JP4675726B2 - 流体軸受装置用軸部材の製造方法 - Google Patents

流体軸受装置用軸部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体軸受装置用の軸部材およびその製造方法に関するものである。この軸部材を備えた動圧軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいはファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化等が求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の1つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部およびスラスト方向に支持するスラスト軸受部の双方を動圧軸受で構成する場合がある。この種の流体軸受装置(動圧軸受装置)におけるラジアル軸受部としては、例えば軸受スリーブの内周面と、これに対向する軸部材の外周面との何れか一方に、動圧発生部としての動圧溝を形成すると共に、両面間にラジアル軸受隙間を形成するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。あるいは、スラスト軸受部として、軸部材の一端面を底部材によって接触支持する構造の軸受(いわゆるピボット軸受)が用いられる場合もある(例えば、特許文献2参照)。
また、この種のスピンドルモータでは、磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)をディスクハブとの間にクランプ固定するためのクランパが、軸部材の端部に装着される。軸部材へのクランパの装着は、例えば軸部材の一端部に形成したねじ穴に、クランパを介してねじをねじ込むことで行われる(例えば、特許文献3参照)。
軸部材にねじ穴を形成する方法としては、例えば軸素材に、ねじ穴の下穴を切削加工により成形し、この下穴を基準としてねじ加工を行う方法が考えられる。しかしながら、この方法では、下穴を切削加工する際に発生する切粉がねじ穴の底部に溜り、加工後にねじ穴の洗浄を行っても、切粉を完全に除去することができない。そのため、ねじ穴内に残った切粉が、他部材の組付け時や軸受装置の組立て時に、コンタミとして他部材に付着し、組立後軸受装置内部に充満した流体(例えば潤滑油など)に混入する可能性がある。あるいは、他部材に付着した切粉(コンタミ)がさらにディスクに転着することによって、ディスククラッシュを引き起こすおそれもある。
また、最近では、情報機器の低価格化に伴い、流体軸受装置に対する低コスト化の要求が益々厳しくなっており、この種の要求に対応するため、流体軸受装置の各構成部品に対する種々のコスト低減対策が検討されている。例えば軸部材に関して言えば、ニアネットシェイプ化を目的として、軸部およびフランジ部を鍛造で一体成形したものが知られている(例えば、特許文献4を参照)。
このように、鍛造成形は、加工性やコスト面に優れた方法であるが、一方で、鍛造成形の特性上、軸部材の形状によっては所要の寸法精度が得られない場合がある。
すなわち、鍛造加工は、素材を圧縮して特定の方向に変形させることにより所定形状に成形するものであるが、例えば鍛造時のプレス方向が素材の長手方向に一致する場合には、素材の一端に付与された圧縮力が他端にまで十分に伝わらず、他端における塑性流動が不十分となる場合がある。これでは、本来の成形すべき形状にまで変形が生じず、高い成形精度を得ることが難しい。
特に、最近のディスク装置の大容量化の要請に応じて、複数枚のディスクを搭載可能なスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置(動圧軸受装置)には、モーメント荷重の増大に対応するため、従来に比べて長尺化を図った軸部材の使用が検討されている。しかしながら、長尺化に応じて前記塑性流動の不良がより顕著に現れる傾向にあるので、現状では、長尺化と高寸法精度とを両立した軸部材を低コストに製造することは難しい。
特開2002−61641号公報 特開平11−191943号公報 特開2000−235766号公報 特開2004−347126号公報
本発明の第1の課題は、軸受構成部品へのコンタミの付着、および軸受装置内部へのコンタミの混入を可及的に防止し得る流体軸受装置用の軸部材を提供することである。
本発明の第2の課題は、高い寸法精度を有し、かつ長尺化が可能な流体軸受装置用の軸部材を低コストに提供することである。
前記第1の課題を解決するため、本発明では、軸部および軸部の一端に位置するフランジ部を鍛造加工で一体成形してなる軸素材から形成され、軸部の他端にねじ穴が形成されると共に、外周にラジアル軸受隙間と面するラジアル軸受面が形成された金属製の流体軸受装置用軸部材であって、ねじ穴が、鍛造加工により形成された下穴と、下穴の開口側に転造加工により形成されたねじ部とを有し、軸部の他端外周面のうちねじ穴の外径側領域に円筒面が設けられ、軸部の他端先端部が外径側に向けて張り出しているものとした。ラジアル軸受面は、動圧作用を生じるラジアル軸受隙間に面したものであればよく、動圧作用を生じるための動圧溝の有無は問わない。
上述のように、本発明では、ねじ穴を塑性加工によって形成したので、ねじ穴を成形するのに切削加工を行わずに済み、切削に伴う切粉の発生を回避することができる。そのため、ねじ穴内に切粉が残ることがなく、他部材の組付け時や軸受装置の組立て時に、切粉がコンタミとして他部材に付着し、組立後軸受装置内部に充満させた潤滑油等に混じり込むのを防止することができる。
ねじ穴は、例えば鍛造加工により形成された下穴と、下穴の開口側に転造加工により形成されたねじ部とを有する構造とすることができる。この場合には、塑性加工として、下穴に鍛造加工が、ねじ部に転造加工がそれぞれ施される。鍛造加工による下穴は、軸端から一連に形成される。この下穴形成後、下穴の開口側を部分的にねじ転造することにより、最終的なねじ穴は、開口側のねじ部と、それよりも穴底側に残った未転造の下穴とで構成される。このねじ穴は、塑性加工のみによって形成されたものであるから、切粉の発生を防止し、コンタミの問題を解消することができる。また、鍛造により、軸部材に対応した形状を有する軸素材、例えば軸部とフランジ部とを一体に有する軸素材を成形することもできる。
また、上記ねじ穴は、他の部材を軸部材に固定するためのものであるから、ねじ穴が、軸部材に対してどの程度傾いて形成されているかによって、軸部材と、軸部材にねじ固定される他の部材との直角精度が左右される。ねじ穴の軸部材に対する傾きを小さく抑えるための方法として、例えばねじ穴のねじ部を加工する際の基準となる下穴の加工精度を高めることが考えられる。本発明のように、下穴を鍛造加工で成形する場合には、下穴成形用のピンを軸素材に押し込んで、押込み部分を塑性変形させる方法が採られる。ところが、ピン先端の円錐状端面と、その基端側に位置する円筒状外周面との間(つなぎ部)にエッジが形成されると、ピンの押込み時、軸素材のエッジ対応箇所(例えば軸素材の、ピン先端面と外周面とのつなぎ部に形成されたエッジに倣い変形する箇所)に多大な応力集中が生じる。軸素材を形成する材料が例えばステンレス鋼など延性に乏しい材料であると、この傾向はさらに顕著となり、最悪の場合、応力集中部にクラックが発生する。この問題に鑑み、本発明では、ねじ穴の下穴を、円錐面と、この円錐面の開口側に配置され、円錐面とR面を介して滑らかにつながった円筒面とを有する形状とした。
下穴の形状は、下穴成形用ピンの面形状に倣って変形したものであるから、かかる構成は、ピンの先端部が、円錐面形状を成し、かつピンの先端部円錐面が円筒状外周面とR面を介して滑らかにつながっていることを意味する。従って、上述の如き形状を有するピンの軸素材への押込み時、軸素材の、ピン先端面および円筒外周面とのつなぎ部に対応する箇所が、ピンの滑らかなつなぎ部に倣って変形し、このつなぎ部対応箇所における応力集中が緩和される。これにより、下穴成形時における製品の歩留り率を高め、確実に下穴を成形することができる。また、ピンの先端を円錐状に形成することによって、ピンの押込み方向が安定するので、先端をふらつかせることなくピンを軸素材に正確に押込むことができ、下穴の寸法精度、特に軸部材の軸線に対する下穴の軸線の傾きが小さく抑えられる。
さらに好ましい下穴の形状として、下穴の底部に形成された円錐面の頂部を取り除いた形状を挙げることができる。被加工材をこの形状に成形するピンの形状でいえば、円錐状に尖ったピンの先端部を取り除いた(例えばR面やフラットにした)形状とすることができる。これによれば、下穴成形時、軸素材の、ピン先端面および円筒外周面とのつなぎ部に対応する箇所のみならず、ピン先端面頂部に対応する箇所における応力集中を緩和することもでき、より確実な下穴の成形が可能となる。
また、流体軸受装置の軸部材に固定される部材には、軸部材の回転時、軸受装置の固定側部材との接触あるいは振れ等の不具合を生じないよう、軸部材に対する高い直角度が要求される。そのため、本発明では、軸部材に形成されたねじ穴における、ねじ部のピッチ円中心線の同軸度を0.2mm以下とした。ここで、同軸度は、データム軸直線(理論的に正確な幾何学的基準としての軸直線。また、ここでいう軸直線は、軸部材の幾何学的に正しい直線である軸線を指す。)と同一直線上にあるべき軸線(ここではねじ部のピッチ円中心線を指す。)のデータム軸直線からの狂いの大きさをいい、その大きさは、上記軸線(ピッチ円中心線)を全て含みデータム軸直線と同軸である幾何学的に正しい円筒のうち、最も小さい円筒の直径で表される。
これによれば、例えばディスクハブとの間でディスクをクランプ固定するためのクランパが、そのクランプ面を軸部材の軸線に対して直交させた状態で、軸部材にねじ固定されるので、ディスクが、そのディスク平面をクランパやディスクハブのクランプ面に対して平行を保った状態で固定される。そのため、ディスクを、軸部材に対する直角度の値を小さく抑えた状態で固定でき、軸部材の回転時、ディスクの軸部材に対する振れを抑えることができる。
また、本発明は、軸部および軸部の一端に位置するフランジ部を鍛造加工で一体成形してなる軸素材から形成され、軸部の他端にねじ穴が形成されると共に、外周にラジアル軸受隙間と面するラジアル軸受面が形成され、軸部の他端外周面のうちねじ穴の外径側領域に円筒面が設けられた流体軸受装置用軸部材の製造方法を提供するものであって、かかる製造方法は、軸素材を鍛造成形するのと同時に、金属製の軸素材にねじ穴の下穴を鍛造成形することで、軸部の他端先端部を外径側に向けて張り出させるように、然る後、下穴にねじ部を転造成形してねじ穴を形成することを特徴とする。
かかる製造方法によれば、ねじ穴の成形に切削加工を必要としないため、切削に伴う切粉の発生を防止することができる。そのため、ねじ穴内に切粉を残すことなく、他部材の組付け時や軸受装置の組立て時に、切粉がコンタミとして他部材に付着し、ディスククラッシュや、組立後軸受装置内部に充満させた潤滑油等に混じり込むのを防止することができる。また、上述のように、切削加工に代えて、鍛造加工や転造加工を用いることで、サイクルタイムの短縮、成形加工前の素材量に対する加工後の素材量の比率向上に伴う材料コストの低減などが可能となる。
また、共通の鍛造工程で、軸素材を成形すると共に、下穴を成形することもできる。この方法によれば、下穴の成形と軸素材の成形とを共に鍛造で行うため、かかる加工を一度に行うことができ、成形工程の簡略化が図られる。
上記流体軸受装置用軸部材は、例えば流体軸受装置用軸部材と、この軸部材が内周に挿入され、軸部材との間でラジアル軸受隙間を形成するスリーブ部材とを備え、ラジアル軸受隙間に生じた流体の潤滑膜で軸部材とスリーブ部材とを非接触に保持する流体軸受装置として提供可能である。
また、上記流体軸受装置は、この流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを備えたモータとして提供することも可能である。
前記第2の課題を解決するため、本発明は、軸部とフランジ部とを備えた金属製の流体軸受装置用軸部材において、少なくとも軸部が鍛造で成形され、軸部の先端面に塑性加工面からなる凹部が形成されていることを特徴とする流体軸受装置用軸部材を提供する。
前記課題を解決する手段として、鍛造成形時のプレス圧を高める方法が考えられる。しかしながら、単にプレス圧を高めるだけでは金型や材料への負担が大きくなり、金型寿命の低下、材料の割れ等、種々の不具合を生じる可能性がある。これに対して、本発明では、軸部先端面に塑性加工面からなる凹部を形成したので、すなわち、軸部の先端部を塑性変形させることで凹部を形成したので、凹部の成形に伴い元々凹部にあった肉が外径側や先端側に押し出される。そのため、軸部の鍛造加工と凹部の塑性加工とを行うことで、先端部での変形量が不足する事態を極力避けて先端部を成形することができる。従って、軸部材の長尺化を図った場合でも、軸部の先端部における変形量を確保して、軸部全長に亘って高い成形精度を得ることができる。しかも、上述のようにプレス圧を高めることなく成形精度を高めることができるため、金型寿命の低下等を危惧する必要も無く、経済的である。
軸部先端面に形成される凹部としては、例えば軸部先端から軸部中央に向けて漸次縮径した形状をなすものが好ましい。この構成は、軸部先端部で変形が不十分な場合、その変形不足量が軸端側に近づくほど大きくなる傾向を踏まえて創出されたものである。そのため、かかる形状の凹部を形成することで、軸部先端部での変形不足を効率良く補って、かかる先端部をより高精度に成形することができる。
上記構成の軸部材は、例えばこの軸部材と、軸部の外周面とこれに対向する面との間に形成されるラジアル軸受隙間と、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を相対回転自在に支持する流体軸受装置として提供することができる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、軸部とフランジ部とを備えた金属製の流体軸受装置用軸部材の製造方法において、軸部を鍛造成形し、その鍛造成形の過程で、軸部先端面に凹部を塑性加工で成形することで軸部の先端部を塑性流動で張り出させることを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法を提供する。
上述のように、軸部の鍛造成形の過程で、凹部を塑性加工で成形する場合、例えば軸部の先端部を少なくとも最終仕上げ形状に達するまで張り出させるのが好ましい。通常、この種の軸部材は、鍛造成形品のうち特に寸法精度(形状精度)が必要な部分にのみ研削加工等の削り加工を施すことで仕上げられる。そのため、鍛造成形の段階で、軸部の先端部を少なくとも最終仕上げ形状に達するまで張り出させておくことで、先端部における削り加工を可能とし、これにより、高い寸法精度を有する軸部材を得ることができる。
軸部先端部の最終仕上げ形状としては、種々のものが考えられ、例えば軸部先端部の外周面と、軸部先端面と、両面間のチャンファとで定められたものが考えられる。
本発明によれば、切削加工に伴う切粉の発生が回避されるので、軸受構成部品へのコンタミの付着、ディスククラッシュ、および軸受装置内部へのコンタミの混入を可及的に防止して、流体軸受装置の清浄度を保つことができる。
また、本発明によれば、高い寸法精度を有し、かつ長尺化が可能な流体軸受装置用軸部材を低コストに提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、軸部材2に取付けられたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取付けられる。ブラケット6は、その内周に流体軸受装置1を装着している。また、ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持しており、ディスクDはディスクハブ3とクランパ10との間に挟持される。この情報機器用スピンドルモータは、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の磁力によりロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3および軸部材2、さらにはディスクハブ3とクランパ10との間に挟持されたディスクDが一体となって回転する。
図3は、流体軸受装置1の一例を示している。この流体軸受装置1は、一端に底部7bを有するハウジング7と、ハウジング7に固定されたスリーブ部材としての軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入される軸部材2と、シール部材9とを主な構成部品として構成される。なお、説明の便宜上、ハウジング7の底部7bの側を下側、底部7bと反対の側を上側として以下説明を行う。
ハウジング7は、図3に示すように、例えばLCPやPPS、あるいはPEEK等の樹脂材料で円筒状に形成された側部7aと、側部7aの一端側に位置し、例えば金属材料で形成された底部7bとで構成されている。底部7bは、この実施形態では側部7aとは別体として成形され、側部7aの下部内周に後付けされている。底部7bの上側端面7b1の一部環状領域には、例えば図示は省略するが、動圧発生部としての動圧溝が形成されている。なお、底部7bは、この実施形態では側部7aとは別体に形成され、側部7aの下部内周に固定されるが、側部7aと例えば樹脂材料で一体に型成形することもできる。その際、上側端面7b1に設けられる動圧溝は、側部7aおよび底部7bからなるハウジング7の射出成形と同時に型成形することができ、これにより別途底部7bに動圧溝を成形する手間を省くことができる。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7cの所定位置に固定される。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒面領域には、動圧発生部としての動圧溝が形成される。この実施形態では、例えば、図4に示すように、へリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ軸方向に離隔して2箇所形成される。上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。
軸受スリーブ8の外周面8bには、1本又は複数本の軸方向溝8b1が軸方向全長に亘って形成されている。この実施形態では、3本の軸方向溝8b1を円周方向等間隔に形成している。
軸受スリーブ8の下側端面8cの全面あるいは一部環状領域には、動圧発生部として、図示は省略するが、例えばスパイラル形状の動圧溝が形成される。
シール手段としてのシール部材9は、図3に示すように、例えば真ちゅう等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは樹脂材料でハウジング7とは別体かつ環状に形成され、ハウジング7の側部7aの上部内周に圧入、接着等の手段で固定される。この実施形態において、シール部材9の内周面9aは円筒状に形成され、シール部材9の下側端面9bは軸受スリーブ8の上側端面8dと当接している。
軸部材2は、例えば図1(a)に示すように、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部21と、軸部21の下端に設けられたフランジ部22とを一体に備える断面T字形を成す。軸部21の外周には、図3に示すように、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された二つの動圧溝8a1、8a2の形成領域に対向するラジアル軸受面23a、23bが軸方向に離隔して2箇所形成されている。一方のラジアル軸受面23aの上方には、軸先端に向けて漸次縮径するテーパ面24が隣接して形成され、さらにその上方にディスクハブ3の取付け部となる円筒面25が形成されている。二つのラジアル軸受面23a、23bの間、他方のラジアル軸受面23bとフランジ部22との間、およびテーパ面24と円筒面25との間には、それぞれ環状のヌスミ部26、27、28が形成されている。
軸部21のうち、反フランジ部22側の端面21bの軸心上には、クランパ10を軸部材2にねじ止めするためのねじ穴31が形成されている。ねじ穴31の開口側内周には、クランパ10固定用のねじ11と螺合するねじ部32が形成されている他、ねじ穴31の底部には、例えば図1(b)に示すように、ねじ部32の形成に先立って形成された下穴33が残っている。
上記軸部材2の軸部21上端に形成された円筒面25に、ディスクハブ3を例えば接着、圧入等の手段により固定する。そして、ねじ11を、軸部21に形成されたねじ穴31にクランパ10を介してねじ込むことでクランパ10をディスクハブ3に固定し、ディスクDを、ディスクハブ3の上面外径側およびクランパ10の下面外径側に形成したクランプ面3a、10aで挟持する。
上述のようにして、ディスクハブ3にディスクDを保持した流体軸受装置1が、図3に示すように構成される。このとき、軸部21のテーパ面24と、テーパ面24に対向するシール部材9の内周面9aとの間には、ハウジング7の底部7b側から上方に向けて半径方向寸法が漸次拡大する環状のシール空間Sが形成される。組立て完了後の流体軸受装置1(図3参照)においては、シール空間Sの範囲内に油面が保持される。
上述の如く構成された流体軸受装置1において、軸部材2を回転させると、軸受スリーブ8の内周面8aの動圧溝8a1、8a2形成領域(上下2箇所)と、これら動圧溝8a1、8a2形成領域にそれぞれ対向する軸部21のラジアル軸受面23a、23bとの間のラジアル軸受隙間に潤滑油の動圧が発生し、軸部材2の軸部21がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。また、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成される動圧溝領域と、この動圧溝領域に対向するフランジ部22上側(軸部側)のスラスト軸受面22aとの間の第1スラスト軸受隙間、および底部7bの上側端面7b1に形成される動圧溝領域と、この面と対向するフランジ部22下側(反軸部側)のスラスト軸受面22bとの間の第2スラスト軸受隙間に潤滑油の動圧がそれぞれ発生し、軸部材2のフランジ部22が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
以下、上記流体軸受装置1を構成する軸部材2の製造方法について説明する。
軸部材2は、主に成形工程(A)、研削工程(B)の2工程を経て製造される。このうちの(A)の成形工程に、鍛造加工(A−1)と、ねじ部転造加工(A−2)と、矯正加工(A−3)とが含まれ、(B)の研削工程に、幅研削加工(B−1)と、全面研削加工(B−2)と、仕上げ研削加工(B−3)とが含まれる。
(A)成形工程
(A−1)鍛造加工
まず、成形すべき軸部材2の素材となるステンレス鋼等の金属材を、金型を用いて例えば冷間で圧縮成形(塑性変形)することにより、例えば図5(a)に示すように、軸部対応領域(以下、単に軸部という。)13およびフランジ部対応領域(以下、単にフランジ部という。)14を一体に有する軸素材12を成形する(鍛造加工)。また、軸素材12を上記鍛造加工により成形するのと同時に、軸部13の端部にねじ穴31(図1(a)を参照)を形成するための下穴33を鍛造(例えば後方押出し)により成形する。
この際、鍛造により軸素材12と同時に成形された下穴33の内周には、図5(a)に示すように径が一定な円筒面34が形成され、その底部には、円筒面34と連続してつながる円錐面35が形成される。円錐面35と円筒面34との間のつなぎ部34aには、図5(b)に示すように、円錐面35と円筒面34とを滑らかにつなぐR面が形成され、また、円錐面35の頂部35aには、同じくR面が形成される。これらは、見方を変えれば、下穴33を鍛造する際に、金属材に押込まれたピンの先端形状に倣って塑性変形したものである。つまり、図示は省略するが、ピン先端には円錐面が形成されると共に、ピンの外周には円筒面が形成され、円錐面と円筒外周面とのつなぎ部や、円錐面の頂部はエッジを鈍化させた形状(ここでは共にR面形状)を成す。
このようなピン形状とすることで(この実施形態では、ピンの、円錐面と円筒面との間のつなぎ部や、円錐面の頂部をそれぞれR面とすることで)、ピンを金属材に押込んだ際、金属材(軸素材12)の、つなぎ部34a対応箇所あるいは頂部35a対応箇所における応力集中が緩和される。これにより、下穴33成形時(鍛造加工時)の歩留り率を高めて、下穴33を確実に成形することができる。また、上記箇所34a、35aに例えばR面を形成する際、R面の径は、円錐面35の、ピン押込み時におけるピンのガイド機能が保たれる程度に、大きくとることが可能である。これにより、ピン押込み時のつなぎ部34a対応箇所あるいは頂部35a対応箇所における応力緩和と、ピン先端に形成された円錐面の、被加工材への押込み時における押込み方向のガイド機能とを両立して、確実かつ正確な下穴33の成形が可能となる。
上述のように、下穴を鍛造で成形する際には、その減面率にも留意する必要がある。減面率とは、加工前の素材断面積に対する加工後の素材断面積の減少割合を示すもので、この実施形態のように、軸状の金属材(軸素材12)に下穴33を鍛造(主に後方押出し)成形する場合、減面率RAは、例えば図5(a)に示すように、軸素材12における軸部13の端部外径をd1、鍛造成形する下穴33の穴径をd2として、 RA=(πd22/4)/(πd12/4)×100[%] で表される。
鍛造成形は、基本的に加工対象となる素材の圧縮成形を主とするため、必要な加工圧力、あるいは加工可能な加工圧力は、被加工材の延性や強度、成形型の耐久性(耐摩耗性や強度など)に左右される。従って、この条件下で成形性を確保しつつ十分な寸法精度を得ようとすると、自ずと寸法上の加工限が生じる。これらの観点から、例えば被加工材(軸素材12)の材料としてステンレス鋼等の鋼材を使用する場合、減面率RAは、20%〜75%の範囲内に収めるのが好ましい。このうち上限としては、70%がより好ましく、下限値としては、25%がより好ましい。また、成形する下穴33の軸方向長さにも上述の理由から適切な範囲が存在し、例えば下穴33の軸方向長さ(深さ)Eが、最大で2.0×d2〜3.0×d2の範囲内に収まるように、下穴33の寸法(アスペクト比)を定めるのが好ましい。
また、軸素材12の鍛造加工時、軸素材12の形状やその成形態様によっては、軸素材12の先端部にまで圧縮力が十分に伝わらず、先端部における変形が不足する可能性がある。これに対して、この実施形態では、軸素材12の鍛造成形と同時に、軸部13の先端部にねじ穴31の下穴33を鍛造で成形したので、元々下穴33に存在した肉が下穴33の周囲に押し出されて先端部が外径側や軸端側に張り出す。そのため、鍛造時、軸素材12の先端部における変形が不足する事態を極力避けて先端部を成形することができる。
なお、上記成形工程における冷間鍛造の方式としては、上記押出し加工(前方押出しや後方押出し)の他、据込み、ヘッディング等の何れか、もしくはこれらの組合わせを採用することもできる。図示例では、鍛造加工後の軸部13の外周面13aを、テーパ面15およびテーパ面15と上方に向けて連続し他所より小径の円筒面16とを介在させた異径形状としているが、テーパ面15を省略し全長に亘って均一径に成形することもできる。
(A−2)ねじ部転造加工
先の工程において鍛造成形された軸素材12の下穴33に、例えば図示は省略するが、転造タップ等の転造工具を、軸素材12との間で相対回転させながら、下穴33に向けて押し込む。これにより、転造タップの外周形状が下穴33内周の円筒面34に転圧され、ねじ部32の谷32aが成形されると共に、谷32aの、転圧により押し出された部分の肉がその隣接領域に盛り上がり、ねじ部32の山32bが成形される(図1(a)あるいは(b)を参照)。
このように、ねじ穴31を形成するための下穴33を鍛造で成形し、鍛造成形した下穴33の内周に、転造加工によりねじ部32を成形するようにしたので、つまり、ねじ穴31を塑性加工で形成するようにしたので、切削加工等の機械加工により生じる切削片(切粉等)を大幅に抑えられる。そのため、切削片が、組立時において他の軸受構成部品(モータ構成部品も含む)にコンタミとして付着し、使用時において例えば流体軸受装置1の内部を満たす潤滑油に混入したり、あるいはディスクDに転着することでディスククラッシュが発生するのを防止することができる。また、軸素材12とねじ穴31の下穴33を共通の鍛造工程で成形することで、かかる成形工程が簡略化され加工コストが低減されると共に、成形加工前後で切削片等の無駄が省けるため、材料を効率的に使用することができ、材料コストの大幅な低減化が図られる。あるいは、鍛造加工や転造加工を採用することでサイクルタイムの短縮が図られるため、生産性の向上にもつながる。
(A−3)矯正加工
鍛造加工によって成形された軸素材12の寸法精度、特に完成品としての軸部材2の軸部外周面に対応する面(以下、単に軸部外周面という)13aの円筒度を高めるため、鍛造加工後の軸素材12の軸部外周面13aに、円筒度矯正のための塑性加工を施す。これにより、軸素材12の軸部外周面13aのうち、軸部13の最外径面17が矯正され、矯正加工を施した面17の円筒度が所望の範囲内(例えば10μm以下)に改善される。これと同時に、軸部13上端の円筒面16にも矯正加工が施され、円筒面16の円筒度が同様に改善される。なお、円筒度の矯正加工には、転造加工をはじめ、絞りやしごき、あるいは割り型のプレス(挟み込み)によるサイジング加工等など、種々の加工方法を採用することができる。
(B)研削工程
(B−1)幅研削加工
矯正加工を経た軸素材12の両端面となる、軸部端面13bおよびフランジ部14の反軸部側端面14b(図5(a)参照)を、軸部外周面13aのうち前記矯正加工を施した最外径面17を基準として研削加工する(第一の研削工程)。この研削工程に用いられる研削装置40は、例えば図6(a)、(b)に示すように、ワークとしての軸素材12を複数保持するキャリア41と、キャリア41によって保持された軸素材12の軸部端面13b、およびフランジ部14の反軸部側端面14bを研削する一対の砥石42、42とを備えている。
図示のように、キャリア41の外周縁の円周方向一部領域には、複数の切欠き43が円周方向等ピッチに設けられる。軸素材12は、その矯正加工面(最外径面)17を切欠き43の内面43aにアンギュラコンタクトさせた状態で切欠き43に収容される。軸素材12の矯正加工面17はキャリア41の外周面よりも僅かに突出しており、キャリアの外径側には、軸素材12の突出部分を外径側から拘束する形でベルト44が張設されている。切欠き43に収容した軸素材12のキャリア41の軸方向両端側には、例えば図7に示すように、一対の砥石42、42がその端面(研削面)同士を対向させて所定の間隔で同軸配置されている。
キャリア41の回転に伴い、軸素材12が定位置から切欠き43に順次投入される。投入された軸素材12は、切欠き43からの脱落をベルト44で拘束された状態で、回転する砥石42、42の端面上をその外径端から内径端にかけて横断する。これに伴い、軸素材12の両端面、換言すれば軸部端面13bとフランジ部14の反軸部側端面14bとが砥石42、42の端面で研削される(図7参照)。この際、軸素材12の矯正加工面17がキャリア41に支持され、かつこの矯正加工面17が高い円筒度を有するので、予め砥石42の回転軸心と砥石42の研削面との直角度、および砥石42の回転軸心とキャリア41の回転軸心との平行度等を高精度に管理しておけば、この矯正加工面17を基準として、軸素材12の前記両端面13b、14bを高精度に仕上げることができ、矯正加工面17に対する直角度の値を小さく抑えることができる。また、軸素材12の軸方向幅(フランジ部14を含めた全長)が所定寸法に仕上げられる。
(B−2)全面研削加工
次いで、研削した軸素材12の両端面13b、14b(軸部材2の両端面21b、22b)を基準として軸素材12の外周面12aおよびフランジ部14の軸部側端面14aの研削加工を行う(第二の研削工程)。この研削工程で用いられる研削装置50は、例えば図8に示すように、バッキングプレート54およびプレッシャプレート55を軸素材12の両端面に押し当てながら砥石53でプランジ研削するものである。軸素材12の矯正加工面17はシュー52によって回転自在に支持される。
砥石53は、完成品としての軸部材2の外周面形状に対応した研削面56を備える総形砥石である。研削面56は、軸部13の軸方向全長に亘る外周面13aおよびフランジ部14の外周面14cを研削する円筒研削部56aと、フランジ部14の軸部側端面14aを研削する平面研削部56bとを備えている。図示例の砥石53では、円筒研削部56aとして、軸部材2のラジアル軸受面23a、23bに対応する領域を研削する部分56a1・56a2、テーパ面24に対応する領域を研削する部分56a3、円筒面25に対応する領域を研削する部分56a4、各ヌスミ部26〜28を研削加工する部分56a5〜56a7、フランジ部22の外周面22cに対応する領域を研削する部分56a8を備えている。
上記構成の研削装置50における研削加工は以下の手順で行われる。まず、軸素材12および砥石53を回転させた状態で砥石53を斜め方向(図中の矢印1方向)に送り、軸素材12のフランジ部軸部側端面14aに砥石53の平面研削部56bを押し当て、主として軸部側端面14aを研削する。これにより、軸部材2のフランジ部22における軸部側端面22aが形成される。次いで、砥石53を軸素材12の回転軸心と直交する方向(図中の矢印2方向)に送り、軸素材12の軸部13の外周面13aおよびフランジ部14の外周面14cに砥石53の円筒研削部56aを押し当てて、各面13a、14cを研削する。これにより、軸部材2の軸部21外周面のうち、ラジアル軸受面23a、23bおよび円筒面25に対応する領域がそれぞれ研削されると共に、テーパ面24、フランジ部22の外周面22c、さらに各ヌスミ部26〜28が形成される。なお、上記研削の際には、例えば図8に示すように、計測ゲージ57で残りの研削代を計測しつつ研削を行うのが好ましい。
この第二の研削工程においては、事前に幅研削加工で軸素材12の両端面13b、14b(軸部材2の両端面21b、22b)の直角度の精度出しが行われているから、各被研削面を高精度に研削することができる。
(B−3)仕上げ研削加工
(B−2)全面研削加工で研削を施した面のうち、軸部材2のラジアル軸受面23a
・23b、および円筒面25に対応する領域に最終的な仕上げ研削を施す。この研削加工に用いる研削装置は、図9に示す円筒研削盤で、バッキングプレート64とプレッシャプレート65とで挾持した軸素材12を回転させながら、砥石63でプランジ研削するものである。軸素材12は、シュー62で回転自在に支持される。砥石63の研削面63aは、ラジアル軸受面23a、23bに対応する領域(同図中17a、17bに示す領域)を研削する第一の円筒研削部63a1と、円筒面25に対応する領域(同図中16に示す領域)を研削する第二の円筒研削部63a2とからなる。
上記構成の研削装置60において、回転する砥石63に半径方向の送りを与えることにより、ラジアル軸受面23a、23bおよび円筒面25に対応する領域がそれぞれ研削され、これらの領域が最終的な表面精度に仕上げられる。
上記(A)成形工程および(B)研削工程を経た後、必要に応じて熱処理や洗浄処理を施すことで、図1(a)に示す軸部材2が完成する。
上述の製造方法によって製造した軸部材2であれば、下穴33を精度良く成形することで、ねじ穴31の成形精度、例えば軸部材2の軸線に対するねじ部のピッチ円中心線の同軸度を0.2mm以下に抑えることができる。また、上記製造方法によれば、軸部21外周に形成されたラジアル軸受面23a、23bを基準とした、フランジ部22の両端面(スラスト軸受面)22a、22bの直角度および軸部端面21bの直角度の値をそれぞれ小さく抑えた軸部材2を成形することもできる。このうち、軸部の端面21bは、軸部21外周面やフランジ部22の上側端面(スラスト軸受面22a側)を研削加工する際の基準面となるだけでなく、ディスクハブ3との間でディスクDを挟持して固定するクランパ10を軸部材2に固定(ねじ固定)する際の接触面にもなる。
そのため、上述のように、ねじ穴31の成形精度(特にねじ部32の同軸度)を高めると共に、軸部端面21bの直角度の値を小さく抑えることで、クランパ10の軸部材2への組付け精度を高めることができる。この結果、ディスクDを、軸部材2に対する直角度の値を小さく抑えた状態で固定することができ、軸部材2の回転時、ディスクDの軸部材2に対する振れを抑え、良好なディスクの回転を得ることができる。
また、上記製造方法によれば、軸部21外周に形成されたラジアル軸受面23a、23bの円筒度を高精度に仕上げることもできる。これにより、例えば流体軸受装置1における軸受スリーブ8内周との間に形成されるラジアル軸受隙間の、円周方向あるいは軸方向へのばらつきが所定の範囲内に抑えられ、上記ラジアル軸受隙間のばらつきによる軸受性能への悪影響を回避することができる。さらに、軸部21の円筒面25に対応する領域に仕上げ研削加工(図9参照)を行うことで、円筒面25の円筒度も高精度に仕上げられ、ディスクハブ3等の部材を軸部材2に取付ける際の組付け精度が高められる。これにより、クランパ10およびクランパ10とディスクハブ3との間でクランプ固定されるディスクDの軸部材2に対する組付け精度がより一層高められ、さらなるモータ性能の向上が図られる。
以上の実施形態(第1実施形態)では、下穴33の、円錐面35と円筒面34との間のつなぎ部34aにR面を形成し、円錐面35の頂部35aにR面が形成したものを例示したが、特にこの形状に限られるものではない。例えば、つなぎ部34aであれば、円錐面35と円筒面34とを滑らかにつなぐ面が形成されていればよい。また、頂部35aであれば、頂部35aを取り除いた面が形成されていればよく、R面の他に、例えば頂部35aを取り除いてフラットな面(截頭円錐面)が形成されていても構わない。
以下、本発明の第2実施形態を図10〜図16に基づいて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置101を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、ハブ103を固定した軸部材102を回転自在に非接触支持する流体軸受装置(動圧軸受装置)101と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル104およびロータマグネット105と、ブラケット106とを備えている。ステータコイル104はブラケット106の外径側に取付けられ、ロータマグネット105はハブ103の外周に取付けられている。流体軸受装置101の軸受部材107は、ブラケット106の内周に固定される。また、ハブ103には、ディスクDが一又は複数枚保持される。同図では2枚のディスクDがハブ103に保持されている。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル104に通電すると、ステータコイル104とロータマグネット105との間に発生する励磁力でロータマグネット105が回転し、これに伴って、軸部材102および軸部材102に固定のハブ103に保持されたディスクDが軸部材102と一体に回転する。
図12は、流体軸受装置101を示している。この流体軸受装置101は、一端を開口した軸受部材107と、軸受部材107の内周に挿入され、軸受部材107に対して相対回転する軸部材102とを主に備える。なお、説明の便宜上、軸受部材107を構成するハウジング部109の底部109bの側を下側、底部109bと反対の側を上側として以下説明する。
軸受部材107は、少なくとも軸方向一端を開口した形状をなすもので、この実施形態では略円筒状のスリーブ部108と、スリーブ部108の外径側に位置するハウジング部109とを別体に備えている。
スリーブ部108は、例えば金属製の非孔質体あるいは焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、スリーブ部108は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング部109の内周面(大径面109c)に、例えば接着(ルーズ接着、圧入接着を含む)、圧入、溶着(例えば超音波溶着)等、適宜の手段で固定される。もちろん、スリーブ部108を樹脂やセラミック等、金属以外の材料で形成することも可能である。
スリーブ部108の内周面108aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図4と同様に、複数の動圧溝をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して2箇所形成される。
スリーブ部108の下端面108bの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図示は省略するが、複数の動圧溝をスパイラル状に配列した領域が形成される。この動圧溝の形成領域はスラスト軸受面として、フランジ部122の上端面122aと対向し、軸部材102の回転時には、上端面122aとの間に後述する第1スラスト軸受部T11のスラスト軸受隙間を形成する(図12を参照)。
ハウジング部109は金属あるいは樹脂で形成され、筒部109aと、筒部109aの下端に一体又は別体に形成された底部109bとを有する。この実施形態では、底部109bは筒部109aと一体に形成されている。
底部109bの上端面109b1の全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図示は省略するが、複数の動圧溝をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝の形成領域はスラスト軸受面として、フランジ部122の下端面122bと対向し、軸部材102の回転時には、下端面122bとの間に後述する第2スラスト軸受部T12のスラスト軸受隙間を形成する(図12を参照)。
ハウジング部109の内周面は、スリーブ部108が固定される大径面109cと、大径面109cの下端に設けられ、大径面109cよりも小径な小径面109dとで主に構成される。この実施形態では、大径面109cと小径面109dとの間の段部に上端面109eが形成され、スリーブ部108の下端面108bを上端面109eに当接させた状態では、スリーブ部108の下端面108bから底部109bの上端面109b1までの軸方向幅が小径面109dの軸方向寸法に一致するようになっている。そのため、小径面109dの軸方向寸法を高精度に管理することで、後述するスラスト軸受隙間(の総和)を精度良く得ることができる。
シール手段としてのシール部110は、例えば金属材料や樹脂材料でハウジング部109とは別体に形成され、ハウジング部109の筒部109aの上端部内周に圧入、接着、溶着、溶接等の手段で固定される。この実施形態では、シール部110の固定は、シール部110の下端面110bをスリーブ部108の上端面108dに当接させた状態で行われる(例えば図12を参照)。
シール部110の内周面110aにはテーパ面が形成されており、このテーパ面と、テーパ面に対向する軸部121の外周面との間には、上方に向けて半径方向寸法が漸次拡大する環状のシール空間S2が形成される。シール部110で密封されたハウジング部109の内部空間には、潤滑油が注油され、ハウジング部109内が潤滑油で満たされる(図12中の散点領域)。この状態では、潤滑油の油面はシール空間S2の範囲内に維持される。
軸部材102は、図10に示すように、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部121と軸部121の下端に設けられたフランジ部122とを一体に備える断面T字形をなす。軸部121の外周には、スリーブ部108の内周面108aに形成された上下2箇所の動圧溝形成領域にそれぞれ対向するラジアル軸受面123a、123bが軸方向に離隔して2箇所形成されている。
先端部124の先端面124aには凹部125が形成されている。この実施形態では、凹部125は塑性加工面125aからなり、先端面124a側から軸部121中央側に向けて漸次縮径する形状をなす。フランジ部122の軸方向反対側に位置する軸部121の先端部124には円筒状の外周面124bが設けられ、この外周面124bにハブ103が圧入、接着等の手段で固定される。なお、二つのラジアル軸受面123a、123bの間、下側のラジアル軸受面123bとフランジ部122との間、および上側のラジアル軸受面123aと外周面124bとの間には、それぞれ環状のヌスミ部126、127、128が形成されている。
上記構成の流体軸受装置101において、軸部材102の回転時、スリーブ部108の内周面108aに形成された動圧溝形成領域は、対向する軸部121のラジアル軸受面123a、123bとの間にラジアル軸受隙間を形成する。そして、軸部材102の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝の軸方向中心側(図3を参照)に押し込まれ、その圧力が上昇する。このように、動圧溝によって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部121をラジアル方向に非接触支持する第一ラジアル軸受部R11と第二ラジアル軸受部R12とがそれぞれ構成される。
これと同時に、スリーブ部108の下端面108b(動圧溝形成領域)とこれに対向するフランジ部122の上端面122aとの間のスラスト軸受隙間、およびハウジング部109の底部上端面109b1に形成される動圧溝形成領域とこれに対向するフランジ部122の下端面122bとの間のスラスト軸受隙間に形成される潤滑油膜の圧力が、動圧溝の動圧作用により高められる。そして、これら油膜の圧力によって、フランジ部122(軸部材102)をスラスト方向に非接触支持する第一スラスト軸受部T11と第二スラスト軸受部T12とがそれぞれ構成される。
以下、上記流体軸受装置101を構成する軸部材102の製造方法について説明する。
軸部材102は、主に成形工程(C)、研削工程(D)の2工程を経て製造される。このうちの(C)の成形工程には、軸素材鍛造加工(C−1)と軸部矯正加工(C−2)とが含まれる。また、(D)の研削工程には、幅研削加工(D−1)と、全面研削加工(D−2)と、仕上げ研削加工(D−3)とが含まれる。この実施形態では、(C−1)軸素材鍛造加工を中心に説明する。
(C)成形工程
(C−1)軸素材鍛造加工
まず、成形すべき軸部材102の素材となるステンレス鋼等の棒状の金属材を、金型を用いて例えば冷間で圧縮成形することにより(鍛造加工)、例えば図13に示すように、軸部対応領域(以下、単に軸部という。)113およびフランジ部対応領域(以下、単にフランジ部という。)114を一体に有する軸素材112が形成される{軸素材鍛造加工(C−1)}。
このように、軸素材112を鍛造で成形すれば、加工に伴い切粉等が発生することがないので、素材の無駄を省くことができると共に、加工後の洗浄工程を簡略化することができる。また、プレス作業であるため、軸素材112一個当りのサイクルタイムを短縮することができ、生産性が向上する。
上記鍛造加工の方式としては、押出し加工、据込み加工をはじめとする種々の加工法が採用可能であり、その成形品形状に適した加工方式が選択される。例えば、図13に示す形状の軸素材112であれば、軸部113の成形精度を高めるため、例えば図14に示すように、予め別の鍛造成形で線材から粗成形した軸素材112を、金型116、117の型締めにより軸方向に圧縮して、軸部113を径方向に張り出させる方式が採用可能である。
この場合、フランジ部114や軸部113のフランジ部114側端部など、金型116、117の分割面に近い箇所では、十分な圧縮力を加えることができるが、フランジ部114とは反対側の軸部113の先端部115など、分割面から離れた箇所では圧縮力が十分に伝わり難い。そのため、特に先端部115では圧縮に伴う径方向への変形が不足し、例えば図15に示すように、先端面115aに近づくにつれて軸部113の先端部115が先細りの形状となり易い。
これに対し、金型117の、先端面115aに対応する成形面117aの中心部に、例えば図16に示す形状の突出部118を設ければ、軸部先端部115の先端面115aに、突出部118に対応した形状の凹部125が成形される。この凹部125は、先端面115aに突出部118を押し込んで、対応する領域を塑性変形させることで成形されたものであるから、かかる塑性変形により先端部115が張り出し、これにより、先端部115における塑性変形の不足分を補うことができる。この実施形態では、外径方向への塑性流動が軸方向で均等に生じ、外周面115bが金型117の内周面117aに対応した形状にまで張り出すことで、先端部115の先細りを避けて、径一定の先端部115を成形することができる。
なお、この図示例では、先端面115aに凹部125を成形することで先端部115を張り出させ、外周面115bの径が一定となる形状にまで先端部115を変形させた場合を説明したが、必ずしもここまで張り出させる必要はない。例えば先端部115を後述する研削工程で最終仕上げ形状に達するまで張り出させるよう、凹部125(突出部118)の形状やそのサイズを定めればよい。この実施形態でいえば、完成品としての軸部材102の先端部124の最終仕上げ形状は、先端部124の外周面124bと、先端面124aと、両面124a、124b間に設けられるチャンファ124cとで定められる。従って、この場合には、各面124a、124b、124cで定められる形状よりも若干大きく張り出させることで、後の研削工程が可能となり、高い寸法精度を有する軸部材102を得ることができる。
また、この実施形態では、凹部125を、先端面124a側から軸部121中央側に向けて漸次縮径する形状としたので、凹部125の塑性加工時、先端面115aの側に近づくほど外径方向への変形量が大きくなる。従って、凹部125をかかる形状に成形することにより、先端部115の先細りを防いで軸部113をより高精度に成形することができる。
鍛造成形工程としては、上述のように2以上の鍛造工程に分けて行う他、例えば径一定の線材を一度の鍛造工程で行うことも可能である。また、この実施形態では、軸素材112の成形と、凹部125の成形を共通の成形金型を用いて行う場合を説明したが、両者の成形を必ずしも同時に行う必要はない。例えば軸素材112を鍛造成形した後に、凹部125を鍛造で成形しても上記と同様の作用を得ることができる。
(C−2)矯正加工
鍛造加工によって成形された軸素材112の寸法精度、特に完成品としての軸部材102の軸部外周面に対応する面(以下、単に軸部外周面という)113aの円筒度を高めるため、鍛造加工後の軸素材112の軸部外周面113aに、円筒度矯正のための塑性加工を施す。これにより、軸素材112の軸部外周面113aが矯正され、矯正加工を施した面113aの円筒度が所望の範囲内(例えば10μm以下)に改善される。先端部115の外周面115bが軸部外周面113aと同径に成形されている場合には、外周面115bにも矯正加工が施され、外周面115bの円筒度が同様に改善される。
(D)研削工程
(D−1)幅研削加工
矯正加工を経た軸素材112の両端面となる、軸部先端面115aおよびフランジ部114の反軸部側端面114b(図13を参照)を、軸部外周面113aのうち前記矯正加工を施した最外径面17を基準として研削加工する(第一の研削工程)。この研削工程に用いられる研削装置としては、例えば図6、図7に示す研削装置40と同様のものが使用される。これ以外の構成や配置態様、加工態様については、第1実施形態に準じるので、説明を省略する。
かかる研削工程により、軸部先端面115aとフランジ部114の反軸部側端面114bとが研削される。この際、軸素材112の矯正加工面113aがキャリア41に支持され、かつこの矯正加工面113aが高い円筒度を有するので、予め砥石42の回転軸心と砥石42の研削面との直角度、および砥石42の回転軸心とキャリア41の回転軸心との平行度等を高精度に管理しておけば、この矯正加工面113aを基準として、軸素材112の前記両端面115a、114bを高精度に仕上げることができ、矯正加工面113aに対する直角度の値を小さく抑えることができる。また、軸素材112の軸方向幅(フランジ部114を含めた全長)が所定寸法に仕上げられる。
(D−2)全面研削加工
次いで、研削した軸素材112の両端面115a、114bを基準として軸素材112の外周面113aおよびフランジ部114の軸部側端面114aの研削加工を行う(第二の研削工程)。この研削工程で用いられる研削装置としては、例えば図8に示す研削装置50と同様のものが使用される。
また、この研削加工で使用される砥石は、完成品としての軸部材102の外周面形状に対応した研削面を備える総形砥石であり、図示は省略するが、ラジアル軸受面123a、123b、先端部外周面124b、チャンファ124c、各ヌスミ部126〜128、フランジ部122の外周面122c、それにフランジ部122の上端面122aに対応する領域を研削する研削面を備えたものである。これ以外の構成や配置態様、加工態様については、第1実施形態に準じるので、説明を省略する。
かかる研削加工により、軸部材102の軸部121外周面のうち、ラジアル軸受面123a、123bと先端部外周面124b、およびチャンファ124cに対応する領域がそれぞれ研削されると共に、フランジ部122の外周面122cと各ヌスミ部126〜128、さらにフランジ部122の上端面122aが形成される。この研削工程においては、事前に幅研削加工で軸素材112の両端面115a、114b(軸部材102の両端面124a、122b)の直角度の精度出しが行われているから、各被研削面を高精度に研削することができる。
(D−3)仕上げ研削加工
全面研削加工で研削を施した面のうち、軸部材102のラジアル軸受面123a、123b、および先端部外周面124bに対応する領域に最終的な仕上げ研削を施す。この研削加工に用いる研削装置としては、例えば図9に示す研削装置60と同様のものが使用される。これ以外の構成や配置態様、加工態様については、第1実施形態に準じるので、説明を省略する。
かかる研削加工により、ラジアル軸受面123a、123bおよび先端部外周面124bに対応する領域がそれぞれ研削され、これらの領域が最終的な表面精度に仕上げられる。
上記(C)成形工程および(D)研削工程を経た後、必要に応じて熱処理や洗浄処理を施すことで、図10に示す軸部材102が完成する。
上述の製造方法によって製造した軸部材102であれば、軸部121、特に軸部121の先端部124を少なくとも最終仕上げ形状に達するまで張り出させて成形することができ、その後の研削加工により当該外周面115bを高精度に仕上げることができる。そのため、ハブ103との固定面積を確保して、ハブ103との間で高い固定強度および固定精度を得ることができる。また、かかる構成によれば、軸部先端面124aに形成する凹部125のサイズ等を調整することで、軸部材102の長尺化にも容易に対応することができる。
また、以上の実施形態(第1実施形態)では、軸部材2のラジアル軸受面23a、23bおよびスラスト軸受面22a、22bを、全て動圧溝のない平滑面とした場合を例示したが、これらの軸受面に動圧溝を形成することもできる。この場合、ラジアル動圧溝は、図8に示す全面研削加工の前の段階で、転造あるいは鍛造により形成することができ、スラスト動圧溝は、プレスあるいは鍛造により形成することができる。第2実施形態に係る軸部材102に関しても同様に動圧溝が形成可能である。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2(R11、R12)およびスラスト軸受部T1、T2(T11、T12)を構成する動圧軸受として、例えばへリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝からなる動圧発生部を用いた軸受を例示しているが、動圧発生部の構成はこれに限定されるものではない。ラジアル軸受部R1、R2として、例えば多円弧軸受、ステップ軸受、テーパ軸受、テーパ・フラット軸受等を使用することもでき、スラスト軸受部T1、T2として、ステップ・ポケット軸受、テーパ・ポケット軸受、テーパ・フラット軸受等を使用することもできる。
また、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2を動圧軸受以外の軸受で構成することもでき、例えばスラスト軸受部としてピボット軸受が、ラジアル軸受部として真円軸受が使用可能である。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1の内部に充満し、軸受スリーブ8と軸部材2との間のラジアル軸受隙間や、軸受スリーブ8およびハウジング7と軸部材2との間のスラスト軸受隙間に潤滑膜を形成する流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に潤滑膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤を使用することもできる。第2実施形態に係る流体軸受装置101に関しても同様の流体が使用可能である。
(a)は本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置用の軸部材の側面図、(b)は軸部材の端部に形成されたねじ穴の底部周辺における拡大断面図である。 軸部材を備えた流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置の縦断面図である。 軸受スリーブの縦断面図である。 (a)は鍛造加工により成形された軸素材の側面図、(b)は軸素材の端部に形成されたねじ穴の下穴の底部周辺における拡大断面図である。 (a)軸素材の幅研削工程に係る研削装置の一例を示す概略図、(b)は軸素材を保持するキャリアの切欠き周辺の拡大図である。 上記幅研削工程に係る研削装置の一例を示す一部断面図である。 軸素材の全面研削工程に係る研削装置の一例を示す概略図である。 軸素材の研削仕上げ工程に係る研削装置の一例を示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置用の軸部材の側面図である。 流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置を示す断面図である。 鍛造加工により成形された軸素材の側面図である。 鍛造加工に使用する金型の一例を示す概略図である。 軸素材の従来の鍛造成形態様を概念的に示す拡大図である。 本発明に係る軸素材の鍛造成形態様を概念的に示す拡大図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 クランパ
11 ねじ
12 軸素材
12a 外周面
13 軸部
13a 外周面
13b 端面
14 フランジ部
15 テーパ面
16 円筒面
17 矯正加工面(最外径面)
21 軸部
21b 端面
22 フランジ部
24 テーパ面
25 円筒面
26、27、28 ヌスミ部
31 ねじ穴
32 ねじ部
33 下穴
34 円筒面
34a つなぎ部
35 円錐面
35a 頂部
40 研削装置
41 キャリア
42 砥石
43 切欠き
50、60 研削装置
53、63 砥石
56 研削面
56a 円筒研削部
56b 平面研削部
63 砥石
63a 研削面
101 流体軸受装置
102 軸部材
107 軸受部材
108 スリーブ部
109 ハウジング部
110 シール部
112 軸素材
113 軸部
114 フランジ部
115 先端部
121 軸部
122 フランジ部
123a、123b ラジアル軸受面
124 先端部
125 凹部
125a 塑性加工面
D ディスク
S、S2 シール空間
R1、R2、R11、R12 ラジアル軸受部
T1、T2、T11、T12 スラスト軸受部

Claims (1)

  1. 軸部および該軸部の一端に位置するフランジ部を鍛造加工で一体成形してなる軸素材から形成され、前記軸部の他端にねじ穴が形成されると共に、外周にラジアル軸受隙間と面するラジアル軸受面が形成され、前記軸部の他端外周面のうち前記ねじ穴の外径側領域に円筒面が設けられた流体軸受装置用軸部材の製造方法であって、
    前記軸素材を鍛造成形するのと同時に、該軸素材に前記ねじ穴の下穴を鍛造成形することで、前記軸部の他端先端部を外径側に向けて張り出させるようにし、然る後、該下穴にねじ部を転造成形して前記ねじ穴を形成することを特徴とする流体軸受装置用軸部材の製造方法。
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