JP4677145B2 - 画像読取装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系の振動抑制制御を行う画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置と画像形成装置を有した装置、例えば複写機では、まず、図6(A)に図示する画像読取装置において、原稿台ガラス142に載置された原稿画像をミラー等の光学系を走査させて原稿画像を読み取らせていく。
【0003】
読み取らせていく方法としては近年のデジタル複写機ではCCD(Charge Coupled Device)と呼ばれる電荷結合素子よりなる読取素子150によって、ミラー等で構成される光学走査系から入力された原稿画像を電気信号に変換させ、画像データを画像形成装置へと送る。
【0004】
図6(B)に図示する画像形成装置へ送られたデータは、半導体レーザ光源からレーザとしてポリゴンミラーと呼ばれる回転多面鏡151に照射され主走査方向への画像データを形成するレーザ光となり、このレーザ光は結像レンズ152を経て次に折り返しミラー153によって反射され、感光ドラム154面に露光され潜像される。
【0005】
このような経緯によって感光ドラム154面に画像データが形成されるが、画像読取装置では光学ミラーを原稿画像読取りの為にミラー台と総称される光学系を副走査方向へと走査させる。
【0006】
このとき画像読取装置における光学ミラーは3枚から構成され、それぞれ第1ミラー145、第2ミラー147、第3ミラー148と呼称され、第1ミラー145は第1ミラー台144に設置され、第2ミラー147、第3ミラー148は第2ミラー台146に設置された2つの光学走査系からなる。
【0007】
また、第2ミラー台146は光路長を一定に保つ為に第1ミラー台144の移動量に対して1:2で移動するがこのとき光学ミラーそのものは第1ミラー台144,第2ミラー台146に、ミラー両端で板ばねによる固定がなされているので、ミラーは両端支持状態となり走査による慣性力もしくは光学走査系を駆動する為の駆動モータや駆動ベルト等の振動によって主としてミラー反射面に対する面外方向へ、曲げモードと呼ばれる振動状態を維持しながら走査していく傾向にある。
【0008】
これにより光軸はCCD150面主走査方向に対して振られながら読み取られ、これに起因する画像として「縦線ブレ」や「ジャギー」などと呼ばれる画像品質不良の主要因を引き起こしてしまう。
【0009】
また、画像形成装置では回転多面鏡151の回転振動、もしくは他の場所から伝わってくる外乱振動等によって折り返しミラー153が振動してしまい、回転多面鏡151から折り返しミラー153に照射されたレーザ光が、この折り返しミラー153の振動によって感光ドラム154面上に「ピッチむら」などと呼ばれる画像品質不良を引き起こしながら露光、潜像させてしまう。
【0010】
このような画像読取装置、画像形成装置は、近年の高速化の為に画像読取りスピードや画像形成スピードをますます高速化する必要があり、また、画像の高精度化の要求に答える為に光軸ブレを低減、つまりミラーの振動量を極限まで抑える必要性が出てきている。
【0011】
従来、このような要求に答える為にミラーに直接板金等の防振部材を貼り付けたり、ミラー固定方法変更等による振動対策を施す場合が多く、特開平8−106129号公開公報に開示された技術ではミラー裏面に補強部材を貼り付け制振効果を得ることを提案しており、また特開平5−88097号公開公報に開示された技術では画像形成装置における光軸検出方法とミラー反射角制御による露光位置制御を提案している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0013】
しかし、特開平8−106129号公開公報に開示された技術のようにミラー面にガラス等による制振効果を得ようとした場合、ミラー面に対する平面度はある程度確保できてもその質量によってミラー台自身の重心位置変化による光学走査系不安定挙動、及び質量付加による画像読取り装置における光学走査時のモータトルク変動を引き起こし起こしかねない。
【0014】
また、補強部材等の防振部材貼付けによる制振効果の一つとしてミラー剛性をあげることによるミラー自身の固有振動を高周波側へ逃がしミラー台や光学モータ駆動周波数との共振を避ける目的がほとんどである為、必然的にミラー剛性の補強をミラーに対して広範囲に行うことになる。故に防振部材としての質量が大きくなるのと同時にこの防振部材が板金等である場合、ミラーの平面度を著しく損なう恐れがあるのと同時にこれらの振動対策はそれぞれの対象物に対してのみ有効な場合が多く、多機種にわたる汎用性に乏しい。
【0015】
また、特開平5−88097号公開公報に開示された技術のように光軸位置ズレ観測時に反射したビームを補足させ、ミラー回転機構設置等による構造の複雑化を招きコストアップにもつながりかねない。
【0016】
しかもミラーを回転させることによって照射位置制御をしているために光学走査系で多発するミラーの曲げ振動に対しては有効性がない。
【0017】
そこで本発明では、光学系の振動部位の振動を直接的に抑制する制御可能とする画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0018】
また、直接的に光学系の振動を観測させることで構造の簡便化を図ると共に、従来の振動制御では抑えきることの出来ないミラーの曲げ振動等の振動についてもミラー振動を制振させることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にあっては、
原稿が載置された原稿台に対し、折り返しミラーを有する露光光学系を走査させ、前記露光光学系から前記原稿台に載置された原稿に照射され前記原稿で反射された光が前記折り返しミラーにより読取部に導かれることで、原稿画像を前記読取部で読み取る画像読取装置において、
前記折り返しミラーに設けられた圧電素子と、
前記圧電素子を駆動することで前記折り返しミラーのうち反射面を挟んだ両端部を支持する支持部に対する前記折り返しミラーの振動を制御する振動制御手段と、
前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を検出する振動状態検出手段と、を有し、
前記振動制御手段は、前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を抑制するために前記振動状態検出手段の検出結果に基づいて前記振動状態検出手段が検出した振動の位相と逆位相の振動が前記折り返しミラーに加わるように前記圧電素子を駆動することを特徴とする。
また、感光体と、
前記感光体に静電潜像を形成するために照射されたレーザ光を偏向走査する回転多面鏡と、
前記回転多面鏡によって偏向走査されたレーザ光を前記感光体に導く折り返しミラーと、
を有する画像形成装置において、
前記折り返しミラーに設けられた圧電素子と、
記圧電素子を駆動することで、前記折り返しミラーのうち反射面を挟んだ両端部を支持する支持部に対する前記折り返しミラーの振動を制御する振動制御手段と、
前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を検出する振動状態検出手段と、を有し、
前記振動制御手段は、前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を抑制するために前記振動状態検出手段の検出結果に基づいて前記振動状態検出手段が検出した振動の位相と逆位相の振動が前記折り返しミラーに加わるように前記圧電素子を駆動することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0032】
本実施の形態にあっては、光学系の振動部位としての光学ミラー2に、振動を制御可能とする圧電素子1を設けたものである。
【0033】
圧電素子1を制御するために、光学系の振動状態をアナログ信号として検出する振動状態検出手段としてのセンサ3および検出部7と、振動状態に基づいて圧電素子1の振動を制御するフィードバック制御系と、を備えている。
【0034】
フィードバック制御系は、図1(B)に示すように、検出部7からの検出情報に基づいて光学ミラー2の振動数および振幅量を演算する演算部9と、演算部9によって得られたデータから所定の振幅値となるようにフィードバックゲインを、前記圧電素子1を駆動するアクチュエータ駆動部11に対して与える制御部10と、を備えていることが好ましい。検出部7からのアナログ信号はA/D変換部8を介してディジタル信号に変換されて演算部9に入力される。
【0035】
光学ミラー2は画像読取装置や画像形成装置の光学系に適用されるもので、不図示のミラー支持部に両端が支持され、図1(A)に示すように、光学面に対して面外方向弓なり状に振動する。
【0036】
アクチュエータとして用いている圧電素子1とは、圧力を加えることによって電圧を発生する正圧電効果や電圧を加えると変形する逆圧電効果などの特性を利用した素子であり、光学ミラー2のような微小振動制御に対しては有効性が高い。圧電素子1は、光学ミラー2の側面に貼り付けられ、圧電素子1の伸縮によって光学ミラー2を弓なりに変形させることが可能である。圧電素子1の貼付位置は、光路に影響を与えないところであれば光学ミラー2の表裏どちらでも良い。
【0037】
圧電素子1としては、例えば圧電フィルム(PVDF:ポリフッ化ビニリデン)と呼ばれる圧電素子1が用いられる。この圧電フィルムでは厚さが数μm程度のものからあり形状も自由に作成できることから軽薄短小化を図ることが出来、ミラーに貼り付けても平面度を板金貼り付けより狂わすことがない。
【0038】
圧電素子1と光学ミラー2との接合方法に関しては、接着材による接合が考えられるが両面テープでも可能であり、接合位置に関してもミラー中央である必要性はなく、制振性能が満足されれば特に問わない。
【0039】
また、光学ミラー2の振動状態を観測するセンサ3としては、加速度センサや変位センサ、ひずみゲージ等、振動状態を検出できるものであれば良いが、圧電素子の正圧電効果を利用してミラー振動を圧電素子から電圧として検出させる方法でも可能である。この振動検出用のセンサ3も光学ミラー2に貼り付けられる。この貼付位置も、振動状態を正確に検知でき、光路に影響を与えないところであれば光学ミラー2の表裏どちらでも良い。
【0040】
制御部10に関しても、光学ミラー2にある程度、外乱が加わっても所定の目標値へ追従させることが出来るロバスト性のある制御アルゴリズムを設計することによって、同形状の光学ミラー2を使用している限り駆動シーケンスやモータ振動の違う多機種へ展開できる汎用性を備えさせることが可能である。
【0041】
また、先に述べた接合方法として両面テープを用いた場合、その粘性、減衰は評価しにくく、接着性のバラツキが懸念されるものに対しても、制御設計上で回避することが可能である。
【0042】
次に、上記光学系振動制御装置の動作について説明する。
【0043】
まず、光学ミラー2に圧電素子1を貼り付け、加速度センサなど振動を捕らえることの出来るセンサ3により光学ミラー2の振動状態を観測させ、この振動量を検出部7にて電圧として捕らえる。この電圧はアナログ波形で入力される為にコンピュータによる信号処理には適さない。よってA/D変換部8により離散化させディジタル信号にする。
【0044】
ディジタル信号にされた振動情報は、演算部9によってミラー2の振幅量を算出、それを制御部10によって所定のミラー振幅値になる様にプログラミングされている制御アルゴリズムに従ってフィードバックゲインをアクチュエータ駆動部11に対して与える。
【0045】
光学ミラー2に貼り付けられた圧電素子1はアクチュエータ駆動部11からこのフィードバックゲインを与えられた駆動信号を受け取る。
【0046】
その結果、圧電効果によって得られる圧電素子1の振幅を逆位相として与え、図1(C)に示すように、ミラー振動に対する逆位相を圧電素子1の振動によって相殺し、その合成波の振幅を低減させる。再びセンサ3で振動状態を観測し、前述の動作を繰り返す。
【0047】
以上、図1(B)のような閉ループ系を構成することによって、ミラー振動量を所定の振幅値まで低減させることが出来る。
【0048】
しかし、一般的な制振手法では多機種にわたる汎用性が乏しいのと、他の要因から伝達されてくる外乱振動を相乗させてしまうことが多く、これら要因が全く心配されることの無い場合は良いが、そうでない場合、制御部10にある程度の外乱及び若干仕様の異なる装置においても所定の目標値へ追従させることの出来るロバスト性を持たせた制御アルゴリズムを設計することによって外乱振動並びに上記多機種にわたる汎用性という問題に対して解決できる。
【0049】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。以下の実施例は、上記実施の形態の光学系振動制御装置を、具体的な画像読取装置および画像形成装置に適用した例で、光学系振動制御装置の構成自体は上記実施の形態と同一であり、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略するものとする。
【0050】
[第1の実施例]
図2及び図3は第1の実施例を示している。この第1の実施例は、上記光学系振動制御装置を画像読取装置の光学系に適用したものである。
【0051】
すなわち、この画像読取装置の光学系は、原稿が載置される原稿台ガラス12に対し露光光学系を走査させて原稿画像を読み取る機能を有するものである。露光光学系は、原稿台ガラス12に対して走査する第1ミラー台15と第2ミラー台16とを有している。第1ミラー台15には、露光ランプ13と、露光ランプ13により照射された光を原稿台ガラス12を透過させて原稿面に集光する不図示の反射傘と、この原稿面に反射された原稿の光像が入射する直下の第1ミラー14と、を備えている。
【0052】
この第1ミラー14は副走査方向とは反射面が逆向き45度に設置されており、このミラー面で反射された原稿画像の光軸は第1ミラー台15の後方に位置する第2ミラー台16に向けて反射される。
【0053】
一方、第2ミラー台16には、第2ミラー17と、第3ミラー18が設けられ、第1ミラーから反射された読取素子としてのCCD19に向けて折り返す。
【0054】
この第2ミラー台16は第1ミラー台15からCCD19面上までの光路長を一定に保つよう設計されており、その為、第2ミラー台16の移動量は第1ミラー台15の移動量に対して常に1:2に保たれている。
【0055】
第2ミラー17、第3ミラー18へと折り返され、第1ミラー台15副走査方向へと照射された画像光軸は、結像レンズ20を介してCCD19へと入射され画像データとして取り込まれる。
【0056】
上記第1,第2及び第3ミラー14,17,18は、図3に示すように、その両端がミラー支持ばね24を介して装置のミラー支持板25に支持されており、中央部が自由状態となっている。
【0057】
光学走査系は駆動モータ21を駆動源として駆動ベルト22,駆動ワイヤ23をその動力伝達媒体として光学レール面上を摺動移動させていくが、画像読取装置ではこの駆動モータ21が振動発生源となり、この振動と光学走査による慣性力で第1,第2,第3光学ミラー14,17,18が、図3(A)に示すように、光学面に対して面外方向弓なり状に振動してしまう。そこで、これらのミラーに対して、上記実施の形態で説明した光学振動制御装置が適用される。
【0058】
以下、本実施例の制振手法について説明する。
【0059】
第1ミラー、第2ミラー、第3ミラー14,17,18それぞれの裏面に圧電素子1を密着固定させる。
【0060】
このとき、圧電素子1の平面度によって光学ミラー14,17,18の平面精度を損なわない必要性があるので、圧電フィルム等に代表されるなるべく軽薄な圧電素子1を利用することが望まれる。
【0061】
光学ミラー14,17,18には光路の影響とならないようミラー裏面に振動検知用のセンサ5が設置されている。
【0062】
このセンサ5も光学ミラー1と密着固定されていることが望まれるが、もしセンサ5が密着固定されていない場合、光学ミラー14,17,18の振動状態を正確に検知できなく制御系から圧電素子1へ、誤ったゲインを返してしまうことによる光学ミラー14,17,18の振動の更なる悪化、つまり振動を発散させかねない。
【0063】
また振動源は駆動モータ21、駆動ベルト22及びミラー走査による振動の他、画像形成装置等による外乱振動も加わるために、フィードフォワード制御によるものよりロバスト性を考慮したフィードバック制御を採用することで対応することが出来る。
【0064】
すなわち、図1に示したように、圧電素子1,センサ3でフィードバック制御系を構成することにより、各ミラーからの振動状態をセンサ3によって検知し、各ミラーの曲げモードの振動数、振幅量を演算部9にて算出する。
【0065】
そのデータから制御部10にて所定の振幅値になるようにフィードバックゲインを駆動部11に指令を与え、各圧電素子1によって駆動する。
【0066】
圧電素子1によって振動を与えられたミラーは、図1(C)に示したように、逆位相を与えられた形になり、総和された振幅値は極小状態へと収束されるまでこの閉ループ演算、及び動作が繰り返される。
【0067】
このようにして各ミラーはその曲げ振動を極小まで抑えられることによって原稿情報が集約された光軸がミラー面上で拡散されることなく、また光路長の変化無しにCCD19面上まで送り込むことが出来る。
【0068】
[第2の実施例]
図4及び図5は第2の実施例を示している。この第2の実施例は、上記光学系振動制御装置を画像形成装置の光学系に適用したものである。
【0069】
すなわち、この画像形成装置の光学系は、回転多面鏡32とそこから光学像を転送する結像レンズ系33とを有する構成となっている。
【0070】
すなわち、図4(A)に示すように、半導体レーザ29から照射されたレーザ光はそのままでは拡散放射される為に、コリメータレンズ30によって円筒状の平行光線に変えられた後、更にシリンドリカルレンズ31で平帯状の平行光線に変換され、回転多面鏡32へ照射される。
【0071】
回転多面鏡32は、装置の高速化に伴い30000rpm〜40000rpm程度の高速回転をしており、この回転多面鏡32にレーザー光が照射され、反射することで一定方向の走査性をもつようになる。
【0072】
レーザ光はその後、結像レンズ系33に入射するが、このレーザ光の一端をBDミラー35で反射し、この反射光をBDセンサ36で取り出すことにより、感光ドラム38に書き込まれる際のドラム面上主走査方向開始点の同期をとる役割を果たしている。
【0073】
結像レンズ系33に入射した原稿情報が集約されたレーザ光は折り返しミラー34で折り返され、感光ドラム38の表面に照射されることで画像が潜像される。
【0074】
この時、折り返しミラー34はポリゴンモータと呼ばれる回転多面鏡32用のモータの振動、及び他から伝わる外乱振動によって励振されてしまう。
【0075】
折り返しミラー34は、図4(B)に図示される光学箱28の軽薄小型化の為に薄細長形状であるのが一般的であり、またミラー面精度が非常に厳しい光学部品であることから光学箱28への設置は通常、両端を光学箱本体41の折り返しミラー保持部へ、図5(B)に示すように板ばね39で押圧している。
【0076】
この為、折り返しミラー34自体は両端支持梁状態で折り返しミラー34の面外方向に振動しやすくなるので、これをミラー裏面に付設したセンサ3によって振動を検知、及び演算部9にて振幅値を算出、制御部10にて振動量が極小になるようフィードバックゲインをセンサ同様ミラー裏面に付設された圧電素子1に対して与える。
【0077】
センサ3及び圧電素子1は光学走査系での実施例と同様にミラーと密着固定させることが望ましい。
【0078】
指令を受けた圧電素子1はミラーに対して逆位相を返す形で振動をミラー面に与え、この一連の動作を振幅値が極小になるまで続ける。
【0079】
この後、図示しない現像プロセスによって現像粉(トナー)を感光ドラム38表面に静電吸着し現像粉の像を形成、転写用紙に現像粉を転写した後、熱と圧力を加えて転写用紙に現像粉を融着させる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、圧電素子1を光学部品としての折り返しミラー34に貼り付けた場合について説明したが、折り返しミラー34だけでなく、光学箱の振動箇所に貼り付け、光学箱の振動についても制振させることができる。また、光学部品としては、折り返しミラー34に限定されるものではなく、画質に影響のある光学系の振動部分の任意の箇所の制振を図ることができる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像読取装置や画像形成装置等の光学系で多発する光学系の振動による画像不良に対して、光学系の振動部分に圧電素子を密着固定させ、圧電素子の振動によって光学系の振動を抑制する構成としたので、複雑な機構部分無しに且つミラー面精度を損なうこと無く抑制効果を得ることができる。
【0082】
また、光学系の振動状態をアナログ信号として検出する振動状態検出手段と、振動状態に基づいて前記圧電素子の振動を制御するフィードバック制御系と、を設けたので、振動量を所定の振幅値まで低減させることができる。
【0083】
また、フィードバック制御系を、振動状態検出手段からの検出情報に基づいて光学系の振動数および振幅量を演算する演算部と、該演算部によって得られたデータから所定の振幅値となるようにフィードバックゲインを前記圧電素子を駆動する圧電素子駆動部に対して与える制御部と、を備えた構成としたので、光学系の振動を逆位相の圧電素子の振動によって相殺することができる。
【0084】
また、振動状態検出手段として圧電素子を利用したので、振動状態を圧電素子の正圧電効果により電圧として取り出すことができる。
【0085】
また、圧電素子は、光学部品及び光学部品を保持する筐体の少なくともいずれか一方に密着固定したので、より振動減衰効果を高めることができる。
【0086】
また、光学部品及び光学部品を保持する筐体の少なくともいずれか一方と圧電素子の密着固定を、接着材あるいは両面テープに固定するようにしたので、構成を単純化することができる。
【0087】
また、画像読取装置の光学系に適用したので、画像の読取精度を高めることができる。
【0088】
また、画像形成装置の光学系に適用したので、高精細な画像を実現できる。
【0089】
また、制御部は、ある程度の外乱及び仕様の異なる装置においても所定の目標値へ追従させることができるロバスト性を考慮した制御を行うようにしたので、外乱振動並びに多機種にわたる汎用性を実現することができる。
【0090】
また、光学系の振動部位を光学ミラーとしたので、ミラーの曲げ振動に対して複雑な機構部分無しに且つミラー面精度を損なうこと無く振動制御効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明の実施の形態に係る光学系振動制御装置の原理図、図1(B)は同図(A)の制御ブロック図、図1(C)は光学系と圧電素子の逆位相の振動状態を示すグラフである。
【図2】図2は図1の光学系振動制御装置を適用した画像読取装置を示すもので、同図(A)は斜視図、同図(B)は断面構成図である。
【図3】図3(A)は図2の光学ミラーの支持状態を示す図、同図(B)は同図(A)のミラー支持部の拡大図である。
【図4】図4は図1の光学系振動制御装置を適用した画像形成装置を示すもので、同図(A)は斜視図、同図(B)は光学箱との関係を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は図4の装置の断面図、同図(B)は同図(A)の折り返しミラー固定部の拡大断面図である。
【図6】図6(A)は画像読取装置における従来例を示す図、同図(B)は画像形成装置における従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 圧電素子
2 光学ミラー
3 センサ
4 圧電素子
7 検出部
8 A/D変換部
9 演算部
10 制御部
11 アクチュエータ駆動部
14,17,18 第1,第2,第3ミラー
15 第1ミラー台
16 第2ミラー台
29 半導体レーザ
30 コリメータレンズ
31 シリンドリカルレンズ
32 回転多面鏡
33 結像レンズ
34 折り返しミラー

Claims (6)

  1. 原稿が載置された原稿台に対し、折り返しミラーを有する露光光学系を走査させ、前記露光光学系から前記原稿台に載置された原稿に照射され前記原稿で反射された光が前記折り返しミラーにより読取部に導かれることで、原稿画像を前記読取部で読み取る画像読取装置において、
    前記折り返しミラーに設けられた圧電素子と、
    前記圧電素子を駆動することで前記折り返しミラーのうち反射面を挟んだ両端部を支持する支持部に対する前記折り返しミラーの振動を制御する振動制御手段と、
    前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を検出する振動状態検出手段と、を有し、
    前記振動制御手段は、前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を抑制するために前記振動状態検出手段の検出結果に基づいて前記振動状態検出手段が検出した振動の位相と逆位相の振動が前記折り返しミラーに加わるように前記圧電素子を駆動することを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記振動状態検出手段は、前記折り返しミラーの振動数を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記振動状態検知手段は、前記折り返しミラーの振幅量を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
  4. 感光体と、
    前記感光体に静電潜像を形成するために照射されたレーザ光を偏向走査する回転多面鏡と、
    前記回転多面鏡によって偏向走査されたレーザ光を前記感光体に導く折り返しミラーと、
    を有する画像形成装置において、
    前記折り返しミラーに設けられた圧電素子と、
    記圧電素子を駆動することで、前記折り返しミラーのうち反射面を挟んだ両端部を支持する支持部に対する前記折り返しミラーの振動を制御する振動制御手段と、
    前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を検出する振動状態検出手段と、を有し、
    前記振動制御手段は、前記支持部に対する前記折り返しミラーの振動を抑制するために前記振動状態検出手段の検出結果に基づいて前記振動状態検出手段が検出した振動の位相と逆位相の振動が前記折り返しミラーに加わるように前記圧電素子を駆動することを特徴とする画像形成装置。
  5. 前記振動状態検出手段は、前記折り返しミラーの振動数を検出することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  6. 前記振動状態検知手段は、前記折り返しミラーの振幅量を検出することを特徴とする請求項又は請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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