JP4675558B2 - 核酸の強化された共増幅 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に、核酸化学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、共増幅(coamplification)反応、例えば、複合PCR反応の効率(performance)を高めるための方法に関する。
近年、ゲノムの特徴、病原菌、および、ヒト、植物、微生物または動物の被検物中に、ごく少量存在する様々な有機体の早期検出のための手段として、核酸の検出が開発されている。検出工程は、通常、それにより2つのDNA鎖が、相補性ヌクレオチド(ヌクレオチド対として知られている)間の水素結合および他の力によって一緒に結合する、相補性の概念に基づいている。
DNA分子は、通常、きわめて安定であるが、その鎖は、加熱等の所定の条件によって、分離または変性され得る。変性された鎖は、相補的なヌクレオチド配列を有する別の鎖とだけ、再結合するであろう。
ほんのわずかなDNA分子を検出する方法を見出すために、多くの研究が行われてきた。検出用の被検物中でいくつかの核酸を増幅するか、または顕著に増加させるために、様々な工程が知られており、10年以上にわたって用いられてきた。そのような増幅技術には、ポリメラーゼ・チェーン反応(PCR)、リガーゼ・チェーン反応(LCR)、およびあまり開発されていない他の方法が含まれる。
核酸配列の増幅のための両チェーン反応、特に、ポリメラーゼ・チェーン反応(PCR)法、は、当分野で周知であり、米国特許第4,683,202号明細書(特許文献1)、米国特許第 4,683,195号明細書(特許文献2)、および米国特許第4,965,188号明細書(特許文献3)に開示されている。
PCR増幅の各サイクルでは、二本鎖ターゲット配列が変性され、プライマーが、変性されたターゲットの各鎖へアニールされ、そして、DNAポリメラーゼの作用によって、プライマーが伸長される。増幅の特異性は、プライマーアニーリングとも呼ばれる、プライマーハイブリダイゼーションの特異性に依存する。プライマーは、ターゲット核酸配列の各鎖の3’末端で始まる配列と相補的であるか、または実質的に相補的であるように選択される。典型的なPCRで用いられる高温下で、プライマーは、目的の(intended)ターゲット配列とだけハイブリダイズする。しかし、増幅反応混合物は、典型的には、プライマーハイブリダイゼーション特異性を保証するために必要な温度よりはるかに低温である室温で会合する(assembled)。そのようなあまりストリンジェントではない条件下で、プライマーは、他の一部だけ相補的な核酸配列と(または、他のプライマーとも)、非特異的に結合し、ターゲット配列とともに増幅し得る、望ましくない伸長生成物(extension products)の合成を起こし得る。非特異的プライマー伸長生成物の増幅は、所望のターゲット配列の増幅と競争することができ、そして、所望の配列の増幅の効率を大幅に低減し得る。非特異的増幅によって引き起こされる問題は、チョウ(Chou)ら、1992、核酸研究(Nucleic Acids Research) 20(7):1717-1723(非特許文献1)で更に議論されている。この文献の内容は、本明細書に開示として援用される。
非特異的増幅は、反応開始前に、非相補的ターゲット配列と結合したプライマーからの伸長生成物の形成を低減することによって低減され得る。“ホット−スタート(hot-start)”プロトコルと呼ばれる方法では、必要なハイブリダイゼーション特異性をもたらすのに充分な温度に温度を上げるまで、1つ以上の重要な(critical)試薬を、反応混合物に与えないでおく。このように、特異的プライマーハイブリダイゼーションを保証する反応条件にならない限り、反応混合物は、プライマー伸長を助けることができない。
ホット−スタート法は、初期の高温インキュベーション段階、および、加えないでおいた(missing)試薬を添加した後に、反応管を開くことによって、手動で行われ得る。しかし、手動のホット−スタート法は、多大な労力を要し、反応混合物の汚染の危険性を増大させる。反応成分を分離または単離するために、ワックスのような熱的に不安定な材料を使用するホット−スタート法は、米国特許第5,411,876号明細書(特許文献4)(この内容は、本明細書に開示として援用される)、および前記のチョウ(Chou)ら、1992年、に記載されている。これらの方法では、高温の前反応インキュベーションによって、熱的に不安定な材料を溶解することにより、試薬が溶解される。
非特異的増幅の問題に対する簡単かつ経済的な解決法をもたらす、プライマーに基づく増幅反応を用いて核酸を増幅するための方法および試薬は、従来から知られていた(例えば、米国特許第5,773,258 号明細書(特許文献5)および米国特許第6,183,998号明細書(特許文献6))。それらの方法は、高温で増幅反応混合物中でインキュベートすることによって再活性化され得る、可逆的に不活性化された熱安定性酵素を使用する。反応混合物の温度が、プライマーハイブリダイゼーション特異性を保証する温度まで上がらない限り、反応混合物は、プライマー伸長を補助しないので、非特異的増幅は、大幅に低減される。
ヒトおよび動物の被検物が、多くの異なる核酸を含んでいることから、別の問題が生じる。それら核酸のいくつかは、ヒトや動物に内在しているもの(天然のもの)であり、他は、病原菌または腫瘍形成条件の存在のような、ある異常な条件によって生み出される。そのような核酸は、通常、内在する核酸と比べて、非常に低い濃度で存在する。それらは、しばしば、“低コピー数(low copy number)”核酸と呼ばれる、それに対して、内在する核酸は、通常、高濃度で存在し、“高コピー数”核酸と呼ばれ得る。その例の1つは、ヒトβ−グロブリンDNAである。しばしば、PCR使用時に、被検物中に存在する2つ以上の核酸が、同じ反応容器中で同時に増幅される。これを、ここで“共増幅(co-amplification)”と言う。この方法は、増幅されるべき各核酸に対するプライマーが、容器中に同時に存在しなければならないことを要する。
低コピーターゲット核酸および高コピーターゲット核酸の両方を、このような状態で増幅するとき、低コピーターゲット核酸の増幅は、しばしば阻害される。これは、増幅の後期のサイクル中の高コピーターゲット核酸による酵素(例えばDNAポリメラーゼ)の増幅の飽和に起因する。低コピーターゲット核酸の存在に対する偽陰性の(false negative)結果は、おそらく深刻な結論となるであろう。
そのような共増幅反応が、定量的PCRのように、核酸分子の定量的測定のために行われる場合、同様の問題が生じる。定量的PCRおよび定量的逆転写ポリメラーゼチェーン反応(RT−PCR)は、生物学的試料中の特異的DNAまたはRNAの量を決定するために使用される。その方法は、低処理量のゲルに基づく分析から、ゲル上の反応生成物の分離を必要としない(‘閉鎖管(closed tube)’フォーマット)、蛍光技術の使用へと発展した。PCRによって増幅されたDNAまたはcDNAの量は、その後、蛍光シグナルの増加に比例する。次いで、PCR(リアルタイムまたはオンラインPCR)の各サイクルでの、またはPCR(終点検出)後の蛍光の分析によって、開始(starting)DNAの量が決定される。ほとんどの場合蛍光標識された配列特異的プローブを含むこれら蛍光技術は、ポストPCRを必要としないので、迅速であり、そして、安価で行うことができる。これらの方法は、その後のアッセイを妨害し得るPCRアンプリコン分子による実験の汚染も低減する。定量的PCRおよび定量的リアルタイムPCRの背景は、フリーマン(Freeman), W.M.ら、1999、バイオテクニクス(Biotechniques)、26、112-125(非特許文献2)、および、ブスチン(Bustin), S.A.、2000、 J. Mol. Endocrinol.、25、169-193(非特許文献3)に記載されている。ほとんどの方法は、蛍光体(fluorophore)および消光体(quencher)の一部によって標識されたオリゴヌクレオチドの使用に基づいている。2つの部分が100Å未満に分離されると、消光体は、蛍光共鳴エネルギー遷移(fluorescence resonance energy transfer;FRET)によって蛍光体の蛍光を減少させる(クレッグ(Clegg), R.M.、 1992、Methods Enzymol.、211、353-388(非特許文献4))。PCR中、蛍光体と消光体は、蛍光の増加を引き起こす間隔で分離される。それが、分子ビーコン(beacons)またはスコーピオン(scorpion)プライマーによって生じるとともに、ターゲットDNAへアニールする場合、5’−3’エキソヌクレアーゼアッセイとも呼ばれるオリゴヌクレオチドの開裂によって、または、オリゴヌクレオチドプローブの二次構造の変化によって、分離が起こる(近年、完成はしていないが、最近のプローブ技術に概説されている;ディデンコ(Didenko), V.D.、2001、バイオテクニクス(Biotechniques)、31、 1106-1121(非特許文献5)参照)。可変部遺伝子(variable gene)の量を検出するため、更に、比較的定常的であり、可変部遺伝子の定量のための参照として使用される遺伝子の検出のために、1つのプライマー/プローブセットを使用することができるため、2組の別々に標識された遺伝子特異的プローブによる定量的、リアルタイム、複合PCRは、有用である。低コピーターゲット核酸および高コピーターゲット核酸の両方を、1つの反応で増幅する場合、増幅の後期のサイクル中、高コピーターゲット核酸による増幅酵素(例えばDNAポリメラーゼ)の飽和により、低コピーターゲット核酸の増幅が、高コピーターゲット核酸の増幅によって妨害されることがある。よって、そのようなアッセイの結果、定量は失敗するか、または不正確になり、異なる核酸試料間の比較を困難にする。これは、治療を受けている患者の血液中のウイルス量(viral load)の間違った評価のように、実験的または臨床的結果の解釈に劇的に影響を与え得る。
しかし、共増幅反応は、定量的PCRやRT−PCRのように、増幅されるべき核酸が、様々なコピー数で存在しているという、反応に関する問題がない。反応パラメーターを限定するための様々な増幅生成物の競争によって、核酸試料に含まれる核酸分子の同時増幅が弱められることがある。そのような増幅は、例えば、短縦列反復配列(short tandem repeats;STRs)、可変性縦列重複配列数(variable number tandem repeats;VNTRs)、または一塩基変異多型(single nucleotide polymorphisms;SNPs)のような、遺伝的可変性を決定するための遺伝的マーカーの共増幅を含む。これらの遺伝的可変性の決定は、ドラッグデリバリー、薬理学、患者管理、集団遺伝学、例えば父系テスト(paternity testing)のためのゲノタイピング(genotyping)、科学捜査、病理学、および増殖分析(breeding analysis)のような、研究および診断用途に、ますます使用されている。
プライマーの濃度の調整、異なる量のポリメラーゼの使用、特殊化された反応緩衝液の調製、もしくは特異的な融点(Tm’s)を有するプライマーセットの使用、またはこれらの組み合わせ、を含む、この問題に対する様々な解決法が、PCRについて提案されている。プライマー比の調整は、当分野では、プライマーによって、PCR収率をバイアスすること、として知られており、高コピーターゲット核酸または優先的に増幅される核酸分子の濃度を減少させる必要がある。このアプローチによって、工程はすこしだけ制御される。
共増幅に対する別のアプローチは、高コピーターゲット核酸または優先的に増幅された核酸のためのプライマーが、低コピーターゲット核酸または非効率的に増幅された核酸のためのプライマーよりも少ない量でアニールするように、PCRにおけるアニーリングの温度を調整することである。このアプローチも、問題を有する。PCRが良好に調節されることにより、高コピー核酸および低コピー核酸の収率の違いが現れ得る前に、プライマー対の間のTmの違いが比較的大きくなってしまう。Tm’sは、(概算することはできるが)、正確に算出することができないので、測定しなければならない。これは、多大な努力を必要とし、そして、かなり退屈である。
または、全サイクルにおけるPCRでのプライミング(priming)または伸長段階の時間を増やすことにより、高コピーターゲット核酸またはより効率的に増幅された核酸によるDNAポリメラーゼの飽和を最少化し、増幅効率を向上させることができる。しかし、この解決法は、様々な濃度で存在する多くの核酸が、同時に増幅される場合か、または、増幅生成物のサイズが大幅に異なる場合に、利用が制限される。
デキストランサルフェートやポリエチレングリコールのような体積排除剤(volume exclusion agents)の存在下では、体積排除剤によって占められた溶液の体積から、核酸が排除されることにより、核酸のハイブリダイゼーション速度が大幅に向上することが知られている(サンブロック(Sambrook)ら、"モレキュラー・クローニング、ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)"、9.50ページ、1989(非特許文献6)、および米国特許第5,106,730号明細書(ファン・ネス(Van Ness)ら)(特許文献7))。この排除効果は、溶液中での核酸の有効濃度を増加させ、それにより、ハイブリダイゼーション速度が向上する。よって、そのような材料は、好ましくない反応を先に“進める”ために、反応混合物へ決まって添加される。例えば、それらは、リガーゼ反応を“進める”ために、反応混合物へ添加される(米国特許第5,185,243号明細書 (ウルマン(Ullman)ら)(特許文献8)および米国特許第5,194,370号明細書(ベーニンガー(Berninger)ら)(特許文献9))。
前述および後述のすべての特許、特許出願、および刊行物は、ここで開示として援用される。
米国特許第4,683,202号明細書 米国特許第 4,683,195号明細書 米国特許第4,965,188号明細書 米国特許第5,411,876号明細書 米国特許第5,773,258 号明細書 米国特許第6,183,998号明細書 米国特許第5,106,730号明細書 米国特許第5,185,243号明細書 米国特許第5,194,370号明細書 チョウ(Chou)ら、1992、核酸研究(Nucleic Acids Research) 20(7):1717-1723 フリーマン(Freeman), W.M.ら、1999、バイオテクニクス(Biotechniques)、26、112-125 ブスチン(Bustin), S.A.、2000、 J. Mol. Endocrinol.、25、169-193 クレッグ(Clegg), R.M.、 1992、Methods Enzymol.、211、353-388 ディデンコ(Didenko), V.D.、2001、バイオテクニクス(Biotechniques)、31、 1106-1121 サンブロック(Sambrook)ら、"モレキュラー・クローニング、ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)"、9.50ページ、1989
上記のように、複合PCR反応では、鋳型核酸へ非特異的に結合し得る多くの異なるプライマーが存在する。これは、PCR反応物が、典型的には、プライマーの特異的ハイブリダイゼーションを保証する温度よりはるかに低温である室温で会合することによるものである。そのようなプライマーの非特異的伸長は、アッセイの効率および感度を低下させる。なぜなら、非特異的に結合および伸長したプライマーによって引き起こされる、望ましくない反応が、反応の効率を劇的に低下させるからである。
また、反応中に多くの異なるプライマーが存在することにより、これらプライマーの少なくともいくつかが、更にお互いに相互作用する確率が高くなる。典型的には、そのような相互作用の生成物は、プライマー二量体と呼ばれる。プライマー二量体の存在は、反応の効率を劇的に低下させる。
多数のターゲットの効率的な共増幅(複合PCR)は、すべての反応を同時に起こすことができる反応条件が選択され、かつ、すべての反応がお互いに最小限のみ影響を与え合う場合にだけ可能である。これは、各反応のプラトー相(plateau phase)が限定される場合にのみ可能である。PCRプラトーの高さの限定は、PCRプライマーの濃度を限定することによって達成され得る。しかし、プライマーの濃度の限定は、PCRアッセイの感度の低下を引き起こし得る。
上記の効果のいくつかは、上記のPCRホットスタート技術の使用によって排除され得る。しかし、すべてのプライマーを等モル濃度で使用する共増幅反応(複合反応)において、いくつかの増幅生成物の収率が、他のものよりもはるかに低いことが、しばしば観察される。いくつかの増幅生成物は、ターゲットDNA配列の多数のコピーが反応内に存在する場合であっても、まったく検出され得ない。低濃度のプライマーが使用される場合、このことは一層顕著であり得て、お互いへの反応の影響を最小化することが求められる。生成物収率の大きな違いは、それらの対応するターゲット配列へのプライマーのハイブリダイゼーションおよびそのようなアニールされたプライマーの伸長の違いによるものである。生成物収率において、そのような違いが観察されると、研究者は、典型的には、同等の生成物収率が得られるように、プライマー濃度を適合させる必要がある。プライマーの最適モル比を確立することは、典型的には非常に困難である。
PCRの各サイクルにおけるプライマーのハイブリダイゼーションは、各PCRサイクルにおいて、アニーリング段階を劇的に延長することによって向上され得る。これは、複合PCRアッセイの全時間を劇的に長くし、利便性を低下させるので、望ましくなく、ほとんどの場合、受け入れられない。
従って、上記の問題を克服するように、1つ以上の他のターゲット核酸の存在下で共増幅する場合、1つ以上のターゲット核酸の迅速かつ効率的な増幅を達成することが望ましい。
上記の問題は、複合PCR反応の効率を大幅に高める方法によって克服される。本発明は、複合PCR反応の効率を高めるための方法および試薬を提供する。複合PCR増幅のためのそのような効率的な条件は、PCR反応中に、体積排除剤と組み合わせて、ホット−スタートDNAポリメラーゼを使用することを含んでいた。複合PCRへのプラスの効果は、一方では、プライマーの望ましくない非特異的ハイブリダイゼーションおよび伸長またはプライマー二量体の形成を最少化することによって、PCR効率を最大化する、ホット−スタート酵素の使用によるものである。他方で、体積排除剤の存在は、反応中のすべてのプライマーのハイブリダイゼーション速度を高める。反応中の体積排除剤の存在により、体積排除剤なしで、複合PCR条件下(限定されたプライマー濃度)ではわずかな増幅しか示さないターゲットの生成物収率が大幅に増加する。
驚くべきことに、すべてのプライマーを等モル濃度で使用しても、複合PCRを行うことができることがわかった。本発明によれば、体積排除剤をホット−スタートDNAポリメラーゼと組み合わせて用いることにより、わずかな増幅しか示さないターゲットからの生成物収率を、許容できるレベルに増加させることができる。
記載した効果は、ホット−スタートポリメラーゼと体積排除剤の両方を組み合わせることによってのみ得ることができる。
従来技術は、共増幅反応における体積排除剤の使用のプラスの効果は、ターゲット核酸間でコピー数の大きな違い(米国特許第5,705,366号明細書に記載されているような約1000倍の違い)が観察される、特定のハイブリダイゼーション条件に限定されると示唆していたので、観察された効果は、驚くべきものであった。しかし、驚くべきことに、ホット−スタートDNAポリメラーゼと組み合わせた体積排除剤のPCR増強効果は、ターゲットが比較され得るコピー数(10倍以下の違い)で存在する場合にも観察される。
図面の説明
図1および2は、8個の部分を有する(8-plex)PCR生成物のアガロースゲル分析からのデータを示す。レーンは、左から右へ番号を付した。サイズ標準(100bpラダー、インビトロゲン(Invitrogen))を、Mと付したレーンに載せた。
ゲル写真は、ホット−スタートDNAポリメラーゼ(HotStarTaq、キアゲン(Qiagen))を用いて行われた複製反応からのレーン1−8におけるデータ、および、ホット−スタートなしで標準的な熱安定性DNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ、キアゲン(Qiagen))を用いて行われた反応のレーン9−16におけるデータの両方を示す。
図1では、平均分子量35000〜45000ダルトンのデキストランなしで(レーン1+2およびレーン9+10、0質量%デキストラン)、または、デキストランの濃度を増加させながら(レーン3+4、11+12:1質量%デキストラン、レーン5+6、13+14:3質量%デキストラン、レーン7+8、15+16:6質量%デキストラン)、反応を行った。
図2では、PEG−8000なしで(レーン1+2およびレーン9+10、0質量% PEG8000)、または、PEG8000の濃度を増加させながら(レーン3+4、11+12:1質量% PEG−8000、レーン5+6、13+14:3質量% PEG8000、レーン7+8、15+16:6質量% PEG8000)、反応を行った。
写真の左側の矢印は、体積排除剤の存在下で反応が行われた場合、強度の大幅な増加を示す、PCR生成物を示す。
比較のため、実施例1のアガロースゲル写真の写真濃度計分析のデータを、表2にまとめる。実施例2について示されたアガロースゲル写真からのデータを、表3に示す。
ポリメラーゼチェーン反応を使用する核酸の増幅および検出のための一般的な原理および条件は、きわめてよく知られており、その詳細は、US-A-4,683,195、 US-A-4,683,202およびUS-A-4,965,188(上記)(これらすべての内容は、本明細書に開示として援用される)を含む、多くの参考文献に記載されている。よって、従来技術の教示および本明細書に記載の特別な教示を考慮して、2つ以上の核酸(そのうちの1つは、好ましくは低コピーターゲット核酸であるか、または優先的に増幅される)を共増幅するために、本明細書で教示された調整を行うことにより、当業者であれば、何の困難もなく、本発明を実施することができるはずである。
本発明の理解を助けるために、いくつかの用語を以下に定義する。
本明細書で使用される“隣接(adjacent)”という語は、鋳型核酸の相補鎖におけるプローブに対するプライマーの位置(positioning)を意味する。プライマーおよびプローブは、1〜約20ヌクレオチドに、より好ましくは、約1〜10ヌクレオチドに分離されることができ、または、重合に依存しない方法による検出に望ましいように、お互いに直接隣接することもできる。または、重合に依存する方法における使用のために、本方法が、本明細書で教示するようにPCR増幅および検出法において使用される場合、プライマー伸長が、プローブの開裂が起こるようにポリメラーゼの位置を定めるように、“隣接(adjacency)”は、増幅されるべき配列内のどこでも、プライマーの下流のどこでもあり得る。
本明細書で使用される“ハイブリダイゼーション”または“アニーリング”という語は、相補的な塩基対による2つの一本鎖核酸による複製構造の形成を意味する。
ハイブリダイゼーションは、相補的な核酸鎖の間で、または小さなミスマッチ領域を含む核酸鎖の間で起こり得る。核酸複製の安定性は、融点、または“Tm”によって測定される。Tmは、50%の塩基対が解離する温度(所定のイオン強度およびpH下で)である。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成およびオリゴヌクレオチドの配列、イオン強度、およびミスマッチ塩基対の発生率を含む、多くの可変性(variables)を経験的に考慮して、複製安定性を決定することができる。
完全に相補的な核酸鎖がハイブリダイズする条件を、“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”、または、“ストリンジェントなアニーリング条件”という。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当分野で周知である(例えば、サンブロック(Sambrook)ら、1985、モレキュラー・クローニング−ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、を参照)。一般的に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度およびpHにおいて、特異的な配列に関するTmより約5℃低くなるように選択される。典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7で少なくとも約0.2モル濃度であり、かつ、温度が少なくとも約60℃である条件であろう。ハイブリダイゼーション条件の厳しさ(stringeny)を緩和することにより、配列ミスマッチが許容され得るであろう;許容されるミスマッチの程度は、ハイブリダイゼーション条件の適当な調整によって制御され得る。
本明細書で使用する“標識”という語は、検出可能な(好ましくは定量可能な)シグナルをもたらすために使用することができ、かつ、核酸または蛋白質に付着することができる何らかの原子または分子を意味する。標識は、蛍光、放射能、比色計、重量測定、X線回折または吸収、質量分析、磁気、酵素活性等、によって検出可能なシグナルをもたらし得る。
本明細書で定義される“融点”という語は、プライマーの半分が、相補的な鎖(例えば鋳型)から変性される温度を意味する。いくつかの標準的な工程を用いて、紫外線ハイポクロミズム(hypochromism)に基づいて、例えば、バイオケミストリー(Biochemistry)−細胞構造および機能の分子基礎(The Molecular Basis of Cell Structure and Function)、第2版、レーニンガー、ワース・パブリッシャー社(Lehninger, Worth Publishers, Inc.)、1970, pp. 876-7、に記載の260nmでのスペクトルの観察によって、融点の決定が行われ得る。様々な融点決定法から、同じDNA分子についてわずかに異なる値が得られ得るが、それらの値は、約2または3℃より大きくは異ならないはずである。更に、融点を決定するための所定の方法では、TmLとTmHとの間の違いは、変わらないはずである。
本明細書で規定する、“5’−>3’ヌクレアーゼ活性”または“5’−3’(5’ to 3’)ヌクレアーゼ活性”は、それによりヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの5’末端から連続的に取り除かれる、いくつかのDNAポリメラーゼと伝統的に関連する5’−>3’エキソヌクレアーゼ(即ち、大腸菌DNAポリメラーゼIは、この活性を有するのに対し、クレノウ(Klenow)フラグメントは有さない)、または、開裂により、5’末端からホスホジエステル結合(ヌクレオチド)が1つより多く生じる5’−>3’エンドヌクレアーゼ活性、またはその両方を含む、鋳型特異的核酸ポリメラーゼの活性を意味する。
本明細書で使用する“核酸”および“オリゴヌクレオチド”という語は、検出されるべきプライマー、プローブ、およびオリゴマーフラグメントを意味し、かつ、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシーD−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、および、プリンもしくはピリミジン塩基のN−グリコシドであるか、または修飾されたプリンもしくはピリミジン塩基である、何らかの他のタイプのポリヌクレオチドの総称とするものとする。“核酸”および“オリゴヌクレオチド”とは、長さによって区別されるものではなく、これらの語は、互換性をもって使用されるであろう。これらの語は、分子の第一構造のみを意味する。よって、これらの語は、二本鎖および一本鎖DNA、ならびに、二本鎖および一本鎖RNAを含む。
“配列特異的プローブ”という語は、オリゴヌクレオチドに付着する蛍光体分子および消光体分子を含むプローブを意味する。本明細書で使用する、“消光(quenching)”または“蛍光エネルギー遷移”という語は、それにより、蛍光体分子および消光体分子が隣接する場合、蛍光体分子が励起する度に、励起状態のエネルギーの多くの部分が、消光体へ非発光的に(nonradiatively)遷移し、そこで、非発光的に消滅するか、または、蛍光体とは異なる発光波長で発光する工程を意味する。消光の効率が、蛍光体と消光体との近接度と強く相関することがよく知られている。即ち、2つの分子が近接するほど、消光効率は上昇する。消光が、レポーター分子と消光体分子との物理的近接度に強く依存する場合、消光体分子とレポーター分子が、お互いの少数のヌクレオチド内で、通常、約6−16ヌクレオチドの分離によって、プローブと付着しているはずであると考えられていた。例えば、リー(Lee)ら、核酸研究(Nucleic Acids Research)、21: 3761-3766 (1993); メーグニー(Mergny)ら、核酸研究(Nucleic Acids Research)、22: 920-928 (1994); カルデュロ(Cardullo)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、 85: 8790-8794 (1988); クレッグ(Clegg)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、90: 2994-2998 (1993); オザキ(Ozaki)ら、核酸研究(Nucleic Acids Research)、20: 5205-5214 (1992);等。典型的には、この分離は、レポーター−消光体対の1つの部分がプローブの5’末端に付着し、他の部分が、6−16ヌクレオチド離れた塩基に付着することによって達成される。
モノヌクレオチドが反応し、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’ホスフェートが、ホスホジエステル結合を介して、一方向で、その近くの3’酸素に付着するようにオリゴヌクレオチドを形成するので、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’ホスフェートが、モノヌクレオチドペントース環の3’酸素に結合しない場合、“5’末端”と呼ばれ、その3’酸素が、次のモノヌクレオチドペントース環の5’ホスフェートに結合しない場合、“3’末端”と呼ばれる。
オリゴヌクレオチドの正確な大きさは、多くの因子および決定的な関数(ultimate function)またはオリゴヌクレオチドの用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、何らかの適当な方法によって調製され得る。そのような方法としては、例えば、適当な配列のクローニングおよび制限、ならびに、ナラン(Narang)ら、1979、Meth. Enzymol. 68:90-99のホスホトリエステル法; ブラウン(Brown)ら、1979、Meth. Enzymol. 68:109-151のホスホジエステル法;ベウケージ(Beaucage)ら、1981、Tetrahedron Lett. 22:1859-1862のジエチルホスホラミド(diethylphosphoramidite)法;および米国特許第4,458,066号のような方法による直接化学合成を挙げることができる。合成法の概説は、グッドチャイルド(Goodchild)、1990、バイオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconjugate Chemistry) 1(3):165-187に記載されている。
小さなミスマッチ領域を除いて相補的な2つの一本鎖核酸を、“実質的に相補的”と呼ぶ。実質的に相補的な配列の適当な複製は、あまりストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件下で達成され得る。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さおよび塩基対濃度、イオン強度、ミスマッチ塩基対の発生率、を含む多くの可変性を経験的に考慮して、複製安定性を決定することができる。
“PCR試薬”という語は、PCRにおいて一般的に使用される何らかの試薬、即ち、各ターゲット核酸の対向する鎖に対する一組のプライマー、DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ共同因子(cofactor)、および2つ以上のデオキシリボヌクレオシドー5’−トリホスフェート(dNTP’s)を意味する。
本明細書に記載のPCR試薬は、ターゲット核酸の増幅をもたらすために提供され、PCRにおいて適当な濃度で使用される。DNAポリメラーゼの最少量は、一般的に、溶液100μl当たり少なくとも1単位であり、100μl当たり約4〜約25単位であることが好ましい。本明細書において、“単位”とは、10ナノモルの全ヌクレオチド(dNTP’s)を、74℃、30分で、伸長(extending)核酸鎖へ取り込むために必要とされる酵素活性の量と定義する。各プライマーの濃度は、少なくとも約0.025μモル濃度〜約1μモル濃度未満であり、約0.05〜約0.2μモル濃度であることが好ましい。すべてのプライマーは、ほぼ同じ量で(各10%以内の変動)存在する。共同因子は、一般的に、約1〜約15ミリモル濃度の量で存在し、各dNTPは、一般的に、反応混合物中で約0.15〜約3.5ミリモル濃度で存在する。体積排除剤は、少なくとも1質量パーセント、好ましくは約1〜約20質量%の範囲の量で存在する。材料の量を規定する際に使用される“約”という語は、示した量の+/−10%の変動を意味する。
PCR試薬は、個々に、または、何らかの適当な緩衝液を使用して、約7〜約9の範囲のpHを有する緩衝溶液と混合して、供給され得る。よって、PCRのための反応混合物は、低コピーターゲット核酸のような各ターゲット核酸のための一組のプライマー、各高コピーターゲット核酸のための一組のプライマー、任意の配列特異的プローブ、適当なdNTP’s、熱安定性DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼのための共同因子、1つ以上の体積排除剤、および、ターゲット核酸の増幅または最終的な(eventual)検出に有用であると、当業者が考えるであろう何らかの他の付加物、を含み得る。
“プライマー”という語は、核酸鎖と相補的なプライマー伸長生成物の合成を引き起こす条件下で、即ち、適当な温度において、適当な緩衝液中で、4つの異なるヌクレオシドトリホスフェートおよび重合のための試薬(即ち、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)の存在下で、DNA合成の開始点として作用し得る、天然または合成のオリゴヌクレオチドを意味する。“ペプチド核酸”のようなオリゴヌクレオチドアナログは、プライマーとして作用することができ、本明細書で使用される“プライマー”の意味に含まれる。プライマーは、好ましくは、一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの適当な長さは、目的とするプライマーの用途に依存するが、典型的には、6〜50ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は、鋳型とともに十分安定なハイブリッド複合体を形成するために、一般的に、より低温を要する。プライマーは、鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、鋳型とハイブリダイズするのに十分なほど相補的でなければならない。プライマーは、DNA合成の開始点として作用する、プライマーの基本的な性質は変えずに、プライマーの検出または固定を可能にする、更なる性質を有することができる。例えば、増幅された配列のクローニングに有用な制限酵素開裂部位をもたらすために、非相補的配列を、プライマーの末端に置くことができる。
“反応混合物”という語は、所定の反応を行うために必要な試薬を含む溶液を意味する。本明細書で使用される、増幅反応を行うために必要な試薬を含む溶液を意味する“増幅反応混合物”は、ターゲット核酸を増幅するために使用される様々な増幅試薬を含む水溶液を意味する。それら試薬は、プライマー、酵素、水性緩衝液、塩、ターゲット核酸、およびデオキシヌクレオシドトリホスフェート(従来型および非従来型の両方)を含む。状況に応じて、混合物は、完全または不完全反応混合物のいずれかであり得る。“PCR反応混合物”は、典型的には、適当な緩衝液中に、オリゴヌクレオチドプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ、dNTP’s、および二価金属カチオンを含む。
反応混合物は、反応を可能にするのに必要なすべての試薬を含む場合、完全と呼ばれ、必要な試薬の一部(subset)しか含まない場合、不完全と呼ばれる。利便性、保存安定性のため、および、用途に応じて成分の濃度を個別に調製することを可能にするために、全成分の一部を含む反応成分を、慣例的に別々の溶液として保存し、更に、完全な反応混合物を調製するために、反応前に反応成分を混合することが、当業者に理解されるであろう。
本発明による典型的なPCR反応混合物は、ターゲット核酸のための一組以上のプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ(上記)、複数のdNTP’s(例えば通常の4つのdNTP’s)、および1つ以上の水溶性または水膨潤性の非イオン性重合体体積排除剤、を最低限含む。
本明細書で使用する“プローブ”という語は、プローブ中の少なくとも1つの配列とターゲット領域中の配列との相補性により、ターゲット核酸中の配列と二重らせん構造(duplex structure)を形成する、標識されたオリゴヌクレオチドを意味する。プローブは、ポリメラーゼチェーン反応を開始するために使用される配列(類)と相補的な配列を含まないことが好ましい。一般に、プローブの3’末端は、プローブがプライマー伸長生成物内に取り込まれることを妨げるために、“ブロックされる(blocked)”であろう。“ブロッキング(blocking)”は、非相補的な塩基を使用することによって、または、選択された部分によって、その後の検出のためのラベルとして、もしくは、標識に付着した核酸の捕獲部(capture)としても作用することにより、2つの(dual)目的に役立ち得る、最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシルへ、ビオチンまたはホスフェート基のような化学的な部分を加えることによって行われ得る。ブロッキングは、3’−OHを取り除くことによって、または、ジデオキシヌクレオチドのような、3’−OHを持たないヌクレオチドを使用することによっても行われ得る。
本明細書において使用される“ターゲット配列”および“ターゲット核酸配列”という語は、増幅および/または検出されるべきオリゴヌクレオチドの領域を意味する。ターゲット配列は、増幅のために使用される2つのプライマー配列の間にある。
“ターゲット核酸”は、プラスミドを含む様々な供給源から得られ得る核酸、および、何らかの供給源(例えば、バクテリア、酵母、ウイルス、植物、高等動物もしくはヒト)からの天然由来の(naturally occurring)DNAまたはRNAを意味する。それは、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、他の組織材料または当分野で既知の他の供給源を含む様々な組織から、既知の工程を用いて抽出され得る。ゲノムDNA、バクテリアDNA、プロウイルスDNA、菌性DNA、ウイルスDNA、または、バクテリアもしくはウイルスに感染した細胞、動物細胞、植物細胞、もしくはヒト細胞において見出されるDNAまたはRNAにおいて見出される核酸配列の共増幅および検出に、本発明は特に有用である。
ローレ(Laure)ら、The Lancet, pp. 538-540 (1988年9月3日)、マニアティス(Maniatis)ら、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning):ラボラトリー・マニュアル(A Laboratorv Manual)、pp. 280-281 (1982)、グロス−ベランド(Gross-Belland)ら、Eur. J. Biochem.、36、32 (1973)、およびUS-A-4,965,188(上記)に記載のものを含む、様々な工程が、当分野で知られている。全血またはその成分からのDNAの抽出は、例えば、EP-A-0 393 744、ベル(Bell)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78(9)、pp. 5759-5763 (1981)、サイキ(Saiki)ら、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology)、3、pp. 1008-1012 (1985)、およびUS-A-5,231,015(クミンス(Cummins)ら)に記載されている。特別な抽出工程は、本発明の実施に必須ではない。
増幅および検出されるべきターゲット核酸は、通常、二本鎖型なので、プライミングが行われ得る前に、二本鎖を分離(即ち、変性)しなければならない。これは、抽出工程中に行うことができるが、好ましくは、その後の分離段階で行う。適当な温度(“第一温度”という)への加熱は、変性のための好ましい手段である。一般に、適当な時間、例えば、1秒〜約240秒(好ましくは1秒〜約40秒)の間、この第一温度は、約85〜約100℃の間である。この初期変性段階はまた、第一増幅サイクルに含まれ得る。そのような場合、変性は、第一サイクルにおいてより長く行われ得るのに対し(例えば、240秒まで)、その後のサイクルでは、かなり短い変性段階を行い得る(例えば、30秒まで)。
“熱安定性DNAポリメラーゼ”という語は、熱に対して比較的安定であり、かつ、ターゲット配列の核酸鎖の1つと相補的なプライマー伸長生成物を形成するために、ヌクレオシドトリホスフェートの重合に触媒作用を及ぼす酵素を意味する。その酵素は、プライマーの3’末端で合成を開始し、合成が終了するまで、鋳型の5’末端に向かう方向に進行する。精製された熱安定性DNAポリメラーゼは、テルムス(Thermus)属、ピロコッカス(Pyrococcus)属、サーモコッカス(Thermococcus)属、およびサーモトガ(Thermotoga)属、好ましくは、テルムス・アクアチクス(Thermus aquaticus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ピロコッカス・ウォエセイ(Pyrococcus woesei)、ピロコッカス(Pyrococcus) spec. (KOD1株)、ピロコッカス(Pyrococcus) spec. GB-D、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus Litoralis)、サーモコッカス(Thermococcus) sp. 9.度(degree). N-7、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritime)、ピロコッカス(Pyrococcus) spec. ES4 (エンデアボリ(endeavori))、ピロコッカス(Pyrococcus) spec. OT3 (ホリコシイ(horikoshii))、ピロコッカス・プロフンダス(Pyrococcus profundus)、サーモコッカス・ステッテリ(Thermococcus stetteri)、サーモコッカス(Thermococcus) spec. AN1 (ジリジイ(zilligii))、サーモコッカス・ペプトノフィルス(Thermococcus peptonophilus)、サーモコッカス・セレー(Thermococus celer)、および、サーモコッカス・フミコランス(Thermococcus fumicolans)、から選択され得る。“熱安定性酵素”という語は、熱に対して比較的安定な酵素を意味する。熱安定性酵素は、活性の不可逆的損失を受けることなく、典型的には50℃より高温の、変更遺伝子群(modifier groups)を除去するために使用される高温インキュベーションに耐え得る。本発明の方法において使用可能な、改質された(modified)熱安定性酵素には、熱安定性DNAポリメラーゼおよび熱安定性リガーゼが含まれる。
“被検物(test specimen)”という語は、検出され得るゲノムDNAまたはRNAを含む、細胞もしくはウイルス材料、髪、体液、または他の材料を意味する。
本明細書において使用される“上流”および“下流”という語は、ターゲット配列に沿ったプライマー結合部位の位置を意味する。上流プライマーは、ターゲット配列の非コード鎖とハイブリダイズし、それにより、ターゲット配列のコード鎖に続く増幅された配列の5’末端を形成する。同様に、下流プライマーは、ターゲット配列のコード鎖とハイブリダイズし、それにより、ターゲット配列の非コード鎖に続く増幅された配列の3’末端を形成する。
本明細書で定義される“体積排除剤”という語は、1つ以上の水溶性または水膨潤性の非イオン性重合体体積排除剤を意味する。
体積排除剤が重合体であるということは、それらが、典型的には複数の繰り返し単位を含むことを意味し、それらは、一般的に、約1000〜約2,000,000ダルトンの平均分子量、好ましくは、約3000〜約500,000ダルトンの分子量を有する。
本発明を実施する際に体積排除剤として使用され得る、有用な種類の材料は、それらに限定されないが、ポリエーテル、単糖(例えばデキストロースまたはグルコース)とエピクロロヒドリンとの反応生成物、多糖類、ポリアクリレート、および当業者に容易に理解される類似の材料を含む。
本発明によれば、ポリエーテルが好ましい。それらは、一般に、以下の式によって表され得る。
式中、Rは、分岐または未分岐の、1〜6個の炭素原子の二価アルキレン架橋であり、nは、15〜1000の整数(重量平均に基づく)である。例えば、Rは、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、3−ヒドロキシ−1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,3−ブチレン、1,2−へキシレン、および当業者に容易に理解されるであろう他の二価アルキレン基であり得る。好ましくは、Rは、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)におけるように、1,2−エチレンまたは1,2−プロピレンであり、それらは、通常、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)としてそれぞれ知られている。
上記式中、整数“n”は、単量体単位分子量で割った、化合物の重量平均分子量を表す。前記段落に記載の好ましい化合物の場合、平均分子量は、少なくとも約1000であり、好ましくは少なくとも約3000であり、そして、一般的には約20,000までである。当業者は、所定の化合物について、単位の適当な“n”数および化合物の重量を、容易に決定することができる。一般に、nは、15〜1000の整数である。分子量を規定する際に使用される“約”という語は、+/−10%の変動を意味する。
体積排除剤は、1質量%〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、もっとも好ましくは1〜8質量%の量で使用される。
最も好ましいものは、約8000の平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(PEG8000)であり、1質量%〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の量で使用される。
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、または、他のアルキレンオキシド、または、ポリグリシドールを含む、ジオール、トリオール、糖類もしくは酸類のような様々な部分の縮合生成物も、ポリエーテルの定義に含まれる。そのような材料は、非イオン界面活性剤または洗浄剤として、当分野で周知であり、必要とされる水溶性または水膨潤性パラメーターをもたらすので、本発明に有用であり得る。
本発明による別の好ましい体積排除剤は、デキストランである。デキストランは、バクテリアの副産物である;デキストラン高分子は、末端同士で結合した(end-to-end linked)グルカン基からなる。デキストランの生合成は、様々なバクテリアにおいて、特に、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans), ロイコノストク・メセンテロイドズssp.メセンテロイドズ(Leuconostoc mesenteroides ssp. Mesenteroides)、および、ロイコノストク・メセンテロイドズssp.デキストラニクム(Leuconostoc mesenteroides ssp. Dextranicum)において行われてきた。分子の加水分解を制限して分画することよって、異なる分子量のものを得ることができる。例えば、天然の高分子量デキストラン(Mr 1.5 x 104 − 5 x 107、α−D−グルコースから得られる)は、メタノールまたはアセトンによって沈殿させることにより精製した後、酸性条件下、約100℃の温度で加水分解され、40,000〜60,000の範囲の分子量の画分が得られ得る[レムペ(Roempp)、Lexikon der Biochemie und Molekularbiologie、Georg Thieme Verlag、シュトゥットゥガルト(Stuttgart)、2000、およびそこで引用されている文献]。
本発明の実施に有用な非イオン性多糖類には、グリコーゲンおよび当業者に容易に理解される他のものが含まれる。
有用なポリアクリレートの例には、それらに限定されないが、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート)、および当業者に容易に理解される他のものが含まれる。
本発明の増幅法は、反応混合物の温度が、所望の回数にわたって制御されて循環するように、連続的かつ自動的に行われることが好ましい。当業者が知っているように、多くの装置は、この目的のために開発された。好ましくは、使用される装置は、第一および第二増幅サイクルの両方のためにプログラム可能でもあるであろう。
この目的のためのそのような装置の1つについて、いくつかの詳細が、US-A-4,965,188およびEP-A-0 236,069に記載されている。一般に、この装置は、反応混合物を含む多くの反応管を保持するための熱伝導性容器、加熱、冷却、および温度維持のための手段、ならびに、増幅配列、温度およびタイミングの変化を制御するためのシグナルを発生するためのコンピューティング(computing)手段を含む。
EP-A-0 402 994には、US-A-5,089,233(デバネイ(Devaney), Jr.ら)に記載の装置を用いて処理され得る有用な化学的テストパックの詳細が記載されている。その内容は、本明細書に開示として援用される。そこには、本発明の方法に適した、繰り返し間隔で(即ち、サイクルを通して)テストパックを加熱冷却するための手段も記載されている。更に、有用なPCR処理装置に関する詳細が、当分野の多くの文献に記載されており、当業者に容易に理解されるであろう。
その方法は、上記の化学的テストパックのほかに、US-A-4,902,624(コロンブス(Columbus)ら)、US-A-5,173,260(ザンダー(Zander)ら)、およびUS-A-5,229,297(シュニペルスカイ(Schnipelsky)ら)(これらすべての内容は、本明細書に開示として援用される)に、より詳細に記載されているような他の容器および当業者に容易に理解される何らかの他の適当な容器において行うことができる。そのようなテストパックは、本発明の方法で使用される様々な試薬のための別々の区画を有する、内蔵型テスト装置としても知られている。それら区画は、試薬およびアッセイ溶液が、装置を開放することなく、適当なときに捕獲試薬(capture reagent)と接触し得るように、適当に接続されている。
増幅された生成物の検出は、US-A-4,965,188(上記)に記載されているようなサザンブロッティング技術を含む、何らかの既知の方法を用いて、または、当分野で既知の標識されたプローブもしくはプライマーを用いることによって行われ得る。
上記の態様に代えて、増幅された生成物は、プライマー伸長生成物の1つと相補的な標識されたオリゴヌクレオチドを用いて検出され得る。オリゴヌクレオチドに標識を付けるための工程は、周知である。有用な標識には、酵素、フェリチンおよび他の磁気粒子、開裂し得るマスタグ(masstags)、放射性同位体、化学発光試薬(例えばルミノール)、ビオチンならびに様々なフルオロゲン(fluorogens)およびクロモゲンが含まれる。有用な酵素標識には、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが含まれる。酵素のような様々な標識のための基質および色素供給試薬も既知である。
臭化エチジウムまたはSYBR Green(商標)のようなインターカレーティング(intercalating)蛍光色素を用いて、かつ、蛍光標識された配列特異的プローブまたは蛍光標識されたプライマーを用いて、蛍光によって、PCR生成物を検出することが好ましい。
その方法で使用される各プライマーセットのプライマーの1つを、特異的結合部分(specific binding moiety)によって標識することも可能である。この部分は、様々なプライマーについて同じでも異なっていてもよく、この部分と特異的に反応する特異的結合レセプターを有する何らかの分子を含み得る。特異的結合対(一方は標識であり得る)の例には、それらに限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン、糖/レクチン、抗体/ハプテン、抗体/抗原、および、当業者に容易に理解される他のものが含まれる。次いで、レセプター分子は、酵素、放射性同位体、およびオリゴヌクレオチドについて先に記載した他のもののような、適当な検出可能な標識部と結合する。
より好ましくは、各プライマーセットのプライマーの一方または両方は、ビオチン(またはその対応する誘導体)によって標識され、そして、増幅された生成物は、ストレプトアビジンとホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素との結合を用いて検出される。
しかし、蛍光色素を有するプライマーが最も好ましい。
本発明の不均一検出系において、増幅された生成物は、何らかの水不溶性基質上に捕獲され、そして、反応混合物中のその他の材料は、濾過、遠心分離、洗浄または他の分離技術等の適当な方法によって除去される。
捕獲プローブは、既知の付着技術(吸着および共有反応(covalent reactions))を用いて、水不溶性支持体に付着し得る。そのような技術の1つは、EP-A-0 439 222(1991年9月18日公開)に記載されている。他の技術は、例えば、US-A-4,713,326(ダッタグプタ(Dattagupta)ら)、US-A-4,914,210(レベンソン(Levenson)ら)、およびEP-B-0 070 687(1983年1月26日公開)に記載されている。有用な分離手段には、パル社(Pall Corporation)から市販されているポリアミド微小孔膜のような膜による濾過が含まれる。
しかし、何らかの有用な固体支持体は、捕獲プローブおよび最終的なハイブリダイゼーション生成物を固定するために使用され得る。それらには、いくつか例を挙げると、マイクロタイタープレート、試験管、ビーカー、磁気粒子または重合体粒子、金属、セラミック、およびグラスウールが含まれる。特に有用な材料は、捕獲プローブと共有結合するのに有用な反応基を有する磁気粒子または重合体粒子である。そのような粒子は、一般に、約0.001〜約10μmである。そのような材料の例についての更なる詳細は、US-A-4,997,772(スットン(Sutton)ら)、US-A-5,147,777(スットン(Sutton)ら)、US-A-5,155,166(ダニエルソン(Danielson)ら)、およびUS-A-4,795,698(オーエン(Owen)ら)(これらすべての内容は、本明細書に開示として援用される)に記載されている。
捕獲プローブは、重合体フィルム、膜、濾紙、または樹脂被覆紙もしくは未被覆紙のような平坦な支持体に固定され得る。重合体粒子に固定された捕獲プローブは、適当な方法で、例えば、乾燥させた沈殿物として、そのような平坦な支持体上に固定することもでき、または、加熱溶融により、もしくは接着剤によって、接着させることもできる。捕獲プローブは、例えば、本発明の内蔵型テスト装置において、平坦な支持体に固定され得る。そのような材料の他の詳細は、EP-A-0 408 738(1991年1月23日公開)、WO 92/16659(1992年10月1日公開)、およびUS-A-5,173,260(スットン(Sutton)ら)に記載されている。
捕獲プローブは、例えば、円形の沈殿物の列またはストライプ等の何らかの配置で、適当な支持体上に配列され得る。
本発明は、捕獲試薬を必要とすることなく、多数のターゲット核酸が同時に検出される、“均一”増幅法として知られている方法でも使用され得る。そのようなアッセイの詳細は、当分野で既知であり、例えば、EP-A-0 487 218(1992年5月27日公開)およびEP-A-0 512 334(1992年11月1日公開)に記載されている。
本発明の増幅反応組成物は、様々な増幅アッセイに有用なキットの1つの個別に包装された成分として含まれ得る。そのキットは、水不溶性基質上に固定された捕獲試薬、洗浄溶液、抽出溶液、検出試薬、および当業者に容易に理解される他の材料を含む、本発明の方法において有用な他の試薬、溶液、装置および器具を含み得る。
上記問題は、2つ以上のターゲット核酸の共増幅のための方法によって克服される。その方法は、少なくとも15回の第一増幅サイクルを含み、それぞれの第一増幅サイクルは、米国特許第5,705, 366号(その内容は本明細書に開示として援用される)に記載されているように、以下の連続的な段階を含む:
A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、
B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得る、修飾されていないか、または修飾されている(例えば、蛍光体部を有する)プライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、および、
C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤およびDNAポリメラーゼを含む。
本発明は、更に、2つ以上のターゲット核酸の共増幅および1つ以上のターゲット核酸の検出のための方法を提供する。その方法は、少なくとも15回の第一増幅サイクルを含み、それぞれの第一増幅サイクルは、以下の連続的な段階を含む:
A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、
B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得るプライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、
C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤およびDNAポリメラーゼを含む、ならびに、
D)最後の第一増幅サイクル後の、1つ以上のターゲット核酸の表示(indication)としての1つ以上のプライマー伸長生成物の検出。
更に、約7.5〜約9のpHへ緩衝液で処理される増幅反応組成物は:
1つ以上のプライマーセット、
熱安定性DNAポリメラーゼ、
複数のdNTP’s、および
1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、
を含む。
更に、本発明は、以下の連続的な段階を含む方法を提供する:
A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、
B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得る、修飾されていないか、または修飾されている(例えば、蛍光体部を有する)プライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、ならびに、
C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、ホットスタートDNAポリメラーゼ、および、プライマー結合領域内で結合してハイブリダイゼーション後に蛍光シグナルを発生する配列特異的プローブ、を含む。
本発明は、更に、2つ以上のターゲット核酸の共増幅および1つ以上のターゲット核酸の検出のための方法を提供する。その方法は、少なくとも15回の第一増幅サイクルを含み、それぞれの第一増幅サイクルは、以下の連続的な段階を含む:
A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、
B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得るプライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、
C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、ホットスタートDNAポリメラーゼ、および、プライマー結合領域内で結合してハイブリダイゼーション後に蛍光シグナルを発生する配列特異的プローブ、を含む、ならびに、
D)各増幅サイクルまたは最後の第一増幅サイクル後の増幅サイクルにおける反応中の、1つ以上のターゲット核酸の表示としての1つ以上のプライマー伸長生成物の検出。
更に、約7.5〜約9のpHへ緩衝液で処理される増幅反応組成物は:
1つ以上のプライマーセット、
熱安定性ホット−スタートDNAポリメラーゼ、
複数のdNTP’s、ならびに
1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、および、プライマー結合領域内で結合してハイブリダイゼーション後に蛍光シグナルを発生する配列特異的プローブ、
を含む。
本発明のキットは、
a)任意に1つ以上のプライマーセット、
熱安定性ホット−スタートDNAポリメラーゼ、
複数のdNTP’s、および、
1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、
を含む、約7.5〜約9のpHへ緩衝液で処理された増幅反応組成物、
b)水不溶性基質上に固定されたオリゴヌクレオチドを含む捕獲試薬、
を、個別に包装された状態で、または、それら成分の全部または一部を含む混合物として含む。
更に、内蔵型テスト装置は、
a)1つ以上のプライマーセット、
熱安定性ホット−スタートDNAポリメラーゼ、
複数のdNTP’s、および、
1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは1〜8質量%の非イオン性重合体体積排除剤、
を含む、約7.5〜約9のpHへ緩衝液で処理された増幅反応組成物、ならびに、
b)水不溶性基質上に固定されたオリゴヌクレオチドを含む捕獲試薬、
を、別々の区画中に含み、増幅後に、テスト装置を開放することなく、増幅反応組成物が捕獲試薬と接触し得るように、テスト装置中に接続されている。
本発明は、ある核酸を、共増幅される1つ以上の他の核酸の混合物中で優先的に増幅するための、きわめて迅速かつ効率的な方法を提供する。例えば、本発明は、増幅された高コピーターゲット核酸に対して、低コピーターゲット核酸を優先的に増幅および検出するために用いることができる。そのような場合、高コピーターゲット核酸による低コピーターゲット核酸の増幅の阻害は、低減される。他の場合、本発明は、様々な理由から、他のターゲット核酸に対して、1つのターゲット核酸の増幅を操作するために使用され得る。更に別の例では、PCR生成物の大きさやプライマー結合および伸長の効率の違いのような理由から、1つ以上のターゲット核酸の増幅が好ましい場合であっても、ターゲット核酸の共増幅を効率的に行うことができる。
少なくとも1つの増幅サイクルにおいて、増幅反応混合物内に水溶性または水膨潤性の非イオン性重合体体積排除剤を含むことによって、本発明の利点が得られる。この試薬の存在により、ユーザーが、核酸の効率的な増幅に要するプライマーの量を効率的に低減することができ、これにより、律速反応物質(rate limiting reactant)となり得るプライマー濃縮物の存在下で、または、等モルプライマー濃縮物の存在下でも、効率的に共増幅を行うことができる。
また、体積排除剤も、低コピーターゲット核酸と比べて高コピーターゲット核酸の増幅効率を更に低下させる、増幅反応生成物の再生速度を早める。
材料および方法
実施例1および2:実施例1および2において使用されるプライマーは、ネズミのゲノムの位置PKC、SLP-65、ILGFMAR、c-fos、N-ras、fas、CD19およびCD5に対して特異的であり、かつ、表1に記載の配列を有する:
自動MJリサーチPTC−200サーモサイクラー(MJ Research PTC-200 Thermocycler)を用いて、PCRを行った。
ホット−スタートDNAポリメラーゼとして、HotStarTaq(キアゲン(QIAGEN)、ヒルデン(Hilden)、ドイツから市販されている)を使用した。このポリメラーゼは、米国特許出願第6,183,998号に対応する欧州特許出願第99 110 426号(これらの内容は、本明細書に開示として援用される)に従って得ることができる。鋳型としては、NIH3T3細胞からのマウスゲノムDNAを使用した。
それらの反応は、Tris−HCl、pH8.7、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化マグネシウム、各dNTP、2.5Uの記載の熱安定性DNAポリメラーゼならびにフォワード(forward)プライマーおよびリバース(reverse)プライマーそれぞれ0.2μMを含む反応緩衝液中で行われた。
市販のPEG8000(約8000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール)を、体積排除剤として使用した。
更に、35,000〜45,000ダルトンの平均分子量を有する、市販のデキストラン(乳酸菌メセンテロイドズ(Leuconostoc mesenteroides)由来、シグマ(Sigma)製)を使用した。
表2の上欄に、ホット−スタートポリメラーゼおよびデキストランを含む反応のPCR生成物収率の比較を示す。更に、異なる条件でのシグナル強度の増加(体積排除剤なしで得られたシグナルで体積排除剤を含むサンプルからのシグナルを割った比率)を示す。表2の下欄に、ホット−スタート法ではない方法の場合のデータを示す。
表3の上欄に、ホット−スタートポリメラーゼおよびPEG8000を含む反応のPCR生成物収率の比較を示す。体積排除剤なしで得られたシグナルで体積排除剤を含むサンプルからのシグナルを割った、異なる条件でのシグナル強度の比率を示す。表2および表3における“N.D.”という表示は、生成物が得られなかったか、または、分析するのに十分なほど生成物が得られなかったため、“測定不能”であったことを意味する。
実施例3:
実施例3で使用した5’−3’ヌクレアーゼアッセイのためのプライマーおよび配列特異的プローブは、ヒトゲノムの位置CSBGおよびc-mycに対して特異的であった。配列を、表4に示す。プローブを、5’末端において蛍光色素で修飾し、3’末端において、5’末端に付着した色素の蛍光を強力に消光する非蛍光分子である、ブラック・ホール・クエンチャー(Black Hole Quencher)(商標)によって修飾した。更に、それらは、DNAポリメラーゼによる伸長を妨げるために、3’−OHの代わりに、3’末端に、ホスフェート基を含んでいた。CSBGに対するプローブは、5’末端に、蛍光色素6−FAMを含んでおり、かつ、ブラック・ホール・クエンチャー1(Black Hole Quencher 1)(商標)が、3’末端に付着していた。c-mycに対するプローブは、5’末端に結合した色素HEXを含んでおり、かつ、ブラック・ホール・クエンチャー(Black Hole Quencher)(商標)1を、3’末端に含んでいた。
実施例3における反応は、反応化学として、QuantiTectプローブPCRキット((キアゲン(QIAGEN))を用いて行われた。プライマー濃度0.2μMの各フォワードおよびリバースプライマーならびに表4に示す配列特異的プローブ0.2μMを使用した。
市販のPEG8000(約8000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール)を、体積排除剤として使用した。
これらの結果から、共増幅反応において、体積排除剤とホット−スタートポリメラーゼとを組み合わせて使用すると、PCR生成物の生成物収率が劇的に増加するか、または、PCR効率が増加し、Ct値の低下をもたらすことが、明らかに示された。これは、体積排除剤なしでは、増幅が少ないことを示す。同じ効果は、HotStarTaq(キアゲン(QIAGEN))のような、一時的に化学的に活性化されているホットスタート酵素ならびに抗体遮断(antibody-blocked)酵素(データは示さず)でも観察された。体積排除剤なしでも十分な収率が得られるPCR生成物における体積排除剤のマイナスの効果は認められなかった(表2および表3)。一方、ホット−スタートなしで標準的なTaqポリメラーゼ(キアゲン(Qiagen))を含む試料のPCR効率は、体積排除剤の有無にかかわらず、増幅効率の低下を示した。実施例1および実施例2では、8つのPCR生成物の中の1つだけを、何とか検出することができた。
実施例および反応条件を以下に説明し、実際に使用する場合の本発明の工程を示す。これらの実施例は、ホット−スタートDNAポリメラーゼと組み合わせた場合にPCRを特に改善する体積排除剤の複合的なPCR増強効果を示す。但し、以下に示す本発明の実施例は、説明目的のためにだけ示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。前述の説明および以下の実施例を読んだ当業者は、請求項の範囲内で、本発明の様々な態様を理解するであろう。特に断りがない限り、すべてのパーセンテージは、質量パーセントである。
実施例
実施例1および2:
鋳型としてNIH3T3細胞からのマウスゲノムDNA10ngを使用して、区別できる大きさ(表3)のPCR生成物が得られる、ネズミのゲノムの位置PKC、SLP-65、ILGFMAR、c-fos、N-ras、fas、CD19、およびCD5(表3参照、8個の部分を有する(8-plex)PCRと呼ぶ)に対して特異的な8つの異なるプライマー対を含む反応において、複合PCRにおけるホット−スタートDNAポリメラーゼと体積排除剤との組み合わせの効果を研究した。PCRサイクルプロトコルは、初期変性/ホット−スタートポリメラーゼ活性化段階[HotStarTaq(キアゲン(QIAGEN))に対して15分95℃、標準的なTaqポリメラーゼ(キアゲン(QIAGEN))に対して2分95℃]、および、35サイクル(30秒94℃、45秒61℃、90秒72℃)、および、最終伸長段階(15分68℃)からなる。MJリサーチPTC-200サーモサイクラー(MJ Research PTC-200 thermocycler)において、PCRを行った。
すべての反応を、最終体積50μlで行った。Tris−HCl、pH8.7、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化マグネシウム、各dNTP、2.5Uの記載の熱安定性DNAポリメラーゼ、ならびに、表1に示すフォワードプライマーおよびリバースプライマーそれぞれ0.2μMを含む反応緩衝液中で、複製反応を行った。更に、異なる濃度の体積排除剤を、反応に加えた。実施例1の反応は、記載したように平均分子量35,000〜45,000のデキストラン、0、1、3、または6質量%を更に含んでいた。実施例2の反応は、0、1、3、または6質量%のPEG−8000を含んでいた。
各反応のアリコート(10μl)を、1.3%アガロースゲル上で分析し、生成物収率を、デンシトメトリーによって求めた。最も高い生成物収率を示した試料を100%とした。
実施例3:
2つの異なるプライマーセット、ならびに、ヒトゲノムの位置CSBGおよびc-myc(表5参照)に対する配列特異的プローブ、ならびに、鋳型としてヒトゲノムDNA10ngまたは1ngを含む反応混合物中で、複合PCRにおけるホット−スタートDNAポリメラーゼと体積排除剤との組み合わせの効果を研究した。PCR反応は、QuantiTectプローブPCRキット(キアゲン(QIAGEN))を用いて行われ、0(基準)、1、3、または6質量%のPEG−8000を含んでいた。実施例1および2から、標準的なTaqを用いるホット−スタート法ではない方法の使用は、複合PCRではうまくいかないことが明らかに示され、この実施例における実験は、ホットスタートポリメラーゼを用いて行った。
PCRサイクルプロトコルは、初期変性/ホット−スタートポリメラーゼ活性化段階[QuantiTectプローブPCRマスターミックスに含まれるホット−スタートポリメラーゼHotStarTaq(商標)に対して15分95℃]、および、40サイクル(30秒94℃変性、60秒60℃の組み合わせたアニーリング/伸長段階)からなる。
複合PCRは、リアルタイム複合PCRとして、最終体積20μl中で、7900HTシーケンスディテクションシステム(Sequence Detection System)(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))および384ウェルブロックモジュールを用いて行われ、そして、反応中に、蛍光データを収集した。
この実施例において使用した配列特異的プローブは、各PCRサイクル中、そのターゲット配列とのハイブリダイゼーションにおいて、HotStarTaq(商標)の5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって開裂される。本発明の使用は、このプローブに限定されない。ハイブリダイゼーションプローブズ(Hybridisation Probes)(FRET−プローブズ(FRET-Probes))、モレキュラービーコンズ(Molecular Beacons)、スコーピオンズ(Scorpions)、のような、当分野で既知のリアルタイムPCRに適合する他の種類の配列特異的プローブ、またはやがて開発される(upcoming)新たなプローブ技術、の使用も、とり得る態様である。
5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によるプローブの開裂によって、プローブの5’末端に付いた蛍光色素の蛍光強度の増加をもたらす、蛍光色素と消光体分子との分離が引き起こされる。PCR後、各PCR生成物の増幅の後に、各色素の蛍光シグナルの変化が起こり得る。
増幅プロットと呼ばれる、PCRサイクル数に対する蛍光の変化を示す曲線を得るために、7900HTを備えたソフトウェアを使用した。ソフトウェアを使用して、2つの蛍光体のそれぞれに対して、閾値サイクル(threshold cycle)(Ct)を規定した。データ分析のために、受動的な(passive)参照色素を、“なし(none)”とした。
Ct値は、PCR反応の効率および開始(starting)鋳型分子の数に関する測定値である。異なる実験条件を比較する場合、実験条件が改善されると、Ct値が低下する。実施例3の結果を、表5にまとめる。
この表5では、実施例3に記載の実験の、PEG−8000ありまたはなしで増幅された試料の閾値サイクル数(Ct値)が示されている。3つのCt値の平均および変動係数を示す。
平均Ct:3つの反応の平均Ct
Cv:変動係数
8個の部分を有する(8-plex)PCR生成物のアガロースゲル分析からのデータを示す。 8個の部分を有する(8-plex)PCR生成物のアガロースゲル分析からのデータを示す。

Claims (16)

  1. 異なる配列組成を有し、かつ、比較され得るコピー数で存在し、最も低いコピー数と最も高いコピー数との差は最大で10倍である、2つ以上のターゲット核酸の共増幅のための方法であって、少なくとも15回の第一増幅サイクルを含み、各増幅サイクルは、以下の連続的な段階を含む、前記方法:
    A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、
    B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得る、修飾されていないか、または修飾されているプライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、ならびに、
    C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
    但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%の非イオン性重合体体積排除剤、ホットスタートDNAポリメラーゼ、および、プライマー結合領域内で結合してハイブリダイゼーション後に蛍光シグナルを発生する配列特異的プローブ、を含む。
  2. 異なる配列組成を有し、かつ、比較され得るコピー数で存在し、最も低いコピー数と最も高いコピー数との差は最大で10倍である、2つ以上のターゲット核酸の共増幅のための方法であって、少なくとも15回の第一増幅サイクルを含み、各増幅サイクルは、以下の連続的な段階を含む、前記方法:
    A)ターゲット核酸またはそれらのプライマー伸長生成物の鎖の変性のための、2つ以上のターゲット核酸の反応混合物またはそれらのプライマー伸長生成物の、第一温度、T1、における加熱、ならびに、
    B)第二温度、T2、に冷却することによる、増幅されるべき各ターゲット核酸の対向する鎖に特異的であり、かつ対向する鎖とハイブリダイズし得るプライマーのセットを用いる、変性された鎖のプライミング、ならびに、
    C)段階B)の続きとして、または独立した段階における、第三温度、T3、におけるインキュベーションによる、PCR試薬の反応混合物におけるプライマー伸長生成物の形成(但し、プライミングおよびプライマー伸長生成物の形成が同じ段階において行われる場合、T2およびT3は同じである)、
    但し、第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物は、1〜20質量%の非イオン性重合体体積排除剤、ホットスタートDNAポリメラーゼ、および、任意に、プライマー結合領域内で結合してハイブリダイゼーション後に蛍光シグナルを発生する配列特異的プローブ、を含む、ならびに、
    D)各増幅サイクルまたは最後の第一増幅サイクル後の増幅サイクルにおける反応中の、1つ以上のターゲット核酸の表示としての1つ以上のプライマー伸長生成物の検出。
  3. 第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物が、非イオン性重合体体積排除剤を1〜15質量%含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第一増幅サイクルの少なくとも1つにおいて、反応混合物が、非イオン性重合体体積排除剤を1〜8質量%含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 体積排除剤が、ポリエーテル、糖とエピクロロヒドリンとの反応生成物、多糖、およびポリアクリレートからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 体積排除剤が、一般式:
    (式中、Rは、分岐または未分岐の、1〜6個の炭素原子のアルキレン架橋であり、nは、15〜1000の整数である。)
    のポリエーテルの群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. Rが、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、3−ヒドロキシ−1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,3−ブチレン、または1,2−へキシレンを表すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. ポリエーテルが、ポリ(エチレングリコール)であることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. ポリ(エチレングリコール)が、1000〜2000000の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. ポリ(エチレングリコール)が、3000〜500000の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. ポリ(エチレングリコール)が、8000+/−10%の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  12. 体積排除剤がデキストランであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  13. デキストランが、1000〜2000000の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. デキストランが、3000〜500000の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  15. デキストランが、40000〜60000の範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  16. ポリアクリレートが、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)またはポリ(2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート)であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
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