JP4673895B2 - 直腸結腸癌用マーカーとしてのascの使用 - Google Patents

直腸結腸癌用マーカーとしてのascの使用 Download PDF

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Description

本発明は、結腸直腸癌の診断に関する。本発明は、結腸直腸癌の診断におけるカスパーゼ関連リクルートドメイン(caspase-associated recruitment domain)を含有するアポトーシス関連スペック様タンパク質(apoptosis-associated speck-like protein)(=ASC)の使用を開示する。さらに、本発明は特に、試料中のASCの測定による、個体由来の液体試料からの結腸直腸癌の診断方法に関する。ASCの測定は、例えば結腸直腸癌の初期の検出、または手術を受けている患者のサーベイランスに使用され得る。
検出および治療の進歩にかかわらず、癌は主要な公共の健康課題のままである。種々の型の癌のうち、結腸直腸癌(=CRC)は、西洋世界で最も頻度の高い癌の一つである。
結腸直腸癌は、アデノーマ(ポリープ)から最も頻繁に進行し、悪性の腫瘍になる。CRCの異なる段階は、Dukes'ステージA〜Dに従って分類されていた。
癌の段階付けは、程度、進行および重症度に関する疾患の分類である。それにより癌患者を分類して、予後および治療の選択について一般化がなされ得る。
今日、癌の解剖学的な程度の分類に、TNMシステムが最も広く使用されている。それは、国際的に受け入れられた、不変の段階付けシステムである。3つの基本的な変数:T(原発腫瘍の程度)、N(局所のリンパ節の状態)、およびM(遠距離の転移の有無)がある。TNM基準はUICC(International Union Against Cancer)版、1997で公開されている(Sobin, L.H., and Fleming, I.D., TNM 80 (1997) 1803-4)。
特に重要なことは、CRCの初期の診断がより良い予後をもたらすことである。直腸結腸の悪性の腫瘍は、良性の腫瘍から、すなわちアデノーマから生じる。従って、最良の予後は、アデノーマの段階で、これらの患者を診断する。遠距離の転移が既に存在している場合に診断された患者のわずか10%の5年生存率と比較して、ステージTis、N0、M0またはT1-3;N0;M0ほどの初期に診断された患者は、適切に治療されたならば、診断の5年後に90%より高い生存の可能性を有する。
本発明の意味において、CRCの初期の診断とは、前悪性段階(アデノーマ)または転移が全くない(近位、遠位のいずれでもない)すなわちアデノーマ、Tis、N0、M0もしくはT1-4;N0;M0である腫瘍段階での診断のことを言う。Tisはインサイチュの癌を表す。
腸壁を通ってまだ完全に成長していない場合にCRCが診断されるので、内臓の腹膜に穴が開いておらず、また他の器官または構造が侵食されていない、すなわちステージTis、N0、M0またはT1-3;N0;M0(=Tis-3;N0;M0)で診断がなされることがさらに好ましい。
癌がより早期に検出/診断され得るほど、全体的な生存率はより良い。このことはCRCについて特にあてはまる。腫瘍の進行した段階での予後は不十分である。進行性の疾患のため、1/3より多い患者が診断後5年以内に死に、これは5年間で約40%の生存率に相当する。現在の治療は、患者の一部を治療するのみであり、疾患の初期段階で診断された患者に、明らかに最良の効果を有する。
公共の健康課題としてのCRCに関して、結腸直腸癌についてのより効果的なスクリーニングおよび予防的な測定が開発されることが必須である。
現在結腸直腸癌について利用可能な、最も初期の検出法には、糞便血についての試験または内視鏡術を使用することが含まれる。しかしながら意味のある腫瘍サイズは、糞便血が検出される以前に典型的に存在するはずである。グアヤクベースの糞便不顕性血液試験の感度は約26%であり、悪性病変を有する患者の74%が検出されないままであることを意味する(Ahlquist, D.A., Gastroenterol. Clin. North Am. 26 (1997) 41-55)。前癌および癌の病変の可視化は、初期検出のための最良のアプローチであるが、結腸鏡検査法は、高いコスト、危険性および合併症を伴い、侵襲性である(Silvis, S.E., et al., JAMA 235 (1976) 928-930; Geenen, J.E., et al., Am. J. Dig. Dis. 20 (1975) 231-235; Anderson, W.F., et al., J. Natl. Cancer Institute 94 (2002) 1126-1133)。
臨床的に有用であるために、単一マーカーとしての新しい診断マーカーが、少なくとも当該分野で公知の最良の単一マーカーと同様に良好であるべきである。または、単独もしくは一つ以上の他のマーカーのそれぞれと組み合わせて使用される場合、新しいマーカーが診断感度および/または特異性のいずれかの進歩をもたらすべきである。試験の診断感度および/または特異性は、以下に詳細に記載される、受信者動作特性により最も良好に評価される。
結腸直腸癌における生化学的マーカーの臨床的有用性は、最近腫瘍マーカーの欧州グループEuropean Group on Tumor Markers(EGTM)により検討されている(Duffy, M.J., et al., Eur. J. Cancer 39 (2003) 718-727)。
現在、癌胎児性抗原(CEA)、腫瘍関連糖タンパク質の検出に基づく第一の血液診断試験はCRCの分野で診断を補助するために利用可能である。CEAは、結腸直腸癌、胃癌および膵臓癌を有する患者から得られた組織試料の95%ならびに乳癌、肺癌、ならびに頭部癌および頸部癌の大部分で増加する(Goldenberg, D.M., et al., J. Natl. Cancer Inst. (Bethesda) 57 (1976) 11-22)。増大したCEAレベルはまた、非悪性疾患を有する患者で報告されており、結腸直腸癌を有する多くの患者は、特に疾患の初期段階で、血清中の正常なCEAレベルを有する(Carriquiry, L.A., and Pineyro, A., Dis. Colon Rectum 42 (1999) 921-929; Herrera, M.A., et al., Ann. Surg. 183 (1976) 5-9; Wanebo, H.J., et al., N. Engl. J. Med. 299 (1978) 448-451)。再発の検出において血清または血漿から測定される場合、CEAの有用性は、伝えるところによると議論の的となっており、依然広く受け入れられている(Martell, R.E., et al., Int. J. Biol. Markers 13 (1998) 145-149; Moertel, C.G., et al., JAMA 270 (1993) 943-947)。
利用可能なデータを考慮すると、血清CEA測定は、徴候のない集団における結腸直腸癌のためのスクリーニング試験として、その使用を可能にするための、感度も特異性も有さない(Reynoso, G., et al., JAMA 220 (1972) 361-365; Sturgeon, C, Clinical Chemistry 48 (2002) 1151-1159)。
全血、血清または血漿は、臨床の常套的作業において最も広く使用されている試料の供給源である。信頼性のある癌検出を補助するか、または初期の予後情報を提供する初期CRC腫瘍マーカーの同定により、この疾患の診断および管理を大きく補助する診断アッセイが生じ得た。従って、CRCのインビトロ評価を改善するための緊急の臨床的な必要性がある。疾患が進行した段階で診断された患者と比較した際に、初期に診断された患者に対する生存の可能性がより高くなるので、CRCの初期診断を改善することが特に重要である。
CRCの評価に使用され得る生化学マーカーを同定し得るかどうか調査することが、本発明の課題であった。
驚くべきことに、マーカーASCの使用は、当該分野の状態から公知の課題を少なくとも部分的に克服し得ることが見出されている。
従って本発明は、a)試料中のASCの濃度を測定する工程、およびb)工程(a)で決定された濃度を結腸直腸癌の評価に使用する工程を含む、インビトロでの生化学マーカーによる結腸直腸癌の評価方法に関する。
本発明の別の好ましい態様は、a)結合剤とASCの間で複合体の形成に適した条件下で、個体から得られた液体試料とASCに特異的な結合剤を接触させる工程、およびb)工程(a)で形成された複合体の量を結腸直腸癌の評価と関連付ける工程を含む結腸直腸癌を評価する方法である。
本発明のさらに別の好ましい態様は、試料中のASCおよび結腸直腸癌の一つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびに結腸直腸癌の評価において決定された濃度を使用する工程を含む、インビトロでの生化学的マーカーによる結腸直腸癌の評価方法に関する。
本発明はまた、CRCの評価において、少なくともASCおよびCYFRA 21-1を含むマーカーパネルの使用に関する。
本発明はまた、CRCの評価において、少なくともASCおよびNSEを含むマーカーパネルの使用に関する。
本発明はまた、少なくとも、ASCおよびCYFRA 21-1それぞれを特異的に測定するために必要とされる試薬、ならびに任意に、測定を実行するための補助試薬を含む、本発明に従った方法を実行するためのキットを提供する。
本発明はまた、少なくとも、ASCおよびNSEそれぞれを特異的に測定するために必要とされる試薬、ならびに任意に、測定を実行するための補助試薬を含む、本発明に従った方法を実行するためのキットを提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、a)試料中のASCの濃度を測定する工程、b)試料中の結腸直腸癌の一つ以上の他のマーカーの濃度を任意に測定する工程、ならびにc)工程(a)および任意に工程(b)で決定した濃度を結腸直腸癌の評価に使用する工程を含む、インビトロにおける結腸直腸癌を評価する方法に関する。
本明細書で使用する場合、以下の用語のそれぞれは、この区分の用語に関連する意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、一つ以上の冠詞の文法上の目的語について(すなわち少なくとも一つについて)言及するために本明細書で使用される。ちなみに例として「a marker」は一つ以上のマーカーを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「マーカー」または「生化学的マーカー」とは、患者の試験試料を分析するために標的として使用される分子のことを言う。かかる分子標的の例は、試料中に存在するタンパク質またはポリペプチド自体および抗体である。本発明でマーカーとして使用されるタンパク質またはポリペプチドとしては、前記タンパク質の任意のバリアント、ならびに前記タンパク質または前記バリアントのフラグメント、特に免疫学的に検出可能なフラグメントが含まれることが企図される。当業者は、細胞から放出されるか、例えば炎症の際に損傷して細胞外マトリクス中に存在するタンパク質が、分解または切断されてかかるフラグメントになり得ることを認識しよう。特定のマーカーは不活性形態で合成され、その後タンパク質分解により活性化され得る。当業者が理解するように、タンパク質またはそのフラグメントは、複合体の一部としても存在し得る。本発明の意味において、かかる複合体もマーカーとして使用され得る。マーカーポリペプチドのバリアントは、同一の遺伝子にコードされるが、PIまたはMWまたはその両方において異なり(例えば選択的なmRNAまたはプレmRNAのプロセッシング、例えば選択的スプライシングもしくは限定的タンパク質分解の結果として)、さらに、あるいは異なる翻訳後修飾(例えば糖化、アシル化、および/またはリン酸化)により生じ得る。
用語「結腸直腸癌の評価」は、本発明に従った方法が(単独または他のマーカーもしくは変数、例えばUICC(International Union Against Cancer), Sobin, L.H., Wittekind, Ch. (eds), TNM Classification of Malignant Tumours, fifth edition, 1997)により示される基準と共に)、医師のCRCの有無の確立または確認を補助するか、または予後における医師の再発の検出(手術後の患者の追跡)および/または治療、特に化学療法の効果のモニタリングを補助することを意味するために使用される。
本明細書で使用される場合、用語「試料」とは、インビトロでの評価の目的のために入手された生物学的試料のことを言う。本発明の方法において、試料または患者試料は、好ましくは任意の体液を含み得る。好ましい試験試料としては、血液、血清、血漿、尿、唾液、および滑液が挙げられる。好ましい試料は全血、血清、血漿または滑液であり、血漿または血清が最も好ましい。当業者が理解するように、任意のかかる評価はインビトロでなされる。患者試料は後に廃棄される。患者試料は本発明のインビトロ法のためだけに使用され、患者試料の物質は患者の体に戻されない。典型的に該試料は、液体試料、例えば全血、血清または血漿である。
好ましい態様において、本発明は、試料中のASCの濃度を測定する工程、およびCRCの評価において、決定した濃度を使用する工程を含む、インビトロにおける生化学的マーカーでのCRCの評価方法に関する。
「メチル化誘導サイレンシング1の標的」(TMS1)(Swiss-PROT:Q9ULZ3)としても公知である、「カスパーゼ関連リクルートドメインを含有するアポトーシス関連スペック様タンパク質」(ASC)は、配列番号:1で与えられる配列を特徴とする。この配列は、21,627Daの理論的な分子量およびpH6.29の理論的な等電点を生み出す。
カスパーゼ関連リクルートドメイン(CARD)は、APAF1(アポトーシス性プロテアーゼ活性化因子1)等のアダプタータンパク質とカスパーゼのプロ形態(例えば、CASP9)の間の相互作用を媒介し、アポトーシスに参入させる。ASCはCARDを含むアダプタータンパク質ファミリーの一員である。
前骨髄細胞株の免疫スクリーニングにより、MasumotoらはASCをコードするcDNAを単離した。推定195アミノ酸のタンパク質は、N末端ピリン様ドメイン(PYD)および87残基C末端CARDを含む。ウェスタンブロット分析により、22-kDaタンパク質の発現が示され、抗癌薬によるアポトーシス刺激についての白血病細胞株の感受性を高めることで、ASCがプロアポトーシス活性を有し得ることが示された(Masumoto, J., et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 33835-33838)。
Conwayらによるメチル化感受性制限PCRおよびメチル化特異的PCR(MSP)分析により、ASCのサイレンシングがエクソン1周辺のCpG島の高メチル化と関連があること、およびDNMT1(DNAシトシン-5-メチルトランスフェラーゼ-1)の過剰発現がASCの高メチル化およびサイレンシングを促進することが示された。正常乳房組織ではない乳癌細胞株は、ASCの完全なメチル化を示し、ASCメッセージを発現しなかった。乳癌細胞株におけるASCの発現は、生存コロニーの増殖を阻害し、その数を減少させた。Conwayらは、カスパーゼ依存型アポトーシスの促進にASCが機能することおよびASCの過剰発現は乳癌細胞の増殖を阻害することを結論付けた(Conway, K.E., et al., Cancer Research 60 (2000) 6236-6242)。
McConnellおよびVertinoにより、ASCの誘導性の発現は、細胞の増殖を阻害し、カスパーゼインヒビターにより妨げられ得るDNAの断片化を誘導することが示された。免疫蛍光顕微検査法により、アポトーシスの誘導が、拡散した細胞内発現から球形の核周囲凝集体へのCARD依存的な移行を生じさせることが明らかとなった(McConnell, B.B., and Vertino, P.M., Cancer Research 60 (2000) 6243-6247)。
Morianiらは、乳癌細胞においてのみでなく、胃癌細胞においてもASC遺伝子のメチル化を観察した。彼らは、プロアポトーシス性ASC遺伝子のダウンレギュレーションを含む、乳癌および胃癌の進行におけるASC遺伝子の異常なメチル化についての直接的な役割を示した(Moriani, R., et al., Anticancer Research 22 (2002) 4163-4168)。
Conwayらは、TMS1のメチル化について原発乳房組織を検査し、結果を健常組織のメチル化と比較した(Conway, K.E., et al., Cancer Research 60 (2000) 6236-6242)。Levineらは、ASCサイレンシングが特異的なCpG部位のメチル化に関連がなく、むしろASC CpG島の高密度メチル化に関連があることを発見した。全体的にメチル化されたASCコピーを含む乳癌細胞株はASCを発現せず、部分的にメチル化された細胞株におけるASC発現のレベルは、細胞集団中に存在するメチル化ASC対立遺伝子の割合に直接関係する(Levine, J.J., et al., Oncogene 22 (2003) 3475-3488)。
Virmaniらは、肺癌および乳癌組織中のASCのメチル化状態を検査した。彼らは、ASCの異常なメチル化が乳癌細胞株の46%、および乳房腫瘍組織の32%に存在することを発見した。非悪性乳房組織中でメチル化は稀であった(7%)(Virmani, A., et al., Int. J. Cancer 106 (2003) 198-204)。
Shioharaらは、ASCのアップレギュレーションはヒト好中球における炎症およびアポトーシスと密接に関係があることを見出した(Shiohara, M., et al., Blood 98 (2001) 229a)。
Masumotoらは、上皮細胞および白血球中で過剰に発現した高レベルのASCを観察した(Masumoto, J., et al., Journal Histochem. Cytochem. 49 (2001) 1269-1275)。
当業者に明らかなように、本発明は配列番号:1の全長タンパク質ASCに限定されるようには構成されていない。ASCの生理的または人工的な断片、ASCの二次的改変体、ならびにASCの対立遺伝子バリアントも本発明に包含される。人工的断片は、合成によるか、または組換え技術により作製されるペプチドを好ましくは包含し、該ペプチドは、配列番号:1に開示される配列由来のような、少なくとも6個の連続したアミノ酸からなる診断目的物の1つのエピトープを少なくとも含む。かかる断片は抗体の生成に、または免疫アッセイで標準的なものとして有利に使用され得る。より好ましい人工的断片は、サンドイッチ免疫アッセイの計画に適切な、目的物の少なくとも2つのエピトープを含む。
本発明に従った評価方法は、個体に由来する液体試料に基づく。当該分野で公知の方法とは異なり、ASCは特異的な結合剤の使用により、この液体試料から特異的に測定される。
特異的な結合剤は、例えばASCに対するレセプター、ASCに結合するレクチンまたはASCに対する抗体である。特異的な結合剤は、それの対応する標的分子に対して少なくとも107l/molの親和性を有する。好ましくは、特異的結合剤は、それの標的分子に対して108 l/molの親和性、またはより好ましくは109l/molの親和性を有する。当業者が理解するように、用語特異的は、試料中に存在する他の生体分子が、ASCに特異的な結合剤に有意に結合しないことを示すために使用される。好ましくは、標的分子以外の生体分子への結合レベルは、10%のみ、より好ましくは5%のみの標的分子の親和性またはそれ未満である結合親和性を生じる。最も好ましい特異的結合剤は、親和性および特異性の両方についての上記の最小基準より大きい値を満たす。
好ましくは、特異的結合剤はASCと反応する抗体である。用語抗体とは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、かかる抗体のフラグメント、および抗体の結合ドメインを含む遺伝子構築物のことを言う。
特異的結合剤の上記の基準を保持する任意の抗体フラグメントが使用され得る。抗体は、例えばTijssen (Tijssen, P., Practice and theory of enzyme immunoassays 11 (1990) 本全体, 特に43-78頁; Elsevier, Amsterdam)に記載されるような当該分野の手法の状態により生成される。さらに、当業者は、抗体の特異的な単離に使用され得るイムノソルベントに基づいた方法を十分に認識している。これらの手段によって、ポリクローナル抗体の質、およびイムノアッセイにおいてのポリクローナル抗体の性能が向上し得る。(Tijssen, P., 上述, 108-115頁)。
本発明に開示されるような業績のために、ウサギで生じたポリクローナル抗体を使用した。しかしながら明らかに、異なる種、例えばラットまたはモルモット由来のポリクローナル抗体、ならびにモノクローナル抗体がまた、使用され得る。モノクローナル抗体は、一定の性能を有して、必要とされる任意の量で産生され得るので、それらは臨床的常套手段についてのアッセイの開発において理想的な道具である。本発明に従った方法におけるASCに対するモノクローナル抗体の生成および使用は、さらに別の好ましい態様である。
現在、ASCがCRCの診断に有用なマーカーとして同定されていることを当業者は理解しているので、本発明の業績に匹敵する結果に達するために、別の方法が使用され得る。例えば、抗体を生成するための別の戦略が使用され得る。かかる戦略には、他の中でも特に免疫のための、ASCエピトープを示す合成ペプチドの使用が含まれる。あるいは、DNA予防接種としても公知のDNA免疫が使用され得る。
測定のために、結合剤ASC複合体の形成に適した条件下で、個体から得られた液体試料をASCに対する特異的結合剤とインキュベーションする。何の発明の努力も伴わず、当業者はかかる適切なインキュベーション条件を容易に同定し得るので、かかる条件を特定する必要はない。
本発明に開示される方法に従った最終的な工程として、複合体の量を測定し、CRCの診断に相関させる。当業者が理解するように、特異的な結合剤ASC複合体の量を測定する方法は無数にあり、関連の教本(たとえば、Tijssen P., 上述, またはDiamandis, et al., eds. (1996) Immunoassay, Academic Press, Boston)に全てが詳細に記載される。
好ましくは、ASCは、サンドイッチ型アッセイ形式で検出される。かかるアッセイにおいて、第一の特異的結合剤はASCを捕捉するために一つの面で使用され、第二の特異的結合剤は、直接または間接的に検出可能なように標識され、他の面で使用される。
上述のように、驚くべきことに、個体試料から得られた液体試料からASCが測定され得ることが発見された。CRCの評価においてマーカーASCを利用するために、組織試料および生検試料のどちらも必要ない。
好ましい態様において、本発明に従った方法は、液体試料物質として血清を用いて実施される。さらに好ましい態様において、本発明に従った方法は、液体試料物質として血漿を用いて実施される。さらに好ましい態様において、本発明に従った方法は、液体試料物質として全血を用いて実施される。
さらに液体試料を生じるために、当業者に公知の種々の方法で、さらに便が調製され得る。便由来のかかる試料液体も本発明に従った好ましい態様を示す。
本発明の発明者らは、驚くべきことに体液試料中にタンパク質ASCを検出し得た。さらに驚くべきことに、個体から得られたかかる液体試料中のASCの存在が結腸直腸癌の評価と相関され得ることを明らかにし得た。好ましくは、ASCに対する抗体を、定性的(ASCの有無)イムノアッセイまたは定量的(ASC量を決定する)イムノアッセイに使用する。
タンパク質ASCのレベルの測定は、CRCの分野で非常に有効であると証明されている。従って、さらに好ましい態様において、本発明は、個体から得られた液体試料からの結腸直腸癌の評価におけるマーカー分子としてのタンパク質ASCの使用に関する。
診断についての理想の筋書きは、単一の事象または過程が、例えば感染性疾患におけるそれぞれの疾患を引き起こすような場合である。他の全ての場合において、特に疾患の病因がCRCの場合のように十分に理解されない場合、正確な診断は非常に困難であり得る。当業者が理解するように、例えばCRCの分野において、所定の疾患について100%の特異性および同時に100%の感度を有する診断的な生化学マーカーはない。むしろ、生化学マーカーは、疾患の有無を確実な見込みまたは期待される値で評価するために使用される。従って、常套的な臨床診断において、様々な臨床的症状および生物学的マーカーは一般的に、進行中の疾患の診断、治療および管理と一緒になっていると考えられる。
生化学マーカーは、個々に決定され得るか、または本発明の好ましい態様において、チップまたはビーズに基づいたアレイテクノロジーを用いて同時に測定され得るかのいずれかである。次いで、生物マーカーの濃度は、各マーカーについての個々のカットオフを用いて独立して解釈されるか、または解釈について組み合わされる。
本発明のさらに好ましい態様において、本発明に従った結腸直腸癌の評価は、a)試料中のASC濃度を測定する工程、b)任意に試料中の結腸直腸癌の一つ以上の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびにc)工程(a)で決定された濃度および任意に工程(b)で決定された(一つまたは複数の)濃度を結腸直腸癌の評価に使用する工程を含む方法においてなされる。
好ましくは、CRCの評価方法は、ASCおよび一つ以上の他のマーカーの濃度を測定すること、ならびにASCの濃度および一つ以上の他のマーカーの(一つまたは複数の)濃度をCRCの評価に使用することで実行される。
本発明はまた、試料中のASCおよび一つ以上の他のCRCのマーカーの濃度を測定する工程、ならびに決定した濃度をCRCの評価に使用する工程を含む、生化学的マーカーによりインビトロでのCRCを評価する方法に関する。
実施例区分に示されるデータにより、単一変量(univariate)分析において、マーカーASCは(約90%の特異性で)CRCについて54.7%の感度を有している。CRCの評価において、マーカーASCは以下の点:スクリーニング;診断の補助;予後;化学療法のモニタリング、および追跡の一つ以上において有利である。
スクリーニング
CRCは先進諸国において、男性と女性の両方の2番目に一般的な悪性疾患である。その高い有病率、その長い無症候段階および前悪性病変の存在のために、CRCはスクリーニングについての多くの基準に満たす。明らかに、許容可能な感度および特異性を有する血清腫瘍マーカーは、FOB試験または内視鏡検査のいずれよりもスクリーニングに適している。
実施例区分に提供されるデータが示すように、ASC単独では、例えばCRCについての危険集団の通常のスクリーニングを可能にするのに十分でない。最も見込みのある、スクリーニング目的に必要とされる感度および特異性の基準を常に満たす循環系における単一の生化学マーカーはない。むしろ、CRCスクリーニングにはマーカーパネルが使用されるはずであるということが期待されるはずである。本発明で確立されたデータにより、マーカーASCは、スクリーニング目的に適したマーカーパネルの必要不可欠な部分をなすことが示される。従って、本発明は、CRCスクリーニング目的のためのCRCマーカーパネル中の、1つのマーカーとしてのASCの使用に関する。本発明のデータによりさらに、マーカーの特定の組合せがCRCのスクリーニングに有効であると示される。従って、本発明はまた、CRCのスクリーニング目的のための、ASCおよびCYFRA 21-1を含むマーカーパネル、またはASCおよびNSEを含むマーカーパネル、またはASCおよびCYFRA 21-1およびNSEを含むマーカーパネルの使用に関する。
診断補助
手術前のCEA値は制限された診断値である。にもかかわらず、腫瘍マーカーの欧州委員会(ECTM)が、基準値を設けるためおよび予後を評価するため、手術前にCFAを測定すべきであると推奨する。本発明のデータに従った単一マーカーとして、ASCは少なくともCEAと同程度に良好か、または優れてさえいる単一マーカーであり得るので、診断補助として、特に手術前に基準値を設けることでASCを使用することが期待されるはずである。
従って、本発明は、CRCの手術前に基準値を設けるためのASCの使用にも関する。
予後
CRCを有する患者における予後の決定のための黄金標準は、Duke's、TNMまたは他の段階付けシステムにより規定されるような、疾患の程度(extend)である。結果の予想にCEA等のマーカーが使用される場合、既存の段階付けシステムに求められるものより強力な予後的情報、既存のシステムから独立した情報、または既存の基準、例えばDuke's Bまたはノードネガティブ患者により規定される特異的な部分集団内の予後的データが提供される必要がある。
最近、癌の米国合同委員会(AJCC)合意会議により、結腸直腸癌についてTNM段階付けシステムにCEAを加えるべきであることが提案された。CEAレベルが以下に示される:CX、CEAは評価され得ない;CO, CEAが高くない(<5μg/l)、またはCEA1, CEAが高い(>5μg/l)(Compton, C., et al., Cancer 88 (2000) 1739-1757)。
ASCは単独で、健常コントロールから、または健常コントロールおよび非悪性結腸疾患からのCRC患者の区別に有意に貢献するので、CRCを有する患者の予後の評価を補助することが予想されるはずである。CEAについてAJCCにより推奨されるように、手術前のASCのレベルは、CRCについての一つ以上の他のマーカーおよび/またはTNM段階付けシステムと組み合わされる可能性が最も高い。好ましい態様において、ASCは、CRCを有する患者の予後に使用される。
化学療法のモニタリング:
多くの報告では、進行したCRCを有する患者の処置のモニタリングにおけるCEAの使用が記載されている(概略について、 参照文献 Duffy, M.J., Clin. Chem. 47 (2001) 625-630; Fletcher, R.H., Ann. Int. Med. 104 (1986) 66-73; 匿名, J. Clin. Oncol. 14 (1996) 2843-2877を参照)。これらのほとんどは、後ろ向きで無作為ではなく、少数の患者を含んだ。これらの研究は、a)化学療法を受けている間にCEAレベルが減少した患者は、一般的に、CEAレベルが減少しなかった患者よりも良好な結果を有し、かつ(b)ほぼすべての患者で、CEAレベルの増加は疾患の進行と関連したことを示唆した。
実施例の項に示すデータにより、ASCはCEAと少なくとも同等の化学療法のモニタリング用マーカーであることが予想されるはずである。したがって、本発明はまた、化学療法を受けているCRC患者のモニタリングにおけるASCの使用に関する。
追跡調査:
治癒を目的とした外科的切除を受ける患者のおよそ50%は、後に転移性疾患の再発が起こる(Berman, J.M.,ら, Lancet 355 (2000) 395-399)。これらの再発のほとんどは、診断から最初の2〜3年以内に起こり、通常、肝臓、肺または局所(locoregional)領域の部分に限定される。再発性/転移性疾患は、常に致死的であるため、相当な研究が、その初期、したがってもしかすると処置可能な段階での同定に焦点を当てている。その結果、これらの患者の多くは、多くの場合CEAの定期的モニタリングを含む、術後のサーベイランスプログラムを受ける。
CEAを用いた連続モニタリングにより、およそ80%の感度、およそ70%の特異性を有する再発性/転移性疾患が、検出されることが示されており、5ヶ月の平均先行期間(lead-time)を提供する(概略について、上記のDuffy, M.J.,らおよび上記のFletcher, R.Hを参照)。さらに、CEAは、無症候の患者において最もよく見られる再発の指標であり(Pietra, N.,ら, Dis. Colon Rectum 41 (1998) 1127-1133およびGraham, R.A.,ら, Ann. Surg. 228 (1998) 59-63)、潜在的に治癒可能な再発性疾患の検出には、放射線学よりもコスト効率が高かった。再発/転移の部位に関しては、CEAは、肝臓転移の検出に最も感度が高かった(ほぼ100%)。他方、CEAは、局所領域(locoregional)での再発の診断については信頼性が低く、感度は、わずかおよそ60%であった(Moertel, C.G.,ら, JAMA 270 (1993)943-7)。
患者の利便性、コストおよび疾患検出の効率との間の妥協として、ASCO パネル (匿名, J. Clin. Oncol. 14 (1996) 2843-2877)などのEGTM パネルは、CEA試験を最初の診断後、2〜3ヶ月ごとに少なくとも3年行なうことを提示する。3年後は、より低頻度で、例えば6ヶ月ごとに試験を行ない得た。しかしながら、試験のこの頻度を支持する証拠はない。
当該技術分野の状態の上記の議論が示すように、術後のCRCを有する患者の追跡調査は、適切な生化学的マーカーについての使用の最も重要な領域の1つである。調査されたCRC患者におけるASCの高い感度により、ASCは、単独または1つ以上の他のマーカーとの組合せで、CRC患者、特に、術後のCRC患者の追跡調査において非常に有用であることが予想される。CRC患者の追跡調査における、ASCおよびCRCの1つ以上の他のマーカーを含むマーカーパネルの使用は、本発明のさらに好ましい態様を表す。
本発明は、CRC診断分野またはCRCの評価のそれぞれにおけるASCの使用を開示し、したがって、好ましい態様において、該使用に関する。
またさらなる好ましい態様では、本発明は、個体から得た液体試料からの結腸直腸癌の評価において、1つ以上の結腸直腸癌用マーカー分子と組み合わせた結腸直腸癌用マーカー分子としてのASCの使用に関する。この点に関し、「1つ以上」という表現は、1〜20、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは3または4を示す。ASCおよび1つ以上の他のマーカーがCRCマーカーパネルを形成する。
したがって、本発明の好ましい態様は、個体から得た液体試料からの結腸直腸癌の評価において、1つ以上の結腸直腸癌用マーカー分子と組み合わせた結腸直腸癌用マーカー分子としてのASCの使用である。ASCの測定と組み合わせ得る、好ましく選択される他のCRCマーカーは、NSE、CYFRA 21-1、NMMT、CA 19-9、CA 72-4および/またはCEAである。またさらに好ましくは、CRCの評価に使用されるマーカーパネルは、ASC、ならびにNSE、CYFRA 21-1およびNMMTからなる群より選択される少なくとも1つの他のマーカー分子を含む。
好ましくはASCと組み合わせるか、またはASCを含むCRCマーカーパネルの一部を形成するマーカーを、それぞれ、以下により詳細に議論する。
NSE(ニューロン-特異的エノラーゼ)
解糖酵素エノラーゼ(2-ホスホ-D-グリセリン酸ヒドロラーゼ、EC 4.2.1.11、分子量およそ80kD)は、α、βおよびγと称する3つの免疫学的に異なるサブユニットを含む種々の二量体アイソフォームで存在する。エノラーゼのα-サブユニットは、哺乳動物の多くの型の組織に存在するが、β-サブユニットは、主に、心臓および横紋筋系に見られる。エノラーゼアイソフォームαγおよびγγは、ニューロン-特異的エノラーゼ(NSE)またはγ-エノラーゼと呼ばれ、主に、ニューロンおよび神経内分泌細胞ならびにこれらに由来する腫瘍において高濃度で検出され得る(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase), γ-Enolase. In: Thomas L (編) Clinical Laboratory Diagnosis, TH-Books, Frankfurt, 英語版第1版 1998: 979-981, 5. deutsche Auflage 1998:1000-1003)。
NSEは、気管支の小細胞癌のモニタリングにおけるマーカーの第1選択肢として記載されているが(Lamerz, R., 上記)、気管支の非小細胞癌では、CYFRA 21-1がNSEよりも優れている(Ebert, W.,ら, Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem 32 (1994) 189-199)。
上昇したNSE濃度が、気管支の小細胞癌の症例の60〜81%において見られる。
NSEについて、転移部位または脳(cerebal)転移との相関はないが、臨床病期、すなわち疾患の程度とは充分な相関がある。
化学療法に応答して、最初の治療期間の24-72時間後、腫瘍細胞の細胞溶解の結果としてNSEレベルの一時的な上昇がある。その後、1週間以内または最初の治療期間の終了までに、血清値(治療前は上昇していた)は急速に低下する。対照的に、治療に応答しない人は、常に高いか、または参照範囲に入らないレベルを示す。寛解の間、患者の80〜96%が正常値を有する。上昇するNSE値は、再発の場合において見られる。この上昇は、いくつかの場合において、1〜4ヶ月の潜伏期を伴って起こり、しばしば指数関数的であり(倍加時間は10〜94日間である)、生存期間と相関する。NSEは、気管支の小細胞癌における治療および疾患過程のモニタリングの際の単独の予後因子および活性マーカーとして有用である。診断感度93%、陽性的中度92% (Lamerz, R., 上記)。
神経芽細胞腫において、30 ng/mlより上のNSE血清値が、罹患小児の62%に見られる。中央値は、疾患の病期に従って上昇する。病理学的NSE値の大きさまたは頻度と疾患の病期との間に有意な相関があり、病気なしの生存と逆相関がある。
精上皮腫を有する患者の68〜73%は、臨床的に有意な NSE上昇を有する(Lamerz, R., 上記)。疾患の臨床過程との利用可能な相関性がある。
NSEはまた、他の腫瘍でも測定されている。非肺悪性疾患は、症例(すべての病期における癌腫)の22%において25ng/mlより上の値を示す。神経膠腫、髄膜腫(miningioma)、神経線維腫、および神経鞘腫などの脳腫瘍は、偶発的に、上昇した血清NSE値を伴うにすぎない。原発性の脳腫瘍または脳転移ならびに悪性黒色腫および褐色細胞腫では、上昇したNSE値は、CSF(脳脊髄液)において生じ得る。増加したNSE濃度は、臓器限局の癌の14%および転移性の腎臓癌の46%で報告されており、独立した予後因子として悪性度分類(grade)との相関を有する。
良性疾患では、上昇した血清NSE濃度(>12 ng/ml)が、良性肺疾患および脳疾患の患者において見られた。上昇した値は、主に体液(liquor)中で、脳血管髄膜炎、播種性脳炎、脊髄小脳変性、脳虚血、脳梗塞、脳内血腫、クモ膜下出血、頭部外傷、炎症性脳疾患、器質性癲癇、精神分裂症およびクロイツフェルト‐ヤーコプ病(Lamerz, R., 上記)において見られた。
NSEは、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号12133113を用い、製造業者の使用説明書に従って測定されている。
CA 19-9糖鎖抗原19-9
測定されたCA 19-9値は、モノクローナル抗体1116-NS-19-9の使用によって規定される。およそ10,000ダルトンの分子量を有する糖脂質上の1116-NS-19-9-反応性決定基が測定される。このムチンはルイスa血液型決定基のハプテンに相当し、多くの粘膜細胞の成分である(Koprowski, H.,ら, Somatic Cell Genet 5 (1979) 957-971)。
人口の3〜7%は、ルイスa陰性/b陰性血液型構成を有し、反応性決定基CA 19-9を有するムチンを発現することができない。これは、所見を解釈するときに考慮されなければならない。
ムチンは、胎児の胃、腸および膵臓の上皮に存在する。低濃度でもまた、肝臓、肺および膵臓の成人組織において見られ得る(Stieber, P.およびFateh-Moghadam, A., Boeringer Mannheim, Cat. No. 1536869 (engl), 1320947 (dtsch), ISBN 3-926725-07-9 dtsch/engl., Juergen Hartmann Verlag, Marloffstein-Rathsberg (1993); Herlyn, M.,ら, J. Clin. Immunol 2 (1982) 135-140)。
CA 19-9 アッセイ値は、膵臓癌を有する患者の鑑別診断およびモニタリングを補助し得る(感度70-87%) (Ritts, R.E., Jr.,ら, Int. J. Cancer 33 (1984) 339-345)。腫瘍質量とCA 19-9 アッセイ値との間に相関はない。しかしながら、CA 19-9 血清レベルが10,000 U/mLを超える患者は、ほぼ常に遠位の転移を有する。
CA 19-9の測定は、膵臓癌の初期検出には使用され得ない(Steinberg, W.M.,ら, Gastroenterology 90 (1986) 343-349)。
肝胆道癌では、CA 19-9値は、50〜75%の感度をもたらす。胃癌の症例では、CA 72-4およびCEAの同時測定が推奨される。結腸直腸癌では、CEA単独の測定で充分であり、ほとんどないがCEA陰性の場合でのみ、CA 19-9の測定が有用であり得る。
ムチンは、肝臓を介して排他的に排出されるので、わずかな胆汁うっ滞でさえ、いくつかの場合に、明白に上昇したCA 19-9血清レベルをもたらし得る。上昇したCA 19-9値はまた、胃腸管および肝臓の多くの良性および炎症性疾患ならびに嚢胞性線維症でも見られる。
CA 19-9は、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号11776193を用い、製造業者の使用説明書に従って測定されている。
CEA癌胎児性抗原
CEAは、およそ45〜60%の変動的糖鎖成分を有する単量体糖タンパク質(分子量およそ180.000ダルトン)である(Gold, P.およびFreedman, S.O., J. Exp. Med. 121 (1965) 439-462)。
AFPなどのCEAは、胚および胎児期の間に産生される癌胎児性(carcinofetal)抗原の群に属する。CEA遺伝子ファミリーは、2つのサブグループの約17個の活性遺伝子からなる。第1の群は、CEAおよび非特異的交差反応性抗原(NCA)を含み、第2の群は、妊娠特異的糖タンパク質(PSG)を含む。
CEAは、主に、胎児の胃腸管および胎児の血清に見られる。また、微量で、健常成人の腸、膵臓および肝臓組織にも存在する。CEAの形成は、出生後は抑制され、したがって、血清CEA値は、健常成人ではほとんど測定され得ない。
高CEA濃度は、結腸直腸腺癌の症例で高頻度に見られる(Stieber, P.およびFateh-Moghadam, A., 上記)。微量から中程度のCEA上昇(稀に>10 ng/mL)が、腸、膵臓、肝臓および肺の良性疾患(例えば、肝硬変、慢性肝炎、膵炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、気腫)の20〜50%に起こる(Stieber, P.およびFateh-Moghadam, A., 上記)。喫煙者も上昇したCEA値を有する。
CEA測定の主な適用は、結腸直腸癌の追跡調査および治療管理である。
CEA測定は、一般集団の癌スクリーニングには推奨されない。正常範囲内のCEA濃度は、あり得る悪性疾患の存在を排除しない。
Roche Diagnosticsによって製造されたアッセイ用抗体は、CEAおよび(ほぼすべてのCEA法の場合のように)胎便由来(meconium)抗原 (NCA2)と反応する。NCA1との交差反応性は0.7%である(Hammarstrom, S.ら, Cancer Res. 49 (1989) 4852-4858およびBormer, O.P., Tumor Biol. 12 (1991) 9-15)。
CEAは、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号11731629を用い、製造業者の使用説明書に従って測定されている。
CYFRA 21-1
「CYFRA 21-1」のアッセイでは、循環系内に存在するサイトケラチン19の可溶性断片が特異的に測定される。CYFRA 21-1の測定は、典型的には2つのモノクローナル抗体を基本とする(Bodenmueller, H.,ら, Int. J. Biol. Markers 9 (1994) 75-81)。Roche Diagnostics, GermanyのCYFRA 21-1アッセイでは、2つの特異的モノクローナル抗体(KS 19.1およびBM 19.21)が使用され、およそ30,000ダルトンの分子量を有するサイトケラチン19の可溶性断片が測定される。
サイトケラチンは、上皮中間フィラメントのサブユニットを形成する構造タンパク質である。これまでに、20種の異なるサイトケラチンポリペプチドが同定されている。その特異的分布パターンにより、これらは、腫瘍病理学における分化マーカーとしての使用に非常に適している。完全なサイトケラチンポリペプチドは、可溶性が低いが、可溶性の断片は血清中で検出され得る(Bodenmueller, H.,ら, 上記)。
CYFRA 21-1は、非小細胞肺癌(NSCLC)の充分確立されたマーカーである。CYFRA 21-1の主な適用は、非小細胞肺癌 (NSCLC)の経過をモニタリングすることである(Sturgeon, C., Clinical Chemistry 48 (2002) 1151-1159)。
高CYFRA 21-1血清レベルは、非小細胞肺癌を有する患者において進行した腫瘍段階および良好でない予後を示す(van der Gaast Aら, Br. J. Cancer 69 (1994) 525-528)。正常またはわずかにのみ上昇した値は、腫瘍の存在を排除しない。
首尾よい治療は、CYFRA 21-1 血清レベルの正常範囲内への急速な低下によって示される。一定のCYFRA 21-1値またはCYFRA 21-1値のわずかな減少、もしくはごく低速での減少は、腫瘍の不完全な除去または多数の腫瘍の存在を示し、対応する治療結果および予後結果を伴う。疾患の進行は、しばしば、臨床症候学および画像形成手順によってよりもCYFRA 21-1値の増加によっての方が早く示される。
肺癌の一次診断は、臨床症候学、画像形成または内視鏡手順および術中所見に基づいて行なわれるべきであることは受け入れられている。>30 ng/mLのCYFRA 21-1値を伴う肺中の不明確な円形病巣は、高い確率で、原発気管支癌の存在を示す。
CYFRA 21-1はまた、膀胱の筋浸潤性(myoinvasive)癌の経過モニタリングに好適である。良好な特異性は、良性肺疾患(肺炎、サルコイドーシス、結核、慢性気管支炎、気管支喘息、気腫)に関してCYFRA 21-1によって示される。
わずかに上昇した値 (10 ng/mLまで)は、顕著な良性肝臓疾患および腎不全ではほとんど見られない。性別、年齢または喫煙との相関はない。CYFRA 21-1の値はまた、妊娠によって影響されない。
最近、CYFRA 21-1はまた、乳癌の分野において、疾患再発の検出および処置有効性の評価に有用であることがわかった (Nakata, B.,ら, British J. of Cancer (2004) 1-6)。
CYFRA 21-1は、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号11820966を用い、製造業者の使用説明書に従って測定されている。
上記にさらに記載したように、CYFRA 21-1は、NSCLCの分野において確立されたマーカーである。NSCLC用のCYFRA 21-1を開発および確立する際、特定の肺非悪性疾患を有する患者由来の非悪性疾患コントロールを用いた。これは、良性と悪性の肺疾患を区別するために重要であると考えられている(H. Bodenmuellerら, 上記)。
ごく最近以来、有意な割合のCRC患者由来試料中においてマーカーCYFRA 21-1を検出することが可能である。また、個体から得たかかる液体試料におけるCYFRA 21-1の存在は、結腸直腸癌の評価に使用され得る。特に、他のマーカーとの組み合わせで、CYFRA 21-1は、CRCの分野において非常に有用なマーカーであると考えられる。
NNMT
タンパク質ニコチンアミドN-メチルトランスフェラーゼ (NNMT; Swiss-PROT: P40261)は、29.6 kDaの見かけ分子量および5.56の等電点を有する。
NNMTは、ニコチンアミドおよび他のピリジン類のN-メチル化を触媒する。この活性は、多くの薬物および生体異物化合物の生体内変化に重要である。このタンパク質は、主に肝臓内で発現されることが報告されており、細胞質内に位置する。NNMTは、ヒト肝臓由来のcDNAからクローン化され、29.6 kDaの計算値分子質量を有する264個のアミノ酸のタンパク質をコードする792個のヌクレオチドのオープンリーティングフレームを含んだ (Aksoy, S.,ら, J. Biol. Chem. 269 (1994) 14835-14840)。ヒト癌における該酵素の潜在的役割については、文献ではほとんど知られていない。ある論文では、増大した肝臓NNMTの酵素活性が、マウスにおいて、癌悪液質のマーカーとして報告された (Okamura, A.ら, Jpn. J. Cancer Res. 89 (1998) 649-656)。最近の報告では、放射線感受性細胞株内の放射線に応答したNNMT遺伝子のダウンレギュレーションが示された (Kassem, H.,ら, Int. J. Cancer 101 (2002) 454-460)。
最近 (WO 2004/057336)、NNMTが、CRCの評価において重要であることがわかった。WO 2004/057336に記載されたイムノアッセイは、本研究の試料(CRC、健常コントロールおよび非悪性結腸疾患)を測定するために使用されている。
当業者には認識されるように、検査中の、診断上の疑問点を改善するために2種類以上のマーカーの測定を使用する方法はたくさんある。それでもなお多くの場合有効なアプローチであるが、簡単に言うと、検査されるマーカーの少なくとも1つに対して試料が陽性である場合、陽性結果と推定される。これは、例えば、AIDSなどの感染性疾患の診断の場合であり得る。
しかしながら、しばしば、マーカーの組み合わせが評価される。好ましくは、マーカーパネルのマーカー、例えば、ASC、CYFRA 21-1およびNSEについて測定された値は、数学的に合わせ、合わせた値を、内在する診断上の疑問点と相関させる。マーカー値は、当該技術分野の数学的方法の任意の適切な状態によって組み合わせ得る。マーカーの組み合わせを疾患と相関させるための周知の数学的方法は、例えば、判別分析(Discriminantanalysis)(DA)(すなわち線形-,二次-,正則化-DA)、カーネル法(Kernel Methods)(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(Nonparametric Methods)(すなわちk-最近傍分類法(k-Nearest-Neighbor Classifiers))、PLS(部分最小二乗法(Partial Least Squares))、ツリーベース法(Tree-Based Methods)(すなわち論理回帰分析(Logic Regression)、CART、ランダムフォレスト法(Random Forest Methods)、ブースティング法/バッギング法(Boosting/Bagging Methods))、一般化線形モデル(Generalized Linear Models)(すなわちロジスティック回帰分析(Logistic Regression))、主成分ベース法(Principal Components based Methods)(すなわちSIMCA)、一般化加法モデル(Generalized Additive Models)、ファジー論理ベース法(Fuzzy Logic based Methods)、ニューラルネットワークおよび遺伝的アルゴリズムベース法(Genetic Algorithms based Methods)などの方法を使用する。当業者は、本発明のマーカーの組み合わせを評価するために、適切な方法を選択することに問題はない。好ましくは、本発明のマーカーの組合せを、例えばCRCの有無と相関させるのに使用される方法は、DA(すなわち線形-,二次-,正則化判別分析)、カーネル法(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(すなわちk-最近傍分類法)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち論理回帰分析,CART,ランダムフォレスト法,ブースティング法、または一般化線形モデル(すなわちロジスティック回帰)から選択される。これらの統計的方法に関する詳細は、以下の参考文献:Ruczinski, I.,ら, J. of Computational and Graphical Statistics, 12 (2003) 475-511; Friedman, J. H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175; Hastie, Trevor, Tibshirani, Robert, Friedmann, Jerome, The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001; Breiman, L., Friedman, J. H., Olshen, R. A., Stone, C. J. (1984) Classification and regression trees, California: Wadsworth; Breiman, L., Random Forests, Machine Learning 45 (2001) 5-32; Pepe, M. S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003); ならびに Duda, R. O., Hart, P. E., Stork, D. G., Pattern Classification, Wiley Interscience, 第2版 (2001)に見られる。
生物学的マーカーの基礎をなす組み合わせに対して最適化された多変量カットオフ(cut-off)を用いること、および状態Aを状態Bと、例えば罹患を健常と区別することは、本発明の好ましい態様である。この種類の解析において、マーカーはもはや独立していないが、マーカーパネル(panel)を形成する。ASC、NSE、およびCYFRA 21-1の測定を組み合わせることで、健常コントロールと比較される場合、または、評価もされる場合、健常コントロールおよび非悪性疾患コントロールと比較される場合のいずれにも、CRCに対する診断の精度を特に改善することが確立され得た。非悪性疾患を有する患者はCRCを有する患者のようにかなり異なる治療を必要とし得るため、特に後の所見は非常に重要である。
試験の精度は、その受信者動作特性(ROC)によって最もよく表される(特にZweig, M.H.,およびCampbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561〜577を参照)。ROCグラフは、観察されるデータの全範囲にわたる判定閾値(thresh-hold)を連続的に変化させることから生じるすべての感度/特異性の組のプロットである。
実験室試験の臨床的性能は、その診断の精度、または被験体を臨床的に関連するサブグループに正確に分類する能力に依存する。診断の精度は、調査される被験体の2つの異なる状態を正確に区別する試験の能力の尺度となる(measures)。かかる状態は、例えば健常および疾患、または悪性疾患対良性疾患である。
各々の場合において、ROCプロットは、判定閾値の全範囲について、感度対1-特異性をプロットすることにより2つの分布の間の重なりを示す。y軸には感度、すなわち真陽性の割合[(真陽性試験結果の数)/(真陽性試験結果の数+偽陰性試験結果の数)と定義される]がある。これはまた、疾患または病気の存在下で陽性である(positivity)と言われている。感度は罹患したサブグループからだけで計算される。x軸には偽陽性の割合、すなわち1-特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性結果の数+偽陽性結果の数)と定義される]がある。偽陽性の割合は、特異性の指標であり、専ら非罹患サブグループから計算される。真陽性の割合および偽陽性の割合は全く別々に計算されるため、2つの異なるサブグループからの試験結果を用いることによって、ROCプロットは試料における疾患の罹患率から独立している。ROCプロットの各点は、特定の判定閾値に対応する感度/1-特異性の組を表す。完全な区別を有する試験(結果の2つの分布における重なりがない)は、上方左すみを通るROCプロットを有し、そこでは真陽性の割合は1.0、または100%(完全な感度)であり、偽陽性の割合は0(完全な特異性)である。全く区別のない試験についての理論的プロット(2つのグループの結果の分布が同一)は、下方左すみから上方右すみへの45°対角線である。ほとんどのプロットは、これらの2つの両極端の間にくる。(ROCプロットが45°対角線の完全に下にくる場合、これは「陽性」についての基準を「より大きい」から「より少ない」に逆にすることにより容易に修正され、または逆もまた同様である。)定性的には、プロットが上方左すみに近いほど、試験の総合的な精度は高い。
実験室試験の診断の精度を定量化する一つの都合のよい目的は、単一の数によって試験の性能を表すことである。最も一般的な包括的な尺度は、ROCプロットの下の面積である。慣習によって、この面積は常に0.5以上である(面積が0.5以上でない場合、面積をそのようにするために判定規則を逆にすることができる)。値は、1.0(2つのグループの試験値の完全な分離)と0.5(試験値の2つのグループの間の明らかな分布の違いがない)の間の範囲にわたる。面積は、対角線に最も近い点または90%の特異性での感度などのプロットの特定の部分だけではなく、全体のプロットにも依存する。これは、ROCプロットが完全なプロット(面積=1.0)にどれだけ近いかを定量的に記述する表現である。
ASCと、CYFRA 21-1もしくはNMMTのような他の最近発見されたマーカー、またはCEAおよびNSEのような公知のマーカー、またはまだ発見されていないCRCの他のマーカーの測定を組み合わせることは、それぞれCRCの評価においてさらなる改善をもたらし、かつもたらすであろう。
3つのマーカーASC、CYFRA21-1およびNSEの組み合わせが、有意にCRCに対する診断の正確性を改善する。
以下の実施例、参照文献、配列表および図は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は、添付された特許請求の範囲に示される。本発明の意図から逸脱せずに、示される手順において変更がなされ得ることを理解されたい。
略語
ABTS 2,2'-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリン(ethylbenzthiazoline)スルホネート(6)]ジアンモニウム塩
BSA ウシ血清アルブミン
cDNA 相補DNA
CHAPS (3-[(3-コラミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]- 1-プロパン-スルホネート)
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ELISA 酵素免疫測定法
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
IAA ヨードアセトアミド
IgG 免疫グロブリンG
IEF 等電点電気泳動(focussing)
IPG 固定pH勾配(immobilized pH gradient)
LDS ドデシル硫酸リチウム
MALDI-TOF マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法-飛行時間型質量分析法
MES メシチル、2,4,6-トリメチルフェニル
OD 光学濃度
PAGE ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PI 等電点
RTS ラピッドトランスレーションシステム(rapid translation system)
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
(実施例1)
潜在的な癌マーカーとしてのASCの同定
胸部腫瘍患者由来の疾患組織および正常組織の試料を使用するASCの最初の確認の後、マーカーを、他の癌および特に結腸直腸癌について試験する(以下の表6を参照)。さらに、結腸直腸癌患者由来の血清および血漿試料を分析する。結果として、この型の癌について、データは、生化学的マーカーとしてのASCの有用性を示す。
(実施例2)
マーカータンパク質ASCに対する抗体の生成
癌マーカータンパク質ASCに対するポリクローナル抗体を、免疫検出アッセイ、例えばウエスタンブロッティングおよびELISAによるASCの血清および血漿ならびに血液レベルの測定における抗体のさらなる使用のために生成する。
組換えタンパク質の発現および精製
ASCに対する抗体を生成するために、タンパク質の組換え発現を、免疫原を得るために実施する。発現を、RTS100発現系および大腸菌(E.coli)の組み合わせを利用して実施する。第1工程において、DNA配列を分析して、高収量cDNAサイレント変異バリアントおよびそれぞれのPCRプライマー配列に対する推奨を「ProteoExpert RTS E.coli HY」系を使用して得る。これは、市販のウェブベースのサービスである(
1181096595562_0)。推奨されたプライマー対を使用して、ASCタンパク質をコードするヌクレオチド配列のインビトロ転写および発現のためのcDNAから直線状PCRテンプレートを生成するために「RTS 100 E. coli Linear Template Generation Set, His-tag」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Cat.No. 3186237)系を使用する。ウエスタンブロット検出および後の精製のために、発現されたタンパク質は、His-タグを含む。最も発現するバリアントを同定する。PCRから発現および検出までの全ての工程を製造業者の指示書に従って実施する。全ての必要なT7調節領域(プロモーター、リボソーム結合部位およびT7ターミネーター)を含むそれぞれのPCR産物を、製造業者の指示書に従ってpBAD TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Karlsruhe, Germany, Cat. No. K 4300/01)にクローニングする。T7調節配列を使用する発現のために、構築物で大腸菌BL21(DE3)(Studier, F.W., et al., Methods Enzymol. 185 (1990) 60-89)を形質転換し、形質転換された細菌をタンパク質発現のために1lのバッチで培養する。
His-ASC融合タンパク質の精製を、Ni−キレートカラムで標準的な手順に従って実施する。簡単に言うと、His-ASC融合タンパク質のための発現ベクターを含む1lの細菌培養物を、遠心分離によりペレット化する。細胞ペレットをリン酸塩pH8.0、7M塩酸グアニジン、イミダゾールおよびチオグリセロールを含む溶解バッファ中に再懸濁し、その後、Ultra-Turrax(登録商標)を使用して均質化する。不溶性物質を高速遠心分離によってペレット化し、上清をNi-キレートクロマトグラフィーカラムにかける。カラムを数ベッド体積の溶解バッファで洗浄し、その後、リン酸塩pH8.0および尿素を含むバッファを用いて洗浄する。最後に、結合した抗原を、酸条件下でSDSを含むリン酸バッファを使用して溶出する。
抗体の生成のためのヘモシアニン−ペプチド結合体の合成
合成を、ヘテロ二官能性化学(マレイミド/SH化学)を使用して実施する。ASC−ペプチドを含む選択されたシステインを、Concholepas concholepas (Sigma, B-8556)からの3−マレイミドヘキサノイル−N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MHS)活性化ヘモシアニンに結合する。
ヘモシアニンを100mM NaH2PO4/NaOH pH7.2中10mg/mlにする。ヘモシアニン1mlあたり100μlのMHS(DMSO中12.3mg)を添加し、1時間インキュベートする。試料を、100mM NaH2PO4/NaOH pH6.5に対して一晩透析し、透析バッファで6mg/mlに調整する。選択されたシステインを含むASC-ペプチドを、DMSO中に溶解する(1500ダルトンのペプチドに対して5mg/ml)。1mlのMHS活性化ヘモシアニン(6mg/ml)あたり、20μlの100mM EDTA pH7.0および100μlの選択されたシステインを含むASCペプチドを添加する。1時間後、残りのマレイミド基を反応混合物1mlあたり10μlの0.5Mシステイン/HClの添加によってブロックする。この調製物を、さらなる精製なしに免疫のために使用する。
組換え融合タンパク質の発現および精製
ASCに対する抗体を生成するために、SlyD-ASC融合タンパク質の組換え発現を実施し、Scholz, C., et al., J. Mol. Biol. 345 (2005) 1229-1241に記載される方法に類似して免疫原を得る。従って、SlyD-(GGGS)5-GGG-IEGR-ASC-GGGS-HHHHHHをコードする遺伝子を含む発現ベクターを構築する。精製およびウエスタンブロット検出のために、構築物は、カルボキシ末端His-Tag (HHHHHH)を含む。さらなるGS-リンカー((GGGS)5-GGG)および第Xa因子に対する切断部位(IEGR)がSlyDとASCとの間に挿入される。発現を、大腸菌中でT5−プロモーターの制御下で実施する。
第1の工程において、テンプレートとしてベクターpSO60(SlyD-(GGGS)5-GGG-SlyDをコードする発現カセットを保持するpET24)を使用して、PCRを実施する。プライマー1(配列番号2)およびプライマー2(配列番号3)の使用によって、EcoRI部位およびリボソーム結合部位を5’末端にならびにBamHI部位、IEGRコード配列およびSacI部位を3’末端にそれぞれ保持するモノSlyDを得る。生成されたPCR産物をEcoRI/SacIフラグメントとしてpQE80L(Qiagen, Hilden)にクローニングし、pQE80-SlyDを与える。
第2に、ASCを、テンプレートとしてのpBC14(ASC保持pET24)から増幅する。プライマー3(配列番号4)およびプライマー4(配列番号5)の使用によって、BamHI部位およびIEGRコード配列が5’末端にならびにGGGS-HHHHHHコード配列およびさらなるHindIII部位が3’末端に挿入される。
PCR産物を、BamHI/HindIIIフラグメントとしてpQE80-SlyDにクローニングし、最終発現構築物(pQE80-SlyD-ASC)を得る。全てのPCR工程およびクローニング工程を、製造業者の指示書に従って実施する。
T5プロモーターの制御下での発現のために、大腸菌C600細胞(Stratagene, Heidelberg)を、最終構築物で形質転換した。発現株を、タンパク質産生のために1lバッチ中で培養する。
His-SlyD-ASC融合タンパク質の精製を、Ni-キレートカラムで標準的な手順に従って実施する。簡単に言うと、SlyD-ASC-His融合タンパク質に対する発現ベクターを含む1リットルの細菌培養物を遠心分離によってペレット化する。細胞ペレットをTris/HCl、pH8、CHAPS、EDTAおよびリゾチームを含む溶解バッファ中に再懸濁し、その後、Ultra-Turrax(登録商標)を使用して均質化する。DNAを、塩化マグネシウムおよびDNaseの添加によって酵素的に分解する。封入体を遠心分離でペレット化する。ペレットをリン酸バッファ、pH8.0、7M塩酸グアニジン中に溶解し、Ni-キレートカラムにのせる。カラムを数ベッド体積のリン酸バッファ、pH8.0、7M塩酸グアニジンで洗浄する。次いで、リン酸バッファ、pH8.0、7M塩酸グアニジンを、リン酸バッファ、pH8.0、NaClによって置換し、マトリクス結合タンパク質の再フォールディングを誘導する。再フォールディングされた融合タンパク質を、リン酸バッファ、pH8.0、NaCl、イミダゾールによって溶出する。
ASCに対するモノクローナル抗体の産生
a)マウスの免疫
12週齢のA/Jマウスを、100μgのASC、融合タンパク質またはヘモシアニン−ペプチド結合体(上記を参照)で最初に腹腔内免疫する。この後、6週後に、1月の間隔で2回のさらなる腹腔内免疫を実施する。このプロセスにおいて、各マウスに、水酸化アルミニウムおよび10の百日咳菌(Bordetella pertussis)に吸着された100μgのASCまたはヘモシアニン−ペプチド結合体を投与する。続いて、最後の2回の免疫を、融合体がPBSバッファ中100μgのASCまたはヘモシアニン−ペプチド結合体を各々について使用する3日および2日前に、静脈内で実施する。
b)融合およびクローニング
a)に従って免疫されたマウスの脾臓細胞を、Galfre, G., and Milstein, C., Methods in Enzymology 73 (1981) 3-46に従って、骨髄腫細胞と融合する。このプロセスにおいて、免疫されたマウスの約1×10の脾臓細胞を、2×10の骨髄腫細胞(P3X63-Ag8-653, ATCC CRL1580)と混合し、遠心分離(300×gおよび4℃で10分)する。次いで、細胞を、ウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI1640培地で1回洗浄し、50mlの円錐形チューブ中で400×gで再度遠心分離する。上清を捨て、細胞沈渣を軽くたたくことによってゆっくりとほぐし、1mlのPEG(分子量 4000, Merck, Darmstadt)を添加し、ピペッティングによって混合する。1分後、37℃の水浴中で、FCSを含まない5mlのRPMI 1640を4〜5分以内に室温で滴下する。その後、10%FCSを含む5mlのRPMI 1640を、約1分以内に滴下し、完全に混合し、培地(RPMI 1640+10% FCS)で50mlまで満たし、続いて、400×gおよび4℃で10分遠心分離する。沈殿した細胞を、10% FCSを含むRPMI 1640培地に集め、ヒポキサンチン−アザセリン選択培地(RPMI 1640+10% FCS 中100mmol/l ヒポキサンチン、1μg/mlアザセリン)に播種する。100U/mlでインターロイキン6を、増殖因子として培地に添加する。
約10日後、一次培養物を特異的抗体について試験する。ASC陽性一次培養物を、蛍光活性化細胞選別器によって96ウェル細胞培養プレートでクローン化する。このプロセスにおいて、100U/mlでインターロイキン6を、再度増殖添加物として培地に添加する。
c)細胞培養上清からの免疫グロブリンの単離
得られたハイブリドーマ細胞を、10%FCSを含むRPMI 1640培地に1mlあたり1×10細胞の密度で播種し、7日間発酵槽(Thermodux Co., Wertheim/Main, Model MCS-104XL, Order No. 144-050)中で増殖する。平均して、mlあたり100μgのモノクローナル抗体の濃度を、培養上清に得る。培養上清からのこの抗体の精製を、タンパク質化学における従来の方法(例えば、Bruck, C., et al., Methods in Enzymology 121 (1986) 587-695に従う)によって実施する。
ポリクローナル抗体の生成
a)免疫
免疫のために、1:1の比でタンパク質溶液(100μg/ml ASC、融合タンパク質またはヘモシアニン-ペプチド結合体)と完全フロイントアジュバントの新鮮なエマルジョンを調製する。各ウサギを第1日、第7日、第14日および第30日、第60日および第90日に1mlのエマルジョンで免疫する。血液を採取し、得られた抗−ASC血清を、実施例3および4に記載されるようにさらなる実験のために使用する。
b)カプリル酸および硫酸アンモニウムでの連続沈殿によるウサギ血清からのIgG(免疫グロブリンG)の精製
ウサギ血清の1体積を4体積の酢酸バッファ(60mM、pH4.0)で希釈する。pHを2MのTris塩基で4.5に調整する。カプリル酸(25μl/mlの希釈試料)を、よく攪拌しながら滴下する。30分後、試料を遠心分離(13,000×g、30分、4℃)し、ペレットを捨て、上清を回収する。上清のpHを2MのTris塩基の添加によって7.5に調整し、濾過(0.2μm)する。
上清の免疫グロブリンを、4Mの硫酸アンモニウム溶液の滴下から2Mの最終濃度にすることによって、よく攪拌しながら沈殿する。沈殿した免疫グロブリンを遠心分離(8000×g、15分、4℃)によって回収する。
上清を捨てる。ペレットを、10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl中に溶解し、徹底的に透析する。透析物を、遠心分離(13,000×g、15分、4℃)し、濾過(0.2μm)する。
ポリクローナルウサギIgGのビオチン化
ポリクローナルウサギIgGを、10mM NaH2PO4/NaOH、pH7.5、30mM NaCl中10mg/mlにする。IgG溶液1mlあたり、50μlのビオチン−N-ヒドロキシスクシンイミド(DMSO中3.6mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料を、Superdex 200(10mM NaH2PO4/NaOH, pH7.5, 30mM NaCl)でクロマトグラフィーにかける。ビオチン化IgGを含む画分を回収する。モノクローナル抗体を同じ手順に従ってビオチン化する。
ポリクローナルウサギIgGのジゴキシゲニン化
ポリクローナルウサギIgGを、10mM NaH2PO4/NaOH, 30mM NaCl, pH7.5中10mg/mlにする。IgG溶液1mlあたり、50μlのジゴキシゲニン−3−O−メチルカルボニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany, Cat. No. 1 333 054) (DMSO中3.8mg/ml)を添加する。室温で30分後、試料をSuperdex(登録商標)200 (10mM NaH2PO4/NaOH, pH7.5, 30mM NaCl)でクロマトグラフィーにかける。ジゴキシゲニン化IgGを含む画分を回収する。モノクローナル抗体を同じ手順に従ってジゴキシゲニンで標識する。
(実施例3)
ヒト血清および血漿試料中のASCの検出のためのウエスタンブロット
SDS-PAGEおよびウエスタンブロットを、Invitrogen, Karlsruhe, Germanyの試薬および装置を使用して実施する。ヒト血漿試料を、還元NuPAGE(登録商標) (Invitrogen) LDS試料バッファ中で1:20に希釈し、95℃で5分間加熱する。10μlのアリコートを、MESランニングバッファ系中で4〜12%NuPAGE(登録商標)ゲル(Bis-Tris)に流す。ゲルで分離されたタンパク質の混合物を、Invitrogen XCell IIO Blot Module (Invitrogen)およびNuPAGE(登録商標)転写バッファ系を使用してニトロセルロース膜にブロットする。膜をPBS/0.05% Tween-20中で3回洗浄し、SuperBlock Blocking Buffer (Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL, USA)でブロックする。ビオチン化一次抗体を、SuperBlock Blocking Buffer (0.01-0.2μg/ml)中に希釈し、1時間膜と共にインキュベートする。膜をPBS/0.05% Tween-20中で3回洗浄する。特異的に結合したビオチン化一次抗体を、ストレプトアビジン−HRP結合体(SuperBlock Blocking Buffer中20mUABTS/ml)で標識する。1時間のインキュベーションの後、膜をPBS/0.05% Tween-20中で3回洗浄する。結合したストレプトアビジン−HRP結合体を、化学発光基質(SuperSignal West Femto Substrate, Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL, USA)およびオートラジオグラフィーフィルムを使用して検出する。露光時間は、10分〜一晩まで変動する。
(実施例4)
ヒト血清および血漿試料中のASCの測定のためのELISA
ヒト血清または血漿中のASCの検出のために、サンドイッチELISAが開発される。抗原の捕捉および検出のために、抗−ASCポリクローナル抗体のアリコート(実施例2を参照)を、ビオチンおよびジゴキシゲニンそれぞれと結合体化する。
ストレプトアビジンコート化96ウェルマイクロウェルプレートを、10mM リン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween 20中、60分、10μg/mlで100μlのビオチン化抗−ASCポリクローナル抗体とインキュベートする。インキュベーションの後、プレートを0.9% NaCl、0.1% Tween 20で3回洗浄する。次いで、ウェルを、標準抗原として組換えタンパク質の連続希釈物(実施例2を参照)または患者から得られた希釈液体試料のいずれかと2時間インキュベートする。ASCの結合後、プレートを0.9% NaCl、0.1% Tween 20で3回洗浄する。結合したASCの特異的な検出のために、ウェルを、10mM リン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween 20中、60分、10μg/mlで100μlのジゴキシゲニン化抗−ASCポリクローナル抗体とインキュベートする。その後、プレートを3回洗浄し、結合していない抗体を除去する。次の工程において、ウェルを、10mM リン酸塩、pH7.4、1% BSA、0.9% NaClおよび0.1% Tween 20中、60分、20mU/mlの抗−ジゴキシゲニン−POD結合体(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Catalog No. 1633716)とインキュベートする。続いて、プレートを同じバッファで3回洗浄する。抗原−抗体複合体の検出のために、ウェルを100μlのABTS溶液(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Catalog No. 11685767)とインキュベートし、ODを、30〜60分後にELISAリーダーを用いて405nmで測定する。
(実施例5)
マーカー評価、感度および特異性;
診断精度に関して臨床的有用性を評価するためのROC分析
十分に特徴付けられた患者コホートから得られた個々の液体試料を分析することによって、精度を評価する。コントロール集団A(表1を参照)は、271人の献血者および結腸鏡検査を受けた46人の患者を含む317人の個体を含む。コントロール集団Bは、非癌疾患を有する87人の患者を含む。
109人の結腸直腸癌患者(集団C)は、異なる段階の腫瘍を含む(表2、表4)。さらに、前癌段階の27の試料を、分析に含める(集団D)。他の癌に関して特異性を分析するために、他の腫瘍を有する272人の患者(集団E)を試料コホートに含める。コホートは、表2に要約され;表3は、胃腸癌を有する患者についての詳細を提供する。
CA19-9、CYFRA21−1およびCEAを、Elecsys(登録商標)Systems免疫アッセイ分析器について、市販のアッセイ(Roche Diagnostics, CA 19-9-アッセイ: Cat. No. 11776193, CYFRA 21-1アッセイ Cat. No. 11820966, CEA-アッセイ: Cat.No. 1731629)によって測定する)。NNMTを、実施例4の手順およびWO2004/057336に記載される抗体を使用して測定する。一集団内のサンドイッチ免疫アッセイを、ASCの測定のために開発してきた。このアッセイを、マイクロタイタープレート形式で実施する。ストレプトアビジンコート化マイクロタイタープレートを使用する。ASCに対するビオチン化ポリクローナル抗体を捕捉抗体として使用し、ASCに対するジゴキシゲニン化ポリクローナル抗体を、このサンドイッチアッセイにおける第2の特異的結合パートナーとして使用する。形成されたサンドイッチ複合体を、抗ジゴキシゲニン西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体および適切なペルオキシダーゼ基質によって最後に可視化する。
図2は、コントロール(表1)血清および血漿試料を用いて得られたデータを要約する。該図は、健康コントロールより多い疾患コントロールの試料が高いASC値を示すことを示す。この発見を考慮に入れると、カットオフ値は、全てのコントロール、すなわち健康および疾患コントロールの90%百分位数を規定するように規定される。
特に疾患コントロールに関して、表5は、マーカーASCの特異性を、NNMT、CA19-9、CEAおよびCYFRA21−1の特異性と比較する。ASCに関する限り、互いのマーカーのカットオフ値は、全てのコントロールの90%百分位数を規定する。
ASCの特異性を、他の癌であると診断された患者からの血清および血漿試料を試験することによって評価する。特異性を、使用される他のマーカーに関して比較する。表6は、結果を要約する。
ASCに関して感度を評価するために、異なる段階でCRCと診断された患者由来の血清および血漿試料を分析する。表7a/bおよび8は、結果を要約する。ASCおよびCEAについての測定された値の分布を、図3および4それぞれに示す。
ROC分析をZweig, M. H., and Campbell(上述)に従って実施する。曲線下面積(AUC)によって測定される場合、健康コントロール群から結腸直腸癌群の患者を区別するための識別力は、他の試験されたマーカーと比較される場合と少なくとも同程度に良いかまたはASCについて、より良い(88%)ことが見出される。結腸直腸癌集団が疾患コントロールを含む全てのコントロールと比較される場合、ASCの識別力は、マーカーCYFRA21-1より良くなかったとしても、少なくともまだ等しい。さらに、ASCの識別力は、NNMTより著しく良い。結果を、表8ならびに図5および6に与える。
示されたデータから明らかになるように、示されている腫瘍を除けば、ASCは、腸疾患コントロール中も高い。腸疾患コントロールに対する低い特異性に関わらず、結腸癌試料とコントロール(健康+疾患)との間の区別は、常套的な腫瘍マーカーCEAおよびCA19-9に対するものより良い。
(実施例6)
マーカーパネル
実施例5に示されるように、ASCは、1つ以上の他のマーカーと組み合わせる、結腸マーカーパネル中のメンバーとして、評価のための見込みのある候補である。このために、予備的な多変量解析を実施する。
分類アルゴリズムを、通常の判別分析、すなわち二次および線形判別分析(McLachlan, G. J., Discriminant Analysis and Statistical Pattern Recognition, Wiley Series in probability and mathematical statistics, 1992)の一般化である、正則化判別分析(RDA)を用いて作成する。RDAにおいて、共分散マトリクスについての通常の最大見込み(プラグ−イン)推定値に対する代替を使用する。これらの代替は、2つのパラメータ(λ、γ)によって特徴付けられ、これらの値は、将来の誤分類の危険の試料ベースの推定値を共同で最小化することによって、個々の状況にカスタマイズされる(Friedman, J. H., Regularized Discriminant Analysis, J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。代替的方法として、サポートベクターマシンアルゴリズム(Hastie, Trevor, Tibshirani, Robert, Friedman, Jerome, The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics,2001)が、同等の分類結果と適合され得る。RDAによる分析は、106のCRC試料および404の健康/疾患コントロールに基づく。
マーカーパネルを、分類課題についての最良の単一のマーカーから開始し、90%の特異性レベルで感度の増加がもうこれ以上顕著に変化しない場合終了するように、段階的に構築する。中心に集まった分布を得るために全ての単一のマーカーを、自然対数(log)の関数で変換した。
表9は、CRC試料対健康/疾患コントロール試料の比較を使用して得られたRDAデータを示し、特異性は90%に設定されている。ASCが試験された全ての腫瘍マーカーの最良のROC曲線下面積を有することに留意のこと。
表10および11は、多変量解析からの結果を示す。驚くべきことに、2、3、4および5の異なるマーカーの最良の組み合わせに対する検索は、CEA(およびCA19-9もまた)を含む組み合わせがより劣って見えるという観察を導く。本発明の試料セットに基づいて見出された最良の組み合わせは、CYFRA21-1、NSEおよびASCを含む。この結果は、CEAを含む異なる組み合わせを有する結果を反映する表11によって例示的に示される。
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図は乳房の腫瘍試料(左側)を充填された2次元ゲルおよび対のコントロール試料(右側)を充填されたゲルを示す。これらのゲルの拡大部分の円はタンパク質ASCに対する位置を示す。同じ方法を用いて、このタンパク質は健常組織で検出されなかった。ASCは約pH6の等電点および約22KDaの見かけ分子量に対応して2次元ゲル中で移動する。 表1に従うコントロール患者の血清試料および血漿試料におけるASC定量の分布(実施例4を参照)。A:疾患コントロール、n=87;B:健常コントロール、n=317。図の水平線は597pg/mlのカットオフ値を示す。 ASCに対する測定値の分布。カットオフ線は、597pg/mlおよびコントロール患者の集団に関して90%の特異性に相当する(表1)。A:UICCI, n=33; B:UICCII, n=23; C: UICCIII, n=21; D: UICCIV, n=23; E:腺腫, n=27。 CEAに対する測定値の分布。カットオフ線は、4ng/mlおよびコントロール患者の集団に関して90%の特異性に相当する(表1)。A:UICCI, n=33; B:UICCII, n=23; C: UICCIII, n=21; D: UICCIV, n=23; E:腺腫, n=28。 図はASCに対するROC曲線を示す:結腸直腸癌対健常コントロール(実線;ROC:88%)、結腸直腸癌対健常コントロールおよび疾患コントロール(破線;ROC:83%)ならびに結腸直腸癌対健常コントロール、疾患コントロールおよび他の癌。x軸は1から特異性値を差し引くことで計算された値を示す。y軸は感度を示す。両者において、1の値は100%に相当する。結腸直腸癌:109個の試料。健常コントロール:317個の試料。疾患コントロール:87個の試料。他の癌:272個の試料。 図はASC、CYFRA21-1およびNNMTに対するROC曲線を示す:結腸直腸癌対健常コントロールおよび疾患コントロール。ASCは実線で示され、CYFRA21-1は一点破線で、NNMTは破線で示される。x軸は1から特異性値を差し引くことで計算された値を示す。y軸は感度を示す。両者において、1の値は100%に相当する。結腸直腸癌:109個の試料。健常コントロール:317個の試料。疾患コントロール:87個の試料。他の癌:272個の試料。 図はASC、CEA、CA19-9およびNSEに対するROC曲線を示す:結腸直腸癌対健常コントロールおよび疾患コントロール。ASCは実線で示され、CEAは一点破線で、CA19-9は破線で、NSEはパッチ状破線で示される。x軸は1から特異性値を差し引くことで計算された値を示す。y軸は感度を示す。両者において、1の値は100%に相当する。結腸直腸癌:109個の試料。健常コントロール:317個の試料。疾患コントロール:87個の試料。他の癌:272個の試料。

Claims (7)

  1. a)試料におけるカスパーゼ関連リクルートドメインを含むアポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)の濃度を測定する工程、
    b)任意に試料における1つ以上の結腸直腸癌の他のマーカーの濃度を測定する工程、ならびに
    c)工程a)で測定された濃度および任意に工程b)で測定された濃度を結腸直腸癌の有無に相関させる工程、ここで、ASCの濃度の上昇が結腸直腸癌の存在を示す、
    を含むインビトロで結腸直腸癌を評価する方法。
  2. 該試料が血清、血漿、および全血からなる群より選択されることをさらに特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 該1つ以上の他のマーカーがNSE、CYFRA21-1、NNMT、CA19-9、CA72-4、およびCEAからなる群より選択されることをさらに特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 該1つ以上の他のマーカーがCYFRA21-1であることをさらに特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 該1つ以上の他のマーカーがNSEであることをさらに特徴とする、請求項3記載の方法。
  6. 結腸直腸癌の評価におけるマーカー分子としてのタンパク質ASCの使用であって、ASCの濃度の上昇が結腸直腸癌の存在を示す、使用
  7. 結腸直腸癌の評価における、ASCおよび結腸直腸癌に対する1つ以上の他のマーカーを含むマーカーパネルの使用であって、ASCの濃度の上昇が結腸直腸癌の存在を示す、使用
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