本発明においてトナーの濁度は以下のように定義され、測定することが出来る。
濁度;HAZE値=拡散成分/全透過成分と定義される。
トナーの濁度測定方法;トナー5.0gを界面活性剤(洗浄力ファミリー;花王(株)製)1mlの入った水溶液50mlに分散させ、遠心分離器(2000rpm:10分間)を用いて分離する。トナー成分は沈殿するため、遊離成分である上澄み液を採取する。これを日本電色(株)製COH−300Aを用いて、入射光に対する全透過成分の内の拡散成分の割合を算出しHAZE値をトナーの濁度とする。
トナーの濁度の値が大きい場合は、外添剤等の微粒子の遊離成分が多いことを意味する。
本発明では、複数の画像形成ユニットの現像手段に用いられる各色トナーの濁度が60未満であり、且つ各色トナー間の濁度の差の内、最大の差(即ち、各色トナー間の濁度差の最大値)が5〜45の範囲内にあるトナー群を用いることにより、中間転写体に重ね合わされたカラートナー像の記録紙への転写性が顕著に改善され且つ該トナー像転写後の中間転写体上の残留トナーを複数のクリーニングブレードを有するクリーニング手段を用いて除去することにより、安定して良好な中間転写体のクリーニングが行なわれ、2回の転写による転写抜け、文字チリを防止でき、且つ中間転写体上のトナーのクリーニング性等による画像むら等を著しく改善でき、鮮鋭性が良好で、色相が鮮やかなカラー画像を形成することができる。
即ち、各色トナーの濁度が60以上だと、微粒子の遊離成分が多いために、感光体及び中間転写体上で遊離成分が飛散し、文字チリや鮮鋭性の低下を発生しやすい。また、遊離した成分が感光体表面や中間転写体表面にに多く付着しやすく、感光体への付着量が多いとブラックスポット(苺状の斑点画像)等の画像欠陥が発生しやく、中間転写体への付着量が多いと中間転写体上の残留トナーのクリーニング性が劣化し、トナーのすり抜けが発生しやすく、その結果、筋状の画像むらが発生しやすい。又、各色トナーの濁度が60未満でも、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が5未満では、感光体から中間転写体へのトナーの転写性の低下及び中間転写体から記録紙への転写性が低下しやすく、転写抜け、カラー画像の画像濃度の低下、鮮鋭性の低下等を発生しやすい。一方、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が45より大きいと各トナー間の帯電量のバランス制御が難しく成りやすく、文字チリが発生しやすく、鮮鋭性の劣化を生じやすい。
各色トナーの濁度は60未満だが、好ましくは50未満、最も好ましくは40未満である。一方、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差は5〜45の範囲内にあるが、より好ましくは10〜35の範囲内である。
本発明の各色トナーとしては、黒色系トナー、黄色系トナー、マゼンタ色系トナー、シアン色系トナーの4色のトナー群を用いることが好ましい。4色のトナーを用いることにより、文字画像及びカラー画像の両方の画像を鮮明に且つ色鮮やかに作製することができる。
又、各色トナーの内、黒トナーの濁度は20未満が好ましい。黒トナーの濁度が20未満であることにより、文字を主体とした画像の鮮鋭性が良好に形成されやすい。
又、カラー画像の内、最大濁度のトナーは黄色系のトナーであるのが好ましい。黄色系のトナーは濁度が大きくなっても、比較的鮮鋭性の低下、色相の低下を起こしにくい。
トナーの濁度を前記定義と測定方法に従って60未満の範囲に制御し、且つ各色トナー間の濁度の差の内、最大の差を5〜45の範囲内にする為には、トナーの表面に付着する外添剤粒子の種類の選択と該外添剤粒子(以下単に外添剤とも云う)のトナー表面への固着度合いを制御する事が重要である。
本発明に好ましく用いられる外添剤の数平均粒子径は、0.05〜0.5μmである。
外添剤の粒径が0.05μmより小さい場合は、トナー感光体間の物理的付着力が軽減されない為に転写性が落ち、結果的に画像濃度の低下を招く。
粒径が0.5μmより大きい場合は、一旦付着した外添剤が現像器内の撹拌等のストレスにより容易に離脱し遊離するため、遊離量が現像器内で蓄積されるため、現像器内で再凝集し、転写時に核となり、転写抜けを生じる。また、遊離した成分が感光体表面に多く付着するため、感光体表面へのブラックスポットが発生しやすくなる。
外添剤のトナーへの添加量は、着色粒子(外添剤添加前のトナー)100質量部に対し、0.05〜5.0質量部(以後、特に断らない限り「部」とは、「質量部」を示す)が好ましく、特には1.0〜4.0部が好ましい。
0.05部より少ないと物理的付着力の低減効果が得られないために転写性の低下を招きやすい。5.0部より多いとトナー表面に過剰の外添剤が存在するために、現像器内の撹拌等のストレスにより容易に離脱し遊離傾向がある。そのため、遊離したものが現像器内で蓄積され、現像器内で再凝集し核となり、これが現像されたトナー像に混入すると転写時に転写抜けを生じやすい。また、遊離した成分が感光体表面や中間転写体表面に多く付着するため、ブラックスポットやトナーのすり抜けに起因する画像むらが発生しやすくなる。
外添剤の着色粒子への付着状態を制御する方法としては限定されず、一般的に用いられている微粒子の外添装置、トナー表面に固定又は固着する装置のすべてを用いることが出来る。
固定化の具体的な装置としてはヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、TURBO SPHEREミキサー等を使用することができる。中でもヘンシェルミキサーは、外添剤の混合処理と固定処理を同一の装置で行えること、また撹拌混合の容易性や外部からの加熱の容易性などの観点で好適に使用することができる。
上記固定処理時の混合方法としては、撹拌羽根の先端の周速が5〜50m/sで処理されることが望ましい。好ましくは10〜40m/sで処理されることが望ましい。また、予備混合を行い樹脂粒子表面に外添剤を均一に付着させることが好ましく、温度の制御方法としては、外部より温水等を用いて必要な温度に調整することが好ましい。
温度の測定方法は、トナーが撹拌混合されている状態でトナーが流動している部位の温度を測定するものである。また、固定処理後に冷水を流通させ、冷却、解砕工程を行うことが好ましい。
外添剤の着色粒子表面への固定化の度合いを制御する方法としては、Tg−20≦(撹拌混合温度)≦Tg+20の温度条件で着色粒子と外添剤を撹拌混合し、機械的衝撃力を付与しながら、任意の時間の調整によって、着色粒子表面に外添剤粒子を均一に付着させることができる。
ここで言うTgとはトナー又は該トナーを構成する結着樹脂のガラス転移温度を指す。ガラス転移温度は、DSC7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。測定方法は、10℃/minで0℃から200℃へ昇温し、ついで、10℃/minで200℃から0℃へ冷却して前履歴を消した後、10℃/minで0℃から200℃へ昇温し、セカンドヒートの吸熱ピーク温度を求め、Tgとした。吸熱ピークが複数有る場合は、主吸熱ピークの温度をTgとした。
トナー又は該トナーを構成する結着樹脂のTgとしては40〜70℃が好ましく使用される。40℃より小さいとトナーの保存性が悪く、凝集してしまう。70℃より大きいと定着性、生産性の観点から好ましくない。
流動性付与の観点から、外添剤の付着制御後に更に外添剤を外添してもよいが、前記トナーとしての濁度が本発明の範囲内に入ることが必要である。
前記外添剤の数平均粒子径の測定方法については、透過型電子顕微鏡観察によって観察し、画像解析によって測定されたものを用いて表示した。
前記外添剤の組成としては特に限定されず、任意の外添剤を用いることが出来る。
例えば、無機の外添剤としては各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。
更に、上記無機外添剤に疎水化処理をおこなったものでもよい。疎水化処理を行う場合には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤によって疎水化処理することが好ましく、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
また、樹脂外添剤を用いる場合も、特にその組成が限定されるものでは無い。一般的にはビニル系の有機外添剤粒子やメラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン等の外添剤粒子が好ましい。この理由としては乳化重合法や懸濁重合法等の製造方法によって容易に製造することが可能であるからである。
次に本発明に好ましく用いられるトナーについて記載する。
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、後に詳述するトナーの製造方法において、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、感光体に付着してフィルミングを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
本発明に用いられるトナーの粒度分布は、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより、前記トナー画像の一次転写性及び二次転写性を良好にし、選択現像の発生を確実に抑制することができる。
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
本発明に用いられるトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmが好ましい。トナーの体積平均粒径および粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザ回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTA−II及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を測定し求めたものである。
このトナーを製造する方法としては特に限定されるものでは無い。しかしながら、重合法トナー(重合トナーとも云う)が製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して均一性に優れる点等で好ましい。
重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合、及びその後の化学的処理により形成されるて得られるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と必要により、その後に行われる粒子同士の融着工程を経て得られるトナーを意味する。重合トナーは原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布、及び形状が均一なトナーが得られる。
いずれにしろ、粉砕法トナーであれ重合法トナーであれ上記本発明の要件を満たすものであれば、本発明の目的を達成できが、使用頻度が最も多い黒色系トナーに重合トナーを用いると、長期間の使用で、安定した画質が得られる。一方、黄色系トナー、マゼンタ色系トナー及びシアン色系トナーに重合トナーを用いると、鮮鋭性が良好なカラー画像が得られ、中間調再現性が重視される写真画像等のカラー画像の形成に適用できる。
《本発明に使用されるトナーの構成、及び製造方法》
本発明に使用されるトナーの製造方法は、最も一般的に用いられている粉砕法、即ちバインダー樹脂と着色剤、その他必要により添加される種種の添加剤を混練粉砕後分級して作製しても良いし、離型剤、着色剤を含有した樹脂粒子を媒体中で合成作製して製造してもよい。
水系媒体中で融着させる方法として、例えば特開昭63−186253号公報、同63−282749号公報、特開平7−146583号公報等に記載されている方法や、樹脂粒子を塩析/融着させて形成する方法等をあげることができる。
ここで用いられる樹脂粒子は重量平均粒径50〜2000nmが好ましく、これらの樹脂粒子は乳化重合、懸濁重合、シード重合等のいずれの造粒重合法によっても良いが、好ましく用いられるのは乳化重合法である。
以下、樹脂の製造に用いられる単量体は、いずれの製造方法においても、従来公知の重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
バインダー樹脂としては特に限定されるものではなく、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂等、一般的に知られているバインダー樹脂を使用することができる。
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂を構成する樹脂としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアクリル酸エステル誘導体等が具体的に樹脂を構成する単量体として挙げられ、これらは単独あるいは組み合わせて使用することができる。
その他のビニル系重合体の具体的例示化合物としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
さらに、スチレン−アクリル系樹脂(ビニル系樹脂)で含カルボン酸重合体を得るための単量体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、ケイ皮酸無水物、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングルコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等の架橋剤を添加してもよい。
また、ポリエステル樹脂としては、2価以上のカルボン酸と2価以上のアルコール成分を縮合重合させて得られる樹脂である。2価のカルボン酸の例としてはマレイン酸、フマール酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等が挙げられ、これらの酸無水物も使用することができる。
また、ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分の例としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のエーテル化ビスフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等をあげることができる。
また、ポリエステル樹脂として架橋構造を有するものとしては、下記3価のカルボン酸、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等があげられ、これらの酸無水物、あるいは多価アルコール成分、具体的にはソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等を添加することで架橋ポリエステル樹脂とすることもできる。
本発明において、黒色系トナー(以下、トナーBkとも称する)、黄色系トナー(以下、トナーYとも称する)、マゼンタ色系トナー(以下、トナーMとも称する)、シアン色系トナー(以下、トナーCとも称する)中に用いられる着色剤としては無機顔料、有機顔料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色系の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
有機顔料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料(マゼンタ色系)としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料(黄色系)としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料(シアン色系)としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
本発明で得られたトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては前記に記したように、特に限定されるものでは無く、種々の無機粒子、有機粒子及び滑剤を使用することができる。
又、前記外添剤粒子とは別に、滑剤を外添剤としてトナーに添加してもよい。滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら滑剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子を、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、前述の外添剤を添加してもよい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
トナーは、バインダー樹脂、着色剤以外にトナー用添加剤として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には離型剤、荷電制御剤等が挙げられる。
尚、離型剤としては、種々の公知のもので、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナウバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどをあげることができる。これらは離型剤粒子として加えられ、樹脂や着色剤と共に塩析/融着させることが好ましいことはすでに述べた。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよいが、好ましくは二成分現像剤としてである。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
次に、本発明に用いられる感光体について詳細に説明する。
本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体は無機感光体、有機感光体のいずれを用いてもよいが、潜像形成の際に、像露光に用いられるレーザ光への感色性、生産性の良好さ等から有機感光体が好ましい。
ここで、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体は感光体表面を低表面エネルギーの物性にし、感光体から中間転写体へのトナーの転写性を向上させることが好ましい。このための方策として、1つは、本発明では感光体の表面層をフッ素系樹脂粒子を含有させた表面層にすること、他の1つは感光体の表面に表面エンルギー低下剤を供給することにより、感光体の表面エネルギーを小さくし、感光体から中間転写体へのトナーの転写性を良好にすることができる。この感光体の表面エネルギーを低下させることと、前記したトナー濁度を調製したトナー群を用いることを併用することにより、中間転写体を用いた画像形成装置のトナーの一次転写性と二次転写性の両方の転写効率を挙げ、その相乗効果により、文字画像、カラー画像とも鮮鋭性が良好で、且つ色相再現が良好なカラーの電子写真画像を提供することができる。
又、本発明の電子写真感光体は表面エネルギーを低下させることにより、表面層は水に対する接触角が90°以上であることが好ましい。水に対する接触角が90°以上にすることによりトナー等のクリーニング性を改善すると共に、感光体から中間転写体へのトナーの転写性を良好にすることができる。
上記フッ素系樹脂粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリエチレン−三フッ化エチレン共重合体、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の樹脂粒子を挙げることができ、体積平均粒径で0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。又、本発明の感光体に含有するフッ素系樹脂粒子の量は、感光体の表面層のバインダー樹脂に対して、好ましくは0.1〜90質量%、より好ましくは1〜50質量%であり、0.1%未満の場合は感光層に十分な耐刷性や潤滑性を付与することができず、前記トナーの一次転写性の改善が小さく、画像濃度の低下、転写抜け、鮮鋭性の劣化等が発生しやすい。90質量%を超えると表面層の形成が困難に成りやすい。
なお、上記フッ素系樹脂粒子の体積平均粒径はレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−700」(堀場製作所(株)社製)により測定される。又、感光体の表面接触角は、純水に対する接触角を接触角計(CA−DT−A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
次に、表面エネルギー低下剤について、記載する。ここで表面エネルギー低下剤とは電子写真感光体の表面に付着し、電子写真感光体の表面エネルギーを低下させる物質を云い、具体的には表面に付着することにより、電子写真感光体の表面の接触角(純水に対する接触角)を1°以上増加させる材料を云う。
ところで、表面エネルギー低下剤としては脂肪酸金属塩が挙げられる。
又、表面エネルギー低下剤としては、電子写真感光体の表面の接触角(純水に対する接触角)を1°以上増加させる材料であれば、脂肪酸金属塩等の材料に限定されない。
本発明に用いられる表面エネルギー低下剤としては、感光体表面への延展性及び均一な膜形成性能を有する材料として脂肪酸金属塩が最も好ましい。該脂肪酸金属塩は、炭素数10以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩が好ましい。たとえばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸ガリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、パルチミン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸金属塩である。
上記脂肪酸金属塩の中でも特にフローテスターの流出速度が高い脂肪酸金属塩は劈開性が高く、本発明の前記感光体表面でより効果的に脂肪酸金属塩の層を形成することができる。流出速度の範囲としては1×10-7以上1×10-1以下が好ましく、5×10-4以上1×10-2以下であると最も好ましい。フローテスターの流出速度の測定は島津フローテスター「CFT−500」(島津製作所(株)製)を用いて測定した。
図1は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としてのベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動するベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての用紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、用紙P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離したベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、ベルト状中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方にはベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、75を巻回して回動可能なベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6Aとから成る。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
筐体8の図示左側の支持レール82Lは、ベルト状中間転写体70の左方で、定着手段24の上方空間部に配置されている。筐体8の図示右側の支持レール82Rは、最下部の現像手段4Bkの下方付近に配置されている。支持レール82Rは、現像手段4Y、4M、4C、4Bkを筐体8に着脱する動作に支障を来さない位置に配置されている。
筐体8の感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示右方は、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより囲まれ、図示下方は、帯電手段2Y、2M、2C、2Bk、及びクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bk等により囲まれ、図示左方は、ベルト状中間転写体70により囲まれている。
その中で感光体、クリーニング手段及び帯電手段等は一つの感光体ユニットを形成し、現像手段及びトナー補給装置等は一つの現像ユニットを形成している。
図2は中間転写体のクリーニング手段の一例である。
本発明の中間転写体のクリーニング手段は複数のクリーニングブレードを有する。本発明の一形態において、ベルト状中間転写体のクリーニング手段6Aは、特に図1及び図2(a)に示すように、ベルト状中間転写体70のトナー像担持面に対向して開口するクリーナケース61Cを有し、このクリーナケース61Cの開口に面してベルト状中間転写体70の移動方向上流側から順に2つのクリーニングブレード、即ち、ウレタンゴムブレード等の弾性ブレード61A及びSUS等の金属製スクレーパ61Bを備えている。本実施の形態において、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの取付構造は、クリーナケース61C内に揺動アーム61Dを一端側を揺動支点61Eとして揺動自在に設け、この揺動アーム61Dの一部をホルダ61Fとして、このホルダ61Fに前記弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの一端部を固定保持し、更に、揺動アーム61Dの自由端とクリーナケース61Cとの間には復帰スプリング61Gを介在させ、図示外の駆動機構にて前記揺動アーム61Dをクリーニング位置とリトラクト位置との間で揺動させるようにしたものである。尚、図2(a)中、符号61Hのブラシロールはクリーナケース61Cの開口下縁に設けられて、弾性ブレード及び金属スクレーパで除去されたトナーを回収する。61Iはブラシロール61Hに付着したトナーを吸着するフリッカーであり、該フリッカーに付着したトナーは61Jのスクレーパで除去し、搬送スクリュー61Kで回収する。
特に、本実施の形態では、弾性ブレード61Aの各種条件(自由長、接触圧、厚み、セットアングルなど)については、ベルト状中間転写体70の駆動源に不必要な負荷がかかることなく、清掃性が確保されるという観点から適宜選定される。一方、金属製スクレーパ61Bの各種条件についても主として清掃性を確保するという観点から適宜選定されるが、金属製スクレーパ61Bの先端部での清掃性をより向上させるという観点からすれば、例えばベルト状中間転写体70面に当接する先端エッジについてエッチング処理を施すことが好ましい。更に、弾性ブレード61Aと金属製スクレーパ61Bとの間隔dについては、クリーナケース61Cの形状や設定位置等の関係で適宜選定して差し支えない。但し、両者2枚の間隔dがあまりに近いと経時的にトナーが両者間の隙間に溜まり、清掃性能が低下することがあるため、好ましくは2mm程度以上離間配置することが好ましい。
更にまた、本実施の形態では、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bは、ローラ75(バックアップローラ)に対応したベルト状中間転写体70部分からベルト状中間転写体70の移動方向上流側に外れた近傍位置に配設されており、ローラ75とベルト状中間転写体70との間に浮遊トナーや塵埃が付着し、ローラ75に対応したベルト状中間転写体70表面部分に微小凸部が形成されたとしても、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの清掃性に影響しないようになっている。但し、弾性ブレード61Aについては、ローラ75に対応したベルト状中間転写体70部分に弾性ブレード61Aを接触させても差し支えない。また、本実施の形態では、ローラ75とローラ77(ブラシローラ61Hに対応したバックアップローラ)間に位置するベルト状中間転写体70の部位に対応してクリーニング手段6Aが配設されており、このベルト状中間転写体70の部位に弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bを接触させている。
そして、このクリーニング手段6Aは、クリーニングサイクル時には、図示外の駆動機構により前記揺動アーム61Dをクリーニング位置(リトラクト位置よりもベルト状中間転写体70寄りの位置)に移動させ、ベルト状中間転写体70表面に弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの先端部を所定の接触圧で接触配置する一方、クリーニングサイクル以外、例えば作像サイクル時には、図示外の駆動機構により前記揺動アーム61Dを復帰スプリング61Gに抗してリトラクト位置に移動させ、ベルト状中間転写体70表面から弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの先端部を離間配置するようにしたものである。
前記のように、弾性ブレード61Aと金属製スクレーパ61Bとの組合せた態様を用いることで、ベルト状中間転写体70の駆動源に高い回転トルクを必要とせず、小径の重合トナーの清掃性を向上させると共に、ベルト状中間転写体70上の微小凸部に対しても安定した清掃性を維持することができる。これらの作用については後述する実施例にて確認した。
前記弾性ブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムブレードは他のゴムブレードに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。
本発明の中間転写体のクリーニング手段に用いられる複数のクリーニングブレードの内少なくとも1つが非変形部材であることが好ましい。非変形部材とは、中間転写体との当接により弾性変形を生じない部材を意味する。該非変形部材としては金属スクレーパが好ましく用いられる。
又、前記金属スクレーパとは厚さが0.01〜2mm、特に好ましくは0.02〜0.5mmの金属薄板であり、金属薄板の材料としては柔軟性が有り且つ剛性の金属薄板であれば、どのような金属材料でも用いることができるが、好ましくはSUS300系、SUS400系のステンレス板、アルミニウム板、リン青銅板等が用いられる。
弾性ブレードの中間転写体への当接角θ1と金属スクレーパの中間転写体への当接角θ2の好ましい値としては、どちらも5〜35°である。また、弾性ブレード及び金属スクレーパの自由長(ホルダ61Fに固定されていない先頭部の長さ)は6〜15mmが好ましい。
弾性ブレード及び金属スクレーパの中間転写体に対する食い込み量は0.4〜2.0mmに設定されるのが好ましく、0.5〜1.5mmがより好ましい。この食い込み量は、中間転写体と弾性ブレード又は金属スクレーパの相対運動によって発生する弾性ブレードの先頭部又は金属スクレーパの先頭部にかかる負荷を意味する。この負荷は、中間転写体から見れば、弾性ブレード又は金属スクレーパから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、中間転写体が適度な力で擦過されることが必要であることを意味する。又、この食い込み量とは弾性ブレード又は金属スクレーパを中間転写体に当接したとき、弾性ブレードの先頭部又は金属スクレーパの先頭部が中間転写体表面で曲がらずに、直線的に内部に進入したと仮定した時の内部への食い込み長さを云う。
図3は感光体とベルト状中間転写体と一次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを中間転写体としてのベルト状中間転写体70の背面から各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧するが、図3の配置図にも示すように、押圧しない時の中間転写体としてのベルト状中間転写体70と各感光体1Y、1M、1C、1Bkとの接触点よりも感光体回転方向下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを配置し各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧する。このとき中間転写体としてのベルト状中間転写体70は各感光体1Y、1M、1C、1Bkの外周に沿うように曲げられ、感光体とベルト状中間転写体70の接触領域の最も下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkが配置される構成となる。
図4はバックアップローラとベルト状中間転写体と二次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。二次転写ローラ5Aは図4の配置図にも示すように、該二次転写ローラ5Aで押圧しない時の中間転写体としてのベルト状中間転写体70とバックアップローラ74との接触中央部よりもバックアップローラ74の回転方向上流側に配置されていることが望ましい。
中間転写体は、ポリイミド、ポリカーボネート、PVdF等の高分子フィルムや、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムにカーボンブラック等の導電性フィラーを添加して導電化したもの等が用いられ、ドラム状、ベルト状どちらでもよいが、装置設計の自由度の観点からベルト状が好ましい。
又、中間転写体の表面は、適当に粗面化されていることが好ましい。中間転写体の十点表面粗さRzを0.5〜2μmにすることにより、感光体に供給された表面エネルギー低下剤を中間転写体表面に取り込み、中間転写体上のトナー付着力を低下させ、中間転写体から記録材へのトナーの二次転写の転写率を向上させることが容易になる。この場合、中間転写体の十点表面粗さRzが感光体の十点表面粗さRzより、大きい方が効果が大きい傾向にある。
一方感光体のクリーニング手段は基本的に図2に示した中間転写体のクリーニング手段から金属スクレーパを除いた構成のものを取り付ける。該クリーニング手段を図1の6Y、6M、6C、6Bk等のクリーニング手段として用いる。
次に、本発明の態様を具体的に説明するが、本発明の構成はこれに限られるものではない。
実施例1
〔現像剤の作製〕
トナー及び現像剤の作製
(トナー1Bk、1Ya、1Yb、1M、1Cの作製)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた(塩析/融着工程)。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部、及び0.05μmの酸化チタン0.25質量部添加し、ヘンシェルミキサーの周速を40m/s、52℃で10分間混合し「トナー1Bk」を得た。
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー185を使用した以外同様にして「トナー1Ya」を得た。又、ヘンシェルミキサーの周速を少し遅くして、「トナー1Yb」を得た。
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した以外同様にして「トナー1M」を得た。
トナー1Bkの製造において、カーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用した以外同様にして「トナー1C」を得た。トナー1Bk、1Ya、1M、1Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)の測定結果を表1に、トナー濁度の測定結果を表2に示す。又、トナー1Ybの個数平均粒径、M(m1+m2)はトナー1Yaとほとんど同じであった。
(トナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cの作製)
前記トナー1Bk、1Y、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)に変更し、ヘンシェルミキサーの周速、及び時間を変更した以外は、同様にしてトナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cを作製した。トナー2Bk、2Ya〜2Yf、2M、2Cの濁度の測定結果を表2に示す。尚、これらのトナーのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれら(トナーの個数平均粒径、M(m1+m2))の測定結果とほとんど同じであった。
(トナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cの作製)
前記トナー1Bk、1Y、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から1.8質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cを作製した。トナー3Bk、3Ya〜3Yd、3M、3Cの濁度の測定結果を表2に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cの作製)
前記トナー1Bk、1Y、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)を1.8質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cを作製した。トナー4Bk、4Ya〜4Yc、4M、4Cの濁度の測定結果を表2に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cの作製)
前記トナー1Bk、1Y、1M、1Cの作製において、疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を0.5質量部から疎水性シリカ(疎水化度=77/数平均一次粒子径=20nm)を3.3質量部に変更し、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cを作製した。トナー5Bk、5Y、5Ma〜5Mc、5Cの濁度の測定結果を表2に示す。尚、これらのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
(トナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccの作製)
前記トナー1Bk、1Y、1M、1Cの作製において、ヘンシェルミキサーの周速及び混合時間を変更した以外は、同様にしてトナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccを作製した。トナー6Bk、6Y、6M、6Ca〜6Ccの濁度の測定結果を表2に示す。尚、トナーの個数平均粒径、M(m1+m2)は基本的にトナー1Bk、1Ya、1M、1Cの各色に対応したそれらの測定結果とほとんど同じであった。
〔現像剤の製造〕
トナー1Bk〜1C、トナー2Bk〜2C、トナー3Bk〜3C、トナー4Bk〜4C、トナー5Bk〜5C、トナー6Bk〜6Ccの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Bk〜1C、現像剤2Bk〜2C、現像剤3Bk〜3C、現像剤4Bk〜4C、現像剤5Bk〜5C、現像剤6Bk〜6Ccを製造した。
〔感光体の作製〕
下記のごとくして、実施例に用いる感光体を作製した(各実施例の感光体は各画像ユニット共、同じ種類の感光体を用いる為、計4本以上を作製した)。
感光体の作製
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済み円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの中間層を形成した。
〈中間層(UCL)塗布液〉
ポリアミド樹脂(アミランCM−8000:東レ社製) 60g
メタノール 1600ml
下記塗布液成分を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
〈電荷発生層(CGL)塗布液〉
Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の
最大ピーク角度が2θで27.3) 60g
シリコーン樹脂溶液(KR5240、15%キシレン−ブタノール溶液
:信越化学社製) 700g
2−ブタノン 2000ml
下記塗布液成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
〈電荷輸送層(CTL)塗布液〉
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 200g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300g
ヒンダードアミン(サノールLS2626:三共社製) 3g
1,2−ジクロロエタン 2000ml
〈表面保護層〉
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 200g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 300g
ヒンダードアミン(サノールLS2626:三共社製) 3g
ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均粒径0.5μm) 100g
1−ブタノール 50g
を混合し、溶解して表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上に浸漬塗布法で塗布し、100℃、40分の加熱硬化を行い乾燥膜厚4μmの表面保護層を形成し、感光体を作製した。
〈評価〉
各画像形成ユニットの感光体及び現像手段に上記感光体4本及び表2に示す現像剤群(トナー群)毎のY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の現像剤を搭載した各現像手段4組を組み合わせ、これらの感光体及び現像手段を図1〜4記載の中間転写体を有するデジタル複写機に搭載し、オリジナル画像に白地部、Bk及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部、文字画像部、ハーフトーン画像を有するA4画像を常温常湿(20℃、50%RH)下、1万枚印刷し評価した。評価項目、評価方法、評価基準を下記に記載する。
文字チリ
文字画像を形成し、目視及び20倍ルーペにて文字周辺のトナーチリを観察し、以下の基準で評価した。
◎:ルーペ観察でも、文字周辺のトナーチリが観察されない(良好)
○:目視では判別できないが、ルーペでは文字周辺のトナーチリが観察される (実用上問題ない)
×:目視で文字周辺のトナーチリが観察され、文字の鮮鋭性が劣る(実用上 問題あり)
転写抜け
濃度0.4のハーフトーン画像を転写紙(坪量200g/m2)の両面に形成し、転写抜けによるホワイトスポットの発生を目視にて評価した。
◎◎:まったく転写抜けない(非常に良好)
◎:画像100枚あたり裏面のみ1〜2個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(良好)
○:画像50枚あたり1〜4個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(実用上問題ない)
×:画像50枚あたり、表裏関係なく、5個以上の明瞭な転写抜けが存在する(実用上問題あり)
ブラックスポット
ハーフトーン画像に、周期性が感光体の周期と一致し、ブラックスポット(苺状のスポット画像)がA4サイズ当たり何個あるかで判定した。
◎:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:全ての複写画像が3個/A4以下(良好)
○:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:4個/A4以上、15個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×:0.4mm以上のブラックスポットの発生頻度:16個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
中間転写体のクリーニング性
◎:クリーニングブレード近傍に外添剤の凝集の発生もなく、クリーニングが良好で、画像むらの発生もなし(良好)
○:クリーニングブレード近傍にわずかに外添剤の凝集の発生があるが、クリーニングが良好で、画像むらの発生もなし(実用上問題なし)
×:クリーニングブレード近傍に外添剤の凝集しており、トナーのすり抜けが発生し、画像むらが発生している。(実用上問題有り)
画像濃度
画像濃度の測定は、各色のべた部を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、記録紙をゼロとした相対反射濃度で測定した。
◎:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.2以上
(良好)
○:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8以上
(実用上問題なし)
×:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8未満
(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
中間転写体を有するデジタル複写機のプロセス条件
画像形成のライン速度L/S:180mm/s
感光体(40mmφ)の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、その制御可能範囲は−500V〜−900Vであり、全露光した場合の感光体の表面電位は−50〜0Vの範囲にした。
像露光光:半導体レーザ(波長:780nm)
中間転写体:シームレスのベルト状中間転写体70を用い、半導電樹脂製のベルトで体積抵抗率が1×108Ω・cm、Rzが0.9μmのものを用いた。
一次転写条件
一次転写ローラ(図1の5Y、5M、5C、5Bk(各6.05mmφ)):芯金に弾性ゴムを付した構成:表面比抵抗1×106Ω、転写電圧印加
二次転写条件
中間転写体としてのベルト状中間転写体70とそれを挟み込むようにバックアップローラ74と二次転写ローラ5Aが配置され、バックアップローラ74の抵抗値が1×106Ωであり、二次転写手段としての二次転写ローラの抵抗値が1×106Ωであり定電流制御(約80μA)をするようにしてある。
定着はローラ内部にヒータを配置した定着ローラによる熱定着方式である。
中間転写体と感光体との最初の接触点から次色感光体との最初の接触点までの中間転写体上での距離Yは95mmにした。
駆動ローラ71、ガイドローラ72、73及び二次転写のためのバックアップローラ74の外周長さ(円周長さ)を31.67mm(=95mm/3)にし、テンションローラ76の外周長さを23.75mm(=95mm/4)にした。
そして、一次転写ローラの外周長さを19mm(=95mm/5)にした。
感光体のクリーニング条件
クリーニングブレード:JISA硬度65度、反発弾性60のウレタンゴムブレード(自由長8mm)を、当接加重18N/mで、感光体回転方向にカウンター方式で当接した。
中間転写体のクリーニング条件
クリーニング手段6Aには図2記載のクリーニング手段を用いた。
弾性ブレード61A:ゴム硬度75°、23°Cにおける反発弾性35のウレタンゴムを用いた。弾性ブレード61Aの厚さは2mm、自由長10mmで支持部材(揺動アーム61D+ホルダ61F)に支持され、ベルト状中間転写体70とのなす角度を中間転写体移動方向にカウンター方式で当接した(角度16.5°)。弾性ブレード61A先端のベルト状中間転写体70への食い込み量は1.25mmとした。
金属製スクレーパ61B:先端をエッチング処理したSUS304を使用した。金属製スクレーパ561Bの厚みは0.15mm、自由長は10mmで、支持部材(揺動アーム61D+ホルダ61f)に支持され、ベルト状中間転写体70とのなす角度を中間転写体移動方向にカウンター方式で当接した(角度16.5°)。金属スクレーパ61B先端のベルト状中間転写体70への食い込み量は1.00mmとした。また、上流側の弾性ブレード61Aと下流側の金属製スクレーパ61Bとの間隔dは2mmに設定した。
結果を表3に示す。
上記表3より、本発明の要件を満足する現像剤群、即ち、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が5〜45の範囲にある現像剤群(No.2、3、4、5、6、7、9、10、11、13、14、16、17、19、20)は文字チリ、転写抜け、ブラックスポット、中間転写体のクリーニング性、画像濃度、鮮鋭性とも実用範囲以上の良好な評価を達成しているのに対し、本発明外の現像剤群(No.1、8、12、15、18、21)では、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が4.1のNo.1ではトナーの流動性が十分でなく、転写性、画像濃度、鮮鋭性が低下し、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が47のNo.8、No.21では帯電量のバランスの不安定さから、文字チリ(カラーの文字チリ)が多く、鮮鋭性が低下している。No.21では、転写抜けも発生している。又、各色トナーのいずれかの濁度が60以上の現像剤群(No.12、No.15、No.18)は遊離外添剤が過多となり、ブラックスポットが多発し、中間転写体のクリーニング性も低下して、鮮鋭性が低下している。又、本発明の要件を満たす前記現像剤群の中でも、各色トナー間の濁度の差の内、最大の差が10〜35の範囲内で且つ黒トナーの濁度が20未満の現像剤群(No.4、5、6、9、10、20)は改善効果が顕著である。
実施例2(中間転写体のクリーニング手段の変更)
上記実施例1の現像剤群2、7、11、14の評価を中間転写体のクリーニング手段の金属スクレーパを取り外した条件で評価した。評価項目、評価方法、評価基準も実施例1と同様にした。評価結果を表4に示す。
その結果、実施例1に比し、評価結果がいずれも低下している。特に、中間転写体のクリーニング性の低下及びこれに伴う鮮鋭性の劣化が大きく成っている。即ち、中間転写体のクリーニング手段から金属スクレーパを取り外した条件では、本発明の範囲内の現像剤群を用いても中間転写体のクリーニング性が低下し、十分な画像性能が得られないことが見出される。
実施例3(トナーの粒度分布を変更した例)
(トナー7Bk、7Y、7M、7Cの作製)
前記トナー2Bk、2Yb、2M、2Cのトナー製造において、遠心沈降法による液中の分級のレベルを変えて、M(m1+m2)等を変えた以外は、同様にしてトナー7Bk、7Y、7M、7Cを作製した。トナー7Bk、7Y、7M、7Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)及びトナー濁度を表5に示す。
これらのトナーの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤7Bk、7Y、7M、7Cとした現像剤22群を作製した。
(トナー8Bk、8Y、8M、8Cの作製)
前記トナー2Bk、2Yb、2M、2Cのトナー製造において、遠心沈降法による液中の分級のレベルを変えて、M(m1+m2)等を変えた以外は、同様にしてトナー8Bk、8Y、8M、8Cを作製した。トナー8Bk、8Y、8M、8Cのトナーの個数平均粒径、M(m1+m2)及びトナー濁度を表5に示す。
これらのトナーの各トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤8Bk、8Y、8M、8Cとした現像剤23群を作製した。
実施例1の現像剤4群(トナー2Bk、2Yb、2M、2C)の代わりに現像剤22群、23群を用いた他は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表6に示す。
表6より、前記トナー粒子の相対度数の和(M)が70%以上の現像剤22群は、(M)が70%未満の現像剤23群に比し、評価項目の改善度が優れていることが見られる。