この発明の一実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
この実施形態は、図1に示すような赤外線会議システム10にこの発明を適用したものであり、当該赤外線会議システム10は、主装置としての1台のセンタ装置12と、中継装置としての1台以上(図1においては複数台)の送受光装置14,14,…と、端末装置としての複数台(N台)の端末装置16,16,…とを、具備する。このうち、センタ装置12は、例えば会議室の隅に設置され、各送受光装置14,14,…は、同会議室の天井または壁面に互いに適宜の間隔を置いて取り付けられる。これらセンタ装置12と各送受光装置14,14,…とは、同軸ケーブル18によって互いに接続されている。なお、図1においては、説明の便宜上、センタ装置12と各送受光装置14,14,…とが1本の同軸ケーブル18によって接続された状態になっているが、実際には、個別の複数本の同軸ケーブル18によって、或いは図示しない混合分配器をも介して、接続されている。そして、各端末装置16,16,…は、同会議室の適宜箇所、例えば各発言者用のテーブル上に、配置される。また、それぞれの端末装置16は、マイクロホン16aおよびモニタ用スピーカ16bを備えている。さらに、各端末装置16,16,…には、個別の識別番号n(n=1〜N)が付与されている。
ここで、この赤外線会議システム10の全体の動作について、簡単に説明する。例えば、今、いずれかの端末装置16によって発言要求が成される、具体的には当該端末装置16の図示しない操作パネルに設けられた発言要求スイッチがONされる、とする。すると、当該端末装置16は、センタ装置12に対し発言を要求する旨の上り制御データを生成する。なお、この上り制御データには、当該上り制御データの発信元を表すべく、上述の識別番号nが付加される。そして、この上り制御データは、適宜の(例えば当該上り制御データの発信元である端末装置16から最も近い位置にある)送受光装置14を経てセンタ装置12へと伝送される。
センタ装置12は、上述の上り制御データを受信すると、発言要求が成されたこと、および当該発言要求の要求元である端末装置16を、認識する。そして、この発言要求に応答して、空きチャンネルの有無を確認し、空きチャンネルが存在する場合には、そのうちの1つを当該発言要求元の端末装置16に割り当てる、つまり発言権(発言許可)を与える旨の、下り制御データを生成する。なお、この下り制御データにも、その送信先を指定するべく、上述の識別番号nが付加される。そして、この下り制御データは、センタ装置12から全ての送受光装置14,14,…に伝送され、ひいては全ての端末装置16,16,…に伝送される。
それぞれの端末装置16は、上述の下り制御データが自身宛てに送られてきたものであるか否か、つまり当該下り制御データに自身の識別番号nが付加されているか否かを、判断する。そして、自身宛てのものである場合には、当該下り制御データによって指定されるチャンネルを送信チャンネルとして設定する。これによって、発言要求元の端末装置16は、発言可能な状態となり、つまり発言権を得る。なお、端末装置16は、状態表示手段としての図示しない発光ダイオード(LED)を備えており、発言権を得ると当該発光ダイオードを発光させる。従って、発言者は、この発光ダイオードが発光しているか否かによって発言権を得ている状態にあるか否かを把握することができる。
このようにして発言権を得た端末装置16によって実際に発言が成される、つまりマイクロホン16aに音声が入力されると、この音声に従う上り音声信号が、当該端末装置16から適宜の送受光装置14を経由してセンタ装置12へと伝送される。センタ装置12は、図示しない音声出力端子を備えており、発言元の端末装置16から送られてきた上り音声信号を、当該音声出力端子から出力させる。従って、例えば、この音声出力端子に図示しない外部スピーカが接続されている場合には、当該外部スピーカから発言元の音声(モニタ音)が再生される。また、この音声出力端子に例えば図示しないテープレコーダ等の記録装置が接続されている場合には、当該記録装置に発言元の音声を記録することができる。
さらに、上述の上り音声信号は、センタ装置12内で折り返されて、下り音声信号として、全ての送受光装置14,14,…に伝送され、ひいては全ての端末装置16,16,…に伝送される。それぞれの端末装置16に伝送された下り音声信号は、上述のモニタ用スピーカ16bに入力される。これによって、当該モニタ用スピーカ16bからも発言元の音声(モニタ音)が再生される。
そして、発言権を有する端末装置16において、発言を終了する旨の要求が成される、具体的には上述の操作パネルに設けられている発言終了スイッチがONされると、当該端末装置16は、発言動作を停止し、詳しくは送信チャンネルの設定を解除する。これと同時に、上述した発光ダイオードの発光をも停止する。さらに、端末装置16は、自身の発言動作を停止したこと、つまり発言を終了したことを表す上り制御データを生成する。この上り制御データは、上述と同様に、適宜の送受光装置14を経てセンタ装置12に伝送される。
センタ装置12は、かかる上り制御データを受信することで、当該上り制御データの送信元である端末装置16において発言が終了されたことを認識する。そして、当該端末装置16に割り当てていたチャンネルの割当を解除する。解除されたチャンネルは、改めて空きチャンネルとされる。
なお、上述の上り制御データ,下り制御データ,上り音声信号および下り音声信号は、いずれもFM(Frequency Modulation)信号に変換された上で、伝送される。さらに、それぞれの送受光装置14とそれぞれの端末装置16との間では、当該FM信号は、波長が870[nm]の赤外線を媒体として伝送される。一方、それぞれの送受光装置14とセンタ装置12との間では、同軸ケーブル18を介して、またはこれに加えて上述の混合分配器を介して、当該FM信号が伝送される。
また、この実施形態の赤外線会議システム10においては、同時に最大で4台の端末装置16,16,…によって発言可能とされている。つまり、各端末装置16,16,…から送受光装置14,14,…経由でセンタ装置12に上り音声信号を伝送させるための言わば上り音声チャンネルとして、4つのチャンネルが用意されている。具体的には、図2に示すように、当該上り音声チャンネルとして、CH1,CH2,CH3およびCH4という4つのチャンネルが用意されており、それぞれの中心周波数(搬送波の周波数)は、7.35[MHz],8.10[MHz],8.55[MHz]および9.15[MHz]とされている。なお、これら4つの上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3およびCH4の全てが使用されている(空きチャンネルが存在しない)場合には、新たに成された発言要求は拒否される。また、当該4つの上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3およびCH4の他に、中心周波数が6.45[MHz]の制御チャンネルCH0も用意されている。この制御チャンネルは、上述の上り制御データを伝送させるのに使用される。
一方、センタ装置12から送受光装置14,14,…経由で各端末装置16,16,…に下り音声信号を伝送させるための言わば下り音声チャンネルとしては、CH1という基準周波数が1.95[MHz]のチャンネルが、1つ用意されている。さらに、この下り音声チャンネルCH1は、下り制御データを伝送させるためのチャンネルとしても兼用される。具体的には、当該下り制御データは、周波数が24[kHz]の副搬送波信号(サブキャリア)によって下り音声信号に重畳され、この下り音声信号に重畳された状態で伝送される。なお、当該下り制御データの変調方式としては、例えばFSK(Frequency Shift Keying)方式が採用される。
ところで、発言権を有する端末装置16、つまりマイクロホン16aが有効化されている端末装置16においては、モニタ用スピーカ16bの出力はOFFされる。これは、モニタ用スピーカ16bから出力されるモニタ音がマイクロホン16aに入力され、これによってハウリング(ループ)が発生するのを防止するためである。しかしながら、これだけではハウリング対策として不十分である。上述したように、発言権を有する端末装置16の近傍に他の端末装置16,16,…が存在する場合には、これら他の端末装置16,16,…(モニタ用スピーカ16b,16b,…)から出力されるモニタ音が発言権を有する端末装置16(マイクロホン16a)に入力し、これによってもハウリングが発生する可能性があるからである。
そこで、この実施形態の赤外線会議システム10は、発言権を有する端末装置16のモニタ用スピーカ16bの出力をOFFする以外にも、ハウリングの発生を防止する機能を有している。
具体的には、まず、実際の運用に先立って、ハウリングの発生し易い関係にある端末装置16,16,…の組合せがテストされる。このテストは、テストモードというモードによって行われる。
即ち、センタ装置12の図示しない操作パネルに設けられたテストスイッチがONされると、当該センタ装置12は、テストモードに入る。このテストモードに入ったことは、送受光装置14,14,…を介して、全ての端末装置16,16,…にも伝えられる。
テストモードに入ると、センタ装置12は、いずれか1台の端末装置16のみのマイクロホン16aを無効化すると共に、当該1台の端末装置16のみのモニタ用スピーカ16bの出力をONにする。そして、それ以外の端末装置16,16,…のマイクロホン16,16,…を全て有効化すると共に、当該各端末装置16,16,…のモニタ用スピーカ16b,16b,…の出力を全てOFFにする。そして、この状態で、上述の1台の端末装置16に対して、可聴周波数成分を含むテスト信号を送信し、その端末装置16のモニタ用スピーカ16bから当該テスト信号に従うテスト音を出力させる。なお、厳密には、テスト信号は、全ての端末装置16,16,…に送信されるが、上述の1台の端末装置16を除く各端末装置16,16,…においては、モニタ用スピーカ16b,16b,…の出力がOFFされているので、当該テスト信号に従うテスト音は出力されない。また、テスト信号としては、例えばホワイトノイズが用いられ、当該テスト信号の信号レベルは、例えば上述した下り音声信号の信号レベルとして予定されている最大のレベルと同程度とされる。
このときの状態を図で表すと、図3のようになる。即ち、この図3に示すように、各端末装置16,16,…が行列状に配置されており、そのうちの1台、例えば同図に格子模様で示す(左上隅にある)端末装置16のみから、テスト音が出力される。このテスト音は、同図に点線の矢印30,30,…で示すように、周囲にある端末装置16,16,…に向けて拡声され、当該周囲の端末装置16,16,…、特に近傍の端末装置16,16,…(マイクロホン16a,16a,…)入力される。
センタ装置12は、テスト音を出力している端末装置16を除く全ての端末装置16,16,…から、これらの端末装置16,16,…に当該テスト音が入力されることによって生成される上り音声信号を、順次収集する。なお、この上り音声信号は、上述したCH1という上り音声チャンネルを介して伝送される。そして、センタ装置12は、各端末装置16,16,…から収集した上り音声信号の信号レベル(収音レベル)を検出する。ここで、この上り音声信号の信号レベルは、当該上り音声信号の生成元である端末装置16と、現在テスト音を出力している端末装置16との間で、ハウリングが発生する度合(ハウリングの発生し易さ)を、表す。具体的には、例えば、当該信号レベルが大きいほど、これら2つの端末装置16および16間でハウリングが発生し易い傾向にあることを表す。一方、当該信号レベルが小さいほど、これら両者間でハウリングが発生し難い(または発生しない)傾向にあることを表す。
そこで、センタ装置12は、検出された信号レベルに基づいて、現在テスト音を出力している端末装置16とそれ以外の端末装置16,16,…のそれぞれとの間で、ハウリングが発生し易い傾向にあるか否かを判定する。そして、テスト音を出力している端末装置16との間でハウリングを起こし易い関係にある端末装置16については、さらに、テスト音の音量がどれくらいにまで低減されれば当該ハウリングが発生しなくなるのかを、判定する。換言すれば、テスト音に代えてモニタ音が出力されたときに、このモニタ音の音量がどれくらいにまで低減されればハウリングが発生しないのかを、判定する。この判定結果、例えばハウリングの発生を確実に防止するための音量の調整(低減)量α[dB]は、後述する音量調整テーブルに記憶される。なお、テスト音を出力している端末装置16との間でハウリングを起こす可能性は低い(または無い)と判定された端末装置16については、例えば上述の音量調整量α[dB]としてα=0[dB]という値が音量調整テーブルに記憶される。
このように1台の端末装置16からテスト音を出力させた状態で、それ以外の端末装置16,16,…から上り音声信号を順次収集し、収集した上り音声信号の信号レベルに基づいてハウリングが発生する度合を判定し、その判定結果を音量調整テーブルに記憶する、という一連の動作は、全ての端末装置16,16,…の組合せについて行われる。つまり、1台の端末装置16からテスト信号を出力させた状態での一連の動作が完了すると、次に別の端末装置16からテスト信号が出力され、これ以降、同様の動作が繰り返される。そして、全ての端末装置16,16,…について一連の動作が完了すると、センタ装置12は、テストを終了し、テストモードを抜ける。このテストモードを抜けたこともまた、全ての端末装置16,16,…に伝えられる。
かかるテストモードによって、図4に示すような音量調整テーブルが作成される。この音量調整テーブルは、“発言側”と記された(識別番号nで示される)端末装置16,16,…が発言権を得たときの、“モニタ側”と記された各端末装置16,16,…のモニタ音の音量調整量α[dB]を表す。即ち、実際の運用時(運用モード)においては、任意の端末装置16が発言権を得たとき、この音量調整テーブルに基づいて、他の端末装置16,16,…の音量が自動的に調整される。例えば、識別番号“1”番の端末装置16が発言権を得たとき、識別番号“2”番の端末装置16の音量調整量α[dB]はα=−10[dB]とされ、その分だけ音量が低減される(絞られる)。そして、識別番号“3”番の端末装置16の音量調整量α[dB]はα=−9[dB]とされ、音量が低減される。また、識別番号“N”番の端末装置16の音量調整量α[dB]はα=0[dB]とされ、当該音量調整テーブルに基づく音量調整は行われない。
この運用時の状態についてもう少し詳しく説明すると、例えば、今、図5に示すように、斜線模様で示す(左上隅にある)端末装置16が発言権を有している、とする。この場合、その周囲にある端末装置16,16,…のモニタ音が、同図に点線の矢印32,32,…で示すように、当該発言権を有する端末装置16に向かって拡声される。ここで、もし、当該モニタ音の音量が各端末装置16,16,…間で一様であるとすると、発言権を有する端末装置16に近い端末装置16から出力されるモニタ音ほど、当該発言権を有する端末装置16に対して大きく影響する。つまり、ハウリングを起こす原因になり易い。
しかしながら、この実施形態によれば、図6に示すように、発言権を有する端末装置16の周囲にある端末装置16,16,…のモニタ音の音量が、上述の音量調整テーブルに基づいて自動的に低減される。そして、その低減量は、発言権を有する端末装置16に近い端末装置16ほど、大きい。従って、発言権を有する端末装置16に、他の端末装置16のモニタ音が入力される(回り込む)ことはなく、よって、当該モニタ音の回り込みによるハウリングの発生を、確実に防止することができる。また、音量調整テーブルは、上述したテストスイッチがONされることで、自動的に作成される。つまり、当該テストスイッチをONするという極めて簡単な作業を行うだけで、確実なハウリング防止を実現することができる。
かかるハウリング防止機能を実現するために、この実施形態の赤外線会議システム10を構成するセンタ装置12,各送受光装置14,14,…および各端末装置16,16,…のそれぞれは、次のように構成されている。
即ち、まず、センタ装置12は、図7に示すように、同軸ケーブル20が接続される入出力端子12aを備えている。つまり、この入出力端子12aを介して、各送受光装置14,14,…から上りFM信号(上り制御データおよび上り音声信号)が入力されると共に、当該各送受光装置14,14,…に対して下りFM信号(下り制御データおよび下り音声信号)が伝送される。なお、各送受光装置14,14,…は、センタ装置20から同軸ケーブル20を介して供給される直流電力を電源として駆動する。このため、入出力端子12aには、交流カット用のローパスフィルタ(LPF)100を介して、電源回路102から当該直流電力が印加(重畳)される。
この入出力端子12aを介して上りFM信号が入力されると、この上りFM信号は、直流カット用のコンデンサ104を介して、ハイパスフィルタ(HPF)106およびローパスフィルタ108に入力される。ここで、ハイパスフィルタ106のカットオフ周波数は、上りFM信号の下限周波数(6.45[MHz]に所定の帯域幅を加味した周波数)よりも低く、かつ下りFM信号の上限周波数(1.95[MHz]に所定の帯域幅を加味した周波数)よりも高い値とされており、例えば5.16[MHz]とされている。一方、ローパスフィルタ108のカットオフ周波数は、当該ハイパスフィルタ106のカットオフ周波数よりも低く、かつ下りFM信号の下限周波数よりも高い値とされており、例えば2.70[MHz]とされている。従って、コンデンサ104を介してハイパスフィルタ106に入力された上りFM信号は、当該ハイパスフィルタ106を通過して、分配回路110に入力される。一方、ローパスフィルタ108に入力された上りFM信号は、当該ローパスフィルタ108によって遮断される。
ハイパスフィルタ106を通過して分配回路110に入力された上りFM信号は、ここで5つに分配され、それぞれの上りチャンネルCH0,CH1,CH2,CH3およびCH4毎に設けられた受信手段としての5つの受信回路112,112,…に入力される。このうち、制御チャンネルCH0用の受信回路112は、入力された上りFM信号を、例えば周波数が10.7[MHz]の中間周波信号に変換し、さらにこの中間周波信号に復調処理を施す。これによって、上り制御データが再現され、再現された上り制御データは、制御回路114に入力される。他の4つの受信回路112,112,…もまた同様に、入力された上りFM信号を、周波数が10.7[MHz]の中間周波信号に変換し、さらにこの中間周波信号に復調処理を施す。これによって、各上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3およびCH4の上り音声信号が再現され、再現された各上り音声信号は、混合回路116に入力される。混合回路116は、入力された各上り音声信号を混合し、混合された音声信号は、上述の外部出力端子を介して外部に出力される。
また、上り音声チャンネルCH1用の受信回路112によって再現された上り音声信号は、検出手段としてのレベル検出回路118に入力される。レベル検出回路118は、入力された上り音声信号に整流,平滑および積分処理を順次施して、当該上り音声信号の信号レベルを検出する。そして、この検出結果を表すディジタル信号を、制御回路114に入力する。
制御回路114は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を有しており、制御チャンネルCH0用の受信回路112から上り制御データが入力されると、その内容を解析する。ここで、例えば、当該上り制御データが発言要求を表すものである場合には、制御回路114は、空きチャンネルの有無、つまり上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3およびCH4のうち現在使用されていない(割り当てられていない)チャンネルがあるか否かを、確認する。ここで、空きチャンネルがある場合には、そのうちの1つを発言要求元の端末装置16に割り当てる、つまり発言権を与える旨の、下り制御データを生成する。一方、空きチャンネルが存在しない場合には、発言権を与えない旨の下り制御データを生成する。なお、各上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3およびCH4のそれぞれが使用されているか否かの判断は、制御回路114内のメモリ120に記憶されているチャンネル割当テーブルに基づいて行われる。また、このメモリ120に、上述の音量調整テーブルも記憶される。
これに対して、上り制御データが発言終了を表すものである場合には、制御回路114は、当該上り制御データの送信元である端末装置16に割り当てていたチャンネルの割当を解除する。具体的には、当該割り当てていたチャンネルを空きチャンネルとするよう、上述のチャンネル割当テーブルの内容を更新する。
また、制御回路114には、上述した操作パネルが接続されており、当該操作パネルに設けられている上述のテストスイッチがONされると、制御回路114は、テストモードに入る。このテストモードにおける制御回路114の動作については、後で詳しく説明する。
さらに、センタ装置12は、下りチャンネルCH1用の送信回路122を備えている。この送信回路122には、混合回路124およびAF(audio frequency)増幅回路126を介して、上述の混合回路116によって混合された音声信号(モニタ用音声信号)が、下り音声信号として入力される。また、送信回路122には、制御回路114から下り制御データも入力される。なお、上述のテストモードにおいては、制御回路114による制御によって、テスト信号生成回路128から混合回路124を介して送信回路122に上述のテスト信号が入力される。
送信回路122は、混合回路124から入力される下り音声信号(またはテスト信号)に対して周波数変調(FM)処理を施す。これによって、下りFM信号が生成される。また、制御回路114から下り制御データが入力されたときは、当該下り制御データにFSK処理を施し、このFSK処理後の言わばサブキャリア信号を、下り音声信号に重畳させた上で、周波数変調処理を施す。
この送信回路122によって生成された下りFM信号は、ローパスフィルタ108およびコンデンサ104を介して入出力端子12aに供給され、ひいては各送受光装置14,14,…へと伝送される。なお、ローパスフィルタ108を通過した下りFM信号は、ハイパスフィルタ106にも入力されるが、上述したように、このハイパスフィルタ106のカットオフ周波数は、下りFM信号の上限周波数よりも高い値とされている。従って、当該ハイパスフィルタ106に入力された下りFM信号は、遮断される。
図8を参照して、それぞれの受信回路112についてもう少し詳しく説明する。即ち、この図8に示すように、受信回路112は、分配回路110(図7参照)によって分配された上りFM信号が入力されるRF(Radio Frequency)増幅回路200を有している。このRF増幅回路200に入力された上りFM信号は、ここで増幅された後、周波数変換回路202に入力される。
周波数変換回路202には、局部発振回路204からそれぞれの上りチャンネルCH0,CH1,CH2,CH3およびCH4に応じた周波数の高周波信号も、入力されている。そして、周波数変換回路202は、RF増幅回路200から入力される上りFM信号を、当該局部発振回路204から入力される高周波信号と混合して、周波数が10.7[MHz]の中間周波信号に変換する。変換された中間周波信号は、IF(Intermediate Frequency)増幅回路206によって増幅された後、復調回路208によって復調処理を施される。これによって、当該受信回路112が例えば制御チャンネルCH0用のものである場合には、上り制御データが再現され、再現された上り制御データは、制御回路114(図7参照)に入力される。一方、受信回路112が上り音声チャンネルCH1,CH2,CH3またはCH4用のものである場合には、上り音声信号が再現され、再現された上り音声信号は、混合回路116(図7参照)に入力される。また、上り音声チャンネルCH1用の受信回路112によって再現された上り音声信号は、レベル検出回路118(図7参照)にも入力される。
さらに、図9を参照して、送信回路122について詳しく説明する。この図9に示すように、送信回路122は、混合回路124(図7参照)から下り音声信号(またはテスト信号)が入力される重畳回路300を有している。また、送信回路122は、制御回路114(図7参照)から下り制御データが入力されるデータ変調回路302をも有している。このデータ変調回路302には、副局部発振回路304から周波数が24[kHz]の副搬送波信号も入力されており、当該データ変調回路302は、この副搬送波信号を用いて下り制御データにFSK処理を施す。これによって、サブキャリア信号が生成され、生成されたサブキャリア信号は、重畳回路300に入力される。
重畳回路300は、データ変調回路302からサブキャリア信号が入力されたときは、そのサブキャリア信号を下り音声信号に重畳させる。そして、このサブキャリア信号が重畳された下り音声信号を、後段の変調回路306に入力する。なお、データ変調回路302から重畳回路300にサブキャリア信号が入力されていないときは、当該重畳回路300は、(サブキャリア信号が重畳されていない)下り音声信号を、そのまま変調回路305に入力する。
変調回路306には、主局部発振回路308から下りチャンネルCH1に応じた周波数の搬送波信号も入力されており、当該変調回路306は、重畳回路300から入力される下り音声信号によってこの搬送波信号を周波数変調する。これによって、下りFM信号が生成され、生成された下りFM信号は、RF増幅回路310によって増幅された後、上述のLPF108(図7参照)に入力される。
次に、図10を参照して、送受光装置14の詳細を説明する。この図10に示すように、送受光装置14は、同軸ケーブル20が接続される端子14aを備えており、この端子14aを介して、センタ装置12から下りFM信号および直流電力が入力されると共に、当該センタ装置12に向けて上りFM信号が送出される。
このうち、端子14aを介して入力された直流電力は、交流カット用のローパスフィルタ400を介して電源回路402に入力される。電源回路402は、入力された直流電力を基に、当該送受光装置14内の各回路を駆動させるための複数種類(電圧値)の直流電源電圧Vccを生成する。
そして、端子14aを介して入力された下りFM信号は、直流カット用のコンデンサ404を介してローパスフィルタ406およびハイパスフィルタ408に入力される。ここで、ローパスフィルタ406のカットオフ周波数は、下りFM信号の上限周波数よりも高く、かつ上りFM信号の下限周波数よりも低い値とされており、例えば2.70[MHz]とされている。これに対して、ハイパスフィルタ408のカットオフ周波数は、ローパスフィルタ406のカットオフ周波数よりも高く、かつ上りFM信号の下限周波数よりも低い値とされており、例えば5.16[MHz]とされている。従って、ローパスフィルタ406に入力された下りFM信号は、当該ローパスフィルタ406を通過して、RF増幅回路410に入力される。一方、ハイパスフィルタ408に入力された下りFM信号は、遮断される。
RF増幅回路410に入力された下りFM信号は、ここで増幅された後、送光回路412に入力される。送光回路412は、送光手段としての図示しない赤外線発光ダイオードを有しており、RF増幅回路410から入力された下りFM信号に従って当該赤外線発光ダイオードを発光させる。つまり、輝度変調処理を行う。これによって、波長が870[nm]の赤外線、言わば下り赤外線が、当該送光回路412(赤外線発光ダイオード)から自由空間に発射される。
送受光装置14はまた、受光回路414を備えている。この受光回路414は、受光手段としての図示しないフォトダイオードを有しており、各端末装置16,16,…から送られてくる言わば上りの赤外線を当該フォトダイオードによって電気信号に変換すると共に、この電気信号に同調処理を施して上りFM信号を再現する。再現された上りFM信号は、RF増幅回路416によって増幅された後、ハイパスフィルタ408およびコンデンサ404を介して端子14aへと送られ、当該端子14aからセンタ装置12へと送り出される。
なお、ハイパスフィルタ408から出力された上りFM信号は、ローパスフィルタ406にも入力されるが、上述したように、このローパスフィルタ406のカットオフ周波数は、上りFM信号の下限周波数よりも低い値とされている。従って、このローパスフィルタ406に入力された上りFM信号は、当該ローパスフィルタ406において遮断される。これらローパスフィルタ406およびハイパスフィルタ408は、いずれも高次(多段)のフィルタであり、かかる高次フィルタを設けることで、下りFM信号と上りFM信号とを明確に分配することができ、例えば200[dB]という高いC/N(Carrier/Noise)比を得ることができる。
さらに、図11を参照して、それぞれの端末装置16の詳細を説明する。この図11に示すように、端末装置16は、受光回路500を備えている。この受光回路500は、送受光装置14から送られてくる下り赤外線を受光するための図示しないフォトダイオードを有しており、当該フォトダイオードによって受光された下り赤外線は、電気信号に変換される。変換された電気信号は、受光回路500によってさらに同調処理を施され、これによって下りFM信号が再現される。再現された下りFM信号は、RF増幅回路502によって増幅された後、周波数変換回路504に入力される。
周波数変換回路504には、局部発振回路506から下り音声チャンネルCH1に応じた周波数の高周波信号も入力される。そして、周波数変換回路504は、RF増幅回路502から入力される下りFM信号を、局部発振回路506から入力される高周波信号と混合して、周波数が10.7[MHz]の中間周波信号に変換する。変換された中間周波信号は、IF増幅回路510によって増幅された後、復調回路512に入力される。
復調回路512は、入力された中間周波信号に復調処理を施して、下り音声信号を再現する。そして、再現された下り音声信号は、分離手段としての分離回路514に入力される。ここで、下り音声信号に上述のサブキャリア信号が重畳されている場合には、これら下り音声信号とサブキャリア信号とは、当該分離回路514において分離される。そして、分離回路514を通過した下り音声信号は、言わばレベル可変手段としての電子アッテネータ回路516を介してAF増幅回路518に入力され、当該AF増幅回路518において増幅された後、モニタ用スピーカ16aに入力される。これによって、当該モニタ用スピーカ16aから下り音声信号に従うモニタ音が出力される。
一方、分離回路514において下り音声信号から分離されたサブキャリア信号は、データ復調回路520に入力され、ここで復調処理を施される。これによって、下り制御データが再現され、再現された下り制御データは、制御回路508に入力される。
制御回路508は、図示しないCPUを有しており、データ復調回路520から下り制御データが入力されると、その内容を解析する。ここで、例えば、当該下り制御データが自身宛てのものであり、かつ発言権を与える旨を表すものである場合は、制御回路508は、上述した状態表示手段としての発光ダイオードを発光させる。そして、上述の電子アッテネータ回路516の減衰率を最大にして、モニタ用スピーカ16aの出力をOFF状態とする。さらに、制御回路508は、下り制御データによって指定されるチャンネルに基づいて送信チャンネルを設定する。具体的には、音声送信用の局部発振回路522を有効化すると共に、当該局部発振回路522の発振周波数を指定チャンネルの周波数に合わせる。この局部発振回路522から出力される搬送波信号は、変調回路524に入力される。
変調回路524には、AF増幅回路526を介して、マイクロホン16aからの上り音声信号も入力される。そして、変調回路524は、局部発振回路522から入力された搬送波信号を、AF増幅回路526経由で入力される上り音声信号によって周波数変調する。これによって、上りFM信号が生成され、生成された上りFM信号は、混合回路528およびRF増幅回路530を介して、送光回路532に入力される。送光回路532は、送光手段としての赤外線発光ダイオードを有しており、RF増幅回路530から入力される上りFM信号に従って当該赤外線発光ダイオードを発光させる。これによって、この赤外線発光ダイオードから、波長が870[nm]の上り赤外線が自由空間に発射される。
なお、下り制御データが発言権を与えない旨を表すものである場合は、制御回路508は、特に何も行わない。また、下り制御データが自分宛てのものでない場合も同様に、何も行わない。
さらに、制御回路508には、上述した操作パネルが接続されている。そして、発言権が得られていない状態で、当該操作パネルに設けられている上述の発言要求スイッチがONされると、制御回路508は、発言要求の旨の上り制御データを生成し、このこの上り制御データをデータ変調回路534に入力する。さらに、制御回路508は、データ送信用の局部発振回路536を有効化し、つまり送信チャンネルとして制御チャンネルCH0を設定する。これによって、局部発振回路536から当該制御チャンネルCH0に従う周波数の搬送波信号が出力され、この搬送波信号は、データ変調回路534に入力される。
データ変調回路534は、局部発振回路536から入力される搬送波信号を、制御回路508から入力される上り制御データによって周波数変調する。これによって、当該上り制御データに従う上りFM信号が生成され、生成された上りFM信号は、混合回路528およびRF増幅回路530を経て、送光回路532に入力される。これによって、当該上りFM信号に従う上り赤外線が送光回路532(赤外線発光ダイオード)から自由空間に発射され、ひいては当該上りFM信号はセンタ装置12へと送信される。
一方、発言権が得られている状態で、操作パネルに設けられている発言終了スイッチがONされると、制御回路508は、音声送信用の局部発振回路522を無効化し、つまり送信チャンネルの設定を解除する。これによって、この端末装置16の発言動作が停止する。また、このとき、制御回路508は、上述した状態表示手段としての発光ダイオードの発光を停止させると共に、電子アッテネータ回路516の減衰率を発言権が得られる前の値に戻す。さらに、制御回路508は、発言を終了したことを表す上り制御データを生成し、この上り制御データをデータ変調回路534に入力すると共に、データ送信用の局部発振回路536を有効化する。これによって、当該上り制御データに従う上りFM信号が、センタ装置12へと送信される。
なお、上述の操作パネルには、モニタ音の音量を調整するための図示しない音量調整ツマミも設けられている。即ち、この音量調整ツマミが操作されると、これに応答して、制御回路508が、電子アッテネータ回路516の減衰率を制御する。ただし、実際の運用時における当該モニタ音の音量の上限(最大値)は、上述のハウリング防止機能によって制限される。
図12を参照して、テストモードにおけるセンタ装置12側の制御回路114(CPU)の動作を説明する。なお、制御回路114は、メモリ120に記憶されている制御プログラムに従って、この図12に示されるセンタ側テストタスクを実行する。
即ち、上述したテストスイッチがONされると、制御回路114は、ステップS1に進み、全ての端末装置16,16,…に対し、これからテストモードに入る旨を通知する。この通知は、下り制御データによって伝えられる。
そして、制御回路114は、ステップS3に進み、テスト信号生成回路128を制御して、テスト信号を生成させる。このテスト信号は、下り音声チャンネルCH1によって、全ての端末装置16,16,…に送信される。
ステップS3の実行後、制御回路114は、ステップS5に進み、これからテスト音を発生させようとする端末装置16を指定するためのインデックスnの値を、n=1とする。そして、ステップS7において、識別番号“n”番の端末装置16に対して、テスト音の出力を開始するよう、命令を与える。これによって、当該識別番号“n”番の端末装置16から、テスト音が出力される。
さらに、制御回路114は、ステップS9に進み、これから上り音声信号を送出させようとする端末装置16を指定するためのインデックスmの値を、m=1とする。そして、ステップS11において、当該インデックスmの値が、インデックスnの値と等価であるか否かを、判断する。つまり、これから上り音声信号を送出させようとする端末装置16が、これからテスト音を発生させようとする端末装置16と同一であるか否かを、判断する。
このステップS11において、インデックスmの値がインデックスnの値と等価でない(m≠n)場合、つまりこれから上り音声信号を送出させようとする端末装置16がテスト音を発生させようとする端末装置16と同一でない場合、制御回路114は、ステップS13に進み、識別番号“m”番の端末装置16に対して、上り音声信号の送出を開始するよう、命令を与える。これによって、当該識別番号“m”番の端末装置16から、上り音声信号が送られてくる。なお、この上り音声信号は、上り音声チャンネルCH1によって伝送される。
そして、制御回路114は、ステップS15に進み、識別番号“m”番の端末装置16から送られてくる上り音声信号の信号レベル(レベル検出回路118による検出レベル)を一定時間(例えば数秒間)にわたって測定する。さらに、制御回路114は、ステップS17に進み、当該ステップS15における測定結果から、現在テスト音を出力している端末装置16と現在下り音声信号を送出している端末装置16との間でハウリングが発生する可能性があるか否か、および可能性がある場合にはテスト音の音量をどれくらい低減させればよいのかを、判定する。そして、ステップS19において、当該ステップS17における判定結果、つまり上述した音量調整量α[dB]の値を、音量調整テーブルに記憶する。
ステップS19の実行後、制御回路114は、ステップS21に進み、識別番号“m”番の端末装置16に対して、上り音声信号の送出を停止するよう、命令を与える。これによって、当該識別番号“m”番の端末装置16は、上り音声信号の送出を停止する。そして、制御回路114は、ステップS23に進み、インデックスmの値がその最大値Nと等価であるか否かを判断する。
このステップS23において、インデックスmの値が最大値Nと等価でない(m≠N)場合、つまり識別番号“n”の端末装置16からテスト音が出力されている状態でそれ以外の全ての端末装置16,16,…から未だ上り音声信号を収集し終えていない場合は、制御回路114は、ステップS25に進む。そして、このステップS25において、インデックスmの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS11に戻る。一方、インデックスmの値が最大値Nと等価である(m=N)場合、つまり識別番号“n”の端末装置16からテスト音が出力されている状態でそれ以外の全ての端末装置16,16,…から上り音声信号を収集し終えた場合には、ステップS23からステップS27に進む。なお、上述のステップS11において、インデックスmの値がインデックスnの値と等価である(m=n)場合、つまりこれから上り音声信号を送出させようとする端末装置16がこれからテスト音を発生させようとする端末装置16と同一である場合は、ステップS13〜ステップS21をスキップして、直接ステップS23に進む。
ステップS27において、制御回路114は、識別番号“n”番の端末装置16に対して、テスト音の出力を停止するよう、命令を与える。これによって、当該識別番号“n”番の端末装置16からのテスト音の出力が、停止される。そして、制御回路114は、ステップS29に進み、インデックスnの値がその最大値Nと等価であるか否かを判断する。
このステップS29において、インデックスnの値が最大値Nと等価でない(n≠N)場合、つまり未だテスト音を出力していない端末装置16が存在する場合、制御回路114は、ステップS31に進む。そして、このステップS31において、インデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS7に戻る。一方、インデックスnの値が最大値Nと等価である(n=N)場合、つまり全ての端末装置16,16,…がテスト音を出力し終えた場合には、ステップS29からステップS33に進む。
ステップS33において、制御回路114は、テスト信号生成回路128を制御して、テスト信号の生成を停止させる。そして、ステップS35において、全ての端末装置16,16,…に対し、これからテストモードを抜ける旨を通知する。このステップS35の実行後、制御回路114は、この図12で示される一連のセンタ側テストタスクを終了し、テストモードを抜ける。
かかるセンタ装置12側の制御回路114の動作に対して、それぞれの端末装置16側の制御回路508(CPU)は、テストモードにおいて、図13に示す端末側テストタスクを実行する。なお、制御回路508は、自身に内蔵された図示しないメモリに記憶されている制御プログラムに従って、当該端末側テストタスクを実行する。
即ち、センタ装置12(制御回路114)からテストモードに入る旨の通知を受けると、制御回路508は、ステップS101に進み、上述した電子アッテネータ回路516の減衰率を最大にして、モニタ用スピーカ16bの出力をOFFの状態にする。なお、この時点では、送信チャンネルは未設定の状態にあり、つまりマイクロホン16aは無効化された状態にある。
そして、制御回路508は、ステップS103に進み、センタ装置12からテスト音の出力開始命令が送られてきたか否かを、判断する。ここで、当該テスト音の出力開始命令を受けると、制御回路508は、ステップS105に進み、電子アッテネータ回路516の減衰率を最小とし、つまり当該電子アッテネータ回路516をスルー出力とする。これによって、モニタ用スピーカ16bの出力がON状態となり、当該モニタ用スピーカ16bからテスト音が出力される。
そして、制御回路508は、ステップS107に進み、センタ装置12からテスト音の出力停止命令が送られてくるのを、待つ。そして、当該テスト音の出力停止命令を受けると、ステップS109に進み、電子アッテネータ回路516の減衰率を最大とし、モニタ用スピーカ16bの出力をOFF状態とする。これによって、当該モニタ用スピーカ16bからのテスト音の出力動作が停止される。そして、このステップS109の実行後、ステップS103に戻る。
一方、ステップS103において、センタ装置12からテスト音出力開始命令が送られてきていない場合には、制御回路508は、ステップS111に進み、センタ装置12から上り音声信号の送出開始命令が送られてきたか否かを、判断する。ここで、当該上り音声信号の送出開始命令を受けると、制御回路508は、ステップS113に進み、送信チャンネルとして上り音声チャンネルCH1を設定する。これによって、マイクロホン16aが有効化され、当該マイクロホン16aに入力されるテスト音に従う上り音声信号が、上り音声チャンネルCH1によってセンタ装置12へと送られる。
そして、制御回路508は、ステップS115に進み、センタ装置12から上り音声信号の出力停止命令が送られてくるのを、待つ。そして、当該上り音声信号の出力停止命令を受けると、ステップS117に進み、送信チャンネルの設定を解除する。これによって、マイクロホン16aが無効化され、上り音声信号の送出動作が停止される。そして、このステップS117の実行後、制御回路508は、ステップS103に戻る。
さらに、上述のステップS111において、センタ装置12から上り音声信号送出開始命令が送られてきていない場合には、制御回路508は、ステップS119に進み、センタ装置12からテストモードを抜ける旨が通知されてきたか否かを、判断する。ここで、当該通知がない場合は、ステップS103に戻る。一方、当該通知を受けた場合は、ステップS121に進み、電子アッテネータ回路516の減衰率を、この端末側テストタスクを実行する前の状態に戻す。そして、このステップS121の実行後、この図13で示される一連の端末側テストタスクを終了する。
続いて、実際の運用時におけるセンタ装置12側の制御回路114の動作について、ハウリング防止機能に関する部分に限定して説明する。
即ち、新規にチャンネルが割り当てられ、またはチャンネルの割当が解除されると、センタ装置12側の制御回路114は、図14に示す音量制御タスクを実行する。この音量制御タスクにおいて、制御回路114は、まず、ステップS51に進み、音量調整の対象となる端末装置16を指定するためのインデックスnの値を、n=1とする。そして、ステップS53に進み、上述した音量調整テーブルを参照し、現在有効化されている端末装置12に対する識別番号“n”番の端末装置12の音量調整量α[dB]を認識する。そして、ステップS55に進み、識別番号“n”番の端末装置12に対し、当該ステップS53で認識した音量調整量α[dB]に基づく音量調整を実行するよう、命令を与える。
ステップS55の実行後、制御回路114は、ステップS57に進み、インデックスnの値がその最大値Nと等価であるか否かを判断する。ここで、インデックスnの値が最大値Nと等価でない(n≠N)場合、つまり未だ音量調整を実行するよう命令していない端末装置16が存在する場合は、制御回路114は、ステップS59に進む。そして、このステップS59において、インデックスnの値を“1”だけインクリメントした後、ステップS53に戻る。一方、インデックスnの値が最大値Nと等価である(n=N)場合、つまり全ての端末装置16,16,…に対して音量調整を実行するよう命令し終えた場合は、制御回路114は、この図14で示される一連の音量制御タスクを終了する。
このようなセンタ装置12側の制御回路114の動作に対して、端末装置16側の制御回路508は、図15に示す音量調整タスクを実行する。
即ち、センタ装置12から音量調整命令を受けると、端末装置16側の制御回路508は、ステップS151に進む。そして、このステップS151において、センタ装置12からの命令に基づいて、つまり上述の音量調整量α[dB]に基づいて、電子アッテネータ回路516の減衰量を制御し、この図15で示される一連の音量調整タスクを終了する。
以上のように、この実施形態におけるハウリング防止機能によれば、発言権を有する端末装置16の周囲にある端末装置16,16,…のモニタ音の音量が、上述の音量調整テーブルに基づいて、つまりハウリングが発生しない程度にまで、自動的かつ強制的に低減される。しかも、当該音量調整テーブルを作成するには、テストスイッチをONするだけでよい。従って、それぞれの会議マイクユニット毎にモニタ音を聞きながらスピーカの音量を手動調整する必要がある上述の従来技術に比べて、極めて容易かつ確実にハウリングの発生を防止することができる。このことは、特にこの実施形態の赤外線会議システム10のように各端末装置16,16,…の相対位置が容易かつ任意に変更可能とされるシステムにおいて、極めて有用である。
なお、この実施形態においては、赤外線会議システム10にこの発明を適用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、赤外線という通信媒体を用いない有線式の会議システムにも、この発明を適用することができる。
そして、テスト信号として、ホワイトノイズを採用したが、これに限らない。例えば、ハウリングの発生する周波数帯域はシステムによって概ね決まるので、当該ハウリングの発生する周波数帯域に主成分を有する信号を、当該テスト信号として用いてもよい。また、周波数帯域を任意に変更させることができる、いわゆるスイープ信号を用いてもよい。
さらに、テストモードにおいて、1台の端末装置16からテスト音を出力させた状態で、他の端末装置16,16,…からセンタ装置12に順次上り音声信号を伝送させ、センタ装置12側で当該他の端末装置16,16,…の上り音声信号の信号レベルを検出するようにしたが、これに限らない。例えば、他の端末装置16,16,…のそれぞれにおいて当該上り音声信号の信号レベルを検出し、その検出結果を、センタ装置12側に順次伝えるようにしてもよい。
そして、この実施形態では、各端末装置16,16,…のモニタ音の音量を調整することでハウリングの発生を防止することとしたが、単に当該モニタ音をON/OFFさせてもよい。また、併せて、モニタ音の周波数特性(音色)やS/Nを制御するようにしてもよい。