以下に添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施の形態について詳述する。
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る携帯診療装置用収納ホルダは、例えばカプセル型内視鏡診療システム中で携帯診療装置としての受信機を被験者の身体に保持する受信機ホルダへの適用例を示す。
図1は、本実施の形態1に係る受信機ホルダを含むカプセル型内視鏡診療システムの全体構成例を示す図であり、図2は、アンテナユニットと受信機とを示す斜視図である。カプセル型内視鏡診療システム1は、主に、カプセル型内視鏡2と、被験者3の身体表面の所定部位に接着等により直接装着されるループアンテナ構造の検知装置4と、この検知装置4にケーブル5で電気的に接続され検知結果を記録する携帯診療装置としての受信機6と、被験者3の身体、例えば中腹部に装着されて受信機6を被験者3の身体に保持するための携帯診療装置用収納ホルダとしての受信機ホルダ7と、被験者3の体外に設けられた体外ユニット8とによって構成されている。
カプセル型内視鏡2のカプセル11は、被験者3が飲み込み可能であり、図示しない撮像装置、照明装置、信号処理装置、送信装置及び電源等が内蔵されている。このカプセル型内視鏡2は、被験者3が飲み込むことにより体腔内に導入され、体腔内管路を移動している間、LED等の照明装置により照明された撮像部位をCCD、CMOS等の撮像装置で撮像して体腔内の画像を取得し、その画像データを信号処理装置で所定の信号に変換し、送信装置によって検知装置4に向けて無線で送信する。
また、検知装置4は、カプセル型内視鏡2内の送信装置から無線により送信出力される画像データの信号を所定の電気的変位量として検知する受信用アンテナであり、複数、例えば8つのループアンテナ12a〜12hにより構成されている。各ループアンテナ12a〜12hは、被験者3の例えば腹部側において左右の脇腹、みぞおち付近、左右の第7肋骨、左右の下腹部等の所定部位に直接貼り付けて配置される。
これらのループアンテナ12a〜12hから延出される8本のケーブル5は、シールド性が良好な例えば同軸線で構成されている。これらのケーブル5の長さ寸法は、対応するループアンテナ12a〜12hの体表への配置位置毎にあらかじめ決められている。また、これらのケーブル5は、図2に示すように、途中から8本が同一平面上に整列するように複数の結束部材13によりまとめられ、最終的に、受信機6に電気的に接続するための矩形平面状のアンテナジャック部14内に引き込まれている。これらのケーブル5、ループアンテナ12a〜12h及びアンテナジャック部14によりアンテナユニット15が構成されている。
また、受信機6は、やや扁平の直方体形状からなり、図2に示すように、液晶表示部16、アンテナユニット用ベイ17、ビュアケーブル用コネクタ18、クレードルポートコネクタ19等を備えている。受信機6の内部には、ケーブル5を介して送信されてくる画像データを記録するためのCFメモリを含む回路部材が基板上に実装して設けられ、かつ、8〜10時間といった長時間の診療に対応し得る容量のバッテリパックが電池室に装填されている。このため、受信機6は比較的重量物として構成されている。アンテナユニット用ベイ17は、アンテナジャック部14が挿脱自在なコネクタ構造を有し、アンテナジャック部14を挿入した状態で受信機6の内部回路と検知装置4とが電気的に接続される構成である。20はアンテナジャック部14を取り外すためのイジェクトボタンである。
ビュアケーブル用コネクタ18は、受信機6の片側側面の下端側に設けられており、ビュアケーブル21の一方のコネクタ21aをこのビュアケーブル用コネクタ18に装着し他方のコネクタ21bをビュア22に装着することで、受信機6に記録される診療中の画像をビュア22によって随時確認できる構成とされている。
受信機ホルダ7は、ループアンテナ12a〜12hがケーブル5により電気的に接続された状態の受信機6を被験者3の身体、例えば左腰部位に保持して携行を可能とするものであるが、詳細については後述する。
さらに、体外ユニット8は、例えば病院内に設置されたワークステーション23を主とするものであり、表示装置24、印刷装置25、キーボード26等を備える他、受信機6内のCFメモリに記録された画像データをワークステーション23に一括して取り込むためのクレードル27やUSBケーブル等によるクレードルケーブル28を備えている。ワークステーション23は、クレードル27に受信機6が差し込まれ、クレードルポートコネクタ19を介して接続状態になると、受信機6内のCFメモリに記録された画像データを全てワークステーション23に一括して取り込む。
次に、受信機ホルダ7について説明する。図3は、本実施の形態1の受信機ホルダの構成要素を示す斜視図であり、図4は、受信機ホルダの装着状態の一例を被験者を省略して示す斜視図であり、図5は、受信機ホルダを展開して示す正面図であり、図6は、フラップ開放状態で受信機ホルダを展開して示す背面図であり、図7は、受信機ホルダの装着状態の一例を示す背面図であり、図8は、受信機ホルダの一部の構成を示す斜視図である。本実施の形態1の受信機ホルダ7は、主に、腹ベルト31とポーチ41とサスペンダ61とにより構成されている。
腹ベルト31は、ポーチ41を被験者3の身体、例えば中腹部に着脱自在に装着させる腹部装着部材を実現するもので、本実施の形態1では、例えばナイロン生地を主体とした布製ベルトで、周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形成されている。ここで、この腹ベルト31は、例えば成人男性の標準腹囲に対応し得る基本長さ、例えば90cm程度に形成され、一端内側に縫合された雄テープ部32aと他端外側に縫合された雌テープ部32bとからなる着脱自在な面ファスナ構造を有し、被験者3の腹部を巻回し両端をオーバーラップさせて閉じることにより閉ループのベルトを形成するものである。また、雌テープ部32b側は幅狭状態でさらにベルト中央部付近まで延出され、所望の位置で雄テープ部32aを接合させることにより、腹囲の細い子供や女性であっても腹囲に応じて長さ調整自在に装着できる構造とされている。さらに、標準腹囲を超える被験者3に対応するために、例えば40〜50cm程度の長さの延長ベルト33も用意されている。この延長ベルト33は、雄テープ部32aと接合する雌テープ部33bと雌テープ部32bと接合する雄テープ部33aとを有する。
ここで、腹ベルト31は、ポーチ41に連結される中央部分にポーチ41幅相当の長さのゴムバンド34(図8参照)を備えている。また、腹ベルト31は、被験者3が装着した場合に、屈伸動作等があっても違和感なく安定した装着状態を確保できるように、一般のベルトに比べて比較的幅広、例えば6cm幅のベルト構成とされている。この腹ベルト31のゴムバンド34に接合される中央寄り部分は、被験者3においてポーチ41装着部位での安定感が増すようにさらに連続的に幅広となる形状とされている。
また、ポーチ41は、受信機6を挿脱自在に収納する収納容器を実現するもので、ナイロン生地を主体として受信機6が丁度入る大きさ、形状に形成された布製の縦長小袋である。より詳細には、ポーチ41は、平面的な裏布部42と収納部を形成する立体的な形状の表布部43との左右周縁部及び下端周縁部をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形成されている。そして、ポーチ41は、受信機6を挿脱したりケーブル5を導出したりするための開口44を上部側に有するが、受信機6の長さに合わせた長さの裏布部42に対して、表布部43の上部側を一層高く延出させることにより、本実施の形態1の開口44は、ポーチ41を被験者3の中腹部などに装着した状態では被験者3側に対向するように位置付けられて形成されている。
また、ポーチ41は、裏布部42とゴムバンド34とを縦方向に縫合することにより腹ベルト31に連結されている。ここで、ポーチ41は、裏布部42やゴムバンド34よりも内側に位置して装着状態で被験者3に直接接触することでポーチ41の背面部を構成する摩擦部材45を備えている。この摩擦部材45は、クッション性(弾力性)を有する当て布であり、裏布部42と同等の長さを有するとともにポーチ41の幅よりも広い幅を有することで、ポーチ41の装着部位において被験者3に対する接触面積が多くなるように形成されている。この摩擦部材45は、その周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形付けられているが、上縁部と下縁部とを裏布部42の上縁部と下縁部とにそれぞれ縫合させて筒状とし、筒状内部に腹ベルト31のゴムバンド34部分を通し、中央部を裏布部42、ゴムバンド34とともに縦方向に縫合することによりポーチ41や腹ベルト31に一体化されている。
より具体的に、摩擦部材45を構成する当て布の生地は、メッシュ状ポリエステル織物であり、例えば、東京シンコーレザー株式会社製のセルマ(THELMA…商品名)が用いられている。この素材は、肉厚を有して柔らかく食い込むクッション性(弾力性)に富み、被験者3の衣服に当接しながら湾曲して接触面積を増大させることにより、滑って容易にずれないレベルの摩擦力を確保することができる。
また、ポーチ41の上端側には、開口44を開閉する蓋部材としてのフラップ46が設けられている。このフラップ46は、開口44を形成する表布部43の頂部側の辺に一端が縫合され、この縫合部47がヒンジ対偶となる形で開口44を背面側に覆って開閉する構造とされている。フラップ46は、開口44の閉塞状態でヒンジ対偶(縫合部47)に平行な端辺、すなわち、先端が、ポーチ41の背面側外面において開口44よりも下方のポーチ生地と重畳する大きさを有する。本実施の形態1の場合には、フラップ46は、ポーチ41の背面部をなす摩擦部材45に対して上側から半分程度重畳する大きさを有する。この重畳範囲において、例えば、フラップ46の内面側に適宜大きさ・形状の雄テープ部48aを縫合し、摩擦部材45の外面側対応位置に雌テープ部48bを縫合することで、面ファスナ用いた着脱自在な接合構造48が構成されている。
ここで、フラップ46は、その周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形付けられているが、フラップ46を閉じた状態で被験者3の身体に接触する面、すなわち、外面側には、クッション性(弾力性)を有する摩擦部材49が全面的に設けられている。この摩擦部材49は、摩擦部材45と同一材質、例えば東京シンコーレザー株式会社製のセルマ(THELMA…商品名)で形成されている。
また、ポーチ41は、裏布部42と表布部43との左右両側縁部が開口44部分まで縫合されておらず、下端側から途中までの縫合とされ、開口44に連続する上端部分は、図8に示すように、拡開自在とされている。これにより、ポーチ41内への受信機6の収納時に開口44部分の大きさを拡大させることで、収納しやすくなる。この拡開部分には、それぞれ雄テープ部50aと雌テープ部50bとによる面ファスナ構造により開閉自在とされている。
さらに、ポーチ41は、収納された受信機6のビュアケーブル用コネクタ18に対応する位置にビュアケーブル21のコネクタ21a接続用の接続口51が左右両側にそれぞれ形成されている。ポーチ41の表面には、これらの接続口51を覆い隠すカバー部材52が設けられている。このカバー部材52もナイロン生地を主体としてその周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形成されている。このカバー部材52は、その両端をポーチ41に対して着脱自在としてもよいが、本実施の形態1では、ポーチ41に対して右側で縫合により一体化し、左側をテープ部53aと雌テープ部53bとによる面ファスナ構造により開閉自在とすることで、カバー部材52の紛失を防止している。さらに、カバー部材52は、その内面側にメッシュ構造のポケット54を有し、メモ55程度の小物を収納できる構造とされている。これにより、外出先での緊急時の連絡先等を記載したメモ55などの小物を容易に携行することができる。
ここで、接続口51をポーチ41の左右両側に設け、かつ、左側の接続口51を優先させる理由について説明する。カプセル型内視鏡2を飲み込み、胃、十二指腸に辿り着くまでは、医者がビュア22を見ながら被験者3の様子を追跡することが多い。この場合、身体右側に位置する十二指腸にカプセル型内視鏡2が辿りやすくするため、被験者3は右腰側を下にして横になる体位をとる。よって、ポーチ41が邪魔にならないように、ポーチ41は左腰に装着するのが基本となる。しかしながら、被験者3によっては、左腰にポーチ41を装着できない状況もあり得る。そこで、本実施の形態1では、ポーチ41を右腰等に装着する場合も想定し、受信機6に対するビュア接続を、ポーチ41の左右いずれからも可能とするために両側に接続口51を備える。ポーチ41を右腰部位に装着する場合には、受信機6の向きを変えてポーチ41内に収納させればよい。そして、左腰部への装着を基本とするため、左側を開閉自在として左側の接続口51を優先させるカバー部材52の取付け構造としている。
次に、サスペンダ61について説明する。サスペンダ61は、被験者3の肩に懸架されてポーチ41を被験者3の中腹部に装着させる懸架装着部材として装着部材を実現するもので、I型1本ベルト、I型2本ベルト、Y型ベルト、H型ベルト等の種類を問わないが、本実施の形態1では、I型1本ベルト構成のサスペンダ61とされている。これは、被験者3が通常の実生活上で受信機ホルダ7を身体に装着するものであり、服装によってはサスペンダが目立たないようにしたい要望や、女性の場合は胸部に2本のサスペンダが通ると不快感を受ける等の理由から、1本ベルト構成としている。このサスペンダ61は、ゴムによる伸縮性の付与された平紐であり、両端に腹ベルト31に対して任意位置で係脱自在なクリップ62a,62bを有し、かつ、途中には、長さ調整用のコキ63が介在されている。
これにより、サスペンダ61は、腹ベルト31に対する装着位置が自由であり、かつ、コキ63の調整により被験者3の体型に合わせた長さでの装着が可能であり、被験者3の好みなどにも応じて、種々の装着状態を採ることができる。また、サスペンダ61は必須ではないが、後述のように、腹ベルト31を緩めた状態でポーチ41に受信機6を収納する等の操作を行うため、腹ベルト31を緩めた状態でもポーチ41を身体に保持するためにはサスペンダ61を備える構成が好ましい。
図9−1〜図9−3は、サスペンダ61の装着例を数例挙げて示す説明図である。図9−1は、サスペンダ61を両肩(首周り)で折り返して両端を腹ベルト31の前側でクリップ62a,62bにより止める例を示している。図9−2は、右肩のみで身体の軸線に平行にサスペンダ61を掛ける例を示している。図9−3は、右肩から左脇にかけて身体を斜めにクロスする形でサスペンダ61を掛ける例を示している。
次に、本実施の形態1の受信機ホルダ7を被験者3が装着する手順について説明する。図10は、受信機ホルダ7の装着手順を順に示す図である。まず、図10(a)に示すように、各ループアンテナ12a〜12hを被験者3の体表における適切な個所に貼り付ける。この処理は医者により行われる。ついで、図10(b)に示すように、被験者3は着衣する。この時、アンテナジャック部14は、衣服の端から垂れ下がった待機状態とする。つづいて、サスペンダ61の両端のクリップ62a,62bを腹ベルト31の所望の位置に装着した上で、図10(c)に示すように、サスペンダ61を肩に掛けながら腹ベルト31を腹の周りに巻くが、この時点では、まだ両端の面ファスナ部分を閉じない。
次に、図10(d)に示すように、受信機6を取り上げ、受信機6のアンテナユニット用ベイ17にアンテナジャック部14を装着する。この時点で、受信機6の電源スイッチをオンにして電源ランプが正常に緑色点灯するかを確認する。引き続き、図10(e)に示すように、ポーチ41をやや前に倒しながらフラップ46を開け、開口44部分から受信機6をポーチ41内に収納する。
この時点で、一旦、カバー部材52を開け、ビュアケーブル21のコネクタ21aをビュアケーブル用コネクタ18に接続する。そして、カプセル型内視鏡2を起動させ、このカプセル型内視鏡2を胸のループアンテナ付近にかざすことで、受信機6の表示ランプが消灯状態から正常に緑色点滅状態に変化することを確認する一方、ビュア22に画像が写ることを確認する。確認後、被験者3は実際にカプセル11を飲み込み、このカプセル11が胃に達したことをビュア22で確認する。確認後、ビュアケーブル21を受信機6から外し、カバー部材52を閉じる。
確認作業を経た後、図10(f)に示すように、ポーチ41をやや前に倒しながら、開口44から背面側(身体側)に導出されたケーブル5を雄テープ部48aと雌テープ部48bとの接合構造48で挟むようにしてフラップ46を閉じる。さらに、腹ベルト31の両端の面ファスナ部分を所望の長さ位置で接合させて閉じることで、被験者3の中腹部に対して確実な装着状態を確保する。また、サスペンダ61の長さも適宜調整する。
この後、被験者3は、診療が終わるまでの8〜10時間の間、検知装置4及び受信機6を収納したポーチ41を身に着けたまま普段の生活をする。診療中は、被験者3が飲み込んだカプセル11から送信される電波を、被験者3の身体表面の8箇所に貼ったループアンテナ12a〜12hで捉え、捉えたデータをアンテナケーブル5経由で受信機6に送り、受信機6でCFメモリなどに記録する。また、診療中は、必要に応じて、カバー部材52を開け、ビュアケーブル21のコネクタ21aをビュアケーブル用コネクタ18に接続することにより、ビュア22により現在の画像データを確認することができる。カプセル型内視鏡2による測定が終わった時点で、被験者3が、アンテナユニット15を外した受信機6等を病院に提出すると、病院側では、受信機6をクレードル27に差し込み、クレードル27に繋がっているワークステーション23にUSBケーブル28経由で受信機6に記録されている測定データを全て取り込む。後は、医師などがワークステーション23の表示装置24などで動画として測定結果を観察する。
以上説明したように、本実施の形態1の受信機ホルダ7によれば、ポーチ41の開口44は、ポーチ41を被験者3に装着した状態で被験者3側に対向するように位置付けられているので、開口44から導出されるケーブル5は被験者3の身体側に方向付けられることとなる。よって、ポーチ41の背面側や腹ベルト31に隠れるようにケーブル5を導出させることができ、ポーチ41の外面に正対する方向から見た場合にケーブル5を見えなくすることができ、ケーブル5を外力から保護することができる。
また、本実施の形態1の受信機ホルダ7によれば、ポーチ41は、開口44を開閉自在に閉塞するフラップ46を備えているので、開口44から導出されるケーブル5を保護しやすくなる。特に、このフラップ46が上側のヒンジ対偶(縫合部47)で開口44に対してポーチ41の背面側に開閉自在とされているので、ケーブル5を開口44からポーチ背面部において下側に導出させることができ、ケーブル5をフラップ46で保護できる上に、その先のケーブル5を衣服等に収納するのに適したものとなる。この場合、開口44から背面側(身体側)に導出されたケーブル5を雄テープ部48aと雌テープ部48bとの面ファスナを用いた接合構造48で挟むので、導出されたケーブル5のがたつきを防止することができる。
ここで、接合構造48部分でのケーブル5の挟持構造について、図6、図11〜図13−2を参照して詳細に説明する。図11は、ポーチ41の背面部構成例を示す斜視図であり、図12は、ポーチ41部分の縦断側面図であり、図13−1は、図12のA−A線断面図であり、図13−2は図12のB−B線断面図である。本実施の形態1では、摩擦部材45は、その中央部を裏布部42、ゴムバンド34とともに縦方向に縫合することによりポーチ41や腹ベルト31に一体化されている。この縫合は、雌テープ部48b部分も含めて行われるが、縫合部分を縦1ライン分とせず、縦数ライン分とすることにより、摩擦部材45の中央部にはやや幅広な凹状の溝構造56が縦方向に形成されている。この溝構造56は、肉厚を有してクッション性(弾力性)に富む摩擦部材45を裏布部42に対して縫合により締め込んで凹ませることにより形成されるもので、その溝幅は、8本のケーブル5を束ねる結束部材13が嵌合し得る寸法とされている。
そして、ポーチ41内に受信機6を収納し、ケーブル5を開口44から背面側に導出する場合には、図11に示すように、最も受信機6寄りの結束部材13を雌テープ部48b中の溝構造56部分の上端寄りの位置に嵌合させるとともに8本のケーブル5も溝構造56内に嵌合させて、フラップ46を閉じ、雄テープ部48aを雌テープ部46bに接合させる。これにより、結束部材13及びケーブル5は、面ファスナを用いた接合構造48で挟まれるので、左右方向へのがたつきが防止される。同時に、矩形短冊状の結束部材13が面ファスナを用いた接合構造48で挟まれているので、ケーブル5の長手方向のずれも防止することができる。この結果、接合構造48による結束部材13の保持位置を適正に設定することにより、受信機6から導出されるケーブル5の根元部分の経路として、この根元部分から急激に背面部側に湾曲せずに、図11及び図12に示すように、根元部分から一旦上方に導出してから湾曲するように拘束することができる。これにより、繰り返し屈曲による金属疲労によって芯線が断線しやすいという性質を持つケーブル5の根元部分の劣化を防止することができる。特に、結束部材13及びケーブル5は、溝構造56内に嵌合した状態で面ファスナを用いた接合構造48で挟まれるので、図13−1や図13−2に示すように、結束部材13やケーブル5周りでの雄テープ部48aと雌テープ部46bとの接合性が良好となり、ずれ防止効果の大きいものとなる。
また、本実施の形態1の受信機ホルダ7によれば、ポーチ41周りの構成において、フラップ46は、被験者3の身体側となる背面側に位置するが、腰ベルト31等もポーチ41に対して背面側に設けられており、内周側は全体に渡ってフラットな構成となっており、フィット感のよい装着が可能となる。特に、ポーチ41付近では、腰ベルト31が連続的に一層幅広となる形状とされているので、一層のフィット感が得られる。また、ポーチ41付近では腹ベルト31に対してゴムバンド34が介在され、かつ、衣服に接するポーチ41の背面部にはポーチ41の高さと同等の長さでポーチ41の幅より幅広な摩擦部材45(フラップ46部分については摩擦部材49)が存在するので、腹ベルト31を腹部周りに装着した状態では、滑ってずれることもなく、かつ、腰部分に対して、集中荷重ではなく、等分布荷重となる面接触状態が得られる。よって、被験者3の日常的な動きに対して受信機6を収納したポーチ41が身体に馴染んでばたつかず、身体に密着したフィット感を維持することができる。
さらに、本実施の形態1の受信機ホルダ7によれば、受信機ホルダ7は、身体への装着状態において、フラップ46が腹ベルト31により締められており、腹ベルト31を緩めないとフラップ46を開けることができない。よって、受信機6を携行する診療中において不用意にフラップ46が開いて受信機31がポーチ41から落下したり露出したりすることがなく、受信機31の誤作動を防止することができる。また、被験者3による誤操作も防止することができる。
(変形例1)
図14は、変形例1の受信機ホルダを示す斜視図である。変形例1は、ポーチ41を形成する裏布部42の上端側を上方に延出させて高くし、ポーチ41の開口44から導出されるケーブル5の経路を拘束する拘束部材としての緩衝部材57を、高くした裏布部42の内面側上部に接着等により固定して設けたものである。緩衝部材57は、ポーチ41に収納された受信機6の上端背面側に位置する。すなわち、受信機6の上端から開口44を経てポーチ41の背面側に導出されるケーブル5の根元部分が屈曲する部位においてケーブル5の曲げ内側に包括される位置に配設され、ケーブル5の根元部の屈曲半径が大きくなるようにその経路を規制する。緩衝部材57は、例えば発泡ウレタン材よりなる単純矩形形状のものである。
変形例1は、ポーチ41に収納した受信機6からケーブル5をポーチ41の開口44から背面側に導出させる場合に、緩衝部材57上で湾曲するようにして導出させれば、ケーブル5は根元部分から急激に背面部側に湾曲せずに、根元部分から一旦上方に導出してから湾曲するように緩衝部材57によって拘束することができる。これにより、繰り返し屈曲による金属疲労によって芯線が断線しやすいという性質を持つケーブル5の根元部の急激な曲げによる劣化を防止することができる。
(変形例2)
図15は、変形例2の受信機ホルダの構成例を示す背面図であり、図16は、変形例2の受信機ホルダの構成例を示す正面図であり、図17は、変形例2の受信機ホルダの受信機収納時の構成例を示す背面図である。再利用タイプの実施の形態1、変形例1に対して、変形例2の受信機ホルダ71は、使い捨てタイプとして構成されている。院内感染防止等の観点から、他の患者(被験者)が使用した受信機ホルダは再利用せず、使い捨てにして欲しいという医療現場からの要求があるためである。
変形例2の受信機ホルダ71は、主に、ポーチ72と腹ベルト73と肩ベルト74とにより構成されている。これらのポーチ72、腹ベルト73及び肩ベルト74は、主に使い捨てに適した不織布により形成されている。収納容器としてのポーチ72は、図17に示すように、被験者3の身体への装着状態で被験者3側に対向するように位置付けられた開口75を上部側に有し、蓋部材としてのフラップ76により開閉自在に覆われている。フラップ76は、その上辺がポーチ72の開口75の頂部側の辺に縫合により一体化され、その縫合部77をヒンジ対偶としてポーチ背面側に開閉自在とされている。
また、ポーチ72は、正面から見て右上隅部に肩ベルト74の一端が縫合により結合される肩ベルト結合部78を有し、正面から見て左上隅部に肩ベルト74の他端側が挿通される肩ベルト用貫通孔79が形成されている。接合部位としての肩ベルト結合部78、肩ベルト用貫通孔79部分は、合成皮革80により補強されている。また、ポーチ72は、左右両側の中央部に腹ベルト73を通す腹ベルト用貫通孔81,82が形成され、接続部位としての腹ベルト用貫通孔81,82部分は合成皮革80により補強されている。なお、ポーチ72の周縁はナイロン製の縁テープとともに縫合されて形成されている。
腹部装着部材としての腹ベルト73は、不織布により形成された細長い帯状のもので、ポーチ72の背面側において腹ベルト用貫通孔82,81部分を通して導出され、一端に雌側バックル83aが取り付けられている。ここで、腹ベルト73はフラップ76のヒンジ対偶に平行な端辺である先端の内面側を通るように配設され、フラップ76の先端部内面に縫合により一体となるように連接されている。また、腹ベルト73の他端側は体格に依らず腹囲を十分に巻回し得るだけの全長を有して折り返されている。腹ベルト73の折り返し部には、雌側バックル83aに係脱自在な雄側バックル83bが設けられている。この雄側バックル83aはコキを兼用するもので、折り返し部脇で腹ベルト73が2枚重なり合う部分は、コキを掻い潜っており、長さ調整自在とされている。また、腹ベルト73の材質である不織布は、切断器具としてのはさみで切断容易な素材であり、長さ調整で余分となった部分を切断により切除することが可能である。
懸架装着部材としての肩ベルト74は、不織布により形成されて体格に依らず肩に懸架させるのに十分な長さを有する細長い帯状のもので、一端がポーチ72の肩ベルト結合部78に縫合により結合され、他端側は肩ベルト用貫通孔79を通した後、ベルトが2枚重なった部分がコキ84を掻い潜ることにより、コキ84により長さ調整自在とされている。また、肩ベルト74の材質である不織布は、切断器具としてのはさみで切断容易な素材であり、長さ調整で余分となった部分を切断により切除することが可能である。
さらに、診療の過程で、ビュア22で画像を観察する場合には、ビュア接続用ケーブル21のコネクタ21aを受信機6のビュアケーブル用コネクタ18に接続するが、ポーチ72の所定位置にはコネクタ21a接続用の接続口85が形成されている。接続口85部分も合成皮革80で補強されている。
次に、変形例2の受信機ホルダ71を被験者3が装着する手順について説明する。図18は、受信機ホルダ71の装着手順を順に示す図である。まず、図18(a)に示すように、各ループアンテナ12a〜12hを被験者3の体表における適切な個所に貼り付ける。この処理は医者により行われる。ついで、図18(b)に示すように、被験者3は着衣する。この時、アンテナジャック部14は、衣服の端から垂れ下がった待機状態とする。つづいて、図18(c)に示すように、肩ベルト74を肩に掛ける。この時点では、腰ベルト73の雄側バックル83bと雌側バックル83aとは係止させない状態とする。
次に、図18(d)に示すように、受信機6を取り上げ、受信機6のアンテナユニット用ベイ17にアンテナジャック部14を装着する。この時点で、受信機6の電源スイッチをオンにして電源ランプが正常に緑色点灯するかを確認する。引き続き、図18(e)に示すように、ポーチ72のフラップ76を開けるとフラップ76の先端に付随した腹ベルト73で囲まれた広い開口75が図17のように開くので、ここをくぐる形で受信機6をポーチ72内に収納する。ケーブル5は、フラップ76の先端とポーチ72の背面とに挟まれる部分を通るように開口75から導出する。
この時点で、ビュアケーブル21のコネクタ21aをビュアケーブル用コネクタ18に接続する。そして、カプセル型内視鏡2を起動させ、このカプセル型内視鏡2を胸のループアンテナ付近にかざすことで、受信機6の表示ランプが消灯状態から正常に緑色点滅状態に変化することを確認する一方、ビュア22に画像が写ることを確認する。確認後、被験者3は実際にカプセル11を飲み込み、このカプセル11が胃に達したことをビュア22で確認する。確認後、ビュアケーブル21を受信機6から外す。
確認作業を経た後、雄側バックル83bと雌側バックル83aとを係止させ、腹ベルト73を雄側バックル83bのコキ部分で引っ張ることにより被験者3の腹囲に合わせ、図18(f)に示すように、余分な部分をはさみ86で切除する。肩ベルト74側についても、長さを適宜再調整後、余分な部分をはさみ86で切除する。
以上説明したように、変形例2によれば、体格に依存しない十分な長さの腹ベルト73や肩ベルト74を用意しておき、使い捨て方式ならではの余分な分を切り捨てる簡単な方法によって被験者3の体格に合う装着状態を確保することができ、長さ調整機構を簡略化することができる。また、ポーチ72は廉価な不織布製であるが、腹ベルト73や肩ベルト74との接合部位は合成皮革80により補強されているので、安定した装着状態を維持することができる。
また、変形例2によれば、腹ベルト用貫通孔82,81部分を通す腹ベルト73が開口75を閉じるフラップ76の先端部で縫合により一体となるように連接されており、フラップ76側を身体に装着させて腹ベルト73を締めることによりフラップ76とポーチ72との間に導出されているケーブル5をポーチ72側(受信機6側)に強く押え付ける形となるとともに、ポーチ72自身を身体側に強く当てることができ、安定した装着状態を得ることができる。
(変形例3)
図19は、変形例3の受信機ホルダの構成例を示す斜視図であり、図20は、変形例3の受信機ホルダの受信機収納時の構成例を示す斜視図である。変形例3の受信機ホルダ71は、変形例2の受信機ホルダと同様であり、同一部分は同一符号を用いて示す。変形例3の受信機ホルダ71は、ポーチ72において腹ベルト73を通す腹ベルト用貫通孔82,81部分が符号82a,82b,81a,81bで示すように、ポーチ72の高さ方向に位置を変えて2段に形成されている。また、フラップ76の先端部は、折り返した上で縫合することにより筒状のスリーブ部87が腹ベルト73の挿通が自在に形成され、合成皮革80をあてがうことにより補強されている。よって、変形例3では、腹ベルト73はスリーブ部87に挿通させることによりフラップ76の先端部に連接されている。
腹ベルト73を通す個所として、腹ベルト用貫通孔82a,81a部分を通す場合と、腹ベルト用貫通孔82b,81b部分を通す場合とを適宜選択することにより、被験者3の体格、好みに応じた位置で中腹部に装着させることができる。ここで、腹ベルト73を通す個所が違っても、腹ベルト73はフラップ76の先端部に連接されているので、腹ベルト73を締めた際には変形例2の場合と同様に安定した装着状態を得ることができる。
(変形例4)
図21は、変形例4の受信機ホルダの構成例を示す背面図であり、図22は、変形例4の受信機ホルダの受信機収納時の構成例を示す背面図である。変形例4の受信機ホルダ91は、使い捨ての不織布製のポーチ92と使い捨ての不織布製のベルト93と使い捨ての丸紐94とにより構成されている。
収納容器としてのポーチ92は、周縁をナイロン製の縁テープととともに縫合することにより形成され、図22に示すように、被験者3の身体への装着状態で被験者3側に対向するように位置付けられた開口95を上部側に有し、蓋部材としてのフラップ96により開閉自在に覆われている。フラップ96は、その上辺がポーチ92の開口95の頂部側の辺に縫合により一体化され、その縫合部97をヒンジ対偶としてポーチ背面側に開閉自在とされている。フラップ96の先端側は、雄テープ98aと雌テープ98bとを有する面ファスナによる接合構造98によりポーチ92に対して係脱自在とされている。
装着部材は、ベルト93と丸紐94との組み合わせよりなる。ベルト93は被験者3の腰部から反対側の肩部を越える程度の長さのもので、一端は、背面側から見てポーチ92の左上端のベルト結合部99に縫合により一体となるよう結合されている。このベルト結合部99部位は合成皮革100により補強されている。ベルト93の他端は、合成皮革100により補強され、丸紐94の一端が抜け止め係止されている。丸紐94は、被験者3の体型に依らず、その腹囲などを十分に巻回し得るだけの全長を有している。
また、ポーチ92には、2箇所に紐貫通孔101,102が形成されている。紐貫通孔101は、フラップ96先端対応位置でポーチ92前面を横切り水平方向に延出させた合成皮革100による舌片103の先端に金具により形成されている。紐貫通孔102は、ポーチ92において紐貫通孔101とは逆側で、ベルト結合部99を頂点としてベルト結合部99と紐貫通孔101,102とが略三角形をなす位置に形成され、合成皮革100により補強されている。また、フラップ96の先端表面側には、舌片103に対応する位置で舌片103よりも水平方向に短く延出させた合成皮革100による舌片104が縫合により一体に設けられている。舌片104の先端と舌片104の対応位置とには雌ホック105aと雄ホック105bとが設けられ、舌片104,103間が係脱自在とされている。ここで、舌片103,104が巻回部材として機能する。
次に、変形例4の受信機ホルダ91の装着手順について説明する。図23は、被験者3の身体への装着状態を示す正面図であり、図24は、被験者3の身体への装着状態を示す側面図である。まず、ベルト93が身体背面を通り右肩に掛かるようにして紐貫通孔102を通した丸紐94を把持し、丸紐94を紐貫通孔102周りに仮止めする。この状態で、前述したように、フラップ96を開けて開口95から受信機6をポーチ92内に収納し、フラップ96を閉じる。引き続き、仮止めした丸紐94を解いて、今度は、丸紐94を腹から背中側を通して腹部周りに巻回して丸紐94を紐貫通孔101に通し、紐貫通孔101周りで丸紐94を結び、図24に示すように、余分な部分をはさみなどで切除する。
ここで、開口95から導出させるケーブル5は、基本的には、接合構造98部分を通るようにするが、図22に示すようにポーチ92の側面側を通るように導出した場合でも、雄ホック105bと雌ホック105aとを係止させることにより、導出されたケーブル5を舌片103,104により巻回してポーチ92側に包囲することができ、導出されるケーブル5の暴れを防止することができる。
また、変形例4では、装着部材をベルト93と丸紐94との組み合わせとしたが、全てを丸紐としてもよい。もっとも、ベルト93部分を含ませ、少なくとも肩部分はベルト93が掛かるようにすることで、受信機6を収納したポーチ92の重量を肩で平面的に受けることができる。また、装着部材の大半を丸紐94としているので、面圧が少なく、凸感のない装着が可能であり、目立たないため、特に女性向きとなる。
さらに、変形例4では、ポーチ92をベルト結合部99、紐貫通孔101,102による3点支持とし、ポーチ92自身の重心位置に対してポーチ92内に収納された受信機6の重心位置が上部側となるように設定され、ベルト結合部99部分をベルト93で上方に引っ張っているので、被験者3の身体に装着されて携行される受信機6(ポーチ92)のばたつきを防止し、身体に密着した装着状態を維持することができる。
(変形例5)
図25は、変形例5の受信機ホルダの構成例を示す斜視図であり、図26は、受信機ホルダのケーブル牽引状態を示す斜視図であり、図27は、受信機ホルダの縦断側面図である。実施の形態1で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。
変形例5の受信機ホルダ111のポーチ41は、被験者3の身体への装着状態で被験者3側に対向するように位置付けられた開口44を有するが、フラップ46を有しない構成とされている。また、ポーチ41の背面側に位置する裏布部42の上端には懸架装着部材としてのサスペンダ61の一端が縫合により一体に連接されている。このサスペンダ61には、ポーチ41に収納された受信機6の上端より上方位置に位置させて牽引部材としての吊り下げベルト112が縫合などにより取り付けられている。この吊り下げベルト112は、両端に雄テープ部113aと雌テープ部113bとによる係脱自在な面ファスナ構造を有し、雄テープ部113aと雌テープ部113bとを接合させることにより8本のケーブル5を束ね得る大きさのループ形状化が可能とされている。
このような構成において、受信機6をポーチ41内に収納した後、ケーブル5を開口44からポーチ背面側に導出する。ここで、導出されるケーブル5の根元部付近をサスペンダ61に設けられている吊り下げベルト112により巻回し雄テープ部113aと雌テープ部113bとを接合させることにより、ループ形状をなす吊り下げベルト112によりケーブル5の根元付近を牽引状態で保持する。これにより、ケーブル5は開口44から導出される経路がループ状の吊り下げベルト112部分を通るように拘束されて腹ベルト31の背面側に向かうこととなる。また、ケーブル5は引っ張り荷重に対しては耐久性の強いことを利用し、ケーブル5を吊り下げベルト112により牽引しているので、根元部分から急激に背面部側に湾曲せずに、根元部分から一旦上方に導出してから湾曲するように拘束でき、繰り返し屈曲による金属疲労によって芯線が断線しやすいという性質を持つケーブル5の根元部の急激な曲げによる劣化を防止することができる。
(実施の形態2)
図28は、実施の形態2の受信機ホルダの各部を開放させた構成例を示す斜視図であり、図29は、受信機ホルダのケーブル導出例を示す斜視図であり、図30は、受信機ホルダのフラップ閉塞状態を示す斜視図である。実施の形態1で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示す。
本実施の形態2の受信機ホルダ121は、ポーチ122の構成がポーチ41の場合と異なり、腹ベルト31やサスペンダ61は実施の形態1の場合と同じである。ポーチ122は、受信機6を挿脱自在に収納する収納容器を実現するもので、ナイロン生地を主体として受信機6が丁度入る大きさ、形状に形成された布製の縦長小袋である。より詳細には、ポーチ122は、平面的な裏布部123と収納部を形成する立体的な形状の表布部124との左右周縁部及び下端周縁部をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形成されている。そして、ポーチ122は、受信機6を挿脱したりケーブル5を導出したりするための開口125を上端部に有する。
また、ポーチ122は、裏布部123とゴムバンド34とを縦方向に縫合することにより腹ベルト31に連結されている。ここで、ポーチ122は、裏布部123やゴムバンド34よりも内側に位置して装着状態で被験者3に直接接触することでポーチ122の背面部を構成する摩擦部材126を備えている。この摩擦部材126は、クッション性(弾力性)を有する当て布であり、ポーチ122と同等の長さを有するとともにポーチ122の幅よりも広い幅を有することで、ポーチ122の装着部位において被験者3に対する接触面積が多くなるように形成されている。この摩擦部材126は、その周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより形付けられているが、上縁部と下縁部とを裏布部123の上縁部と下縁部とにそれぞれ縫合させて筒状とし、筒状内部に腹ベルト31のゴムバンド34部分を通し、中央部を裏布部123、ゴムバンド34とともに縦方向に縫合することによりポーチ122や腹ベルト31に一体化されている。
より具体的に、摩擦部材126を構成する当て布の生地は、メッシュ状ポリエステル織物であり、例えば、東京シンコーレザー株式会社製のセルマ(THELMA…商品名)が用いられている。この素材は、肉厚を有して柔らかく食い込むクッション性(弾力性)に富み、被験者3の衣服に当接しながら湾曲して接触面積を増大させることにより、滑って容易にずれないレベルの摩擦力を確保することができる。
また、ポーチ122の上端側には、開口125を開閉する蓋部材としてのフラップ127が設けられている。このフラップ127は、開口125を形成する裏布部123の頂部側にポーチ122と同等の幅で連続させて一体に形成され、ヒンジ対偶128部分を支点として開口125を前面側に覆って開閉する構造とされている。すなわち、実施の形態1のフラップ46が背面開放方式であるのに対して、実施の形態2のフラップ127は前面開放方式とされている。フラップ127は、開口125の閉塞状態で先端が、ポーチ122の前面側外面において開口125よりも下方のポーチ生地と重畳する大きさ・屈曲形状を有する。この重畳範囲において、例えば、表布部124の外面側の数箇所、例えば正面上部、左右両側上部に適宜大きさ・形状の雌テープ部129bを縫合し、フラップ127の内面側対応位置に雄テープ部129aを縫合することで、面ファスナ用いた係脱自在な接合構造129が構成されている。
ここで、フラップ127は、ポーチ122を身体に装着した状態で開口125からヒンジ対偶128の左脇又は右脇を通して背面側に導出されるケーブル5をポーチ122の前面側外面に正対する方向から見た正面投影上で覆い隠す大きさ・輪郭形状に形成されている。すなわち、フラップ127は、背面側のヒンジ対偶128部分の幅W1よりも表布部124側に対して重畳される正面側重畳部分の幅W2の方が広くなる形状とされている。つまり、フラップ127の正面投影上の幅W2は、ポーチ122の裏布部123部分の幅よりも広めとされている。
また、ポーチ127は、フラップ127の開放状態において、ポーチ上端部で開口125を左右方向に横断することで開口125を部分的に覆う押え部材としての押えバンド130を備えている。この押えバンド130は、一端がポーチ127の開口右側面に縫合により固定され、他端に設けた面ファスナの雄テープ部131aが雌テープ部129bに係脱自在とされている。
さらに、本実施の形態2の受信機ホルダ121は、巻回部材としての複数の補助ベルト132を備えている。補助ベルト132は、腹ベルト31の随所においてその一端が縫合により固定され、それぞれの自由端側に設けた面ファスナの雄テープ部133aが雌テープ部129bに係脱自在とされている。ここで、雄テープ部133aを雌テープ部129bに接合させて閉じた状態の補助ベルト132により形成されるループ構造は、8本のケーブル5を束ねるに適切な直径となるように設定されている。134は、ビュアケーブル21のコネクタ21a接続用の接続口である。
次に、本実施の形態2の受信機ホルダ121を被験者3が装着する手順1について説明する。図31は、受信機ホルダ121の装着手順を順に示す図である。この手順1は、被験者3がケーブル5を外側から覆う形で腹ベルト31を装着する場合の例として説明する。まず、図31(a)に示すように、各ループアンテナ12a〜12hを被験者3の体表における適切な個所に貼り付ける。この処理は医者により行われる。ついで、図31(b)に示すように、被験者3は着衣する。この時、アンテナジャック部14は、衣服の端から垂れ下がった待機状態とするが、次の腹ベルト31の装着に先立って、腹ベルト31の上に来る位置までアンテナジャック部14を持ち上げておく。つづいて、図31(c)に示すように、サスペンダ61を肩に掛けるとともに、腹ベルト31をケーブル5の上から中腹部に巻き着けて両端を閉じることにより装着する。腹ベルト31を装着した後、アンテナジャック部14を腹ベルト31の前側に垂れ下げる。
次に、図31(d)に示すようにアンテナベイ17の開いた状態の受信機6をポーチ122内に収納する。フラップ127は開けたままの状態とする。引き続き、図31(e)に示すように、ポーチ122内に収納されている受信機6のアンテナベイ17に対してアンテナジャック部14を装着する。ついで、図29及び図31(f)に示すように、ケーブル5をポーチ122の開口125からヒンジ対偶128の左脇又は右脇の都合のよい方を通して被験者3側に導出し、図30に示すように、フラップ127を閉じる。なお、フラップ127を閉じる前に押えバンド130を閉じておく。
以上説明したように、本実施の形態2の受信機ホルダ121によれば、受信機6を収納するポーチ122の上端開放の開口125を開閉するフラップ127が、受信機6を収納したポーチ122の開口125から被験者3側に導出されるケーブル5を正面投影上で覆い隠す形状を有するので、開口125から被験者3側に導出されたケーブル5が露出状態であってもフラップ127を閉じることで、ポーチ122の前面側外面に正対する方向から見た場合に、図30に示すように、フラップ127によってケーブル5を見えなくすることができ、ケーブル5を外力から保護することができ、かつ、外観品位を確保することができる。また、装着状態において腹ベルト31の前側にケーブル5が出ず、腹ベルト31により身体側に押えられるので、ケーブル5がばたつくこともない。
また、本実施の形態2の受信機ホルダ121によれば、前面開放のフラップ127を備える構成であるので、腹ベルト31を被験者3の腹囲に巻回して装着した状態で、ポーチ122内に受信機6を収納する操作を行うことができ、理解しやすい装着手順となる。さらに、ポーチ122の開口125を横断する押えバンド130を有するので、ポーチ122内に収納されている受信機6の上端を押えバンド130によって押えることができ、前面開放のフラップ127が不用意に開けられることがあっても受信機6が抜け出して落下するような事態を回避することができる。
また、本実施の形態2の受信機ホルダ121を被験者3が装着する手順2について説明する。図32は、受信機ホルダ121の装着手順を順に示す図である。手順2は、ケーブル5よりも内側に腹ベルト31が来るような形で腹ベルト31を装着する場合の例として説明する。まず、図32(a)に示すように、各ループアンテナ12a〜12hを被験者3の体表における適切な個所に貼り付ける。この処理は医者により行われる。ついで、図32(b)に示すように、被験者3は着衣する。この時、アンテナジャック部14は、衣服の端から垂れ下がった待機状態とする。つづいて、図32(c)に示すように、サスペンダ61を肩に掛けるとともに、腹ベルト31を中腹部に巻き着けて両端を閉じることにより装着する。
次に、図32(d)に示すようにアンテナベイ17の開いた状態の受信機6をポーチ122内に収納する。フラップ127は開けたままの状態とする。引き続き、図32(e)に示すように、ケーブル5が腹ベルト31の外側(前面側)を通る状態で、ポーチ122内に収納されている受信機6のアンテナベイ17に対してアンテナジャック部14を装着する。ついで、図33に示すように、ケーブル5をポーチ122の開口125から左側(又は、右側)に沿って導出し、ケーブル5が導出される側の補助ベルト132を閉じることでケーブル5を巻回してホルダ122の外面側に包囲し、図32(f)に示すように、フラップ127を閉じる。なお、フラップ127を閉じる前に押えバンド130を閉じておく。
ここで、本実施の形態2の受信機ホルダ121の装着手順としては、前述の手順1が推奨されるが、様々な被験者全員に手順1を流布することは困難であり、被験者によっては、腹ベルト31を先に締めてから、ケーブル5を腹ベルト31の外側に這わすという手順2を採ることがある。手順2のような不本意な手順で装着される場合であっても、開口125から導出されてポーチ122外に露出してしまうケーブル5の経路を補助ベルト132によってポーチ122外面に拘束することで、露出したケーブル5の暴れを防止して、ケーブル5に予想外の力が及ぶことを回避し、ケーブル5の寿命を長くすることができる。
(変形例6)
図33を参照して変形例6を説明する。図33は、変形例6のケーブル導出例を示す斜視図である。変形例6は、ポーチ122の開口125から左側又は右側に導出されるケーブル5の経路を拘束する拘束部材としての緩衝部材135を、ポーチ122の左右両側の内面上部に接着等により固定して設けたものである。緩衝部材135が固定される表布部124の上端側は上方に延出させて高くされている。緩衝部材135は、ポーチ122に収納された受信機6の上端左右に位置する。すなわち、受信機6の上端から開口125を経て手順2によってポーチ122の左側又は右側に導出されるケーブル5の根元部分が屈曲する部位においてケーブル5の曲げ内側に包括される位置に配設され、ケーブル5の根元部の屈曲半径が大きくなるようにその経路を規制する。緩衝部材135は、例えば発泡ウレタン材よりなる単純矩形形状のものである。
変形例6は、ポーチ122に収納した受信機6からケーブル5をポーチ122の開口125から左側又は右側に導出させる場合に、緩衝部材135上で湾曲するようにして導出させれば、ケーブル5は根元部分から急激に背面部側に湾曲せずに、根元部分から一旦上方に導出してから湾曲するように緩衝部材135によって拘束することができる。これにより、繰り返し屈曲による金属疲労によって芯線が断線しやすいという性質を持つケーブル5の根元部の急激な曲げによる劣化を防止することができる。
(変形例7)
図34は、変形例7の受信機ホルダの構成例を示す部分的な背面図である。実施の形態2では、ヒンジ対偶128部分の幅W1をポーチ幅相当とし、重畳部分の幅W2が広くなるような形状のフラップ127としたが、変形例7では、ポーチ122の外観形状に丁度重畳するような大きさ・屈曲形状のフラップ136とし、そのヒンジ対偶137部分の幅をくびれ形状により細くすることにより、正面投影上、相対的にW1<W2の関係を満たすようにしたものである。
(変形例8)
図35は、変形例8の受信機ホルダの構成例を示す斜視図であり、図36は、変形例8の受信機ホルダのフラップを閉じた状態を示す斜視図である。再利用タイプの実施の形態2に対して、変形例8の受信機ホルダ141は、使い捨てタイプとして構成されている。
変形例8の受信機ホルダ141は、主に、ポーチ142と腹用平紐143と肩用平紐144とにより構成されている。これらのポーチ142、腹用平紐143及び肩用平紐144は、主に使い捨てに適した不織布により形成されている。収納容器としてのポーチ142は、裏布部と表布部との両側及び下端の周縁をナイロン製の縁テープとともに縫合することにより容器状に形成され、図35に示すように、上端部に開口145を有し、蓋部材としてのフラップ146により前面方向に開閉自在に覆われている。フラップ146は、ポーチ142を形成する裏布部の上端側を上方に延出させることにより一体に形成されたもので、背面側に位置するヒンジ対偶147部分を支点して開口145を前面側に覆って開閉する構造である。
ここで、フラップ146は、開口145の閉塞状態で、先端側がポーチ142の前面側外面において開口145よりも下方のポーチ生地と重畳する大きさ・屈曲形状を有する。このフラップ146は、先端部に平紐構成のフラップ紐148が縫合され、ポーチ142の前面下部側に縫合されたフラップ紐149と結ぶことにより、フラップ146を閉塞状態に維持する。これらのフラップ紐148,149は巻回部材150を構成する。また、フラップ146は、ポーチ142を身体に装着した状態で開口145からヒンジ対偶147の左脇又は右脇を通して背面側に導出されるケーブル5をポーチ142の前面側外面に正対する方向から見た正面投影上で覆い隠す大きさ・輪郭形状に形成されている。すなわち、フラップ146は、背面側のヒンジ対偶147部分の幅W1よりも前面外面部側に対して重畳される正面側重畳部分の幅W2の方が広くなる形状とされている。つまり、フラップ146の正面投影上の幅W2は、ポーチ142の幅よりも広めとされている。
腹部装着部材としての腹用平紐143及び懸架装着部材としての肩用平紐144は、いずれも一端がポーチ142の左右両側の適宜位置に縫合により固定されたもので、被験者の体格の違いにかかわらず身体に巻回して装着するに十分な長さを有し、腹用平紐143同士、型用平紐144同士をそれぞれ結んで、余った部分をはさみで切除することにより長さ調整自在とされている。ポーチ142やフラップ146は、これらの腹用平紐143、肩用平紐144、フラップ紐148,149の縫合による結合部位が合成皮革151により補強されている。
次に、変形例8の受信機ホルダ141を被験者3が装着する手順について説明する。図37は、受信機ホルダ141の装着手順を順に示す図である。まず、図37(a)に示すように、各ループアンテナ12a〜12hを被験者3の体表における適切な個所に貼り付ける。この処理は医者により行われる。ついで、図37(b)に示すように、被験者3は着衣する。この時、アンテナジャック部14は、衣服の端から垂れ下がった待機状態とする。つづいて、図37(c)に示すように、腹用平紐143を腹囲に巻回して適当な長さ位置で結ぶととともに、肩用平紐144も肩に掛けて適当な長さ位置で結ぶ。
次に、図37(d)に示すようにアンテナベイ17の開いた状態の受信機6をポーチ142内に収納する。フラップ146は開けたままの状態とする。引き続き、図37(e)に示すように、ケーブル5が腹用平紐143の外側(前面側)を通る状態で、ポーチ142内に収納されている受信機6のアンテナベイ17に対してアンテナジャック部14を装着する。ついで、ケーブル5をポーチ142の開口145から左側(又は、右側)に沿って導出し、図37(f)に示すように、フラップ紐148,149同士を結ぶことによりフラップ146を閉じる。この時、図36に示すように、開口145から導出されてポーチ142外に露出してしまうケーブル5の経路をフラップ紐148,149によってポーチ122外面に拘束することで、露出したケーブル5の暴れを防止して、ケーブル5に予想外の力が及ぶことを回避し、ケーブル5の寿命を長くすることができる。そして、腹用平紐143や肩用平紐144の長さを再調整し、余った部分をはさみ152で切除する。
以上説明したように、変形例8によれば、体格に依存しない十分な長さの腹用平紐143や肩用平紐144を用意しておき、使い捨て方式ならではの余分な分を切り捨てる簡単な方法によって被験者3の体格に合う装着状態を確保することができ、長さ調整機構を簡略化することができる。また、ポーチ142は廉価な不織布製であるが、腹用平紐143や肩用平紐144との接合部位は合成皮革152により補強されているので、安定した装着状態を維持することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。