JP4666884B2 - デンプンからのエタノールの製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、デンプンからのエタノールの製造方法に関する。さらに詳しくは、グルコアミラーゼを細胞表面に提示する酵母を用いる、エタノールの製造方法に関する。
背景技術
新しいエネルギー資源としてのバイオマスの利用が、近年注目されている。植物起源のセルロースおよびデンプン性物質は、最も豊富に存在する利用可能なバイオマス資源である。特に、デンプン資源から生産されるエタノールは、再生可能な環境調和型エネルギー資源として注目され、今後その需要が増加すると予想されている。
現在の発酵法によるデンプンからのエタノール生産は、蒸煮および酵素処理によるデンプン質の糖化、ならびにその後の酵母による発酵という2段階の工程で行われている。これは、酵母が、アミラーゼなどの分泌型酵素を有していないため、酵母はデンプンを分解して糖化することができず、デンプンを炭素源として利用できないからである。そこで、酒作りにおいては、アミラーゼを分泌する麹菌などを用いて米のデンプンを糖化させ、次いで、これに酵母を作用させて、アルコール発酵を行い、酒を製造している。したがって、酵母にアミラーゼをコードする遺伝子を導入してアミラーゼを分泌させれば、酵母はデンプンを唯一の炭素源として生育し、アルコール発酵が可能となる。このようなグルコアミラーゼ分泌型酵母は、これまでにいくつか構築されている(Briol,G.ら、Enzyme Microb.Technol.,22:672−677(1998);Cole,G.E.ら、Bio/Technol.,6:417−421(1988);Ibragimova,S.Iら、Biotechnol.Bioeng.,46:285−290(1995);Inlow,D.ら、Biotechnol.Bieng.,32:227−234(1988);Innis,M.A.ら、Science288:21−26(1985);Nakamuraら、Biotechnol.Bioeng.,53:21−25(1997))。しかし、いずれも酵母の生育およびエタノール生産量が低く、実用的ではない。
そこで、例えば、アミラーゼを分泌するよりも、酵母の細胞表層に固定化した方が、より効率的なアルコール発酵が可能であると考えられる。本発明者らは、グルコアミラーゼを非凝集性酵母表層に固定化し、この酵母をデンプンを唯一の炭素源として生育させ、アルコールを生産することに成功している(植田ら、Appl.Environ.Microbiol.,63:1362−1366(1997))。しかし、この段階では、酵母に組込まれたプラスミドの安定性が低く、そしてエタノールの生産量も多くないため、工業的利用は困難であった。
発明の開示
そこで、工業的に利用可能な、より効率のよいエタノール製造プロセスが求められている。本発明では、グルコアミラーゼを細胞表面に提示するより安定な酵母を用いて、より高い効率でエタノールを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、グルコアミラーゼを細胞表層に提示するように組換えられたDNAを有する凝集性酵母を用いて、デンプン存在下で発酵させる工程を含む、エタノールの製造方法に関する。
好ましい実施態様においては、前記発酵させる工程が、繰り返し回分発酵させる工程または連続発酵させる工程である。
また、好ましい実施態様においては、前記発酵工程が、40〜300g/lのデンプンを含む培地中で、pH4〜6にて、20〜45℃で嫌気的条件下行われる。
別の好ましい実施態様においては、前記連続発酵工程において、培地の供給速度が培地の量の0.07〜0.2v/v%/時間である。
また、好ましい実施態様においては、前記DNAがプラスミドの形態であり、このプラスミドが、マルチコピー型ベクターまたは染色体組込み型ベクターである。
好ましい実施態様においては、前記凝集性酵母がYF207株に由来し、前記DNAを有する凝集性酵母がYF207/pGA11またはYF207/pIGA11である。
本発明は、また、グルコアミラーゼを細胞表層に提示するように組換えられたDNAを有する非凝集性酵母を用いて、デンプン存在下で繰り返し回分発酵または連続発酵させる工程を含む、エタノールの製造方法に関する。
好ましい実施態様においては、前記発酵工程が、40〜300g/lのデンプンを含む培地中で、pH4〜6にて、20〜45℃で嫌気的条件下行われる。
また、好ましい実施態様においては、前記連続発酵工程において、培地の供給速度が培地の量の0.07〜0.2v/v%/時間である。
別の好ましい実施態様においては、前記DNAがプラスミドの形態であり、該プラスミドが、マルチコピー型ベクターまたは染色体組込み型ベクターである。
さらに、本発明は、グルコアミラーゼを細胞表層に提示する凝集性酵母にも関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の方法に使用される酵母は、グルコアミラーゼを細胞表層に提示するようにDNAを導入して形質転換された酵母である。導入されるDNAは、分泌シグナル配列、グルコアミラーゼの構造遺伝子配列、細胞表層局在タンパク質の一部をコードする配列、およびGPIアンカー付着シグナル配列をこの順で含む。
分泌シグナル配列は、一般に細胞外(ペリプラズムも含む)に分泌されるタンパク質(分泌性タンパク質)のN末端に結合している、疎水性に富んだアミノ酸を多く含むアミノ酸配列であり、通常、分泌性タンパク質が細胞内から細胞膜を通過して細胞外へ分泌される際に除去される。
本発明においては、グルコアミラーゼを酵母の細胞外に分泌(移動)させることができる分泌シグナル配列であれば、どのような分泌シグナル配列でも用いられ、起源は問わない。例えば、分泌シグナル配列としては、グルコアミラーゼの分泌シグナル配列、酵母のα−またはa−アグルチニンのシグナル配列などが好適に用いられる。グルコアミラーゼの活性に影響を及ぼさないのであれば、分泌シグナル配列の一部または全部がグルコアミラーゼのN末端に残ってもよい。
細胞表層提示タンパク質は、酵母の細胞表層に固定され、細胞表層に提示されるタンパク質をいう。例えば、性凝集タンパク質であるα−またはa−アグルチニンが挙げられる。このようなタンパク質は、分泌シグナル配列を有する点で分泌タンパク質と同様であるが、GPIアンカーを介して細胞膜に固定されて輸送される点で分泌タンパク質とは異なる。細胞表層提示タンパク質は、C末端にGPIアンカー付着認識シグナル配列を有しており、その認識シグナル配列は、選択的に切断されたC末端部分でGPIアンカーと結合して細胞膜に固定される。その後、PI−PLCにより、GPIアンカーの根元部が切断され、細胞壁に組み込まれて細胞表層に固定され、細胞表層に提示される。
ここで、GPIアンカーとは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)と呼ばれるエタノールアミンリン酸−6マンノースα1−2マンノースα1−6マンノースα1−4グルコサミンα1−6イノシトールリン脂質を基本構造とする糖脂質をいい、PI−PLCとは、ホスファチジルイノシトール依存性ホスホリパーゼCをいう。
細胞表層局在タンパク質の一部をコードする配列とは、酵母の細胞表面に提示されるタンパク質(例えばα−またはa−アグルチニン)の一部をコードする配列をいい、主にC末端部分をコードする配列をいうが、グルコアミラーゼの活性に悪影響を与えなければ、どのような配列でもよい。好適には、α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列が用いられる。このアミノ酸配列中には4個所の糖鎖結合部位がある。GPIアンカーがPI−PLCで切断された後に、この糖鎖と細胞壁を構成する多糖類とが共有結合することにより、α−アグルチニンのC末端配列部分が細胞壁と結合して保持されるので、特に有用である。
GPIアンカー付着シグナル配列とは、GPIアンカーが細胞表層局在タンパク質と結合する際に認識される配列であり、通常、細胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置する配列である。酵母のα−アグルチニン配列のC末端部分をコードする配列が好適に用いられる。上記α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列の3’末端側には、GPIアンカー付着シグナル配列をコードする配列が含まれるので、このC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列が有用である。
本明細書において、グルコアミラーゼとは、デンプンの非還元末端からグルコース単位を切り離していくエキソ型の加水分解酵素をいう。このような活性を有していれば、その起源は問わないが、RhizopusおよびAspergillusなどのカビ由来のグルコアミラーゼが用いられる。例えば、植田らの文献(前出)に記載のように、Rhizopus oryzae由来のグルコアミラーゼが好適に用いられる。未知のグルコアミラーゼの遺伝子を当業者が通常用いる方法で決定して用いてもよいし、あるいは公知のグルコアミラーゼの配列を利用してもよい。
分泌シグナル配列、グルコアミラーゼの構造遺伝子配列、細胞表層局在タンパク質の一部をコードする配列、およびGPIアンカー付着シグナル配列をこの順で含むDNAの合成は、当業者が通常用い得る技術で行われる。例えば、分泌シグナル配列とグルコアミラーゼの構造遺伝子との結合は、部位特異的突然変異法を用いて行うことができ、正確な分泌シグナル配列の切断と活性なグルコアミラーゼの発現が可能である。さらにこの配列と、細胞表層局在タンパク質の一部をコードする配列およびGPIアンカー付着シグナル配列とを結合すればよい。
上記DNAはプラスミドの形態であることが望ましい。DNAの取得の簡易化の点からは、大腸菌とのシャトルベクターであることが好ましい。このDNAの出発材料としては、例えば、酵母の2μmプラスミドの複製起点(Ori)とColE1の複製起点とを有しており、また、酵母選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子、TRP、LEU2など)および大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性遺伝子など)を有することがさらに好ましい。また、グルコアミラーゼ構造遺伝子を発現させるために、この遺伝子の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどのいわゆる調節配列をも含んでいることが望ましい。例えば、GAPDH(グリセルアルデヒド3’−リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーターおよびGAPDHターミネーターが挙げられる。このような出発材料のプラスミドとして、pYE22m、pYGA2270などが挙げられる。
最も好適には、プラスミドpYGA2270またはpYE22mのGAPDHプロモーターとGAPDHターミネーターの配列の間に、分泌シグナル配列およびグルコアミラーゼの構造遺伝子配列を有する配列とα−アグルチニンのC末端から320アミノ酸をコードする配列とを結合した配列を挿入すれば、酵母に導入するために使用されるプラスミドが製造される。本発明においては、好適には、このように製造されたマルチコピー型のpGA11および染色体組込み型のpIGA11が用いられる(図1)。
宿主の酵母としては、アルコール発酵能を有する酵母であれば、どのような酵母でもよい。非凝集性および凝集性の酵母が用いられる。凝集性の酵母が、反応後の分離が簡単である点で、あるいは簡単に固定できるため連続反応を行い得る点で好ましい。
非凝集性の酵母としては、特に制限はないが、例えば、Saccharomyces cerevisiae MT8−1などが挙げられる。
凝集性の酵母としては、Saccharomyces diastaticus ATCC60715、同ATCC60712、Saccharomyces cerevisiae IFO1953、同CG1945、同HF7Cなどが挙げられる。また、新たな凝集性酵母を構築してもよい。例えば、後述の実施例1に示すように、M.D.Roseら(Methods in Yeast Genetics,1990,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)の方法に従って、凝集性酵母ATCC60712と非凝集性酵母W303−1Bとの接合による二倍体から、凝集性酵母YF207およびこれと同等の性質を有する酵母を得ることができる。本発明者らが取得した凝集性酵母YF207株は、プラスミドの安定性に優れ、さらに発酵能が非常に高い。従って、グルコアミラーゼを細胞表層に発現するように組換えられた凝集性酵母YF207株を用いた場合は、エタノールの生産性は非常に高くなる。
本発明の方法で用いられるグルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母は、上記DNAを酵母に導入することにより得られる。DNAの導入とは、酵母の中にDNAを導入し、発現させることを意味する。DNAの導入の方法には、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクション、エレクトロポレーションなどの方法があり、具体的には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法などがある。
導入されるDNAは、プラスミドの形態で、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよい。
DNAが導入された酵母は、選択マーカー(例えばTRP)で選択され、グルコアミラーゼ活性を測定することにより選択される。グルコアミラーゼが細胞表層に固定されていることは、抗グルコアミラーゼ抗体とFITC標識抗体とを用いる免疫抗体法によって確認し得る。
本発明の方法で用いられるグルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母は、グルコアミラーゼを分泌するようにコードされたDNAを含んでいてもよい。また、本発明の方法で用いられるグルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母は、デンプンを可溶化するエンド型加水分解酵素であるα−アミラーゼを細胞表層に発現または細胞外に分泌するようにコードされたDNAを含んでいてもよい。
本発明の方法で用いられるグルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母は、担体に固定化されていてもよい。固定されていると、繰り返し回分発酵または連続発酵における使用に便利である。
本明細書において、担体とは、酵母を固定化することができる物質を意味し、好ましくは、水またはある特定の溶媒に対して不溶性の物質である。本発明に用い得る担体の材質としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体などの発泡体あるいは樹脂が好ましい。酵母の増殖および活性が低下したあるいは死滅した酵母の脱離などを考慮すると、多孔質の担体が好ましい。多孔質体の開口部の大きさは細胞によっても異なるが、酵母が十分に入り込めて、増殖できる大きさが適当であり、50μm〜1,000μmが好適であるが、これに限定されない。
また、担体の形状は問わない。担体の強度、培養効率などを考慮すると、球状あるいは立方体状であり、大きさは、球状の場合、直径が2mm〜50mm、立方体状の場合、2mm〜50mm角が好ましい。
本明細書において、酵母の固定化とは、酵母が遊離の状態ではない状態を意味し、例えば、酵母が担体に結合あるいは付着または担体内部に取り込まれた状態などをいう。酵母の固定化には、例えば、担体結合法、架橋法および包括法などの当業者が通常用いる方法が適用できる。なかでも、凝集性の酵母の固定化には、担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着法が含まれる。
本発明の方法で用いられるグルコアミラーゼを細胞表層に提示する凝集性酵母は、担体に固定化されているにもかかわらず、増殖可能であり、そして活性が低下すると自然に脱落していく性質を有しているため、担体に結合した酵母は、生菌数がほぼ一定に保たれ、活性が高いという特徴がある。この特徴を考慮すると、担体への結合は物理的吸着が最も好ましい。物理的吸着には特別な手段は必要ない。凝集性あるいは接着性の細胞と上記多孔質の担体とを単に混合して培養することにより、細胞が多孔質体の開口部に入りこみ、担体に付着する。
本明細書において、凝集性とは、液体中に浮遊または分散して存在する酵母などが、集合して塊(集合体)を作る性質を意味し、接着性とは、酵母同士が接着または結合し、集合体を形成する性質を意味する。
本明細書において、活性が低下したとは、酵母自体は死滅していないものの細胞全体の活性が弱まった状態、あるいは、例えば、凝集に関する活性が低下する、凝集に関する酵素をコードするDNAのレベルで活性が弱まるなどの状態となり、凝集できなくなる状態をいう。
また、本発明においては、凝集性または接着性の酵母は、凝集または接着に関する遺伝子の導入により凝集性または接着性を付与された酵母であってもよい。
凝集または接着に関する遺伝子とは、凝集または接着に関与する物質、例えば、酵母におけるキチン、レクチンなどをコードする構造遺伝子が挙げられ、凝集性に関する遺伝子としては、FLO1(J.Watariら、Agric.Biol.Chem.,55:1547(1991),G.G.Stewartら、Can.J.Microbiol.,23:441(1977),I.Russellら、Inst.Brew.,86:120(1980),C.W.Lewisら、J.Inst.Brew.,82:158(1976))、FLO5(I.Russellら、J.Inst.Brew.,85:95(1979))、およびFLO8(I.Yamashitaら、Agric.Biol.Chem.,48:131(1984))などの遺伝子が挙げられる。
これらの凝集または接着に関する遺伝子は、上記の出発材料のプラスミドに組み込まれて、グルコアミラーゼを細胞表層に提示するように設計されたDNAとともに酵母に導入される。
このようにして得られる固定化された酵母は、担体に付着した状態で、浮遊状態で培養されるか、カラムなどに充填されて、いわゆるバイオリアクターとして用いることもできる。連続的にあるいは回分(バッチ)で繰り返し培養および発酵させた場合でも、活性が低下したあるいは死滅した細胞が脱離していくので、酵母としての活性が低下することはなく、有効に利用することができる。
本発明による、グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母を、デンプン存在下で発酵させて、エタノールを製造する方法を説明する。
グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母を、まず、好気的条件下で培養して、その数を増加させる。培地は、選択培地であっても非選択培地であってもよい。この酵母は、デンプンを炭素源として生育可能であり、培養時の培地中のデンプン濃度は、可溶性デンプンを用いる場合、溶ける限界濃度のデンプンを添加することが好ましく、好ましくは約1〜約10g/l、より好ましくは約2〜約6g/l、最も好ましくは約4g/lである。培養時の培地のpHは、好ましくは約4.0〜約6.0、最も好ましくは約5.0である。好気的培養時の培地中の溶存酸素濃度は、好ましくは約0.5〜約6ppm、より好ましくは約1〜約4ppm、最も好ましくは約2.0ppmである。また、培養時の温度は、約20〜約45℃、好ましくは約25〜約35℃、最も好ましくは約30℃である。培養時間は、菌体濃度が10g/l以上になるまで培養することが好ましく、約20〜約50時間程度である。
次いで、グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母を、嫌気的条件下で発酵させて、エタノールを生産させる。この発酵工程の形式としては、回分(バッチ)工程、流加回分工程、繰り返し回分工程、連続工程などが挙げられるが、これらのいずれであってもよい。好ましくは、繰り返し回分工程または連続工程である。
回分発酵工程とは、予め発酵槽内に入れられた培地に酵母を接種することによって行われる閉鎖的発酵法である。目的とするアルコール濃度に応じて、回分発酵工程の時間を決定すればよい。
流加回分工程とは、上記回分工程に対し、栄養培地を供給しながら発酵させるが、目的生産物はある時期に至るまで抜き取らない方法である。各回分のデンプンの供給量は、好ましくは発酵槽内の初期デンプン濃度が約40〜約150g/l、より好ましくは約60〜約120g/lである。また、流加回分工程を行う時間は、目的とするアルコール濃度に応じて決定すればよい。
繰り返し回分工程とは、上記回分工程を、繰り返して行う工程である。具体的には、1回目の回分工程後、培地と酵母とを分離して、培地を抜き出し、その後新鮮培地を新たに添加して発酵工程を行う、という操作が繰り返して行われる。1回あたりの回分工程の時間は、目的とするアルコール濃度に応じて決定すればよい。
連続発酵工程とは、発酵槽に新鮮な培地を連続的に供給しながら、同時に生産物(すなわち、エタノール)を含む培地を発酵槽から抜き取っていく工程である。連続発酵工程では、新鮮培地の供給速度とエタノールを含む培地の排出速度とを等しくして操作される。培地の供給速度は、好ましくは発酵槽内の培地の量の約0.01〜約0.4v/v%/時間、より好ましくは約0.07〜約0.2v/v%/時間である。また、連続発酵工程では、酵母は、発酵槽内で担体に固定されていることが好ましい。
発酵時の培地に添加するデンプン濃度は、好ましくは約40〜約150g/lである。特に、繰り返し回分工程の場合、デンプン濃度は、より好ましくは約50〜約120g/l、最も好ましくは約60g/lである。また、連続工程の場合、添加デンプン濃度は、好ましくは約40〜約300g/l、より好ましくは約60〜約250g/l、最も好ましくは約200g/lで維持される。発酵時の培地のpHは、好ましくは約4.0〜約6.0、最も好ましくは約5.0である。
嫌気的発酵時の培地中の溶存酸素濃度は、好ましくは約1.0ppm以下、より好ましくは約0.1ppm以下、最も好ましくは約0.05ppm以下である。また、発酵時の温度は、約20〜約45℃、好ましくは約25〜約35℃、最も好ましくは約30℃である。
発酵の進行とともに上記の発酵条件が変化するので、これらを一定の範囲に調節することが好ましい。発酵の経時変化は、例えば、ガスクロマトグラフ、HPLCなどの当業者が通常用いる手段でモニターすればよい。
発酵工程終了後、エタノールを含む培地を発酵槽から抜き取り、例えば、遠心分離機による分離操作および蒸留操作などの当業者が通常用いる分離工程によって、エタノールが単離される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母の作成)
凝集性酵母であるSaccharomyces diastaticus ATCC60712(MATa leu2−3,112 his2 lys2 sta1 FLO8)および非凝集性酵母であるW303−1B(MATα ura3−52 trp1Δ2 leu2−3,112 his3−11 ade2−1 can1−100)を用い、M.D.Roseら(前出)の方法に従って、トリプトファン栄養要求性の新たな凝集性の菌株YF207(MATa ura3−52 trp1Δ2 his ade2−1 can1−100 sta1 FLO8)を得た。
マルチコピー型プラスミドpGA11および染色体組込み型プラスミドpIGA11(いずれも京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻の田中研究室より供与された;図1)を、Yeast Maker(Clontech Laboratories,Inc.,Palo Alto,CA)を用いた酢酸リチウム法によって、それぞれ酵母YF207に導入した。なお、染色体組込み型プラスミドpIGA11については、制限酵素ApaIで切断した後、酵母に導入した。これを、選択培地として、L−トリプトファンを含まない適切なアミノ酸および塩基を補充したSD寒天培地(6.7g/L Yeast nitrogen base w/o amino acids(Difco Laboratories製)、2%グルコース、0.02g/L硫酸アデニン、0.02g/L L−ヒスチジン・HCl、0.03g/L L−ロイシン、0.02g/L L−リジン、0.02g/Lウラシル)を用いて、培養した。生育した酵母を選択し、それぞれYF207/pGA11およびYF207/pIGA11と命名した。
(実施例2:グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母の機能の確認)
実施例1で得られた菌株YF207/pGA11およびYF207/pIGA11が、グルコアミラーゼを細胞表層に提示しているかどうかを、以下のようにグルコアミラーゼ活性を測定することによって確認した。
煮沸した酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.6)に、0.5%の濃度になるように可溶性デンプンを加えて、基質溶液とした。0.9mlの基質溶液を30℃で5分間保持した後、0.1mlの菌体懸濁液を添加し、そして混合物を30℃にて15分間インキュベートした。反応を、10分間の煮沸によって停止し、そして生じたグルコースの濃度を、市販のキットであるグルコース CIIテストワコー(和光純薬(株)製)を用い、分光光度計(U−2001、日立製)を使用して505nmでの吸光度を測定することによって求めた。グルコアミラーゼ1ユニットを、デンプンから1分あたり1μmolグルコースを遊離させるために必要な酵素の量と定義した。その結果、YF207/pGA11およびYF207/pIGA11は、それぞれ約1〜4ユニット/g乾燥菌体および約0.5〜2ユニット/g乾燥菌体のグルコアミラーゼを発現していることがわかった。
なお、乾燥菌体重量は、以下のように測定した。試料1mlをエッペンドルフチューブに取り、6000rpmで5分間の遠心分離によってペレットにした。上清を除去した後、ペレットを1mlの蒸留水に再懸濁して再度遠心分離によってペレットにして乾燥させた。ペレットの入ったチューブの重量を測定し、空のエッペンドルフチューブの重量との差から、乾燥菌体重量を求めた。
また、実施例1で得た新たな菌株YF207/pGA11およびYF207/pIGA11の凝集能を、Smitらの方法(Smitら、Appl.Environ.Microbiol.,58:3709−3714(1992))に従って測定した。その結果、これらの菌株は、プラスミドを導入する前のYF207と同様の強い凝集能を示した。これは、グルコアミラーゼの細胞表層発現が、酵母の凝集能に影響を及ぼさないことを示す。
(実施例3:グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母の培養)
実施例1で得られた酵母各5mlを、1%カザミノ酸(Difco Laboratories製)を含むSD培地100mlにそれぞれ接種し、30℃にて48時間振とうすることによって、種培養を行った。
次いで、各50mlの種培養物を、1Lの4%YPS培地(10g/L酵母エキストラクト(Difco Laboratories製)、20g/Lポリペプトン(和光純薬(株)製)、40g/Lデンプン(溶性)(和光純薬(株)製)、5g/Lグルコース)を予め入れた2Lのジャーファーメンター(BMJ−02PI、Biott Corp.,東京)にそれぞれ入れ、30℃にて好気的条件下で培養した。培地のpHを、硫酸および水酸化ナトリウムの添加によって5.0に維持し、そして溶存酸素濃度(DO)を、撹拌速度を調節することによって2.0ppmに維持した。乾燥菌体重量が約15g/Lに達した後、培地を抜き取って、5000rpmでの10分間の遠心分離によって菌体を回収した。このように培養した菌株を、以下の種々の発酵工程に用いた。
(実施例4:YF207/pGA11を用いる回分発酵工程によるエタノールの製造)
実施例3に記載の培養を約35時間行った後、回収したYF207/pGA11の菌体ペレットを、ジャーファーメンター中の1Lの6%YPS培地(すなわち、60g/Lのデンプンを含む)に接種し、pH5.0、30℃にて嫌気的条件下で緩やかに撹拌(150rpm)しながら約35時間発酵を行った。培養および発酵工程を通して、デンプン濃度、グルコース濃度、エタノール濃度、乾燥菌体重量、グルコアミラーゼ活性、およびプラスミド安定性をモニターした。
グルコース濃度は、グルコースCIIテストワコー(和光純薬(株)製)を用い、分光光度計(U−2001、日立製)を使用して測定した。
デンプン濃度は、以下のように測定した。すなわち、1.0mlの試料から、5000rpmで5分間遠心分離によって菌体を分離し、上清を蒸留水で希釈して、デンプン濃度測定に使用した。Aspergillus niger由来のグルコアミラーゼ溶液(6100ユニット/ml、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を蒸留水で100倍希釈し、0.9mlの希釈した試料に0.1mlのグルコアミラーゼ溶液を加えて、30℃にて30分間インキュベートした。反応を10分間の煮沸によって停止した後、溶液中のグルコース濃度を、上記グルコース濃度の測定と同様に測定し、デンプン濃度に換算した。
また、エタノール濃度は、水素炎イオン化検出器を装着したガスクロマトグラフ(Model GC−8;島津製作所製)を使用して測定した。測定条件は以下のとおりであった:カラム、3.0mm×3.1mのガラスに充填されたUnisole 3000(GL Science Inc.);カラム温度、210℃;インジェクター/検出器の温度、270℃;キャリアガス、窒素(流速:25ml/分)。
また、プラスミド安定性は、以下のように測定した。試料を、トリプトファンを含まないSD培地で希釈し、そしてYPDプレートおよびトリプトファンを含まないSDプレートに播いた(M.D.Roseら、前出)。30℃にて48時間のインキュベーション後、両方のプレート上のコロニー数をカウントした。プラスミド安定性(X)を、YPDプレート上のコロニー数(A)とトリプトファンを含まないSDプレート上のコロニー数(B)との比較によって決定した。すなわち、X(%)=B×100/Aとした。
結果を図2に示す。好気的条件下培養での酵母の増殖速度は速く、デンプン濃度は迅速に低下した。発酵工程では、デンプン(○)の分解およびエタノール(▲)の生産は、時間のずれなく開始された(図2(a))。エタノールの生産速度は速く(0.71g/時間/L)、そしてその濃度は、30時間の発酵で25g/Lまで達した。プラスミド安定性は、培養時にはわずかに低下したが、発酵工程においては維持されていた(データは示さず)。さらに、細胞上のグルコアミラーゼ活性(▽)は、むしろ上昇しており、発酵工程中は維持されていた。
(実施例5:YF207/pGA11を用いる繰り返し回分発酵工程によるエタノールの製造)
実施例4に記載の回分発酵工程と同様に1回目の発酵工程を約35時間行った後、酵母を5000rpmで10分間の遠心分離によって分離した。YF207/pGA11は凝集性酵母なので、沈降によって培地と分離可能であるが、菌体を完全に回収するために遠心分離を行った。回収した菌体を、1Lの新鮮な6%YPS培地に接種し、再度発酵工程を行った。この繰り返し操作を、約300時間にわたって7回続けた。
結果を、図3に示す。発酵工程中のエタノール濃度(▲)から算出した1〜7回分におけるエタノール生産速度は、それぞれ0.71、0.67、0.56、0.59、0.67、0.62、および0.60g/時間/Lであった。1〜7回分におけるエタノールのデンプンからの収率は、それぞれ58、46、49、50、59、51、および57%であった。このように、エタノール生産速度およびエタノールの収率は、7回の繰り返し発酵工程の約300時間にわたって維持されていた。さらに、細胞表層に提示されたグルコアミラーゼの活性(▽)およびプラスミド安定性(◆)は、長時間の発酵工程中、同じレベルで維持された。したがって、YF207/pGA11は、マルチコピー型のプラスミドが導入されたものであるにもかかわらず、この菌株によるエタノール生産の安定性が非常に高いものであることが分かった。
(実施例6:YF207/pGA11を用いる流加回分発酵工程によるエタノールの製造)
実施例3に記載と同様に培養を約35時間行って、乾燥菌体重量が約15g/Lに達した後、500mlの濃縮培地1(1g/L酵母エキストラクト、1g/Lポリペプトン、105g/Lデンプン、7.5g/Lグルコース)をファーメンターに供給し、嫌気的条件下、pH5.0で30℃にて発酵を行った。酵母によるデンプン消費量が低下した後、500mlの濃縮培地2(2g/L酵母エキストラクト、1g/Lポリペプトン、140g/Lデンプン、10g/Lグルコース)を補充し、30℃にて発酵を続けた。酵母によるデンプン消費量が再度低下した後、500mLの発酵培地をファーメンターから取り出し、そして500mlの濃縮培地2をファーメンターに供給し、発酵を続けた。同じ供給手順を再度繰り返した。
結果を、図4に示す。発酵培地中のエタノール濃度(▲)は、約140時間の発酵によって76.0g/Lに達した。発酵培地中のグルコース濃度(●)は、発酵中低レベルを維持した。しかし、流加回分発酵工程においては、デンプン(○)は蓄積していった。これは、途中で供給される濃縮培地中に不溶性デンプンが存在するため、細胞表層に提示されたグルコアミラーゼが不溶性デンプンを十分に分解できなかったためと考えられた。
(実施例7:YF207/pGA11を用いる連続発酵工程によるエタノールの製造)
実施例4と同様の培地および培養条件下でYF207/pGA11を用いて回分発酵を行い、発酵開始から約30時間後、連続発酵に切り替えて連続運転を開始した。デンプン濃度200g/lの培地を、供給速度が0.2V/V%/hrとなるように、連続的に供給した。切替え後約90時間目から定常状態が確認され、約400時間連続運転を行った。連続的に抜き出した培地の分析結果を表1に示す。
Figure 0004666884
表1からわかるように、プラスミドの安定性は長時間維持され、アルコールも安定して生産されることが明らかになった。
産業上の利用可能性
本発明によれば、グルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母を用いることによって、デンプンを糖化する工程を経ることなく、デンプンから直接的にエタノールを効率よく製造することができる。特に、本発明の方法では、非常に安定なグルコアミラーゼを細胞表層に提示する酵母を用いて、繰り返し回分発酵工程または連続発酵工程を行うことによって、より高い効率でエタノールを製造することができる。中でも、YF207株に由来する組換え酵母は、エタノール発酵能が非常に高く、本発明の方法における安定性も高く、非常に有用である。したがって、本発明の方法は、エタノール製造における工業的利用に有効である。
【図面の簡単な説明】
図1は、プラスミドpGA11およびプラスミドpIGA11の構造を示す模式図である。
図2は、YF207/pGA11を用いる回分発酵工程における、(a)培地中のデンプン濃度、グルコース濃度、およびエタノール濃度、ならびに(b)乾燥菌体重量およびグルコアミラーゼ活性の経時変化を示すグラフである。
図3は、YF207/pGA11を用いる繰り返し回分発酵工程における、(a)培地中のデンプン濃度、グルコース濃度、およびエタノール濃度、ならびに(b)乾燥菌体重量、グルコアミラーゼ活性、およびプラスミド安定性の経時変化を示すグラフである。
図4は、YF207/pGA11を用いる流加回分発酵工程における、(a)培地中のデンプン濃度、グルコース濃度、およびエタノール濃度、ならびに(b)乾燥菌体重量およびグルコアミラーゼ活性の経時変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. グルコアミラーゼを細胞表層に提示するように組換えられたDNAを有する凝集性酵母を用いて、40〜300g/lのデンプンを含む培地中で発酵させる工程を含み、該凝集性酵母がYF207株またはこれと同等の性質を有する酵母に由来する、エタノールの製造方法。
  2. 前記DNAを有する凝集性酵母がYF207/pGA11またはYF207/pIGA11である、請求項に記載の方法。
  3. 前記発酵させる工程が、繰り返し回分発酵させる工程または連続発酵させる工程である、請求項またはに記載の方法。
  4. グルコアミラーゼを細胞表層に提示するように組換えられたDNAを有する凝集性酵母を用いて、40〜300g/lのデンプンを含む培地中で、培地の量の0.07〜0.2v/v%/時間の培地の供給速度で発酵させる連続発酵工程を含み、該凝集性酵母がYF207株またはこれと同等の性質を有する酵母に由来する、エタノールの製造方法。
  5. 前記DNAを有する凝集性酵母がYF207/pGA11またはYF207/pIGA11である、請求項に記載の方法。
  6. グルコアミラーゼを細胞表層に提示する凝集性酵母YF207/pGA11。
  7. グルコアミラーゼを細胞表層に提示する凝集性酵母YF207/pIGA11。
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