JP4667057B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズの反射防止膜等を製作するための成膜装置および成膜方法に関するものである。
レンズ等の対象物に反射防止膜等の多層膜を形成するために、多層膜の材料となるターゲットを複数枚設置した多元スパッタリング装置が用いられる。このような多元スパッタリング装置では、一般に各ターゲットにマグネトロン等を有するスパッタ駆動源が一体化された構成となっており、ターゲットの数と同じ数のスパッタ駆動源が必要となる。
しかし、このような構成では、複数のターゲットと各ターゲットに対応した複数のスパッタ駆動源のうち、実際に放電が生じているのは、1組だけであり、他のスパッタ駆動源は作動していない。また、スパッタ駆動源には、スパッタ時のターゲットの発熱を抑制するために冷却機能が必須であり、スパッタ駆動源がマグネットを有するマグネトロンスパッタの場合は、それぞれ冷却機能を備えた複数のマグネットが必要である。このように複雑な構造のスパッタ駆動源が複数のうち1つしか動作していないという状況はコスト的に無駄である。
そこで、特許文献1に開示された多元スパッタリング装置においては、個々に揺動可能に保持した複数のターゲットと、ターゲットを裏面側から押圧するための移動手段を有した各ターゲットに共用のスパッタ駆動源と、ターゲットをスパッタ駆動源上部のスパッタ位置に移動する移動手段と、を備えることで、装置を低コスト化し生産性の向上を図ることが提案されている。
また、スパッタリングによる成膜中にターゲットの発熱による固定部のボンディング材溶融によるターゲット脱落や、ターゲットからの輻射熱によるワークの昇温を防ぐために設けられるターゲット冷却機構として最も一般的なものは、ターゲットまたはターゲットが溶着されたターゲット支持板の裏面に直接冷却水を触れさせて冷却する機構である。これは、ターゲットを冷却するための方法としては最も冷却効率の高い方法であるが、複数枚のターゲットを有した多元スパッタリング装置では、個々のターゲットごとに冷却能力を有したスパッタ駆動源を装備するとコスト高となるため、複数のターゲットに対して冷却機構を1つで済ます方法として、前述のように、ターゲットと冷却機構を有するスパッタ駆動源を分離した構成をとり、冷却機構を有するスパッタ駆動源上に、複数のターゲットを順次移動させてスパッタをする多元スパッタリングを行う。
このような分離構造の場合、ターゲットと冷却機構が分離しているため、ターゲットまたはターゲットが溶着されたターゲット支持板(バッキングプレート)の裏面に直接冷却水を触れさせて冷却することはできず、ターゲット裏面またはターゲット支持板裏面と、スパッタ駆動源の表面を接触させて、間接的に冷却せざるを得ない。
真空雰囲気下の間接冷却については、特許文献2に開示されたように、ターゲットまたはターゲット支持板(バッキングプレート)と冷却部材の真空中での接触面積を増加させて間接冷却を効率よく行う方法が知られている。これは、ターゲットまたはターゲット支持板の裏面中央に、タップ加工により有底ネジ孔を形成し、冷却側平面に螺着されるネジによって結合・加圧することで、両者の接触面積を増加させる構成であるため、多元スパッタリング装置においては、各ターゲットに冷却機構を設けることが必要となる。
特開平3−158461号公報 特開2001−214263号公報
特許文献1に開示された構成は、ワーク交換を行うには、ターゲットを大気にさらすか、ゲートバルブを利用したロードロック室を設ける必要があり、それぞれ、前者の場合はターゲットの酸化が、後者の場合はスペースおよびコストの増加が問題となる。
加えて、スパッタ駆動源が複数のターゲットに囲まれており、スパッタ駆動源の移動手段を真空中におく必要があるため、スパッタ駆動源への冷却手段の導入が困難で、ターゲット発熱の抑制が大きな問題となる。またスパッタ時にスパッタ駆動源を直動させ、Oリングを常につぶした状態にするために、移動手段の直動アクチュエータを常に稼働させておく必要があった。
また、真空中では、対流が生じないため、伝熱は、接触部を通した熱伝導と輻射の2形態によって行われ、真空中で熱伝導による伝熱量を増やすためには、2平面間を隙間無く接触させる必要がある。従って、ターゲットとスパッタ駆動源を分離した構成の多元スパッタリング装置では、2平面の接触面積が大きくなるように平面度および表面粗さを小さくする必要があり、加工コストが高くなる。加えて、ターゲットとターゲット支持板の溶着過程で熱膨張差に起因して、両者に撓み変形が生じてしまうため、ターゲット支持板裏面である加熱側平面と冷却側平面との接触が部分的なものになってしまい冷却効率が低いという課題があった。実際に実験により、加熱側平面および冷却側平面の平面度が0.002mmの場合と0.05mmの場合で比較したところ、平面度0.05mmの場合の冷却効率は平面度0.002mmの場合の20%であった。
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、成膜中のターゲットの冷却を効率よく行い、また、簡便で低コストなワーク交換を可能にすることで装置の小型化および低コスト化を促進できる成膜装置および成膜方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の成膜装置は、ターゲットからスパッタリングされた粒子をワークに成膜する成膜装置において、内部に前記ターゲットが配置され、前記ワークに向かって開口する開口部を備えた真空室と、前記真空室内において、前記ターゲットを逐次前記開口部に対応するスパッタ位置に移動させるターゲット移動手段と、前記スパッタ位置における前記ターゲットの裏面に対向するように配設されたスパッタ駆動源と、前記スパッタ駆動源を前記スパッタ位置において前記ターゲットの裏面側に押圧するスパッタ駆動源移動手段と、記ターゲット移動手段によって前記スパッタ位置に移動せられ、前記スパッタ位置において記開口部を閉じるように構成され蓋と、を有することを特徴とする。
前記スパッタ駆動源が、真空室と大気の圧力差によって変形自在である冷却板を有し、前記冷却板を介してターゲットの裏面側に押圧されるように構成されていてもよい。
ターゲットの発熱を効率的に抑制でき、かつ、複数のターゲットに対するスパッタ駆動源の共有化が可能となるため、装置の低コスト化を促進することができる。また、ワーク交換時にターゲットを大気にさらすことなくワークを交換できるため、ロードロック室やゲートバルブを省略することができる。これによって、さらなる装置の低コスト化および小型化を図ることができる。
図1に示すように、真空室1の開口部にワーク室2内のワークWを搬送する搬送手段と、それぞれターゲットTを保持した1つまたは複数のターゲット支持板3と、真空室1の開口部を密封するためのシール手段4を有する圧力分離用の蓋5と、ターゲット支持板3および蓋5を周方向に等間隔でそれぞれ揺動自在に支持するターゲット移動手段である回転テーブル6と、回転テーブル6の回転軸6aを回転駆動する示しないモータと、ベローズ7を介して大気側に配設されたスパッタ駆動源移動手段である直動アクチュエータによって矢印Rで示す方向に往復駆動されるスパッタ駆動源8を有し、スパッタ駆動源8は、ターゲット支持板3または蓋5の裏面側から前記揺動方向に押圧し、真空室1の前記開口部に当接する。
回転テーブル6は、各ターゲット支持板3および蓋5を前記開口部に対応するスパッタ位置に移動させるもので、複数のターゲット支持板3によってそれぞれターゲットTを支持し、スパッタ駆動源8の上部に順次移動させる。スパッタ駆動源8はターゲットTの裏面側に押圧され、ワークWの成膜面にスパッタリングによる成膜を行う。ワークWの交換時には、真空室1の開口部を閉じる蓋5をスパッタ位置へ移動させ、蓋5をスパッタ駆動源8で押し上げて、シール手段4を真空室1の開口部に押し付けることで、スパッタ駆動源8およびターゲットTが配設された真空室1内の空間とワークWがおかれた空間を分離して、別々に圧力制御することを可能とする。
このように、ワーク交換時にはワーク室2とターゲットTの置かれた真空室1を圧力分離することで、ターゲットTを真空中に保ったままワーク室2を大気開放してワークWを交換することが可能となるため、ロードロック室やゲートバルブを設置する必要がない。これによって装置を小型化し、装置コストを大幅に低減できる。
また、ターゲット支持板3と蓋5が回転テーブル6上の同一平面に円周配置されているため、回転テーブル6を回転駆動することで順次スパッタ位置にターゲットTまたは蓋5を位置合わせすることができる。
さらに、ベローズ7を介して真空室1の外からスパッタ駆動源8を移動するスパッタ駆動源移動手段を備えることで、スパッタ駆動源8をターゲットTまたは圧力分離用の蓋5に押し付ける際には大気圧による力を利用することができ、直動アクチュエータによる力を外部から加える必要がないという利点もある。
スパッタ駆動源には冷却機構を設けて、スパッタ駆動源の表面とターゲット裏面側を接触させることでターゲットを冷却し、ターゲットの昇温を抑制する。加えて、スパッタ駆動源にティルト機構を設けることで、ターゲットの傾き等に倣ってスパッタ駆動源が傾くことができるように構成すれば、成膜中の冷却を効率よく行うことが可能となる。
図1ないし図8は実施例1を示すもので、回転テーブル6にターゲットTが3種類と圧力分離用の蓋5が載置されている。スパッタ時には、図1に示すように各ターゲットTをスパッタ駆動源8の上部に順次回転位置合わせし、位置合わせ後にスパッタ駆動源8を矢印R方向に直動し、図2に示すようにターゲットTを支持しているターゲット支持板3の裏面にスパッタ駆動源8を接触させることで、スパッタ駆動源8からターゲットTに通電して、ワーク室2内のワークWの成膜面にスパッタリング成膜を行い、この間、接触を介してターゲットTの冷却も同時に行うことができる。ターゲット支持板3および蓋5は、それぞれ、回転テーブル6に板ばね6bを介して揺動自在に支持されており、また、スパッタ駆動源8はティルト機構を有しているため、ターゲット支持板3や蓋5とスパッタ駆動源8の接触面はかじることなく全面が接触する。
ワーク交換のためにワーク室2を真空室1から圧力分離する時には、図3に示すように、圧力分離用の蓋5をスパッタ駆動源8の上部に回転位置合わせし、位置合わせ後にスパッタ駆動源8を直動し、スパッタ駆動源8を圧力分離用の蓋5の裏面に押圧し、シール手段4であるOリングを介して蓋5を真空室1の開口部のフランジに押し付けることで圧力分離を行う。圧力分離後、大気圧としたワーク室2内でワークWの交換を行う。このような圧力分離方法によれば、従来から必要であったロードロック室やゲートバルブを省略し、装置の小型化および低コスト化を図ることできる。
なお、ターゲットTは3種類に限らず、1種類でも複数種類でもよい。本実施例ではスパッタ駆動源8にマグネトロンユニットを用いているがその他の構成でもかまわない。また、スパッタ駆動源8の直動シールにベローズ7を用いているがОリングなどの方法でもかまわない。
スパッタ駆動源8の直動シールにベローズ7を用いた場合は、ベローズ7内は大気となるため、スパッタ駆動源8にはターゲットTまたは圧力分離用の蓋5を押す方向に常時圧力がかかる。従って、図1に示すように、回転テーブル6を回転させスパッタ駆動源8にターゲットTを位置合わせするときは、スパッタ駆動源8にはターゲット支持板3からスパッタ駆動源8を引き離す方向に直動力を作用させる必要がある。
図2に示すスパッタ時には、スパッタ駆動源8がターゲット支持板3に押し付けられて接触した状態となるが、ベローズ7内は大気であるため、スパッタ駆動源8をターゲット支持板3に接触させる方向に大気圧が作用し、スパッタ駆動源8を直動させるために特別に駆動力を与える必要はない。このようにスパッタ駆動源8の直動シールにベローズ7を用いた構造とすると、回転テーブル6の回転時および圧力分離時にワーク室2を大気開放したときにのみ、スパッタ駆動源8に直動力を与えればよい。この時の所要力は、スパッタ駆動源8にかかる大気圧に対向してスパッタ駆動源8を引き戻す力または圧力分離のためにシール手段4を構成するOリングをつぶす力のどちらか大きい方の力となる。
これに対して、スパッタ駆動源8を直動させるスパッタ駆動源移動手段を真空室1内に配置した場合には、必要な駆動力として、圧力分離のために大気圧となるワーク室2からの逆圧をキャンセルする力と、圧力分離用の蓋5の表面のOリングをつぶすための力の合力が必要となる。
本実施例のようにスパッタ駆動源8の移動を真空室1の外から行うことで、スパッタ駆動源8の移動に必要な力をスパッタ駆動源8を直動させるスパッタ駆動源移動手段が真空室1内にある場合の半分ほどに低減できる。これによって装置コストをより一層低減できる。
図4に示すようにワーク室2を省略し、低コスト化を図るために、ワークWの着脱を一体的に行うドアプレート12を設けてもよい。真空室1とドアプレート12の境目には図示しないOリングなどが設けられる。このような構造にすることで、真空引きするスペースが減少し、ポンプの排気速度も小さいもので済むため、装置の小型化と低コスト化のうえでより一層有利となる。
図5および図6は、ターゲット支持板3およびスパッタ駆動源8の詳細な構成と動作を示すもので、図5はスパッタ前のターゲットTの位置合わせ時、図6はスパッタ時の状態を示す。スパッタ駆動源8は、磁石8a、8b、ヨーク8c、アースシールド8d等を有するマグネトロンユニットを備え、該マグネトロンユニットには冷却水流路9が設けられている。スパッタ時には図6に示すように、スパッタ駆動源8をターゲット支持板3に接触させることで、配管9a、9bによって冷却水流路9内に供給、還流される冷却水による冷却を行い、ターゲットTの昇温を抑制する。
ターゲット支持板3との接触面の片当たりを防ぐために、前述のようにスパッタ駆動源8にはティルト機構がついており、ターゲット支持板3は板ばね6bにより弾性的に回転テーブル6に保持されている。また、スパッタするための通電時に真空中での放電を防ぐために、アースシールド3a、3bがターゲット支持板3のワーク側の表面以外を覆う構造となっている。
図7は、図6のA−A線に沿ったスパッタ駆動源8のマグネトロンユニットの断面を示すもので、ターゲットTの表面へ漏洩磁界を形成するために、マグネトロンユニットの中央部と外周部に、それぞれ中央部磁石8aと外周部磁石8bが配設され、これらは互いに反対の極が上になるように配置される。なお、外周部磁石8bは図7では円柱磁石を環状に配置しているが、円環の一体型磁石でもかまわない。漏洩磁界の影響で、電子はターゲットTの表面近傍をトロイダル曲線を描きながら、磁界中を周回、これにより電子軌道に沿って強いプラズマが発生し、この部分が集中的にスパッタされる。スパッタによる発熱を効率的に抑えるために、配管9a、9bによって供給、還流される冷却水を流動させる冷却水流路9を、スパッタの集中がおこる中央部磁石8aと外周部磁石8bの間に配設している。
図8は、ターゲット支持板3を回転テーブル6に揺動自在に結合する板ばね6bを拡大して示すもので、板バネ6bはスパッタ駆動源8をターゲット支持板3に押圧したときに変形し、ターゲット支持板3とスパッタ駆動源8のアースシールド3b、8dの繋ぎ目での放電防止は、アースシールド3b、8dをターゲット支持板3とスパッタ駆動源8の接触時に交差させるように配置することで防止する。
図9ないし図12は実施例2を示すもので、本実施例は、実施例1と同様のターゲット・スパッタ駆動源分離型の多元スパッタリング装置において、スパッタ駆動源8の表面を円形の冷却板10によって覆い、マグネトロン上面に環状の凹所として形成された冷却水流路9を冷却板10により封止する構成となっている。この冷却板10は、図10に示す厚みt(m)に関して以下の式を満たすものである。
Figure 0004667057
ここで、p[Pa]:冷却板に作用する圧力差
r[m] :圧力差が作用する円の半径
v[non]:冷却板材料のポアソン比
E[Pa]:冷却板材料のヤング率
δ[m]:加熱側平面の変形量
冷却板10の図示上方が真空側、図示下方が大気側であり、その圧力差により冷却板10は真空側に押されて変形を起す。加熱側平面であるターゲット支持板3の裏面には、ターゲットTとターゲット支持板3をボンディングする際の熱膨張差に起因した変形が生じていることが多く、変形による接触面積低減のためターゲットTの冷却効率に悪影響を与えていた。このような熱膨張差に起因した変形の場合、ターゲット支持板3の裏面中央部が最大変形部となったうねりの少ない変形形状となることが多い。そのためターゲット支持板3の裏面中央部の最大変形量を加熱側平面の変形量δとして、前記計算式に基づいた冷却板10の形状とすることで、冷却板10はターゲット支持板3の裏面の変形形状に倣い、加熱側平面と冷却側平面の接触面積を稼ぎ、冷却効率を高めることができる。冷却効率をさらに高めたい場合には、板強度が耐えられる範囲内でδの値をターゲット支持板3の裏面中央部の最大変形量の数倍に設定すればよい。
スパッタ時には、図1に示すように複数のターゲットTをスパッタ駆動源8の上部に順次回転位置合わせし、位置合わせ後にスパッタ駆動源8を直動し、図2に示すように、スパッタ駆動源8とターゲットTを固定しているターゲット支持板3を接触させることでスパッタ駆動源8からターゲットTに通電しスパッタを行う。このとき、冷却水流路9を流動する冷却水によってスパッタ駆動源8を冷却し、冷却板10との接触を介してターゲットTの冷却も同時に行う。ターゲットTおよびターゲット支持板3は回転テーブル6に板ばね6bを介して固定されており、また、スパッタ駆動源8はティルト可能な機構を有しているため、ターゲット支持板3とスパッタ駆動源8の接触面はかじることなく接触する。
また、ワーク交換のための圧力分離時には、図3に示すように、圧力分離用の蓋5をスパッタ駆動源8の上部に回転位置合わせし、位置合わせ後にスパッタ駆動源8を直動し、スパッタ駆動源8と圧力分離用の蓋5を接触させ、さらにシール手段4を介して圧力分離用の蓋5を開口部のフランジに押し付けることで圧力分離を行う。
ターゲットTは3種類に限らず、1種類でも複数種類でもよい。本実施例ではスパッタ駆動源8にマグネトロンユニットを用いているがその他の方法でもかまわない。また、スパッタ駆動源8の直動シールにベローズ7を用いているが、Оリングなどの方法でもかまわない。
スパッタ駆動源8の直動シールにベローズ7を用いた場合、ベローズ7内は大気となるため、真空室1内のスパッタ駆動源8にはターゲットTまたは圧力分離用の蓋5を押す方向に圧力がかかる。回転テーブル6を回転させスパッタ駆動源8にターゲットTを位置合わせするときは、スパッタ駆動源8にはターゲット支持板3からスパッタ駆動源8を引き離す方向に直動力を作用させる必要がある。スパッタ時には、スパッタ駆動源8がターゲット支持板3に押し付けられて接触し、ベローズ7内は大気であるため、スパッタ駆動源8をターゲット支持板3に接触させる方向に大気圧が作用するため、スパッタ駆動源8を直動させるために特別に駆動力を与える必要はない。
このようにスパッタ駆動源3の直動シールにベローズ7を用いた構造とすると、テーブル6の回転時および圧力分離時にワーク室2を大気開放したときのみスパッタ駆動源8に直動力を与えればよい。所要力はスパッタ駆動源8にかかる大気圧に対向してスパッタ駆動源8を引き戻す力または圧力分離のためにOリングのシール手段4をつぶす力のどちらか大きい方の力となる。
これに対して、スパッタ駆動源8を移動させるスパッタ駆動源移動手段を真空室1の内部に配置した場合には、必要な駆動力として、圧力分離のために大気圧となるワーク室2からの逆圧をキャンセルする力と圧力分離用の蓋5の表面のOリングをつぶすための力の合力が必要となる。
これに比べて、本実施例のようにスパッタ駆動源8の移動を真空室1の外から行うことで、スパッタ駆動源8の移動に必要な駆動力を、スパッタ駆動源の移動機構が真空室内にある場合の半分ほどに低減でき、装置の低コスト化を図ることができる。
本実施例の真空内冷却機構は、冷却板10を挟んで上部が真空側、下部が大気側であり、冷却板10の厚みtを前述の計算式により与えることで、冷却板10をターゲット支持板3に倣わせることができる。すなわち、冷却水が環状の冷却水流路9を流れており、この冷却水による水圧を利用して、冷却板10をさらに撓ませることで、接触面積の増加を図ることができる。
スパッタ駆動源に冷却板を設けることなく、冷却水流路はスパッタ駆動源に掘り込むことで形成された場合は、冷却面となるスパッタ駆動源の上面は平面度、表面粗さともになるべく小さくなるように加工され、真空と大気圧の圧力差による変形が生じにくい構造であるため、ターゲット支持板の裏面が平面度、表面粗さともに良好であれば、接触面積も大きくなり、高い冷却効率が得られるが、ターゲット支持板が撓んでいた場合は、接触面積は小さくなり、冷却効率を向上させるのが難しい。
図11および図12は、冷却板10に同心円状の溝10aを形成したものである。このような溝10aを設けることで、冷却板10の強度を保ちつつ、板厚の薄い部分をつくることができるため、冷却板10の撓み性が向上し、冷却側平面と加熱側平面の面同士が互いに倣いやすくすることができる。また冷却側平面と加熱側平面の間へのゴミ混入の影響を低減することができ、必要な冷却性能を安定して得ることが可能となる。
本実施例によれば、真空中で加熱された物体を、加熱物体平面部と分離独立し冷却された物体平面に接触させることで、加熱物体を冷却する冷却機構において、大気圧と真空の圧力差を利用することで、冷却側平面を加熱側平面に撓ませ、加熱側平面に倣わせることで接触面積を増やし、加熱物体を効率よく冷却することができる。すなわち、真空室内外の圧力差を利用して、冷却側平面を撓ます力を得ており、安定した力を安価に与えることが可能である。また、冷却側平面を
冷却水により加圧することで加熱側平面との接触面積を増やし、加熱物体を冷却することができる。
前述の計算式を用いて冷却側の板厚を定めることで、冷却側平面を加熱側平面の変形量以上に撓み変形するように設定できる。その結果、冷却側平面が平らであった場合において、加熱側平面との間に生じたであろう隙間を冷却側平面の変形により吸収することができ、冷却効率を高めることができる。
上記の圧力差および水圧に加えて、スパッタ駆動源を移動する直動アクチュエータによる加圧力を利用することで、冷却側平面と加熱側平面の接触面積をさらに増加させることができる。
また、冷却側平面に同心円状の溝を入れることで、溝を入れなかった場合の強度を保ちつつ、板厚の薄い部分をつくることができるため、撓み性が向上し、冷却側平面と加熱側平面の面同士が互いにならいやすくなるとともに、加熱側平面と冷却側平面間へのゴミ挟み込みによる接触面積低減の影響を小さくすることができる。例えば加熱側平面がうねっていた場合やゴミが混入した場合に、冷却側平面に溝がないとうねりの頂上部分またはゴミ部分でのみしか接触しないことが考えられるが、冷却側平面に溝を入れて局所的に変形しやすくすることで、加熱側平面の大変形およびうねりに対する追従性が高まり、溝間の陸部で確実に両平面を接触させることができる。例えば、冷却対象の接触部分について、実際の品物に比べて高い平面度の出ている面同士を接触させたときの冷却効率を実験的に同定しておき、実際に必要な冷却効率との差の分だけ溝を入れて、陸部分の接触の確実性を高めることで、溝を入れなかった場合に比べて必要な冷却効率を確実に得ることが可能となる。
加熱側平面または冷却側平面のいずれかにグラファイトシートを固定してもよい。一般に、スパッタリング装置において、ターゲットを溶着したターゲット支持板や冷却機構を有するスパッタ駆動源を形成する材料は、冷却効率を高めるという観点から、熱伝導率の良好な銅を材質としている。銅に比べて硬度の低いグラファイトシートを加熱側平面と冷却側平面の間に挟み込むことで、両平面の微小なうねりをグラファイトシートに吸収させて、冷却効率を高めることができる。大きなうねり要素は冷却板の撓み変形を利用して吸収し、そこで吸収しきれない微小なうねり要素をグラファイトシートの挟み込みによって吸収することで、冷却効率をより高めることが可能となる。
実施例1による成膜装置を示すもので、(a)はその模式断面図、(b)は(a)の回転テーブルのみを示す平面図である。 図1の装置をスパッタ時の状態で示す図である。 図1の装置を圧力分離時の状態で示す図である。 実施例1の一変形例を示す図である。 ターゲット支持板およびスパッタ駆動源の構成を示す断面図である。 図5の装置をスパッタ時の状態で示す断面図である。 図6のA−A線に沿ってとった断面図である。 板ばねの変形状態を拡大して示す説明図である。 実施例2を示すもので、(a)はターゲット支持板とスパッタ駆動源のみを示す断面図、(b)は(a)のA−A線に沿ってとった断面図である。 図9のスパッタ駆動源の構成を示す断面図である。 実施例2の一変形例を示す断面図である。 図11の冷却板を示す平面図である。
符号の説明
1 真空室
2 ワーク室
3 ターゲット支持板
4 シール手段
5 蓋
6 回転テーブル
7 ベローズ
8 スパッタ駆動源
9 冷却水流路
10 冷却板
12 ドアプレート

Claims (8)

  1. ターゲットからスパッタリングされた粒子をワークに成膜する成膜装置において、内部に前記ターゲットが配置され、前記ワークに向かって開口する開口部を備えた真空室と、前記真空室内において、前記ターゲットを逐次前記開口部に対応するスパッタ位置に移動させるターゲット移動手段と、前記スパッタ位置における前記ターゲットの裏面に対向するように配設されたスパッタ駆動源と、前記スパッタ駆動源を前記スパッタ位置において前記ターゲットの裏面側に押圧するスパッタ駆動源移動手段と、記ターゲット移動手段によって前記スパッタ位置に移動せられ、前記スパッタ位置において記開口部を閉じるように構成され蓋と、を有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記スパッタ駆動源の移動により、前記蓋は前記開口部に対して押圧させられて前記開口部を閉じることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記ターゲット移動手段が、複数のターゲットと記蓋とを同一平面内において円周方向に所定の間隔で支持していることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  4. 前記複数のターゲットと蓋は、板ばねを介して前記ターゲット移動手段に支持されていることを特徴とする請求項3記載の成膜装置
  5. 前記スパッタ駆動源が、冷却水を流動させるための冷却水流路を備え、前記ターゲットの裏面側に均一に当接するためのティルト機構を備えていることを特徴とする請求項1ないしいずれか1項記載の成膜装置。
  6. 前記スパッタ駆動源が、真空室と大気の圧力差によって変形自在である冷却板を有し、前記冷却板を介してターゲットの裏面側に押圧されるように構成されていることを特徴とする請求項4または5記載の成膜装置。
  7. 前記冷却板の厚みt(m)が以下の式で表わされる関係を満たすように設定されていることを特徴とする請求項6記載の成膜装置。
    Figure 0004667057
    ここで、p[Pa]:冷却板に作用する圧力差
    r[m] :圧力差が作用する円の半径
    v[non]:冷却板材料のポアソン比
    E[Pa]:冷却板材料のヤング率
    δ[m]:加熱側平面の変形量
  8. 請求項1ないしいずれか1項記載の成膜装置によってワークにスパッタリング成膜を行う成膜方法であって、
    真空室の開口部に対応するスパッタ位置にターゲットを逐次移動させてスパッタ駆動源を押圧し、スパッタリングを行う工程と、
    スパッタ位置に圧力分離用の蓋を移動させて真空室の開口部を閉じた状態でワークの交換を行う工程と、を有することを特徴とする成膜方法。
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