JP4667578B2 - C型肝炎ウイルスの新規なctlエピトープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C型肝炎ウイルスの新規な CTLエピトープに関する。さらに詳しくは、本発明は、C型肝炎ウイルス由来の新規な HLA-A24 拘束性 CTLエピトープを構成するペプチド、当該ペプチドを有効成分とするC型肝炎の治療剤及び/又は予防剤、当該ペプチドに対するアンタゴニストを有効成分とするC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤、あるいは当該ペプチドを利用したC型肝炎治療剤及び/又は予防剤やC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
C型肝炎ウイルス感染症(C型肝炎)は特に日本をはじめアジアに多い感染症である。C型肝炎は、ウイルスが感染すると肝細胞障害がおこり、これが長年にわたり持続すると肝硬変、肝癌にいたる難治性の病気である。
近年、C型肝炎に対して、C型肝炎ウイルス(HCV)の排除及び肝機能改善を主体とした治療が進められているが、これに対する治療法は必ずしも十分であるとはいえない。
【0003】
HCVによる肝細胞障害には細胞障害性T細胞(CTL)が重要な役割を果たすことが指摘されており(Springer Semin. Immunopathol.,19,57-68(1997)、Springer Semin. Immunopathol.,19,69-83(1997))、これまでにもHCVタンパク内に存在するCTLエピトープが報告されている。これらエピトープに対する特異的CTL活性と病態との関連性が示唆されており(Springer Semin. Immunopathol.,19,57-68(1997)、Springer Semin. Immunopathol.,19,69-83(1997))、HCV特異的CTL活性を制御することがC型肝炎に対する新たな治療となり得る可能性がある。この観点から、C型肝炎ウイルスタンパクにおいて抗原性の強いCTLエピトープの同定が重要である。特に日本人においては、その60%〜70%がHLA-A24抗原を保持しているため、当該HLA-A24拘束性のCTLエピトープの同定が重要である。しかしながら、HLA-A24拘束性のCTLエピトープについては、これまで何ら報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、C型肝炎ウイルスの新規な CTLエピトープを提供することを目的とする。さらに詳しくは、本発明は、C型肝炎ウイルス由来の新規な HLA-A24 拘束性 CTLエピトープを構成するペプチド、当該ペプチドを有効成分とするC型肝炎の治療剤及び/又は予防剤、当該ペプチドに対するアンタゴニストを有効成分とするC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤、あるいは当該ペプチドを利用したC型肝炎治療剤及び/又は予防剤やC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法などを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来報告のないHCVのHLA-A24拘束性CTLエピトープを同定するために、以下の検討を行った。
すなわちまず、これまでに報告されているC型肝炎ウイルスの複数のストレインのうち日本人に主に感染するタイプのHCVストレインに着目し、当該HCVのアミノ酸配列に基づき、HLA-A24結合モチーフを含んだペプチドを14種類選択した。ここで「HLA-A24結合モチーフ」とは、N末端から2番目のアミノ酸がチロシン(Y)であり、9番目のアミノ酸がイソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)である配列を指す。
【0006】
次に、C型肝炎患者の末梢血、肝組織より単核球を採取した後、これを上記ペプチドと共にインターロイキン2存在下にて培養した。ペプチドによる刺激を3度行った後、誘導された CTL の活性を、CTL を誘導した患者より採取したCon-A刺激幼若化細胞を標的細胞として測定した。その結果、A24-NS3 (Ala-Tyr-Ser-Gln-Gln-Thr-Arg-Gly-Leu ;配列番号:1)と称するペプチドが、調べたいずれのC型肝炎患者においても強くCTLを誘導することが明らかとなった。
このように本発明者は、C型肝炎ウイルスタンパク中において、抗原性の強いHLA-A24拘束性CTLエピトープを発見することに成功した。
【0007】
当該エピトープを構成する本発明のペプチドは、HCV特異的CTLの誘導能を有するため、CTLを増強させてHCV感染細胞を殺傷する、いわゆるワクチンとして使用することが出来る。
一方、前述のようにHCVによる肝細胞障害にはCTLが関与していることが指摘されている。従って本発明のペプチドによるCTL誘導活性を阻害するアンタゴニスト(阻害剤)は、当該HCVによる肝細胞障害を抑制し、肝機能を改善することが出来る。
以上のように本発明のペプチドは、HCV特異的CTL活性の制御(増強/抑制)を目的とした新たな治療のコンポーネントとなり得るものであり、さらに本発明のペプチドは、新たなC型肝炎治療剤やC型肝炎に伴う肝障害治療剤の探索における、スクリーニングツールともなり得るものである。
本発明は、以上のような知見に基づき完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含有するペプチド、
(2) 配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含有するペプチド、
(3) 前記(1)又は(2)記載のペプチドから選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤、
(4) 前記(1)又は(2)記載のペプチドから選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、C型肝炎ウイルス特異的なHLA−A24拘束性CTLの誘導剤、
(5) 前記(1)又は(2)記載のペプチドによるCTL誘導活性を阻害するアンタゴニスト、
(6) 前記(1)又は(2)記載のペプチドに特異的に結合する抗体、
(7) 前記(1)又は(2)記載のペプチドとHLA−A24抗原との結合複合体に特異的に結合する抗体、
(8) 前記(5)記載のアンタゴニスト、あるいは前記(6)又は(7)記載の抗体のいずれかを有効成分として含有する、C型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤、
(9) 前記(5)記載のアンタゴニスト、あるいは前記(6)又は(7)記載の抗体のいずれかを有効成分として含有する、C型肝炎ウイルス特異的なHLA−A24拘束性CTLの誘導阻害剤、
(10) 前記(1)又は(2)記載のペプチドをコードするDNA、
(11) 前記(1)又は(2)記載のペプチド、あるいは前記(10)記載のDNAを用いることを特徴とする、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤あるいはC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるペプチドとは、C型肝炎ウイルスのHLA-A24拘束性CTLエピトープを構成するものであり、具体的には配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含有するペプチドが挙げられ、好ましくは配列番号:1に記載のアミノ酸配列よりなるペプチドが挙げられる。本発明のペプチドの長さとしては配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含む9〜11アミノ酸程度の長さが挙げられ、好ましくは配列番号:1に記載のアミノ酸配列よりなる9アミノ酸のペプチドが挙げられる。
ここで、ペプチドの合成については、通常のペプチド化学において用いられる方法に準じて行うことができる。該公知方法としては文献(ペプタイド・シンセシス(Peptide Synthesis),Interscience,New York,1966;ザ・プロテインズ(The Proteins),Vol 2,Academic Press Inc.,New York,1976;ペプチド合成,丸善(株),1975;ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株),1985;医薬品の開発 続 第14巻・ペプチド合成,広川書店,1991)などに記載されている方法が挙げられる。
【0010】
また HLA-A24抗原に結合して提示される抗原ペプチドの配列には規則性(モチーフ)のあることが知られており、具体的には、N末端から2番目のアミノ酸がチロシン(Y)であり、9番目のアミノ酸がイソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であることが知られている(Springer Semin. Immunopathol.,19,57-68(1997)、Springer Semin. Immunopathol.,19,69-83(1997))。従って、前述の配列番号:1に記載のアミノ酸配列の9番目のアミノ酸(ロイシン)がイソロイシンやフェニルアラニンに置換したアミノ酸配列(配列番号:2)を含有するペプチドも、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含有するペプチドと同様のCTL誘導活性を有すると考えられる。
【0011】
これら本発明のペプチドが、C型肝炎ウイルス特異的なHLA-A24拘束性CTLを誘導するか否かは、文献(J.Immunological Methods, 172, 227-239(1994))に記載の方法に準じて行うことができる。すなわちまず、C型肝炎患者の末梢血、肝組織より単核球を採取した後、これを本発明のペプチドと共にインターロイキン2存在下にて培養する。ペプチドによる刺激を数回行った後、誘導された CTL の活性を、CTL を誘導した患者より採取したCon-A刺激幼若化細胞を標的細胞として測定する。その結果、標的細胞に対する障害活性が認められた場合は、当該ペプチドにCTL誘導活性の存することが明らかとなる。
【0012】
以上のような本発明のペプチドは、少なくとも1種または2種以上組み合わせることにより、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。すなわち本発明のペプチドはHLA-A24抗原に提示されてCTLを強く誘導することができ、誘導されたCTLはHCV感染細胞を殺傷することから、本発明のペプチドは、ウイルスの排除を目的としたC型肝炎の治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。
【0013】
本発明のC型肝炎の治療剤及び/又は予防剤は、アジュバントと共に投与したり、粒子状の剤形にして投与することができる。アジュバントとしては、文献(Clin. Microbiol.Rev., 7:277-289, 1994)に記載のものなどが応用可能である。またリポソーム製剤、直径数μm のビーズに結合させた粒子状の製剤、リピッドを結合させた製剤なども考えられる。投与方法としては、皮内投与、皮下投与、静脈注射などが考えられる。製剤中の本発明のペプチドの投与量は、患者の年齢、体重や症状の程度等により適宜調整することができるが、通常0.0001mg〜1000mg、好ましくは 0.001mg〜1000mg、より好ましくは0.1mg 〜10mgであり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。
【0014】
本発明はまた、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体をも提供するものである。該抗体は、例えば、Antibodies; A Laboratory Manual, Lane, H, D.ら編, Cold Spring Harber Laboratory Press 出版 New York 1989や、新細胞工学実験プロトコール、秀潤社(1993)などに記載の方法により容易に作製される。すなわち、本発明のペプチドを用いて常法により適宜動物を免疫することにより、本発明の抗体を作製することができる。
ここで免疫原としては、本発明のペプチドをそのまま用いることも可能であるが、KLHやBSAタンパク質に本発明のペプチドをコンジュゲートしたものなども用いることができる。
【0015】
免疫感作する動物種としては、ウサギ、マウス、ラット、ニワトリ、ウシ、ヒツジ、ウマ等何れでも良い。また抗血清より精製抗体を得るためには、常法によりアフィニティー精製を行えば良い。
本発明の抗体の範疇には、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれも含まれる。
当該抗体の用途としては、後述のようにC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤として使用され得る他、免疫学的診断やHCV研究用のツールとしても用いることができる。ここで免疫学的診断は、イムノブロット法、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光あるいは発光測定法等より適宜選択できる。
【0016】
さらに本発明の抗体のもう一つの態様として、本発明のペプチドとHLA-A24抗原との結合複合体に特異的に結合する抗体が提供される。当該抗体は、HLA-A24抗原と本発明のペプチドとの結合複合体やその一部を免疫原に用いて、上述と同様の手法により作製することができる。ここでHLA-A24抗原の塩基配列及びアミノ酸配列は GenBank Accession No.M64740に登録されている。従って当該配列に基づき常法によりHLA-A24のcDNAをクローニングし、適当な宿主細胞に導入して発現させることにより、HLA-A24タンパクを得ることができる。
当該複合体に対する抗体は、後述のようにC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤として使用され得る他、免疫学的診断やHCV研究用のツールとしても用いることができる。
【0017】
本発明はまた、本発明のペプチドによるCTL誘導活性を阻害するアンタゴニストをも提供するものである。すなわち前記したように、HCVによる肝細胞障害にはCTLが関与していることが指摘されている。従って本発明のペプチドによるCTL誘導活性を阻害するアンタゴニスト(阻害剤)は、当該HCVの感染に伴う肝細胞障害を抑制するものとして有用である。
【0018】
ここで「アンタゴニスト」とは、タンパク性因子、ペプチド、抗体、低分子化合物等の如何なる性状の物質であっても良く、具体的には以下の(1)及び(2)の阻害活性を有するアンタゴニストが挙げられる。
(1) 本発明のペプチドとHLA-A24抗原との結合を阻害するアンタゴニスト。
(2) 本発明のペプチドとHLA-A24抗原の結合複合体とCTLとの反応を阻害するアンタゴニスト。
【0019】
前記(1)のアンタゴニストの具体的な態様としては、例えば、本発明のペプチドに酷似したペプチドアナログであって、本発明のペプチドとHLA-A24抗原との結合を競合的に阻害することにより、結果的にCTLの活性を抑制するペプチドが挙げられる。
例えばAIDSウイルス(HIV-1)の gagタンパク内のエピトープ特異的なCTLは、変異ウイルス内のgagタンパクに認められた同一部位の変異エピトープ(1アミノ酸相違)によって特異的に活性抑制されることが報告されていることから(Nature,369,401(1994))、本発明のペプチドに類似するペプチドアナログも、同様のCTL抑制活性を有することが考えられる。
当該ペプチドアナログの具体例としては、本発明のペプチドのうちT細胞受容体(TCR)と相互作用する部分を改変したものが挙げられ、中でも1アミノ酸の置換が好ましい。さらに当該置換は、類似の性質を有するアミノ酸(保存されたアミノ酸)への置換が好ましい。
【0020】
次に前記(2)のアンタゴニストの具体的な態様としては、前記した本発明のペプチドとHLA-A24抗原との結合複合体に特異的に結合する抗体が挙げられる。すなわち、本発明のペプチドとHLA-A24抗原との結合複合体に当該抗体が結合することにより、前記複合体はCTL結合能を失うため、結果的にCTL活性を阻害することができる。
【0021】
以上のような本発明のアンタゴニストは、タンパク性因子、ペプチド、抗体や低分子化合物ライブラリーなどを後述の本発明のスクリーニング方法に供することにより得ることができる。
【0022】
また、前記本発明のアンタゴニストは、少なくとも1種または2種以上組み合わせることにより、C型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。すなわち本発明のアンタゴニストは、本発明のペプチドによるCTL誘導活性を阻害するものであるため、CTL活性が関与する肝細胞障害を改善することにより、C型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤となるものである。
【0023】
当該C型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤は、有効成分とされる物質の性状に応じた一般的な医薬組成物の形態とし、経口または非経口的に投与される。一般的には以下のような投与形態、投与方法が挙げられる(ペプチド製剤に関しては、前記を参照のこと)。
【0024】
すなわち、経口的に投与する場合、通常当分野で用いられる投与形態で投与することができる。非経口的に投与する場合には、局所投与剤(経皮剤等)、直腸投与剤、注射剤、経鼻剤等の投与形態で投与することができる。
経口剤又は直腸投与剤としては、例えばカプセル、錠剤、ピル、散剤、ドロップ、座剤、液剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば無菌の溶液又は懸濁液、乳剤等が挙げられ、具体的には水、水−プロピレングリコール溶液、緩衝化液、0.4%の生理食塩水等が挙げられる。さらに液状製剤とした場合は凍結保存、又は凍結乾燥等により水分を除去して保存することができる。凍結乾燥製剤は、用時に注射用蒸留水などを加え、再溶解して使用される。局所投与剤としては、例えばクリーム、軟膏、ローション、経皮剤等が挙げられる。
【0025】
以上の剤形は通常当分野で行われている手法により、薬学的に許容される賦形剤、添加剤と共に製剤化される。薬学的に許容される賦形剤、添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤、pH調節剤、張度調節剤、浸潤剤等が挙げられる。また、薬学的に許容される担体としては、例えば炭酸マグネシウム、ラクトース、ぺクチン、澱粉、メチルセルロース等が挙げられる。
【0026】
このような医薬組成物は、治療目的の疾患、標的臓器等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内などに投与するか、又は病変の認められる組織そのものに直接局所投与することができる。また経口投与や坐薬としての投与も可能である。
【0027】
投与量、投与回数は症状、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、通常は成人に対し1日あたり約0.0001〜約500mgの範囲、好ましくは約0.001〜約100mgの範囲を1回または数回に分けて投与することができる。
【0028】
以上のように、本発明のペプチドと本発明のアンタゴニストとはお互いに相反する作用を有するものであり、C型肝炎患者の治療上の必要性に応じて使い分けることが出来る。
【0029】
さらに本発明においては、本発明のペプチドをコードするDNAをも提供するものである。当該DNAは、本発明のペプチドのアミノ酸配列に基づきDNA合成機を用いて容易に合成することができる。
【0030】
以上のような本発明のペプチドやDNAを用いることにより、新たなC型肝炎の治療剤及び/又は予防剤やC型肝炎に伴う肝障害の治療剤及び/又は予防剤をスクリーニングすることができる。以下、具体的方法の一例を記載する。
まず、本発明のペプチドと同様のHCV特異的なHLA-A24拘束性CTLの誘導剤を探索するためには、C型肝炎患者の末梢血、肝組織より単核球を採取した後、(i)当該単核球を本発明のペプチドと共にインターロイキン2存在下にて培養してペプチド刺激を数回行った場合と、(ii)当該単核球を被験物質(ペプチド)と共にインターロイキン2存在下にて培養して被験ペプチドによる刺激を数回行った場合とで誘導された CTL の活性を、CTL を誘導した患者より採取したCon-A刺激幼若化細胞を標的細胞として測定する。その結果、(i)の場合と比較して(ii)の場合において同様の、または(i)より強い標的細胞に対する障害活性が認められた場合は、当該被験ペプチドにCTL誘導活性の存することが明らかとなる。当該探索において見出されたCTLの誘導剤は、CTLを活性化してHCV及びHCV感染細胞を殺傷することにより、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤となり得る。
【0031】
一方、HCV特異的なHLA-A24拘束性CTLの誘導阻害剤を探索するためには、C型肝炎患者の末梢血、肝組織より単核球を採取した後、(i)当該単核球を本発明のペプチドと共にインターロイキン2存在下にて培養してペプチド刺激を数回行った場合と、(ii)当該単核球を本発明のペプチドおよび被験物質と共にインターロイキン2存在下にて培養してペプチドによる刺激を数回行った場合とで誘導された CTL の活性を、CTL を誘導した患者より採取したCon-A刺激幼若化細胞を標的細胞として測定する。その結果、(i)の場合と比較して(ii)の場合において、標的細胞に対する障害活性が弱いかあるいは全く認められない場合は、当該被験物質にCTL誘導阻害活性の存することが明らかとなる。当該探索において見出されたCTLの誘導阻害剤は、CTL活性が関与する肝細胞障害に対する治療剤及び/又は予防剤となり得る。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0033】
実施例1
HLA-A24 拘束性 CTL エピトープの同定
これまでに報告されたC型肝炎ウイルスの複数のストレインのうち、日本人に主に感染するタイプのHCVストレインのアミノ酸配列に基づき、HLA-A24結合モチーフ[X-Y-X-X-X-X-Z(ZはI,L,又はF)] を含んだペプチド部分を14種類選択し、常法によりペプチド合成を行った。
【0034】
次に文献(J.Immunological Methods, 172, 227-239(1994))記載の方法に準じて、上記合成ペプチドによるCTL誘導能を評価した。
まずC型肝炎患者の末梢血、肝組織より単核球を採取した後、これを上記ペプチドと共にインターロイキン2存在下にて培養した。ペプチドによる刺激を3度行った後、誘導された CTL の活性を、CTL を誘導した患者より採取したCon-A刺激幼若化細胞を標的細胞として測定した。結果を図1に示す。
【0035】
CTL活性測定の結果、合成したペプチドのうち、C型肝炎ウイルスタンパク(BKストレイン; J.Virol.,65,1105-1113(1991))の N末端より1031-1039番目の領域のペプチド A24-NS3 (Ala-Tyr-Ser-Gln-Gln-Thr-Arg-Gly-Leu ;配列番号:1)が、調べた2名のC型肝炎患者いずれにおいても活性の強いCTL を誘導することが判明した。このペプチドに特異的なCTL はHLA-A24陽性患者にて誘導され、HLA-A24陰性患者、およびHLA-A24陽性健常者では誘導されなかった(図1)。すなわち、C型肝炎ウイルスタンパクの1031-1039番目の領域がCTLの認識部位(エピトープ)で抗原性の強い部位であることが明らかとなった。
【0036】
配列表フリーテキスト
配列番号:2に記載のアミノ酸配列の第9番目のアミノ酸は、イソロイシンかフェニルアラニンである。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、C型肝炎ウイルスタンパク中で抗原性の強い HLA-A24拘束性CTLエピトープが提供される。HLA-A24分子は日本人の60%〜70% が保持している HLA であり、ウイルス抗原性の強い本発明のエピトープが将来の新たな治療のコンポーネントになると期待される。
【0038】
【配列表】
【0039】
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、HLA-A24陽性患者、HLA-A24陰性患者、およびHLA-A24陽性健常人より採取した末梢血単核球 (PBMC) をA24-NS3 ペプチドで刺激し、各患者より調製したCon-A 幼若化細胞をA24-NS3 で標識した標的細胞を、ペプチド刺激で誘導されたCTL がどれだけ殺すかをテストした結果を示すグラフである。図中、縦軸はCTLによる障害活性(%)を、横軸はA24-NS3 ペプチドの濃度(μM)を示す。
Claims (7)
- 配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド。
- 配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド。
- 請求項1又は2記載のペプチドとHLA−A24抗原との結合複合体。
- 請求項1又は2記載のペプチドから選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤。
- 請求項1又は2記載のペプチドから選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、C型肝炎ウイルス特異的なHLA−A24拘束性CTLの誘導剤。
- 請求項1又は2記載のペプチドをコードするDNA。
- 請求項6記載のDNAを有効成分として含有する、C型肝炎の治療剤及び/又は予防剤。
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