次に、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部100Y,M,C,Kを備えている。また、光書込ユニット110、給紙カセット120,130、レジストローラ対140、転写装置150、ベルト定着方式の定着装置170、スタック部180等も備えている。更には、トナー搬送装置や、図示しない廃トナーボトル、電源ユニットなども備えている。なお、以下、各符号の添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック用の部材であることを示す。
光書込ユニット110は、Y,M,C,Kの各色に対応する4つのレーザダイオードからなる光源、正六面体のポリゴンミラー、これを回転駆動するためのポリゴンモータ、fθレンズ、レンズ、反射ミラー等を有している。レーザダイオードから射出されたレーザー光Lは、ポリゴンミラーの何れか1つの面で反射してポリゴンミラーの回転に伴って偏向せしめられながら、感光体表面に到達する。そして、感光体表面をその軸線方向に光走査する。
トナー像形成部100Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2Y,M,C,Kを有している。これら感光体2Y,M,C,Kは、アルミ等の素管に有機感光層が被覆された直径30[mm]程度のドラムであり、図示しない駆動手段によって125[mm/sec]程度の線速で図中時計回りに回転駆動せしめられる。そして、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて変調したレーザー光Lを発する上述の光書込ユニット110によって暗中にて光走査されて、Y,M,C,K用の静電潜像を担持する。
図2は、4つのトナー像形成部100Y,M,C,Kのうち、Y用のトナー像形成部100Yを転写装置150の一部とともに示す拡大構成図である。なお、他のトナー像形成部(100M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる点の他がY用のものと同様の構成になっているので、これらの説明については省略する。同図において、トナー像形成部100Yは、プロセスユニット1Yと現像器50Yとを備えている。プロセスユニット1Yは、感光体2Yの他、これの表面に対し、潤滑剤を塗布するブラシローラ3Y、クリーニング処理を施す揺動可能なカウンタブレード4Y、除電処理を施す除電ランプ5Yなどを有している。また、感光体2Yを一様帯電せしめる帯電ローラ10Yや、これの表面をクリーニングするローラクリーニング装置20Yなども有している。
プロセスユニット1Yにおいて、図示しない電源によって交流の帯電バイアスが印加される帯電ローラ10Yは、軸部材11Y、突き当てコロ12Y、放電部材13Yなどから構成されている。軸部材11Yは、帯電ローラ10Yの芯金となっており、これの両端部がそれぞれ図示しない軸受けによって回転自在に支持されている。軸部材11Yには、図示しない電源によってDCバイアスにACバイアスを重畳した帯電バイアスが印加される。軸部材11Yの軸線方向の中央部表面には、導電性材料の被覆による放電部材13Yが軸周方向の全周に渡って被覆されている。この帯電ローラ部材13Yを間に挟み込むように、軸部材11Yの両端付近にはそれぞれ絶縁性材料からなるリング状の突き当てコロ12Yが、圧入と接着とによって固定されている。これら突き当てコロ12Yの外径は、放電部材13Yの外径よりも数十〜100[μm]大きくなっている。帯電ローラ10Yは、かかる突き当てコロ12Yを感光体2Yに当接させながら、放電部材13Yを感光体2Yに対して所定の帯電ギャップを介して対向させている。そして、図示しない駆動手段により、その表面を感光体2Yの表面移動とは逆方向に移動させるように回転せしめられながら、放電部材13Yからの放電によって感光体2Yの表面を一様帯電せしめる。このように一様帯電せしめられた感光体2Yの表面に、上述の光書込ユニット(図1の符号110)で変調及び偏向されたレーザー光Lが走査されると、その表面に静電潜像が形成される。
現像器50Yは、ケーシング51Yに設けられた開口から周面の一部を露出させる現像ロール52Yを有している。また、第1搬送スクリュウ53Y、第2搬送スクリュウ54Y、現像ドクタ55Y、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)56Y等も有している。
ケーシング51Yには、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとを含むY現像剤が内包されている。このY現像剤は第1搬送スクリュウ53Y、第2搬送スクリュウ54Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、現像剤担持体たる現像ロール52Yの表面に担持される。そして、現像ドクタ55Yによってその層厚が規制されてから感光体2Yと対向する現像領域に搬送され、ここで感光体2Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体2Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール52Yの表面(現像スリーブ)の回転に伴ってケーシング51Y内に戻される。一方、現像に寄与したYトナー像は、紙搬送ベルト151によって搬送される転写紙Pに転写される。なお、現像ロール52Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる現像スリーブと、これに連れ回らないように内包される図示しないマグネットローラとを有している。そして、マグネットローラの発する磁力により、現像スリーブ表面にY現像剤を引き付けて担持する。
透磁率センサからなるTセンサ56Yは、ケーシング51Yの底板に取り付けられ、第1搬送スクリュウ53Yによって搬送されるY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度と良好な相関を示すため、Tセンサ56YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しないトナー補給制御部に送られる。このトナー補給制御部は、RAM等の記憶手段を備えており、この中にTセンサ56Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像器に搭載されたTセンサからの出力電圧の目標値であるM,C,K用Vtrefのデータを格納している。Y用の現像器50Yについては、Tセンサ56Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述するY用の吸引ポンプ210Yを比較結果に応じた時間だけ駆動させる。そして、これにより、Yトナーを介して現像器50Y内に補給する。このようにして吸引ポンプの駆動が制御(トナー補給制御)されることで、現像に伴ってYトナー濃度を低下させたY現像剤に適量のYトナーが補給され、現像器50Y内の現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。なお、他の現像器についても、同様のトナー補給制御が実施される。また、吸引ポンプ210Yは、図示のように現像器50Yの真上に配設されているが、トナー像形成部100Yの構成要素ではなく、後述するY用のトナー搬送装置の構成要素であるので、同図では吸引ポンプ210Yを点線で示している。
プリンタ本体の下部には、2つの給紙カセット120,130が配設されている。これら給紙カセット120,130は、転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容しており、一番上の転写紙Pに給紙ローラ121,131を押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙ローラ121,131を回転させて、転写紙Pを給紙路に送り出す。この給紙路の末端には、レジストローラ対140が配設されており、送られてきた転写紙Pを、Yトナー像形成部100Yの感光体2Y上に形成されたYトナー像に同期させ得るタイミングで、後述の転写装置150に向けて送り出す。
図3は、転写装置150の要部構成を示す拡大構成図である。同図において、転写装置150は、紙搬送ベルト151と、複数の張架ローラとを有するベルト装置を有している。このベルト装置に搭載された張架ローラとは、具体的には、入口ローラ152、分離ローラ153、駆動ローラ154、テンションローラ155、下部ローラ156の5つである。転写装置150は、かかる構成のベルト装置の他、静電吸着ローラ157、4つの転写バイアスローラ158Y,M,C,K、4つの搬送支持ローラ159Y,M,C,K、ベルトクリーニング装置160、押圧ローラ161等を有している。また、入口ブラケット162、揺動ブラケット163、出口ブラケット164、カム165等も有している。
紙搬送ベルト151は、複数の張架ローラに張架されながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される駆動ローラ154により、図中反時計回りに無端移動せしめられる。
入口ローラ152、転写バイアスローラ158Y〜K、搬送支持ローラ159Y〜K、分離ローラ153、駆動ローラ154、テンションローラ155、下部ローラ156は、何れも紙搬送ベルト151の裏面に接触している。これらローラのうち、図中最も右側に配設された入口ローラ152は、その近傍に配設された静電吸着ローラ157との間に紙搬送ベルト151を挟み込むようになっている。この静電吸着ローラ157は、図示しない電源から印加される静電吸着バイアスによってベルトおもて面に電荷を付与することで、後述のレジストローラ対(140)から送り出されてくる転写紙Pを静電吸着させるようにする。
4つの転写バイアスローラ158Y,M,C,Kは、金属製の芯金にスポンジ等の弾性体が被覆されたローラであり、それぞれ、感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧されて、紙搬送ベルト151を挟み込むようになっている。この押圧により、感光体2Y,M,C,Kと紙搬送ベルト151とがベルト移動方向において所定の長さで接触するY,M,C,K用の4つの転写ニップが形成されている。また、転写バイアスローラ158Y,M,C,Kの芯金には、それぞれ転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加されている。これにより、転写バイアスローラ158Y,M,C,Kを介して紙搬送ベルト151の裏面に転写電荷が付与され、各転写ニップにおいて紙搬送ベルト151と感光体2Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、本プリンタにおいては、転写手段として転写バイアスローラ158Y,M,C,Kを設けているが、ローラに代えて、ブラシやブレード等のものを用いてもよい。また、転写チャージャなどを用いてもよい。
4つの転写バイアスローラ158Y,M,C,Kのうち、Y,M,C用の3つは、それぞれ、図示しない軸受け部材を介して揺動ブラケット163に支持されている。この揺動ブラケット163は、紙搬送ベルト151のループ内側に配設され、回動軸162aを中心に揺動可能に構成されている。4つの搬送支持ローラ159Y,M,C,Kのうち、Y,M,C用の3つも、この揺動ブラケット163に支持されている。揺動ブラケット163の図中下方には、図示しない駆動手段によって回転軸165aを中心に回転駆動されるカム165が配設されている。これがそのカム面を揺動ブラケット163に突き当てる位置で回転停止されると、揺動ブラケット163が回動軸163aを中心に図中反時計回りに揺動せしめられる。そして、Y,M,C用の転写バイアスローラ158Y,M,Cが、紙搬送ベルト151を介して感光体2Y,M,Cに当接して、Y,M,C用の転写ニップが形成される。これに対し、カム165がそのカム面を揺動ブラケット163に突き当てない位置で回転停止されると、揺動ブラケット163が回動軸163aを中心に図中時計回りに揺動せしめられる。そして、Y,M,C用の転写バイアスローラ158Y,M,Cが、紙搬送ベルト151を感光体2Y,M,Cに押し当てない位置まで移動して、Y,M,C用の転写ニップが形成されなくなる。このように、転写装置150は、揺動ブラケット163の揺動によって紙搬送ベルト151を感光体2Y,M,Cに当接させてY,M,C用の転写ニップを形成したり、紙搬送ベルト151を感光体2Y,M,Cから離間させたりする。
入口ローラ152、静電吸着ローラ157及び下部ローラ156は、それぞれ図示しない軸受け部材を介して、入口ブラケット162に支持されている。この入口ブラケット162は、紙搬送ベルト151のループ内側に配設され、下部ローラ156の軸を中心にして揺動可能に構成されている。
揺動ブラケット163は、その図中左端付近にガイド穴163bを有しており、これの内部に入口ブラケット162から延びるピン162aを遊動可能に位置させている。そして、上述のカム165の回転によって図中反時計回りに揺動すると、ガイド穴162b内のピン162aを押し上げる。すると、入口ブラケット151が、揺動ブラケット163の揺動にリンクして、下部ローラ156の軸を中心にして図中反時計回りに揺動せしめられて、入口ローラ152、静電吸着ローラ157及び下部ローラ156を押し上げる。また、揺動ブラケット163が図中時計回りに揺動せしめられると、入口ブラケット151がそれにリンクして図中時計回りに揺動して、入口ローラ152、静電吸着ローラ157及び下部ローラ156を下方に移動させる。このような揺動ブラケット163の揺動に伴う入口ローラ61、静電吸着ローラ157及び下部ローラ156の移動により、紙搬送ベルト151による紙搬送面が一直線状に維持される。
転写装置150は、転写紙Pに黒単色のトナー像を転写する場合には、揺動ブラケット163を図中時計回りに回転させて、紙搬送ベルト151をY,M,C用の感光体2Y,M,Cから離間させる。黒単色のトナー像を転写する場合には、Y,M,C用の転写ニップでのトナー像転写が行われないので、それらの転写ニップを形成しないで黒色単色のトナー像の転写を行うのである。これにより、紙搬送ベルト151やこれの駆動系に余計な負荷をかけることなく、黒単色のトナー像を転写することができる。
4つの転写バイアスローラ158Y,M,C,Kのうち、K用の転写バイアスローラ158Kは、図示しない軸受け部材を介して出口ブラケット164に支持されている。この出口ブラケット164は、紙搬送ベルト151のループ内側に配設され、出口ローラ165の軸を中心に揺動可能に構成されている。4つの搬送支持ローラ159Y,M,C,Kのうち、K用の搬送支持ローラ159Kも、この出口ブラケット164に支持されている。K用の転写バイアスローラ158Kは、出口ブラケット164の図中時計回りの揺動により、紙搬送ベルト151をK用の感光体2Kに押し当てない位置に移動する。この状態で上述の揺動ブラケット163が図中時計回りに揺動すると、紙搬送ベルト151が全ての感光体2Y,M,C,Kから離間する。転写装置150は、このように紙搬送ベルト151を全ての感光体から離間させた状態で、プリンタ本体に対して着脱されるようになっている。
転写装置150は、後述のフルカラー画像を転写紙Pに転写する場合には、紙搬送ベルト151を全ての感光体2Y,M,C,Kに接触させて、Y,M,C,K用の転写ニップを形成する。後述のレジストローラ対(140)から送り出された転写紙Pは、上述の静電吸着ローラ157と紙搬送ベルト151との間に挟まれる。そして、紙搬送ベルト151のおもて面に吸着されながら、Y,M,C,K用の転写ニップを順次通過していく。これにより、各感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が、それぞれ転写ニップで転写紙Pに重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙P上に重ね合わせて転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙P上にはフルカラー画像が形成される。
フルカラー画像が形成された転写紙Pは、紙搬送ベルト151の無端移動に伴って、分離ローラ153によるベルト張架位置にさしかかる。このベルト張架位置では、分離ローラ153が紙搬送ベルト151の無端移動方向をほぼ反転させるような急激な巻き付け角で紙搬送ベルト151を巻き付けている。紙搬送ベルト151上に吸着している転写紙Pは、このような急激なベルトの移動方向の変化に追従することができず、紙搬送ベルト151から分離される。そして、図示しない定着装置に受け渡される。
テンションローラ155は、スプリングによって紙搬送ベルト151に向けて付勢されることで、紙搬送ベルト151に対して所定のテンションを付与している。このテンションローラ155と、駆動ローラ154との間におけるベルト展張箇所のおもて面には、押圧ローラ161が押し当てられている。この押し当てにより、紙搬送ベルト151がループ内側に向けて湾曲している。紙搬送ベルト151がこのように大きく湾曲することにより、駆動ローラ154に対する紙搬送ベルト151の巻き付き箇所がより大きく確保されている。そして、この巻き付き箇所のおもて面には、ベルトクリーニング装置160が当接している。分離ローラ153による張架位置で転写紙Pを定着装置に受け渡した紙搬送ベルト151のおもて面には、各感光体2Y,M,C,Kから転移してしまった汚れトナーが付着している。ベルトクリーニング装置160は、この汚れトナーを紙搬送ベルト151から除去するためのものである。
先に示した図1において、定着装置170は、加圧ローラ171、定着ベルト172、加熱ローラ173、駆動ローラ174等を有している。定着ベルト172は、加熱ローラ172と駆動ローラ174とによって張架されながら、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられる駆動ローラ174によって図中時計回りに無端移動せしめられる。加熱手段たる加熱ローラ172は、ハロゲンランプ等の熱源を内包しており、これによって定着ベルト172を裏面から加熱する。一方、当接ローラたる加圧ローラ171は、無端移動せしめられる定着ベルト172に接触しながら、接触部で表面をベルトと同様に移動させるように回転して定着ニップを形成している。転写装置150の紙搬送ベルト151から定着装置170に受け渡された転写紙Pは、その像転写面を定着ベルト172に接触させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧によって像転写面にフルカラー画像が定着せしめられながら、定着装置170を通過する。
定着装置170を通過した転写紙Pは、搬送ローラ対や反転ガイド板などを経由した後、更に搬送ローラ対を経て、プリンタ筺体の上面に設けられたスタック部180に向けて排出される。
先に示した図2において、Y用の転写ニップを通過した後の感光体2Y表面は、する。図中反時計回りに回転駆動せしめられるブラシローラ3Yで所定量の潤滑剤が塗布された後、カウンタブレード4Yでクリーニングされる。そして、除電ランプ5Yから照射された光によって除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
帯電ローラ10Yの放電部材13Yは、感光体2Yに対して非接触になっているが、感光体2Yのトナーが静電気力によって付着することがある。付着したトナーは、放電部材13Yに接触しながら回転するローラクリーニング装置20Yによって放電部材13Y表面からクリーニングされる。
プロセスユニット1Yは、感光体2Y、帯電装置、ブラシローラ3Y、カウンタブレード4Y、除電ランプ5Y等が、1つのユニットとして、プリンタ本体に対して着脱可能となるように、共通の支持体に支持されたものである。
4つのトナー像形成部100Y,M,C,Kのうち、Y用のトナー像形成部100Yについて説明してきたが、他色のトナー像形成部100M,C,Kも同様の構成になっているので説明を省略する。
本プリンタのように、各色にそれぞれ個別に対応する複数のトナー像形成部100Y,M,C,Kを、紙搬送ベルト151等のベルトの張架面に沿って並べ、これらによって形成した各色トナー像を転写体に重ね合わせて転写する方式はタンデム方式と呼ばれている。タンデム方式によらずにカラー画像を形成する方法としては、1つの感光体と、複数の現像器とを搭載したトナー像形成部内で、互いに異なる色のトナー像を感光体に順次形成していき、これらを中間転写体に順次重ね合わせて転写する方法がある。この方法でフルカラー画像を得るには、互いに時間を分けて4色のトナー像をそれぞれ形成しなければならないため、高速な画像形成を行うのが困難である。これに対し、タンデム方式では、4色のトナー像をそれぞれ並行して形成することが可能なので、画像形成速度の高速化に有利である。
カラー画像のプリント速度の高速化が求められる近年においては、タンデム方式が主流となりつつある。そして、タンデム方式においては、省スペース化の目的から、装置内のレイアウトに厳しい制限を課すことが多い。例えば、本プリンタでは、図1に示したように、紙搬送ベルト151を斜め横長の姿勢で張架し、且つ、4つのトナー像形成部100Y,M,C,Kをこの紙搬送ベルト151の斜め張架面に沿って斜めに並べることで装置の小型化を図っている。このような構成では、補給用のトナーを収容したトナー収容器をトナー像形成部の近くに配設することが困難になる。すると、トナー収容器をトナー像形成部から比較的離れた位置に配設するレイアウトを採用せざるを得ず、トナーを長距離搬送するための機構が必要になる。トナーを搬送する機構としては、搬送管内にスクリューを配設したスクリュー管が古くから知られているが、これはトナーを長距離搬送するのに向いていない。特に、搬送方向が昇り勾配であったり、搬送路が複雑に折れ曲がったりしていると、搬送管内でトナーを詰まらせ易くなる。これに対し、モーノポンプ等の吸引ポンプによって搬送管内のトナーを吸引搬送する吸引方式のトナー搬送装置では、吸引ポンプの優れた吸引力により、昇り勾配や折れ曲がりのある搬送路でもトナーを確実に搬送することができる。
そこで、本プリンタでは、図1に示したように、4つのトナー収容器260Y,M,C,Kをそれぞれ4つのトナー像形成部100Y,M,C,Kから比較的離れた位置に配設してレイアウト上の制約をクリアするとともに、Y,M,C,K用の吸引方式のトナー搬送装置を採用している。なお、図1においては、1つのトナー収容器に対して260Y,M,C,Kという4つの添字を付しているが、これは、4つのトナー収容器が図中紙面に直交する方向に並べて配設されているため、トナー収容器の輪郭が1つしか描けないからである。
図4は、Y,M,C,K用の4つのトナー搬送装置のうち、1つを示す概略構成図である。なお、4つのトナー搬送装置は、互いに異なる色のトナーを用いる点の他が同様の構成になっているため、以下、1つのトナー搬送装置だけについて説明する。また、トナー搬送装置については、説明文中や図において、Y,M,C,Kという添字を省略する。
トナー搬送装置200は、吸引ポンプ210、収容器ホルダ230、トナー収容器260、送気部280などを備えている。吸引ポンプ210は、一軸偏心スクリューポンプやモーノポンプなどと言われるタイプのもので、ステータ211内のロータ212を吸引モータ213によって回転させることで、吸引口214内に負圧を発生させる。この吸引口214には、可撓性の搬送チューブ220の先端が接続されている。
収容器ホルダ230は、図中上側を開口させたホルダ部231や、これの底面に挿入されたノズル235などを備えている。ホルダ部231は、トナー収容器260を保持するためのものである。粉体収容器たるトナー収容器260は、ある程度の剛性を発揮する紙、段ボール、プラスチック等の材料で構成された厚み数十〜数百[μm]の袋部261内にトナーを内包している。袋部のトナー排出側には口金部262が固定されている。そして、この口金部262は、袋部261の開口内に係合するように樹脂や紙等の剛性材料からなる係合部263と、スポンジ等の弾性材料からなる開口シール部264とを有している。かかる構成のトナー収容器260は、口金部262側を鉛直方向下側にして収容器ホルダ230のホルダ部231に装着される。このとき、ホルダ部231の底面に固定されたノズル235の先端が、トナー収容器260の口金部262の開口シール部244を貫通して袋部261内に進入する。開口シール部264がノズル235の周囲に密着することで、トナー収容器260内から外部へのトナー漏れが防がれている。ノズル235の先端側には、トナー吸引口236が形成されている。また、後端側は、搬送チューブ220に接続されている。
吸引ポンプ210とノズル235とを接続する搬送チューブ220は、3〜7[mm]の内径に成形されており、可撓性と耐トナー性とに優れたゴム材料やプラスチック材料が使用されている。かかるゴム材料としては、ポリウレタンゴム、ニトリルゴム、EPDMゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。また、プラスチック材料としては、ポリエチレン、ナイロンなどが挙げられる。可撓性に優れたフレキシブルな搬送チューブ51を使用することで、複写機内部においてトナー移送経路を自由に配設することが可能となり、装置内部のレイアウト自由度が極めて良好になっている。
図5は、吸引ポンプ210のポンプ部を示す分解斜視図である。図において、吸引ポンプ210のポンプ部(吸引モータ等を除いた部分)は、ステータ211、ロータ212、これらを内包するホルダ215などを有している。ステータ211は、ゴム等の弾性部材にダブルピッチの螺旋溝が形成された雌ねじ状の形状になっている。また、ロータ212は、金属や樹脂等の材料が雄ねじ状に成形されたもので、ステータ211の螺旋溝内に回動自在に嵌挿されている。このロータ212の後端には、スプリングピン216によって固定される回転駆動軸217が連結している。ステータ211を内包するホルダ215は、その内周面にステータ211の端部に設けられたフランジ部を接触させることで、ステータ211を図中矢印A方向に揺動可能に支持する。この揺動のために、ホルダ215の内面と、ステータ211の外面との間にはギャップGが形成されている。回転駆動軸217の先には、図示しない吸引モータが連結しており、これの回転に伴ってロータ212がステータ211内で回転する。このとき、ロータ212がその複雑な形状に起因して偏心回転する。このことが、吸引ポンプ210を一軸偏心スクリューポンプと称する所以である。ロータ212が偏心回転すると、ステータ211が図中矢印A方向に揺動するのである。ロータ212が回転すると、ステータ211内に形成される閉空間が吸引口214側から回転駆動軸217側に移動し、吸引口214に10〜20[kPa]の吸引力P2が発生する。そして、搬送チューブ内のトナーが吸引口214からポンプ部内に吸い込まれる。吸い込まれたトナーは、ポンプ部内部を通った後、回転駆動軸217の下側に設けられた図示しない排出口から排出される。
トナー収容器260の袋部261内から、ノズル235内と、搬送チューブ220内とを介して、吸引ポンプ210内に至るまでの空間は、密閉環境になっている。このため、吸引ポンプ210が作動して搬送チューブ220内に負圧が発生すると、ノズル235のトナー吸引口236に吸引力が発生する。そして、袋部261内のトナーがトナー吸引口236から吸引され、ノズル235内と、搬送チューブ220内と、吸引ポンプ210内とを順次通過して、吸引ポンプ210の吐出側に接続されている現像器50内に補給される。
本プリンタのトナー搬送装置200は、このようにして、吸引ポンプ210での吸引により、図4に示したトナー収容器260内のトナーを搬送する。かかる構成では、トナー収容器260内のトナーを現像器50まで搬送するための搬送管内にスクリュー状のオーガなどといった可動部材を設ける必要がない。よって、構成を簡素化してコスト上昇を抑えることができる。また、搬送管として、変形自在な搬送チューブ220を用いてプリンタ内に自由に排回すことが可能になる。これにより、搬送経路のレイアウト自由度を大幅に向上させることができる。
なお、吸引ポンプ210として、モーノポンプを用いた例について説明したが、大気圧よりも低い圧力を作り、その圧力差によってトナーを吸引するポンプであれば他の方式のものを用いてもよい。
図6は、ノズル235の長手方向における中央付近を示す部分斜視図である。同図において、ノズル235は、黒色ABSなどといった有色の樹脂材料から構成され、その長手方向の中央付近には、PET(ポリエチレンテレフタレート)やガラスなどの透明材料からなる透明管235cが嵌め込まれている。ノズル235には、この透明管235cと管内トナー流路とを挟んで相対向する2つの窓用開口235a,bが設けられている。ノズル235の外部には、透過型光学センサ250がノズル235の透明窓形成箇所を挟み込む姿勢で配設されている。この透過型光学センサ250は、発光素子250aと受光素子250bとを有している。発光素子250aから発せられた光は、ノズル235の一方の窓用開口235a→透明管235cの横断面方向の一端部→管内トナー流路→他方の窓用開口235bという経路を経て、受光素子250bに受光される。そして、受光素子250bは、受光量に応じた量の電圧を出力する。
受光素子250bの受光量が多くなるほど、受光素子250bからの出力で夏値が大きくなる。この一方で、ノズル235の管内トナー流路を流れるトナーの量が多くなるほど、受光素子250bによる受光量が減少する。よって、透過型光学センサ250(受光素子)からの出力電圧が大きくなるほど、ノズル235内におけるトナー流量が減少していることを示すことになる。そして、トナー流量が所定量を下回るといった事態が継続して起こる場合には、トナー収容器260内のトナー残量が空に近くなっていることになる。図示しないトナー補給制御部は、この現象を利用して、透過型光学センサ250からの出力電圧が所定の閾値を上回るといった現象を監視し、この現象がある程度の頻度で発生した場合に、トナー収容器260内のトナーが無くなったと判断する。そして、ユーザーに対して収容器交換要求を通知する。
なお、図示の例では、ノズル235に2つの窓用開口235a,bを設けるとともに、この箇所に透明管235cを嵌め込んで光透過部を形成したが、ノズル235全体を透明な材料で構成してもよい。また、窓用開口を1つだけ設けるとともにノズル内壁を鏡面仕上げし、窓用開口から透明管を介して管内トナー流路に入射した光をノズル内壁で反射させるようにすれば、反射型光学センサを用いることもできる。
以上の基本的な構成を備える本プリンタにおいては、4つのトナー像形成部100Y,M,C,K、光書込ユニット110、転写装置150、これらを制御するメイン制御部などにより、記録部材たる転写紙Pに粉体としてのトナーを付着させて画像を形成する画像形成手段が構成されている。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
電子写真方式や直接記録方式では、トナーを帯電させて画像形成に用いることから、トナーとしては帯電し易いものを用いる。トナー搬送装置200のノズル235内では、トナーに対してある程度の圧力をかけるため、トナーが帯電し易くなる。ノズル235内で帯電したトナーが、ガラスや樹脂からなる透明管235cの内壁に接触すると、透明管235に分極による鏡像力を発生させて、内壁に良好に付着することがある。そして、この状態で更に圧力がかかると、トナーがやがて透明管235に固着してトナー汚れとなる。かかるトナー汚れが起こると、ノズル235の管内トナー流路におけるトナー流量にかかわらず、透過型光学センサ250による透過光量が減少してしまうため、「トナー流量にまだ十分に多い状態である」といった誤検知が生じてしまう。そして、トナー収容器260内のトナーエンドを正確に検知することができなくなってしまう。そこで、本プリンタでは、透明管235の内壁に対するトナー固着を抑えるべく、透明管235の内壁を定期的に清掃するようになっている。
先に示した図4において、搬送管235たるノズル235には、管内送気手段たる送気部280が接続されている。この送気部280は、周知の技術によって送気口281aからエアーを吹き出すエアーポンプ281、この送気口281aとノズル235とを接続する可撓性の送気チューブ282などから構成されている。
図7は、ノズル235を拡大して示す拡大構成図である。ノズル235は、全体として日本語ひらがな「し」の字のような形状をしており、「し」の字の上端が先端となっている。ノズル235の先端部には、上述したように、トナー収容器内のトナーをノズル235内に受け入れるためのトナー吸引孔236が形成されている。また、ノズル235の長手方向の中央付近には、上述した透明管235cが嵌め込まれており、これの両脇のノズル外壁には2つの窓用開口235a,bが形成されている。ノズル235の長手方向において、透過光部の一部を構成する透明管235cよりもノズル後端側(搬送先側)に近づいた箇所は、内管235eと、これを内包する外管235dとを具備する2重構造管になっている。この2重構造管の箇所では、外管235dに、開口としての送気受入口235fが形成されている。そして、この送気受入口235fには、送気部(280)の送気管たる送気チューブ282が接続されている。送気受入口235fよりもノズル後端側(搬送先側)に近づいた箇所では、内管235eと外管235dとの間隙が管周方向の全周に渡って塞がれている。
エアーポンプ281から吹き出されたエアーは、送気チューブ282を経由して、ノズル235の2重構造管における内管235eと外管235dとの間隙に進入する。この間隙は、上述したように、ノズル後端側で塞がれているため、間隙に進入したエアーは、図中矢印で示すように、ノズル先端側に向かって内管235eと外管235dとの間隙を出る。
詳しい制御フローは後述するが、エアーポンプ281による送気は吸引ポンプ210が作動していないときに行われる。内管235eと外管235dとの間隙を出たエアーは、吸引ポンプ210が停止していることで密閉空間となっているノズル235後端側に進むことができないため、そのままノズル先端側に向かう。そして、2重構造管のすぐ上に位置する透明管235cの内壁を擦りながら、水中で移動する泡のようにして、トナー粉体の中をノズル先端に向けて移動する。この際、透明管235cの内壁に付着しているトナーを内壁から吹き飛ばすことで、内壁を清掃する。ノズル先端まで移動したエアーは、トナー吸引孔236からノズル235外に出て、トナー収容器内に進入する。
図8は、トナー収容器260を示す斜視図である。図示のように、トナー収容器260の袋部261の底部(トナー排出側とは反対側)には、通気フィルター263が設けられている。エアーポンプ(281)から、送気チューブ(282)と、ノズル(235)とを経由して袋部261内に送られたエアーは、最終的にはこの通気フィルター263を通って収容器外に排出される。通気フィルター263のメッシュはトナー粒子を通過させない程度に細かくなっている。
透明管235cとしては、図9や図10に示すように、トナーの搬送先側であるノズル後端側から、粉体収容器側であるノズル先端側に向けて内径を小さくした構造のものが用いられている。かかる構成では、透明管235cよりもノズル後端側に位置する2重構造管の内管235eと外管235dとの間隙から、ノズル先端側に向けて外管235d内壁に沿うように吹き出されたエアーを、エアー移動方向に先細になっている透明管235cの内壁に確実に吹き付ける。これにより、透明管235cの内壁を効率良くエアークリーニングすることができる。
図11は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、トナー補給制御部300は、CPU(セントラル・プロセシング・ユニット)、RAM(ランダム・アクセス・メモリー)、ROM(リード・オンリー・メモリー)などから構成されている。このトナー補給制御部300には、光書込制御回路301、現像器内の二成分現像剤のトナー濃度を検知する上述のY,M,C,K用のTセンサ56Y,M,C,Kなどが接続されている。また、Y,M,C,K用のトナー搬送装置(200)に設けられた吸引モータ213Y,M,C,K、エアーポンプ281Y,M,C,K、透過型光学センサ250Y,M,C,Kなども接続されている。
光書込制御回路301は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて上述の光書込ユニット110を制御するための回路である。
トナー補給制御部300は、Tセンサ56Y,M,C,Kからの出力電圧値と、RAM内に記憶している。Y,M,C,K用Vtrefとの比較に基づいて吸引モータ213Y,M,C,Kによるトナー補給動作時間(駆動量)を決定する。
具体的には、まず、「過不足用動作時間Ta=(Vtref−Tセンサ出力電圧値)×係数K1」という演算式により、現時点でのトナー濃度の過不足に基づく過不足用動作時間Taを算出する。この演算式において、係数K1は、VtrefとTセンサ出力電圧値との差分を、それに相当する量のトナー補給に必要な吸引ポンプ動作時間に換算するための係数である。現像器(50)内の二成分現像剤のトナー濃度が基準濃度を上回っている場合には、過不足用動作時間Taはマイナス値になる。
次に、トナー補給制御部300は、光書込制御回路301から送られてくる画像情報に基づいて、プリントアウト画像の画像面積を演算する。そして、「消費予定用動作時間Tb=画像面積×係数K2」という演算式により、消費予定用動作時間Tbを算出する。この演算式において、係数K2は、画像面積に対応するトナー消費量を、それの補給に必要な吸引ポンプ動作時間に換算するための係数である。トナー補給制御部300は、演算した過不足用動作時間Taと消費予定用動作時間Tbとの和をトナー補給動作時間とし、その時間分だけ吸引モータを駆動させる。このような吸引モータの駆動制御を、Y,M,C,Kの各色について行う。
図12は、搬送制御手段たるトナー補給制御部300によるトナー補給制御のフローを示すフローチャートである。トナー補給制御部300は、プリント開始命令があるまで待機し(ステップ1、以下「ステップ」をSと記す)、プリント開始命令がなされた場合(S1でY)には、各色のエアーポンプを所定時間だけ駆動して(S2)、各色のノズルにおける透明窓をエアークリーニングする。エアークリーニングが終了したら(S3でY)、各色のTセンサ出力電圧値を読み込んだ後(S4)、読み込んだ値とVtrefとに基づいて各色の過不足用動作時間Taを算出する(S5)。そして、各色の画像面積を算出し、算出結果に基づいて、各色の消費予定用動作時間Tbを算出する(S6)。次に、過不足用動作時間Taと消費予定用動作時間Tbとの和であるトナー補給動作時間Tcを各色毎に算出した後(S7)、各色の吸引モータをそれぞれ対応するトナー補給動作時間Tcだけ駆動してトナーを現像器に補給する(S8)。同時に、各色のトナー収容器についてトナーエンドの判定処理を行う(S9)。このトナーエンド判定処理では、各色について、それぞれ透過型光学センサからの出力電圧値を20[ms]の間隔で40回サンプリングしながら光透過率に変換する。そして、80[%]以上の光透過率が6回以上連続した場合を、トナーエンドと判定する。トナーエンドが発生した場合には(S10でY)、それに対応する色のトナー収容器がトナーエンドである旨を図示しない表示部での表示などによってユーザーに通報した後(S11)、プリント動作を強制中断する(S12)。これに対し、トナーエンドが発生しなかった場合には(S10でN)、次のプリント開始命令の有無を判断し(S13)、有る場合には制御フローをS2にループさせる。また、無い場合には一連の制御フローを終了する。
このようなトナー補給制御では、トナーエンド判定処理に先立って、即ち、トナー収容器内のトナー残量の演算に先立って、送気部280のエアーポンプを所定時間駆動して、透明管の内壁をエアークリーニングしている。これにより、エアークリーニング直後に透過型光学センサによるトナー流量の検知を行って、トナー流量の検知制御を高めることができる。
なお、各色にそれぞれ対応させて4台のエアーポンプ281Y,M,C,Kを設けた例について説明したが、エアーポンプについては、各色を1台で供給してもよい。この場合、4つの分岐路を有する4分岐継手をエアーポンプの送気口に接続し、それぞれの分岐路を対応する色のノズルに接続すればよい。
図13は、本プリンタの変形例装置におけるノズル235を示す拡大構成図である。この変形例装置では、ノズルの先端側が2重構造管になっており、先端は内管235eだけからなっている。この2重構造管は、光透過部を構成する透明管235cよりもノズル先端側(トナー収容器側)に近づいた箇所に形成されている。2重構造管の外管235dにおける搬送先側の端部付近には、開口としての第1送気受入口235fが形成されている。また、2重構造管の外管235dにおける第1送気受入口235fよりもノズル先端側(トナー収容器側)に近づいた箇所には、第2開口としての第2送気受入口235hが形成されている。第1送気受入口235fと第2送気受入口235hとの間においては、ゴムパッキンや樹脂コーキング材などからなるシーリング材235gにより、内管235eと外管235dとの間隙が管周方向の全周に渡って塞がれている。そして、透明管235cは、2重構造管のすぐ下に位置している。
外管235dに設けられた第1送気受入口235fには、清掃用送気チューブ285の一端側が接続されており、この清掃用送気チューブ285の他端側は清掃用電磁弁284に接続されている。また、外管235dに設けられた第2送気受入口235hには、攪拌用送気チューブ287が接続されており、この攪拌用送気チューブ287の他端側は攪拌用電磁弁286に接続されている。同図においては、1色分のトナー収容器の周囲構成しか示していないが、本プリンタでは、4色分のトナー収容器を設けている。よって、トナー収容器260、ノズル235、清掃用送気チューブ285、清掃用電磁弁284、攪拌送送気チューブ287、攪拌用電磁弁286は、それぞれ4つずつ存在する。
一方、エアーポンプ281から延びてくる送気チューブ282は、8分岐継手283に接続されている。この8分岐継手283は、入力側の流路を出力側に8つに分岐するものである。8つの分岐路は、Y,M,C,K用の清掃用電磁弁284、Y,M,C,K用の攪拌用電磁弁286に接続されるが、同図においては、そのうちの1つの清掃用電磁弁284、及び1つの攪拌用電磁弁286だけを示している。
エアーポンプ281から吹き出されたエアーは、送気チューブ282と、8分岐継手283とを経由して8つに分流した後、それぞれ、8つの電磁弁の何れかに向けて流れていく。清掃用電磁弁284が開かれていると、エアーは清掃用送気チューブ285を経由した後、ノズル235の第1送気受入口235fを通って外管235dと内管235eとの間隙に進入する。エアーが進入した箇所よりもノズル先端側では、シーリング材235gによって前述の間隙が塞がれているため、エアーはノズル後端側に向けて間隙内を移動する。そして、間隙から出ると、しばらくの間、2重構造管のすぐ下にある透明管235cの内壁に沿って移動する。これにより、透明管235cの内壁がエアークリーニングされる。但し、吸引ポンプ210に向かうノズル後端側は、密閉空間になっているので、図中矢印で示すように、エアーはやがて開放空間となっているノズル先端側に向けて方向転換する。そして、トナーをかき混ぜながら内管235e内を進んでいき、トナー吸引口236からノズル外に出る。
一方、攪拌用電磁弁286が開かれていると、8分岐継手283内のエアーは攪拌用電磁弁286と攪拌用送気チューブ287とを経由した後、ノズル235の第2送気受入口235hを通って外管235dと内管235eとの間隙に進入する。エアーが進入した箇所よりもノズル後端側では、シーリング材235gによって前述の間隙が塞がれているため、エアーはノズル先端側に向けて間隙内を移動する。そして、間隙から出てトナー収容器260内に進入し、ノズル235の先端部の周囲に存在するトナーをエアー攪拌する。これにより、ノズル235周囲におけるトナー凝集が抑えられる。
透明窓235cのエアークリーニングと、トナー収容器260内におけるノズル周囲のトナー攪拌とについては、同時に行ってもよいが、別々のタイミングで行うことがより望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、透明窓235cのエアークリーニングについては、上述したように、吸引ポンプ281の駆動によるトナー補給や、トナーエンド判定処理を行う直前に実施することが望ましい。一方、ノズル周囲のトナー密度は、トナー補給動作に伴って高くなるため、ノズル周囲のトナー攪拌については、トナー補給の直後に行うことが望ましいのである。そこで、本変形例装置では、複数の分岐管である上述の分岐路にそれぞれ、電磁弁を設けている。そして、各色についてそれぞれ、トナー補給やトナーエンド判定処理に先立って透明窓235cのエアークリーニングを行う一方で、トナー補給やトナーエンド判定処理を行った後に、ノズル周囲のエアー攪拌を行うようになっている。
本変形例装置では、透明管235cとして、図14や図15に示すように、ノズル先端側からノズル後端側に向けて内径を小さくした構造のものが用いられており、先に図7に示した構成で用いた透明管とはテーパーの向きが逆になっている。これは、先に図7に示した構成では、透明管235c内にてエアーがノズル後端側から先端側に向かって流れるのに対し、本変形例装置ではノズル先端側から後端側に向かって流れるからである。エアーが流れる方向に向かって透明管235c内を先細にすることで、エアーを確実に透明管235cの内壁に吹き付けることが可能になる。
トナーとしては、良好な円形度と小粒径化とを両立し得る重合法によって製造されたものを用いることが望ましい。かかるトナーを用いることで、解像度が非常に高いプリントアウトでも高品質の画像を得ることができるからである。但し、この一方で、重合法によるトナーは、表面形状が滑らかであたり、小粒径であったりすることによって接触帯電し易いため、透明管235cの内壁に固着し易くなる。本発明は高画像品質を実現し得る重合トナーを用いる場合に特に生じ易くなる透明管235cの内壁のトナー汚れを抑えて、高画像品質化と、トナーエンド判定の高精度化とを実現することができる。そこで、本プリンタや変形例装置においては、トナーとして、重合法によって製造された重合トナーを用いるように、ユーザーに指定している。ユーザーに指定する方法としては、例えば、重合トナーを、プリンタ本体とともに梱包して出荷することが挙げられる。また例えば、重合トナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記製品番号や商品名などを通知することによって行ってもよい。また例えば、重合トナーを収容しているトナー収容器260をプリンタ本体にセットした状態で出荷することによって行うこともできる。本プリンタや変形例装置では、これら全ての方法を採用しているが、少なくとも何れか1つの方法を採用すれば足りる。
参考までに、重合トナーの製造方法について簡単に説明する。
(1)トナー組成物の準備
酢酸エチル等の有機溶媒に、樹脂、着色剤、ワックス、帯電制御剤、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(プレポリマー)からなるトナー原材料を溶解させ、それをトナー組成物とした。なお、プレポリマーとは、ベースとなるポリマー1分子中に2以上の反応基を有するポリマーのことである。
(2)乳化
界面活性剤、粘度調整剤、樹脂微粒子を含有する水系媒体に、上記トナー組成物とアミン類とを加えて、せん断力により分散させ、乳化状態を形成する。
(3)熟成
イソシアネート基とアミン類との反応による伸長や架橋反応を促進させるため、反応系に対して加熱を行う。
(4)脱溶剤
一例として、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を蒸発除去する方法をとることができる。
(5)アルカリ洗浄、水洗
得られたトナー粒子表面に残存している異物(界面活性剤、粘度調整剤、等)を除去するための工程である。
(6)乾燥
得られたトナー粒子をろ過により回収し、乾燥する。
(7)外添剤処理
必要に応じて、外添剤微粒子(シリカ、チタニア、アルミナ、等)を0.1〜5.0重量部ミキサーにより外添する。
これまで、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式の複写機について説明したが、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いる一成分現像方式にも本発明の適用が可能である。また、粉体としてトナーを搬送するのではなく、磁性キャリアや二成分現像剤を搬送する画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、複写機に限らず、プリンタやファクシミリなどの他の画像形成装置でもよい。また、レーザー光による露光を行う方式ではなく、LEDによる露光や、イオン付与などによって静電潜像を形成する方式でもよい。また、電子写真方式ではなく、直接記録方式によってトナー像を形成する画像形成装置にも本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、搬送管たるノズル235の長さ方向における透明管235c(光透過部の一部)よりも搬送先側(ノズル後端側)に近づいた箇所を、内管235eとこれを内包する外管235dとを具備する2重構造管にしている。そして、外管235dに設けた開口たる送気受入口235fに、管内送気手段たる送気部280の送気管たる送気チューブ282を接続し、2重構造管における送気受入口235fよりも搬送先側(ノズル後端側)に近づいた箇所にて内管235eと外管235dとの間隙を管周方向の全周に渡って塞いでいる。かかる構成では、先に図7に示したように、ノズル235内に送ったエアーを内管235eに当てた後、透明管235cの内壁に向けて方向転換させる。これにより、ノズル235内に送り込んだエアーを透明管235cの内壁に集中的に吹き付けて、クリーニング効果を向上させることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、光透過部たる透明管235cとして、搬送先側(ノズル後端側)からトナー収容器側(ノズル先端側)に向けて内径を小さくした構造のものを用いているので、上述した理由により、ノズル235内に送り込んだエアーを確実に透明管235cの内壁に吹き付けることができる。
また、変形例装置においては、図13に示したように、ノズル235の長さ方向における透明管235cよりもトナー収容器側(ノズル先端側)に近づいた箇所を、内管235eとこれを内包する外管235dとを具備する2重構造管にしている。そして、外管235dに設けた開口たる第1送気受入口235fに送気管たる清掃用送気チューブ285を接続し、2重構造管における第1送気受入口235fよりもトナー収容器側に近づいた箇所にて内管235eと外管235dとの間隙を管周方向の全周に渡って塞いでいる。かかる構成においても、ノズル235内に送ったエアーを内管235eに当てた後、透明管235cの内壁に向けて方向転換させる。これにより、ノズル235内に送り込んだエアーを透明管235cの内壁に集中的に吹き付けて、クリーニング効果を向上させることができる。
また、変形例装置においては、外管235dにおける第1送気受入口235dよりもトナー収容器側に近づいた箇所に第2開口たる第2送気受入口235hを設けている。そして、第1送気受入口235fと第2送気受入口235hとの間の位置で、内管235eと外管235dとの間隙を管周方向の全周に渡って塞いでいる。更に、送気チューブ282を複数に分岐して得た複数の分岐路の1つを第1送気受入口235fに接続するとともに、他の1つを第2送気受入口235hに接続している。かかる構成では、図13に示したように、ノズル周囲のトナー攪拌用の送気手段と、エアークリーニング用の送気手段とを、1つのエアーポンプ281によって兼用することができる。
また、変形例装置においては、光透過部の一部たる透明管235cとして、トナー収容器側から搬送先側に向けて内径を小さくした構造のものを用いている。かかる構成においても、上述した理由により、ノズル235内に送り込んだエアーを確実に透明管235cの内壁に吹き付けることができる。
また、変形例装置においては、複数の分岐管たる8つの分岐路のそれぞれに、電磁弁を設けているので、上述した理由により、ノズル周囲のトナー攪拌用と、透明管235cのエアークリーニング用とで、1つのエアーポンプを兼用しても、トナー攪拌用のエアー吹き付けと、エアークリーニング用のエアー吹き付けとを別々のタイミングで行うことを可能にしている。これにより、それぞれを上述したような適切なタイミングで個別に行って、それぞれ効率の良いトナー攪拌やエアークリーニングを行うことができる。
また、実施形態に係るプリンタや変形例装置においては、光学センサたる透過型光学センサ250による検知結果に基づいてトナー収容器260内のトナー残量を演算させるように、搬送制御手段たるトナー補給制御部300を構成しているので、使い捨てのトナー収容器260内にトナー残量センサを配設することによるコストアップを回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタや変形例装置においては、トナー残量の演算処理たるトナーエンド判定処理を行うのに先立って、エアーポンプ281を所定時間駆動させる制御を実施させるように、トナー補給制御部300を構成しているので、ノズル235内のトナー流路を透過型光学センサ250によって検知する直前に透明管235cをエアークリーニングして、トナーエンドの判定精度(トナー残量の検知精度)を高めることができる。