JP4667495B2 - ローラ加工方法、およびローラ加工装置 - Google Patents
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Description
また、下記特許文献3には、充放電に伴う集電体の皺の発生を防止して、体積変化を低減させるための技術が提案されている。具体的には、リチウムと合金化しない金属から形成された集電体と、集電体の表面に形成され、リチウムと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極において、上記集電体に凹凸を備えさせるとともに、集電体の実効厚みを、15μm〜300μmとしている。
また、特許文献5には、セラミック材料からなる液体転写アーティクルの表面に、2つに分離したレーザービームのそれぞれを順次照射するようにして、セルを形成する方法が示されている。
また、特許文献7には、表面が感光性樹脂硬化物で覆われている円筒状の樹脂製印刷基材の表面に、平均出力が0.01〜5W、1パルスあたりのエネルギ量が10〜50J、ビーム径が0.4〜15μmのレーザを照射することにより、幅が0.4〜20μm、深さが1〜100μmの微細な凹パターンを形成する方法が示されている。
ところが、上記ピッチに相当する信号数が、ローラが一回転する間にロータリエンコーダから出力される信号数を割り切れる数ではない場合には、ローラを一回転させたときにローラの表面の同一箇所にレーザ光を照射することはできなくなる。以下にその理由を説明する。
前記ローラを回転させる工程a、
前記回転されるローラの位置を検出する工程b、
前記ローラの回転位置の検出信号に基づいて、前記ローラが所定角度回転する毎にパルス信号を発生する工程c、
前記発生されたパルス信号に基づいて前記ローラの表面にレーザ光を照射する工程d、
前記ローラの径、および前記ローラの表面に前記凹部を形成しようとするピッチの範囲に応じて、前記パルス信号を発生する周期の設定候補を、あらかじめ複数個選定し、記憶手段に記憶させる工程e、並びに
前記選定された複数個の設定候補の中から1つの設定候補を、前記ローラの表面に前記凹部を形成する実際のピッチに基づいて選択する工程f、を含み、
前記凹部の開口部の形状が、長い方の対角線に対する短い方の対角線の比が0.8以下、前記長い方の対角線が6〜40μm、且つ前記短い方の対角線が3〜20μmの略菱形であり、かつ
前記レーザ光の1回あたりの照射時間が、10ps〜200nsであり、
前記ローラの周方向に並ぶ一列分の複数個の前記凹部を形成するように、前記回転されるローラの表面に前記実際のピッチでレーザ光を照射し、前記ローラが一回転する間にレーザ光の照射箇所を自然冷却または強制冷却により冷却しながら、前記ローラの表面の同一箇所に前記レーザ光を照射することを複数回繰り返すローラ加工方法である。
本発明の好ましい形態においては、前記レーザ光を前記ローラの表面に照射してから次に前記レーザ光を同一箇所に照射するまでの間に、当該箇所に冷却用の媒体を吹き付ける。
本発明の別の好ましい形態においては、前記工程bにおいて、アブソリュート式ロータリエンコーダを使用して、前記回転されるローラの位置を検出する。
本発明の別の好ましい形態においては、前記アブソリュート式ロータリエンコーダは、少なくとも17ビットの分解能を有する。
本発明の別の好ましい形態においては、前記工程cにおいて、前記パルス信号として、位相が互いに異なる2相のパルス信号を発生する。
前記輪郭が整形されたレーザ光を前記ローラの表面に縮小結像させる工程hを含む。
また、これらの材質のローラの表面にDLCコーティング(DLC:Diamond Like Carbon)、あるいはTiNやTiCN等のチタンコーティングからなるPVDコーティング(PVD:Physical Vapor Deposition)が施されている場合にも所望形状の凹部を形成することが可能となる。
そして、ローラの表面に凹部を形成するピッチに応じてローラが一回転する間に発生されるパルス信号の数が設定され、発生されたパルス信号の数が上記ピッチに相当する数に達する毎にローラの表面にレーザ光が照射される。これにより、ローラが上記ピッチに対応する角度だけ回転する毎にローラの表面にレーザ光が照射されて、ローラが一回転する毎に同一箇所に複数回に亘ってレーザ光を照射するようにして所定ピッチで凹部が形成される。
より具体的には、ローラの一回転に相当するパルス信号の数を、上記ピッチに相当するパルス信号の数により割り切れる数か、一回転毎の照射位置のずれが許容範囲を超えないように、余りが所定値以下となる数に設定する。これにより、ローラの表面の所定箇所にレーザ光を照射してからローラが一回転した後、同一箇所にレーザ光を照射するときに、照射位置が許容範囲を超えてずれるのを防止することができる。したがって、回転されるローラの表面の同一箇所に、ローラが一回転する毎に正確にレーザ光を照射することが可能となる。
これにより、記憶されたパルス数を呼び出して設定するだけで、径が同じであるローラの表面に様々なピッチで凹部を形成することができる。
以下、図1〜図4を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るローラ加工装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、同装置のマスク部の機能を示す、マスク部、集光レンズおよびローラの斜視図である。図3は、ローラの表面に形成される凹部の平面図である。図4は、レーザ光の光路におけるビーム径の調整の一例を示すグラフである。
より具体的には、ローラ加工装置1は、レーザ光21を出力するレーザ発振器3と、レーザ光21を集光してローラ2の表面に照射する加工ヘッド4とを備えている。また、ローラ加工装置1は、ローラ2を回転可能に支持しつつローラ2を周方向に回転駆動するローラ回転装置5を備えている。
また、ローラ加工装置1は、レーザ発振器3がレーザ光21を出力(以下、出射ともいう)するタイミング等を制御する制御部24を備えている。
次に、上記距離が約1000mmであるポイントP3に配された図示しないシリンドリカルレンズからなるビーム径調整器15によりa軸方向(水平方向)のビーム径が縮小され、上記距離が約1200mmであるポイントP4に配された図示しないシリンドリカルレンズからなるビーム径調整器15によりa軸方向のビーム径の縮小が停止されている。
なお、ビーム径調整器15は、レンズに限らず、DOE(Diffractive Optical Elements:回折光学素子)、スリット、またはフィルタを使用して構成することが可能である。
ローラ回転装置5により回転駆動されるローラ2の表面には、一端部(例えば、心押し台5a側の端部)から一列ずつ、周方向に所定のピッチで並ぶ凹部41が形成される。このとき、制御部24は、2軸アクチュエータ26を制御して、凹部41を形成しようとする列に対応する位置に加工ヘッド4を移動させる。そして、ロータリエンコーダ5cの出力信号に基づいて、上記ピッチに対応する角度だけローラ2が回転する毎にレーザ光21をローラ2の表面に照射するようにレーザ発振器3を制御する。このとき、ローラ2の表面に照射されるレーザ光21のエネルギは、所望の凹部41を形成するのに必要なエネルギの何分の一かとなっている。
凹部41を形成するローラ2として、冨士ダイス(株)製のW-Co超硬合金ローラを用いた。そのローラ2の幅は100mm、直径は50mmであった。このローラ2をローラ加工装置1のローラ回転装置5に設置し、回転数11rpmで回転させた。
凹部の目的とする形状は短軸径11μm、長軸径22μmの菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aとして短軸径150μm、長軸径300μmの菱形の開口を放電加工により形成した、金メッキをステンレス鋼板に施したものとし、結像比が16:1となる光路上の位置に配した。
凹部41を形成するローラ2として、日立金属(株)製の粉末ハイスローラを用いた。このローラ2をローラ加工装置1のローラ回転装置5に設置し、回転数22rpmで回転させた。凹部41の目的とする形状は短軸径が7μm、長軸径が24μmである菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aを短軸径が150μm、長軸径が400μmの菱形とした。
凹部41を形成するローラ2として、大同マシナリー(株)製の鍛鋼ローラを用いた。このローラ2をローラ加工装置1のローラ回転装置5に設置し、回転数22rpmで回転させた。凹部の目的とする形状は短軸径が7μm、長軸径が25μmである菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aを短軸径が100μm、長軸径が400μmである菱形とした。
凹部41を形成するローラ2として、大同マシナリー(株)製の鍛鋼ローラを用いた。このローラ2をローラ加工装置1のローラ回転装置5に設置した。凹部の目的とする形状は短軸径が7μm、長軸径が25μmである菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aを短軸径が100μm、長軸径が400μmである菱形とした。
次に、本発明の実施の形態2を説明する。実施の形態2は実施の形態1を改変したものであり、以下、その異なる部分を主に説明する。
図5に、実施の形態2に係るローラ加工装置の概略構成を示す。
(4)上記手順3の計算結果に最も近いパルス数のものを、上記手順2の4逓倍されたパルス数の中から選択する。例えば28μmピッチであれば14000(=3500×4)パルスが選択され、29μmピッチであれば13600(=3400×4)パルスが選択され、30μmピッチであれば13200(=3300×4)パルスが選択され、31μmピッチであれば12800(=3200×4)パルスが選択される。
このエンコーダ51は、ローラ50の回転により図9Aおよび図9Bに示すようなパルス信号からなるA相信号及びB相信号を出力する。ここで、ローラ50が一回転する間のA相信号及びB相信号のパルス数がそれぞれ81000であるものとすれば、図9Cに示すように、A相信号及びB相信号を4逓倍したときの信号数は324000となる。
この点、本発明によれば、1つのロータリエンコーダにより自由にピッチを選定して、ローラ2の表面に凹部を形成することができる。
凹部41を形成するローラ2として、冨士ダイス(株)製のW-Co超硬合金ローラを用いた。そのローラ2の幅は100mm、直径は50mmであった。このローラ2をローラ加工装置1Aのローラ回転装置5に設置し、回転数11rpmで回転させた。
エンコーダ5cとして、光学式アブソリュート形ロータリエンコーダを用いた。このエンコーダ5cは、回転の絶対位置に応じた17ビットの信号(例えばグレイコード)を出力するもので、最大回転数は2000回転/分である。また、データの送信は差動ラインドライバを使用するものである。
ビーム径調整器15によりレーザ光21を直径1.0mmに整形し、マスク部6のレーザ光通過孔6aを通過させて、加工ヘッド4によりローラ2の表面に照射した。加工点でのレーザ出力は25μJとし、同一箇所に8回照射を繰り返すことにより凹部41を形成した。また、一列分の凹部41の形成が終了すると、加工ヘッド4をローラ2の軸方向に22μmだけ移動させて、前列におけると同様にしてローラ2の表面に凹部41を形成した。このようにして、ローラ2の表面に90mmの幅だけ凹部41を形成した。このとき、形成される凹部41のローラ2の周方向における位置が、隣り合う列の間で互いに周方向にずれるように、レーザ光21の射出タイミングを調節した。これにより、ローラ2の表面に、斜め格子状ないしは千鳥配置となるように凹部41を形成した。
凹部を形成するローラ2として、日立金属(株)製の粉末ハイスローラを用いた。このローラ2をローラ加工装置1Aのローラ回転装置5に設置し、回転数22rpmで回転させた。凹部41の目的とする形状は短軸径が7μm、長軸径が24μmである菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aを短軸径が100μm、長軸径が400μmである菱形とした。
凹部41を形成するローラ2として、大同マシナリー(株)製の鍛鋼ローラを用いた。このローラ2をローラ加工装置1Aのローラ回転装置5に設置し、回転数22rpmで回転させた。凹部41の目的とする形状は短軸径が7μm、長軸径が25μmである菱形とした。マスク部6は、レーザ光通過孔6aを短軸径が100μm、長軸径が400μmである菱形とした。加工点でのレーザ出力は18μJとし、同一箇所に5回照射を繰り返した。一列分の凹部41の形成が終了すると、加工ヘッド4をローラ2の軸方向に25μmだけ移動させた。
また、液体としては、液体窒素など、常温で瞬時に揮発する液体をレーザ照射箇所の周辺に吹き付けることが好ましい。これにより、冷却効果を高めながらも加工面を乾燥状態に保つことができ、レーザ光の結像が阻害されない。
2 ローラ
3 レーザ発振器
4 加工ヘッド
5 ローラ回転装置
5c エンコーダ
6 マスク部
6a レーザ通過孔
15 ビーム径調整器
21 レーザ光
24 制御部
25 パルス変換器
25a パルス生成部
25b パルス数設定部
41 凹部
Claims (9)
- 鍛鋼からなるローラの表面に有底の複数の凹部を形成するためのローラ加工方法であって、
前記ローラを回転させる工程a、
前記回転されるローラの位置を検出する工程b、
前記ローラの回転位置の検出信号に基づいて、前記ローラが所定角度回転する毎にパルス信号を発生する工程c、
前記発生されたパルス信号に基づいて前記ローラの表面にレーザ光を照射する工程d、
前記ローラの径、および前記ローラの表面に前記凹部を形成しようとするピッチの範囲に応じて、前記パルス信号を発生する周期の設定候補を、あらかじめ複数個選定し、記憶手段に記憶させる工程e、並びに
前記選定された複数個の設定候補の中から1つの設定候補を、前記ローラの表面に前記凹部を形成する実際のピッチに基づいて選択する工程f、を含み、
前記凹部の開口部の形状が、長い方の対角線に対する短い方の対角線の比が0.8以下、前記長い方の対角線が6〜40μm、且つ前記短い方の対角線が3〜20μmの略菱形であり、かつ
前記レーザ光の1回あたりの照射時間が、10ps〜200nsであり、
前記ローラの周方向に並ぶ一列分の複数個の前記凹部を形成するように、前記回転されるローラの表面に前記実際のピッチでレーザ光を照射し、前記ローラが一回転する間にレーザ光の照射箇所を自然冷却または強制冷却により冷却しながら、前記ローラの表面の同一箇所に前記レーザ光を照射することを複数回繰り返すローラ加工方法。 - 前記強制冷却は、前記レーザ光を前記ローラの表面に照射してから次に前記レーザ光を同一箇所に照射するまでの間に、当該箇所に冷却用の媒体を吹き付けて行う請求項1記載のローラ加工方法。
- 前記工程bにおいて、アブソリュート式ロータリエンコーダを使用して、前記回転されるローラの位置を検出する請求項1または2記載のローラ加工方法。
- 前記アブソリュート式ロータリエンコーダは、少なくとも17ビットの分解能を有する請求項3記載のローラ加工方法。
- 前記工程cにおいて、前記パルス信号として、位相が互いに異なる2相のパルス信号を発生する請求項1〜4のいずれかに記載のローラ加工方法。
- 前記工程fは、前記複数個の設定候補のそれぞれについて、前記パルス信号を4逓倍してその個数をカウントしたときの前記ローラの一周分のカウント値と、前記ローラの周方向に並ぶ一列分の前記凹部の個数とを比較して、前記カウント値と前記凹部の個数とが最も近くなる設定候補を選択することを含む請求項5記載のローラ加工方法。
- 前記凹部を、5〜50μmの深さに形成する請求項1〜6のいずれかに記載のローラ加工方法。
- 前記凹部の形状と相似する形状に前記レーザ光の輪郭を整形する工程g、並びに
前記輪郭が整形されたレーザ光を前記ローラの表面に縮小結像させる工程hを含む請求項1〜7のいずれかに記載のローラ加工方法。 - 前記レーザ光の波長が266nm〜600nmである請求項1〜8のいずれかに記載のローラ加工方法。
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