、線状欠陥補正を施した後の画像を示す。線状欠陥補正を施した後の画像では、白縦筋が除去されている。
なお、上記の説明では、撮像素子14の画像信号を3フィールドに分けて読み出す場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、3フィールド以外の任意の数のフィールドに分けて読み出す場合にも適用可能である。また、複数フィールドに分けずに、全画素を一括して読み出す場合にも適用可能である。
以上説明したように、各フィールド毎の画像からダミー画像を減算することで線状欠陥補正を行うことができるので、撮影画像の画質の向上を図ることができる。
また、ダミー画像が1フィールド分で済むことになるので、通常の黒引きを行うより撮影処理に要する時間を短縮することができる。
さらに、ダミー画像を事前に読み出し、第3フィールド画像用のメモリに記憶しておくため、余分なメモリを確保する必要が無く、撮影に用いるメモリ容量を低減することができる。
また、白縦線を目立たなくすることにより、従来よりも製造時に良品とする垂直転送CCDの点欠陥の数を増やして良品の基準を下げることができるので、撮像素子の歩留まりを向上させ製造コストを抑えることができる。