JP4671385B2 - レピータ装置および通信タイミング制御方法 - Google Patents

レピータ装置および通信タイミング制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば携帯電話システムやPHS(Personal Handyphone System)などに代表される、移動局を基地局を介してネットワークに接続する移動通信システムにおいて、移動局と基地局との間を無線中継するレピータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、従来より移動通信システムで用いられるレピータ装置では、基地局との間の通信に生じる電波の伝搬遅延による影響を抑制するために、予め基地局との距離を計測し、この計測した距離に応じて送受信タイミングの調整して、伝搬遅延の影響を抑制するようにしている。
【0003】
ところで、基地局との距離の計測には、GPS(Global Positioning System)受信機による測位や、測量などにより行われるが、GPS受信機を用いて自動的に測距して送受信タイミングの補正を行う場合、レピータ装置が高価となるばかりか、大型かつ複雑なものとなってしまうという問題がある。
【0004】
また、レピータ装置の設置時や定期的に、測量やGPS受信機を用いて測距を行い、その結果を人の手によって設定する手法も考えられるが、この場合、人的労力が多大なものとなるだけでなく、人為的なミスにより適正な送受信タイミングの補正が行えないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレピータ装置では、基地局との間の伝搬遅延による影響を抑制するために、予め基地局との距離を計測し、この計測した距離に応じて送受信タイミングの調整を行っているが、基地局との距離の計測にコストがかかったり、レピータ装置が大型化したり、あるいは多大な人的労力が必要であったり、人為的なミスにより適正な送受信タイミングの補正を行うことができないなどの問題があった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、装置の大型化やコストの大幅な上昇を招くことなく、適正な送受信タイミングで基地局と通信することが可能なレピータ装置および通信タイミング制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係わる本発明は、ネットワークに接続可能な基地局と移動局とを無線通信により中継接続するレピータ装置において、基地局と無線通信する通信手段と、この通信手段を制御して、基地局に対して複数の異なるタイミングで所定のデータを送信する送信制御手段と、複数の異なるタイミングのうち、送信制御手段によるデータ送信に対して基地局が応答するタイミングを求めるタイミング検出手段と、このタイミング検出手段にて検出したタイミングに基づいて、通信手段の送受信タイミングを決定するタイミング決定手段と具備して構成するようにした。
【0008】
また、請求項6に係わる本発明は、ネットワークに接続可能な基地局と移動局とを無線通信により中継接続するレピータ装置の通信タイミング制御方法であって、基地局との通信手段を制御して、基地局に対して複数の異なるタイミングで所定のデータを送信する送信制御工程と、複数の異なるタイミングのうち、送信制御工程によるデータ送信に対して基地局が応答するタイミングを求めるタイミング検出工程と、このタイミング検出工程にて検出したタイミングに基づいて、通信手段の送受信タイミングを決定するタイミング決定工程とを具備して構成するようにした。
【0009】
上記構成のレピータ装置および通信タイミング制御方法では、基地局に対する送信タイミングを可変して、基地局が応答する送信タイミングを求め、この求めたタイミングを平均化して適正な送受信タイミングを求めて、基地局と通信するようにしている。
【0010】
したがって、上記構成のレピータ装置および通信タイミング制御方法によれば、基地局との距離を求めたり、それに対応する遅延量を人の手により入力しなくても、適正な送受信タイミングで基地局と通信することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、この発明に係わるレピータ装置について説明する。ここでは、レピータ装置の一例として、PHSのレピータ基地局を例に挙げて説明する。図1は、この発明の一実施形態に係わるPHSレピータ基地局(RS:Repeater Station)の構成と、このPHSレピータ基地局RSが適用されるシステムを示すものである。
【0012】
PHSレピータ基地局RSは、主要な構成要素としてアンテナ10を備える対移動局無線部20と、アンテナ40を備える対基地局無線部30と、制御部100と、記憶部200とを備える。
【0013】
対移動局無線部20は、制御部100によって送受信タイミングが制御され、アンテナ10を通じてPHSの移動局PS(Personal Station)と無線通信を行うもので、移動局PSから受信したデータを制御部100を通じて対基地局無線部30に出力するとともに、制御部100を通じて対基地局無線部30から入力されるデータを移動局PSに無線送信する。
【0014】
対基地局無線部30は、制御部100によって送受信タイミングが制御され、アンテナ40を通じてPHSの基地局CS(Cell Station)と無線通信を行うもので、基地局CSから受信したデータを制御部100を通じて対移動局無線部20に出力するとともに、制御部100を通じて対移動局無線部20から入力されるデータを基地局CSに無線送信する。
【0015】
制御部100は、マイクロプロセッサからなり、対移動局無線部20と対基地局無線部30とを制御することにより、移動局PSと基地局CSとの間の通信を中継するものである。
【0016】
また、制御部100は、上述したような通常の中継制御機能に加えて、タイマ機能や、対基地局無線部30を制御して、基地局CSに対する送信タイミングを可変し、適正な送受信タイミングを求めるタイミング制御機能を備える。
【0017】
記憶部200は、制御部100の制御プログラムや制御データを記憶するエリアを備える他に、遅延データ記憶エリア200aと、応答値記憶エリア200bを備える。
【0018】
遅延データ記憶エリア200aには、制御部100による送受信タイミング制御で用いる遅延データが複数記録されている。この遅延データは、送信タイミングの遅延量を示すものであり、以下の説明では、N個の遅延データD〜Dが遅延データ記憶エリア200aに記憶されているものとする。
【0019】
そして、応答値記憶エリア200bは、制御部100による送受信タイミング制御により、遅延データD〜Dのうち、基地局CSとの通信に適した遅延データDに対応するカウント値nを記録するためのものである。
【0020】
次に、上記構成のレピータ基地局RSの動作について説明する。
なお、以下の説明では、移動局PSと基地局CSとの間を中継する通常の動作については説明を省略し、基地局CSに対する送受信タイミングの適正値を求める制御動作について説明する。
【0021】
図2は、この動作を説明するためのフローチャートで、この処理は、制御部100によって、移動局PSと基地局CSとの間の中継動作に先立って行われるもので、起動直後や予め決められた時間(例えば、所定の周期)が到来すると行われる。
【0022】
まず、ステップ2aでは、カウント値nに初期値「1」を設定し、ステップ2bに移行する。
ステップ2bでは、遅延データ記憶エリア200aから遅延データDを読み出し、このデータが示す遅延量に対応する送信タイミングで、リンクチャネル確立要求のメッセージを基地局CSに対して送信するように、対基地局無線部30を制御し、ステップ2cに移行する。
【0023】
なお、上記リンクチャネル確立要求のメッセージにおいて、このメッセージ中の情報要素の1つである「RT・MMプロトコルバージョン」の正しいデータとして「バージョン8」を予約しておき、実際は、この「RT・MMプロトコルバージョン」のデータに、あえて「バージョン7」をセットして送ることにより、基地局CSからバージョン不一致によるリンクチャネルの割り当てを拒否するメッセージを受信するようにしている。
【0024】
すなわち、上記リンクチャネル確立要求のメッセージで故意にバージョンの異なる情報要素を送信することにより、そのメッセージに対しバージョン不一致によるリンクチャネルの割り当てを拒否するメッセージが応答されるか否かをステップ2dで判定して、これにより、通信が適正に行われているか否かを確認している。
【0025】
ステップ2cでは、時刻tを「0」に設定して、タイマを起動(起動済みの場合は再起動)し、ステップ2dに移行する。
ステップ2dでは、対基地局無線部30を制御して、基地局CSから応答として、リンチャネルの割り当てを拒否するメッセージを受信したか否かを判定する。ここで、上記メッセージを受信した場合には、ステップ2fに移行し、一方、上記メッセージを受信しなかった場合には、ステップ2eに移行する。
【0026】
ステップ2eでは、タイマの時刻tが、予め設定した時刻Tを経過したか否かを判定する。ここで、時刻Tを経過した場合には、ステップ2gに移行し、一方、時刻Tを経過していない場合には、ステップ2dに移行する。
【0027】
ステップ2fでは、現時点のカウント値nの値を応答値記憶エリア200bに記録し、ステップ2gに移行する。
ステップ2gでは、カウント値nに「1」を加算し、ステップ2hに移行する。
【0028】
ステップ2hでは、カウント値nがNよりも大きくなったか否かを判定する。ここで、カウント値nがNよりも大きくなった場合には、ステップ2iに移行し、一方、カウント値nがN以下の場合には、ステップ2bに移行する。
【0029】
ステップ2iでは、応答値記憶エリア200bに記録されるnの値に基づいて、基地局CSに対する送信タイミングを決定し、これに基づき受信タイミングも決定して当該処理を終了する。
【0030】
なお、ステップ2iにおいて、送信タイミングを決定する具体な方法の例としては、応答値記憶エリア200bに記録されるnの最大値と最小値を平均化した値na(小数点以下切り捨て)に対応する遅延データDnaが示す遅延量を送信タイミングの遅延量とする。
【0031】
次に、上述したような処理にしたがって、送信タイミングの遅延量を求める際のシーケンスについて説明する。図3は、このシーケンスの一例を示す図で、以下、この図に従って説明する。
【0032】
まず、レピータ基地局RSの起動直後や、所定の周期が到来すると、遅延データ記憶エリア200aから遅延データDを読み出し(S1)、このデータが示す遅延量に対応する送信タイミングで、リンクチャネル(LCH)確立要求のメッセージを基地局CSに対して送信し、タイマを起動する(S2)。
【0033】
その後、基地局CSからの応答を待機するが、基地局CSから応答がなく、タイマの時刻tがTを経過してタイムアップすると(S3)、カウント値nに「1」を加算してnを「2」にカウントアップして、遅延データ記憶エリア200aから遅延データDを読み出す(S4)。
【0034】
そして、このデータが示す遅延量に対応する送信タイミングで、リンクチャネル確立要求のメッセージを基地局CSに対して送信し、タイマを起動する(S5)。
【0035】
その後、基地局CSからの応答を待機して、タイムアップする前に基地局CSから、リンクチャネルの割り当てを拒否する応答があると(S6)、現時点のカウント値「n=2」を応答値記憶エリア200bに記録する(S7)。
【0036】
以後、カウント値nに「1」を加算して(S8)上記の動作を繰り返し、カウント値nがNよりも大きくなると(S9)、これまでに応答値記憶エリア200bに記録した値のうち、最小の値と最大の値の中間値naに対応する遅延データDnaが示す遅延量を求め(S10)、以後、この遅延量に基づくタイミングで基地局CSと通信する。
【0037】
以上のように、上記構成のレピータ基地局RSでは、基地局CSに対する送信タイミングを可変して、基地局CSが応答する送信タイミングの遅延量を求め、この求めた遅延量を平均化して適正な送受信タイミングを求めて、基地局CSと通信するようにしている。
【0038】
したがって、上記構成のレピータ基地局RSによれば、基地局CSとの距離を求めたり、それに対応する遅延量を人の手により入力しなくても、適正な送受信タイミングで基地局CSと通信することができる。
【0039】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、ステップ2iにおいて、送信タイミングを決定する具体な方法の例として、応答値記憶エリア200bに記録されるnの最大値と最小値を平均化した値naに対応する遅延データDnaが示す遅延量を送信タイミングの遅延量とした。
【0040】
これに代わって例えば、応答値記憶エリア200bに記録される、すべてのnを加算して平均化した値nAに対応する遅延データDnAが示す遅延量を送信タイミングの遅延量とするようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、適正な送受信タイミングの検出は、起動直後や予め決められた時間(例えば、所定の周期)が到来すると行われるものとしたが、これに代わって例えば、レピータ基地局RSに、キースイッチなどの入力手段や、パーソナルコンピュータなどの制御端末を接続するインターフェイスを設けて、これらを通じた要求や、基地局CSを通じた無線通信による要求に応じて、適正な送受信タイミングを再検出するようにしてもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、基地局に対する送信タイミングを可変して、基地局が応答する送信タイミングを求め、この求めたタイミングを平均化して適正な送受信タイミングを求めて、基地局と通信するようにしている。
【0043】
したがって、この発明によれば、基地局との距離を求めたり、それに対応する遅延量を人の手により入力しなくても、適正な送受信タイミングで基地局と通信することが可能なレピータ装置および通信タイミング制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるレピータ装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示したレピータ装置の基地局との送受信タイミングを求める処理を説明するためのフローチャート。
【図3】図1に示したレピータ装置の基地局との送受信タイミングを求める動作を説明するためのシーケンス図。
【符号の説明】
10…アンテナ
20…対移動局無線部
30…対基地局無線部
40…アンテナ
100…制御部
200…記憶部
200a…遅延データ記憶エリア
200b…応答値記憶エリア
CS…基地局
PS…移動局
RS…レピータ基地局

Claims (10)

  1. ネットワークに接続可能な基地局と移動局とを無線通信により中継接続するレピータ装置において、
    前記基地局と無線通信する通信手段と、
    この通信手段を制御して、前記基地局に対して複数の異なるタイミングで、リンクチャネルの確立ができる正しいバージョンと異なるバージョンの情報要素をセットしたリンクチャネル確立要求のメッセージを送信する送信制御手段と、
    前記複数の異なるタイミングのうち、前記送信制御手段によるメッセージ送信に対して前記基地局がリンクチャネル割り当て要求に対するメッセージを応答するタイミングを求めるタイミング検出手段と、
    このタイミング検出手段にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定するタイミング決定手段とを具備することを特徴とするレピータ装置。
  2. 前記タイミング決定手段は、タイミング検出手段にて検出したタイミングのうち、遅延時間が最小な値と最大な値に基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載のレピータ装置。
  3. 前記タイミング決定手段は、タイミング検出手段にて検出したタイミングのうち、遅延時間が最小な値と最大な値とを平均化した結果に基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項2に記載のレピータ装置。
  4. 前記タイミング決定手段は、予め設定された時間になった場合に、前記タイミング検出手段にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレピータ装置。
  5. 前記タイミング決定手段は、外部から要求があった場合に、前記タイミング検出手段にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレピータ装置。
  6. ネットワークに接続可能な基地局と移動局とを無線通信により中継接続するレピータ装置の通信タイミング制御方法であって、
    前記基地局との通信手段を制御して、前記基地局に対して複数の異なるタイミングで、リンクチャネルの確立ができる正しいバージョンと異なるバージョンの情報要素をセットしたリンクチャネル確立要求のメッセージを送信する送信制御工程と、
    前記複数の異なるタイミングのうち、前記送信制御工程によるメッセージ送信に対して前記基地局がリンクチャネル割り当て要求に対するメッセージを応答するタイミングを求めるタイミング検出工程と、
    このタイミング検出工程にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定するタイミング決定工程とを具備することを特徴とする通信タイミング制御方法。
  7. 前記タイミング決定工程は、タイミング検出工程にて検出したタイミングのうち、遅延時間が最小な値と最大な値に基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項6に記載の通信タイミング制御方法。
  8. 前記タイミング決定工程は、タイミング検出工程にて検出したタイミングのうち、遅延時間が最小な値と最大な値とを平均化した結果に基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項7に記載の通信タイミング制御方法。
  9. 前記タイミング決定工程は、予め設定された時間になった場合に、前記タイミング検出工程にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の通信タイミング制御方法。
  10. 前記タイミング決定工程は、外部から要求があった場合に、前記タイミング検出工程にて検出したタイミングに基づいて、前記通信手段の送受信タイミングを決定することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の通信タイミング制御方法。
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