JP4667584B2 - コーナー加熱方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、コーナー加熱方法及びその装置に関し、更に詳細には、電磁誘導作用を利用して鉄などの角部を選択的に加熱する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の棒材あるいは線材などの製造方法として、断面が四角形、菱形などの角材をガス炉などで加熱したあと圧延して製造することは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記棒材あるいは線材などを製造する際に、ガス炉と圧延装置とを密着させて配置することができないので、加熱された角材が圧延されるまでの間に放熱し、特に角の部分が他の部分と比較して温度低下が著しくなるため加工性にムラが生じ、生産された棒材あるいは線材などの品質が低下するという問題がある。
【0004】
本発明は、鉄などの金属に交番磁束が作用すると、その部分のみが加熱されることに着目してなされたものであり、電磁誘導加熱手段により被加熱体の角の部分を選択的に加熱することのできるコーナー加熱方法及びその装置を提供することを目的としている。
【0005】
更に本発明は、ガス炉などから被加熱体を取り出した際に起こる角部の冷却を防止あるいは補償できるコーナー加熱装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のコーナー加熱方法は、断面が四角形、菱形などの角材からなる金属被加熱体の角部を選択的に加熱する電磁誘導加熱方法であって、前記角部のうち加熱しようとする一対の角部の対角方向を、対面する一対の磁極間に発生する電磁誘導加熱用磁束の方向と略直交する方向に向けて前記被加熱体を配置し、前記角部を加熱するものである。
【0007】
前記コイルを巻く鉄心部は磁極部分であってもよくその他の鉄心部分であってもよい。
【0008】
前記交差させる角度には特に限定はないが、直交的に交差させることが最も好ましい。但し直交的配置が困難な場合はこの限りでない。上記目的を達成するための本発明のコーナー加熱装置は、対面する一対の磁極の間に形成される磁力線を被加熱体に対し左右対称に形成されるように鉄心を配置し、該鉄心にソレノイド型コイルを巻き、前記磁極の間に電磁誘導加熱部を形成し、該加熱部に、断面が四角形、菱形などの角材からなる金属被加熱体を、該金属被加熱体の角部のうち加熱しようとする一対の角部の対角方向を、前記加熱部に生じる磁束の方向と略直交する方向に配置し、前記被加熱体の長手方向に移動させながら前記角部を選択的に加熱するものである。
【0009】
角材の角は4箇所あるが、一度に全部を加熱することはできない。そこで、全部の角を加熱するには、磁極の間に発生する磁束の方向が互いに交差するように2台のコーナー加熱装置を、前記角材の長手方向に並べて配置することによって角部全てを加熱することができる。
【0010】
また、本発明のコーナー加熱装置を加熱炉から繰り出される前記角部を加熱可能に配置することによって、加熱炉から取り出された角材の放熱による角部の温度低下を防止あるいは補償することができる。
【0011】
本発明は電磁誘導加熱手段を使用するものであるが、交番磁界発生方法、即ち鉄心の素材、鉄心の形状、鉄心の励磁条件などは、従来から使用される一般的電磁誘導加熱技術を適宜選択して利用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面を参照し、一実施の形態を示して本発明のコーナー加熱装置を具体的に説明する。
【0013】
図1,2に示す第1実施の形態のコーナー加熱装置1は、圧延により棒材あるいは線材を製造するためにガス炉(図示せず)から繰り出される角材の角部の冷却を補償する目的で実施したものであり、紙面に向かって左右対象に磁束が形成されるように、四角い枠の上下2辺のそれぞれの中央部から枠の中心に向かって鉄心2を伸びださせて磁極3,4を形成した。そして磁極3,4の鉄心2の部分に、内部に冷却水通路を有するソレノイド型コイル5を巻きつけ、且つ磁極3,4の間に角材からなる被加熱体6(図2、断面を示す斜線を省略する)を配置するための加熱部7を形成したものである。なお、鉄心2およびコイル5などと高温の被加熱体6との間は断熱材(図示せず)により熱を遮断する仕様とした。
【0014】
なお、第1実施の形態に使用した被加熱体6は、辺の長さがそれぞれ一辺150mmの軟鋼からなる角材である。被加熱体6はガス炉において1000〜1100℃に加熱され、炉から繰り出され(例えば1m/秒)たのち圧延機(図示せず)に装着されるまでの間(例えば約50秒間)、外気に曝されて放熱が起こる。この場合、角部C1,C2,C3,C4は、他の部分に対して放熱が大きく温度低下が著しくなり、この温度低下を補償するため本発明を適用したものである。
【0015】
第1実施の形態で使用した鉄心2は、電磁鋼板を積層して形成し、使用周波数3kHzの高周波電流により励磁した。これらの具体的条件は単なる例示のためのものであり、本発明はこれらに限定されない。
【0016】
磁極3,4の間に被加熱体6が存在しない状態では、加熱部7に生じる磁力線8はほぼ平行(図1)となる。この加熱部7に鉄からなる被加熱体6を図2に示すように配置すると、被加熱体6の表面近くでは磁力線8が表面に平行状となり、角部C1,C3では磁力線8が被加熱体6内を過るようにカーブするために角部C2,C4が集中的に加熱され、放熱によって失う熱を補充することができる。当然に面P,Qからも放熱されるが、この部分は放熱面積に対して熱量が多いため、角部ほどの温度低下はない。
【0017】
図3は図1に示す第2実施の形態は、第1実施の形態の応用例を示すものであって、2台のコーナー加熱装置1,10のそれぞれの磁極3,4が互いに直交状となるように配置してそれぞれの加熱部7,70を形成したものである。このようにすると、加熱部7で角部C1,C3を、また加熱部70で角部C2,C4の冷却を補償することができることは上記説明から容易に理解できよう。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のコーナー加熱方法及びその装置は、加熱しようとする前記角部の対角方向を、電磁誘導加熱用高周波磁束の方向と交差する方向に向けて金属被加熱体を配置し、前記角部を選択的に加熱するようにしたので、高周波磁束を作る磁極と被加熱体との間の距離をある程度大きく取っても角部を少ない電力で効率がよく加熱することができる。そのため、被加熱体を移動させて加熱する場合、極めて短時間で効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態によるコーナー加熱装置の概要を説明するための要部正面図である。
【図2】図1のコーナー加熱装置に被加熱体を配置したときに生じる磁力線の様子を示す拡大説明図である。
【図3】図1に示す第1実施の形態によるコーナー加熱装置を、磁界発生方向を直交状に2台配置し、角材からなる被加熱体の全角部の冷却を抑制するようにした応用例の要部のみ示した斜視図である。
【符号の説明】
1 加熱装置
2 鉄心
3 磁極
4 磁極
5 コイル
6 被加熱体
7 加熱部
8 磁力線
10 加熱部
C1 角部
C2 角部
C3 角部
C4 角部
Claims (4)
- 断面が四角形、菱形などの角材からなる金属被加熱体の角部を選択的に加熱する電磁誘導加熱方法であって、前記角部のうち加熱しようとする一対の角部の対角方向を、対面する一対の磁極間に発生する電磁誘導加熱用磁束の方向と略直交する方向に向けて前記被加熱体を配置し、前記角部を加熱するコーナー加熱方法。
- 対面する一対の磁極の間に形成される磁力線を被加熱体に対し左右対称に形成されるように鉄心を配置し、該鉄心にソレノイド型コイルを巻き、前記磁極の間に電磁誘導加熱部を形成し、該加熱部に、断面が四角形、菱形などの角材からなる金属被加熱体を、該金属被加熱体の角部のうち加熱しようとする一対の角部の対角方向を、前記加熱部に生じる磁束の方向と略直交する方向に配置し、前記被加熱体の長手方向に移動させながら前記角部を選択的に加熱するコーナー加熱装置。
- 磁極の間に発生する磁束の方向が互いに交差するように配置した2台の前記コーナー加熱装置を、前記角材の長手方向に並べて配置し、前記被加熱体の角部全てを加熱するようにした請求項2記載のコーナー加熱装置。
- 2台の前記コーナー加熱装置を、加熱炉から繰り出される前記角部を加熱可能に配置し、前記加熱炉によって熱せられた前記角材の放熱による前記交差方向の角部の温度低下を防止あるいは補償するようにした請求項2又は3記載のコーナー加熱装置。
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