JP4674786B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー複写機やカラープリンタとして用いられる画像形成装置及び該画像形成装置を用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー画像形成方法の1つとして、タンデム方式と云われる各色毎に別々の電子写真感光体(以後、単に感光体とも云う)上にカラートナー像を形成し、これらのカラートナー像を中間転写体或いは記録材に重ね合わせる画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このタンデム方式は、色分解された画像情報、即ち、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した画像情報に基づき、各々、別々の感光体に静電潜像を形成し、各静電潜像上に、各色に対応したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色カラートナー像を形成し、これらトナー像を中間転写体或いは記録材に重ね合わせてカラー画像を形成する。このタンデム方式のカラー画像形成装置は、複数の画像形成ユニットで形成される色相の異なるトナー像を中間転写体或いは記録材上に重ね合わせてカラー画像を形成するので、高速のカラー画像を形成できる電子写真方式の画像形成装置を開発することができる。
【0004】
しかしながら、このタンデム方式は、各カラートナー像毎に別々の感光体を用いるので、それぞれの感光体の性能が安定していないと、色むらや色ずれが発生しやすい。
【0005】
一方、カラー画像の高画質化のために、電子写真感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて電子写真感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献2)。このような小径スポット露光方式を、前記したタンデム方式のカラー画像形成に用いるとき、前記した4色に対応した感光体の性能が安定していることが重要である。
【0006】
所で、タンデム方式の画像形成装置に有機感光体を用いた場合、Y、M、Cのカラー用感光体に比し、文字画像も形成する黒色用有機感光体の摩耗が多く、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)のそれぞれの感光体を一体にした画像形成ユニットでは、該画像形成ユニットの寿命は、黒色用感光体の寿命で決定され、カラー用感光体は寿命に達する以前に交換せざるを得ないという問題が指摘されている。このような課題に対して、黒色用感光体のみをアモルファスシリコン系感光体にし、他のカラー用感光体は有機感光体で構成するタンデム型画像形成装置が提案されている(特許文献3)。この黒色用のみにアモルファスシリコン系感光体を用いることにより、各感光体間の膜厚減耗差が少なくなるものの、アモルファスシリコン系感光体と有機感光体では、トナーと感光体との付着性が著しく異なることから、トナーの現像性、転写性等に大きな違いが発生し、文字画像とカラー画像の両方の品質を安定に得ることが出来ないとの問題が発生している。
【0007】
例えば、トナーの製造品質のバラツキにより、ドット画像の大きさの変動がカラーのドット画像に比し黒色のドット画像で特に大きく、カラー画像に鮮やかさが不足するといった問題が発生している。
【0008】
又、感光体表面へのトナーフィルミングがアモルファスシリコン系感光体と有機感光体では異なるため、同じような特性のトナーを用いていると、長期間の使用中に、文字画像とカラー画像の両方の品質が劣化すると云う問題も発生している。
【0009】
以上のような問題はアモルファスシリコン系感光体と有機感光体を併用して用いるタンデム型画像形成装置特有の問題であり、これらの問題を解決する方法は尚、十分に検討されていないのが実情である。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−222129号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平8−272197号公報
【0012】
【特許文献3】
特開2002−372820号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた。本発明の目的は、中間転写体を用いたタンデム型の画像形成装置を用いて良好なカラーの電子写真画像を提供することであり、特に多数枚の画像形成において、中間転写体を用いたタンデム型のカラー画像形成装置の黒色のドット画像の再現性を改善し、文字画像とカラー画像の品質を両立させると同時に、中間転写体を用いた転写プロセスで発生しやすい転写抜け、ブラックスポット等の画像欠陥を防止し、鮮鋭性が良好で鮮やかな色相のカラー画像を再現する電子写真方式の画像形成装置、画像形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の4組の画像形成ユニット及び中間転写体を用いるカラー画像を形成する画像形成装置において、黒色用の画像形成ユニットの用いられる電子写真感光体とカラー用画像形成ユニットに用いられる電子写真感光体の使用頻度の違いによる膜厚減耗の差から発生する画質劣化を防止するには、黒色用の電子写真感光体に膜厚減耗が小さいアモルファスシリコン感光体を用い、他のカラー用感光体に有機感光体を適用すると同時に、アモルファスシリコン系感光体と有機感光体との間で異なる現像性、転写性等を改良することが必要であることを見出し、本発明を完成した。即ち、アモルファスシリコン系感光体と有機感光体との間で異なる現像性、転写性等をそれぞれの感光体で最適にすると同時に、それぞれの感光体上で形成されたトナー像の中間転写体上への一次転写性及び記録材への二次転写性を同時に満足させる為に、4組の画像形成ユニットの各トナー間に一定の関係を持たせることが必要であることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
即ち、本発明の目的は下記構成の何れかを採ることにより達成される。
1.少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有する画像形成ユニットを黒色用、黄色用、マゼンタ用、シアン用の4組配列して設け、該4組の画像形成ユニット毎に色が異なるトナーを用いて電子写真感光体上に形成された各色トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写してカラートナー像を形成し、該カラートナー像を記録材上に一括して再転写し、再転写されたカラートナー像を定着してカラー画像を形成する画像形成装置において、該4組の画像形成ユニットの現像手段に用いられる各色トナーは疎水性シリカと酸化チタンを外添剤として含有し、下記で定義される各色トナーの濁度が60未満で、最大濁度のトナーは黄色トナー又はシアントナーであり、各色トナー間に濁度の差があり、それらの各濁度差の内の最大のものが5〜45の範囲内であり、且つ黄色用、マゼンタ用、シアン用の画像形成ユニットの電子写真感光体が有機感光体であり、黒色用画像形成ユニットの電子写真感光体がアモルファスシリコン系感光体で且つ現像手段が濁度25未満の黒色トナーを含有することを特徴とする画像形成装置。
濁度;HAZE値=拡散成分/全透過成分の百分率で定義される。
トナーの濁度測定方法;トナー5.0gを界面活性剤(洗浄力ファミリー;花王(株)製)1mlの入った水溶液50mlに分散させ、遠心分離器(2000rpm:10分間)を用いて分離する。トナー成分は沈殿するため、遊離成分である上澄み液を採取する。これを日本電色(株)製COH−300Aを用いて、入射光に対する全透過成分の内の拡散成分の割合を算出しHAZE値(百分率:但し%は省略する)をトナーの濁度とする。
【0017】
2.前記有機感光体が表面層にフッ素系樹脂粒子を含有していることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0018】
3.各色トナー間に濁度の差があり、それらの各濁度差の内の最大のものが最大10〜35であることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成装置。
【0019】
4.黒色トナー濁度が20未満であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0020】
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0021】
本発明は、以上のような構成を持つことにより、モノクロ画像及びカラー画像の両方のドット画像を良好に形成することができ、且つ転写抜けやブラックスポット等の画像欠陥を防止した良好な電子写真画像を作製することができる。
【0022】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明においてトナーの濁度は以下のように定義され、測定することが出来る。
【0023】
濁度;HAZE値=拡散成分/全透過成分と定義される。
トナーの濁度測定方法;トナー5.0gを界面活性剤(洗浄力ファミリー;花王(株)製)1mlの入った水溶液50mlに分散させ、遠心分離器(2000rpm:10分間)を用いて分離する。トナー成分は沈殿するため、遊離成分である上澄み液を採取する。これを日本電色(株)製COH−300Aを用いて、入射光に対する全透過成分の内の拡散成分の割合を算出しHAZE値をトナーの濁度とする。
【0024】
トナーの濁度の値が大きい場合は、外添剤等の微粒子の遊離成分が多いことを意味する。
【0025】
本発明の画像形成装置は4組の画像形成ユニットの現像手段に用いられる各色トナーの濁度が60未満で、各色トナー間の濁度の差が最大5〜45であり、且つ黒色用画像形成ユニットの現像手段に濁度が25未満の黒色トナーを含有することを特徴とする。このことにより、文字画像及びカラー画像のドット再現性が改善され、且つ中間転写体に重ね合わされたカラートナー像の記録材への転写性が顕著に改善され、転写抜け、ブラックスポット等の画像欠陥を著しく改善でき、鮮鋭性が良好で、色相が鮮やかなカラー画像を形成することができる。
【0026】
即ち、各色トナーの濁度が60以上だと、微粒子の遊離成分が多いために、感光体及び中間転写体上で遊離成分が飛散し、鮮鋭性の低下を発生しやすい。また、遊離した成分が有機感光体表面に多く付着し、ブラックスポット(苺状の斑点画像)等の画像欠陥が発生しやすく、カラーのドット再現性も低下しやすい。又、各色トナーの濁度が60未満でも、各色トナー間の濁度の差が最大5未満では、中間転写体から記録材への転写性が低下しやすく、転写抜け、カラー画像の画像濃度の低下、鮮鋭性の低下等を発生しやすい。一方、各色トナー間の濁度の差が最大45より大きいと各トナー間の帯電量のバランス制御が難しく成りやすく、カラーのドット再現性が低下し、鮮鋭性の劣化を生じやすい。
【0027】
各色トナーの濁度は60未満だが、好ましくは50未満、最も好ましくは40未満である。一方、各色トナー間に濁度の差があり、それらの各濁度差の内の最大のもの(本明細書では、各色トナー間の濁度の差、とも云う)は最大5〜45であるが、より好ましくは10〜35である。
【0028】
本発明の各色トナーとしては、黒色トナー、黄色トナー、マゼンタトナー、シアントナーの4色のトナー群を用いることが好ましい。これらの4色のトナーは厳密に云えば黒色系トナー、黄色系トナー、マゼンタ系トナー、シアン系トナーであり、減色法により、カラー画像を形成できる4色であればよい。4色のトナーを用いることにより、文字画像及びカラー画像の両方の画像を鮮明に且つ色鮮やかに作製することができる。
【0029】
又、各色トナーの内、黒トナーの濁度は25未満である。黒トナーの濁度が25未満であることにより、アモルファスシリコン系感光体上のドット潜像を正確にトナー像に顕像化でき、文字画像及びカラー画像の両方の鮮鋭性、色再現が劣化しにくく、良好な画像を常に作製することができる。
【0030】
又、各色トナーの内、最大濁度のトナーは黒色トナー以外のカラートナーであることが好ましい。特に、黄色トナーが好ましい。黄色トナーは濁度が大きくなっても、比較的鮮鋭性の低下、色再現の低下を起こしにくい。
【0031】
トナーの濁度を前記定義と測定方法に従って60未満の範囲に制御し、且つ各トナー間の濁度の差を最大5〜45にする為には、トナーの表面に付着する外添剤粒子の種類の選択と該外添剤粒子(以下単に外添剤とも云う)のトナー表面への固着度合いを制御する事が重要である。
【0032】
本発明に好ましく用いられる外添剤の数平均粒子径は、0.05〜0.5μmである。
【0033】
外添剤の粒径が0.05μmより小さい場合は、トナー感光体間の物理的付着力が軽減されない為に転写性が落ち、結果的に画像濃度の低下を招く。
【0034】
粒径が0.5μmより大きい場合は、一旦付着した外添剤が現像器内の撹拌等のストレスにより容易に離脱し遊離するため、遊離量が現像器内で蓄積されるため、現像器内で再凝集し、転写時に核となり、転写抜けを生じる。また、遊離した成分が感光体表面に多く付着するため、感光体表面へのフィルミングが発生しやすくなる。
【0035】
外添剤のトナーへの添加量は、着色粒子(外添剤添加前のトナー)100質量部に対し、0.05〜5.0質量部(以後、特に断らない限り「部」とは、「質量部」を示す)が好ましく、特には1.0〜4.0部が好ましい。
【0036】
0.05部より少ないと物理的付着力の低減効果が得られないために転写性の低下を招きやすい。5.0部より多いとトナー表面に過剰の外添剤が存在するために、現像器内の撹拌等のストレスにより容易に離脱し遊離傾向がある。そのため、遊離したものが現像器内で蓄積され、現像器内で再凝集し核となり、これが現像されたトナー像に混入すると転写時に転写抜けを生じやすい。また、遊離した成分が感光体表面に多く付着するため、感光体表面へのトナーフィルミングが発生しやすくなる。
【0037】
外添剤の着色粒子への付着状態を制御する方法としては限定されず、一般的に用いられている微粒子の外添装置、トナー表面に固定又は固着する装置のすべてを用いることが出来る。
【0038】
固定化の具体的な装置としてはヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、TURBO SPHEREミキサー等を使用することができる。中でもヘンシェルミキサーは、外添剤の混合処理と固定処理を同一の装置で行えること、また撹拌混合の容易性や外部からの加熱の容易性などの観点で好適に使用することができる。
【0039】
上記固定処理時の混合方法としては、撹拌羽根の先端の周速が5〜50m/sで処理されることが望ましい。好ましくは10〜40m/sで処理されることが望ましい。また、予備混合を行い樹脂粒子表面に外添剤を均一に付着させることが好ましく、温度の制御方法としては、外部より温水等を用いて必要な温度に調整することが好ましい。
【0040】
温度の測定方法は、トナーが撹拌混合されている状態でトナーが流動している部位の温度を測定するものである。また、固定処理後に冷水を流通させ、冷却、解砕工程を行うことが好ましい。
【0041】
外添剤の着色粒子表面への固定化の度合いを制御する方法としては、Tg−20≦(撹拌混合温度)≦Tg+20の温度条件で着色粒子と外添剤を撹拌混合し、機械的衝撃力を付与しながら、任意の時間の調整によって、着色粒子表面に外添剤粒子を均一に付着させることができる。
【0042】
ここで言うTgとはトナー又は該トナーを構成する結着樹脂のガラス転移温度を指す。ガラス転移温度は、DSC7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。測定方法は、10℃/minで0℃から200℃へ昇温し、ついで、10℃/minで200℃から0℃へ冷却して前履歴を消した後、10℃/minで0℃から200℃へ昇温し、セカンドヒートの吸熱ピーク温度を求め、Tgとした。吸熱ピークが複数有る場合は、主吸熱ピークの温度をTgとした。
【0043】
トナー又は該トナーを構成する結着樹脂のTgとしては40〜70℃が好ましく使用される。40℃より小さいとトナーの保存性が悪く、凝集してしまう。70℃より大きいと定着性、生産性の観点から好ましくない。
【0044】
流動性付与の観点から、外添剤の付着制御後に更に外添剤を外添してもよいが、前記トナーとしての濁度が本発明の範囲内に入ることが必要である。
【0045】
前記外添剤の数平均粒子径の測定方法については、透過型電子顕微鏡観察によって観察し、画像解析によって測定されたものを用いて表示した。
【0046】
前記外添剤の組成としては特に限定されず、任意の外添剤を用いることが出来る。
【0047】
例えば、無機の外添剤としては各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。
【0048】
更に、上記無機外添剤に疎水化処理をおこなったものでもよい。疎水化処理を行う場合には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤によって疎水化処理することが好ましく、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
【0049】
また、樹脂外添剤を用いる場合も、特にその組成が限定されるものでは無い。一般的にはビニル系の有機外添剤粒子やメラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン等の外添剤粒子が好ましい。この理由としては乳化重合法や懸濁重合法等の製造方法によって容易に製造することが可能であるからである。
【0050】
次に本発明に好ましく用いられるトナーについて記載する。
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0051】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、感光体に付着してフィルミングを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0052】
本発明に用いられるトナーの粒度分布は、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0053】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより、前記トナー画像の一次転写性及び二次転写性を良好にし、選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0054】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
【0055】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0056】
本発明に用いられるトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmが好ましい。トナーの体積平均粒径および粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザ回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を測定し求めたものである。
【0057】
このトナーを製造する方法としては特に限定されるものでは無い。しかしながら、重合法トナー(重合トナーとも云う)が製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して均一性に優れる点等で好ましい。
【0058】
重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合、及びその後の化学的処理により形成されるて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
【0059】
いずれにしろ、粉砕法トナーであれ重合法トナーであれ上記本発明の要件を満たすものであれば、本発明の目的を達成できる。
《本発明に使用されるトナーの構成、及び製造方法》
本発明に使用されるトナーの製造方法は、最も一般的に用いられている粉砕法、即ちバインダー樹脂と着色剤、その他必要により添加される種種の添加剤を混練粉砕後分級して作製しても良いし、離型剤、着色剤を含有した樹脂粒子を媒体中で合成作製して製造してもよい。
【0060】
水系媒体中で融着させる方法として、例えば特開昭63−186253号公報、同63−282749号公報、特開平7−146583号公報等に記載されている方法や、樹脂粒子を塩析/融着させて形成する方法等をあげることができる。
【0061】
ここで用いられる樹脂粒子は重量平均粒径50〜2000nmが好ましく、これらの樹脂粒子は乳化重合、懸濁重合、シード重合等のいずれの造粒重合法によっても良いが、好ましく用いられるのは乳化重合法である。
【0062】
以下、樹脂の製造に用いられる単量体は、いずれの製造方法においても、従来公知の重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0063】
バインダー樹脂としては特に限定されるものではなく、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂等、一般的に知られているバインダー樹脂を使用することができる。
【0064】
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂を構成する樹脂としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアクリル酸エステル誘導体等が具体的に樹脂を構成する単量体として挙げられ、これらは単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0065】
その他のビニル系重合体の具体的例示化合物としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0066】
さらに、スチレン−アクリル系樹脂(ビニル系樹脂)で含カルボン酸重合体を得るための単量体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、ケイ皮酸無水物、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル等が挙げられる。
【0067】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングルコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等の架橋剤を添加してもよい。
【0068】
また、ポリエステル樹脂としては、2価以上のカルボン酸と2価以上のアルコール成分を縮合重合させて得られる樹脂である。2価のカルボン酸の例としてはマレイン酸、フマール酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等が挙げられ、これらの酸無水物も使用することができる。
【0069】
また、ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分の例としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のエーテル化ビスフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等をあげることができる。
【0070】
また、ポリエステル樹脂として架橋構造を有するものとしては、下記3価のカルボン酸、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等があげられ、これらの酸無水物、あるいは多価アルコール成分、具体的にはソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等を添加することで架橋ポリエステル樹脂とすることもできる。
【0071】
本発明において、黒色トナー(以下、トナーBkとも称する)、黄色トナー(以下、トナーYとも称する)、マゼンタ色トナー(以下、トナーMとも称する)、シアン色トナー(以下、トナーCとも称する)中に用いられる着色剤としては無機顔料、有機顔料を挙げることができる。
【0072】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0073】
黒色の顔料(黒色系)としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0074】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0075】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0076】
有機顔料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0077】
マゼンタまたはレッド用の顔料(マゼンタ色系)としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0078】
オレンジまたはイエロー用の顔料(黄色系)としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0079】
グリーンまたはシアン用の顔料(シアン色系)としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0080】
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0081】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0082】
本発明で得られたトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては前記に記したように、特に限定されるものでは無く、種々の無機粒子、有機粒子及び滑剤を使用することができる。
【0083】
又、前記外添剤粒子とは別に、滑剤を外添剤としてトナーに添加してもよい。滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0084】
これら滑剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子を、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、前述の外添剤を添加してもよい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0085】
トナーは、バインダー樹脂、着色剤以外にトナー用添加剤として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には離型剤、荷電制御剤等が挙げられる。
【0086】
尚、離型剤としては、種々の公知のもので、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナウバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。これらは離型剤粒子として加えられ、樹脂や着色剤と共に塩析/融着させることが好ましいことはすでに述べた。
【0087】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0088】
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよいが、好ましくは二成分現像剤としてである。
【0089】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
【0090】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
【0091】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0092】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0093】
次に、本発明に用いられる感光体について詳細に説明する。
本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体は黒色用画像形成ユニット用のアモルファスシリコン系感光体及びカラー用画像形成ユニット用の有機感光体の2種が用いられる。
【0094】
以下、アモルファスシリコン系感光体及び有機感光体について説明する。
本発明のアモルファスシリコン系感光体とは、アモルファスシリコン層又は非晶質シリコン層を有する感光体を云う。
【0095】
これらの感光体は特開昭54−83746号公報、特開昭57−11556号公報、特開昭60−67951号公報、特開昭62−168161号公報、特開昭57−158650号公報等に公知のアモルファスシリコン系感光体を用いることが出来る。
【0096】
以下本発明のアモルファスシリコン系感光体(以下a−Si感光体ともいう)について、簡単に説明する。
【0097】
図5は、本発明におけるa−Si感光体の代表的な層構成を説明するための模式的構成図である。
【0098】
図5(a)は、本発明のa−Si感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。図5(a)に示すa−Si感光体100は、感光体用としての導電性支持体101の上に、感光層102が設けられている。該感光層102はa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層103と、アモルファスシリコン系表面層104と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層105とから構成されている。
【0099】
図5(b)は、本発明のa−Si感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図である。図5(b)に示す画像形成装置用感光体100は、感光体用としての導電性支持体101の上に、感光層102が設けられている。該感光層102は光導電層103を構成するa−Si:H、Xからなる電荷発生層、106ならびに電荷輸送層107、アモルファスシリコン系表面層104及びアモルファスシリコン系電荷注入阻止層105とから構成されている。
【0100】
上記a−Si感光体の層構成は、代表的な層構成を示したものであり、上記層構成で表面層や電荷注入阻止層は必ずしも必須成分ではない。
【0101】
a−Si感光体は、一般的には、導電性支持体を50〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法(以下、「PCVD法」と称する)等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成する。なかでもPCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
【0102】
以下、a−Si感光体の層構成の説明をする。
導電性支持体
本発明のa−Si感光体において使用される導電性支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Feなどの周知の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。該導電性支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状でもよい。
【0103】
特にレーザ光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合には、可視画像において現れる、いわゆる干渉縞模様による画像不良をより効果適に解消するために導電性支持体の表面に凹凸を設けてもよい。支持体1101の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、特開昭60−178457号公報、特開昭60−225854号公報等に記載された公知の方法により作製される。
【0104】
また、レーザ光などの可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する別の方法として、導電性支持体101の表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を設けてもよい。即ち、導電性支持体101の表面が画像形成装置用感光体1100に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。導電性支持体101の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載された公知の方法により作製される。
【0105】
又、レーザ光等の可干渉光を用いた場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさらに別の方法として、感光層102内、或いは該層の下側に光吸収層等の干渉防止層或いは領域を設けても良い。
【0106】
光導電層
本発明a−Si感光体はその目的を達成するため、導電性支持体上、必要に応じて下引き層(不図示)上に形成され、感光層102の一部を構成するのが好ましい。光導電層103は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからしてグロー放電法が好適である。
【0107】
グロー放電法によって光導電層103を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体101上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0108】
また、本発明において光導電層103中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが好ましいが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。よって水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量はシリコン原子と水素原子または/及びハロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0109】
本発明のa−Si感光体を作製する為に使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としてはガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層作製時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2H6が好ましいものとして挙げられる。
【0110】
そして、形成される光導電層103中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスに更にH2および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0111】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。
【0112】
光導電層103中に含有される水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体101の温度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0113】
本発明のa−Si感光体においては、光導電層103には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層103中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0114】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、周知の如く、p型伝導特性を与える周期律表3b族に属する原子(第3b族原子)またはn型伝導特性を与える周期律表5b族に属する原子(第5b族原子)を用いることができる。
【0115】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH2および/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0116】
さらに本発明のa−Si感光体においては、光導電層103に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0117】
本発明のa−Si感光体において、光導電層103の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。
【0118】
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層103を形成するために、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに導電性支持体温度を適宜設定することができる。
【0119】
なお、前記の各条件は、通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0120】
表面層
本発明のa−Si感光体においては、上述のようにして導電性支持体101上に形成された光導電層103の上に、更に表面層104を形成することが好ましい。この表面層104は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0121】
表面層104は、アモルファスシリコン(a−Si)系の材料や、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiO:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiN:H,X」と表記する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiCON:H,X」と表記する)等の材料が好適に用いられる。
【0122】
本発明のa−Si感光体に於いて、その目的を効果的に達成するために、表面層104は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作製することが好ましい。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される画像形成装置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0123】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xよりなる表面層104を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層103を形成した支持体101上にa−SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0124】
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30〜90%の範囲が好ましい。
【0125】
また、本発明のa−Si感光体において表面層104中に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0126】
表面層内の欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は、例えば自由表面から光導電層への電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロナ帯電時や光照射時に光導電層により表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることによる繰り返し使用時の残像現象の発生等、画像形成装置用感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0127】
表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで前記表面層内の欠陥が大幅に減少し、電気的特性面及び高速連続使用性の向上を図ることができる。一方、前記表面層中の水素含有量が70原子%を超えると表面層の硬度が低下により耐久性が低下する。
【0128】
また、表面層中の弗素含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止することができる。一方、表面層中の弗素含有量が15原子%を超えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生の効果およびシリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害するため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてくる。
【0129】
表面層中の弗素含有量や水素含有量は、H2ガスの流量、導電性支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0130】
本発明のa−Si感光体に於ける表面層104の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0131】
本発明のa−Si感光体の表面層104は、その要求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、Si、C及び/またはN及び/またはO、H及び/またはXを構成要素とする物質はその形成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、又、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成される様に、所望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。
【0132】
例えば、表面層104を耐圧性の向上を主な目的として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として作製される。
【0133】
又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的とする場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
【0134】
更に、表面層104の低抵抗による画像流れを防止し、或いは残留電位等の影響を防止する為に、一方では帯電効率を良好にする為に、層作製に際して、その抵抗値を適宜に制御する事が好ましい。
【0135】
さらに本発明のa−Si感光体に於いては、光導電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性を更に向上させるためには有効である。
【0136】
また表面層104と光導電層103との間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層103に向かって減少するように変化する領域を設けても良い。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による干渉の影響をより少なくすることができる。
【0137】
電荷注入阻止層
本発明のa−Si感光体においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいっそう効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、導電性支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させることが好ましい。
【0138】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。
【0139】
しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも好ましい。
【0140】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第3族原子またはn型伝導特性を与える周期律表第5族原子を用いることができる。
【0141】
本発明のa−Si感光体において電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定される。
【0142】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0143】
該層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも導電性支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも好ましい。
【0144】
本発明のa−Si感光体においては、電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子及び/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定される。
【0145】
電荷注入阻止層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。
【0146】
本発明のa−Si感光体において、電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
【0147】
本発明のa−Si感光体において、電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。
【0148】
このほかに、本発明のa−Si感光体においては、感光層102の前記導電性支持体101側に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有することが望ましい。
【0149】
また、本発明のa−Si感光体に於いては、導電性支持体101と光導電層103あるいは電荷注入阻止層105との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えば、Si3N4、SiO2、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けても良い。
【0150】
更に、前述のごとく、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けても良い。これらの電荷注入阻止層、光導電層、表面層等を順次積層し、正帯電又は負帯電のa−Si感光体を作製する。
【0151】
一方本発明の有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0152】
以下、有機感光体の構成について簡単に説明する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0153】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0154】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0155】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0156】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好まく、特にはポリアミド等のバインダー樹脂中に酸化チタン微粒子を分散含有させる中間層が好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0157】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0158】
酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましい。中でも複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものが好ましい。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0159】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0160】
この様に、酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0161】
表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはメチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキチシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の各種アルコキシシラン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0162】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0163】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0164】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0165】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0166】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0167】
電荷輸送物質(CTM)としては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMの併用は、相互のCTM間のイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0168】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0169】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0170】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜50μmが好ましい。又、本発明の電荷輸送層は2層以上の多層構成とし、その最上層に表面保護層としての機能を持たせても良い。
【0171】
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。
【0172】
表面保護層
前記した電荷輸送層とは別に、耐摩耗性を強化する為に、帯電性を改良するために、或いは電荷注入性を付与するために、表面保護層を設けてもよい。
【0173】
本発明の画像形成装置に用いられる有機感光体は感光体表面を低表面エネルギーの物性にし、感光体から記録材へのトナーの転写性を向上させることが好ましい。このための方策として、1つは、本発明では感光体の表面層をフッ素系樹脂粒子を含有させた表面層にすること、他の1つは感光体の表面に表面エンルギー低下剤を供給することにより、感光体の表面エネルギーを小さくし、感光体から記録材へのトナーの転写性を良好にすることができる。この感光体の表面エネルギーを低下させることと、前記したトナー濁度を調製したトナー群を用いることを併用することにより、その相乗効果により、文字画像、カラー画像とも鮮鋭性が良好で、且つ色再現が良好なカラーの電子写真画像を提供することができる。
【0174】
又、本発明の有機感光体は表面エネルギーを低下させることにより、表面層は水に対する接触角が90°以上であることが好ましい。水に対する接触角が90°以上にすることによりトナー等のクリーニング性を改善すると共に、感光体から記録材へのトナーの転写性を良好にすることができる。
【0175】
上記フッ素系樹脂粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリエチレン−三フッ化エチレン共重合体、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の樹脂粒子を挙げることができ、体積平均粒径で0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。又、本発明の感光体に含有するフッ素系樹脂粒子の量は、感光体の表面層のバインダー樹脂に対して、好ましくは0.1〜90質量%、より好ましくは1〜50質量%であり、0.1%未満の場合は感光層に十分な耐刷性や潤滑性を付与することができず、前記トナーの一次転写性の改善が小さく、画像濃度の低下、転写抜け、鮮鋭性の劣化等が発生しやすい。90質量%を超えると表面層の形成が困難に成りやすい。
【0176】
なお、上記フッ素系樹脂粒子の体積平均粒径はレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−700」(堀場製作所(株)社製)により測定される。
【0177】
又、感光体の表面接触角は、純水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
【0178】
図1は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0179】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0180】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0181】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Kと、像露光手段3Y、3M、3C、3Kと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4K、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Kより構成されている。
【0182】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0183】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
【0184】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0185】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0186】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことが好ましい。このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜1000μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0187】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0188】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0189】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0190】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての用紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、用紙P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0191】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0192】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0193】
二次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0194】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0195】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0196】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6Aとから成る。
【0197】
図2は中間転写体のクリーニング手段の一例である。
中間転写体のクリーニング手段6Aは図2で示されるように支軸63の周りに回転可能に制御されるブラケット62に取り付けられたブレード61で構成され、バネ荷重或いは重り荷重を変えることにより、ローラ71へのブレード押圧力を調整することが出来るようにしてある。
【0198】
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0199】
筐体8の図示左側の支持レール82Lは、無端ベルト状中間転写体70の左方で、定着手段24の上方空間部に配置されている。筐体8の図示右側の支持レール82Rは、最下部の現像手段4Bkの下方付近に配置されている。支持レール82Rは、現像手段4Y、4M、4C、4Bkを筐体8に着脱する動作に支障を来さない位置に配置されている。
【0200】
筐体8の感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示右方は、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより囲まれ、図示下方は、帯電手段2Y、2M、2C、2Bk、及びクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bk等により囲まれ、図示左方は、無端ベルト状中間転写体70により囲まれている。
【0201】
その中で感光体、クリーニング手段及び帯電手段等は一つの感光体ユニットを形成し、現像手段及びトナー補給装置等は一つの現像ユニットを形成している。
【0202】
図3は感光体と無端ベルト状中間転写体と一次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを中間転写体としての無端ベルト状中間転写体70の背面から各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧するが、図3の配置図にも示すように、押圧しない時の中間転写体としての無端ベルト状中間転写体70と各感光体1Y、1M、1C、1Bkとの接触点よりも感光体回転方向下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを配置し各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧する。このとき中間転写体としての無端ベルト状中間転写体70は各感光体1Y、1M、1C、1Bkの外周に沿うように曲げられ、感光体と無端ベルト状中間転写体70の接触領域の最も下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkが配置される構成となる。
【0203】
図4はバックアップローラと無端ベルト状中間転写体と二次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。二次転写ローラ5Aは図4の配置図にも示すように、該二次転写ローラ5Aで押圧しない時の中間転写体としての無端ベルト状中間転写体70とバックアップローラ74との接触中央部よりもバックアップローラ74の回転方向上流側に配置されていることが望ましい。
【0204】
中間転写体は、ポリイミド、ポリカーボネート、PVdF等の高分子フィルムや、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムにカーボンブラック等の導電性フィラーを添加して導電化したもの等が用いられ、ドラム状、ベルト状どちらでもよいが、装置設計の自由度の観点からベルト状が好ましい。
【0205】
又、中間転写体の表面は、適当に粗面化されていることが好ましい。中間転写体の十点表面粗さRzを0.5〜2μmにすることにより、感光体に供給された表面エネルギー低下剤を中間転写体表面に取り込み、中間転写体上のトナー付着力を低下させ、中間転写体から記録材へのトナーの二次転写の転写率を向上させることが容易になる。この場合、中間転写体の十点表面粗さRzが感光体の十点表面粗さRzより、大きい方が効果が大きい傾向にある。
【0206】
【実施例】
次に、本発明の態様を具体的に説明するが、本発明の構成はこれに限られるものではない。
【0207】
トナーの作製
(トナー1Bk、1Ya、1Yb、1M、1Cの作製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0208】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0209】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0210】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0211】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0212】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0213】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0214】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0215】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0216】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0217】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0218】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を全量添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0219】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0220】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0221】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0222】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをそれぞれ全量この順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた(塩析/融着工程)。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
【0223】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部、及び0.05μmの酸化チタン0.25質量部添加し、ヘンシェルミキサーの周速を40m/s、52℃で10分間混合し「トナー1Bk」を得た。
【0224】
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー185を使用した以外同様にして「トナー1Ya」を得た。又、ヘンシェルミキサーの周速を少し遅くして、「トナー1Yb」を得た。
【0225】
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外同様にして「トナー1M」を得た。
【0226】
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用した以外同様にして「トナー1C」を得た。トナー1Bk、1Ya、1M、1Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)の測定結果を表1に、トナー濁度の測定結果を表3に示す。又、トナー1Ybの個数平均粒径、M(m1+m2)はトナー1Yaとほとんど同じであった。
(トナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cの作製)
前記トナー1Bk、1Ya、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)に変更し、ヘンシェルミキサーの周速、及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cを作製した。トナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cの濁度の測定結果を表3に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれら(トナーの個数平均粒径、M(m1+m2))の測定結果とほとんど同じであった。
(トナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cの作製)
前記トナー1Bk、1Ya、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から1.8質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cを作製した。トナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cの濁度の測定結果を表3に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cの作製)
前記トナー1Bk、1Ya、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)を1.8質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cを作製した。トナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cの濁度の測定結果を表3に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cの作製)
前記トナー1Bk、1Ya、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)を3.3質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cを作製した。トナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cの濁度の測定結果を表3に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccの作製)
前記トナー1Bk、1Ya、1M、1Cの作製において、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccを作製した。トナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccの濁度の測定結果を表3に示す。尚、トナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
【0227】
【表1】
【0228】
現像剤の作製
トナー1Bk〜1C、トナー2Bk〜2C、トナー3Bk〜3C、トナー4Bk〜4C、トナー5Bk〜5C、トナー6Bk〜6Ccの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Bk〜1C、現像剤2Bk〜2C、現像剤3Bk〜3C、現像剤4Bk〜4C、現像剤5Bk〜5C、現像剤6Bk〜6Ccを作製した。
【0229】
感光体の作製
下記のごとくして、実施例に用いる感光体を作製した。
【0230】
感光体1(有機感光体)の作製
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済み直径40mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの中間層を形成した。
【0231】
下記塗布液成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0232】
下記塗布液成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0233】
感光体2(フッソ系樹脂粒子を含有する表面保護層を有する有機感光体)の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層までは同様に塗布した。
【0234】
を混合し、溶解して表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃、40分の加熱硬化を行い乾燥膜厚4μmの表面保護層を形成し、感光体2を作製した。
【0235】
感光体3(a−Si感光体)の作製
特開2002−372820号公報等で公知のRF−PCVD法(RF帯を用いた高周波プラズマCVD法)による画像形成装置用感光体の製造装置を用い、直径40mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上に、表2に示す条件で負帯電の感光体を作製した。
【0236】
【表2】
【0237】
実施例1
〈評価〉
各実施例、比較例において、表3に示す組み合わせの感光体群及び現像剤群(トナー群)を用い、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各画像形成ユニットを有する図2記載の中間転写体を有するデジタル複写機に搭載し、常温常湿(20℃50%RH)下で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在したモノクロ画像及びカラー画像を、連続してA4紙に5万枚プリントした。モノクロ画像とカラー画像の比率は、タンデム型カラー画像形成装置のモノクロ及びカラーのプリント比率を考慮して、モノクロ画像9枚、カラー画像1枚の割合で、即ち9:1の割合でプリントした。但し、下記評価に必要な時はプリントを一時停止した。評価項目、評価方法、評価基準を下記に示す。
又評価結果を表3に示す。
【0238】
【表3】
【0239】
表3中、感光体群1、2、3はY、M、C、Bkの各感光体に下記表4のような組み合わせで適用したものである。
【0240】
【表4】
【0241】
評価項目、評価方法、評価基準
「モノクロ画像のドット再現性」
黒色画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント5万枚後の黒色画像で評価した。
【0242】
◎:画像ドットが露光スポット面積に比し、30%未満の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(良好)
○:画像ドットが露光スポット面積に比し、30〜60%の増減で作製され、それぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:画像ドットが露光スポット面積に比し、60%を超した増減で作製され、部分的に画像ドットが消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「カラー画像のドット再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント5万枚後のカラー画像で評価した。
【0243】
◎:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが少なく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30%未満)再現されており、カラー画像の色バランスも良好である(良好)
○:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが、各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30〜60%で、再現されており、カラー画像の色バランスが保たれている(実用性があるレベル)
×:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが大きく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で60%より大きい)再現されており、カラー画像の色バランスが失われている。(実用上問題のレベル)
転写抜け
濃度0.4のハーフトーン画像を紙(坪量200g/m2)上に形成し、転写抜けによるホワイトスポットの発生を目視にて評価した。
【0244】
◎◎:まったく転写抜け(ホワイトスポットの発生)がない(非常に良好)
◎:画像100枚あたり1〜2個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(良好)
○:画像50枚あたり1〜4個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(実用上問題ない)
×:画像50枚あたり、5個以上の明瞭な転写抜けが存在する(実用上問題あり)
ブラックスポット
ハーフトーン画像に、周期性が感光体の周期と一致し、ブラックスポット(苺状のスポット画像)がA4サイズ当たり何個あるかで判定した。
【0245】
◎:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:4個/A4以上、15個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:16個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
画像濃度
画像濃度の測定は、各色のべた部を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、紙をゼロとした相対反射濃度で測定した。
【0246】
◎:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.2以上(良好)
○:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8以上(実用上問題なし)
×:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8未満(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0247】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
中間転写体を有するデジタル複写機のプロセス条件
画像形成のライン速度L/S:180mm/s
感光体(40mmφ)の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、アモルファスシリコン感光体には−400V、有機感光体には−750Vの帯電電位を付与し、全露光した場合の感光体の表面電位は−50〜0Vの範囲にした。
【0248】
像露光条件:半導体レーザ、露光スポット面積:7.5×10-10m2、800dpi
中間転写体:シームレスの無端ベルト状中間転写体70を用い、半導電樹脂製のベルトで体積抵抗率が1×108Ω・cm、Rzが0.9μmのものを用いた。
【0249】
一次転写条件
一次転写ローラ(図1の5Y、5M、5C、5Bk(各6.05mmφ)):芯金に弾性ゴムを付した構成:表面比抵抗1×106Ω、転写電圧印加
二次転写条件
中間転写体としての無端ベルト状中間転写体70とそれを挟み込むようにバックアップローラ74と二次転写ローラ5Aが配置され、バックアップローラ74の抵抗値が1×106Ωであり、二次転写手段としての二次転写ローラの抵抗値が1×106Ωであり定電流制御(約80μA)をするようにしてある。
【0250】
定着はローラ内部にヒータを配置した定着ローラによる熱定着方式である。
中間転写体と感光体との最初の接触点から次色感光体との最初の接触点までの中間転写体上での距離Yは95mmにした。
【0251】
駆動ローラ71、ガイドローラ72、73及び二次転写のためのバックアップローラ74の外周長さ(円周長さ)を31.67mm(=95mm/3)にし、テンションローラ76の外周長さを23.75mm(=95mm/4)にした。
【0252】
そして、一次転写ローラの外周長さを19mm(=95mm/5)にした。
感光体のクリーニング条件
クリーニングブレード:ウレタンゴムブレードを感光体回転方向にカウンター方式で当接した。
【0253】
中間転写体のクリーニング条件
クリーニングブレード:ウレタンゴムブレードを中間転写体進行方向にカウンター方式で当接した。
【0254】
結果を表5に示す。
【0255】
【表5】
【0256】
上記表5より、本発明の要件を満足する感光体群と現像剤群、即ち、感光体群1及び2と黒色トナーの濁度が25未満で且つ各色トナー間の濁度の差が最大5〜45の範囲にある現像剤群を組み合わせた組み合わせNo.2、3、4、5、6、7、9、10、11、13、14、19、20はモノクロ及びカラー画像のドット再現性、転写抜け、ブラックスポット、画像濃度、鮮鋭性とも実用範囲以上の良好な評価を達成しているのに対し、感光体群は1及び2の本発明内のものであっても、本発明外の現像剤群を用いた組み合わせNo.1、8、12、15、16、17、18、21、22、23では、各色トナー間の濁度の差が4.1のNo.1ではトナーの流動性が十分でなく、転写抜け、画像濃度、鮮鋭性が低下し、濁度の差が47台のNo.8、No.21では帯電量のバランスの不安定さから、カラー画像のドット再現性が劣り、鮮鋭性が低下している。又、各色トナーのいずれかの濁度が60以上の現像剤群を用いた組み合わせNo.12、15、18は遊離外添剤が過多となり、ブラックスポットが多発し、カラー画像のドット再現性が劣化し、鮮鋭性が低下している。黒色トナーの濁度が31.5の現像剤を用いた組み合わせNo.16、17、18ではモノクロ及びカラー画像のドット再現性が劣化し、鮮鋭性も劣化している。又、感光体群が本発明外の組み合わせNo.22、23では現像剤群が本発明内のものであっても、モノクロ及びカラー画像のドット再現性が劣り、鮮鋭性が低下している。又、本発明の要件を満たす組み合わせの中でも、感光体群2(a−Si感光体とフッソ系樹脂粒子を含有した有機感光体の組み合わせ群)と現像剤群の中でも、各色トナーの濁度が50未満で且つ各色トナー間の濁度の差が最大10〜35で且つ黒トナーの濁度が20未満の現像剤群の組み合わせNo.4、6、10、20が最も改善効果が顕著である。
【0257】
実施例2(トナーの粒度分布を変更した例)
(トナー7Bk、7Y、7M、7Cの作製)
前記トナー2Bk、2Yb、2M、2Cのトナー製造において、遠心沈降法による液中の分級のレベルを変えて、M(m1+m2)等を変えた以外は、同様にしてトナー7Bk、7Y、7M、7Cを作製した。トナー7Bk、7Y、7M、7Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)及びトナー濁度を表6に示す。
【0258】
これらの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤7Bk、7Y、7M、7Cとした現像剤22群を作製した。
【0259】
(トナー8Bk、8Y、8M、8Cの作製)
前記トナー2Bk、2Yb、2M、2Cのトナー製造において、遠心沈降法による液中の分級のレベルを変えて、M(m1+m2)等を変えた以外は、同様にしてトナー8Bk、8Y、8M、8Cを作製した。トナー8Bk、8Y、8M、8Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)及びトナー濁度を表6に示す。
【0260】
これらの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤8Bk、8Y、8M、8Cとした現像剤23群を作製した。
【0261】
【表6】
【0262】
実施例1の組み合わせNo.4の現像剤4群の代わりに現像剤22群、23群を用いた他は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表7に示す。
【0263】
【表7】
【0264】
表7より、前記トナー粒子の相対度数の和(M)が70%以上の現像剤22群は、(M)が70%未満の現像剤23群に比し、評価項目の改善効果が優れていることが見られる。
【0265】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、中間転写体を用いたタンデム型の画像形成装置にa−Si感光体と有機感光体を併用する場合に課題となっていた現像性からくるドット再現性の不良や転写抜け、ブラックスポット等の画像欠陥を防止し、画像濃度や鮮鋭性が良好なカラー画像を形成できる画像形成装置、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【図2】中間転写体のクリーニング手段の一例である。
【図3】感光体と無端ベルト状中間転写体と一次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。
【図4】バックアップローラと無端ベルト状中間転写体と二次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。
【図5】本発明におけるa−Si感光体の代表的な層構成を説明するための模式的構成図である。
【符号の説明】
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5A 二次転写ローラ(二次転写手段)
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ(一次転写手段)
6A、6Y、6M、6C、6Bk クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成部(画像形成ユニット)
61 ブレード
62 ブラケット
63 支軸
70 無端ベルト状中間転写体
Claims (5)
- 少なくとも電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有する画像形成ユニットを黒色用、黄色用、マゼンタ用、シアン用の4組配列して設け、該4組の画像形成ユニット毎に色が異なるトナーを用いて電子写真感光体上に形成された各色トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写してカラートナー像を形成し、該カラートナー像を記録材上に一括して再転写し、再転写されたカラートナー像を定着してカラー画像を形成する画像形成装置において、該4組の画像形成ユニットの現像手段に用いられる各色トナーは疎水性シリカと酸化チタンを外添剤として含有し、下記で定義される各色トナーの濁度が60未満で、最大濁度のトナーは黄色トナー又はシアントナーであり、各色トナー間に濁度の差があり、それらの各濁度差の内の最大のものが5〜45の範囲内であり、且つ黄色用、マゼンタ用、シアン用の画像形成ユニットの電子写真感光体が有機感光体であり、黒色用画像形成ユニットの電子写真感光体がアモルファスシリコン系感光体で且つ現像手段が濁度25未満の黒色トナーを含有することを特徴とする画像形成装置。
濁度;HAZE値=拡散成分/全透過成分の百分率で定義される。
トナーの濁度測定方法;トナー5.0gを界面活性剤(洗浄力ファミリー;花王(株)製)1mlの入った水溶液50mlに分散させ、遠心分離器(2000rpm:10分間)を用いて分離する。トナー成分は沈殿するため、遊離成分である上澄み液を採取する。これを日本電色(株)製COH−300Aを用いて、入射光に対する全透過成分の内の拡散成分の割合を算出しHAZE値(百分率:但し%は省略する)をトナーの濁度とする。 - 前記有機感光体が表面層にフッ素系樹脂粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 各色トナー間に濁度の差があり、それらの各濁度差の内の最大のものが最大10〜35であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 黒色トナー濁度が20未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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