JP4676154B2 - 水系の洗浄時期の判断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非酸化性バイオサイドで継続的に処理している水系における、レジオネラ属菌に対する管理方法に関し、具体的には、レジオネラ属菌の水系中での繁殖を効果的、かつ、効率的に抑制することができる水系の洗浄時期の判断方法に関する。
レジオネラ属菌はレジオネラ症の原因微生物として知られており、自然界や人工の水環境に広く生息しているグラム陰性の細菌である。レジオネラ属菌に汚染された冷却塔水や温泉水、循環風呂水などのエアロゾルを吸い込むことによって、レジオネラ属菌に感染し、レジオネラ症を引き起こす場合がある。そのため、「新版 レジオネラ症防止指針」(非特許文献1)が定められ、これらの環境水中のレジオネラ属菌の抑制を行うことが求められている。
このような、水系中のレジオネラ属菌の抑制のために、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム化合物等のカチオン系化合物、有機臭素系化合物、イソチアゾリン系化合物、グルタルアルデヒド、ヒドラジン等の非酸化性バイオサイドを継続的に添加する対策が取られる。
そして、これら非酸化性バイオサイドでの継続的処理により、添加対象の水系中のレジオネラ属菌が実際に抑制されているかどうかについては、その水系の水をサンプルとして、上記「新版 レジオネラ症防止指針」に記載された方法(その一例を図1に示す)等の、公知の培養法によって評価されていた。
しかしながら、レジオネラ属菌の培養法による検査では、培養に5〜7日必要であり、水系中にレジオネラ属菌が存在した場合には、その間にその水系中のレジオネラ属菌がさらに増殖して、洗浄が後手に回った結果、何らかの事故等を発生させるおそれがあり、問題となっていた。
また、培養法では、生きていて、かつ、コロニー形成能を有するレジオネラ属菌のみを検出可能であり、非酸化性バイオサイドで継続的に処理されている水系では、水中に浮遊しているレジオネラ属菌は、通常、非酸化性バイオサイドにより殺菌され、あるいは、コロニー形成能を失うので、培養法では不検出となる。
しかしながら、レジオネラ属菌は、例えば水系内に形成されたバイオフィルム内、あるいは、アメーバ等の原生動物に寄生して、非酸化性バイオサイドから保護された状態で繁殖する性質がある。このようにバイオフィルム内等で繁殖したレジオネラ属菌が水中に漏れ出してきた場合であっても、バイオサイドで継続的に処理されている水系であれば、浮遊している菌はバイオサイドにより殺菌されるため、漏れだしてきた菌が少量の場合には培養法では不検出となる場合が多い。このような場合にはレジオネラ属菌が大繁殖する素地が水系中に形成されているため、対処しないまま放置すると、その後に基準値を遙かに上回る大量の菌が検出されることがあり、問題となる。
「新版レジオネラ症防止指針」 監修 厚生省生活衛生局企画課、発行者:(財団法人)ビル管理教育センター 平成11年11月 初版発行
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、非酸化性バイオサイドで継続的に処理している水系において、レジオネラ属菌の水系中での繁殖を効果的、かつ、効率的に抑制することができる水系の洗浄時期の判断方法を提供することを目的とする。
ここで、本発明者等は、非酸化性バイオサイドで処理した場合、レジオネラ属菌が死滅してもレジオネラ属菌の遺伝子は比較的長時間に亘り破壊されずに水系に残存していることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、酸化性バイオサイドの併用なしに、非酸化性バイオサイドにより継続的にレジオネラ属菌を抑制する処理を行っている水系の洗浄時期の判断方法において、培養法ではレジオネラ属菌が検出されない前記水系のを定期的に採取し、前記水におけるレジオネラ属菌の遺伝子の有無を遺伝子検査法によって検査して、前記培養法では検出されないレジオネラ属菌の遺伝子が検出されたときに、前記水系を、レジオネラ属菌を確実に駆除する化学洗浄を行う洗浄時期であると判断することを特徴とする水系の洗浄時期の判断方法である。
ここで、高濃度の非酸化性バイオサイドで洗浄後、低濃度の非酸化性バイオサイドで継続的に処理している水系において、水系を洗浄処理する前後における水系の状態(推定される状態)とその状態における遺伝子検査法及び培養法によるレジオネラ属菌の検査結果を表1に示す。
Figure 0004676154
表1中、状態1では水系全体がレジオネラ属菌で汚染されており、培養法と遺伝子検査法との両者でレジオネラ属菌が陽性となる。そこで、非酸化性バイオサイドを用いて水系の洗浄を行うと、系内のレジオネラ属菌は死滅するが、その死骸中の遺伝子は水中に残存した状態となり、培養法では陰性、遺伝子検査法では陽性という状態となる(状態2)。
この状態でしばらく水系の運転を続けると、死骸中の遺伝子の分解、水の入れ替わり等によりレジオネラ属菌遺伝子は水系内からなくなり、遺伝子検査の結果も陰性となる(状態3)
その後、系内が徐々に汚れ、バイオフィルムが形成されるようになると、バイオフィルム内でレジオネラ属菌が増殖し、その一部が浮遊菌として水中に漏れ出すようになる(状態4)。この状態では、水中に漏れ出した浮遊レジオネラ属菌は、バイオサイドの殺菌効果で死滅するため、培養法では陰性となるが、レジオネラ属菌の遺伝子は短時間では分解しないので、遺伝子検査では検出されて陽性となる。この水系をさらにそのまま放置すると、バイオフィルム内のレジオネラ属菌の増殖が盛んになり、バイオサイドの殺菌効果がバイオフィルムから供給されるレジオネラ属菌の量に追いつかなくなるので、培養法でもレジオネラ属菌が陽性となる(状態5)。
状態5となるまで放置すると、水系内のレジオネラ属菌の汚染はかなり進んだ状態となり、水系の洗浄に際し、高濃度の薬品を長時間接触させる必要が生じる等の手間が掛かるばかりか、次回の洗浄までの期間、生きたレジオネラ属菌が水中に浮遊して存在することとなり、エアロゾル等の飛散によりレジオネラ属菌に感染する危険性が高くなる。
本発明は、生きたレジオネラ属菌が浮遊して水中に存在するようになる前の、上記表1の状態4となった時期を検知する方法を提供するものであり、その時期に水系を洗浄することで、生きたレジオネラ属菌がエアロゾル等により環境中に飛散することを避けることができ、さらに、上記状態5となる前に洗浄を行うことが可能となるので、従来の培養法による検知後の洗浄よりも簡易な処理でも充分な効果を得ることが可能となる。
本発明によれば、遺伝子検査法の結果を用いて洗浄の要否の判断を行うため、従来の培養法(結果が出るまで5〜7日、あるいは10日必要)では検出できなかった、水系中に存在しているレジオネラ属菌の死菌由来の遺伝子であっても検出できるので、水系中の、例えばバイオフィルム内などで、局所的にレジオネラ属菌が繁殖しているが、水中に浮遊している菌は生菌としては存在していない場合であっても、水系中のレジオネラ属菌の生存を検出することが可能となり、それら局所的に存在するレジオネラ属菌が水系全体に広がる前にその存在を知ることができ、さらに、遺伝子検査法ならではの迅速な検査(2〜10時間程度で検出)が可能であることも相俟って、水系の洗浄が後手に回ることがなく、水系のレジオネラ属菌の安心で、安定した管理が可能となり、レジオネラ感染症の発生などと云う大事故を未然に防止することができる。
本発明において、対象となる水系は非酸化性バイオサイドで継続的に処理されている水系であることが必要である。ここで、非酸化性バイオサイドで継続的に処理されているとは、水系中の非酸化性バイオサイドの濃度が一定値以上に保たれている、あるいは、非酸化性バイオサイドの水系への添加が10日に1回より高い頻度で定期的に行われていることを指す。なお、後者のバイオサイドの添加は、必ずしも厳密に規定する必要はなく、例えばレジオネラ属菌が繁殖しやすい夏期での添加間隔を、冬季での添加間隔より短くするなど、水系の条件に応じて変動させて良く、この場合にも本発明に含まれる。
本発明において用いられる非酸化性バイオサイドとしては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム化合物等のカチオン系化合物、有機臭素系化合物、イソチアゾリン系化合物、グルタルアルデヒド、ヒドラジンなどの非酸化性薬品であって、レジオネラ属菌に対して有効なバイオサイドであればよく、これらを単独で、あるいは複数を組み合わせて用いても良い。
なお、本発明における非酸化性バイオサイドでの継続的処理には、水中で次亜塩素酸及び/または次亜臭素酸を放出する化合物、二酸化塩素、過酸化物、オゾン等の酸化性バイオサイドは併用することができない。このような酸化性バイオサイドを併用すると、水系中のレジオネラ属菌の死菌由来の遺伝子や、培養法では検出されない、コロニー形成能を失ったレジオネラ属菌由来の遺伝子が、これら酸化性バイオサイドによって酸化、分解されてしまうので、上記のように水系内の特定の箇所でレジオネラ属菌が繁殖している場合等での検知ができなくなってしまう。
本発明ではレジオネラ属菌の検査を、遺伝子検査法を用いて行うことが、死菌の存在や培養法では検出されない、コロニー形成能を失ったレジオネラ属菌の存在を検出するために、必要である。
本発明における遺伝子検査法とは、検査対象の細菌に応用できる遺伝子検査法から選択すればよい。例えば、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)、LAMP法、あるいはPALSAR法として知られる核酸の増幅・検知法を用いた遺伝子検査法が挙げられ、それぞれ例えば特公平4−67960号公報、再公表特許WO00/28082、あるいは、特開2000−201687公報に記載されていることが知られている。これらはいずれも2時間〜10時間程度で、検査対象の細菌の遺伝子の特徴部分を多量に複製または検知することができる方法で、その後、電気泳動等の手段により、検査対象の細菌の遺伝子の有無を容易かつ迅速に判定することができる。
本発明における水系の洗浄とは、水系内のレジオネラ属菌を確実に駆除できる条件で、バイオサイドを用いた化学洗浄処理を指す。このとき、物理的洗浄やろ過、浮遊物除去、水の一部あるいは全部交換等を併用しても良く、これにより、水系の洗浄の効果をより高いものとすることができる。
本発明において、水系の洗浄に用いるバイオサイドは、継続的処理で用いているバイオサイドを用いても良く、また、他の非酸化性バイオサイドや酸化性バイオサイドを用いても良く、また、互いに影響して効果が減じない限りにおいてこれらを併用しても良い。酸化性バイオサイドを用いるとレジオネラ属菌駆除後に水系内に残留するレジオネラ属菌の死菌由来の遺伝子が遺伝子検査法で検出されないように分解されるので、水系の洗浄以降の誤検出を防止することができるので好ましい。
この水系の洗浄でのバイオサイドの添加は水系内のレジオネラ属菌を充分に除去できるような添加濃度となるように行う必要がある。従って、継続的処理で用いているバイオサイドを水系の洗浄でも用いる場合には、継続的処理での水系内濃度よりも高い濃度となるようにして添加する。
本発明において上記の水系の洗浄を行う、水系の洗浄時期を判断するには、定期的に行う遺伝子検査法を用いて行う。具体的には水系から採取した水をサンプルとして、そのサンプル中に遺伝子検査法によってレジオネラ属菌の遺伝子が検出されていなかった状態から検出されるようになった場合(陰性から陽性に転じた場合)に、その水系中のどこかにレジオネラ属菌が生存しているとして、水系の洗浄を行うこととする。
上記遺伝子検査法において「定期的」とは、具体的は、10〜60日に1回程度遺伝子検査法を行うことであって、その間隔は必ずしも厳密に規定する必要はなく、例えばレジオネラ属菌が繁殖しやすい夏期での間隔を、冬季での間隔より短くするなど、水系の条件に応じて変動させて良く、この場合にも本発明に含まれる。
なお、遺伝子検査法に加えて、培養法による検査を平行して行っても良く、遺伝子検査法の結果が陽性に転じた際に、培養法では陰性であることが確認できれば、水系内が表1で状態4として示される汚れ具合であることが確定できるため、このとき、簡易な洗浄方法をとっても充分な洗浄効果を得ることができる。
<基礎検討>
基礎検討として、非酸化性バイオサイドによる洗浄によっても水中のレジオネラ属菌の遺伝子が容易には分解されないことを下記のようにして確認した。
非酸化性のバイオサイドとして、ヒドラジン(60%水加ヒドラジン溶液、大塚化学社製)、グルタルアルデヒド(50%水溶液、キシダ化学社製。「GA」とも云う)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ゾーネンC、ケミクレア社製。「CMI」とも云う)、塩化ベンザルコニウム(50%塩化ベンザルコニウム溶液、キシダ化学社製。「BKC」とも云う)および2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1、3−ジオ−ル(NK−134、ケイ・アイ化成社製。「BNPD」とも云う)を、また、比較のため、酸化性バイオサイドとして過酸化水素(31%水溶液、三菱瓦斯化学社製)、及び、次亜塩素酸ナトリウムを用いて試験を行った。
一晩汲み置きした水道水をそれぞれ1Lずつ(ただし、過酸化水素の試験を行うものは950mL)容れた容量が1Lのポリプロピレン製容器に、レジオネラ属菌(Legionella pneumophila serogroup 1 Philadelphia−1(ATCC33152)株)をおよそ107CFU/100mLとなるようにそれぞれ懸濁させ試験水とした。
これらそれぞれに、60重量%水加ヒドラジン溶液を50mg(このときヒドラジン濃度は19mg/Lとなる)、50重量%グルタルアルデヒド水溶液を40mg(このときのグルタルアルデヒド濃度は20mg/L)、50重量%塩化ベンザルコニウム溶液を40mg(このときの塩化ベンザルコニウム濃度は20mg/L)、上記ゾーネンCを20mg(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン濃度は2mg/Lとなる)、NK−134を10mg(このときの2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1、3−ジオ−ル濃度は10mg/L)、31%過酸化水素水を50g(過酸化水素濃度は15500mg/L)をそれぞれに添加した。また、次亜塩素酸ナトリウム溶液(12%、キシダ化学)を添加した系では、試験水の残留塩素濃度が0.2mg/Lを維持するように調整した。
これらを室温で放置し、24時間後および48時間後に採水容器に500mLずつ採水し、これらのレジオネラ属菌の生菌数についてPCR法による遺伝子検査法及び培養法により検査を行った。その結果を表2および表3に示す。
Figure 0004676154
Figure 0004676154
上記のように、非酸化性バイオサイド、酸化性バイオサイドを問わず、処理開始後24時間後にはいずれの系も培養ではレジオネラ属菌は陰性となり、生菌がいないことが確認された。一方、遺伝子検査法では、非酸化性バイオサイドで処理した系ではすべて処理24時間後、あるいは48時間後であってもレジオネラ属菌の遺伝子が検出され、また、酸化性バイオサイドで処理した系ではレジオネラ属菌の遺伝子が検出されないことが判った。
これら結果より、非酸化性バイオサイドで処理した場合、レジオネラ属菌が死滅してもレジオネラ属菌の遺伝子は比較的長時間に亘り破壊されずに水系に残存し、その結果、遺伝子検査法で検出可能であることが判る。また、これに対して酸化性バイオサイドを用いた場合には、レジオネラ属菌の死菌由来の遺伝子は速やかに酸化・分解されてしまうので、遺伝子検査法では検出されなくなることが判る。
なお、表2及び表3中、PCR法による検出は次のように行った(後述する実際の水系での検討でも同様に実施)。
すなわち、試料水各500mLをメンブレンフィルター(孔径:0.45μm)を用いてろ過したのち続けて、50mLの滅菌脱イオン水をろ過してメンブレンフィルターを濯いだ。
ろ過捕捉物の付着した上記メンブレンフィルターを、滅菌済みの50mL容のスクリューキャップ付き遠心沈殿管に入れ、滅菌脱イオン水を5ml加えてボルテックスタイプミキサーで5分間攪拌して捕捉物を再懸濁させた。
次いで、上記で得た再懸濁液2mLを2mL容のマイクロチューブに移し、4℃、14000×gで10分間遠心処理を行った。
その上清1960μLを取り除き、50mM水酸化ナトリウム水溶液を50μL加え、沸騰水中(100℃)にこのマイクロチューブを浸漬し、15分間加熱して遺伝子を菌体外に抽出した。次いで、マイクロチューブを氷冷した後、1M−Tris−HCl緩衝液(pH7.0)を8μL添加して中和し、4℃の温度下で、14000×gで10分間遠心処理し、その上清をPCR用の試料として用いた。
PCRに用いるプライマーはYamamotoら(「環境水中のレジオネラ属菌の検出方法としての、培養法、蛍光抗体染色法、PCR法の比較」(Yamamoto, H., Y. Hashimoto and T. Ezaki (1993) Comparison of detection methods for Legionella species in environmental water by colony isolation, fluorescent antibody staining, and polymerase chain reaction. Microbiol. Immunol., 37, 617-622)が報告している、レジオネラ属細菌の16S rRNAをターゲットとするLEG448−A(5’−GAG GGT TGA TAG GTT AAG AGC−3’)(配列番号1)およびLEG854−B(5’−CGG TCA ACT TAT CGC GTT TGC T−3’)(配列番号2)を用いた。
PCRの反応液はTaKaRa Ex Taq Hot Start Version(タカラバイオ社製)を用いて調整した。反応液の組成は14.375μLの滅菌蒸留水に2.5μLの10× Ex Taq緩衝液(buffer)、2μLのd−NTP mix、0.5μLのLEG448−Aプライマー溶液(10μM)、0.5μLのLEG854−Bプライマー溶液(10μM)および0.125μLのEx Taq polymeraseを混合し、最後に5μLの核酸抽出液を添加して全量を25μLとした。
サーマルサイクラーの設定は、最初の熱変性として94℃で90秒、続けて94℃で30秒、65℃で60秒及び72℃で60秒の操作を1サイクルとして5サイクル行った。その後、94℃で30秒、65℃で30秒及び72℃で60秒の操作を1サイクルとして35サイクル行い、最後に72℃で4分の反応を行った。
増幅産物の検出はアガロースゲル(1.5重量%)電気泳動で行った。泳動後のゲルをSYBR Green I(BMP)を用いて染色し、254nmのトランスイルミネーター上で、レジオネラ属菌由来である430bpの増幅産物の有無を観察し、増幅産物が観察された場合を「陽性」と判断した。
また、表2及び表3における培養法による検査は次のようにして行ったものである(後述する実際の水系での検討でも同様に実施)。
上記遺伝子検査法と同様にしてメンブレンフィルターによるろ過濃縮を行った後の再懸濁液1mLを用いて、「新版 レジオネラ症防止指針」に記載された冷却遠心濃縮法を用いた平板培養法のフローチャート(図1)に沿って定めた、図2に示すフローチャートに従ってGVPCα培地を用いて行った。
<実際の水系での検討>
レジオネラ属菌が繁殖した、保有水量:10m3、冷凍能力:200RTの循環冷却水系に200mg/Lのグルタルアルデヒドを投入して水系内を除菌洗浄した後、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを水系内の濃度が計算上2mg/Lを維持するように補給水に対して連続的に供給する処理を行った。なお、水系の洗浄後の全換水は行わず、冷却水系の濃縮倍率が約5倍となるように濃縮管理を行った。
この水系の管理開始初日にPCR法及び培養法によってレジオネラ属菌の検査を行うために水系の水をサンプルとして採取した(以下、同様に同じ箇所でサンプル採取を行った)後、50重量%−グルタルアルデヒド水溶液を4kg投入することにより水系の洗浄(以下、同じ条件)を行った。
水系の洗浄を行った次の日(2日目)にも、サンプルを採取し、PCR法及び培養法によってレジオネラ属菌の検査を行った。その結果PCR法ではレジオネラ属菌の遺伝子の存在が検出されたが、培養法ではレジオネラ属菌は検出されなかった(表4参照)ため、水系中に残存するレジオネラ属菌の遺伝子は死菌由来の遺伝子であると判断した(このことは7日目に採取したサンプルでは、PCR法及び培養法の両者で陰性となったことで確認された)。
Figure 0004676154
また、その後、4箇月後まで、1箇月ごとに定期的にサンプルを採取し、PCR法及び培養法によってレジオネラ属菌の検査を行ったが、両者ともに陰性であった。
管理開始5箇月後にはPCR法では検出されたものの、培養法では陰性となったため、そのまま放置したところ、6箇月後には、生菌数が1.6×103個/100mLと云う大量のレジオネラ属菌が存在する状況(培養法で)となっていることが判り、2回目の水系の洗浄を行った(以上、従来技術例)。
この2回目の洗浄後から、本発明の水系の洗浄時期の判断方法に従って、定期的な遺伝子検査法の結果を基に水系の洗浄時期を判断した。具体的には遺伝子検査法を用いて水系中のレジオネラ属菌の遺伝子が検出されたときに水系の洗浄を行うこととした。
その結果、2回目の水系の洗浄後は、培養法ではレジオネラ属菌は一度も検出されず、本発明によれば、水系内のレジオネラ属菌を効果的に抑制できることが確認された。
本発明は、水系のレジオネラ属菌を、後手に回ることがなく確実に抑制することができるので、レジオネラ属菌の抑制が求められる水系に、広く応用することができる。
「新版 レジオネラ症防止指針」に記載された冷却遠心濃縮法を用いた平板培養法のフローチャート(抜粋)である。 培養法による検査方法でのフローチャートである。

Claims (1)

  1. 酸化性バイオサイドの併用なしに、非酸化性バイオサイドにより継続的にレジオネラ属菌を抑制する処理を行っている水系の洗浄時期の判断方法において、
    培養法ではレジオネラ属菌が検出されない前記水系のを定期的に採取し、前記水におけるレジオネラ属菌の遺伝子の有無を遺伝子検査法によって検査して、前記培養法では検出されないレジオネラ属菌の遺伝子が検出されたときに、前記水系を、レジオネラ属菌を確実に駆除する化学洗浄を行う洗浄時期であると判断することを特徴とする水系の洗浄時期の判断方法。
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