JP4671201B2 - 保護膜製造方法、無機膜製造方法 - Google Patents

保護膜製造方法、無機膜製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、保護膜製造方法、無機膜製造方法、特に少なくとも一層の酸化無機膜を含む保護膜または無機膜を製造する保護膜製造方法に関する。
有機EL素子は、基板上に、電極及び電極間に少なくとも発光層を備えた有機固体層を備え、両側の電極から有機固体層中の発光層に電子と正孔を注入し、有機発光層で発光を起こさせる素子であり、高輝度発光が可能である。また有機化合物の発光を利用しているため発光色の選択範囲が広いなどの特徴を有し、光源や有機EL表示装置などとして期待されている。特に有機EL表示装置は、一般に、広視野、高コントラスト、高速応答性および視認性に優れ、薄型・軽量で、低消費電力のフラットパネルディスプレイなどとして期待されている。
有機EL表示装置は、少なくとも陽極、有機発光層、陰極を備える有機EL素子からなる画素と前記有機EL素子を点灯・制御する素子、例えばトランジスタが備えられることが通常である。有機EL表示装置の駆動方式には、マトリクス状に配置した有機EL素子を、互いに直交したストライプ状の走査電極およびデータ電極(信号電極)により外部から駆動するパッシブマトリクス方式と、画素ごとに薄膜トランジスタ(以下、TFTともいう)からなるスイッチング素子と駆動素子とメモリ素子を備え、有機EL素子を点灯させるアクティブマトリクス方式とがある。
有機EL表示装置では、一般に、画素数の増大に伴い、パッシブマトリックス方式に比べ、TFT(Thin Film Transistors)により有機EL素子が駆動されるアクティブマトリクス方式のほうが優位とされている。これは、パッシブマトリクス方式は、走査電極が選択された期間のみ各画素の有機EL素子が点灯するため、画素数が多くなるに従い、有機EL素子の点灯期間が短くなって平均輝度が低下する傾向にあるのに対し、アクティブマトリクス方式は、画素ごとにTFTからなるスイッチング素子とメモリ素子を備えているため有機EL素子の点灯状態が保持され、高輝度、高効率で長寿命の動作が可能であり、ディスプレイの高精細化や大型化に有利である傾向にあるなどの理由による。ここで、TFTに有機TFTを使用することにより、コスト削減、環境負荷の軽減につながる可能性がある。また、有機TFTは低いプロセス温度で作製することができるため、フィルム基板上にも作製可能であり、フレキシブルなディスプレイの実現が期待されている。
ところで、有機EL素子、有機TFTは、空気中の水分や酸素などによる浸食を受けやすく、これらの存在下では、ダークスポットが生じたり、素子が短絡する等の劣化が起こる場合がある。このような劣化を防ぐためには、素子を空気中の水分や酸素などによる浸食から保護する手段が必要であり、現在、素子全体を乾燥窒素や、アルゴンガスなどの雰囲気中でカバーガラスや缶パッケージなどで封止する手法が用いられている。
しかし、このようなガラス、缶などを用いた封止方法は製造コストが高く、また素子の薄型化に限界がある場合がある。そこで、ガラスや缶パッケージなどを用いず、有機ELEL素子、有機TFTなどの素子を防湿機能が備えられた保護膜で覆う構造が下記特許文献1に示されるように提案されている。
有機EL素子、有機TFTなどの素子に限られず、水分や酸素などの外部からの素子にダメージを与える因子から素子を保護する保護膜は構成する膜として無機膜を含んで構成されていることが通常である。
特開2003−255857号公報
しかしながら、無機膜はピンホールが部分的に生じ緻密性が十分でない場合がある。このように部分的にピンホールが生じ、緻密性が十分でない場合、この無機膜に生じたピンホールを通じて水分や酸素などが外部から素子表面へ侵入し、素子にダメージを与えてしまう場合がある。さらには保護膜中に有機膜を含む場合には有機膜で発生したアウトガスなども無機膜に生じたピンホールを通じて素子表面へ侵入し、素子にダメージを与えてしまう場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、無機膜の緻密性をより十分とできる保護膜の保護膜製造方法または無機膜製造方法の提供を主な目的とする。
請求項1に記載の発明は、素子を保護し、少なくとも一層の酸化無機膜を含む保護膜を製造する保護膜製造方法であって、完全に酸化していない酸化前無機膜を形成する酸化前無機膜形成工程と、前記酸化前無機膜を酸化させて前記酸化無機膜とする無機膜酸化工程と、を含むことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、少なくとも一層の酸化無機膜を含む無機膜を製造する無機膜製造方法であって、完全に酸化していない酸化前無機膜を形成する酸化前無機膜形成工程と、前記酸化前無機膜の少なくともその一部を酸化させて、前記酸化無機膜とする無機膜酸化工程と、を含むことを特徴とする。
本実施形態における有機EL表示装置の模式的な断面図である。 本実施形態における有機EL表示装置の有機EL素子付近の模式的な拡大図である。 本実施形態における有機EL表示装置の有機TFT付近の模式的な拡大図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。 本実施形態における保護膜の製造方法の模式的な説明図である。
符号の説明
10 基板
16 有機固体層
18 陰極
20 保護膜
50 有機TFT
100 有機EL素子
P 有機EL表示装置
「緻密性向上の検討」
本発明者は、無機膜に生じたピンホールを通じて水分、酸素、アウトガスなどの素子へダメージを与える成分が素子へ至ることを防止すべく検討を行った。その結果、驚くべきことに完全に酸化していない酸化前無機膜を形成した後、この酸化前無機膜を酸化させるとピンホールを埋め込むように酸化膜が生成し、ピンホールの幅を減少させ、時にはピンホールを完全に塞ぐ現象を見いだした。
そしてこの現象を応用して完全に酸化していない酸化前無機膜を形成した後、この酸化前無機膜を酸化させて保護膜を製造した結果、ピンホールの数、ピンホールの幅が減少したことでダメージ成分がピンホールを通じて素子へ至ることを防止することができることを見いだし、素子の信頼性の向上などに貢献できることも見いだすに至った。
また、本発明者は緻密性が向上することで有用となる無機膜一般においても完全に酸化していない酸化前無機膜を形成した後、この酸化前無機膜を酸化させるとピンホールを埋め込むように酸化膜が生成し、この酸化膜は酸化前無機膜と比較して体積量が増大するため(酸化成長)、ピンホールの幅を減少させ、時にはピンホールを完全に塞ぐ現象を見いだした。
なお本願において「酸化」とは、狭義の酸素による酸化のみではなく、金属に対しての酸化数の増大で示される広義の酸化を意味する。したがって、酸化には酸素による狭義の酸化のみならず、窒化、硫化など金属の酸化数を増大させるという広義の意味である。
さらに、本発明者はピンホールが酸化させる無機膜自体になく、隣接した無機膜に存在していたとしても、酸化させる無機膜が酸化によって隣接した無機膜のピンホールを埋め込むように酸化成長し、ピンホールの数、ピンホールの幅を減少させ、時にはピンホールを完全に塞ぐ現象も見いだした。
「有機EL表示装置」
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態については、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
図1には本実施形態に係る有機EL表示装置Pの概略断面図が示される。有機EL表示装置Pは、フィルム基板10と、基板10上に形成されたバリア膜12と、バリア膜12上に形成された有機EL素子100および有機TFT50と、有機TFT50を覆い、有機EL素子100および有機TFT50を外部からの浸食から保護する封止膜20とを有する。バリア膜12、封止膜20はいずれも保護膜である。
<基板>
基板10は、その構成する材料は適宜選択して用いればよい。例えば、樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレートポリエステル、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体等として様々な基板を用いることができる。また、樹脂を主成分とする基板ではなく、ガラス基板や、ガラスとプラスティックの貼り合せ基板、金属板であってもよく、また基板表面にアルカリバリア膜や、ガスバリア膜がコートされていてもよい。また、これら透明基板に反対側から光を射出するトップエミッション型である場合などには、基板10は必ずしも透明でなくともよい。
<バリア膜>
バリア膜12は本実施形態に限っては有機膜と無機膜を併用しているが無機膜のみであってもよい。バリア膜12を形成する場合には、材料は適宜選択して用いることができる。バリア膜12は保護膜の一つである。
バリア膜12は、多層構造であってもよく単層構造であってもよく、無機膜であってもよく、有機膜であってもよいが無機膜が含まれていると水分や酸素などによる浸食からのバリア性が向上するので好適である。
無機膜としては、例えば、窒化膜、酸化膜又は炭素膜又はシリコン膜等が採用可能であり、より具体的には、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、又はダイヤモンド状カーボン(DLC)膜、アモルファスカーボン膜などが挙げられる。すなわち、SiN、AlN、GaN等の窒化物、SiO、Al、Ta、ZnO、GeO等の酸化物、SiON等の酸化窒化物、SiCN等の炭化窒化物、金属フッ素化合物、金属膜、等があげられる。ここでアモルファスシリコン膜を用いると好適である。
有機膜としては、例えば、フラン膜、ピロール膜、チオフェン膜或いは、ポリパラキシレン膜エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリパラキシレン、フッ素系工分子(パーフルオロオレフィン、パーフルオロエーテル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン等)、金属アルコキシド(CHOM、COM等)、ポリイミド前駆体、ペリレン系化合物などの重合膜等があげられる。
バリア膜12は、2種類以上の物質からなる積層構造、無機保護膜、シランカップリング層、樹脂封止膜からなる積層構造、無機材料からなるバリア層、有機材料からなるカバー層からなる積層構造、Si−CXHY等の金属または半導体と有機物との化合物、無機物からなる積層構造、無機膜と有機膜を交互に積層した構造、Si層上にSiOまたはSiを積層した構造等の積層構造としたものなどが挙げられる。
<有機EL素子>
図2には有機EL表示装置Pの有機EL素子100付近の拡大図が示される。有機EL素子100は、バリア膜12側から陽極14/有機固体層16/陰極18とから積層されて構成されている。
陽極14は、正孔を注入しやすいエネルギレベルを持つ層を用いればよく、ITO(Indium tin oxide:酸化インジウム錫膜)などの透明電極を用いることができるが、有機EL表示装置がトップエミッション型である場合には透明電極でなくとも一般的な電極を用いればよい。
ITOなどの透明導電性材料を例えば150nmの厚さにスパッタリングなどによって形成する。ITOに限らず、代わりに酸化亜鉛(ZnO)膜、IZO(酸化インジウム亜鉛合金)、金、よう化銅等を採用することもできる。
有機固体層16は、陽極14側から正孔注入層162/正孔輸送層164/発光層166/電子輸送層167/電子注入層168とから構成されている。
正孔注入層162は、陽極14と正孔輸送層164との間に設けられ、陽極14からの正孔の注入を促進させる層である。正孔注入層162により、有機EL素子100の駆動電圧は低電圧化することができる。また、正孔注入を安定化し素子を長寿命化するなどの役割を担ったり、陽極14の表面に形成された突起などの凹凸面を被覆し素子欠陥を減少させる、などの役割を担う場合もある。
正孔注入層162の材質については、そのイオン化エネルギが陽極14の仕事関数と正孔輸送層164のイオン化エネルギの間になるように適宜選択すればよい。例えば、トリフェニルアミン4量体(TPTE)、銅フタロシアニンなどを用いることができる。
正孔輸送層164は、正孔注入層162と発光層166の間に設けられ、正孔の輸送を促進させる層であり、正孔を発光層166まで適切に輸送する働きを持つ。
正孔輸送層164の材質については、そのイオン化エネルギが正孔注入層162と発光層166の間になるように適宜選択すればよい。例えば、TPD(トリフェニルアミン誘導体)、NPB(N,N−di(naphthalene−1−yl)−N,N−diphenyl−benzidene)を採用することができる。
発光層166は、輸送された正孔と同じく輸送された後述の電子とを再結合させ、蛍光発光または燐光発光させる層のことである。発光層166は上記発光態様に対応できる性質を満たすものになるようにその材料を適宜選択すればよい。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)や、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq)、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)3(Phen))、ジトルイルビニルビフェニル(DTVBi)、ポリ(p−フェニレンビニレン)や、ポリアルキルチオフェンのようなπ共役高分子などを用いることができる。例えば緑色に発光させたければアルミキノリノール錯体(Alq)を用いることができる。
電子輸送層167は、電子注入層168と発光層166との間に設けられ、発光層166まで電子を輸送する働きを持つ。電子輸送層167は、例えば、アルミキノリノール錯体(Alq)などを用いることができる。
電子注入層168は、電子輸送層167と陰極18との間に設けられ陰極18からの電子の注入を促進する機能を有する。
電子輸送層168の材質については、陰極18の仕事関数と発光層166の電子親和力の間になるように適宜選択すればよい。例えば、電子輸送層168はLiF(フッ化リチウム)、LiO(酸化リチウム)などの薄膜(例えば0.5nm)などが採用できる。
これら有機固体層16を構成する各層は通常、有機物からなり、更に、低分子の有機物からなる場合、高分子の有機物からなる場合がある。有機固体層16を形成する方法としては、例えば、低分子の有機物からなる有機固体層は一般に蒸着法等のドライプロセス(真空プロセス)によって、高分子の有機物からなる有機固体層は一般にスピンコート法、ブレードコート法、ディップ法、スプレー法そして印刷法等のウエットプロセスによって、それぞれ形成するなどすることができる。
有機固体層16を構成する各層に用いる有機材料として、例えば高分子材料として、PEDOT、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアルキルフェニレン、ポリアセチレン誘導体、などが挙げられる。
なお、本実施形態において、有機固体層16は、正孔注入層162、正孔輸送層164、発光層166、電子輸送層167、電子注入層168から構成されるものを挙げたがこの構成に限定されることはなく、少なくとも発光層166を含んで構成されていればよい。
例えば、採用する有機材料等の特性に応じて、発光層の単層構造等の他、正孔輸送層/発光層、発光層/電子輸送層等の2層構造、正孔輸送層/発光層/電子輸送層の3層構造や、更に電荷(正孔、電子)注入層などを備える多層構造などから構成することができる。
さらに有機固体層16には発光層166と電子輸送層168の間に正孔ブロック層を設けてもよい。正孔は発光層166を通り抜け、陰極18へ到達する可能性がある。例えば、電子輸送層168にAlq等を用いている場合、電子輸送層に正孔が流れ込むことでこのAlqが発光したり、正孔を発光層に閉じこめることができずに発光効率が低下する可能性がある。そこで、正孔ブロック層を設け、発光層166から電子輸送層168に正孔が流れ出てしまうことを防止してもよい。
陰極18は、有機固体層16への電子注入を良好にするため、仕事関数又は電子親和力の小さな材料を選定すればよい。例えば、Mg:Ag合金、Al:Li合金などの合金型(混合金属)等を好適に用いることができる。陰極18は、AlやMg、Agなどの金属材料を例えば150nmの厚さに真空蒸着などで形成することができる。
<有機トランジスタ(有機TFT)>
図3には、有機EL表示装置Pの有機TFT50付近の拡大図が示される。有機TFT50は、バリア膜12側からバリア膜12上に形成されたゲート電極52と、ゲート電極52の表面を覆うように形成されたゲート絶縁膜54とを有している。
ゲート絶縁膜54上には有機半導体層56、左端縁側にソース電極58、右端縁側にドレイン電極60が形成されている。ここで、ドレイン電極60は、有機EL素子100の陽極14に電気的に接続される。すなわち、有機TFT50は、ソース電極58及びドレイン電極60は、互いに分離して設けられ、ソース電極58とドレイン電極60の間に有機半導体層56を介在させ、ゲート絶縁膜54を介してソース電極58、ドレイン電極60、有機半導体層56と対向されて配置されたゲート電極52を有する構造である。
ゲート電極52は、ゲート電極材料としては陽極酸化可能な金属であれば良く、Al、Mg、Ti、Nb、Zr等の単体もしくはそれらの合金を用いることができるがこれに限定されない。ゲート電極としては、十分な導電性があればよく、例えば、Pt、Au、W、Ru、Ir、Al、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、Ln、Sn、Ta、Re、Os、Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の金属単体もしくは積層もしくはその化合物でも良い。また、ITO、IZOのような金属酸化物類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類などの共役性高分子化合物を含む有機導電材料でもよい。
ゲート電極52の製造方法は、基板10上に、ゲート電極52の配線パターンを形成する一般的な方法であればよい。スパッタリング法やCVD法等があげられるが、特に限定されることはなく、適宜適切なものを用いればよい。例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、ゾルゲル法、スピンコート法、スプレー法、CVD等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。
ゲート絶縁膜54は、好適には、ゲート電極52の材料として用いた材料の表面を陽極酸化してゲート絶縁膜54としても良い。これに限られず、無機材料、有機材料のいずれの絶縁物も使用できる。また、金属酸化物に限られず、FeS、Al、MgS、ZnSなどの硫化物、LiF、MgF、SmFなどのフッ化物、HgCl、FeCl、CrClなどの塩化物、AgBr、CuBr、MnBr2などの臭化物、PbI、CuI、FeIなどのヨウ化物、またはSiAlONなどの金属酸化窒化物であってもよく特に限定されない。また、金属や金属化合物に限られず、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコールなどポリマー系材料などの有機材料を用いてもよい。
ゲート絶縁膜54の形成方法は、特に限定されるものではなく適宜適切なものを用いればよいが。例えばスパッタリング法やCVD法等があげられるが、真空蒸着、イオンプレーティング、ゾルゲル法、スピンコート法、スプレー法、CVD等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。有機膜であればスピンコート法、印刷方式による方法、蒸着法などで形成してもよい。
ソース電極58および/またはドレイン電極60は、十分な導電性があれば適用でき、特に限定されることはないが、例えば、Pt、Au、W、Ru、Ir、Al、Sc、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Rh、Pd、Ag、Cd、Ln、Sn、Ta、Re、Os、Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の金属単体もしくは積層もしくはその化合物、あるいは、ITO、IZOのような金属酸化物類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類などの共役性高分子化合物を含む有機導電材料などを用いることができる。
ソース電極58、ドレイン電極60は一般的な方法により製造すればよい。スパッタリング法やCVD法等があげられるが、特に限定されることはなく、適宜適切なものを用いればよい。例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、ゾルゲル法、スプレー法、スピンコート法、CVD、リフトオフ、等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。
有機半導体56としては、ペンタセンなど半導体特性を示す有機材料であれば良く、特に限定されないが、例えば、フタロシアニン系誘導体、ナフタロシアニン系誘導体、アゾ化合物系誘導体、ペリレン系誘導体、インジゴ系誘導体、キナクリドン系誘導体、アントラキノン類などの多環キノン系誘導体、シアニン系誘導体、フラーレン類誘導体、あるいはインドール、カルバゾール、オキサゾール、インオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサアジアゾール、ピラゾリン、チアチアゾール、トリアゾールなどの含窒素環式化合物誘導体、ヒドラジン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、スチルベン類、アントラキノンジフェノキノン等のキノン化合物誘導体、アントラセン、ビレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物誘導体などでその構造がポリエチレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖等の高分子の主鎖中に用いられた物あるいは側鎖としてペンダント状に結合したもの、もしくはポリパラフェニレン等の芳香族系共役性高分子、ポリアセチレン等の脂肪族系共役性高分子、ポリピノールやポリチオフェン率の複素環式共役性高分子、ポリアニリン類やポリフェニレンサルファイド等の含ヘテロ原子共役性高分子、ポリ(フェニレンビニレン)やポリ(アニーレンビニレン)やポリ(チェニレンビニレン)等の共役性高分子の構成単位が交互に結合した構造を有する複合型共役系高分子等の炭素系共役高分子が用いられる。また、ポリシラン類やジシラニレンアリレンポリマー類、(ジシラニレン)エテニレンポリマー類、(ジシラニレン)エチニレンポリマー類のようなジシラニレン炭素系共役性ポリマー構造などのオリゴシラン類と炭素系共役性構造が交互に連鎖した高分子類などが用いられる。他にもリン系、窒素系等の無機元素からなる高分子鎖でも良く、さらにフタロシアナートポリシロキサンのような高分子鎖の芳香族系配位子が配位した高分子類、ペリレンテトラカルボン酸のようなペリレン類を熱処理して縮環させた高分子類、ポリアクリロニトリルなどのシアノ基を有するポリエチレン誘導体を熱処理して得られるラダー型高分子類、さらにペロブスカイト類に有機化合物がインターカレートした複合材料を用いてもよい。
有機半導体56の形成方法としては、蒸着法等があげられるが、特に限定されることはなく、適宜適切なものを用いればよい。例えばイオンプレーティング、ゾルゲル法、スプレー法、スピンコート法等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。
本実施形態では、有機TFT50を有機EL素子100の駆動素子として用いたがこれに限られることなく、別のトランジスタを用いることも可能である。さらにはパッシブ方式などの場合にはトランジスタを用いなくてもよい場合もある。
<封止膜>
封止膜20は本実施形態に限っては有機膜と無機膜を併用しているが無機膜のみであってもよい。封止膜は保護膜の一つである。
無機膜としては、例えば、窒化膜、酸化膜又は炭素膜又はシリコン膜等が採用可能であり、より具体的には、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、又はダイヤモンド状カーボン(DLC)膜、アモルファスカーボン膜などが挙げられる。すなわち、SiN、AlN、GaN等の窒化物、SiO、Al、Ta、ZnO、GeO等の酸化物、SiON等の酸化窒化物、SiCN等の炭化窒化物、金属フッ素化合物、金属膜、等があげられる。ここでアモルファスシリコン膜を用いると好適である。
有機膜としては、例えば、フラン膜、ピロール膜、チオフェン膜或いは、ポリパラキシレン膜エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリパラキシレン、フッ素系工分子(パーフルオロオレフィン、パーフルオロエーテル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン等)、金属アルコキシド(CHOM、COM等)、ポリイミド前駆体、ペリレン系化合物などの重合膜等があげられる。
封止膜20は、2種類以上の物質からなる積層構造、無機保護膜、シランカップリング層、樹脂封止膜からなる積層構造、無機材料からなるバリア層、有機材料からなるカバー層からなる積層構造、Si−CXHY等の金属または半導体と有機物との化合物、無機物からなる積層構造、無機膜と有機膜を交互に積層した構造、Si層上にSiO2またはSi3N4を積層した構造等の積層構造としたものなどが挙げられる。
バリア膜12、封止膜20は、その構成される有機膜が無機膜に形成されたピンホールや表面凹凸を埋め、表面を平坦化させる。また、無機膜の膜応力を緩和させたりする役割を担う場合もある。
封止膜20の製造方法は、スパッタリング法やCVD法等があげられるが、特に限定されることはなく、適宜適切なものを用いればよい。例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、ゾルゲル法、スプレー法、スピンコート法、CVD等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。
有機EL表示装置Pにおける有機EL素子100、有機TFT50の各層の製造方法は、例えば、印刷方式としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート、キャストコート、ロールコート、エアーナイフコート、メイヤーバーコート、押し出しコート、オフセット、紫外線硬化オフセット、フレキソ、孔版、シルク、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の各種印刷方式が適用できる。下層を乾燥被膜としてから、その上にコートを行う他、下層とその上層とをウェット状態で2層重ねてから乾燥させることもできる。
<有機EL表示装置の発光態様>
上述の有機EL表示装置Pの発光態様について説明する。
ゲート電極52とソース電極58の間に電圧が印加されると、有機半導体56とゲート絶縁膜54との界面(数nm程度の領域)に正孔が生成する。正孔が生成後、ソース電極58とドレイン電極60間に電圧をかけると正孔を輸送させることができる。一方で、ゲート電極52とソース電極58の間に電圧が印加されないと正孔は輸送されない。このように非導通状態(スイッチがオフの状態)と導通状態(スイッチがオン状態)を利用して、スイッチングを行うことができる。
ソース電極58からホール(正孔)がゲート絶縁膜54を通じて、ドレイン電極60へ供給される。ドレイン電極60を通じて正孔は、有機EL素子100の陽極14へ伝えられる。
有機EL素子100において、陽極14から正孔が有機固体層16中の正孔注入層162へと輸送される。輸送された正孔は、正孔輸送層164へと注入される。正孔輸送層164へ注入された正孔は、発光層166へと輸送される。
また、有機EL素子100において、陰極18から電子が有機固体層16中の電子注入168へと輸送される。輸送された電子は、電子輸送層167へと注入される。輸送され
た電子は、発光層166へと輸送される。
輸送された正孔および電子は、発光層166中で再結合する。再結合の際、発せられるエネルギにより、ELによる発光が発生する。この発光は、順に正孔輸送層164、正孔注入層162、陽極14、バリア膜12、基板10を通じて外部へと導出され、その発光を視認することができる。
陰極18にAlが用いられている場合などは、陰極層18と電子輸送層168との界面が反射面となり、この界面で反射され、陽極14側へと進み、基板10を透過して外部へと射出される。したがって、以上のような構成の有機EL素子をディスプレイなどに採用した場合、基板10側が表示の観察面となる。
例えば、有機EL表示装置で、フルカラーディスプレイを実現しようとする場合、例えば、RGB各色を発光する有機EL素子を塗り分けにより製造する方式(塗り分け法)、白色発光の単色発光の有機EL素子とカラーフィルタを組み合わせた方式(カラーフィルタ法)、青色発光若しくは白色発光等の単色発光の有機EL素子と色変換層とを組み合わせた方式(色変換法)、単色の有機EL素子であって、有機発光層に電磁波を照射する等して複数発光を実現する方式(フォトブリーチング方式)などが挙げられるが特に限定されない。
「保護膜製造方法」
本実施形態では保護膜の製造方法として、図4〜10で示されるバリア膜12の製造方法を例示して説明する。
まず、図4のように基板10上に無機膜120を形成させる。
無機膜を形成させる方法は、スパッタリング法やCVD法等があげられるが、特に限定されることはなく、適宜適切なものを用いればよい。例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、ゾルゲル法、スプレー法、CVD等の一般的な薄膜作成方法にても可能である。
次に、図5のように無機膜120を形成した後、無機膜120上に既酸化無機膜122を形成する。既酸化無機膜は、完全に酸化していてもよいが不十分な酸化状態であってもよい。不十分な酸化状態であっても後述の酸化処理等によって事後的に酸化させることもできる。既酸化無機膜122には複数の極小のピンホール30がある。なお、ピンホールには様々な態様のものがあるが、図面では縦型貫通型の構造のピンホールで説明している。
次に無機膜120を酸化させる。酸化させる無機膜は完全に酸化していないものであれば適宜選択してもちいることができる。すなわち、これ以上酸化しないという完全な酸化無機膜以外を用いることができ、不完全に酸化している無機膜であってもよい。
酸化させる無機膜としてはシリコン系膜、特にアモルファスシリコン膜が好適であるが、酸化させる無機膜(本実施形態においては無機膜120)とピンホールを埋める対象膜(本実施形態においては無機膜122)との材質との関係などに基づいて好適な無機膜が適宜選択される。無機膜120をアモルファスシリコン膜とし、無機膜122をSiN、SiO、SiON、SiCN等のシリコン系非酸化無機膜(特に好適にはSiO、SiN、SiON)を用いるとシリコンという材質の共通性などがあり、好適である。
酸化の方法は、特に限られるものではないが、ピンホールの幅の縮小、ピンホール数の減少ができればよく適宜選択してもちいることができる。例えば加熱酸化、陽極酸化法などの電気的酸化、プラズマ酸化法(狭義のプラズマ酸化法、プラズマ窒化法を含む)、プラズマ陽極酸化などのプラズマ酸化法、ウェット陽極酸化法などを用いることができる。
特に電気的酸化法やプラズマ酸化法を用いると、プラズマのエネルギや電気的エネルギに補助されて無機膜を低温で酸化させることができるので好適である。このように低温で酸化させることができれば基板や素子が加熱されることを防止することができ、より熱によるダメージを低減することができるなどの利点がある。
酸化条件は、当業者であればそれぞれの酸化法について適宜選択して条件を決めることができる。例えばプラズマ酸化法によって、無機膜120としてアモルファスシリコン膜を用いた場合を例示する。プラズマとしてECRプラズマを用いた場合には、酸素/アルゴン:200/20sccm、圧力:約10mTorr、アノード電流:300mA、RF:100W、温度を常温から400℃以下、好ましくは200℃以下の条件下でRF放電により酸素プラズマを生成して無機膜120たるアモルファスシリコン膜を酸化する。
プラズマ酸化法は、上述のようにECRプラズマを用いてもよいが、これに限られることなく適宜選択して用いることができる。例えば、高密度プラズマたる表面波プラズマ、MMTプラズマなどを用いる方法であってもよく、例えば、プラズマ酸化と陽極酸化を組み合わせたプラズマ陽極酸化法などを用いてもよい。
無機膜120のように完全に酸化していない無機膜を酸化させる時期については、膜を形成した後であれば特に限られることがなく適宜選択して適切な時期を選定することができる。好適にはピンホールを埋める対象膜となる既酸化無機膜(本実施形態においては無機膜122)を酸化させる無機膜(本実施形態においては無機膜120)表面に隣接して形成させた後で酸化させると好適である。
このように無機膜122を形成した後に無機膜120を酸化させると、無機膜122に生じているピンホール30を無機膜122が酸化して成長することで、無機膜120自体に生じたピンホールに加えて無機膜120が酸化して成長することで、無機膜122のピンホール30を埋め込むように隣接した無機膜122のピンホール30の幅を縮小させることができる。そして時にはピンホール30が完全に塞がれてピンホール数を減少させることができる。
本実施形態では一例としてプラズマ酸化法を用いている。プラズマ酸化法では、無機膜122上からプラズマ酸化を行うことで無機膜122のピンホール30を通じて、酸化させる因子(酸素プラズマ等)がその下層の無機膜120のピンホール30の対応表面へと至り、無機膜122のピンホール30に対応する無機膜120表面を酸化させ、図6のAで示されるように無機膜120を酸化して成長させることができる。無機膜120の酸化成長Aによって無機膜122のピンホールを埋め込むように隣接した無機膜122のピンホールの幅を縮小させることができる。そして、時にはピンホールが完全に塞がれてピンホール数を減少させることができる。
なお、上述のように既酸化無機膜(本実施形態においては無機膜122)を併用すると好適であるがこれに限られず酸化させる無機膜(本実施形態においては無機膜120)のみ単独あるいはこれと他の無機膜、有機膜を用いる組み合わせの構成としてもよい。
次に図7で示されるように無機膜122上に有機膜124を形成させる。
有機膜の形成方法は、メタンやエチレンといった有機モノマーを含むガスを原材料に、プラズマを利用して分解重合させることで形成する有機膜気相成長法であるプラズマ重合法で形成したり、紫外線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂などをスピンコート法などで塗布して、塗布後に硬化させて固体膜化するなどの方法をとることもできるが、これらに限定されず適宜適当な方法を用いることができる。本実施形態では、有機膜として樹脂膜を用いている。この樹脂膜を設けることで無機膜のピンホールや無機膜表面の平滑化、無機膜の膜応力の緩和などを図ることができる。
スピンコート法などで塗布するには、有機層材料を、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラリン、キシレン、アニソール、ジクロロメタン、γブチロラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ジオキサンまたは、THF (テトラヒドロフラン)、PGME(propyleneglycol monomethyl ether)、PGMEA(propyleneglycol monomethyl ether acetate)、乳酸エチル、DMAc(N.N−dimethylacetamide)、MEK(methyl ethyl ketone)、MIBK(methyl isobutyl ketone)、IPA(iso propyl alcohol)、エタノール等の溶媒から選ばれた1種または複数種、に前駆体を溶解し、スピンコートするなどの方法が採用できる。また、無溶媒のコートであればこれら溶媒を採用しなくてもよいことは言うまでもない。なお、有機膜は応力緩和、ピンホールの穴埋めの効果などで好適であるが、無機膜のみであって用いなくともよい。
次に図8で示されるように有機膜124上に完全に酸化していない無機膜126を形成させる。無機膜126を形成させる前に有機膜124の表面処理を行ってもよい。
次に図9で示されるように無機膜126が形成された後、無機膜120に対する無機膜122の形成と同様にしてその表面に無機膜128を形成させる。無機膜128を形成後、その下層の無機膜126を酸化させ、図10で示されるように図6などで説明した無機膜122の酸化処理と同様にして無機膜128のピンホールの穴埋めを行い、ピンホールの幅を縮小させる。時にはピンホールが完全に塞がれてピンホール数を減少させる。無機膜128の形成により基板10上のバリア膜12は形成される。また、同様にして封止膜20も形成できる。
本実施形態では。無機膜が緻密性が十分でない場合であって、部分的にピンホールが生じても、事後的に無機膜の緻密性を向上できるので無機膜に生じたピンホールを通じて水分や酸素などが外部から素子表面へ侵入し、素子にダメージを与えてしまうことを防止できる。この防止は、ピンホールの様々な態様(例えば、図示した縦方向貫通型や斜め方向貫通型)に限られることなく効果を得ることができる。
上記実施形態では、説明の便宜上バリア膜12について説明したがこれに限られることなく保護膜一般さらには無機膜一般に適用することができる。勿論上記実施形態における封止膜20に用いてもよく、これに限られることなく、有機太陽電池やディスプレイに用いる素子一般を保護する保護膜の製造方法として用いることができる。ディスプレイは、有機EL表示装置のみに限られず、半導体レーザ、ディスプレイ一般、例えば、液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、電子ペーパー、トナーディスプレイなどあってもよく、素子はこれらに含まれるトランジスタ一般(例えばCNT−FETなど)、ダイオード、キャパシタ、化合物半導体などの回路素子一般などを含むものである。
本実施形態では保護膜を例示したが素子などを構成する無機膜として無機膜一般に使用することもできる。例えば上記有機TFT50のゲート絶縁膜54として、さらにシリコンMOSFETなどのゲート絶縁膜として用いることもできる。シリコンMOSFETでは、ゲート絶縁膜の薄層化によりピンホールなどのシリコン膜の緻密性が不十分であるためゲートリーク電流が生じてしまう傾向にある場合があるが、本無機膜製造方法によってピンホールを埋め込み、緻密性を向上させることで、ゲートリーク電流の漏洩をより好適に防止することができる。

Claims (8)

  1. 素子を保護し、少なくとも一層の酸化無機膜を含む保護膜を製造する保護膜製造方法であって、
    完全に酸化していない酸化前無機膜を形成する酸化前無機膜形成工程と、
    前記酸化前無機膜に隣接して、これとは独立した有機膜又は無機膜を形成する工程と、
    前記無機膜又は有機膜に存在するピンホールを通じて前記酸化前無機膜の対応表面を酸化させて前記酸化無機膜とするとともに、前記ピンホールを当該酸化無機膜で埋める酸化前無機膜酸化工程と、を含む保護膜製造方法。
  2. 請求項1に記載の保護膜製造方法であって、
    前記無機膜として予め酸化された既酸化無機膜を用いる保護膜製造方法。
  3. 請求項2に記載の保護膜製造方法であって、
    前記既酸化無機膜がシリコン系無機膜である保護膜製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の保護膜製造方法であって、
    前記無機膜酸化工程は、前記保護膜の素子側または前記素子の反対側の表層に前記酸化無機膜を形成する保護膜製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の保護膜製造方法であって、
    前記酸化前無機膜がシリコン系無機膜である保護膜製造方法。
  6. 請求項5に記載の保護膜製造方法であって、
    前記シリコン系無機膜がアモルファスシリコンである保護膜製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の保護膜製造方法であって、
    前記素子が有機EL素子と有機トランジスタのうち少なくとも一方である保護膜製造方法。
  8. 少なくとも一層の酸化無機膜を含む無機膜を製造する無機膜製造方法であって、
    完全に酸化していない酸化前無機膜を形成する酸化前無機膜形成工程と、
    前記酸化前無機膜に隣接して、これとは独立した無機膜又は有機膜を形成する工程と、
    前記無機膜又は有機膜のピンホールを通じて前記酸化前無機膜の対応表面を酸化させて前記酸化無機膜とするとともに、前記ピンホールを当該酸化無機膜で埋める無機膜酸化工程と、を含む無機膜製造方法。
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