JP3806699B2 - ワイヤレスマイクシステム、レシーバー、ワイヤレスマイク - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイヤレスマイクシステムに関し、具体的には、ワイヤレスマイクの送信チャンネルをレシーバーの受信チャンネルに合わせて自動設定する機能を備えたワイヤレスマイクシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤレスマイクシステムは、レシーバーとワイヤレスマイクとから構成される。ワイヤレスマイクシステムには、赤外線方式と電波方式とがある。これらの方式の違いは、マイク入力された音声の変調信号を赤外線を用いて搬送するか、電波を用いて搬送するかの点にあり、両方式ともFM変調された音声信号を送受信している。
【0003】
電波方式では、複数のシステムが近接して設置されていると混信する可能性があることから、各システムにおけるレシーバーとマイクの設定チャンネルを異ならせておく必要がある。その点、赤外線方式のシステムは、レシーバーとワイヤレスマイクとが見通せる位置関係に無い限り、混信する可能性がない。しかしながら、各方式における搬送周波数は、一般的に、赤外線方式が2〜4MHzであり、電波式が800MHz程度である。したがって、電波式の方が帯域を広く取れ、音質がよい。なお、複数のシステム間での混信を防止するためにワイヤレスマイクとレシーバーとの送受信をチャンネルごとに繰り返してスキャンして空きチャンネルを特定し、そのチャンネルに自動設定するワイヤレスマイクシステムもある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−326621号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ワイヤレスマイクシステムを装備した機器として、カラオケ装置がよく知られている。上述したように、電波式ワイヤレスマイクシステムは、赤外線方式より音質の点で勝るため、カラオケという音質が重視される用途ではカラオケ装置には電波式ワイヤレスシステムを装備する方が望ましい。しかし、カラオケボックスなど、複数の客室のそれぞれにカラオケ装置が設置されている店舗形態では、隣室のカラオケ装置に他の客室のマイクの音声が混入する可能性がある。そのため、各客室におけるワイヤレスマイクシステムが使用するチャンネルは厳密に管理されている。しかも、カラオケ装置用のワイヤレスマイクシステムでは、デュエット用に同時に使用可能な2本のマイクが付属しており、これら2本のマイクについても相互に干渉しないように、カラオケ装置本体には、送信チャンネルの異なる2つのワイヤレスマイクからの変調音声信号を同時に受信・復調できるように2系統の受信・復調回路が実装されたレシーバーが搭載されている。
【0006】
ところで、カラオケ装置に適用されるワイヤレスマイクシステムの大きな問題点としては、チャンネルがシステムごとにほぼ固定的に設定されている点にある。すなわち、あるカラオケ装置用のマイクが故障するなどして他のマイクに交換する場合、レシーバーの受信チャンネルを確認し、どちらの受信チャンネルに対応するマイクを交換するのかを調べる。そして、マイクの送信チャンネルを正しく設定する。この作業は極めて煩雑であり、その作業を利用客がするわけにも行かない。また、上記特開平6−326621号公報に記載のワイヤレスマイクシステムがカラオケ装置に装備されていたとしても、空きチャンネルをスキャンするのに時間が掛かるし、ワイヤレスマイクシステム自体も高価である。したがって、カラオケ装置には赤外線方式のワイヤレスマイクシステムが装備されている場合が多い。
【0007】
本発明は、複数のチャンネルで受信できるレシーバーとそれぞれのチャンネルに対応する複数のマイクとにより構成されるとともに、複数のシステムが近接して設置される使用形態にも対応し、簡単にかつ短時間で受信チャンネルがわからないレシーバーに合わせてマイクの送信チャンネルを自動設定できる安価なワイヤレスマイクシステムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レシーバーと、複数のワイヤレスマイクとを備えたワイヤレスマイクシステムであって、レシーバーは、同時に受信可能な複数の異なるバンドにそれぞれ対応した複数の受信回路手段と、各受信回路手段における複数の受信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを指示するチャンネル指示信号を近辺に無線送信するチャンネル指示手段とを備え、複数のワイヤレスマイクは、それぞれがレシーバーにおける複数のバンドのどれかに適合していて適合バンドにより外観が異なり、レシーバーからのチャンネル指示信号を受信して複数の送信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル切替手段を備えている。
【0009】
また、上記ワイヤレスマイクシステムを構成する前記レシーバーも本発明の範囲であり、同時に受信可能な複数の異なるバンドにそれぞれ対応した複数の受信回路手段と、各受信回路手段における複数の受信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを指示するチャンネル指示信号を近辺に無線送信するチャンネル指示手段とを備えている。
【0010】
なおレシーバーは、前記チャンネル設定手段は、1系統の選択手段により各受信回路手段のチャンネルをまとめて選択することとしてもよい。
【0011】
本発明は、上記ワイヤレスマイクシステムを構成する前記ワイヤレスマイクにも及んでおり、適合バンドごとに異なる外観要素と、レシーバーからのチャンネル指示信号を受信して複数の送信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル切替手段とを備えている。
【0012】
このワイヤレスマイクにおいて、チャンネル切替手段は、電源を投入してから前記チャンネル指示信号を所定期間受信して1つのチャンネルを選択した上で前記チャンネル指示信号の受信動作を休止させることとしてもよい。
【0013】
また、前記チャンネル切替手段は、所定の利用者入力を受け付ける機会ごとに前記チャンネル指示信号を所定期間受信して1つのチャンネルを選択することとしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
===ワイヤレスマイクシステムの設置例===
本発明のワイヤレスマイクシステムは、カラオケ装置などに装備され、複数の客室のそれぞれにカラオケ装置が設置されている店舗などに適用することができる。ここでは、複数のワイヤレスマイクシステムが複数の独立した部屋に設置されるとともに、各部屋が近接している場合を想定する。
【0015】
この想定の下で本発明の実施例におけるワイヤレスマイクシステムのチャンネル設定方法について説明する。本実施例のワイヤレスマイクシステムは、特定の2つのバンドで同時受信できるレシーバーと、2つのバンドのそれぞれに適合するワイヤレスマイク2本によって構成されている。すなわち、2本のワイヤレスマイクの適合バンドは異なり、他方のバンドに属するチャンネルでは送信できないような構成となっている。また、複数のワイヤレスマイクシステムでは同じバンドについては同じチャンネルとならないようにレシーバーの受信チャンネルがあらかじめ設定されているものとする。
【0016】
図1に各ワイヤレスマイクシステムにおけるバンドとチャンネルの設定例を示した。この例では5組のワイヤレスマイクシステム(A〜E)が設置されており、各ワイヤレスマイクシステムは、特定の2つのバンドa、bと、各バンドについて1〜5の5つのチャンネルを使用することができるようになっている。したがって、バンドとチャンネルの組み合わせによってそのシステムが使用する周波数が決定する。すなわち、同じ組み合わせが存在しなければ混信は発生しない。なおバンドとは、あるバンドに属するチャンネルの周波数と、他のバンドに属するチャンネルの周波数とが帯域を含めて重複しないように設定されたチャンネル群であり、所定の周波数範囲でなくてもよい。
【0017】
===ワイヤレスマイクのバンド特定===
カラオケ装置などに装備されるワイヤレスマイクシステムでは、設置当初にレシーバーの受信バンドと受信チャンネルを設定してしまえば、そのバンドとチャンネルの組み合わせは変更されることはなく、ほぼ固定的に設定されたままとなる。このような設置形態において、例えば、一方のバンドに対応するワイヤレスマイクが故障したとする。この場合、故障したマイクが対応しているバンドがa、bのいずれかであるのかを知る必要がある。そこで、ワイヤレスマイクの外観をa、bの各バンドに応じて変えている。図2に本実施例のワイヤレスマイクシステムにおけるワイヤレスマイクの外観図を示した。マイク2のグリップ24部分に電源スイッチ21と、送信チャンネルを設定するためのボタン(チャンネル設定ボタン)22とが配設されている。そして本実施例では、グリップ24の部分に自身の適合バンドに応じて色の異なるテープ23が貼られている。もちろん、マイク自体の形状や「a」「b」とバンド自体を明記するなど、外観的な特徴が適合するバンドによって異なればそれでよい。
【0018】
===ワイヤレスマイクシステムのチャンネル設定===
つぎに、交換すべきワイヤレスマイクのバンドを知ることができたとしても、送信相手のレシーバーの受信チャンネルを知ることができなければ送信チャンネルを合わせることができない。また、送信チャンネルの設定方法が複雑であれば、利用者はチャンネルを正しく合わせることができない。本実施例のワイヤレスマイクシステムは、レシーバーの受信チャンネルがわからなくても、自動的にワイヤレスマイクの送信チャンネルを正しく自動設定する機能を備えている。
【0019】
図3(A)(B)にそれぞれ、ワイヤレスマイクシステムにおけるレシーバーとワイヤレスマイクの機能ブロック図を示した。レシーバー1はレシーバー制御部11を主制御部として統括制御されている。また、2つのバンドに対応して2つの受信処理系統として受信回路12a、12bを備え、各受信回路12a、12bは、従来のレシーバーと同様に、アンテナ13を介して導入されるあるバンドのあるチャンネル(搬送周波数)に同調し、その搬送波を検波して変調されている音声信号を復調する。そして、その音声信号を増幅して外部の音響機器に出力する。
【0020】
操作パネル14は各バンドにおける受信チャンネルの設定入力を受け付ける。操作制御部15は、操作パネル14に対する操作入力に応じた情報をレシーバー制御部11に受け渡す。レシーバー制御部11は、設定された各バンドの受信チャンネルに応じて同調周波数を変更する。
【0021】
また、レシーバー制御部11は、各バンドのチャンネルが変更設定されるごとに、そのバンドとチャンネルの組み合わせについての情報を含むコードを生成する。そして、そのコードをLED駆動制御部16に与える。LED駆動制御部16は、このコードの記憶部とLEDの駆動回路とを含み、コードを逐次読み出してそのコードに応じた変調信号によりLED17を駆動する。すなわち、バンドとチャンネルの指示情報を含んだ赤外線信号を送出し続ける。
【0022】
一方、ワイヤレスマイク2は、マイク制御部25を主制御部として統括・制御される。変調部28は、PLL、VCOを含んで構成され、マイク制御部25がPLLを制御して送信チャンネルに相当する周波数で発振させる。ピックアップ26に入力された音声はここで音響電気変換され、音声信号増幅部27により増幅される。変調部28は、この増幅音声信号によって発振周波数の信号を変調する。この変調音声信号は、送信電波増幅部29により増幅されてアンテナ30より変調電波として送出される。
【0023】
さらにこのワイヤレスマイク2は、レシーバー1の受信バンドと受信チャンネルの組み合わせに応じて送信チャンネルをそれに合わせて自動設定する機能を備えている。マイク制御部25は、電源が投入された状態で、チャンネル設定ボタン22が押されると、赤外線信号受信制御部31を能動化する。受光部32は、レシーバー1から常時送出されている赤外線のチャンネル指示信号を受光して電気信号に変換する。赤外線信号受信制御部31はこの電気信号からコードを復号してそれをマイク制御部25に受け渡す。マイク制御部25は、コードに含まれるバンドの情報がマイク自身が対応するバンドであることを確認すると、コードに含まれるチャンネルを発信周波数として、変調部28を制御する。それによって、送信チャンネルが自動設定される。また、この自動設定が終了すると、赤外線信号受信制御部31の動作を停止させて消費電力を節約するようにしている。もちろん、電源が入っているときには常時送信チャンネルの設定動作を行うようにしてもよいし、所定期間ごとにレシーバーからの赤外線信号を受信するようにしてもよい。もちろん、電源が投入された時点から所定期間チャンネル指示信号を受信して送信チャンネルを設定し、設定し終えたら受信動作を休止状態にすることもできる。
【0024】
===レシーバーにおける受信チャンネルの設定===
レシーバーは同時受信可能な複数のバンドのそれぞれに受信チャンネルを選択・設定するように構成されている。もちろん、各バンドごとに受信チャンネルの選択入力を受け付けるようにしてもよいが、バンドの数だけ選択作業が必要となる。また、各バンド間では受信チャンネルの組み合わせが任意となり、近隣の他のシステムにて選択されているバンドと受信チャンネルの組み合わせと同じになってしまう可能性もある。
【0025】
そこで、それぞれのバンドに対応して選択される受信チャンネルについて、あらかじめチャンネルの組み合わせを決めておき、その組み合わせを指定するようにすれば、バンドごとに受信チャンネルを設定することなく、1回の操作で纏めて各バンドの受信チャンネルを選択することができる。また、複数のシステム間では、バンドごとの受信チャンネルの選択状況を考慮することなく、受信チャンネルの組み合わせを異なるものにするだけで混信を防止することができる。
【0026】
===バンドとチャンネルの情報伝達===
上記実施例では、赤外線信号によってレシーバーの受信バンドと受信チャンネルの情報をワイヤレスマイクに伝達していた。この例に限らず、ブルートゥース(登録商標)など、他の短距離無線通信方式を採用することもできる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のワイヤレスマイクシステムによれば、複数のチャンネルで受信できるレシーバーとそれぞれのチャンネルに対応する複数のマイクとを含むシステム構成に対応し、簡単にかつ短時間で受信チャンネルがわからないレシーバーに合わせてマイクの送信チャンネルを自動選択きる。また、システム自体も安価なコストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるワイヤレスマイクシステムのチャンネル設定状態を示す概略図である。
【図2】上記ワイヤレスマイクシステムを構成するワイヤレスマイクの外観図である。
【図3】上記ワイヤレスマイクシステムの構成図であり、(A)(B)はそれぞれレシーバーの機能ブロック図とワイヤレスマイクの機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 レシーバー
2 ワイヤレスマイク
11 レシーバー制御部
12a、12b 受信回路
17 LED
23 適合バンド指示テープ
25 マイク制御部
31 赤外線信号受信制御部
32 受光部
Claims (6)
- レシーバーと、複数のワイヤレスマイクとを備えたワイヤレスマイクシステムであって、
レシーバーは、同時に受信可能な複数の異なるバンドにそれぞれ対応した複数の受信回路手段と、各受信回路手段における複数の受信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル設定手段と、チャンネル設定手段により選択されているチャンネルを指示するチャンネル指示信号を近辺に無線送信するチャンネル指示手段とを備え、
複数のワイヤレスマイクは、それぞれがレシーバーにおける複数のバンドのどれかに適合していて適合バンドにより外観が異なり、レシーバーからのチャンネル指示信号を受信して複数の送信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル切替手段を備えている、
ことを特徴とするワイヤレスマイクシステム。 - 請求項1に記載のワイヤレスマイクシステムを構成する前記レシーバーであって、同時に受信可能な複数の異なるバンドにそれぞれ対応した複数の受信回路手段と、各受信回路手段における複数の受信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル設定手段と、チャンネル設定手段により選択されているチャンネルを指示するチャンネル指示信号を所定の信号経路上に送出するチャンネル指示手段とを備えたことを特徴とするレシーバー。
- 前記チャンネル設定手段は、1系統の選択手段により各受信回路手段のチャンネルをまとめて選択することを特徴とする請求項2に記載のレシーバー。
- 請求項1に記載のワイヤレスマイクシステムを構成する前記ワイヤレスマイクであって、適合バンドごとに異なる外観要素と、レシーバーからのチャンネル指示信号を受信して複数の送信可能チャンネルの中から1つのチャンネルを選択するチャンネル切替手段とを備えたことを特徴とするワイヤレスマイク。
- チャンネル切替手段は、電源を投入してから前記チャンネル指示信号を所定期間受信して1つのチャンネルを選択した上で前記チャンネル指示信号の受信動作を休止させることを特徴とする請求項4に記載のワイヤレスマイク。
- 前記チャンネル切替手段は、所定の利用者入力を受け付ける機会ごとに前記チャンネル指示信号を所定期間受信して1つのチャンネルを選択することを特徴とする請求項4に記載のワイヤレスマイク。
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